クロスミキシングテスト用正常血漿としての コアグトロールn … ·...
TRANSCRIPT
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
下 村 大 樹*1,上 田 香 織*2,嘉 藤 伸 一*2,中 村 文 彦*1
*1 公益財団法人 天理よろづ相談所病院 臨床検査部:奈良県天理市三島町 200(〒 632-8552)*2 シスメックス株式会社 ICH ビジネスユニット凝固プロダクトエンジニアリング本部
クロスミキシングテスト用正常血漿としてのコアグトロール N の評価
要 旨
要 旨:クロスミキシングテストで用いられる正常血漿は,各種ガイドラインにおいて血小板数および凝固因子活性の
条件が提示されている.特に,血小板が多く含まれる正常血漿を用いた場合は,ループスアンチコアグラント ( LA )
陽性検体におけるミキシングパターンの判定に影響を及ぼす.今回我々は,日常検査へのクロスミキシングテスト
の普及を目的に,市販の凝固検査キャリブレータ用凍結乾燥血漿であるコアグトロール N ( Coagtrol N:CoagN,
シスメックス株式会社 ( 以下,シスメックス社 ) ) がクロスミキシングテストに使用可能であるかを検討した.
対 象 お よ び 方 法:CoagN は 3 ロ ッ ト ( Lot.021,022,023 ), 対 照 に 自 家 製 プ ー ル 血 漿 ( Homemade pooled normal
plasma:HM ) と CRYOCheck Pooled Normal Plasma ( 以下 PBI,Precision BioLogic Inc. ) を用い,LA 陽性患者 23
検体を測定した.活性化部分トロンボプラスチン時間 ( APTT ) のクロスミキシングテストは,APTT 試薬にトロン
ボチェック APTT-SLA ( シスメックス社 ) を使用し,全自動血液凝固測定装置 CS-2500 ( シスメックス社 ) の自動希
釈機能にて実施した.患者検体のクロスミキシングパターンおよび ICA ( index of circulating anticoagulant:
Rosner Index ),4:1Percent correction ( 4:1% Co ) を求め,各正常血漿について比較した.
結 果および考察:各正常血漿の血小板数は,CD41 を用いたフローサイトメトリーで測定した方法において,いずれ
も< 10 × 109/L を示し,ガイドラインの基準を満たした.患者 23 検体のクロスミキシングパターンは「上に凸」「直
線」および「逆 S 字」のいずれかを呈し,CoagN は HM,PBI と類似したパターンを示した.ICA の中央値は,
CoagN ( Lot.021 ) 28.8,CoagN ( Lot.022 ) 27.9,CoagN ( Lot.023 ) 31.9,HM 23.8,PBI 33.2 であり,正常血漿の
APTT が短い順に高値を示した.ICA ≧ 12 でインヒビターと判定された割合は,それぞれ 100%,96%,100%,
96%,100%であった.4:1% Co の中央値は,それぞれ 9.5,12.5,8.6,12.2,9.9 であり,4:1% Co < 50 でイ
ンヒビターと判定された割合は,いずれの正常血漿も 100%であった.
ま とめ:市販の凝固検査キャリブレータ用凍結乾燥血漿である CoagN はガイドラインで推奨されている自家製プー
ル血漿および市販の凍結血漿と同等の性能を示し,CoagN はクロスミキシングテストの正常血漿として使用できる
と考えられ,日常検査へのクロスミキシングテストの導入に寄与することが示唆された.
キ ー ワ ー ド クロスミキシングテスト,APTT,正常血漿,コアグトロール N
■ 緒 言
活性化部分トロンボプラスチン時間 ( Activated
Partial �romboplastin Time:APTT ) のクロスミキシングテストは,原因不明の APTT延長が内因系凝固因子の低下に起因するのか,凝固因子に対する抗体あるいは凝固反応を阻害する抗体 (インヒビター ) に
1
Web公開日:2017年 1 月 25日
起因するのかを鑑別する検査である 1).クロスミキシングテストに用いる正常血漿は,
Clinical and Laboratory Standards Institute’s ( CLSI ) ガイドライン H-60Aに健常人 20名以上 (男女比同等 ) の自家製プール血漿で,すべての凝固因子活性が 80%以上,血小板数が 10× 109/L未満,ループスアンチコアグラント ( Lupus Anticoagulant: LA ) 陰性であることが
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
推奨されている2).しかし,健常人 20名以上を確保することが困難な施設が多い,我が国のボランティア採血適正化の方向性などから,各検査室で正常血漿を作製することは容易でない.また,国際血栓止血学会
( International Society on �rombosis and Haemostasis:ISTH )
の the Lupus Anticoagulant/Phospholipid-Dependent Antibodies
Subcommittee of the Scienti�c and Standardization Committee
( SSC ) ガイドラインにおける自家製プール血漿の条件も CLSIとほぼ同様の内容が推奨され,さらに市販の凍結乾燥正常血漿または凍結正常血漿も使用可能であると記載されている3).しかし,血小板が多く含まれた正常血漿を使用した場合,LA陽性検体におけるミキシングパターンの判定に影響を及ぼすことが知られており,一部の市販コントロール血漿を用いた場合に判定が不明瞭になったと報告されている4).クロスミキシングテストを日常検査に導入している施設は増加傾向にはあるが,まだ多くない現状があり,多数の検査室で用いられている市販凍結乾燥血漿がクロスミキシングテストに使用できれば,クロスミキシングテストの普及につながる.今回我々は,市販の凝固検査キャリブレータ用凍
結乾燥血漿であるコアグトロール N ( Coagtrol N:CoagN,シスメックス社 ) がクロスミキシングテストに使用可能であるかを検討した.
■ 対 象
1.正常血漿市販凍結乾燥血漿であるCoagNを 3ロット ( Lot.021,
022,023 ),対照として自家製プール血漿 ( Homemade
pooled normal plasma:HM ),市販凍結血漿であるCRYOCheck Pooled Normal Plasma (以下 PBI,Precision
BioLogic Inc. ) 1 ロット ( Lot.A1157 ) を評価した.CoagNは精製水 1mLにて溶解し 30分間室温静置後に使用した.HMは,健常人ボランティア 20名 (男性 9名,女性 11名,21~ 56歳 ) の 3.2%クエン酸ナトリウム加血を採取し,2,000× g 10 分間 20℃で遠心後,APTT,プロトロンビン時間 ( Prothrombin
Time:PT ) およびフィブリノゲンを測定して基準範囲内であることを確認した.それらの上清をプールし,再度 2,000× g 10分間 20℃で遠心後,上清を分
2
取した.次に,その上清の血小板数を多項目自動血球分析装置 XN-3000 ( XN-3000:シスメックス社 ) にて測定,10× 109/L未満であることを確認し,マイクロチューブに 1 mLずつ分注して,- 75℃で保存した.HMおよび PBIは,使用時に随時 37℃の恒温槽で 5分間融解し用いた.
2.患者検体抗リン脂質抗体症候群 ( Antiphospholipid Syndrome:
APS ) と診断,または血栓症を発症あるいは血栓の存在が疑われ APSが示唆されている LA陽性患者 23名から得たサンプルを用いた.採血は 3.2%クエン酸ナトリウム採血管に採取,2,000× g 10 分間 20℃で遠心し,バフィーコート付近を採取しないようにプラスチックチューブに上清を分注する作業を 2回繰り返して- 75℃で保存した.LA活性は,希釈ラッセル蛇毒時間 ( Diluted Russell Viper Venom Time:dRVVT )
試薬である LAテスト「グラディポア」 ( MBL医学生物学研究所 ) を用い,健常人 29名から求めたカットオフ値より高値を示すことを確認した.
■ 方 法
1.試薬および測定機器APTT試薬はトロンボチェック APTT-SLA ( SLA:
シスメックス社 ),PT試薬はトロンボレル S ( Siemens
Healthcare Diagnostics Inc.),フィブリノゲン試薬はトロンボチェック Fib ( L ) (シスメックス社 ),dRVVTによる LA活性測定試薬は LAテスト 「グラディポア」を用いた.凝固因子活性は,凝固第Ⅻ,Ⅺ,Ⅸ,Ⅷ因子が因子欠乏血漿とActin FSL (いずれも Siemens Healthcare
Diagnostics Inc.) の組み合わせ,凝固第Ⅹ,Ⅶ,Ⅴ,Ⅱ因子が因子欠乏血漿 ( Siemens Healthcare Diagnostics Inc.)
とトロンボレル Sの組み合わせにて測定した.測定機器は全自動血液凝固測定装置 CS-2500 ( CS-2500:シスメックス社 ) を用いた.
2.血小板数測定正常血漿中の血小板数は,試料と血小板特異抗体
であるMonoclonal Mouse Anti-Human CD41 ( gpIIb )
( 5B12 )/FITC ( DAKO,Denmark ) を 30分間室温暗
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
所で反応させ,BD Trucount Tubes ( Becton,Dickinson
and Company,U.S.) を用い, CyFlowⓇ Cube8 ( Sysmex
Partec GmbH,Deutschland ) にて計測した.Negative
ControlとしてMonoclonal Mouse Anti-Human IgG1/FITC
( DAKO,Denmark ) を用いた.
3.クロスミキシングテスト正常血漿と患者血漿の混合比率は 10:0,9:1,8:2,
5:5,2:8,0:10の 6ポイント (患者血漿比率 0,10,20,50,80,100% ) とし,それぞれの APTT
を測定した.正常血漿は 3ロットの CoagN,HM,PBIの 5種類を用いた.患者血漿と正常血漿の混合は CS-2500の自動希釈機能にて行った.
4.ICA ( index of circulating anticoagulant:Rosner Index ) の算出とカットオフ値患者 23検体の ICA を ( b- c ) / a× 100 の式よ
り算出し5),各正常血漿の比較を行った.aは患者血漿の APTT,b は正常血漿と患者血漿を 1:1混合した血漿の APTT,cは正常血漿の APTTを示す.カットオフ値は Kumanoらの報告より 95th percentileを超えた 12とした6).
5.4:1 Percent Correction ( 4:1% Co ) の算出とカットオフ値患者 23検体の 4:1% Co を ( a- d )/ ( a- c ) ×
Platelet Counts (/L)PT (sec)PT (%)APTT (sec)Factor Ⅻ (%)Factor Ⅺ (%)Factor Ⅸ (%)Factor Ⅷ (%)Factor Ⅹ (%)Factor Ⅶ (%)Factor Ⅴ (%)Factor Ⅱ (%)
Fibrinogen (mg/dL)
CoagN(Lot.021)0.00×109
12.49528.5871241069490949886294
CoagN(Lot.022)1.00×1012.39728.983929885871028582269
表1.正常
100の式より算出し7),各正常血漿の比較を行った.aは患者血漿の APTT,cは正常血漿の APTT,dは正常血漿と患者血漿を 1:4混合した血漿の APTTを示す.カットオフ値はChangらの報告より50%とした7).
6.Statistical AnalysisICA,4:1% Coを比較した統計検定はWilcoxon
signed-rank test を JMP 11 ( SAS Institute Inc.) ソ フ トウェアを用いた.危険率は 0.05とし,p< 0.05を統計的に有意差があると判定した.
■ 結 果
1.正常血漿の血小板数および凝固因子活性血小板数は,CoagN ( Lot.021 ),CoagN ( Lot.022 ),
CoagN ( Lot.023 ),HM,PBIでそれぞれ 0.00× 109/L,1.00 × 109/L,0.01 × 109/L,0.02 × 109/L,0.03 ×109/L であり,APTT はそれぞれ 28.5sec,28.9sec,28.3sec,31.3sec,27.3secであった.PT,フィブリノゲンはいずれの正常血漿においても基準値範囲内であった.凝固因子活性は,PBIがすべての因子において 100%以上の活性を示し,CoagN 3ロットのすべての因子が 80%以上であった.一方,HMは第Ⅴ因子,第Ⅻ因子がそれぞれ 76%,77%と 80%より低かったが,他の因子はすべて 90%以上を示した
( 表1).
3
9
CoagN(Lot.023)0.01×109
12.49528.38211910797871029783283
HM
0.02×109
11.710731.376949096921037792235
PBI
0.03×109
11.610927.3112124122121104118113103283
血漿の性状
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
2.dRVVT のカットオフ値健常人ボランティア 29名 (男性 13名,女性 16名,
21~ 56歳 ) における低濃度リン脂質を含む LA1試薬と過剰のリン脂質を含む LA2試薬を用いた凝固時間の比 ( LA1/ LA2 ) は,平均 1.05,中央値 1.04,標準偏差 0.063,基準範囲 0.955~ 1.147となり,LA1/LA2のカットオフ値を 1.15に設定した.本検討で求められたカットオフ値は既報とほぼ同様の値を示した8).
3.患者検体の dRVVT および APTT患者 23検体の dRVVTの LA1/LA2は 1.25~ 2.43,
APTTは 39.7~ 77.4sec (当検査室の基準範囲 23.0~35.0sec ) であった (表2).LA1/LA2の分布は1.25~1.50が 5検体,1.51~ 2.00が 10検体および 2.01~ 2.50が 8検体であった.APTTの分布は 35.1~ 39.9 secが1検体,40.0~ 49.9 secが 7検体,50.0~ 59.9 secが
4
No.
1234567891011121314151617181920212223
LA1/L
1.941.921.552.021.862.051.401.672.432.291.702.391.772.282.392.071.451.531.481.351.251.971.72
表2.患者検体の LA1/
8検体,60.0~ 69.9 secが 2検体,70.0~ 79.9 secが5検体であった ( 表2).
4.クロスミキシングテストのパターン患者 23検体のパターンは,患者血漿比率 0%と100%を結ぶ直線より 10,20,50,80%のすべてが上になる「上に凸パターン」,患者血漿比率 10,20,50,80%が直線に近似する「直線パターン」および患者血漿比率 10,20%が上に凸で 50,80%が直線に近似する「逆 S字パターン」のいずれかを呈し,それぞれ 12検体 ( No.1 ~ 12 ),10検体 ( No.13 ~22 ),1検体 ( No. 23 ) であった.典型的なパターンを図1に示す.各正常血漿別における患者 23検体のクロスミキシングパターンは,推奨されているPBIや HMと CoagNの 3ロットのパターンがすべてよく類似した.なお,すべての患者のクロスミキシングパターンは Supplementとして最後に提示した.
A2APTT(sec)71.852.274.977.449.943.267.646.063.772.152.656.254.244.946.873.552.143.939.742.252.856.152.1
LA2 (dRVVT),APTT
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
5
No.1
No.15
No.23 CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM
HM
PBI
25
30
35
40
45
50
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
図1.患者検体のクロスミキシングテストのパターン
No.1:上に凸パターン,No.15:直線状パターン,No.23:逆 S字 (シグモイド ) パターン
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
5.ICA の比較患者 23検体における各正常血漿の ICAを表3に示す.ICA≧ 12をインヒビター陽性と判定した.ICA
の中央値 ( 25~ 75パーセンタイル値 ) は,CoagN
( Lot.021 ),CoagN ( Lot.022 ), CoagN ( Lot.023 ),HM,PBIのそれぞれ 28.8 ( 21.2~ 41.8 ),27.9 ( 19.1~ 37.9 ),31.9 ( 20.9~ 42.7 ),23.8 ( 17.8~ 33.9 ),33.2 ( 24.3~ 43.8 ) であった.CoagN は HM に比べLot.021,022,023 すべてで有意に高値 ( p< 0.001 )
6
No.
1234567891011121314151617181920212223最大値
75 パーセンタイル値中央値
25パーセンタイル値最小値
CoagN(Lot.021)56.344.256.852.136.423.945.128.839.345.128.033.832.422.720.934.125.320.813.921.418.918.019.356.841.828.821.213.9
Coag(Lot.0252.940.751.250.435.022.641.424.535.940.027.930.028.420.119.030.722.117.611.917.419.216.718.652.937.927.919.111.9
表3.正常血
となり,PBIに比べ Lot.022のみ有意に低値を示した
( p< 0.001 ) ( 図2).ICA≧ 12でインヒビター陽性と判定された割合は,
CoagN ( Lot.021 ),CoagN ( Lot.022 ), CoagN ( Lot.023 ),HM,PBIのそれぞれ 100% ( 23/23 ),96% ( 22/23 ),100 % ( 23/23 ),96 % ( 22/23 ),100 % ( 23/23 ) であった.CoagN ( Lot.022 ) と HMで ICA< 12となった患者検体 No.19は直線パターンを呈した ( 図3).
N2)
ICACoagN(Lot.023)57.447.558.352.037.925.145.830.239.945.531.934.635.022.820.834.025.321.113.620.619.517.819.258.342.731.920.913.6
HM
49.638.748.249.932.119.939.521.132.835.026.224.023.818.516.230.319.012.59.112.319.113.217.149.933.923.817.89.1
PBI
53.843.852.551.743.024.544.333.243.844.333.134.536.128.325.235.324.123.116.618.719.416.528.153.843.833.224.316.5
漿別の ICA
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
7
P90
P75
P25
P10
Median
0
CoagN
(Lot.021)
CoagN
(Lot.022)
CoagN
(Lot.023)
HM
PBI
10
20
30
40
50
60
70
ICA
*p < 0.001
* *
* *
*
図2.正常血漿別の ICA の比較
BOXは 25~ 75パーセンタイル値を,BOX内の横線は中央値を示すBOX外の横線は 90パーセンタイル値および 10パーセンタイル値を示す
No.19 CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
図3.患者検体 No.19 のクロスミキシングテストのパターン
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
6.4:1% Co の比較患者 23検体における各正常血漿の 4:1% Coを表4
に示す.4:1% Co< 50をインヒビター陽性と判定した.4:1% Coの中央値 ( 25~ 75パーセンタイル値 ) は,C oa g N ( L ot .021 ),C oa g N ( L ot .022 ), C oa g N
( Lot.023 ),HM,PBIのそれぞれ 9.5 ( 6.6~ 16.1 ),12.5 ( 8.9 ~ 17.5 ),8.6 ( 5.6 ~ 14.9 ),12.2 ( 9.1 ~18.9 ),9.9 ( 6.8~ 13.7 ) であり,CoagNは HMに比
8
No.
1234567891011121314151617181920212223最大値
75 パーセンタイル値中央値
25パーセンタイル値最小値
CoagN(Lot.021)2.11.71.75.05.28.57.26.510.37.815.79.58.513.116.419.114.110.816.76.826.324.823.026.316.19.56.61.7
CoagN(Lot.0223.83.35.75.84.811.610.29.513.510.013.911.212.515.417.121.018.815.417.98.325.428.723.328.717.512.58.93.3
表4.正常血漿別
べ Lot.021および Lot.023で有意に低値 ( p< 0.05 ),PBIに比べ Lot.023で有意に低値を示した ( p< 0.05 )
( 図4).4:1% Co< 50%でインヒビター陽性と判定された割合は,すべての正常血漿で 100%
( 23/23 ) であり,CoagN ( Lot.022 ) と HMで ICA<12となった患者検体 No.19の 4:1% Coは,それぞれ 17.8%.12.5%とインヒビター陽性と判定された.
)
4:1%CoCoagN(Lot.023)4.2-2.40.43.12.88.36.45.110.27.812.46.68.614.015.717.916.610.112.56.227.525.921.927.514.98.65.6-2.4
HM
3.7-0.54.94.13.810.97.511.112.112.211.719.312.410.717.818.420.620.512.516.222.130.224.030.218.912.29.1-0.5
PBI
4.82.38.16.50.913.97.26.17.99.912.512.88.43.513.519.619.212.98.513.428.732.128.632.113.79.96.80.9
の 4:1%Co
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
*p < 0.05
-10
0
10
20
30
40
50
*
* *
P90
P75
P25
P10
MedianCoagN
(Lot.021)
CoagN
(Lot.022)
CoagN
(Lot.023)
HM
PBI
4:1%Co
図4.正常血漿別の 4:1%Co 値の比較
BOXは 25~ 75パーセンタイル値を,BOX内の横線は中央値を示すBOX外の横線は 90パーセンタイル値および 10パーセンタイル値を示す
■ 考 察
内因系および共通系凝固因子活性を総合的に反映する APTTに延長を認めた場合,その要因の多くはヘパリン,アルガトロバン,合成プロテアーゼインヒビターなどの薬剤に起因する.さらに,近年上市された直接経口抗凝固薬 ( Direct oral Anticoagulants:DOACs )
も APTTを延長させることが報告されている9).また,重症肝障害および栄養不良による凝固因子産生不良,播種性血管内凝固症候群 ( Disseminated Intravascular
Coagulation Syndrome:DIC ) および血栓による凝固因子の消費により延長を認める.他の検査項目,患者背景および投薬履歴から上記の要因に合致しない場合,凝固因子の低下およびインヒビターの存在を疑う必要があり,LA活性,凝固因子活性および凝固因子インヒビター力価の測定を実施し,要因を明らかにする 10,11).しかし,それらの検査は APTTに比べ日常検査として実施している検査室が著しく少ない.
9
一方,クロスミキシングテストは APTTを測定する装置があれば他の試薬を購入しなくても検査が可能であり,2008年に保険収載されたこと,近年数機種の全自動血液凝固測定装置は患者血漿と正常血漿の混合,APTT測定,グラフ作成,ICAなどの数値パラメータの計算までを自動で一括に行える機能を搭載したことから,各検査室で簡便に実施できる環境が整ってきた.クロスミキシングテストの重要な留意点の一つと
して正常血漿の選択がある.正常血漿に存在する血小板のリン脂質が問題となり 12),特に LA陽性検体に影響を及ぼす.LAはリン脂質に対する抗体の一つであり,APTT試薬中のリン脂質を阻害して APTT
を延長させる.APTT試薬中のリン脂質は一定量であり,正常血漿に血小板が存在するとリン脂質の量が増加し,LAのリン脂質阻害作用が相対的に低下する.そのため,LA による APTT延長が実際よりも短縮し,クロスミキシングパターンに影響を及ぼす.
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
これより,血小板含有の少ない正常血漿を使用することが必須であり,各種ガイドラインは血小板数 10× 109/L未満を推奨している2,3).しかし,各種ガイドラインにおける条件に準拠した自家製プール血漿を各検査室で作製することは容易でない.また,一部の市販コントロール血漿は,血漿中の血小板由来リン脂質が凝固時間の短縮に関与したと推察されている4).クロスミキシングテストを実施する環境は整って
きたが,日常検査に導入している検査室は多くなく,その要因の一つに正常血漿を選択する難しさが挙げられる.そこで今回,市販の凝固検査キャリブレータ用凍結乾燥血漿である CoagNがクロスミキシングテストの正常血漿として使用可能であるかを検討した.
CoagNの対照として,クロスミキシングテストの正常血漿として有用性が報告されている HMと PBI
とを用いた.CoagNはロットの違いによる血小板数および凝固因子活性の差異を調べるため,3ロットを用いた.すべての正常血漿の血小板数はいずれも<10× 109/Lであり,ガイドラインの基準を満たした.PT,APTT,フィブリノゲンはいずれも正常,凝固因子活性は PBI,CoagN 3ロットのすべての因子が80%以上であったが,HMは第 V因子,第Ⅻ因子がそれぞれ 76%,77%と 80%未満となった.その要因として,HMを作製する工程に 4~ 5時間費やしたため,不安定な因子である第Ⅴ因子活性が 80%以下になったと考えられた.一方,第Ⅻ因子に関して,Gordon らは白人に比べアジア人の第Ⅻ因子活性が低いと報告している 13).本検討の HMは日本人のプール血漿であり,アジア人が原料であるため,第Ⅻ因子活性が 80%以下になったと推察された.しかし,クロスミキシングテストにおいてミキシングパターンが他の血漿を使用した場合と同等であったため,第 V因子 76%,第Ⅻ因子 77%は凝固因子を補充するためには十分な活性を有していると考えられた.患者 23検体の dRVVTの LA1/LA2,APTTともに
幅広い分布を示し,LA検出のクロスミキシングテストの評価に適当であると考えられた.ミキシングパターンとして,即時反応 (混合直後 ) および遅延反応 ( 37℃,2時間インキュベーション後 ) がともに「上に凸」または「直線上」であれば LAの可能性が
10
高いとされる 14).本検討では検体量が十分になかったため,遅延反応を実施できなかったが,即時反応は患者 23検体中 22検体が「上に凸」または「直線上」を呈し,残りの 1検体は「上に凸」と「直線上」の混合型で,いずれも LAに相違ないパターンであり,CoagNと PBI,HMのパターンはすべての検体で類似し,視覚的な判定に差異を認めなかった.正常血漿の客観的な評価には,1987年に報告された ICA ( Rosner Index ) 5)と 2002年に報告された 4:1%Co7)の代表的な 2つの数値パラメータを用いた.ICAの中央値は,PBI> CoagN ( Lot.023 ) > CoagN
( Lot.021 ) > CoagN ( Lot.022 ) > HMの順に高く,1検体 ( No.19 ) のみが CoagN ( Lot.022 ) と HMでインヒビター陰性と判定された.その検体 No.19のクロスミキシングカーブは凝固因子欠乏パターンと異なる直線パターンを示した.検体 No.19の ICAがCoagN ( Lot.022 ) とHMでインヒビター陰性になった要因として,正常血漿の APTTの影響が考えられる.各正常血漿の APTTは,ICA中央値の高い順に短く,最も短い PBI ( 27.3sec ) と最も長い HM ( 31.3sec ) に4 secの差を認めた.ICAを求める式は,患者血漿と正常血漿を 1:1混合した血漿の APTTを正常血漿の APTTで差し引いた値を,患者血漿の APTTで除するため,正常の APTTが長くなるに伴い分子が小さくなり,5つの正常血漿の中で APTTの長いCoagN ( Lot.022 ) と HMの ICAが< 12になったと考えられた.ICAにおけるカットオフ値は APTT試薬により異なることが報告されている6).本検討で使用した APTT試薬である SLAは LA反応性の高い試薬であり 15),SLAを用いた ICAのカットオフ値は既報を参考に 12と設定した6).しかし,その値は正常血漿に PBIを用いた値であり,各正常血漿におけるカットオフ値を設定すればインヒビターと判定されたかもしれない.一方,4:1% Coはいずれの正常血漿を用いた場合も患者 23検体すべてがインヒビター陽性と判定された.その中央値は CoagN ( Lot.023 ) < CoagN
( Lot.021 ) < PBI< HM< CoagN ( Lot.022 ) の順に低く,ICAの順序と異なった.また,4:1% Coの正常血漿間の差異は ICAよりも小さかった.これは4:1% Coを求める式が,患者血漿の APTTから正
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
常血漿と患者血漿を 1:4混合した血漿の APTTを差し引いた値を,患者血漿の APTTを正常血漿のAPTTで差し引いた値で除するため,正常血漿のAPTTによる影響が軽減し,差異が小さくなったと考えられた.検体 No.19の CoagN ( Lot.022 ) と HM
の 4:1% Coはそれぞれ 17.8%.12.5%であり,ICAと 4:1% Coを合わせて判断することにより,いずれの正常血漿を用いてもインヒビターの存在を疑えると考えられた.これより,CoagNは HMおよび PBIと同等の性能
を示し,クロスミキシングテスト用の正常血漿として使用可能であることが示唆された.なお,本検討は一施設において実施した内容であ
り,他施設での評価を期待したい.また,CoagNは3ロットのみの評価であり,継続的な使用を可能にするため,他の凝固線溶項目の表示値に加えて血小板数関連の指標の記入が期待される.
■ 結 論
市販のキャリブレータ用凍結乾燥血漿 CoagNのクロスミキシングテスト用正常血漿としての適正を評価した.正常血漿に含まれる血小板による影響が大きい LA陽性検体を用いてクロスミキシングテストを実施したところ,クロスミキシングテスト用正常血漿として評価されている PBI,CLSI および ISTH-SCCで推奨されている HMと同等の性能を示し,クロスミキシングテスト用の正常血漿として使用できると考えられ,日常検査へのクロスミキシングテストの導入に寄与することが示唆された.
参 考 文 献参 考 文 献
1) 小宮山豊 他 . トピックス : 凝固検査の進歩―クロス
ミキシング試験を中心に― ( 1 ) ~ ( 4 ). Rinsho Byori.
2009 ; 57 ( 10 ) : 987-1012
2) Clinical Laboratory Standards Institute. Laboratory Testing
for the Lupus Anticoagulant ; Approved Guideline. CLSI
document H-60A. CLSI : Wayne, PA, 2014
3) Pengo V, et al. Subcommittee on Lupus Anticoagulant/
11
Ant iphosphol ip id Ant ibody o f the Sc i ent i f i c and
Standardization Committee of the International Society on
Thrombosis and Haemostasis. Update of the guidelines for
lupus anticoagulant detection. J �romb Haemost. 2009 ;
7 : 1737-1740
4) 家子正裕 他 . 交差混合試験における混合比率および
コントロール血漿に関する検討―コアプレスタミキシ
ング研究会における結果報告 (第 1報 ) ―. 検査血液
学会誌 . 2011 ; 12 ( 3 ) : 312-322
5) Rosner E, et al. Detection and quantitative evaluation of
lupus circulating anticoagulant activity. Thromb Haemost.
1987 ; 57 : 144-147
6) Kumano O, et al. Verification of the guidelines for lupus
anticoagulant detection : usefulness of index for circulating
anticoagulant in APTT mixing test. Thromb Res. 2014 ;
134 : 503-509
7) Chang SH, Tillema V, Scherr D. A "percent correction"
formula for evaluation of mixing studies. Am J Clin Pathol.
2002 ; 117 : 62-73
8) McGlasson DL, Fritsma GA. Comparison of six dilute russell
viper venom time lupus anticoagulant screen/confirm assay
kits. Semin �romb Hemost. 2013 ; 39 : 315-319
9) Favaloro EJ, Lippi G. �e new oral anticoagulants and the
future of haemostasis laboratory testing. Biochemia Medica.
2012 ; 22 : 329-341
10 ) Kershaw G, Favaloro EJ. Laboratory identi�cation of factor
inhibitors : an update. Pathology. 2012 ; 44 : 293-302
11 ) Moore GW. Recent guidelines and recommendations for
laboratory detection of lupus anticoagulants. Semin �romb
Hemost. 2014 ; 40 : 163-171
12 ) Triplett DA. Screening for the lupus anticoagulant. Ric Clin
Lab. 1989 ; 19 : 379-389
13 ) Gordon EM, et al. Reduced titers of Hageman factor ( factor
XII ) in Orientals. Ann Intern Med. 1981 ; 95 ( 6 ) : 697-700
14 ) 家子正裕 . ループスアンチコアグラント . スタンダー
ド検査血液学 3版 . 医歯薬出版 . 2014 ; 173-175
15 ) Kumano O, et al. APTT reagent with ellagic acid as activator
shows adequate lupus anticoagulant sensitivity in comparison
to silica-based reagent. J Thromb Haemost. 2012 ; 10 :
2338-2343
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
12
No.1
No.2
No.3
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.4
No.5
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.6
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
25
30
35
40
45
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
55
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
35
45
55
65
75
85
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
Supplement ① 患者全検体のクロスミキシングテストのパターン (No.1 ~ 6)
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
13
No.7
No.8
No.9
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.10
No.11
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.12
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
35
45
55
65
75
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
Supplement ② 患者全検体のクロスミキシングテストのパターン (No.7 ~ 12)
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
14
No.13
No.14
No.15
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.16
No.17
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.18
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 9010025
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
35
45
55
65
75
85
25
35
45
55
65
75
85
25
35
45
55
65
75
85
25
35
45
55
65
75
85
25
35
45
55
65
75
85
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
Supplement ③ 患者全検体のクロスミキシングテストのパターン (No.13 ~ 18)
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
15
No.19
No.20
No.21
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
CoagN (Lot.021) CoagN (Lot.022) CoagN (Lot.023) HM PBI
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
No.22
No.23
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
APTT (sec)
Plasma Sample (%)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
0 10 20 30 40 50 60 70 80 901000 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90100
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
50
55
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
25
30
35
40
45
50
55
60
Supplement ④ 患者全検体のクロスミキシングテストのパターン (No.19 ~ 23)
Sysmex Journal Web Vol.18 No.1 2017
16
Background: The selection of normal plasma is an important factor in mixing tests used for the detection of lupus
anticoagulant (LA), since residual platelets (phospholipids) can shorten clotting time, which affects the mixing
test results. Here, we investigated whether Coagtrol N (CoagN), a type of commercially available lyophilized
plasma, can be used as normal plasma in mixing tests for widening the use of cross mixing tests.
Methods: Three lots of CoagN were evaluated using plasma samples from 23 LA-positive patients. Pooled Normal
Plasma (PBI) and homemade pooled normal plasma (HM) were used as controls. Mixing tests were performed
with six mixing ratios (10:0, 9:1, 8:2, 5:5, 2:8, 0:10) of normal plasma to patient plasma. The activated partial
thromboplastin time (APTT) of the mixing test samples was measured, and the index of circulating anticoagulant
(ICA) and the 4:1 mix percent correction (4:1%Co) were compared.
Results: The platelet count for all normal plasma, obtained using a platelet specific monoclonal mouse anti-
human CD41 was < 10×109/L. The median of ICA in the 23 patient plasmas was 28.8, 27.9, 31.9, 23.8, 33.2 for
CoagN (Lot.021), CoagN(Lot.022), CoagN (Lot.023), HM and PBI, respectively. All the CoagN lots had significantly
higher ICA than HM and CoagN (Lot.022) alone had significantly lower ICA than PBI (p < 0.001). The proportions of
patient plasmas assessed as inhibitor positive because of ICA ≥ 12 were respectively 100%, 96%, 100%, 96% and
100% for CoagN(Lot.021), CoagN (Lot.022), CoagN (Lot.023), HM and PBI. The median of 4:1%Co in the 23 patient
plasmas was 9.5, 12.5, 8.6, 12.2, 9.9 for CoagN (Lot.021), CoagN(Lot.022), CoagN (Lot.023), HM and PBI,
respectively. The proportion of patient plasmas assessed as inhibitor-positive because of 4:1%Co <50 was 100%
for all the normal plasma.
Conclusion: CoagN had no significant impact on the detection of inhibitors compared to PBI and HM; therefore,
we conclude that CoagN can be used as a substitute for normal plasma in mixing tests. We believe that the
findings of this study will contribute to the widespread use of mixing tests.
Evaluation of Coagtrol N as Normal Plasma for Mixing Tests
APTT, Coagtrol N, ICA, 4:1%Co, Mixing Test, Normal PlasmaK e y W o r d s
Daiki SHIMOMURA*1, Kaori UEDA*2, Sinichi KATO*2 and Fumihiko NAKAMURA*1
*1 Department of Laboratory Medicine, Tenri Hospital, 200 Mishima, Tenri, Nara, Japan 632-8552*2 Hemostasis Product Engineering, Sysmex Corporation
S U M M A R Y