グローバル自動車市場...グローバル新車販売台数の2016...
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グローバル自動車市場
2016年第一四半期新車販売 Analysis completed: June 2016
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この分析資料に含まれている数値・データは、JATOの様々なソリューションプロダクトから引用しています。以下の定義に基づいてリサーチしておりま
す。
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グローバル市場の見通し
中国・欧州市場の販売台数
がグローバル市場全体を押し
上げる
グローバル新車販売台数の 2016年第一四半期の販売台数は、
前年同期比+2.8%の 558,700 台多い 2044 万台と大きな成長
を記録した。(乗用車+商用車台数) 中国・欧州市場の台数がグ
ローバル新車販売台数に最も貢献しており、両市場とも、ポジティ
ブなマクロ経済動向を示している。一方で、米国市場は安定成長
を記録、日本、ブラジル、ロシアは大きく販売を落とした。
中国がグローバル市場を牽引しており、前年同期比+6.4%の 607
万台 (商用車+乗用車) を記録した。この伸びは非常に大きいもの
の以前ほどの成長は見られない。中国の 2016 年第一四半期は、
2013 年以来の低水準を記録したが、ドイツ、英国、米国そしてイ
ンドなどの主要市場よりも好調を記録した。中国市場の低迷に続
き、年初 2 ヶ月間は株価が急落し、その反動で不動産価格が上
昇。これらの 2 つの要因から多くのディーラーでは在庫を制限したに
もかかわらず、中国の自動車メーカーはマーケットシェアを 42.5%か
ら 43.3%へと拡大した。
欧州では中国よりも低い伸び率であったが、全体的に見れば今後
に期待が持てる結果となった。特にロシアとトルコでは、前年同期
比+5.9%を記録。これはエネルギー価格の低下とキャピタルマーケッ
トへの取引が容易になり、市場を刺激したことが挙げられる。しかし、
中国経済の減速とそれにより起こりうる世界貿易に与える影響が、
欧州市場にとっては大きなリスクを抱えることにもなりうる。欧州 31
カ国(ロシア・トルコを含む)の販売台数は、489 万台を記録。そ
の3分の2はドイツ、英国、フランス、イタリア、スペインの欧州
Big5からであった。ロシア・トルコを除けば 8.4%の伸び率である。
北米では、前年同期比+4.2%を記録。特に米国がこの成長を牽
引しており、販売台数の 84%を占めている。米国だけにフォーカス
すると、前年同期比+3.1%の 408万台。この伸び率は、2004年
の同時期と比べると半分の伸び率にすぎず、2016 年 1 月と 3 月
は販売が低迷した。主な要因は、小売の売上高が予想に反し減
少したことと、復活祭(イースター)の休暇が重なったことにより販
売が落ちた。一方メキシコでは、前年同期比+13.5%と大きく販売
を伸ばした。同国では、新車購入の約 68%がオートローン・ファイナ
ンスを利用しており、顧客に対しての多岐にわたるファイナンス商品
が販売台数を押し上げた。※ソース:AMDA
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その他 JATO がリサーチしている国(日本、韓国、東南アジア、オ
ーストラリア、ニュージーランド、インド、ブラジル、アルゼンチン、チリ)
の販売は、前年同期比-5.9%の 430 万台を記録。その中で最も
大きく販売を落とした国は、ブラジル(景気の低迷・政治危機)と
日本(軽自動車税の増税による販売減)。一方で、販売増を
記録した国は、韓国(+5.3%)、オーストラリア(+2.8%)、アルゼンチ
ン (+3.8%)であったが、ブ ラジル (-28.3%) 、日本 (-6.9%) 、
タイ(-8.8%)、マレーシア(-22.1%)、インドネシア(-2.6%)で見られた
販売減を十分に補うことはできなかった。
メーカーグループ別販売台数
ビッグブランドは低成長
自動車メーカーの競争が興味深いトレンドを見せている。2016 年
初めの 3 ヶ月は、Volkswagen グループが前年同期比+0.9%の
243 万台を記録し首位を維持していたが、同時期に同ブランドは
この 10 年間において最大の危機に直面。その結果、一部の主要
市場では苦戦を強いられているものの、Volkswagen グループ全
体の販売台数は Toyota を上回り、世界で最も販売したブランドと
なった。一方 2 位の Toyota は、前年同期比-0.2%の 218 万台。
3 位には前年実績+1.9%の 195 万台を記録した Renault-
Nissan がランクイン。北米での好調な販売が貢献した。General
Motors が前年実績-0.9%を記録し 4位にランクイン。南アメリカで
の大幅減と GM にとって世界第2位の市場である中国での微減
が影響している。続いて Hyundai/Kia が 5 位にランクイン。この韓
国企業の世界販売台数は、前年実績 0.1%微減の 164 万台を
記録。米国、母国韓国、インドでの販売増が中国での-11%販売
減を補った。
トップ 10 中最も販売が改善したブランドは、Ford Mortor であった。
グローバル販売台数は、前年同期比+7.1%を記録、そのうち
6.7%は Ford ブランドから、Lincoln ブランドも前年同期比+25%
を記録。また 2 ケタ増を記録した国は、中国、ドイツ、カナダ、イタリ
ア。トップ 10 ブランド中その他のブランドで好調だったのは、Honda
と Fiat Chrysler Automobiles (FCA)。それぞれ前年実績+4%
を記録し、特に Honda は同ブランドの SUV モデルの堅調な販売
が販売台数を押し上げた。国別で見ると、米国、中国、インドネシ
アで、前年実績プラスを記録。日本とインドでの販売減を十分に補
った。一方 FCA も SUV モデルの好調な販売が牽引し、同ブラン
ドの販売を押し上げた。特に好調だった国は、米国、イタリアそして
中国であった。対照的に販売減を記録した国は、ブラジル(-34%)
となった。
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続いて 9位にランクインしたのは PSA (Peugeot, Citroen、DS)。
10 位には Suzuki(Indian Multi Suzuki 含む)であった。PSA
は前年実績+3.4%の 744,400 台を記録。この販売台数のほとん
どが欧州市場によるもので、中国市場からの販売台数は僅かであ
った。一方 Suzukiは、前年実績-1%とトップ 10 ブランド中最も販
売減を記録したブランドとなった。同ブランドの最も得意とするマーケ
ットのインドではプラスを記録したものの、日本では販売減。また中
国でも販売台数を大きく落とした。その他のブランドでは、Daimler
Group と BMW Group の両ブランドが前年実績プラスを記録。
Daimler のグローバル販売台数(バン、小型商用を含む)は、前
年実績+14.2%と大きな伸びを記録した。中国市場での販売がこ
の両ブランドの勝敗を分けた。Daimler の販売は、主要マーケット
で BMW の約 4倍越えを記録。BMW は北米市場での販売が減
少した。一方 Daimler は安定した伸びを記録。インドメーカーであ
る Mahindra も販売を大きく伸ばしたブランドであった。Mahindra・
Ssangyong の販売台数は、前年実績+15.5%の 148,600 台を
記録。一方競合の Tata は+5.8%の 205,200 台を記録した。こ
の伸びは需要が伸びている Land Rover SUV モデルと Jaguarの
好調な販売が同ブランドの販売を押し上げたことが要因。対照的
に、Mitsubishi と Subaru の両ブランドは、前年実績マイナスを記
録。これは日本と欧州市場での苦戦が影響したため。※
Mitsubishi のこの結果は 5 月上旬頃に明らかになった排ガス不正
問題前の数値です。
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Toyota: ベストセラーブランド
ブランド別に目を向けると、トップ 10の順位には特に目立った動き
はなかった。Toyotaは販売台数 179万台記録し首位となった。
前年実績とほぼ同じ販売台数となったが、2位の Volkswagen と
の差を大きく広げた。Volkswagenは前年実績-1.4%の 155万
台。同ブランドが現在直面している排ガス不正問題が、米国(-
12.5%)と欧州(+0.2%)の販売に影響した。3位の Fordは
約 150万台を記録。この結果、トップ 10ブランド中 2番目に大き
い実績となった。2位の Volkswagen との販売台数の差も、2015
年第一四半期では 173,000台と大きく引き離されていたが、
2016年第一四半期では、約 56,000台と大きく縮まっている。そ
の他のトップ 10 ブランドの順位には目立った動きはなかった。
Mercedes-Benzが最も大きな伸びを記録し、対照的に、
Chevroletが大きく販売を落とした。中国自動車メーカー(乗用
車・小型商用車)の中で Changan がベストセラーとなったものの、
トップ 10圏外の 15位。販売台数も母国中国で-1.8%と販売が
振るわなかった。同ブランドの販売台数のほぼ全ては中国市場から
の台数であり、Mazda(16位)、Fiat(17位)の販売台数を
上回った。Mahindraは 36位となり、インドメーカーでベストセラー
となった。その他のブランドで好調だったのは、Buick、Jeep、
Baojun、RAM、Volvo、JAC、Mahindra、GAC、Zotye。これら
のブランドは、母国市場での販売が好調であった。
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モデルベストセラー
SUVの販売が引き続き好調
モデル別では、SUV・クロスオーバーモデルが好
調。従来モデルは販売を落とす。
モデル別ランキング(商用車+バンは除く):
2016 年第一四半期のグローバルモデルランキングでは、順位に大
きな動きが見受けられた。ブランド別ランキングとは対照的にモデル
ランキングでは、消費者嗜好が従来のリーダー群に影響を与えた。
年初 3 ヶ月でトップ 3 ランキングが入れ替わった。人気モデルの
Wuling Hongguang が 2015 年 1 月の首位から 3 位へとランク
ダウン、-17%の販売減。中国メーカーのコンパクト MPV モデル、
Wuling Hongguang が首位を Toyota Corolla(前年実績
+4.8%)に奪われた。※この販売台数は、Corolla EX、Axio、
Quest そして Rumion を含まず。Corolla のランキングが 1 位にな
った国は少ないが、中国、米国市場(両国でランキング 6 位をキ
ープ)での好調な販売とアジア市場での好調な販売が、2016 年
第一四半期世界ベストセラーとなった。続いて 2 位には、欧州と中
国市場で販売が好調だった。
Volkswagen Golf がランクイン。しかしながら前年実績では-3%の
販売減であった。(中国では増減無し。欧州では-3%の販売減。)
これらの 2 つ市場で、世界販売台数の約 83%を占めており、北
米での販売は、排ガス規制の問題で、-3%販売を落とした。5 位
には、前年実績-8%の 197,000 台を記録した Ford Focus ラン
クイン。トップ 6~10位全てにおいて SUV モデルがランクイン。2015
年第一四半期では、Honda CR-Vのみが Top10入りを果たした。
2016 年は SUV 車種の人気が全ての地域で見受けられ(8 地
域中 7 地域で 2 ケタ増を記録)、トップ 10 モデル中半分は以下
の SUV車種が占めた。小型 SUV モデルの Honda Vezel (aka
XR-V (中国名)、HR-V (米国名))、3 コンパクト SUV モデルの
Toyota RAV4、Honda CR-V、Ford Escape/Kuga、ミッドサイ
ズ SUV モデルの Nissan X-Trail が Top10 入りした。これらの車
種は Honda CR-V (-3%)を除いて 2ケタ増を記録。対照的に兄
弟車の HR-Vは、前年実績+81%の 164,700台と際立った結果
を記録した。
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進化するセグメント
グローバル新車販売台数は、SUV セグメントの好調な販売が貢
献していなければプラスにはならなかった。グローバル新車販売台数
の前年実績+3%のほとんどを SUV 車種が貢献しており、SUV セ
グメント新車販売台数は 2015年第一四半期に記録した 456万
台から 2016 年第一四半期に記録した 560 万台へと大きく増加
した。マーケットシェアでは、2015 年第一四半期に記録した
22.9%から+4.5パーセンテージポイントの 27.4%を占めた。
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その他のセグメントでは、SUV セグメントのプラスの影響を受けてマ
イナス傾向へとシフトしてきている。特に大きく影響を受けたのは、
B-セグメント(2015 年前年実績-1.5 パーセンテージの 12.4%縮
小。)。プラス成長の SUV セグメントとは対照的に、コンパクト車
(C-セグメント)では前年実績-1%の 375 万台であった。中国で
は人気のあるセグメントではあるが、北米市場を筆頭にコンパクト
車(C-セグメント)の需要は落ちてきている。
世界の多くの消費者たちが、コンパクト SUV モデルがより魅力的な
車種と感じており、事実、販売台数が増加している。一方、コンパ
クト車 (C-セグメント)では、-1%販売減を記録。SUV (C-SUV)で
は前年実績+24%と急上昇した。明確にこの販売結果から、自動
車メーカーは顧客の新たなニーズにフォーカスして優先順位を付け
てきていることがわかる。さらに、メインストリーム自動車メーカー各社
は、他のセグメントの需要減にも悩まされいる。例えば、プレミアムコ
ンパクトセグメントでのグローバル販売台数は、前年実績プラスとは
ならなかった。サブコンパクトセグメント(B-セグメント)ではさらに販
売状況が悪化しており、前年実績-9%の 253 万台と欧州市場で
の停滞が響いた。その他 2 ケタ減を記録した国は、中国、南アメリ
カ、インドであった。SUV セグメントの販売が急成長し、サブコンパク
トセグメント(B-セグメント)に影響したことが中国での SUV セグ
メントの販売台数からみてわかる。2015 年第一四半期でのサブコ
ンパクト(B-セグメント)販売台数は、435,900 台。一方 B-
SUV セグメントの販売台数は、255,800 台。2016 年第一四半
期のサブコンパクトセグメント台数は、381,700台(B-セグメント)
と減少。一方 B-SUV セグメントは 385,800 台(B-SUV)と増
加した。世界規模で見るとこのコンパクトセグメント(B-セグメント)
は伸び悩んでおり、トップ 10 ブランド中、6ブランド全てにおいて、
販売減を記録した。ミッドサイズセグメント(D-セグメント)の販売
台数は前年実績-7%の 183 万台と激減した。一方で MPV セグ
メントは前年実績増減なしの結果となったが、ミッドサイズセグメント
(D-セグメント)より多い販売を記録し、グローバルセグメント別販
売台数では、4番目にランクインした。ミニバン・MPVセグメントでは、
好調な販売を記録。これは大型ミニバン・MPV からの高い需要が
(+28%)貢献している。一方、小型ミニバン・MPV (B-MPV)、
コンパクト MPV(C-MPV)では販売が振るわなかった。欧州市
場での人気低迷にもかかわらず、その他の地域、特に、中国そして
北米では販売増を記録した。しかしながら SUV セグメントのような
成長率には届かなかった。A-セグメントの販売台数は、前年実績
大幅減を記録。その主な理由は、A-セグメントの最も大きな市場
である日本での軽自動車の販売減、これは軽自動車に対しての
増税が A-セグメント全体の販売台数に大きく影響を及ぼした(前
年実績-15%)。この結果、軽自動車のセールスポイントの 1 つで
ある「お手頃な価格感」が薄れてきており、多くの消費者は軽自動
車から乗用車へと乗り換えている。またインド、イタリアでの好調な
販売が、日本での販売減を補うことができなかった。その他のセグメ
ントでは、プラスを記録。ピックアップセグメントでは、前年実績+3%
の 114 万台を記録、その約 53%は米国市場からの台数によるも
のである。大型セダン(E-セグメント)では、前年実績を+1%上
回る 534,500 台を記録。ドイツ車メーカーが順位を1位から 3 位
まで独占したものの、全てマイナスを記録した。プラスを記録したの
は米国ビッグスリー(Chrysler、Chevrolet、Ford)と Toyota。ス
ポーツセグメントでは、最も大きなスポーツセグメント市場である米
国で増減なしの記録だったが、スポーツセグメント全体では、前年
実績+11%の 144,700 台と好調な販売を記録した。欧州市場で
は前年実績+35%、日本・韓国市場では+52%を記録した。最後
に、ラクジュエリーセグメント(F-セグメント)の販売台数は、前年
実績を+1%上回る 72,900 台を記録。特に好調だったモデルは、
新型 Hyundai Genesis とプレミアムブランドの新型 BMW7シリー
ズであった。
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SUVにフォーカスしてみると
SUV 系車種が現在自動車業界で最も注目されており、アナリスト
はこの高まる人気は今後もしばらく続くと期待している。2016 年第
一四半期の SUVセグメントグローバル販売台数は急成長しており、
前年実績の販売の伸びはおおよそピックアップセグメント全体の伸
びと類似している。SUV とクロスオーバーは劇的に販売を伸ばして
おり、分析国 52 ヶ国中 2 ヶ国のみ前年実績販売減を記録した。
最も SUV の販売台数を伸ばした国は中国であった。中国全体の
販売台数のうち 38%を SUV が占めた。自動車業界全体では景
気低迷が見受けられているが、SUV セグメントは明確に市場で良
い業績を上げており、前年実績+39%と販売台数を伸ばした。
世界 2 大市場のひとつ、米国では、前年実績+10%記録。中国
と比べるとその差は歴然。(中国:2,039,094 台 vs. 米国:
1,436,405 台)SUV 全体の販売台数は、2015 年第一四半期
に記録した 164,100 台から 2016 年第一四半期では 602,700
台へと劇的に販売を伸ばした。欧州もまたグローバル全体の成長を
大きく占めており、欧州 31 カ国の(ロシア、トルコを含む)販売台
数は前年実績+20%の 111 万台を記録。そのうち 27 ヶ国で 2 ケ
タ増を記録。2015 年第一四半期の欧州 31 ヶ国で販売された自
動車のうち 20%を SUV が占め、2016 年第一四半期では
22.8%までシェアを拡大した。登録台数では英国、欧州市場最大
の SUV マーケットのドイツ、イタリア、フランス、スペインの平均成長
率よりも上回った。
従来のセグメントリーダーが優位にマーケットを占めている一方で、
成長率は減速している。Renault-Nissan が首位を維持している
が、成長率はセグメント全体の半分であった。GM は 2015 年第
一四半期ではトップ 10 ランキング中 2 位であったが、2016 年第
一四半期では、Hyundai に座を奪われた。この韓国車 SUV モデ
ルは全ての地域で 2 ケタ増と堅調に販売を伸ばし、特に新型
Tucson の販売が Hyundai 全体の販売を押し上げた。3 位には
GM が前年実績微増の+1%。米国では-3%を記録したものの中
国での+17%の好調な販売がこのマイナスを補った。続いて
Toyota が 2016 年第一四半期 416,900 台を記録。これは、トッ
プ 10 中 2 番目に大きい成長率を記録した Honda の 4,500 台
よりも多い販売台数であった。Honda の SUV 販売台数は、前年
実績を+27%上回った。牽引役は小型 SUV モデルの HR-V/XR-
V/Vezel。一方 FCA(前年実績+31%)は、引き続き堅調を維
持しており、好調の牽引役は北米で好調な販売を記録した
Cherokee、力強いセールスパフォーマンスを見せた Jeep
Renegade、Fiat 500Xのモデルでした。この結果 FCAは VW グ
ループの成長率 5%を上回った。VW グループは、北米でこそ
+27%と高い伸びを収めたが、同社にとっての 2 大市場、中国と欧
州がそれぞれ 2%成長、4%成長と低い伸びに留まったためである。
続いて 8位には中国メーカーの Great wallがランクイン。BMW が
かろうじて Daimler を抑えてら 9 位にランクイン。10 位には
Daimler が入った。Daimler は前年実績+54%と大幅増となり、9
位の BMW との差を縮めてきている。(BMW: 163,700 台 vs.
Daimler: 156,300台)
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詳細に SUV セグメント見ていくと、SUV 全体の 40%はコンパクト
SUV(C-SUV)が占め、続いてミッドサイズ SUV(D-SUV)が
26%。(前年実績-1%)小型 SUV は前年実績+38%と引き続
き好調を維持している。
一方最も低い伸びを記録したのは E-SUV(前年実績+10%)
であった。欧州市場がほとんどの B-SUV 販売台数に貢献している。
中国・北米市場での B-SUV 販売台数も劇的に伸びており、B-
SUV 全体の販売台数に大きく貢献している。またインド、南アメリ
カでも B-SUV 販売台数は好調。欧州市場が既に成熟しきってい
る一方で、その他の地域ではまだ成長期フェーズかもしれない。C-
SUV は、中国市場が引き続き主な成長源となっており、北米と欧
州を上回っている。北米は引き続きミッドサイズ・大型 SUVの販売
が好調である。また他の地域で好調な販売を記録している SUV
モデルは北米で最初に発表されたモデルである。
プレミアムセグメント
メインストリームブランドがプレミアムセグメントの大半を占めており、
2016年第一四半期のグローバル自動車市場では高い占有率を
占めている。一方、メインストリームブランドが前年実績+2%を記録
し、その他の28ブランドは前年実績+9%販売台数を伸ばし、マー
ケットシェアを2015年第一四半期の10.8%から11.4%へと拡大。
販売台数では215万台以上販売した。プレミアムメーカー別で見る
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と、BMWが471,500台を記録し首位となった。しかしながら、
Mercedes、Volvo、Land Roverの好調な販売が同セグメントを
牽引した。Mercedesは前年同期比+13%を記録。これは、主に
同ブランドのSUVモデル(+54%)の堅調な販売が大きく貢献し
たことが挙げられる。同ブランドの中国での販売は前年同期比
+47%を記録し、最も販売を伸ばした国となった。SUVモデルの人
気が中国の需要を押し上げた結果、MercedesがAudiを上回りプ
リミアムランキング2位にランクインした。Mercedesの販売台数は、
コンパクトSUVのGLA(前年実績+61%)、新型ミッドサイズ
SUVのGLC(36,800台を記録)、大型SUVのGLE/MLクラス
(前年実績+20%)による好調な販売に支えられた。2016年第
一四半期で販売されたMercedes(乗用車)の3分の1は
SUVモデルであった。BMW、Audi両ブランドともに中国での販売の
落ち込みが影響し、緩やかな伸びに留まった。BMWのグローバル
販売は、前年実績+6%を記録し、全体の26%をSUVモデルが占
めた。この反動により、ミッドサイズセダン/SW(-3%)、大型 5/6
シリーズ台数(-12%)がマイナスとなった。しかしながら、BMWの
新型コンパクトMPVの2シリーズ アクティブツアラー・グランツアラーが
グローバル販売の7%を占め、前年実績+57%を記録した。MPVプ
レミアムセグメントでは、ツアラーファミリーが32,200台を記録し、同
セグメントトップとなった。一方Mercedes B-クラスは、前年実績-
9%の25,400台。続いてAudiが前年実績+6%記録し、同セグメ
ント3位にランクインした。これは、中国、北米での緩やかな伸び、そ
して日本、韓国での大幅減が影響している。但し欧州市場では、
前年実績+11%と好調な販売を記録した。また同ブランドは中国
と欧州31ヶ国のプレミアムセグメントでベストセラーとなったが、グロー
バル市場ではBMW、Mercedesの販売が同ブランドを上回った。
その理由は、北米、日本、韓国、東南アジア/オセアニアでの販売
不振が影響している。
Audiグローバル販売の全体の30%はSUVモデルが占めたが、前年
実績では+15%と競合のドイツブランドメーカーほどの伸びには及ば
なかった。しかし同ブランドは、プレミアムC-セグメントで首位となった。
トヨタのプレミアムブランドLexusが、前年実績+8%の142,500台を
記録、ドイツプレミアムブランドメーカー以外でベストセラーとなった。
同ブランドは販売台数の半分以上を北米で稼いでいる一方で、欧
州31ヶ国では僅か11.8%であった。Volvo、Land Roverがそれぞ
れ5位、6位にランクイン。これは両ブランドのSUVモデルによる2ケタ
増の堅調な販売、また米国での好調な販売が両ブランドの販売を
押し上げた。Volvoの2016年第一四半期販売台数の45%は
SUVモデルが占め、前年実績から+11%であった。Land Roverは、
欧州(+22%)、北米(+25%)での好調な販売が中国-台湾
での大幅減(-42%)を補うことができた。トップ15プレミアムブラン
ドランキングに目を向けると、Acuraだけがマイナスを記録した。その
他ブランドで大幅増を記録したのは、Smart、Lincoln、Jaguarで
あった。最もプレミアムブランドの販売が好調な市場は、欧州
(43%)、続いて北米(24%)、中国-台湾(+23%)であった。
セグメント別に目を向けると、SUVセグメントがセグメント全体の
38%の833,300台を記録して首位(前年実績+23%)。ミッドサ
イズセダン/SW(D-セグメント)が前年実績-1%そしてコンパクトセ
グメント(C-セグメント)が前年実績+12%の294,100台と続いた。
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