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FD 「授業実践事例②」教育活動の紹介ー 東洋大学・生命科学部・生命科学科 金子 律子 「生命科学の基礎を身につけるために」 実践例 平成22年度ウェルカムガイダンス

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ーFD 「授業実践事例②」教育活動の紹介ー

東洋大学・生命科学部・生命科学科金子 律子

「生命科学の基礎を身につけるために」 実践例

平成22年度ウェルカムガイダンス

板倉キャンパスに新実験棟(5号館)完成

生命科学部・板倉キャンパス

新棟「実験棟(5号館)」 完成

研究テーマ

神経細胞の発達や細胞死に影響を与える因子とその作用を解明し、疾患の治療に役立てる。

本日は、授業実践事例の紹介ですので、必修科目「基礎生物学」での取り組みを紹介。

視床下部神経細胞の培養

赤:細胞骨格蛋白質MAP2緑:シナプス関連タンパク質

シナプシン I

東洋大学・生命科学部

生命科学部のディプロマ・ポリシー

極限環境に生育する生物からヒトにいたるまでの生命現象に関する基礎知識と生命現象を解析する基礎的技術を修得した上で、専門的な知識を獲得すること。

その上で、創造的思考能力を磨くことにより、「生命」「環境」「食」の各分野における先端科学や高度な技術開発に挑戦してゆくことができること。

さらに、高い倫理性と幅広い視野、豊かな人間性と自立心を備え、地球社会の発展に貢献するという強い意志を有すること。

生命科学科のディプロマ・ポリシー

幅広い教養と“いのち”に対する深い生命倫理観をもち、生命科学を学んだ者としての責任をもった行動をとることができる。

生命現象を分子レベルから地球環境レベルで理解する専門知識と生命科学の基本的な実験技術を有し、幅広い分野の職業人として活躍できる。

未知の領域に挑戦する論理的かつ独創的な考え方ができ、将来の生命科学を探求する研究者をめざすことができる。

生命科学の色々な分野を勉強し、生命科学を理解する基礎を作る。・・基礎生物学、基礎科学、生命科学ゼミナール

(動物、植物、バクテリア)

次に、自分が専門的に学びたい分野(コース)を選び、専門科目を学ぶ。

卒業研究の研究室を決め、研究を自ら行う。

さらに研究したい!と思ったら、大学院に進学。あるいは、就職して自分の知識や技術を役立てる。

生命科学科の基本的方針

(1)科目ごとの具体的な教育目標をまず立てる。

基礎生物学(1年後期、必修科目)

【シラバス】[講義の目的・内容]本講義の目的は、生命科学の出発点である生物学の知識体系を理解し、身につけることにある。生体の構成要素である細胞の構造と機能、さらに細胞の集合体である動物や植物の構造、生命の再生産の仕組みを理解することを学ぶ。

[講義スケジュール](1) 生体の構成物質 第1項~第3項(2) 細胞の構造 第4項~第6項(3) 原核生物と真核生物 第7項(4) 多細胞生物 第8項~第9項(5) 増殖・生殖 第10項(6) 遺伝 第11項(7) 生物の分類・進化 第12項(8) 生物が有する情報伝達システム 第13項(9) 生物を取り巻く環境、生態系 第14項

(2)目標達成のために、問題となることや解決策を考える。

[問題点](1)学生のレベルに開きがある。生物を高校で習っていない学生、生物を受験で選択していない学生も混ざっている。

(2)教職科目であるので、高校で教える生物学全般を理解させる必要がある。また、専門分野が異なると必要とされる基礎知識もかなり異なる。(分子生物学~生態系、微生物、植物、動物(人間を含む)では要求される基礎知識がかなり異なる。)

(3)知識が単語のみの暗記になりがちである。(4)生命科学に関する一般的教養を身につけさせるのが難しい。

[解決策](1)必修の「基礎生物学」については、パワーポイントではなく、板書を行う。←(1)(2)小テストを毎回行い、知識の定着をはかる。←(1)、(2)(3)小テストに記述式問題を多くし、文章作成力を高める。←(3)(4)生命科学に関する本を読ませ、感想文を書いてもらう。←(4)

今年度秋学期「基礎生物学」(第一学年)で実施した「小テスト」と「読書感想文」について紹介する。

【1】 小テスト①毎回、講義開始時に小テストを行う (14回)。出席は小テストによりチェック。1時間目の講義であるので、講義開始時の出席率を高める効果期待。

②小テストの出題は、前回の講義内容について行う。毎回講義終了時に、次回の小テストの出題内容を予告し、講義の復習を促す。

③知識問題より記述問題を多くし、文章を書く練習を促す。

④採点基準を伝えながら、採点は学生にその場で行わせる。文章を纏める際、気を付けるべきことを口頭で指導。(文章を書く練習)採点に費やされる教師の負担を減らす。

小テストの例

【初回】

試験前のすべての小テストを返却。(手元に残っていた小テストは、取りに来なかった物。)期末試験は、小テストを中心に出し、さらに履修項目を復習するよう試みた。

小テストの例

(1) 解糖系、クエン酸(TCA)回路、電子伝達系の反応過程について纏めなさい。

(2) 以下の細胞小器官について、知るところを書きなさい。例) ミトコンドリア核小胞体 etc

(3) 細胞内で作られた蛋白質の細胞内輸送システムについて書きなさい。

などなど

指定した本を読み、読書感想文を提出してもらう。

負担が大きくなり過ぎないように、800字以上であれば良し。

今年度秋学期「基礎生物学」(第一学年)で実施した「小テスト」と「読書感想文」について紹介する。

【2】 読書感想文

今年度指定した本・・福岡伸一氏の著書

【課題】

以下の3冊の新書のうち、一冊を読み、感想文を書く。

①新書大賞受賞:「生物と無生物の間」

②新書大賞ランクイン:「できそこないの男たち」

③新書大賞ランクイン:「世界は分けても分からない」

講談社現代新書 光文社新書 講談社現代新書

福岡伸一氏・・分子生物学者青山学院大学・教授

(福岡伸一氏のホームページより掲載)

① ② ③

感想文集を作製

図書館に

感想文集の画像

平成21年度「基礎生物学」読書感想文・文集(図書館へ収納予定)

【成績評価】

①定期試験の結果、②小テストの結果、③出席率(小テスト)、④感想文の提出

を評価対象とし、総合的に評価。

生命科学部で実施している授業アンケート前の年の例 今年の例

生命科学部で実施している授業アンケート

授業アンケートや成績、および講義中の様子等から、来年度更に改善したいと考えている。

色々な講義への取り組み方があると思う。新任の先生方のご参考に少しでもなれば、幸いである。

今年の例

生命科学部・板倉キャンパス

ご清聴を感謝申し上げます。