ミドルクラス出現による消費パタ-ン変化と産業構造変化 -日本 … ·...

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Graduate School of International Development NAGOYA UNIVERSITY NAGOYA 464-8601, JAPAN 464-8601 名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院国際開発研究科 O Discussion Paper No.188 ミドルクラス出現による消費パタ-ン変化と産業構造変化 -日本の経験と中国の事例研究- 長田 博 March 2012

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Graduate School

of

International Development

NAGOYA UNIVERSITY

NAGOYA 464-8601, JAPAN

〒464-8601 名古屋市千種区不老町

名古屋大学大学院国際開発研究科

O

Discussion Paper No.188

ミドルクラス出現による消費パタ-ン変化と産業構造変化 -日本の経験と中国の事例研究-

長田 博

March 2012

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ミドルクラス出現による消費パタ-ン変化と産業構造変化

-日本の経験と中国の事例研究-

名 古屋 大 学 大学 院 国 際開 発 研 究科

長 田 博

1. は じ め に

ア ジア 諸 国 の経 済 発 展と と も に、 多 く の国 で 中 間所 得 層 (以 下 、 ミド ル ク ラス

あ るい は 中 間層 ) が 出現 し 、 経済 ・ 社 会・ 政 治 など に 多 面的 な 影 響を 持 ち 始め て

い る。 中 で も、 人 口 が大 き な 中国 や イ ンド で の ミド ル ク ラス 人 口 の拡 大 は 、新 た

な 消費 市 場 の形 成 を もた ら す と考 え ら れ、 ビ ジ ネス チ ャ ンス と し て注 目 さ れて い

る 。日 本 の 通商 白 書 にお い て も、 こ の こと は 重 要な 課 題 とし て 取 り上 げ ら れて い

る。2009 年 版の 第 2 章 では 、世 帯可 処 分 所得 5001 ド ル 以 上、35000 ド ル以 下 を 中

間 層と み な し、 ア ジ ア諸 国 に おけ る 中 間層 家 計 に所 属 す る人 口 が 1990 年 の 1.4

億 人か ら 2008 年 に は 8.8 億 人 と急 増 し たこ と が 指摘 さ れ 、そ のう ち 中国 と イ ンド

に つい て は 中間 層 の 出現 と 共 に購 入 が 増加 す る 商品 に つ いて 、 商 品の 原 産 国と 所

得 別購 入 分 布が 示 さ れて い る (経 済 産 業省 2009: 176-181)。

こ のア ジ ア の中 間 層 の出 現 に 関し て 、 近年 、 多 くの 研 究 が始 ま っ てい る 。

ジ ェト ロ に よる 2 冊 の出 版 物 (高 橋 2010、 大 木 2011) も アジ ア に おけ る 富 裕

層 の出 現 や それ に 続 く中 間 層 の出 現 が 生む 新 た な消 費 市 場や 、 低 所得 層 の 所得 向

上 によ る Bo P ( B a se o f P y r a mi d )市 場 につ い て、 新 た なビ ジ ネ スチ ャ ン スで あ る と

い う観 点 か ら詳 細 な 国別 分 析 情報 を 提 供し て い る。 し か し、 新 た な消 費 市 場の 先

行 きを 展 望 する 際 に 重要 な の は中 間 層 の規 模 の 把握 で あ る。 こ の 観点 か ら 、中 間

層 の定 義 、 中間 層 の 規模 の モ デル 推 計 に始 ま り 、消 費 市 場の 将 来 予測 を お こな っ

た のが McKin s ey G lo ba l I n s t i t u t e (2 006 , 20 07 )で ある 。 いず れ も 大部 の 文 献で あ る

が 、 2006 年 が中 国 、 2007 年 が イン ド に つい て の 分析 で あ る。 み ず ほ総 合 研 究所

( 2010) は ASEAN 市 場に つ い ての 分 析 であ る が 、中 間 層 の規 模 に つい て は

E u r o mi n o t o r I n t e rn a t i o n a l 社 に よ るデ ー タ ベー ス Wo r l d I n c o m e D i s t r i b u t i o n に依 拠

し てい る 。 Deu t sc h e Ba nk R e s ea r ch (2 00 9 )は 中 間 層 の規 模 に つい て は Wo r ld

Bank (200 6 )に 依 拠し つ つ、 消 費 市場 だ け では な く 中間 層 の 出現 が も たら す 多 面的

な 影響 に つ いて コ メ ント し て いる 。こ の ほか 、ア ジ ア各 国 に おけ る 都 市化 現 象( メ

ガ リー ジ ョ ンの 出 現 )の 過 程 の中 で 中 間層 の 出 現と そ の 経済 的 影 響を 論 じ たも の

に 大泉 ( 2011) が あ る 。

中 間層 の 規 模の 推 計 は色 々 あ るが 、 貧 困や 所 得 不平 等 の 状況 の 把 握の た め にな

さ れて い る 家計 所 得 の階 層 分 析か ら の アプ ロ ー チに よ る 推計 の 方 が本 格 的 であ る 。

Wo r l d Ba n k ( 200 6 )は 84 カ 国 の 家計 調 査 デー タ を 駆使 し た モデ ル 分 析で 2000 年 に

は 世界 人 口の 7.6% をし め た 中間 層 1が 、 2030 年 には 16.1%に な る と推 計 し てい

1 39 14 ド ル (2 000 年 の ブラ ジ ル の平 均 所 得 )か ら 16 746 ド ル (2 000 年 のイ タ リ ア の

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る。 O E C D 開 発セ ン ター の Kha r a s (2 0 10 )は、ミ ド ルク ラ ス を一 日 の 所得 が PPP レ

ー トで 10 ド ルか ら 100 ドル と 定義 し 、世界 145 か 国の 家 計 調査 デ ー タを 使 用 した

所 得パ タ ー ンの 分 布 形推 計 と GDP の 将 来予 測 を 組み 合 わ せて 、 2040 年ま で の中

間 層比 率 を 予測 し た 。こ れ に よ れば 、2040 年 に は 世 界人 口 の 40% が 中 間層 と な る。

Asian Dev e lo p men t Bank (2 01 0 )も 、「 R i s e o f A s i a ’s M id d l e C la s s (ア ジ ア中 間 層 の

台 頭 )」と い う章 を 設 けて 、 2008 年に は 19 億 人 (ア ジ ア の 人 口の 56% )が 中 間 層

に なっ た と して い る 。た だ し 、こ こ で の中 間 層 の所 得 範 囲は 低 く 、 1 日 の 所得 2

ド ル以 上 20 ド ル 以 下 ( 20 05 年 PPP 基 準 )と 定 義 され て い る。

以 上の よ う に、 ア ジ アの 途 上 国に 関 す る多 く の 既存 研 究 は、 中 間 層の 定 義 、規

模 の予 測 、 そし て 消 費市 場 へ の影 響 に 留ま っ て いる も の が多 い 。 本稿 の 目 的は 、

そ れが 生 産 構造 に ど のよ う な 影響 を あ たえ 、 一 国の 経 済 発展 パ タ ーン を ど う変 化

さ せて い く かに ま で 考察 を 広 げる こ と であ る 。 実証 分 析 の対 象 と して は 、 ミド ル

ク ラス の 出 現が 最 も 顕著 な 中 国を 取 り 上げ る 。 そし て 、 その こ と が、 か つ て日 本

で そう で あ った よ う に、 中 国 の成 長 構 造を 外 需 主導 型 か ら内 ・ 外 需両 輪 の 主導 型

へ と転 換 し てゆ く 可 能性 に つ いて 検 討 する 。 な お、 中 間 層の 出 現 は社 会 構 造や 政

治 構造 に 影 響を も た らし 、さ ら にそ れ が 経済 構 造 に影 響 す ると い う 側面 も あ るが 、

こ の点 は 本 稿の 分 析 範囲 を 超 える 2。ま た 、ミ ド ルク ラ ス の定 義 の とこ ろ で 詳し く

述 べる が 、 本稿 で の ミド ル ク ラス は 、 いわ ゆ る 都市 型 ミ ドル ク ラ スを イ メ ージ し

て おり 、 ADB(2 01 0 )の よう に Bo P 市 場 と 関連 し た 低所 得 層 は含 ま な い。

以 下、 第 2 節 では 、 ミド ル ク ラス の 出 現が も た らす 消 費 構造 、 ひ いて は 生 産構

造 の変 化 を 知る た め には ど の よう な 現 象に 着 目 すべ き か につ い て およ そ の 見当 を

つ ける た め に、1960 年 代の 日 本経 済 の 事例 を 検 討す る 。第 3 節 で は、時 代 は変 わ

っ てグ ロ ー バリ ゼ ー ショ ン 下 の現 代 中 国で の ミ ドル ク ラ スの 出 現 がど の よ うな 経

済 現象 あ る いは 社 会 現象 な っ て現 れ て いる の か 概観 す る 。第 4 節 では 、 ミ ドル ク

ラ スに 関 す る諸 定 義 を比 較 検 討し 、 中 国経 済 の 変化 を 適 切に と ら える た め の定 義

を 提案 す る 。続 い て 、中 間 層 に属 す 人 口規 模 に つい て 簡 単な 推 計 をす る 。第 5 節

で は、 中 間 層の 出 現 がも た ら す消 費 パ ター ン の 変化 が 、 いか に 生 産構 造 を 変化 さ

せ るか さ ら に輸 入 構 造に ど う いう 影 響 を与 え る かに つ いて 2007 年 投入 産 出 表を

使 用し て 数 量分 析 す る。 こ れ によ っ て 、中 国 経 済が 外 需 依存 型 発 展か ら 内 需依 存

比 率を 高 め た内 外 需 両輪 型 の 経済 発 展 パタ ー ン に移 行 で きる か ど うか に つ いて 一

定 の示 唆 を 得た い 。

2 . 1 9 6 0 年 代 の 日 本 の 事 例 - ミ ド ル ク ラ ス 出 現 の 実 態 と 成 長 構 造 へ の 影 響 の

プ ロ ト タ イ プ と し て -

ミ ド ル ク ラス の 出 現は 、 ど のよ う な 典型 的 な 現象 と し て現 れ る であ ろ う か。 中

平 均所 得 ) まで を 中 間層 と し て定 義 し てい る 。 2 000 年 PPP 換 算 。 2中 国と イ ン ドを 対 象 にし た 社 会 ・政 治 的 な影 響 の 研修 に は Ja f f r e lo t an d van d e r Ve e r ( 20 08 )が ある 。 よ り広 い ア ジア に つ いて の 分 析と し て は、 や や 古い が 服 部・

船 津・ 鳥 居 (2 00 2 )が 参考 に な る。

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国 を含 む ア ジア 諸 国 にお い て は経 済 的 離陸 (テ イ クオ フ )と もい え る 高度 成 長 期に

ミ ドル ク ラ スが 出 現 して い る 。テ イ ク オフ 時 に は年 率 10%前 後 の 高い 経 済 成長 が

10 年 程 度 継 続す る 。 日本 の 1960 年 代 も 同様 で あ った 。 さ らに 、 日 本の 場 合 は、

人 々の 意 識 にお い て も「 一 億 総中 産 階 級化 」 と いう 表 現 が当 時 頻 繁に 使 わ れた こ

と が示 す よ うに 、 社 会経 済 構 造の 変 化 は明 瞭 で あっ た 。 その 意 味 で、 典 型 例と し

て 日本 の 事 例を 簡 単 にレ ビ ュ ーし て お くこ と は 、中 国 の 事例 を 分 析す る 上 で一 定

の 比較 基 準 とし て 参 考に な る 3。

ミ ドル ク ラ ス出 現 の 核心 は 、 単に 所 得 が中 位 に ある 人 口 比率 の 増 加で は な く、

新 たな 価 値 観を 持 ち 、新た な 消 費行 動 を する 人 た ちの 出 現 であ る 。日 本で は 、1964

年 のオ リ ン ピッ ク 開 催や 新 幹 線開 通 な どの 象 徴 的イ ベ ン トを 通 じ て、 人 々 は日 本

経 済の 先 進 国入 り が 近い こ と を実 感 し 、自 分 た ちの 生 活 にも 将 来 展望 が 開 けは じ

め たこ と を 感じ た 。ま た 、「 人 並み 」意 識は ミ ド ルク ラ ス の典 型 的 な消 費 様 式の 形

成 に貢 献 し た。

表 1は 、 1960 年代 10 年 間の 主 要な 社 会 経済 変 化 を示 し た もの で あ る。 1 人 あ

た り名 目 所 得( 米 ド ル表 示 )は 、ま さ に 貧困 な 472 ドル か ら、中 所 得国 な みの 1947

ド ルへ と 増 加し た 。 円ベ ー ス の実 質 所 得で は 2.3 倍で あ る。 1960 年 代の 10 年 間

に 、月 額 給 与も 大 幅 に増 加 し た。 一 般 男性 の 場 合は 22000 円か ら 68400 円 へ、 一

般 女性 の 場 合は 9900 円 か ら 35200 円 へ 増加 し た 。な お 、 消費 者 物 価水 準 で 見た

10 年 間 の イ ンフ レ 率は 75% で あっ た 。重 要 な こ とは 、賃 金増 は 労 働時 間 増 では な

く 生産 性 の 増加 に よ って も た らさ れ た とい う こ とで あ る 。製 造 業 常用 雇 用 労働 者

月 間労 働 時 間数 は 、こ の 10 年 間で 、コ ンス タ ン トに 207 時 間か ら 187 時 間 へ減 少

し た。 学 歴 によ る 賃 金格 差 と 所得 増 に よる 教 育 費負 担 能 力の 拡 大 は、 大 学 進学 率

を 8% か ら 17 % に 増加 さ せ た。 ま た 、こ の 時 期に 農 村 から 工 業 化が 進 む 都市 へ

の 労働 移 動 が進 み 、 核家 族 や 単身 世 帯 が増 加 し た。 こ れ も消 費 パ ター ン と 住宅 事

情 に影 響 を 与え た 。 都市 の 住 宅需 要 は 主に 団 地 (共 同 住 宅) の 建 設で ま か なわ れ

た。建 て 方 別の 統 計 によ れ ば、一 戸 建 てが 10 年 間で 1467 万 戸 か ら 1862 万 戸 へ増

加 した の に 対し 、 共 同住 宅 は 254 万 戸 から 645 万 戸へ と 顕著 な 伸 びを 示 し た。

い わゆ る 白 物家 電 や テレ ビ な ど耐 久 消 費財 の 普 及も 進 ん だ。表 1 は 1960 年 か ら

デ ータ が 利 用可 能 な 非農 家 世 帯に お け る普 及 状 況を 示 し てい る 。 農家 世 帯 も含 ん

だ 全世 帯 の デー タ は 1964 年 か ら利 用 可 能で あ る が 、その 数 値は 表 1 の 数値 よ りや

や 低い 程 度 であ り 、 耐久 消 費 財の 普 及 の程 度 は 農家 世 帯 と非 農 家 世帯 で は 大き な

差 はな か っ たこ と が わか る 。 たと え ば 、全 世 帯の 1970 年 の白 黒 テ レビ 普 及 率は

90.2% 、冷 蔵庫 は 89.1% 、洗 濯機 は 91%で あ っ た。表 1 に 掲げ た もの の 他、石 油

ス トー ブ 、 扇風 機 、 掃除 機 な ども こ の 時期 に 普 及し た 。

1960 年 代 に なっ て 初 めて 購 入 が始 ま っ たの は 小 型乗 用 車 であ る 。ス バ ル 360 や

マ ツダ の フ ァミ リ ア に代 表 さ れる 低 排 気量 の 超 小型 車 の 開発 が 、 少し 豊 か なミ ド

3第 2 節 の 統 計デ ー タ は、い ち いち 断 ら ない が す べて 総 務 省統 計 局( 2006)に 依 拠

し てい る 。

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ル クラ ス 世 帯に 乗 用 車の 購 入 を可 能 に させ た 。1970 年 に は 22% の 世 帯が 自 家 用車

を 所有 す る よう に な った 。

消 費パ タ ー ンの 変 化 は、 上 記 の耐 久 消 費財 の 購 入増 加 だ けで は な く、 エ ン ゲル

係 数の 低 下 やサ ー ビ ス需 要 の 増加 と な って 現 れ た。1963 年 から 利 用可 能 な 勤労 者

世 帯の 家 計 消費 支 出 の内 訳 を 見る と 、 食料 費 は 36.6% から 1970 年 には 32.2%へ

と 低下 し 、特 に 穀 類は 9.0% から 5.3% へ と 顕 著 な低 下 を 示し た 。他 方 、交 通 通信

費が 3.2% から 5.5% へ と 、 教 養娯 楽 が 7.3% から 9.2% へと 増 加 した 。

次 にミ ド ル クラ ス の 出現 に よ り消 費 パ ター ン が 1960 年 代 にど の よ うに 変 化 し

た か、 同 時 期に 日 本 経済 の 生 産構 造 が どの よ う に変 化 し たか を 産 業連 関 表 デー タ

に 依拠 し て 概観 す る 。な お 、 本節 で 見 る生 産 構 造の 変 化 は諸 々 の 要因 の 結 果で 、

消 費パ タ ー ンの 変 化 の影 響 の みを 抽 出 した も の では な い 。こ こ で 使用 し た のは 、

行 政管 理 庁 他共 同 編 集( 1975)『接 続 産 業連 関 表 昭和 35- 40- 45 年 』の 1960 年

と 1970 年 の 統一 分 類 によ る 名 目表 で あ る。実 質 表も 利 用 可能 で あ るが 、あ えて 名

目 表を 使 用 した 。 そ の理 由 は 、第 1 に それ ぞ れ の年 に つ いて の 変 数間 の 比 率を 主

に 見る こ と 、第 2 に 相対 価 格 の変 化 が 激し く 、 品目 構 成 や品 質 に も大 き な 変化 が

あ った 消 費 パタ ー ン の変 化 を 観察 す る 場合 、 各 品目 の 実 質数 量 よ りも 名 目 の価 額

の 方が 消 費 者効 用 を より 正 し く反 映 し てい る と 考え た た めで あ る 。部 門 分 類は 5 9

部 門を こ こ での 分 析 用に 3 5 部 門に 統 合 した が 、ミ ドル ク ラ スの 消 費 パタ ー ン で重

要 な民 生 用 電気 機 械 、自 動 車 、新 築 住 宅に つ い ては 1 5 9 部 門分 類 の情 報 を 使用 し

た 4。

表 2に よ っ て消 費 パ ター ン の 変化 を 見 る。 食 生 活の 近 代 化に よ っ て肉 ・ 酪 農品

4 分 析用 3 5 部 門分 類 と接 続 表 部門 分 類 との コ ン バー タ ー は付 表 1 に示 し た 。

表1.日本のミドルクラスno出現と社会経済構造の変化

1960 1970

一人あたり所得(米ドル) 472 1947

賃金(男・月額・千円) 22.0 68.4

大学進学率(%) 8.2 17.1

核家族世帯比率(%) 53.0 56.7

単身世帯比率(%) 16.1 20.3

非農家家計の普及率(%)

 電気冷蔵庫 10.1 90.8

 電気洗たく機 40.6 91.6

 電気掃除機 7.7 73.8

扇風機 34.4 85.5 白黒テレビ 44.7 89.8 乗用車(*は1961年) 2.8* 22.0

オートバイ・スクーター 9.6 20.4

共同住宅数は1963-1973に、2.54倍に。

資料)総務省統計局(2006)

6大都市土地価格は、6.06倍(消費者物価は1.74倍)

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の 消費 は 増 加し た が 、そ れ 以 外の 食 品 への 支 出 割合 は 大 きく 低 下 した 。 他 方、 支

出 比率 が 増 加し た の は家 電 、 自動 車 、 娯楽 サ ー ビス 、 飲 食店 、 不 動産 関 連 など で

あ る。 す な わち 、 ミ ドル ク ラ ス増 大 に よる エ ン ゲル 係 数 の上 昇 、 ミド ル ク ラス 型

消 費の 拡 大 、住 宅 建 設ブ ー ム が起 き て いる こ と が確 認 で きる 。

表2 1960年代日本における消費パターンと産業構造の変化 (%)

民間消費額増加率

国内生産額増加率

分析用分類 1960 1970 1960 1970 1960 1970 1960 19701970/1960

1970/1960

01 農業 2.6 2.9 4.3 2.2 0.5 1.3 19.7 21.8 483 219

02 畜産 1.4 0.6 1.1 0.9 0.6 0.1 18.9 8.3 185 343

03 林業 0.6 0.1 1.9 0.7 0.4 0.5 8.2 32.2 80 150

04 漁業 1.6 1.1 0.9 0.6 12.1 3.4 1.4 4.9 277 270

05 鉱業 0.1 0.0 1.0 0.6 0.2 0.5 51.0 70.4 37 252

06 肉・酪農品 2.2 2.7 0.7 0.8 1.1 0.3 10.5 9.0 520 455

07 その他食品 20.8 10.4 6.6 3.6 2.1 2.3 4.9 6.2 215 232

08 飲料・たばこ 6.6 4.5 2.1 1.5 0.3 0.2 0.5 1.3 294 301

09 衣服など 2.8 2.9 1.0 1.1 15.8 7.2 0.7 1.6 448 434

10 その他繊維製品 5.0 3.4 5.1 2.7 16.2 11.9 1.1 3.7 290 226

11 木・皮革・ゴム加工 2.1 2.0 5.6 5.5 4.5 3.0 1.1 2.7 414 413

12 化学 1.4 1.6 4.1 3.8 3.9 8.5 8.0 7.3 498 386

13 石油・石炭製品 0.4 0.9 1.7 1.9 0.9 1.5 10.8 8.6 988 454

14 窯業土石製品 -0.2 0.1 1.4 1.7 9.0 4.7 1.2 0.8 - 505

15 金属 0.2 0.7 10.0 10.5 5.3 7.8 5.2 4.0 1676 441

16 一般機械 0.5 0.4 4.1 5.1 5.0 8.4 6.4 4.7 321 532

17 家電 1.9 2.1 1.1 1.5 16.3 24.6 0.5 1.2 459 582

18 電気機械(家電除く) 0.0 0.0 3.5 3.2 2.4 6.3 1.2 4.9 606 387

19 自動車 0.1 0.6 1.3 2.7 7.4 11.7 1.3 1.0 2565 885

20 輸送機械(自動車除く) 0.9 0.9 2.4 2.0 14.4 23.0 2.7 5.6 395 349

21 精密機械 0.5 0.7 0.6 0.7 17.4 21.9 8.2 12.3 591 512

22 その他製造業 0.9 1.3 0.9 1.4 26.3 11.6 1.4 5.0 627 612

23 住宅新建築 0.0 0.0 1.7 0.3 0.0 0.0 0.0 0.0 - 78

24 建築(住宅除く) 0.0 0.0 3.0 6.3 0.0 0.0 0.0 0.0 - 879

25 土木 0.0 0.0 3.6 3.4 0.0 0.0 0.0 0.0 - 404

26 電気・ガス・水道 2.0 1.8 1.7 1.6 0.1 0.0 0.1 0.0 385 396

27 商業 13.3 15.4 6.7 8.8 2.4 3.1 0.5 0.9 496 555

28 金融・保険 3.6 4.5 2.3 3.0 0.3 0.3 0.0 0.4 535 568

29 不動産業 9.2 12.1 2.2 3.0 0.0 0.0 0.0 0.0 566 582

30 運輸・通信 5.5 6.3 4.7 4.6 13.5 15.4 3.6 6.0 485 411

31 公共サービス 5.9 7.7 3.1 3.4 0.1 0.0 0.1 0.0 565 466

32 娯楽サービス 2.6 3.5 0.9 1.4 0.3 0.4 0.5 1.0 565 634

33 飲食店 3.4 4.2 1.2 0.2 0.0 5.5 0.0 0.0 521 58

34 その他サービス 4.5 4.7 2.2 4.2 0.2 0.2 0.5 1.0 448 800

35 その他 -2.4 0.0 5.5 4.4 1.1 2.3 1.9 3.1 4 340

68 内生部門計 100 100 100 100 4.5 5.2 4.9 5.1 428 422

資料)行政管理庁他共同編集(1975)『接続産業連関表 昭和35-40-45年』から筆者計算。

注)1960年の民間消費支出パターンで「14 窯業土石製品」の数値がマイナスとなっているが

  これは、屑・副産物のマイナス投入による。このため、民間消費額増加率は計算していない。

内需に対する輸入比率

民間消費支出のパターン

国内生産パターン

国内生産に対する輸出比率

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ミ ドル ク ラ スの 出 現 は国 内 最 終需 要 変 化の 大 き な一 要 素 であ り 、 輸出 増 加 など

の 要因 と あ いま っ て 、生 産 構 造に ど の よう な 変 化を も た らし た の であ ろ う か。 表

2 によ れ ば 、生 産 パ ター ン の 変化 は 消 費パ タ ー ンの 変 化 に類 似 し てい る こ とが わ

か る。 さ ら に、 消 費 比率 の 増 加が 生 産 比率 を 増 加さ せ た よう な 製 造業 部 門 にお い

て は、 国 産 に対 す る 輸出 比 率 も一 層 顕 著に 増 大 して い る こと が わ かる 。 国 内生 産

額 は名 目 で 4.22 倍 に なり 、 国 産に 対 す る輸 出 比 率は 4.5% から 5.2%へ と 増 加し

て いる 。こ の増 加 は、内 需 に 対す る 輸 入比 率 の 増加( 4.9%か ら 5.1%)よ り も大

き い。 輸 入 の増 加 が 顕著 な の は原 材 料 、精 密 機 械、 自 動 車を 除 く 輸送 用 機 械な ど

で あり 、 生 産拡 大 の ため の 原 材料 輸 入 と国 内 で 生産 で き ない 資 本 財輸 入 で ある 。

民 間消 費 の 増加 率 と 国内 生 産 の増 加 率 を各 部 門 につ い て 比較 す る と、 輸 入 に関 す

る 産業 特 性 が異 な る ため 、必 ず しも 両 者 に安 定 的 な正 の 相 関が あ る とは い え ない 。

た だ、民 間 消費 額 合 計の 増 加 率は 428% 、国 内 生 産額 合 計 の増 加 率は 422% と比 較

的 近い 数 字 とな っ て いる 。 こ こで の 分 析は 因 果 関係 に 関 する も の では な い が、 大

多 数の 国 民 がミ ド ル クラ ス と なっ た 1960 年 代 日 本経 済 は、内・外 需 両輪 型 の 成長

構 造を 実 現 した 。 こ のこ と は 、ミ ド ル クラ ス の 出現 と そ の規 模 次 第で は 、 中国 に

お いて も 内 需拡 大 に よる 成 長 への 貢 献 が輸 出 と 同時 に 成 長の 牽 引 車と な る 可能 性

を 示し て い る。

3. 中 国 に お け る ミ ド ル ク ラ ス 化 現 象

高 度 成 長 によ る 所 得増 大 は 2000 年 以 後ミ ド ル クラ ス を 徐々 に 増 大さ せ た が、新

た な消 費 文 化を 持 つ 新ミ ド ル クラ ス が 都市 部 に おい て 顕 著に 見 ら れる よ う にな っ

た のは 2005 年 頃 か ら であ る 。2008 年 の オリ ン ピ ック や 2010 年 の 万 博で 北 京 と上

海 のイ ン フ ラも 整 備 され 、 街 の外 観 も 随分 と 綺 麗に な っ た。 特 に 道路 網 や 地下 鉄

の 整備 と 近 郊へ の 延 伸は 、 郊 外団 地 か ら都 市 中 心部 に 通 勤す る と いう 新 ミ ドル ク

ラ ス的 生 活 を可 能 に した 。

筆 者は 2010 年 10- 11 月 と 2011 年 3 月 に 短期 間 で ある が 、北 京と 上 海 にお い て

ミ ドル ク ラ スの 生 活 圏を 観 察 し、 ミ ド ルク ラ ス と考 え ら れる 人 た ちや そ の 予備 軍

で ある 大 学 生な ど か ら簡 単 な ヒア リ ン グを 行 っ た。 そ こ から 、 イ メー ジ さ れる 典

型 的な 新 ミ ドル ク ラ スは 、 学 歴が 大 卒 以上 で 共 働き で あ り、 郊 外 の団 地 に 住み 、

週 末に は ス ーパ ー で 買い 物 を し、 コ ン ビニ に し ばし ば 立 ち寄 る 人 たち で あ る。 住

宅 には 家 電 が完 備 さ れて お り 、子 供 が 生ま れ る 頃に は 小 型乗 用 車 を持 つ よ うに な

り 、子 供 の 塾通 い の 送迎 な ど に忙 し い 毎日 を 送 って い る 。こ の よ うな 高 学 歴の 勤

労 者層 は 新 ミド ル ク ラス の 核 とし て こ れか ら さ らに 拡 大 する 。 こ のほ か 、 個人 業

主 など 起 業 によ る 高 所得 者 層 もミ ド ル クラ ス あ るい は そ れよ り 所 得が 高 い ニュ

ー ・リ ッ チ を構 成 す る。

表 3 は 、 ミ ドル ク ラ スに ま つ わる 社 会 経済 指 標の 2000 年 から 2009 年 へ の 変 化

を 示し た も ので あ る 。一 部 の 変数 に つ いて は 2010 年 の デ ータ が 利 用可 能 で ある 。

1 人あ た り GDP は 名 目で 946 ド ルか ら 2010 年 には 3734 ド ルへ 、2000 年基 準 の実

質 元で は 2.71 倍 と な った 。 実 質経 済 成 長率 も 、 2001 年 が 8.3% 、 2002 年 、 2008

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年、2009 年 が9 % 台 であ っ た が、そ れ 以外 の 年は 10% を 超え て お り、ま さ に高 度

成 長期 で あ る。 た だ し、 広 大 な中 国 で は地 域 所 得格 差 が 大き く 、 それ ぞ れ の地 域

の ミド ル ク ラス の 比 率も 異 な る 。別途 計 算し た 2009 年 の 省 別1 人 あ たり 所 得 額お

よ び省 別 一 人あ た り 民間 消 費 額(括 弧 内 )に よ ると 5、上 海市 が 11468 ド ル( 4923

ド ル)、 北 京 市が 10139 ドル ( 3188 ド ル)、 天 津 市が 8767 ド ル( 2181 ド ル) で あ

り 、これ ら 都市 で は 多く の 住 民が 一 般 に言 う ミ ドル ク ラ ス 6であ る 。今後 そ の よ う

に なっ て ゆ くの が 上 海に 近 接 する 浙 江 省、江 蘇 省、そ し て広 東 省 で、所 得は 6000

ド ル台 と な って い る 。こ れ らに 5000 ド ル台 で 続 くの が 山 東省 、 内 蒙古 、 遼 寧省 、

福 建省 で あ る。 そ の ほか の 地 域の ミ ド ルク ラ ス 化は 相 当 先の こ と であ る 。

都 市賃 金 は 当然 の こ とで あ る が国 全 体 の1 人 あ たり 所 得 水準 よ り 高く 推 移 して

い る。 特 に 最近 は 都 市部 の 工 場労 働 者 のス ト ラ イキ な ど を契 機 に 、都 市 労 働者 の

賃 金が 上 昇 し始 め た。『 通 商 白書 2011』( 経 済 産 業省 2011:41- 42)に よれ ば 、都

市 労働 市 場 が変 化 し 始め て い る。80 年 代以 後 生 まれ の 教 育水 準 が 高い 農 民 工の 出

現 、法 定 最 低賃 金 の 引き 上 げ 、有 効 求 人倍 率 の 上昇 、 国 全体 の 求 人倍 率 が 2010

年第 1 四 半 期に 1 を 超え る な どの 現 象 がお き て いる 。 今 や、 中 国 は労 働 市 場の 転

換 点に 近 づ きつ つ あ り 、特に 都 市部 に お いて そ の 影響 が 大 きく 出 る とす る な らば 、

都 市部 の ミ ドル ク ラ ス化 が 一 層進 展 す るも の と 思わ れ る 。

都 市近 郊 の 地下 鉄 沿 線で の 大 規模 住 宅 団地 建 設 も進 ん で いる 。 不 動産 バ ブ ルと

も 言う べ き 価格 急 上 昇に よ り 実需 を 大 きく 上 回 る投 機 的 資金 が 流 入し 2010 年 に

か けて 価 格 が急 上 昇 した が 、 ここ に 来 て実 需 以 外を 規 制 する 政 府 の施 策 と 経済 の

減 速に よ り 、価 格 は 下落 し た 。し か し 、こ の よ うに 変 動 しつ つ も 住宅 床 面 積の 竣

工 分の 増 加 率は 2005 年 以 後 増 加率 を 高 めて い る 7。

ミ ドル ク ラ スの 出 現 とと も に 小売 業 形 態も 大 き く変 化 し てい る 。 スー パ ー マー

ケ ット と コ ンビ ニ 、そ のほ か 家 電量 販 店 など の 普 及で あ る。『 中国 統 計年 鑑 』で は、

小 売業 に つ いて は 形 態別 に コ ンビ ニ 、ス ー パ ー、百 貨 店、特 定 ス トア 8等 の 統計 が

2002 年 か ら 利用 可 能 であ る が 、2007 年 から 分 類 が詳 細 に なり 小 売 り業 態 に 変化 が

現 れた こ と を裏 付 け てい る 9。 2007 年 か らの 分 類 では 、 コ ンビ ニ と スー パ ー は、

コ ンビ ニ 、デ ィ ス カ ウン ト ス トア 、ス ーパ ー マ ーケ ッ ト、ハ イ パ ーマ ー ケ ット 10、

倉 庫ク ラ ブ 、な ど 一 層詳 細 に 区分 さ れ てい る 。表 3 の 数 値は ス ー パー マ ー ケッ ト

と ハイ パ ー マー ケ ッ トの 合 計 値で あ る 。現 在 で は、 上 海 にお い て も北 京 に おい て

5 『 中 国 統 計 年鑑 』か ら筆 者 計 算 。な お 、本節 の 統計 デ ー タは 断 り のな い 限 り『 中

国 統計 年 鑑 』各 年 版 に依 拠 し てい る 。 6 ミ ド ル ク ラ スの 所 得 定義 に つ いて は 次 節で 検 討 する 。 7 20 04 年 ま では 5% 以下 。 2 005 年 16 .2% 、 2 00 6 年 - 4 .7% 、 20 07 年 9 .2% 、 200 8年 10 .4% 、 2 009 年 8 .1% 。 8 ガ ソ リ ン ス タン ド な ど特 定 商 品に 特 化 した 小 売 業。 9 旧 分 類 に よる 200 7 年 のデ ー タ と新 分 類 によ る 2007 年 の デ ータ の 間 には 整 合 性

が 見ら れ な いの で 、表 3 に お いて 2 0 05 年 と 2 0 09 年 へ の 変 化は 厳 密 には 比 較 でき

な い。 1 0 OE C D 基 準 では 売 り 場面 積 が 50 00 ㎡ 以 上が ハ イ パー マ ー ケッ ト 。 ただ し 、 中

国 では 1 0 000 ㎡以 上 と定 義 さ れて い る 。 (Chen , Sheph e rd , an d da S i l va 200 5 : p .6 )

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も 、あち こ ち の街 角 に コン ビ ニ 11が見 ら れ 、スー パ ー やハ イ パ ーで 日 常 品を 買 い 、

高 級品 は 総 合百 貨 店 かシ ョ ッ ピン グ モ ール で と いう よ う に、 日 本 と変 わ ら ない 光

景 が見 ら れ る 。こ の よ うな 業 態 の普 及 は 、外資 の 参 入も 大 き く関 係 し てい る 。1990

年 代は 、 試 験的 輸 入 期で あ っ たが 、 W TO 加 盟 後し ば ら くし た 2004 年 12 月 以後

は 外資 完 全 自由 化 期 とな り 、 名だ た る 海外 の ス ーパ ー や コン ビ ニ が店 舗 数 の拡 大

を おこ な っ た( 矢 作 ・関 根 ・ 鍾・ 畢 2009: 45-75)。 こ の よ うに 2005 年 以 後 は 、

ミ ドル ク ラ スの 拡 大 と共 に 外 資系 ・ 内 資系 を 含 めて ミ ド ルク ラ ス を顧 客 層 とす る

チ ェイ ン ス トア の 展 開が 本 格 化し た 。

都 市部 で は 耐久 消 費 財と し て の家 電 製 品も ほ ぼ 行き 渡 っ てい る 。 表3 に 例 示し

た よう に 、洗 濯 機 、冷 蔵 庫 、カ ラ ー T V、エ ア コン の 2009 年 に お ける 各 家 庭へ の

普 及率 は ほぼ 100% かそ れ 以 上で あ り 、ミ ド ル クラ ス に ふさ わ し い耐 久 消 費財 購

入 パタ ー ン が観 察 さ れる 。 こ れに 対 し て農 村 部 では カ ラ ーT V 以 外の 普 及 率は ま

だ 低い 。こ れを 受 け て 、政 府は 2009 年 2 月 に「 家 電下 郷 」政策 を 導入 し 、農 村 戸

籍 の家 電( 品目 と 上 限金 額 は 順次 拡 大 )購 入 者に 13% の 補助 を 与 えた( 経 済産 業

省 2010: 84、 2011:38)。 ま た 。「 以 旧 換 新 」政 策 に より 、 表 3 に リ ス トさ れ た 家

電 買い 換 えに 10% の 補助 を 与 えた 。 こ の結 果 こ れら 家 電 の売 り 上 げは 2009 年 7

1 1 中 国 の コ ン ビニ は 、ま ず 特 定 都市 で 展 開が 開 始 され る 。上 海 で は「 可 的」、「良

友」、「喜 子 多 」と 並 んで 日 系 の「全 家( ファ ミ リー マ ー ト)」、「 7 - e l e v e n」、「 羅

森( ロ ー ソ ン)」な ど が見 ら れ る。チ ェ イン ス ト ア全 体 に つい て は 中国 連 鎖 経営 協

会 編『 中 国 連鎖 経 営 年鑑 』 が 詳し い 。 これ に よ れば 、 ス ーパ ー 、 コン ビ ニ とも 外

資 系の 大 手 が本 格 的 に参 入 し てい る こ とが よ く わか る 。

表3. 中国のミドルクラス出現と社会経済構造の変化

2000 2005 2009

一人あたり所得(米ドル) 946 1726 3734

都市賃金(元、年額) 9333 18200 32244

都市賃金(ドル、年額) 1127 2221 4720

CPI (2000=100) 100 106 118

住宅床面積(竣工分、1万平米) 54860 66142 82102

コンビニ店舗数 3324* 10043 15779

スーパー(ハイパー含む)店舗数 10281* 18924 35717

小型自家用車新規登録台数(万台) 149* 371 979

洗濯機(都市家計=U) 91 96 96

洗濯機(農村家計=R) 29 40 53

 冷蔵庫 U 80 91 95

 冷蔵庫 R 12 20 37

 カラーTV U 117 135 136

 カラーTV R 49 84 109

 エアコン U 31 81 107

 エアコン R 1 6 12

 PC U 10 42 66

 PC R 0 2 7

注)*は2002年データ

資料)中華人民共和国国家統計局、『中国統計年鑑』各年版。

耐久消費財普及率(100世帯あたり台数)

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月 以後 急 増 した 。 家 電の 普 及 率を ミ ド ルク ラ ス 化現 象 と して 捉 え る場 合 に はこ の

政 策効 果 に つい て 留 意し な け れば な ら ない 。

自 家用 車 に つい て も 、ミ ド ル クラ ス 上 位の 所 得 層と ニ ュ ー・ リ ッ チに よ る 購入

が 急拡 大 し てい る 。 大型 や 中 型自 家 用 車の 新 規 登録 台 数 はほ ぼ 横 ばい か 減 少傾 向

に ある が 、ミ ドル ク ラ ス向 け の 小型 自 家 用車 の 新 規登 録 台 数は 2005 年 の 371 万 台

から 2008 年 には 592 万 台、 2009 年に は 979 万 台 へと 急 増 して い る 。ま た 、 小型

の 下の ミ ニ クラ ス 自 家用 車 も 2008 年 の 12 万 台 から 27 万 台 へと 急 増 して い る 。こ

れ には 、 ミ ドル ク ラ スの 出 現 と共 に 交 通網 の 整 備、 安 価 な小 型 車 の供 給 、 内外 自

動 車メ ー カ ーに よ る 相次 ぐ 小 型モ デ ル の投 入 な どが 関 係 して い る 。実 際 、 都市 部

に は、 北 京 市海 淀 区 閔庄 路 12に 見ら れ る よう に 内 外自 動 車 ディ ー ラ ーが 軒 を 並べ

て いる 地 域 も増 加 し てお り 、 モー タ リ ゼー シ ョ ンの 一 般 家庭 へ の 普及 が 感 じら れ

る 。な お 、自家 用 車 につ い ても 2009 年 1 月 か ら 10 月 末 まで 1600C C以 下 の 車輌

購 入税 が 10%、2010 年 末ま では 7.5% 軽減 さ れ たと い う 政策 要 因 に留 意 し なけ れ

ば なら な い (経 済 産 業省 2010:84)。

4. 中 国 ミ ド ル ク ラ ス の 定 義 と 規 模

世 界 的 に は多 様 な ミド ル ク ラス の 定 義が あ り 、定 義 の 仕方 も 様 々で あ る 。表 4

は 中国 に つ いて の 代 表的 な 定 義を 、比 較 しや す い よう に 、期 間( 月・年)、通 貨( 元・

ド ル)、 収 入 ある い は 支出 の 単 位( 世 帯 (= 家 計)・ 1 人 ) につ い て 共通 単 位 に換

算 した も の であ る 。 ただ し 、 名目 価 格 表示 で あ るの で 、 比較 の た めに は 物 価上 昇

率 を考 慮 す る必 要 が ある が 、 ドル ベ ー スで 見 れ ばそ の 影 響は 少 な い。 月 収 を年 収

に 換算 す る 際に は 、 労働 者 の ボー ナ ス を考 慮 し て、 1 年 =1 3 ヶ 月の 換 算 率を 使

用 した 。こ の他 、GDP、家 計 所 得額 、家 計消 費 支 出額 が カ バー す る 項目 は 大 きく 異

な るの で 注 意し な け れば な ら ない 。 ま ず第 1 に 、 GDP は 、家 計 消 費支 出 額 の合 計

で ある 民 間 消費 支 出 の他 に 、 政府 消 費 支出 、 固 定資 本 形 成、 在 庫 電動 、 純 輸出 を

含 む。従 って GDP は 家計 消 費 支出 額 よ り遙 か に 大き い 。例え ば 、2009 年 で は家 計

消 費支 出 額は GDP の 35% で し かな い 。また 、厳 密に 言 え ば、所 得 額と 支 出 額と は

異 なる 。 家 計調 査 に おけ る 消 費向 け の 支出 額 は 、各 家 計 の経 済 活 動に 基 づ く所 得

額 に他 の 家 計等 か ら の所 得 の 純移 転 を 加え 、 更 に貯 蓄 分 を除 い た 部分 で あ る。 ま

た 2009 年 家 計調 査 に よれ ば 、 都市 部 家 計の 消 費 向け 支 出 は家 計 総 収入 額 の 65%

で あり 、 農 村部 で は 56% で あ る。

諸 定義 の う ち、ADB (2010) の 定 義は 、ミ ドル ク ラ スを 1 日 2 ド ル の 貧困 予 備 層

以 上 と し て お り 、 B o P (B a s e o f P y r a mi d )ビ ジ ネ ス の 分 析 に は 適 切 か も 知 れ な い が 、

こ こで 対 象 とし て い るミ ド ル クラ ス の 分析 に は 適さ な い 。政 府 統 計で あ る 『中 国

城 市(鎮 )生 活與 価 格年 鑑 』(以 下 、家 計調 査 )で は 、所 得 およ び 支 出の 10 分 位の

1 2 こ こ に は 、日 産 、VW, KIA, Roewe , Bu ick , トヨ タ など の 現 地合 弁 企 業の 車 を

販 売す る デ ィー ラ ー が軒 を 並 べて お り、201 0 年 11 月に は お客 で 混 み合 っ て いた 。

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う ち下 か ら 3 分 位 から 8 分 位 まで を ミ ドル ク ラ スと し 、 更に そ れ が低 位 ・ 中位 ・

高 位ミ ド ル クラ ス に 3 分 割 さ れて い る 13。た だ し 、こ の 統 計の 不 便 な点 は 、 それ

ぞ れの 所 得 層の 所 得 範囲 が 示 され て お らず 、 各 所得 の 平 均所 得 が 示さ れ て いる だ

け であ る 。 この た め 、表 4 に おい て も 下位 ミ ド ルク ラ ス の平 均 か ら上 位 ミ ドル ク

ラ スの 平 均 まで を ミ ドル ク ラ スの 範 囲 とせ ざ る を得 な か った 。 もう 1 点 は 、統 計

の 代表 性 の 問題 で あ る。こ の 家計 調 査 は都 市 を 対象 と し たも の で 、2009 年 の都 市

人 口は 約 6.2 億 人 で ある 。こ れ に対 し 、2009 年 の 調 査世 帯 数は 65506 世 帯 で あ り、

世 帯あ た り の平 均 人数 2.89 人 で換 算 す ると 約 19 万 人 で あ る。 つ ま り、 0.03% の

サ ンプ ル で あり 、 解 釈に お い ては 、 こ の点 に 留 意す る 必 要が あ る 。

中 国で よ く 参照 さ れ る中 国 の 研究 者 あ るい は 研 究機 関 に よる 定 義 に、 国 家 統 計

局の Ch en g Xue b in 氏 の定 義 が ある 。 2 005 年に 、 年間 所 得 60,000 元 から 500,000

元 (世 帯 収 入、 世 帯 平均 2.96 人) を 中 間層 と 定 義し た ( Tan 2 01 0 )。 1 人 あ たり

で は、 20,000-168,918 元で あ る 。社 会 科 学院 の 2004 年 の 報 告で は 、 所得 定 義 を

使 用せ ず 、 1人 あ た り資 産 が 150,000-300,000 元 ($18,100-36,200)と 定 義 され

て いる ( Wo ng 2 01 0 )。 ま た、 海 外の 研 究 機関 に よ るも の で 、中 国 に つい て ミ ドル

ク ラス を 定 義し た も のに 、 McKin s ey G lo ba l In s t i t u t e (2 007 )が あ る。 こ こで の 定 義

は 、 2000 年 の 1 人 あ た り 年 収 が 25000 元 か ら 100000 元 で あ る 。 D eu tc h e B an k

Re s ea r ch ( 200 9 )は、 範 囲を 1 人 あた り 年 間可 処 分 所得 が 1300 ド ル ~ 2400 ド ル と

し てい る 。

こ の他 、世 界各 国 に つい て 統 一的 な ミ ドル ク ラ ス基 準 と して 、E u ro mo n i t o r の

Wo r l d I n c o me D i s t r i b u t i o n を 使 用し た 、 経済 産 業 省『 通 商 白書 2009 年版 』 やみ

ず ほ総 合 研 究所 ( 2010)の 、 世 帯可 処 分 所得 5000 ド ル か ら 35000 ド ルと い う 定義

が ある 。 ま た表 4 に は載 せ て いな い が 、 Wo r ld B an k (2 00 6 )で は 、 1 人あ た り 所得

を ブラ ジ ル の1 人 あ たり 年 間 所得( 3914 ドル )と イタ リ ア の1 人 あ たり 年 間 所得

( 16746 ド ル) の 間 に設 定 し てい る 。

表4 の 諸 定義 を 年 間1 人 あ たり 所 得 で見 る と 、両 極 端の ADB と M c Ki n s e y を 除

け ば、下 限が 2000 ド ル前 後 と なっ て い る。上 限 はバ ラ つ いて お り、低 い の が家 計

調 査の 3374 ド ル 、 Eu r o mo n i t o r と Mc K in se y が 12000 ド ル あ たり と な って い る。

Ch eng の 20615 ド ル は 、い わ ゆ るニ ュ ー ・リ ッ チ を含 ん で いる と 思 われ る 。

次 節で は 、 ミド ル ク ラス 像 を 踏ま え た 数量 分 析 をお こ な うの で 、 ここ で 筆 者な

り の大 ま か な定 義 を して お き たい 。 北 京に お け るヒ ア リ ング に 基 づけ ば 、 大卒 夫

婦 の所 得 の 将来 像 は 次の よ う にな る 。 大卒 あ る いは 修 士 修了 の 初 任給 ( 月 給) を

3000 元 と し 、年 収 を その 13 倍 とす れ ば 、年 収 は 39000 元 ( 6.77 元 /ド ル で 5760

元 )と な る 。 30 才 の 月収 を 4000 元 と す れば 年 収が 52000 元 ( 7766 ド ル)、 40 才

に なる と 個 人差 が 大 きく な る が、 月 収 5000 元 と すれ ば 65000 元 ( 9601 ド ル )と

な る。 夫 婦 共働 き と すれ ば 、 世帯 収 入 は、 そ の 2 倍 で あ る。 こ の 世帯 の 夫 婦が そ

ろ って 30 才 にな っ た 時、小 型 乗 用車 の 価 格は 夫 婦 の年 収 の 1 年 分 に あた る 。ま た、

1 3 付 表 2 と し て、 20 0 0 年 、 20 0 5 年 、 20 0 9 年 のデ ー タを 示 し た。

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郊 外の 簡 素 な団 地 住 宅は 100 万 元か ら 150 万 元 であ る の で、夫 婦 の年 収 の 10~ 15

年 分に 当 た るが 、 一 人っ 子 で ある の で 両方 の 両 親か ら の 補助 が あ るケ ー ス も多 い

よ うで あ る 。これ を 参 考に 、本 稿 では 、ミ ド ルク ラ ス を年 間 1 人あ た り 所得( G DP)

が 5000 ド ル から 15000 ドル の 人々 と 定 義す る 。こ の 数 値 は、家 計 調査 の ミ ドル ク

ラ スの 定 義 とも そ う かけ 離 れ ては い な い。 ま ず GDP に 35% を か けて 民 間 消費 支

出 に換 算 す ると 1750 ド ル ( 6.831 元 /ド ルで 11952 元) ~ 5250 ド ル ( 35857 元 )

と なる 。2009 年の 家 計調 査 の 階層 ご と の1 人 あ たり 平 均 所得 は 、低位 ミ ド ルク ラ

ス( 中 等 偏 下収 入 戸 )で 12345 元 、中 位 ミド ル ク ラス( 中 等収 入 戸 )で 16858 元 、

上 位ミ ド ル クラ ス ( 中等 偏 上 収入 戸 )で 23050 元 、そ の 上の 高 収 入戸 で 31171 元

で ある 。従 って 、筆 者の 定 義 は、2009 年 家計 調 査の ミ ド ルク ラ ス 全体( 全 家計 の

60%) と そ の上 の 10 分 位 ( 全 体の 10% )に ほ ぼ 対応 し て いる 。 上 限の 15000 ド

ル には 自 家 用車 や 住 宅購 入 が 可能 と な る所 得 水 準を 反 映 させ た 。 ここ で の 分析 目

的 は新 た な 消費 パ タ ーン を 持 つ新 ミ ド ルク ラ ス であ る の で、 Bo P 層や ニ ュ ー・ リ

ッ チは 定 義 から 除 く べき で あ ると 考 え た。

表4.中国ミドルクラスの所得及び支出による定義

世帯、年、元

人、年、元 人、月、元世帯、年、ドル

人、年、ドル

比較のための換算値の名目年、

Euromonitor:世帯、年、ドル(2009年)、所得

 下限 5000 34157 11819 909 5000 1730

 上限 35000 239100 82733 6364 35000 12111

Chen Xuebin(国家統計局):世帯、年、元(2005年)、所得

 下限 60000 60000 20270 1559 7322 2474

 上限 500000 500000 168919 12994 61020 20615

McKinsey Global Institute:人、年、元(2000年実質)、所得

 下限 25000 78250 25000 1923 9452 3020

 上限 100000 313000 100000 7692 37806 12079

ADB: 人、日、ドル(2005年PPP)、中位ミドル$4-10、上位ミドル$10-20

 下限 4 14910 5037 387 4322 1460

 上限 20 74548 25185 1937 21608 7300

2009城市家計調査:人、年、元(2009年)、下位ミドル平均-上位ミドル平均、所得

 下限 12345 35677 12345 950 5223 1807

 上限 23050 66615 23050 1773 9752 3374

長田の定義: 一人あたりGDP、年、ドル(2009年)

 下限 5000 34548 11954 920 5058 1750

 上限 15000 103643 35863 2759 15173 5250

資料)経済産業省(2009), McKinsey Global Institute (2006),

    Tan(2010)、国家統計局城市社会経済調査司(2010).

注) 1.市場為替レートは年平均レート、 2005年PPPレートは3.45元/$。1世帯平均人数

   2.都市世帯平均人数は、家計調査結果の3.13人(2000年)、2.96人(2005年)、2.89人(2009年)。

   3.ボーナスを考慮して、1年=13ヶ月で換算。

   4.2009年データによれば、家計消費支出はGDPの約35%

5.Euromonitorについては、使用データ集の年である2009年を基準年とみなした。

2009年、市場為替レート

2009年、市場為替レート

オリジナルの定義

比較のための換算(所得表示で統一)

2009年、市場為替レート

2005年、市場為替レート

2005年、PPP為替レート

2000年、市場為替レート

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12

中 国に お け るミ ド ル クラ ス の 人口 規 模 につ い て は、 人 口 ・所 得 成 長・ 所 得 階層

パ ター ン の 連動 モ デ ルに よ る 推計 が 近 年盛 ん で ある が 14、 多く の 仮 定に も 基 づい

た 推計 で あ る。 そ れ ぞれ の 定 義を 前 提 とし 、 通 商白 書 ( 2010) では Eu r o mo n i to r

の デー タ に 依拠 し て 5 億 人 ( 2010 年 )、 McKin s ey Gl ob a l I n s t i t u t e ( 200 6 )では 独 自

の モデ ル 推 計に よ り 9億 人 ( 2015 年)が 提示 さ れて い る 。

筆 者の 大 ま かな 推 定 では 、 ミ ドル ク ラ ス人 口 は 20 09 年 時 点で 約 5 億 人で あ る。

ま ず、 中 国 の1 人 あ たり 年 収が 5000 ド ル以 上 の 省 /省 級 市 /省 級 区 の 人口 合 計 は、

4.36 億 人 ( 2009 年 ) であ る 。 これ に 5000 ド ル 以 下の 省 の 都市 部 に おけ る ミ ドル

ク ラス が 加 わる 。 約 5 億 人 と いう 推 計 値は 、 そ う的 外 れ では な い だろ う 。

5 . 中 国 ミ ド ル ク ラ ス 出 現 の 経 済 構 造 へ の 影 響

ミ ド ル ク ラス 出 現 の経 済 的 影響 は 、典 型的 に は 消費 行 動 の変 化 と なっ て 現 れる 。

消 費パ タ ー ンの 変 化 は、 家 計 調査 な ど の統 計 に 基づ く が 、そ れ は サン プ ル 家計 に

お ける デ ー タで あ り 、国 全 体 の消 費 構 造と の 関 係が 直 接 的に は わ から な い 。そ こ

で 、家 計 調 査情 報 を も含 ん で いる と 考 えら れ る が、 更 に 多く の 統 計と の 整 合性 な

ど が検 討 さ れて 作 成 され た と 思わ れ る 総額 が 国 民所 得 統 計の 家 計 消費 と 一 致す る

統 計を 利 用 する 。表 5 は国 民 所 得統 計 の 家計 消 費 を品 目 別 かつ 農 村 と都 市 に 分け 、

消 費構 造 変 化を 示 し たも の で ある 。こ の 品目 分 類 で最 も 遡 及で き る のが 2006 年 で

あ るが 、新 ミ ドル ク ラ スの 消 費 行動 が 顕 著に な っ たの が 2006 年 以 後 と言 っ て も良

い ので 、 一 定の 変 化 を捉 え る こと が 出 来る 。 前 提と し て 指摘 し て おか な け れば な

ら ない こ と は、消 費 支出 は 農 村と 都 市 に分 け ら れ、約 75% は 都 市 の 消費 で あ るの

で 、都 市 の 消費 構 造 の変 化 が 国全 体 の 消費 構 造 の変 化 に 与え る 影 響が 大 き いと 言

1 4 例 え ば 、柳 川範 之・森 直子( 20 10)、Mc K i n s e y G lo b a l I n s t i t u t e ( 2 0 0 6 )、Ho mi Kha ra s ( 201 0 )、 Wo rld Ba nk ( 200 6 )な ど 。

表5.消費パターンの変化(%)

2006 2009増減 2006 2009増減

食品 41.1 -0.4 29.1 0.3

衣服 5.7 0.1 8.4 0.0

住宅 18.2 -1.1 17.7 -0.2

家庭用品・サービス 4.3 0.8 4.7 0.5

医療保健 6.6 1.6 8.6 1.0

交通通信 9.7 0.3 10.7 0.5

教育・文化・娯楽 10.3 -1.8 11.3 -1.5

金融サービス 1.4 0.2 2.3 -0.1

保健サービス 0.5 0.5 1.6 0.1

その他 2.2 -0.1 5.5 -0.5

計 100.0 0.0 100.0 0.0

資料)国家統計局、『中国統計年鑑』各年版.

注)都市家計消費支出額は総家計消費支出額の74.1%(2006年)、76.2%(2009年)。

農村 都市

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13

う こと で あ る。 消 費 パタ ー ン を見 る と 、農 村 で は食 品 へ の支 出 が 減少 し て いる も

の の、 都 市 では 食 品 への 支 出 が増 加 し てい る 。 両地 域 に おい て , 消費 に 占 める シ

ェ アが 増 加 した の は 耐久 消 費 財を 含 む 家庭 用 品 ・サ ー ビ ス、 医 療 保険 費 、 交通 通

信 費な ど で ある 。 こ れに 対 し て、 教 育 ・文 化 ・ 娯楽 や 住 宅費 は 減 少し て い る。 つ

ま り 、中 国 に おい て は 、集計 的 に 見る と「 エ ンゲ ル 係 数の 減 少 とサ ー ビ スの 増 加 」

と いう よ う に単 純 に は要 約 出 来な い 複 雑な 変 化 が起 こ っ てい る 。

さて 本 節 の目 的 は 、ミ ド ル クラ ス の 出現 が 消 費行 動 の 変化 を 通 じて 、 ど のよ う

に 経済 構 造 (生 産 構 造) に 影 響を 与 え るか を 数 量的 に 把 握し 、 将 来の 動 向 につ い

て 示唆 を 得 るこ と で ある 。分 析 には 、利 用 可能 な 投 入産 出 表 の中 で は 最新 の『 200 7

年 中国 投 入 産出 表 』( 国家 統 計 局国 民 経 済核 算 司 作成 ) を 使用 す る 。分 析 方 法は ,

標 準的 な 産 業連 関 分 析に よ る 最終 需 要 変化 の 生 産誘 発 額 と輸 入 誘 発額 の 推 計で あ

る 。モ デ ル とし て は 、以 下 の よう な 競 争輸 入 タ イプ の モ デル を 使 用し た 。

X = ( I – ( I - M^

) A) - 1 ( ( I - M^

)F d + E ) ( 式 1)

こ こで X は 生産 額 ベ クト ル 、 A は投 入 係数 行 列 。 M^

は輸 入 係数 行 列 (対 角 要 素は

品 目ご と の 輸入 係 数 で、 そ の 他要 素 は ゼロ ) で 、輸 入 係 数は 内 需 に対 し て 定義 し

た 。F d は 国 内最 終 需 要行 列( ある い は ベク ト ル)、 E は 輸 出ベ ク ト ルで あ る 。M^

F d

は 国内 最 終 需要 の う ち直 接 輸 入に よ っ て供 給 さ れた 部 分 であ る 。 また 、 輸 入誘 発

額 は M^

X で 与 えら れ る 。分 析 に 使用 し た のは 、 42 部 門統 合 表で あ る 。

シミ ュ レ ーシ ョ ン 分析 で は 、投 入 係 数と 輸 入 係数 は 2007 年 に 固 定し た ま まで 、

最 終需 要 マ トリ ク ス の中 の 民 間消 費 ベ クト ル ( C) を 変 化 させ た 。

第 1 の 分 析 では 、 ミ ドル ク ラ ス出 現 に よる 消 費 パタ ー ン の変 化 が 、生 産 構 造と

輸 入構 造 に 与え た 影 響を 見 る 。具 体 的 には 、2006 年の 消 費パ タ ー ンを 維 持 した ま

ま 所得 が 2009 年 水 準 とな っ た 場合 の 民 間消 費 ベ クト ル ( C 1) に よ る生 産 誘 発額

(X 1 )と輸 入 誘発 額 (M 1 )との シ ミ ュレ ー シ ョン 推 計( ケ ー ス 1:「 2006 年 から の 比 例

的 成長 ケ ー ス」 と 呼 ぶ) と 、 2009 年 の 現実 の 民 間消 費 ベ クト ル (C 2 )に より 誘 発さ

れ た生 産 誘 発額 (X 2 )と 輸 入誘 発 額 (M 2 )と のシ ミ ュ レー シ ョ ン推 計 ( ケー ス 2 )を

比 較す る 。 期間 を 、 2006 年 から 2009 年 まで と し たの は 、 詳細 な 消 費パ タ ー ンの

デ ータ が 利 用で き る のは こ の 機関 に 限 られ る た めで あ る 。期 間 は 短い が 、 一応 、

ミ ドル ク ラ スの 出 現 が加 速 し た時 期 と 一致 し て いる の で 、一 定 の 変化 を 読 み取 る

こ とは 出 来 るで あ ろ う。 具 体 的に は 、 以下 の 式 で示 さ れ る推 計 を おこ な い 、誘 発

額 ( X 1 と X 2、 M 1 と M 2 )の 比 較を お こ なう 。

X 1 = ( I – ( I - M^

) A) - 1 ( I - M^

)C 1 ( 式 2)

M 1 = M^

X 1 + M^

C 1 ( 式 3)

X 2 = ( I – ( I - M^

) A) - 1 ( I - M^

)C 2 ( 式 4 )

M 2 = M^

X 2 + M^

C 2 ( 式 5)

第 2 の 分 析 では 、 消 費パ タ ー ンの 変 化 の影 響 を 際立 た せ るた め に 、全 国 民 がミ

ド ルク ラ ス 化す る と いう 大 胆 な仮 定 を おい た 民 間消 費 ベ クト ル (C 3 )に よる 「 シミ

ュ レー シ ョ ン推 計( ケ ー ス 3)、を お こ ない 、そ の結 果 を「 比 例 的 成長 ケ ー ス」( ケ

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14

ース 1) と 比較 す る 。推 計 式 は以 下 の 通り で あ る。

X 3 = ( I – ( I - M^

) A) - 1 ( I - M^

)C 3 ( 式 6 )

M 3 = M^

X 3 + M^

C 3 ( 式 7)

こ こで は 、 国民 所 得 統計 と 整 合的 な 2009 年 家 計 消費 構 造に 2009 年 家計 調 査 の中

位 ミド ル ク ラス の 消 費パ タ ー ンを 仮 定 し 、家計 消 費総 額 には 2009 年 デー タ を 使用

し た。

シ ミュ レ ー ショ ン に 用い た 42 部 門 の 消 費ベ ク ト ルは 、次 のよ う に 推計 し た 。ま

ず 、ケ ー ス 1と ケ ース 2 で あ るが 『 中 国統 計 年 鑑』 の 国 民所 得 統 計の 一 部 とし て

提 供さ れ る 10 部 門 分 類( 表 5 の 分類 と 同じ )で 示し た 対 象年 の 都 市・農 村 それ ぞ

れ にお け る 消費 額 を CT(コ ン トロ ー ル・ト ー タ ル )と し 、10 部 門 分 類の 各 部 門の 消

費 額を 2007 年 投 入 産 出表( 以下 I-O 表)の 都 市・農 村 そ れぞ れ の 消費 ベ ク トル の

構 成比 を 用 いて 分 割 し、最 終 的に 42 部 門の 消 費 ベク ト ル を推 計 し た。な お、細 か

な 点で あ る が 、国民 所 得統 計 か ら得 ら れる 10 部 門 分類 の 消 費ベ ク ト ルは 購 入 者価

格 表示 で あ るの に 対 し、 こ こ で使 用 する I-O 表 は生 産 者 価格 表 で ある の で 、 I-O

表 の商 業 マ ージ ン 率 0.082 を 適用 し て 購入 者 価 格を 生 産 者価 格 へ 変換 を す ると と

も に、 部 門 番号 30 に 商業 マ ー ジン を 計 上し た 。 生産 者 価 格の 10 部 門分 類 で のそ

れ ぞれ の 部 門の 消 費 額は 、 既 に述 べ た よう に I-O 表の 消 費ベ ク ト ルの 部 門 間比 率

で 分割 し た 。そ の 際 に使 用 し た部 門 コ ンバ ー タ ーは 、 付表 3 の 通 りで あ る 。次 に

ケ ース 3 で は、 上 記 10 部 門 分類 に よ る都 市 ミ ドル ク ラ スの 消 費 構成 額 の 統計 は

無 いの で 、『 中国 城 市 (鎮 ) 生 活與 価 格 年鑑 2010』か ら 、 10 部 門 分 類に 対 応 する

消 費パ タ ー ン (構成 比 )を 得て 、 これ に 総 消費 額 を 乗じ た も のを C T とし た 。 シミ

ュ レー シ ョ ンに 使 用 した 消 費 ベク ト ル は、 付 表 4 の 通 り であ る 。

シミ ュ レ ーシ ョ ン 結果 は 、 比例 的 成 長の ケ ース 1 を ベ ース ケ ー スと し 、 ケー ス

2 、ケ ー ス 3と 比 較 する と い う形 式 で 表6 に 示 した 。 実 際の 計 算 はケ ー ス 1と ケ

ー ス2 に つ いて は 都 市・ 農 村 別に 行 い 、そ の 結 果は 付 表 5に 示 し たが 、 明 瞭な 結

論 が導 出 し にく い た め、 こ こ では 表 6 に よっ て 結果 を 検 討す る 。

ま ずケ ー ス 2 の 2006 年 か ら 2009 年 へ の 消費 パ タ ーン の 変 化の 影 響 はそ れ ほ ど

際 立っ て は いな い が 、消 費 の ウェ イ ト が高 ま っ た部 門 で 国内 生 産 が増 加 し 、同 時

に 輸入 も 増 えて い る 。ま た 、 一次 産 品 の輸 入 が 農林 水 産 業、 食 品 ・タ バ コ 、サ ー

ビ スの 一 部 で増 加 し てい る 。 全部 門 合 計で は 生 産増 が 輸 入増 を 上 まわ っ て おり 、

消 費パ タ ー ンの 変 化 は総 合 的 には 純 国 内生 産 を 増大 さ せ るこ と が わか る 。 ケー ス

3 の総 ミ ド ルク ラ ス 化の ケ ー スで は そ の変 化 は 更に 顕 著 であ る 。 国全 体 の 生産 増

は 輸入 増 を 大き く 上 回り 、 内 需主 導 型 の成 長 メ カニ ズ ム が強 化 さ れる 。 農 林水 産

業 では 、 生 産誘 発 も 輸入 誘 発 も大 き い が、 金 額 とし て は 生産 増 が 輸入 増 を 大き く

上 回る 。 繊 維・ 衣 服 部門 も 生 産誘 発 と 輸入 誘 発 共に 大 き いが 、 金 額的 に は 生産 増

が 輸入 増 を 大き く 凌 駕す る 。 逆に 、 金 融、 環 境 保全 、 不 動産 、 電 気ガ ス 水 道な ど

の 部門 の 生 産誘 発 が 大き く 縮 小し て い る。 こ れ は、 ミ ド ルク ラ ス の消 費 パ ター ン

か ら想 定 さ れて い る こと と は 一致 し な い。 そ の 原因 と し て、 家 計 調査 の 消 費項 目

に はこ れ ら セク タ ー との 対 応 関係 を 正 確に 示 す 情報 が な いた め 、 仮定 し た 消費 パ

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15

タ ーン で は これ ら セ クタ ー の 消費 が 過 小推 計 さ れ、 他 の セク タ ー の消 費 が 過大 推

計 され た と いう 可 能 性が あ る 。修 正 に は、 現 在 より 更 に 詳細 な 家 計消 費 デ ータ が

必 要と な る 。こ の よ うに シ ミ ュレ ー シ ョン 分 析 に限 界 は ある が 、 少な く と も、 ミ

表6 消費のパターン変化の生産・輸入への影響

    2006年の消費パターンを2009年消費額に適用した場合を基準とし、下記の消費パターン

    を2009年消費額に適用した場合の差額を%で示す。

I-O部門 生産誘発 輸入誘発 直接輸入生産増-

輸入増

(億元)

生産誘発 輸入誘発 直接輸入生産増-

輸入増

(億元)

01 農林水産業 -0.37 -0.62 0.15 -117 14.62 21.86 1.69 4608

02 石炭鉱業 -0.06 0.50 -0.26 -2 -16.06 0.35 -4.36 -441

03 原油天然ガス 0.70 0.67 0.00 7 -7.75 -6.55 0.00 -90

04 金属鉱業 3.36 2.23 0.00 4 1.12 2.78 0.00 -8

05 非金属鉱業 4.21 1.38 0.00 12 0.64 5.54 0.00 -4

06 食品・タバコ -0.44 -1.63 0.49 -142 29.02 17.72 32.42 9349

07 繊維 0.58 0.58 0.20 36 33.16 28.76 2.02 2043

08 衣服・履き物 0.29 0.52 0.20 27 41.74 18.31 39.59 3929

09 木材加工 3.26 0.72 1.18 38 7.44 5.61 3.23 81

10 製紙・印刷など 0.30 -0.04 1.79 10 9.78 7.89 6.07 345

11 石油精製・核燃料 0.56 0.97 -0.85 31 -6.82 1.33 -18.70 -393

12 化学 4.56 3.93 9.21 648 7.57 6.68 15.93 1070

13 非鉄金属 0.23 0.69 -0.19 4 -11.21 5.43 -3.99 -200

14 金属精錬 2.48 2.12 0.00 120 1.71 2.69 0.00 77

15 金属製品 2.23 0.86 1.18 41 5.11 4.65 3.79 88

16 一般機械 2.89 2.52 0.79 76 0.46 0.91 4.02 5

17 輸送用機械 2.26 0.95 3.20 128 4.85 2.62 7.56 269

18 電気機器 3.24 0.49 8.40 90 2.94 -2.75 19.85 76

19 通信機器 2.61 1.36 3.70 11 4.20 2.50 6.32 8

20 精密機器・オフィス機器 0.64 -0.45 6.52 -3 -13.21 -6.35 3.82 20

21 芸術品・その他製造業 11.73 0.87 10.47 -32 46.62 7.30 40.80 -141

22 スクラップ・廃棄物 2.43 1.49 0.00 6 7.01 6.54 0.00 11

23 電気 -0.64 0.62 0.00 -83 -18.37 7.35 0.00 -2372

24 ガス -1.61 0.62 0.01 -11 -32.78 7.37 0.17 -210

25 水道 -1.76 0.62 0.01 -13 -30.27 7.37 0.17 -217

26 建設業 2.05 0.65 0.00 12 -24.94 6.63 0.00 -154

27 運輸業 1.40 0.33 2.37 113 6.05 6.73 3.00 485

28 郵便 0.29 0.41 0.23 0 11.62 6.77 1.12 5

29 情報産業 3.17 0.76 2.72 142 6.50 2.83 7.13 285

30 卸・小売り業 0.30 0.61 0.00 42 2.49 7.32 0.00 339

31 ホテル・ケータリング -10.25 -0.15 -10.62 -781 3.33 1.51 4.81 248

32 金融業 1.47 0.30 1.05 122 -28.16 3.94 -14.70 -2355

33 不動産業 -2.23 0.62 0.00 -313 -42.27 7.36 0.00 -5924

34 リース・ビジネスサービス -3.87 -0.18 -10.74 -101 6.37 0.51 19.54 159

35 研究開発 1.38 0.64 0.00 0 7.06 6.05 0.00 -5

36 総合技術サービス 0.43 0.62 0.00 2 4.96 7.36 0.00 28

37 環境保全・公共施設 -8.87 0.62 0.00 -484 -57.56 7.36 0.00 -3141

38 対家計サービス 6.49 0.21 4.83 201 20.87 3.73 16.26 642

39 教育 -13.95 0.59 -2.60 -630 -8.61 7.28 -1.93 -394

40 保健・社会サービス 13.30 0.62 1.91 1223 -9.56 7.32 -1.35 -885

41 文化・スポーツ・娯楽 -9.86 -0.43 -6.89 -101 5.08 2.49 6.31 45

42 公共サービス 0.60 0.62 0.00 -1 6.91 7.34 0.00 -12

0.26 1.15 1.24 332 3.71 4.75 12.26 7266

出所)筆者計算。

2009年消費パターン2009年都市ミドルクラス

消費パターン

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16

ド ルク ラ ス の出 現 が 、中 国 経 済の 成 長 軌道 を 外 需主 導 型 から 内 外 需両 輪 の 主導 型

へ 導く 可 能 性は 示 さ れた と 考 える 。

【 付 記 】

本 論文 は 、 科学 研 究 費補 助 金 (挑 戦 的 萌芽 研 究 、平 成 22 年 度 ~ 平成 23 年 度 )に

よ る研 究 「 新興 ア ジ ア経 済 大 国に お け る消 費 爆 発と 内 需 主導 型 発 展メ カ ニ ズム の

創 出過 程 」( 課題 番 号 22653033)の 研 究 成果 の 一 部で あ る 。

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17

引 用 文 献

Asian Dev e lo p men t Bank (2 01 0 ) Ke y In d ica to r s f o r A s ia a n d t h e P a c i f i c 2 0 1 0 .

Ch an , Kev in , And r e w Sh ep he r d a nd C a r lo s da S i l va ( 20 05 ) , “Ch ang e s i n Fo od

Re ta i l i n g i n As i a : I m p l i c a t i on s o f Su pe r ma rk e t P r o c u re me n t p r ac t i ce s f o r F a r me r s

and Trad i t i ona l M a r ke t in g S ys t e ms ” , FAO Ag r i cu l t u r a l Ma na ge me n t , Ma r ke t in g a nd

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18

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19

付表1.日本産業連関表分析用部門コンバーター分析用分類 59(一部159)部門分類

01 一般作物

02 工芸作物

03 繊維用畜産

04 その他畜産養蚕

03 林業 05 林業

04 漁業 06 漁業

07 石炭・亜炭

08 鉄鉱石

09 非鉄金属鉱石

10 原油・天燃ガス

11 その他鉱業

06 肉・酪農品 12 屠殺・肉・酪農品

13 水産食品

14 精穀・製粉

15 その他食料品

16 飲料

17 タバコ

09 衣服など 21 身の回り品(衣服等)

18 天然繊維・紡績

19 化学繊維・紡績

20 織物・その他繊維製品

22 製材・木製品

23 家具

24 パルプ・紙

25 印刷出版

26 皮革・皮革製品

27 ゴム製品

28 基礎化学製品

29 化学繊維原料

30 その他の化学製品

31 石油製品

32 石炭製品

14 窯業土石製品 33 窯業土石製品

34 銑鉄・粗鋼

35 鉄鋼一次製品

36 非鉄金属一次製品

37 金属製品

16 一般機械 38 一般機械

17 家電 3702民生用機械(159部門分類)

18 電気機械(家電除く) 39 電気機械(3702除く)

19 自動車 3830自動車(159部門分類)

20 輸送機械(自動車除く) 40 輸送機械(3830除く)

23 住宅新建築 4001住宅新建築(159部門分類)

24 建築(住宅除く) 43 建築(4001除く)

25 土木 44 土木

45 電気

46 都市ガス

47 水道

27 商業 48 商業

28 金融・保険 49 金融・保険

29 不動産業 50 不動産業

51 運輸

52 通信

31 公共サービス 54 公共サービス

32 娯楽サービス 8400娯楽サービス(159部門)

33 飲食店 8501飲食店(159部門)

34 その他サービス 55 その他サービス(8400,8501除く)

53 公務

67 梱包

57 分類不明

60 不動産賃料

66 事務用品

注)右欄は行政管理庁他共同編集(1975)『1960-1965-1970接続表』

   の部門分類

35 その他

11 木・皮革・ゴム加工

12 化学

13 石油・石炭製品

15 金属

26 電気・ガス・水道

30 運輸・通信

01 農業

02 畜産

05 鉱業

07 その他食品

08 飲料・たばこ

10 その他繊維製品

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付表2.階層別所得と収入 (元)

2000 2005 2009 2000 2005 2009低収入戸10% 2678 3377 5940 2540 3111 4900

低収入戸10% 3658 5202 8956 3274 4295 6743中等偏下収入戸20% 4651 7177 12345 3947 5574 8738中等収入戸20% 5930 9886 16858 4794 7308 11309中等偏上収入戸20% 7524 13596 23050 5894 9140 14964高収入戸10% 9484 19687 31171 7102 12102 19263

高収入戸10% 13390 31237 51349 9250 19153 29004

一人あたり年収 一人あたり年支出

国家統計局城市社会経済調査司(2010)『中国城市(鎮)生活與価格年鑑』

付表3.消費部門コンバーター国民所得統計の消費分類 I-O 42部門分類食品 01,06衣服 07,08住宅 02,11,13,23,24,25,33家庭用品・サービス 09,10,12,15,16,18,20,21医療保健 40,交通通信 17,19,27,28,29教育・文化・娯楽 31,34,39,41金融サービス

保健サービス

その他 37,42

32

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21

付表4. シミュレーション用消費ベクトル

2006農村 2009農村 2006都市 2009都市2009都市ミ

ドル2009農村 2009都市 2009農村 2009都市 2009合計

(2006農パターン)

(2006都パターン)

(2009農パターン)

(2009都ハパターン)

(2009都ミドルパターン)

01 0.20354 0.20156 0.087719 0.088579 0.117429 5869 8096 5812 8175 1422402 0.00470 0.00441 0.001137 0.001126 0.000643 136 105 127 104 7803 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 004 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 005 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 006 0.17365 0.17196 0.179722 0.181483 0.240591 5007 16588 4958 16750 2914307 0.00806 0.00821 0.004049 0.004046 0.005358 232 374 237 373 64908 0.04402 0.04487 0.073450 0.073393 0.097183 1269 6779 1294 6774 1177209 0.00184 0.00219 0.001958 0.002169 0.002602 53 181 63 200 31510 0.00123 0.00146 0.001667 0.001846 0.002214 35 154 42 170 26811 0.00487 0.00456 0.012328 0.012209 0.006971 140 1138 132 1127 84412 0.01100 0.01311 0.008209 0.009093 0.010906 317 758 378 839 132113 0.00271 0.00254 0.004314 0.004272 0.002439 78 398 73 394 29514 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 015 0.00126 0.00150 0.001608 0.001781 0.002137 36 148 43 164 25916 0.00009 0.00010 0.000283 0.000314 0.000376 3 26 3 29 4617 0.02158 0.02218 0.025016 0.026085 0.026462 622 2309 640 2408 320518 0.00762 0.00909 0.007076 0.007838 0.009402 220 653 262 723 113919 0.01856 0.01908 0.019271 0.020095 0.020386 535 1779 550 1855 246920 0.00110 0.00131 0.000560 0.000620 0.000744 32 52 38 57 9021 0.00335 0.00400 0.005649 0.006257 0.007505 97 521 115 577 90922 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 023 0.02733 0.02562 0.034701 0.034366 0.019621 788 3203 739 3172 237724 0.00252 0.00236 0.005176 0.005126 0.002927 73 478 68 473 35525 0.00278 0.00261 0.005086 0.005037 0.002876 80 469 75 465 34826 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 027 0.02377 0.02444 0.022997 0.023981 0.024327 685 2123 705 2213 294728 0.00034 0.00035 0.000661 0.000690 0.000700 10 61 10 64 8529 0.02524 0.02594 0.030639 0.031949 0.032411 728 2828 748 2949 392630 0.08200 0.08200 0.082000 0.082000 0.082000 2364 7568 2364 7568 993331 0.04092 0.03365 0.050985 0.044374 0.051653 1180 4706 970 4096 625732 0.01757 0.02415 0.036002 0.035586 0.014079 507 3323 696 3284 170533 0.12209 0.11445 0.099612 0.098651 0.056324 3520 9194 3300 9105 682234 0.00294 0.00241 0.012946 0.011267 0.013116 85 1195 70 1040 158935 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 036 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 037 0.02019 0.01920 0.050494 0.045693 0.017900 582 4660 554 4217 216838 0.01174 0.01399 0.015829 0.017533 0.021030 338 1461 403 1618 254739 0.04652 0.03825 0.032242 0.028061 0.032665 1341 2976 1103 2590 395740 0.06069 0.07500 0.079396 0.088197 0.067748 1750 7328 2163 8140 820641 0.00419 0.00345 0.007216 0.006280 0.007310 121 666 99 580 88542 0.00000 0.00000 0.000000 0.000000 0.000000 0 0 0 0 0

計 1.00000 1.00000 1.000000 0.999999 1.000033 28834 92296 28834 92296 121134

家計消費パターン 家計消費ベクター(2009)<数値><億元>

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22

付 表 5 . シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 詳 細 ( 都 市 ・ 農 村 別 )

(1)2009年の消費額に2006年の消費パターンを適用したケース(ベースケース)

農村 都市 計 農村 都市 計 農村 都市 計

01 10537 22690 33227 270 824 1093 298 440 738

02 674 2090 2763 29 103 132 18 53 71

03 531 2123 2653 359 1414 1774 16 51 66

04 85 315 400 96 344 441 16 51 66

05 70 250 320 26 90 116 16 51 66

06 7981 25635 33616 149 463 612 213 702 915

07 1282 5191 6473 68 286 354 26 67 93

08 1616 8324 9940 41 164 205 78 383 461

09 266 935 1201 25 88 113 17 56 73

10 830 3007 3837 71 250 321 18 60 78

11 1237 4855 6091 95 327 423 25 123 148

12 3965 13058 17022 628 2112 2741 60 157 218

13 356 1406 1762 23 81 104 17 57 74

14 1142 4112 5254 105 374 479 16 51 66

15 423 1501 1924 34 119 153 17 56 73

16 725 2621 3346 172 614 786 16 55 71

17 1365 4984 6349 106 378 484 75 271 346

18 739 2622 3361 115 422 536 47 144 191

19 607 2146 2754 311 1142 1453 260 863 1124

20 49 162 212 182 641 823 38 87 125

21 30 170 200 93 330 423 83 415 498

22 84 309 393 57 202 259 16 51 66

23 2720 10160 12880 18 62 80 16 51 66

24 84 539 623 18 62 80 16 50 66

25 109 588 697 18 62 80 16 50 66

26 124 471 596 18 64 82 16 51 66

27 1985 6456 8440 69 233 302 41 128 169

28 16 84 100 20 70 90 16 54 71

29 976 3700 4676 31 108 139 45 165 210

30 3257 10600 13858 18 60 78 15 46 61

31 1627 6281 7908 38 131 169 58 221 279

32 1521 6873 8394 25 85 110 19 71 90

33 3795 10204 13999 18 62 80 16 51 66

34 649 2976 3625 190 665 855 34 313 347

35 19 56 75 40 132 172 16 51 66

36 171 516 686 18 62 80 16 51 66

37 619 4829 5447 18 62 80 16 51 66

38 643 2537 3180 26 92 118 24 85 109

39 1391 3134 4524 18 62 80 20 59 79

40 1778 7430 9208 18 62 80 18 59 77

41 195 923 1118 29 101 130 26 108 134

42 -19 -64 -83 18 62 80 16 51 66

計 56252 186797 243049 3721 13070 16791 1846 6007 7852

輸入誘発 直接輸入

2006年の比例増大(2006年の消費パターン+2009年の消費額)

生産誘発

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23

(2)2006年から2009年への消費パターン変化の結果(2009年の実態)

農村 都市 計 農村 都市 計 農村 都市 計

01 10411 22694 33104 266 821 1087 295 444 739

02 664 2098 2762 29 103 132 18 53 71

03 536 2136 2672 363 1423 1786 16 51 66

04 90 324 414 100 351 450 16 51 66

05 75 259 334 27 91 118 16 51 66

06 7848 25621 33469 146 456 602 211 709 919

07 1312 5199 6510 69 287 356 26 67 93

08 1648 8321 9969 41 165 206 79 383 462

09 280 960 1240 26 88 114 18 56 74

10 840 3009 3849 71 250 321 18 61 79

11 1246 4879 6125 97 330 427 24 123 147

12 4244 13555 17798 666 2183 2848 69 169 238

13 356 1410 1766 23 81 105 17 57 74

14 1182 4201 5384 108 381 489 16 51 66

15 436 1531 1967 35 120 155 17 57 74

16 756 2687 3443 178 627 806 16 56 72

17 1389 5104 6493 107 382 489 77 280 357

18 781 2690 3470 116 423 539 53 154 207

19 622 2203 2826 317 1156 1472 267 898 1165

20 50 163 213 180 639 819 42 91 133

21 36 187 224 94 333 427 96 454 551

22 87 316 403 58 204 262 16 51 66

23 2661 10136 12797 18 62 81 16 51 66

24 80 534 613 18 62 80 16 50 66

25 103 581 684 18 62 80 16 50 66

26 130 478 608 19 64 83 16 51 66

27 2008 6551 8559 70 233 303 41 131 173

28 16 84 100 20 70 91 16 54 71

29 1003 3822 4824 32 109 140 46 170 216

30 3271 10629 13900 18 61 78 15 46 61

31 1425 5672 7097 38 131 169 51 199 250

32 1711 6807 8518 25 85 110 20 71 91

33 3577 10109 13687 18 62 81 16 51 66

34 639 2846 3485 191 663 854 31 279 310

35 19 57 76 40 133 173 16 51 66

36 171 518 689 18 62 81 16 51 66

37 589 4375 4964 18 62 81 16 51 66

38 706 2681 3387 27 92 118 25 89 114

39 1151 2743 3893 18 63 81 19 58 77

40 2191 8242 10433 18 63 81 18 60 79

41 173 834 1008 29 100 129 24 100 124

42 -19 -65 -83 18 63 81 16 51 66

計 56491 187180 243671 3788 13196 16984 1874 6075 7950

2009年の消費パターン+2009年の消費額

生産誘発 輸入誘発 直接輸入

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(3)2009年に全人口がミドルクラス化

生産誘発 輸入誘発 直接輸入

01 38087 1333 750

02 2319 132 68

03 2448 1658 66

04 405 453 66

05 322 123 66

06 43370 720 1211

07 8619 456 95

08 14089 242 644

09 1290 120 76

10 4212 346 82

11 5676 429 120

12 18311 2924 252

13 1564 110 71

14 5343 492 66

15 2022 161 76

16 3361 793 74

17 6656 497 372

18 3460 521 229

19 2869 1489 1195

20 184 771 129

21 294 454 702

22 421 276 66

23 10514 86 66

24 419 86 66

25 486 86 66

26 447 88 66

27 8950 322 174

28 111 96 71

29 4980 143 225

30 14203 84 61

31 8171 172 293

32 6030 114 77

33 8081 86 66

34 3856 860 415

35 80 183 66

36 720 86 66

37 2312 86 66

38 3844 122 127

39 4135 86 77

40 8328 86 76

41 1175 133 142

42 -89 86 66

計 252074 17588 8815

2009年のミドルクラス(中等戸)消費パターン+2009年の消費額