モンゴル国立教育大学との連携による 中等学校理科教育支援 ... · 2020. 4....
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モンゴル国立教育大学との連携による 中等学校理科教育支援
日本物理学会第75回年次大会
2020年3月19日 19aK25-11
NPO法人All Life Line NetA,株式会社マルトソフトB, Mongolian State University of EducationC
塚内 恒司A,冨田 治重B,オチルバト・アルタンゴーC,レンツェンノロフ・バザルスレンC,ハナフー・バトボルトC,アル
タンゲレル・ネルグイC,バトバヤル・バトニャムC,バダルチ・ガントヤC,ガンホヤグ・オンドラフC,オヨンデルゲル・ム
ングンチメグC,ボルドサイハン・チョイドルジC
モンゴル国立教育大学との連携による中等学校理科教育支援
NPO法人All Life Line NetA,株式会社マルトソフトB,Mongolian State University of EducationC
塚内 恒司A,冨田 治重B,オチルバト・アルタンゴーC,レンツェンノロフ・バザルスレンC,ハナフー・バトボルトC,アル
タンゲレル・ネルグイC,バトバヤル・バトニャムC,バダルチ・ガントヤC,ガンホヤグ・オンドラフC,オユンデルゲル・ムングンチメグC,ボルドサイハン・チョイドルジC
A Support for science education at secondary schools in collaboration with Mongolia State University of Education ANPO Corp. All Life Line Net,BMARUTO SOFT Corp., CMongolian State University of Education
TSUKAUCHI KohjiA, TOMITA HarushigeB, OHIRBAT AltangooC, RENTSENNOROV BazarsurenC, KHANAKHUU BatboldC, ALTANGEREL NerguiC, BATBAYAR BatnyamC, BADARCH GantuyaC, GANKHUYAG UndrakhC, OYUNDELGER MungunchimegC, BOLDSAIKHAN ChoidorjC
1 2012年~2014年のモンゴル国中等学校理科教育改善の事業
2011年3月より、認定特定非営利法人All Life Line Net(オールライフラインネット)が、独自の事業として、モンゴル教
育大学と連携しモンゴル国における理科教育の改善の支援に着手していた。当初は電磁気の分野について、電子工学技術の専門家がボランティアで教材と授業方法について助言を行っていた。その後、2012年3月から3年間は、外務省民間連携室の管掌する事業となり、補助金を受けて現地で物理全般について同様の事業を行った。
2 2017年~2018年の物理実験教材の開発、製作、配付の事業
その後、当該NPOは、現地と緊密に協議しながら外務省に申請を行い、その結果、教材装置の製作が2017年度からの補助金事業として認定されることとなった。私は、その事業の中で、力学教材装置5種(光電速度計、加速度計、力学台車、斜面装置、実験スタンド)の開発、試作を担当し、現地ウランバートルにおいて大学教員とともに製作し、1種について6個を現地の中等学校40校に配付した。
3 センサーを用いた光電速度計とセンサー加速度計の製作
(1) 光電速度計 LEDの発する光ビームをphotoTRの受光部に当てておく。走行物体が光ビームを遮断するとphotoTRはOFFとなる。これを2段並べ、最初の遮断の信号でマイクロコントローラのタイマーをONにし、次の遮断でOFFにすれば、その間の時間を得ることができ、プログラムでこれを速度に換算させ、液晶画面に表示させて、これを1個の速度計とした。
(2) センサー加速度計 力と加速度の関係を定量する実験において、伝統的に、打点タイマーを使ってきたが、力を定量するのが難しく、この方法はあまり実用的ではない。そこで、「3次元加速度センサー」を使って加速度を計測する
装置を製作した。これは、センサーで得られたデータをマイクロコントローラで演算し、液晶画面に表示するというものである。たとえば、この装置を押しばかりで、1.0N、2.0Nの力で圧し、解放すれば、その瞬間の加速度の値を表示する。
モンゴル国 中等理科教材開発支援事業
2017年2月
認定特定非営利活動法人 All Life Line Net
3
事業全体概要
• 事業名:
中等理科教材開発支援事業
• 事業地:
モンゴル国ウランバートル市
モンゴル国立教育大学
• 事業期間:
2017年3月~2020年2月
(地図)ウランバートル
(写真)モンゴル国立教育大学
4
(地図)モンゴル国立教育大学
モンゴル学校系統図
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出所:Capacity Supply Landscape Study-Mongolia(2012)より編集 JICAモンゴル事務所提供
1 2012年~2014年のモンゴル国中等学校理科教育改善の事業
• 2011年3月より、認定特定非営利法人All Life Line Net(オールライフラインネット)が、独自の事業として、モンゴル教育大学と連携しモンゴル国における理科教育の改善の支援に着手していた。当初は電磁気の分野について、電子工学技術の専門家がボランティアで教材と授業方法について助言を行っていた。その後、2012年3月から3年間は、外務省民間連携室の管掌する事業となり、補助金を受けて現地で物理全般について同様の事業を行った。
2 2017年~2018年の物理実験教材の開発、製作、配付の事業
• その後、当該NPOは、現地と緊密に協議し
ながら外務省に申請を行い、その結果、教材装置の製作が2017年度からの補助金事業と
して認定されることとなった。私は、その事業の中で、力学教材装置5種(光電速度計、加
速度計、力学台車、斜面装置、実験スタンド)の開発、試作を担当し、現地ウランバートルにおいて大学教員とともに製作し、1種について6個を現地の中等学校40校に配付した。
3 センサーを用いた光電速度計とセンサー加速度計の製作 (1) 光電速度計 LEDの発する光ビームをphotoTRの受光部に当てておく。走行物体が光ビームを遮断するとphotoTRはOFFとなる。これを2段並べ、最初の遮断の信号でマイクロコントローラのタイマーをONにし、次の遮断でOFFにすれば、その間の時間を得ることができ、プログラムでこれを速度に換算させ、液晶画面に表示させて、これを1個の速度計とした。 (2) センサー加速度計
力と加速度の関係を定量する実験において、伝統的に、打点タイマーを使ってきたが、力を定量するのが難しく、この方法はあまり実用的ではないと考えた。そこで、「3次元加速度センサー」を使って加速度を計測する装置を製作した。これは、センサーで得られたデータをマイクロコントローラで演算し、液晶画面に表示するというものである。たとえば、この装置を押しばかりで、1.0N、2.0Nの力で圧し、解放すれば、その瞬間の加速度の値を表示する。
(なお、唯一、有用なものとして、「定力装置」が実用化されている。これは、ドラムに巻き付けた板バネの復元力を用いるもの。私がかつて使ったものは、0.5Nと1.0Nの引っ張りワイヤが装備されていた)
4 他、3種の道具、装置 (1) 直線実験台リニアレール
現地、建築材料市場で、アルミ材を購入。組み合わせて、長さ約100cmのレールを
作った。台車の車輪が乗る部分には電気配線用のモール。端にはプーリー。
(2) 力学台車
反作用の実験用に、両端にネオジム磁石を貼っておく。
材料は、アルミL材と鉄製のベアリング入りホイール。 質量は400g。
(3) 実験スタンド 鉄製、安定にする、多用途
材料は鉄製のボックスと、真鍮のポール。 金具類は日本から輸入。
モンゴル国立教育大学数理学部 物理学科
ものづくり教室
• 5 センサー速度計 近接する2対の光ビーム-光センサーで、1単位の速度計を構成し、これによって、走行する物体の速度を測定し、表示する。 単位速度計2個で センサー速度計1 セットを構成し、走行 物体の80cm以内の 2地点での速度を 測定することが できる。
LEDとphotoTr
ソースプログラムを工夫した。
走行体がどの箱から、どちら側から入っても速度を表示できる。 箱と箱の間の通過時間を表示する。
photoTrはSWの機能 photoTrだけでは電力不足なので、 Trを入れてからマイコンに入れる
SVM センサー速度計 4 Photo Gates 1セット当たり
LEDwhite2 NJL7502L photo Tr.2*2 AA*2
*2 DTC143ZSA digital Tr.*4
PIC16F785-I/P microchip
AA*3 LCD-RT1602H 16*2display
この2種と、次項の磁束密度計ではCCS社のコンパイラソフトPCWを使った マイコンはmicrochip社のもの C-main は自作 LCDのヘッダファイルはlibraryから
CCS compiler PCW
PICkit3 driver
で
s
1=red
sensor
P
PC writer device
外注したプリント基板上にマイコンチップ、センサー、CRをハンダ付けし、LCDを組み付ける
上2個はLEDのボックス 下左はphotoTrのセンサボックス 下右はphotoTrとLCDの本体ボックス
V1はLCDのある(本体)ボックス V2はLCDのない(センサ)ボックス TIMEは、ボックス間の経過時間
具体例
斜面走行具体例
V1 cm/s V2 cm/s 加速度
1回目 42.8 82.2 55gal
2回目 36.9 79.0 54gal
3回目 36.6 80.6 57gal
例題2 プーリー端面の高さ
5cmでボールを転がした場合
移動距離45cmであった。
加速度は計算で求める。
傾角の正弦値が0.058であるから
理論的な斜面加速度は 980×0.058=57gal
振り子計測具体例
6 センサー加速度計 内蔵している加速
度センサーにより、装置の動きの加速度を検出し、表示する。加速度センサーは、3次元で加速度を検出できるが、この装置 では、装置の長辺 方向の加速度を 測定するように プログラムしている。 水平、斜め、鉛直 に関わらず、静止 させているときには 加速度0を示すようにプログラムした。
センサーのはたらきの推定 センサーは、重力及び慣性力を検知する センサー内部の素子としては、静電容量、圧電素子などを 推定する 加速度を直接検知するのではない 慣性力については、符号 を逆にすれば加速度になる 重力を含んだ値については、 たとえば、目的として 傾き角を検知する場合と、 加速度を検知する場合がある 加速度を得る場合には、 重力の寄与分をキャンセルする 必要がある
重力
加速度センサー KXSC7-2050(アナログ),ADXL345(デジタル)
斜面に置いた場合
θ
Z
5V
3V
+2.5G 1.5V -2.5G 0V
加速度センサーKXSC7-2050の出力電圧、1軸について • -2.50[G]のとき0.00[v] • +2.50[G]のとき3.00[v] • 従って0.00[G]のとき1.50[v] • 従って1.00[G]、すなわち • 982cm/s2当たり0.60[v]となる。 • 電源電圧5.0[v]を10bitで刻み、 • センサーの出力をbit単位で読み、 • それをcm/s2単位に変換し、LCD表示。
SAM 加速度計
KXSC7-2050 3軸加速度センサー
PIC16F1827 microchip
AAA*4
LCD-RT1602H 16*2display
配線とLCDの使い方
完成品では、計測時刻を8点とした。 10,20,30,40,50,70,100,200ms
Stand by状態で、瞬間的に押す
力学台車に仮固定して押す
磁石の反発力で離れた瞬間
自由落下させた場合
重力のもとでのバネの振動
その時間の4倍が、この単振動の周期である。
バネ振動の周期を計測
• 例題2 バネでつり下げ、動き始めの加速度 を測る。同じ条件で5回程度測定する。 この測定値で加速度と時刻の関係のグラフを描く。 時刻を横軸に、200msまで、プロットする。 加速度をたて軸にプロットする。 グラフが横軸を横切るところの時刻を求める。
10ms 20ms 30ms 40ms 50ms 70ms 100ms 200ms
-163 -292 -361 -369 -524 -404 -180 401
その時間の4倍が、この単振動の周期である。
例題3 力と加速度の関係を確かめる。
50 100 200
7 製作準備中のもの
(1) 磁束密度計 Easy Tesla Meter 0.5mT~50mT(5Gauss~500Gauss)程度を計測 ある位置について、直交3軸の値を計測 (2) 回転速度計 Angular Velocity Meter 回転体につけて自転速度を計測 2000deg/s((50/9)回転/秒)まで計測可 直交3軸の値を計測可 (3) 加速度計、回転速度計のワイヤレス化
容量の制約により、講演集への記載はここまでとします。これ以後の部分も含めた全体は、以下の、発表者個人のWEBに記載してあります。 http://est.hi-ho.ne.jp/tsukauchi-kikaku/