fal スピーカー試聴記(その6) 「まとめ:fal の...
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オーディオ実験室収載
FALスピーカー試聴記(その6)
「まとめ:FALのスピーカーは極めてユニークである」
要約すると、FALのスピーカーの特徴は以下のとおりです。
鋭敏なトランジェント
深くて軽やかな低域
見通しと定位の良い音場
高能率でハイパワーを必要としない
いろいろな置き方で楽しめる
ソースや周辺機器の性能に鋭敏に反応する
したがって、どのようなソースでも心地よく聴こうと思うと、そうは行かないケースも
出てきます。言わば、ある種のオーディオの原点を示しているように思えます。なお、
モスクワ大学の音楽学部にも納められたということがプロフェッショナルの評価を示
すものでしょうが、一方、単売もされるフラットユニットをアクリルの平面バッフルに
取り付けただけも良い音がするそうですし、iPodと Crownを持ってきて小型のブック
シェルフで鳴らしたいというようなユーザーにも対応するそうなので案外敷居は高く
なさそうです。
印象として誤解を恐れずに言うと、タンノイが古今集、JBLモニターが新古今集なら、
FAL は万葉集のような位置づけでしょうか。最後に、参加メンバーの感想を添付して
筆をおきます。参加者の今回は本当に良い勉強になったという一言が皆の感想を代表し
ている。遠路お越しいただいた古山社長、また開梱、設置、結線、梱包など、労力を提
供していただいた参加メンバーにお礼を言いたい。
A氏
位相が合い、レスポンスのよいスピーカーだと録音現場がそのまま再生されることが分
かった。「市民のためのファンファーレ」もジャズのベースソロも凄かった。深く、か
つ立ち上がりの良い低音と、音場の広がりや奥行きが両立し、そこで演奏しているかの
ようであった。ただ、自分が好むような録音の悪い音楽だと、その悪さを指摘する厳し
さもあるのかなとも思った。
B氏
繊細な音がするのではないかという予想に反して(STAX ELS4X[8X用電源に強化]に
比べ)力強さがあると思った。STAXはひとの声が聴き易くボーカル物では自然な感じ
がするが、一方低域が出にくいので、低域に力のあるアンプが必要だ。FAL はシング
ルアンプなど、格段に力のあるアンプでなくとも低域がよく出ている。
C氏
気になっていた振動板の素材の音、即ち、発泡ポリスチレンの音は、両面を特殊なコー
ティングを施した状態の振動板だそうで、懸念した素材の音は全く感じ取れなかった。
実際の音を一言で表現すると、楽器そのもの。音色もさることながらスピーカーから放
たれるエネルギーが楽器であるかの如き、エネルギー感に満ち満ちている。平面波の音
が減衰し難いのであろう。部屋がライブ会場の様な雰囲気に包まれた。設置環境(ライ
ブ、デッド)を選ばない鳴らし易いスピーカーである。
以上
【後記】
この試聴会の後、ボイスコイルの銀線仕様もあるとのことだったので、もう一度 FALに出
向き、ボイスコイルの銀線仕様とアルミ線仕様を聴き比べ、前者を導入する次第となりま
した。