口腔のケア、食事・身体介助 における...
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口腔のケア、食事・身体介助 における
感染予防ハンドブック
公益財団法人 東京都保健医療公社 荏原病院
~医療介護関連職種向け~
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はじめに
2019年の終わりごろから拡大しはじめた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、今や世界的蔓延をきたしています。 日常生活での感染リスクが高まる中で、今出来ることは、「感染した」 「症状が悪化した」などに対して「こういう理由であろう」という仮説を立て、 それに基づいた対策に積極的に取り組むことです。 東京都保健医療公社では、多くの病院で新型コロナウイルス感染症の 患者さんを受け入れています。 限りある病床を有効利用するためには、入院を必要とする患者さんを できるだけ減らすことです。そのためには、皆様1人1人が
「うつらない・うつさない」ということを実行できるように、感染予防の情報提供することが一番であり、これが地域の基幹病院としての使命と考えています。 これまで各地域から食事、身体介助による感染が疑われる報告もされて います。直接身体に触れることの多いケアに対して、今回私たちの提案は
いつも皆様にお伝えしていることとは正反対であったり、不本意である内容もあります。 ご批判やご意見もあるとは存じますが、この未知の感染症を乗り越える ために、あえて提案させていただくことにしました。 感染対策の基本は、手指衛生などの標準予防策です。 それに加え、口腔衛生、適度な運動、十分な栄養と睡眠が重要です。
このたび歯科口腔外科とリハビリテーション科では、感染予防と健康維持のための対策をハンドブックにまとめました。 このハンドブックが皆様のお役に立てれば幸いです。 なお、このハンドブックの内容につきましては、2020年4月27日現在のもの
であり、今後新たな情報によっては変更あるいは改訂することがあることをご承知おき下さい。
公益財団法人 東京都保健医療公社 荏原病院
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もくじ • 正しい手洗い方法
• 手洗い・手指消毒のタイミング
• 正しいマスクのつけ方
• うつらない・うつさないために①
• うつらない・うつさないために②
• 環境整備
• なぜ口をキレイにする必要があるの?~体のバリアを守れ~
• 口腔内について
• 歯周病について
• 口腔のケアは感染リスクが高いケアです!
• 口腔のケアを行う際の感染防御
• 口腔のケアを行う前の環境整備
• うがいの注意点
• 介助による口腔のケアのポイント【ケアを受ける方が椅子などに座っている場合】
• 介助による口腔のケアのポイント【ケアを受ける方が寝た姿勢の場合】
• 歯ブラシ 磨き方のポイント
• 舌ケアの方法
• 口腔ケア用ウェットティッシュの使用法
• 口の運動
• 食事時に気をつけたいこと~食事環境の配慮~
• 食事時に気をつけたいこと~食事介助時の注意~
• 身体介助における感染予防 個人防護具PPE
• 身体介助における感染予防 介助方法①
• 身体介助における感染予防 介助方法②
• 身体介助での感染予防 手指衛生
• 運動指導における感染予防 運動指導の立ち位置
• 運動指導における感染予防 集団体操の注意点
• 廃用症候群予防プログラム① 筋力トレーニング(寝てできる運動)
• 廃用症候群予防プログラム② 筋力トレーニング(座ってできる運動)
• 廃用症候群予防プログラム③ 筋力トレーニング(立ってできる運動)
• 廃用症候群予防プログラム④ 有酸素運動
• 口腔や運動に関する情報提供
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正しい手洗い方法
手洗い前に・・・①時計や指輪をはずす ②爪を短く切っておく
流水で良く手を ぬらし、石鹸を つける
手のひらを よくこする
手の甲をのばす ようにこする
指先、爪の間を 念入りにこする
指の間を洗う 親指と手のひらを ねじり洗い
手首と腕も 忘れずに洗う
充分に流水で 流す
清潔なタオルや ペーパータオルで 良く拭き取って乾かす
1
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3
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か た ま り は パ ス
のタイミングも忘れずに!!
キレイに見えても
か た ま り
配膳・ 下膳時
ス
スマホを触る前後
体に 触る時
食べる前 周りを 触る時
料理の 前後
キレイに見えても
パ
パソコンを触る前後
それ以外でも
*新型コロナウイルスは ステンレス・プラスチック上で72時間 生存という報告あり
は
手洗い・手指消毒のタイミング
手で咳やくしゃみをおさえた時
汚染物を清掃・破棄した時
トイレに行った時
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顎の下から鼻の上まで隙間がなく マスクがしっかりと覆っている
外すときは、ゴムひもをつかみ、マスクの外側を触らない ように外しましょう。外した後は手洗いをしましょう
鼻まで 覆っていない
顎まで 覆っていない
口も鼻も 覆っていない
顔とマスクに隙間があいていると、マスクの効果は低くなります 正しくマスクを装着しましょう
正しいマスクのつけ方
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飲食は他者と距離をとる 会話はマスク越し
新型コロナウイルス感染は 感染者が出したウイルスを含む飛沫に 接触、または吸入することではじまる
・
感染率が下がる
・
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症状無し
リスク高い
会話
近い
閉鎖空間 開放空間
遠い
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リスク低い
マスクあり 感染者
感染者
・ ・
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同じことはこんな場面でも・・・
マスクあり
接触
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・ ・
ガラガラうがい注) 食事中のムセ 運動中の呼気 複数者の共有物使用
など
可能であれば窓は2カ所あける 無ければ +扇風機で流れを
風は狭い→広い 隙間に流れる
10分に1回程度の換気 対 策 共有物の
こまめな消毒
距離(推奨は2m)と マスク
ドアノブ 手すり パソコン エレベーター 固定電話 電気のスイッチ 机・椅子 車いす 歩行器 など
注) ガラガラうがいに関しては、抗菌性洗口液によるうがいでウイルス不活性化するという報告もありますが、 エアロゾル発生行為として当院では推奨していません
マスクなし
うつらない・うつさないために①
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うつらない・うつさないために②
横浜のクルーズ船での調査で 新型コロナウイルスが多く検出された場所
まくら TVリモコン 電話受話器 机 椅子の取手 トイレ周囲
新型コロナウイルス感染症の疑い または陽性者が使用した場合
次亜塩素酸ナトリウム(0.05%)または アルコール(エタノール又はプロパノール:70%) による消毒が推奨されています
ドアノブ 便座
水栓レバー
ペーパーホルダー
共有トイレのウォシュレットは、 ノズルを清潔に管理出来ない場合は 使用しないことが望ましい
トイレ周辺環境 ウイルスは糞便からも排出されます
*下痢などでトイレが汚れた場合は その都度掃除しましょう
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• 物品や機器の清掃を行いましょう
• 平行棒や杖などの物品・機器の使いまわしによる感染を予防するため、患者自身の介入前後の手指衛生を行いましょう
• 小窓は常時換気
• 休憩時には窓全開で換気
物品・機器など
換 気
環境整備
清掃後 清掃前
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いろいろな感染源となる口の中の有害微生物 を増やさないため 口をキレイにして正常な細菌バリア を維持する必要がある
そして誤嚥性肺炎・虫歯・歯周病など口腔内不潔によって起こる病気も 特に今は防がなければなりません!
ウイルス侵入
免疫力(体の抵抗力)低下 口腔内の不潔
ゲホゲホッ
歯ぐきが痛い
微生物のバランスが崩れて いろいろなバリアが壊れる
口の中にいる微生物のバランスが
崩れ、特定の微生物が異常に増殖↓
粘膜バリアが壊されて 風邪や歯周病などの感染症を
引き起こす
病原体が 体内に侵入したり 異常増殖する
口腔内微生物が 上手に共存した バリア機能
病気の発症は
本人の免疫力vs病原体の病原性のバランスで決まる
発症
唾液の流れによる自浄作用と
抗菌タンパクで抵抗
口の中の2つの 防御システム
詳しく
すると・・・
なぜ口の中をキレイにする必要があるの? ~体のバリアを守れ~
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口腔内について
義歯にも歯と同じように細菌がつきます。汚れてないかチェックが必要です。毎食後義歯を口の中からはずして清掃することは大切です。
口の中には、500~700種類の常在菌が存在
歯に付いているヌルっとした白いものは、「歯垢(しこう)」といいます。 「歯垢」の正体は、「細菌のかたまり」です。
顕微鏡で針先の歯垢を 見ると、細菌が生きて 動いています
針先に1000億個 の細菌
口腔内には、微生物がいっぱい!
歯だけではなく、舌や粘膜の観察しましょう
味覚の異常がないか確認しましょう
舌や粘膜の色が普段と違っていないか、汚れや傷がないかを観察 しましょう。
味覚異常の有無を忘れずに確認しましょう。 ※新型コロナウイルスに罹患された方は、味覚や嗅覚異常の症状が出る方もいると報告されています
義歯がある人は義歯の観察や清掃を忘れずに!
流水下で ブラシで磨く
義歯洗浄剤に浸漬する
義歯は水中で保管
【義歯の清掃】 ★義歯保管ケースの清掃も忘れずに★
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歯周病について
口の中にたくさんいる細菌が起こす病気のひとつに「歯周病」があります。巷では、歯槽膿漏とよばれることもあります。 歯周病は、20代で約7割、30~50代で約8割、60代で約9割の方が病気にかかっているともいわれ、「生活習慣病」とされています。
気づかないうちに病気が進行することが多く、歯ぐきから膿が出るなどの症状が出てきたときには、病気がかなり進行しています。 正しい口腔のケアをおこない、口の中の細菌数を減らすことは、歯周病 予防の第1歩です。
歯周病(ししゅうびょう)
歯周病とは、歯ぐきや歯の周りの骨などの歯を支える組織におきる進行性の病気です。
歯周病菌は血流にのって、全身のさまざまな病気のリスクを上げることが報告されています
歯周病
動脈硬化 肝炎
骨粗しょう症
早産 低体重児出産
糖尿病
肥満
相互に関係
リスク
<歯周病の進行>
歯ぐきが赤く腫れてくる
歯を支える骨が溶け始める
健康な歯ぐき
歯が抜ける 歯が揺れ始める
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口腔のケアは 感染リスクが高いケアです!
水でブラッシング 保湿剤でブラッシング
口腔のケア時のブラッシングや吸引などにより ①湿性飛沫との接触が多い
唾液、ウイルスなどの口腔内汚染物を含んだ水分、洗浄液など ②エアロゾルが発生
【実験】 水と保湿剤に歯科用の歯の染色液を混ぜて
歯ブラシでブラッシングを行った際の湿性飛沫の飛散状況
グローブ グローブ
【結果】 水を使用した歯ブラシによるブラッシングは、保湿剤を使用した 歯ブラシによるブラッシングに比べて、湿性飛沫の飛散量が多い
ウイルス等の暴露の危険性が大変高い 適切な感染防御を行い、ケアの方法や環境の工夫が必要
今まで、日常ケアの1つとしてなにげなく行っていた 口腔のケアは、感染リスクの高いケアとして認識すること 特に「水」を使用したケアの際には、注意が必要である
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口腔のケアを行う際の 感染防御
キャップ ①バンダナやタオルでも代用可能 ②髪の毛が目に入らないように、ピン止めなどで止めて いるのであれば使用しなくてもよい
アイガード
①目は、必ずガード ②花粉対策用眼鏡や眼鏡で 代用可能 使用後は、アルコールで拭く なければ、石鹸でしっかり洗う
マスク
①必ず着用 ②鼻まで覆って正しく装着
グローブ
①必ず使用 ②使用前後の手指消毒が重要
袖付きガウン(エプロン)
①袖付きのものが望ましいが、なければ袖なしのエプロンに使い捨ての アームカバーを併用し、ケア後に腕をしっかり洗う ②ゴミ袋で作成した簡易エプロンの使用(何も防御がないよりはよい)
防御していることで安心しない! 手指衛生がすべての基本です!
★防御着を脱ぐ時に、汚染面を体にあてない(脱ぐ時の感染が多い) ★無意識に手で目や口、髪の毛などに触れないようにする ★手洗いは、腕まで行う
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口腔のケアを行う前の環境整備
・歯ブラシの保管場所は、可能なら 各自の居室やベッドサイドなどの 個別の場所にする ・使用時も他人の歯ブラシやコップと 接しないように気をつける ・歯ブラシのブラシ部分は上にする 下だと乾燥しずらく細菌が繁殖する
口腔のケア用具の保管方法
歯ブラシがあたってる
コップがあたってる
口腔のケアを行う時の環境 集まらない!個別でケアをする
のぞき込んで顔が近い
ケアをされている人の 対面に座って待っている
防御なし 防御無し 顔が近い
全ての人が感染するリスクあり
集まってケア
個別にケア 距離をあける
可能なら別室で待つ
後ろからケア
防御あり
対面に向かない
鏡
窓を 開ける
窓を開ける
ケアをするときは、必ず窓やドアを開けて換気しましょう。 2か所開けて、風の流れを作ることが感染予防に効果的です!
ケア用具は個別の場所で管理
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うがいの注意点
洗面台で行う場合
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高い位置から勢いよく吐き出す
洗面台に顔を近づけて やさしく吐き出す
飛沫が拡散する
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喋っている
対面している
防御なし
防御あり
見守りは後ろから 介助は横から
防御あり
ガラガラうがいは、周囲に人がいない場所でおこなう
喋らない
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ガラガラうがいは 飛沫が拡散する
拡散した飛沫に触れれば、接触感染 するリスクあり
ガラガラうがいは 基本的に個室で 行う
もしくは、周囲に人がいない場所で行う
ガーグルベースン等を使用して行う場合
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介助による口腔のケアのポイント 【ケアを受ける方が椅子などに座っている場合】
対面や顔を近づけて ケアを行うと
飛沫物を直接受ける!
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・感染防御を徹底する ・水の代わりに保湿剤を使用して、歯や粘膜のケアをする (「保湿剤」の使用は、飛沫量を軽減できる) 「口腔のケアは感染リスクが高いケアです!」参照
・舌のケアは、必ず行う ※ウイルスが舌に付着するという報告あり ・ケアは5分以内で行う(準備や片付けの時間は入れない)
・うがいの方法に注意する 「うがいの注意点」参照 ・鏡をうまく利用してケアを行う ・お互いに必要以上に話さない(話すことで飛沫が拡散する) ・ケアを受ける人の身体に必要ないときは触れない (肩に手をおく、背中に触れるなど) ・ケアを受ける人に自分の顔をできる限り近づけない (顔を近づけた分だけ、飛沫感染のリスクは上がる)
ケアを行う時の立ち位置とケアのポイント 対面でケアしない!
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後ろに立つ 飛沫物を回避できる! 飛沫物を回避できる!
鏡 鏡
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横に立つ
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介助による口腔のケアのポイント 【ケアを受ける方が寝た姿勢の場合】
感染防御:マスク、アイガード、ガウン グローブ、キャップ 窓を2か所開けて換気をおこなう
歯の外側は湿ったガーゼで拭いて時間短縮
内側はスポンジブラシで拭く(指は入れない)
吸引は極力使用しない ・ケア時に用具に付いた 汚れはガーゼなどで 拭き取る
ケアの最後は、必ず拭いて汚れを回収
対象者の口腔内から なるべく距離をとる
かたく しぼる
水は極力 使用しない
ベッドアップの 角度の工夫
時間がない時は、歯よりも 舌・粘膜ケア優先
舌のケアは 必ず行う
奥から手前に動かす
口腔内観察(ケアを完了しなかったところは、次回行う)
ポイントは、無理をしないこと! ケアを行う人もケアを受ける人も感染から守ることを一番に考える
口腔内観察(汚れ具合・傷の有無だけは、確認)
歯ブラシ&スポンジブラシと 保湿剤でケア
歯がある スポンジブラシは 単回使用で破棄
スポンジブラシと保湿剤でケア スポンジブラシは単回使用で破棄
歯がない
もしくは 保湿剤がない時は、水を極力しぼって注意して行う
歯磨き粉は、極力使用しない 現時点において、歯磨剤の薬効とウイルスの不活性化については報告がありませんが、 誤嚥のリスクと歯磨剤の回収が困難なことから、当院では歯磨剤の使用を推奨していません
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歯ブラシ 磨き方のポイント
歯の裏側 奥歯の溝
・歯ぐきに歯ブラシの 毛先を入れ込む時は 角度(約45度)を つける
・舌の力に負けないように 歯と歯ぐきの境い目に 歯ブラシの毛を当てる
・奥歯の溝を磨くときは 歯ブラシを横から入 れる
歯と歯の間
・上と下の歯は別々に磨く
・歯と歯の間は縦磨きが有効
歯と歯ぐきの境い目
・力は抜いて,こきざみに振動 させる ・ねらいを定めて! 歯ブラシの毛が 当たったところしか 汚れは取れません
歯ぐきのキワを磨くので、
やさしい力で磨くことが
大切!
歯ブラシの毛が
当たった、矢印の部分だけ磨けてます
歯磨きは、力ではなく、歯ブラシの毛先がどこにあたっているかが大切!
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舌ケアの方法
新型コロナウイルスは、舌からも侵入するのではという 報告もあります。歯磨きとともに舌のケアも行いましょう
舌ケア専用の「舌ブラシ」をお持ちの方は、そのブラシをお使いください。
ここでは、舌ブラシをお持ちでない方のために、「歯ブラシ」でできるケアの方法をお伝えいたします。
【舌ケアの方法】 ・歯ブラシをやや斜めに傾け 力を入れずやさしく舌を磨く ・舌を「中央」「右」「左」の3分割し 奥から手前に向けて歯ブラシを 動かして磨く ・回数は3分割1セットで3回
注意点 1.力を入れない。こすり過ぎない。力を入れたり何回も舌をこすり 過ぎると、舌の表面にある味を感知する器官である味蕾(みらい)を 傷つける恐れがあります。 2.ブラシを手前から奥に動かすと、汚れを咽頭に送り込みます。 ブラシの動かし方は、必ず「奥から手前」です。
歯ブラシをやや斜めに傾けて舌に当てることがやさしく磨くポイント!
歯ブラシを舌に直角に 当てると、刺激が強いです
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口腔ケア用ウェットティッシュ の使用法
口腔のケアの時は、基本的に歯の内側に指を絶対に入れない!
本人が噛むつもりがなくても、誤って噛んでしまったり、意識せずに噛んでしまうこともあるので、注意すること
指に巻き付けて使用する
効率的に汚染物を除去できるので 歯の外側を拭くときには有効である
意思疎通がとれない方のときは 指を噛まれる危険性があるので 歯の内側は絶対に拭かない!
歯の外側を拭く
歯の内側を拭く
ケアの鉄則!
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口の運動 (運動は、マスクをつけて行いましょう)
抗菌作用
緩衝作用
保護作用
消化作用
洗浄作用
溶解作用
円滑作用
嚥下・会話
味覚の促進
細菌や食べカスを 胃へ送る
酵素が消化を助ける 粘膜を感染防御
pHを一定に保つ 歯を再石灰化
抗菌物質が 病原性微生物に抵抗
【唾液のはたらき】
唾液は最強!口を動かしてサラサラした唾液をたくさん出しましょう
耳下腺:耳たぶのやや前方、上の奥歯のあたり 顎下腺:あごの骨の内側の柔らかい部分 舌下腺:あごの先のとがった部分の内側
左回り
唇を閉じた状態で、ゆっくりと大きく 歯と顔の肉の間で舌をうごかします
力を入れずに指や手のひらを使ってゆっくり マッサージしましょう
右回り
べろ回し運動
唾液腺マッサージ
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・ ・ しゃべる
髪そのまま
マスク無し
対象者の前から配膳
グローブ無し
食事にも会話による飛沫が混入
キャップや三角巾などで頭髪をまとめる
マスク着用
グローブ装着
しゃべらない
配膳時
食器に蓋や ラップフィルム無し
蓋やラップフィルムは閉めたまま配膳 食べる直前に外す
ムセても直接人にかからない工夫を!!
衛生管理に気をつけた装備で 対象者の横又は後方から配膳
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* ・ ・
しゃべる
向かい合って座る
お互いの距離が近い
食事者間の距離をとる
壁に向かって食べる
食事時の配置
距離が取れない
時間をずらす
食事時に気をつけたいこと ~食事環境の配慮~
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食事時に気をつけたいこと ~食事介助時の注意~
介助者はエプロン・グローブ・マスク・目の防護を!
正面から介助せずに横から介助する
むせた場合
むせても
飛沫物を回避できる!
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しゃべると飛沫物が出るので 極力話しかけない
飛沫物を直接受ける!
介助前後の手洗い・消毒を徹底する
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正面から ・ ・
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横から
☆食事中に使用したティッシュ等にもウイルス付着の 可能性があることを考慮して密閉して廃棄する
☆なるべくムセにくい食事を →炒り卵などパラパラしたもの、酸味・辛味の強い物 高野豆腐や麺類など水分と固形物が分かれやすい ものは一般的にむせやすい 水分は少量ずつ飲む、少しとろみをつける
その他の注意事項
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身体介助における感染予防 個人防護具PPE(personal protective equipment)
口、鼻、目を保護 マスクとアイガードを着用
(眼鏡や花粉症用でも代用可・使用後は消毒の徹底)
日本眼科学会によると、眼鏡やゴーグルを装用すれば 新型コロナウイルスの飛入を、ある程度は抑えることができますが、完全ではありません。レンズのない側面や上下の隙間から、ウイルスが侵入する可能性があります。 また、眼鏡やゴーグルに触れた手で目をこすると、かえって 感染のリスクを高める可能性もあることに注意しましょう。
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• 鼻や口の正面に顔を近づけない • 介助者はマスクとアイガードを着用する • 可能な限り患者や利用者にマスクを着用してもらう
• 介助動作は1度にすべての工程を行うのではなく、 足の移動→上体の移動など動作を分けて極力密着しない ように、介助を行う
身体介助における感染予防 介助方法①
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• 手すりなどの環境設定を行う • 1人で大変な場合は、無理せず2人介助など複数人で介助する
• 被介助者が大きい場合、1人で行わない • 正面からの介助は極力避ける • 介助者はマスクとアイガードを着用する • 可能な限り患者や利用者にマスクを着用してもらう
身体介助における感染予防 介助方法②
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• 1介助1指導1消毒 • 汚れが目立つ場合は石鹸と流水で手洗い
• 患者や利用者はデイルームなどの入退室時に手指消毒。アルコール禁の患者や利用者は石鹸と流水による手洗い
• ウイルスや菌は持ち込まない、持ち出さない
アルコール量は20~30秒ですり込める量(2プッシュ)
汚い手で平行棒などを触ると接触感染のリスクとなります
身体介助での感染予防 手指衛生
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• 対面での指導は避け、横から運動指導を行う • 指導者はマスクを取らない • 1指導1消毒
前方からの指導は極力避ける
運動指導における感染予防 運動指導の立ち位置
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マスク着用十分な距離をとる 換気を行う
密集はやめましょう 1つの物をみんなで触る 運動は控えましょう
大きな発声は控えましょう
運動は極力1人で可能な運動を提供する
運動指導における感染予防 集団体操の注意点
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廃用症候群予防プログラム① 筋力トレーニング(寝てできる運動)
下肢拳上運動
ブリッジ(お尻上げ)
肩まわし運動
20回×5セット ゆっくり 6秒かけて
ゆっくり 6秒かけて お尻を上げる
片脚で行うのもよいでしょう
10セット
20回×5セット
注意:動悸や息切れ、痛みなど異常が見られた場合は中止してください
ゆっくり20回繰り返す
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廃用症候群予防プログラム② 筋力トレーニング(座ってできる運動)
バンザイ運動
つま先立ち
もも上げ・膝伸ばし
20回×5セット
ゆっくり 6秒かけて
ゆっくり 6秒かけて
20回×5セット
ゆっくり 6秒かけて
20回×5セット
注意:動悸や息切れ、痛みなど異常が見られた場合は中止してください
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廃用症候群予防プログラム③ 筋力トレーニング(立ってできる運動)
起立練習(またはスクワット)
つま先立ち
片足立ち
注意:動悸や息切れ、痛みなど異常が見られた場合は中止してください
• 1分間で大腿骨に歩行53分の負荷がかけられます
• バランスが不安定な場合は手すりやテーブルに手をついて行ってください
バランスが不安定な場合は 手すりやテーブルなど 安全なものにつかまって 行ってください 1日 20回×5~10セット
バランスが不安定な場合は 手すりやテーブルなど 安全なものにつかまって 行ってください 1日 20回×5~10セット
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廃用症候群予防プログラム④ 有酸素運動
腕の振りは心臓の高さ、 膝は椅子の背もたれの高さまで
上げましょう リズムは1分間に110歩程度で
5~10分続ける目安で行いましょう
※膝に痛みなどある方は座って行ってもOK!
ステップエクササイズ
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口腔や運動に関する 情報提供
https://www.youtube.com/watch?v=kWK7Vei1bmU
https://www.jda.or.jp/
https://www.jdha.or.jp/
https://www.8020zaidan.or.jp/index.html
https://www.youtube.com/channel/UCQ_GclawtIGBk7SAW5SvlpA
https://www.youtube.com/channel/UCklPVvHdkxc4_Sal0n40Zhg
https://www.kumamoto-pt.org/up_file/useful/1403/useful_13135134_1.pdf
https://tez123jp.wixsite.com/website
8020推進財団
日本歯科衛生士会
日本歯科医師会
暮らしのマイスター 歯磨きの基本/ライオン
【運動に関する情報】 東京都理学療法士会
【運動に関する情報】 愛知県理学療法士会
【運動療法などに関する感染予防情報】
日本理学療法士学会
【廃用症候群に関する情報】 熊本県理学療法士会
https://www.youtube.com/watch?v=kWK7Vei1bmUhttps://www.youtube.com/watch?v=kWK7Vei1bmUhttps://www.jda.or.jp/https://www.jdha.or.jp/https://www.8020zaidan.or.jp/index.htmlhttps://www.youtube.com/channel/UCQ_GclawtIGBk7SAW5SvlpAhttps://www.youtube.com/channel/UCQ_GclawtIGBk7SAW5SvlpAhttps://www.youtube.com/channel/UCklPVvHdkxc4_Sal0n40Zhghttps://www.youtube.com/channel/UCklPVvHdkxc4_Sal0n40Zhghttps://www.kumamoto-pt.org/up_file/useful/1403/useful_13135134_1.pdfhttps://www.kumamoto-pt.org/up_file/useful/1403/useful_13135134_1.pdfhttps://www.kumamoto-pt.org/up_file/useful/1403/useful_13135134_1.pdfhttps://tez123jp.wixsite.com/website
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参考資料および出典
• ⼀般社団法人日本本環境感染学会:医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第2 版改訂版 (ver.2.1)
• 一般社団法人日本環境感染症学会:高齢者介護施設における感染対策 第1版 • WHO Guidelines on hand hygiene in health care:a Summary • 厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について(2020年4月26日閲覧) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html • 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 令和2年3月28日(令和2年4月16日変更) 新型コロナウイルス感染症対策本部決定 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.html • Neeltje van Doremalen et al : Aerosol and Surface stability ofSARS-Co-2 as
Compared With SARS-C0V-1, Nengl J Med Online ahead of print 2020,Mar 17. • 奥田 克爾:デンタルバイオフィルムとのバトルに抗菌性洗口液を活用する.
歯界展望 125(6): 1160-1169, 2015.
• Xu H, et al: High expression of ACE2 receptor of 2019-nCov on the epithelial cells of oral mucosa. Int. J Oral Sci,2020
• 日本嚥下医学会:新型コロナウイルス感染症流行期における嚥下障害診療指針(2020年4月26日閲覧)
http://www.ssdj.med.kyushu-u.ac.jp/new/detail/?masterid=113 • Physiotherapy Management for COVID-19 in the Acute Hospital Setting:
Recommendations to guide clinical practice(急性期病院におけるCOVID-19の理学療法管理:臨床実践のための推奨 バージョン1.0)
• 国立感染症研究所 国立国際医療研究センター 国際感染症センター: 新型コロナウイルス感染症に対する感染管理(2020年4月27日改訂)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.htmlhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/taisaku_honbu.htmlhttp://www.ssdj.med.kyushu-u.ac.jp/new/detail/?masterid=113http://www.ssdj.med.kyushu-u.ac.jp/new/detail/?masterid=113http://www.ssdj.med.kyushu-u.ac.jp/new/detail/?masterid=113
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新型コロナウイルス対策 口腔のケア、食事・身体介助における
感染予防ハンドブック ~医療介護関連職種向け~
2020年4月30日 第1版発行
発行所 (公財)東京都保健医療公社荏原病院
東京都大田区東雪谷4-5-10 歯科口腔外科・リハビリテーション科
電話:03-5734-8000(代表)