プログラム・抄録集 ·...

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第55回日本呼吸器学会 中国・四国地方会 第55回日本肺癌学会 中国・四国支部会 プログラム・抄録集 会 期 2016 年 7 月 9 日(土) 会 場 広島大学医学部(霞キャンパス) 会 長 第55回日本呼吸器学会 中国・四国地方会 中野 喜久雄 (国立病院機構呉医療センター・ 中国がんセンター 副院長) 第55回日本肺癌学会 中国・四国支部会 河野 修興 (広島大学 名誉教授・広島都市学園大学 学長)

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第55回日本呼吸器学会 中国・四国地方会第55回日本肺癌学会 中国・四国支部会

プログラム・抄録集■ 会 期 2016年7月9日(土)

■ 会 場 広島大学医学部(霞キャンパス)

■ 会 長 第55回日本呼吸器学会 中国・四国地方会

中野 喜久雄 (国立病院機構呉医療センター・          中国がんセンター 副院長)

第55回日本肺癌学会 中国・四国支部会

河野 修興 (広島大学 名誉教授・広島都市学園大学 学長)

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交通案内

JR広島駅

市役所●市役所●

バスセンター●

バスセンター●

2号線

平和大通り比治山比治山

広島大学医学部

●県庁●県庁

JR横川駅

JR西広島駅

〈バス路線のご案内〉 広島駅から  大学病院行き,終点下車       約20分 横川駅から  大学病院行き,終点下車       約40分 西広島駅から 大学病院経由旭町行き,大学病院下車 約30分

〈タクシーのご案内〉 広島駅から 約15分

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霞総合研究棟

臨床研究棟臨床第2研究棟

霞体育館

自然科学研究支援開発センター生命科学実験部門

霞図書館

緊急被ばく医療推進センター

研究棟B 霞会館

(食堂・売店)

基礎・社会医学棟

診療棟

入院棟

医学資料館医学資料館

研究棟A

研究棟C

薬学部附属薬用植物園広仁会館広仁会館

臨床管理棟

中央研究棟

広島大学病院ファミリーハウス

共用棟1

共用棟2

基礎講義棟基礎講義棟

臨床講義棟臨床講義棟

講義棟D

総合受付PCセンター

PCセンター

第4会場第2講義室第4会場第2講義室

第5会場第1講義室第5会場第1講義室

第3会場第3講義室第3会場第3講義室

情報教育演習室(1)

情報教育演習室(2)

第1会場第5講義室第1会場第5講義室

第2会場第4講義室第2会場第4講義室

会場案内図

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1.参加受付日 時:7月9日(土) 8:30~場 所:広島大学医学部 臨床講義棟 1F ロビー参加費:2,000円(初期研修医、メディカルスタッフ、学生は参加無料)プログラム・抄録集:1,000円<参加証>受付時にお渡しする参加証(兼出席証明書・領収書)に所属・氏名をご記入ください。会期中は必ずご着用ください。参加証を着用しておられない方のご入場はお断りいたします。

2.参加登録について〈会員カード持参のお願い〉日本呼吸器学会員の方は、会員カードをご持参ください。 カードのバーコードを読み込んで参加登録を行います。 *日本呼吸器学会専門医の方は地方会出席で5単位+筆頭演者には更に3単位加算されます。

〈スマートフォンでのWeb会員証表示について〉スマートフォンでWeb会員証が表示できるようになりました。スマートフォンから日本呼吸器学会ホームページの会員専用ページにアクセスしてください。会員カードの代わりに会員専用ページ内に表示されるWeb会員証(バーコード)でも参加登録が可能です。詳細は学会ホームページ(http://www.med-gakkai.org/jrs-cs55/)をご確認ください。

3.呼吸器セミナー第23回呼吸器セミナーでは、「第23回呼吸器セミナー受講証明書」を配布いたします。日本呼吸器学会研修単位認定の申請時に必要となりますので、必ずお受け取りください。再発行はいたしません。

4.開催予定●合同幹事会日 時:7月8日(金) 19:00~21:00会 場:ホテルグランヴィア広島 3F 天平●合同代議員・評議員会日 時:7月9日(土) 11:45~12:15会 場:広島大学医学部 臨床講義棟 1F 第5講義室(第1会場)

5.クローククロークはございません。貴重品等はくれぐれも自己管理でお願い致します。

6.企業展示会場企業展示は、広島大学医学部 基礎講義棟 1F ロビーに設置しております。

7.紛失物忘れ物、落し物は、広島大学医学部 臨床講義棟 1F 『総合受付』にてお預かりいたします。

参加者へのご案内

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8.その他注意事項会場内での携帯電話のご使用はご遠慮ください。入場の際は電源を切るか、マナーモードの設定をお願いいたします。会場内でのビデオ・写真撮影はお断りいたします。館内は禁煙となっております。会場内での呼び出しは一切行いません。

9.お問い合わせ先≪主催事務局≫ 第55回日本呼吸器学会中国・四国地方会/第55回日本肺癌学会中国・四国支部会 合同事務局 広島大学大学院 分子内科学 〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3 TEL:082-257-5196 FAX:082-255-7360

≪運営事務局≫ 株式会社メッド 〒701-0114 岡山県倉敷市松島1075-3 TEL:086-463-5344  FAX:086-463-5345 E-mail: [email protected](第55回日本呼吸器学会) [email protected](第55回日本肺癌学会) URL: http://www.med-gakkai.org/jrs-cs55/(第55回日本呼吸器学会) http://www.med-gakkai.org/jlcs-cs55/(第55回日本肺癌学会)

≪会期中のお問い合わせ先≫ 広島大学医学部(霞キャンパス) 〒734-8553 広島県広島市南区霞1丁目2番3号 TEL:082-257-5555

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1)利益相反の開示について日本呼吸器学会、日本肺癌学会では当日の学会発表に際して、発表者(演者)に対し、利益相反(COI)の開示をお願いしております。 つきましては、ご講演スライドには必ず利益相反について記載いただきますようお願いいたします。COI自己申告基準について、下記URLよりご確認のうえ、利益相反に関するスライドを発表スライドに入れてください。<日本呼吸器学会> http://www.jrs.or.jp/modules/about/index.php?content_id=31<日本肺癌学会>  https://www.haigan.gr.jp/modules/about/index.php?content_id=13

2)発表時間について座長の進行のもと、時間厳守をお願いいたします。<呼吸器学会>・一般演題  (発表5分・質疑応答3分)・研修医演題 (発表5分・質疑応答3分)<肺癌学会>・一般演題  (発表5分・質疑応答3分)・研修医演題 (発表5分・質疑応答3分)

3)発表データ受付場所:[第1・2会場] 広島大学医学部 臨床講義棟 1F [第3~5会場] 広島大学医学部 基礎講義棟 1F時間:8:30~*ご発表時間の30分前までにデータ受付、試写をお済ませください。*受付にて試写は可能ですが、データの修正はできません。

4)会場内での待機についてご発表セッション開始10分前までには発表演台付近にあります「次演者席」へご着席ください。

5)発表データ作成について●発表形式ご発表はPowerPointによるデジタルプレゼンテーションのみとなります。35mmスライドやビデオは使用できませんのでご注意ください。また、発表中のスライド操作に関しましては演台上にモニター、マウス、レーザーポインタを設置いたしますので、発表者ご自身により操作をお願いいたします。

●PC環境事務局ではPCを下記環境でご用意いたします。OS:Windows PowerPoint 2003・2007・2010・2013※PowerPoint 2016は対応しておりません。※規定外のバージョンで作成された発表データは、表示に不具合が生じる可能性があります。 ソフトの問題で生じた不具合につきましては全て自己責任となりますので、ご了承ください。※Macintoshはご用意しておりませんので必ずご自身のパソコンをお持込ください。◎ファイル名は「演題番号演者名.ppt」としてください。

発表者へのご案内

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●発表データ持込① 発表データはUSBメモリ及びCD-Rに限ります。それ以外のメディアはご遠慮ください。発表データを

CD-Rにコピーする際には、ファイナライズ(セッションのクローズ・使用したCDのセッションを閉じる)作業を行ってください。この作業が行われなかった場合、データを作成したPC以外ではデータを開くことができなくなります。また、パケットライト方式のCD-Rは使用できません。

② メディアの中には当日ご発表分のデータのみ入れてください。③ Macintoshで作成したもの、または、発表データに動画を含む場合、必ずPC本体をお持込みください。

●PC本体持込① Macintoshで作成したものと動画・音声データを含む場合は、必ずご

自身のPC本体をお持込みください。② 会場でご用意するPCケーブルのコネクターの形状は、D-Sub mini

15pinです。(図参照) この出力端子を持つパソコンをご用意いただくか、この形状に変換す

るコネクターを必要とする場合には必ずご持参ください。③ 外部ディスプレイ出力が可能であることを必ず事前にご確認ください。④ デジタル出力(HDMI)には非対応です。HDMI出力のみのPCをお持ち込みの場合はHDMI→D-subの

変換アダプターを必ずご持参ください。⑤ バッテリー切れを防ぐ為、必ず電源アダプターをご持参ください。⑥ スクリーンセーバー、省電力はOFFの状態でお持込みください。⑦ 再起動の可能性がございますので、パスワード入力が不要な状態でお持込ください。⑧ 発表データは、作成に使用されたパソコン以外でも必ず動作確認してください。⑨ 念のため、CD-Rもしくは、USBメモリにてバックアップ用の発表データをお持ちください。

●動画、音声の利用について① 音声はご使用できません。動画はPowerPointのスライド上でご使用ください。② 動画のデータはWindows Media Playerで再生できるものを推奨いたします。③ 動画をご使用の場合は必ずご自身のPCをお持込ください。

●作成推奨フォント、文字サイズ文字化けを防ぐこと及びスライドの見易さを考慮し、下記フォントと文字サイズを推奨いたします。フォント:日本語……MSゴシック/MS Pゴシック/MS明朝/MS P明朝     外国語……Arial/Century/Century Gothic/Times New Roman文字サイズ:28ポイント以上

●データの取り扱いについて各発表者からお預かりした発表データは、事務局の責任において学会終了後に破棄いたします。

◎一般演題 座長の先生へのお願いご担当いただくセッション開始15分前までに会場内の「次座長席」にご着席ください。一般演題:発表5分・質疑応答3分 運営上、時間厳守でお願いいたします。

◎研修医演題 座長(審査員)の先生へのお願い当日、採点用紙をお渡しいたしますので総合受付までお越しください。ご担当いただくセッション開始15分前までに会場内の「次座長席」にご着席ください。発表時間:発表5分・質疑応答3分 運営上、時間厳守でお願いいたします。

ディスプレイ接続コネクタ

(図)

演者のPCD-SUB mini 15pin (メス)

会場で用意するケーブルD-SUB mini 15pin (オス)

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卒後1~3年目の研修医を対象にエントリーいただきました演題の中から、優れた演題について表彰いたします。

評価方法:以下の3点につきそれぞれ総合的に評価を行います。1)内容(臨床の参考になるか、今後応用できるか)2)演者の理解度3)発表力(まとめ方、話し方、時間配分)

評価、選考は以下の選考委員で行います。

呼吸器学会・肺癌学会 研修医優秀演題賞審査員委員長 中野喜久雄 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター)委員長 河野 修興 (広島大学 名誉教授・広島都市学園大学 学長)    青江 啓介 (国立病院機構山口宇部医療センター(山口がん・呼吸器センター) 呼吸器内科)    井岸  正 (鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 専門教育研修部門)    石川 暢久 (県立広島病院 呼吸器内科)    伊東 亮治 (国立病院機構愛媛医療センター 呼吸器内科)    大西 広志 (高知大学医学部 血液・呼吸器内科学)    沖本 二郎 (川崎医科大学 総合内科学1)    金原 正志 (広島市立広島市民病院 呼吸器内科)    北原 良洋 (国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 呼吸器内科)    國近 尚美 (山口赤十字病院 内科)    窪田 哲也 (高知大学医学部附属病院 呼吸器・感染症内科)    後東 久嗣 (徳島大学大学院医歯薬学研究部 呼吸器・膠原病内科学分野)    近藤 丈博 (JA広島総合病院 呼吸器内科)    庄田 浩康 (県立広島病院 呼吸器内科)    谷本  安 (国立病院機構南岡山医療センター 呼吸器アレルギー内科)    津端由佳里 (島根大学医学部 内科学講座 呼吸器・臨床腫瘍学)    堀田 勝幸 (岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科)

[50音順/敬称略] 

◎表彰式:7月9日(土) 閉会式(15:25~)にて行います。 研修医演題でご発表の先生方は、第1会場へお集まりください。

研修医演題について

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第1会場臨床講義棟 1F

第5講義室

第2会場臨床講義棟 1F

第4講義室

第3会場基礎講義棟 1F

第3講義室

第4会場基礎講義棟 1F

第2講義室

第5会場基礎講義棟 1F

第1講義室

8:55開会の辞

9:00 9:00 9:00 9:009:00

日本呼吸器学会 中国・四国地方会

第23回呼吸器セミナー

呼吸器疾患診療における課題と対策

司会:中野喜久雄

演者:重藤えり子   岩崎 泰昌   野上 尚之

研修医演題(呼)肺腫瘍1

KT-01〜KT-06座長:津端由佳里

研修医演題(呼)抗酸菌感染症

KT-18〜KT-22座長:伊東 亮治

一般演題(呼)気胸

K-01〜K-05座長:坂東 修二

一般演題(呼)感染症

K-15〜K-18座長:石田  直

9:329:40 9:40 一般演題(呼)

自己免疫疾患K-19〜K-23

座長:中西 徳彦

9:48 研修医演題(呼)薬剤性肺炎

KT-23〜KT-27座長:石川 暢久

一般演題(呼)肺腫瘍1

K-06〜K-09座長:礒部  威

研修医演題(呼)肺腫瘍2・その他KT-07〜KT-11座長:井岸  正

10:12 10:1210:20 一般演題(呼)

肺腫瘍2K-10〜K-14

座長:村上  功

一般演題(呼)喘息・その他K-24〜K-28

座長:宮原 信明

10:28 研修医演題(呼)間質性肺炎・自己免疫疾患

KT-28〜KT-33座長:後東 久嗣

研修医演題(呼)感染症

KT-12〜KT-17座長:國近 尚美

10:52 10:52

一般演題(肺) 稀な病態2

H-11〜H-15座長:山﨑 正弘

一般演題(呼)鑑別診断

K-29〜K-32座長:青江  基

11:0811:16

11:2411:30 11:32

11:45

合同代議員評議員会

12:15

12:25 12:25 12:25 12:25ランチョンセミナー1

(肺)座長:藤髙 一慶演者:今村 文生

【共催】アストラゼネカ㈱

ランチョンセミナー2(呼)

座長:服部  登演者:山田 嘉仁

【共催】日本ベーリンガーインゲルハイム㈱

ランチョンセミナー3(肺)

座長:北口 聡一演者:関  順彦

【共催】日本イーライリリー㈱

ランチョンセミナー4(呼)

座長:岩本 博志演者:谷本  安

【共催】杏林製薬㈱

13:15 13:1513:20

13:1513:20

13:1513:20 13:20

13:25研修医演題(肺)

稀な肺腫瘍・その他HT-01〜HT-05座長:堀田 勝幸

研修医演題(呼)稀な疾患・その他1KT-34〜KT-39座長:窪田 哲也

一般演題(肺) 化学療法

H-16〜H-20座長:瀧川奈義夫

一般演題(呼)稀な疾患・その他1

K-33〜K-37座長:谷口 雄司

日本呼吸器学会 将来計画委員会から

の報告

13:5514:00 14:00 14:00

14:05研修医演題(肺)

肺癌合併症・その他HT-06〜HT-10座長:青江 啓介

一般演題(肺) EGFR・ALK陽性

肺癌H-21〜H-25

座長:久山 彰一

一般演題(呼)稀な疾患・その他2

K-38〜K-41座長:濱田 泰伸

一般演題(肺) 外科療法

H-01〜H-05座長:中村 廣繁

14:08

研修医演題(呼)稀な疾患・その他2KT-40〜KT-44座長:沖本 二郎

14:32

14:4514:40 14:40

一般演題(肺) 稀な病態1

H-06〜H-10座長:岡﨑 幹生

14:48

15:25表彰式・閉会式

※合同幹事会 7月8日(金) 19:00〜21:00  会場:ホテルグランヴィア広島 3F 天平

日程表 7月9日(土)

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日本呼吸器学会将来計画委員会からの報告

第1会場 (13:25〜13:55)

1 日本呼吸器学会における呼吸器内科医師増加活動の検証島根大学医学部 呼吸器・臨床腫瘍学 礒部  威

2 男女共同参画委員会の設置について山口赤十字病院 内科 國近 尚美

日本呼吸器学会中国・四国地方会 第23回呼吸器セミナー

第1会場 (9:00〜11:30)

呼吸器疾患診療における課題と対策司会 独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 副院長 中野喜久雄

1 肺非結核性抗酸菌症の課題と対策独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器内科 重藤えり子

2 救急領域における気道管理と人工呼吸独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 救命救急センター 岩崎 泰昌

3 高齢およびPS不良の進行非小細胞肺がんをどうする?独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 呼吸器内科 野上 尚之

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ランチョンセミナー1

第1会場 (12:25〜13:15)

肺癌学会

座長 広島大学大学院医歯薬保健学研究院 分子内科学 講師 藤髙 一慶

EGFR肺癌の薬物療法の新たな動きとPrecision medicine大阪府立成人病センター 呼吸器内科 主任部長 兼 臨床腫瘍科 部長 今村 文生

共催:アストラゼネカ株式会社

ランチョンセミナー2

第2会場 (12:25〜13:15)

呼吸器学会

座長 広島大学大学院医歯薬保健学研究院 分子内科学 准教授 服部  登

IPF診断の課題と治療JR東京総合病院 呼吸器内科 部長 山田 嘉仁

共催:日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社

ランチョンセミナー3

第3会場 (12:25〜13:15)

肺癌学会

座長 地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 腫瘍内科 主任部長 北口 聡一

新たな治療戦略を考える2016帝京大学医学部 内科学講座腫瘍内科 病院教授 関  順彦

共催:日本イーライリリー株式会社

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ランチョンセミナー4

第4会場 (12:25〜13:15)

呼吸器学会

座長 広島大学病院 呼吸器内科 講師 岩本 博志

気管支喘息の最善治療を追求する −重症喘息やACOSも含めて−独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 統括診療部長 谷本  安

共催:杏林製薬株式会社

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呼吸器学会 一般

第4会場

気胸 9:00〜9:40座長 坂東 修二(香川大学医学部・医学系研究科 内科学講座血液・免疫・呼吸器内科学)

K-01 繰り返す気胸でBirt-Hogg-Dubé症候群が強く疑われた1例倉敷中央病院 呼吸器外科

田崎 拓朗、高橋 鮎子、亀山耕太郎、二宮 伸介、山梨 恵次、中島  尊、松岡 智章、奥村 典仁

K-02 EWSを用いた気管支充填術と胸膜癒着術が奏効した間質性肺炎・肺癌に伴う両側異時性難治性気胸の一例岡山赤十字病院

原  尚史、佐久川 亮、稲田 崇志、深松 伸明、中西 将元、尾形 佳子、細川  忍、別所 昭宏

K-03 Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群における肺嚢胞の考察 −自然気胸症例との比較を通して−1)社会医療法人近森会近森病院 呼吸器科、2)長崎大学病院 感染症内科(熱研内科)、3)松山市民病院 病理部、4)社会医療法人近森会近森病院 病理部

石田 正之1)、高木 理博2)、中間 貴弘1)、大朏 祐治3)、円山 英昭4)、山本  彰1)

K-04 月経随伴性気胸の手術症例 −女性気胸の臨床的検討−香川県立中央病院 呼吸器外科

小来田佑哉、松原  慧、吉川 武志、三竿 貴彦、青江  基

K-05 気胸を合併した多発肺嚢胞の2症例松山赤十字病院 呼吸器センター

甲田 拓之、加藤 高英、藤下 卓才、梶原浩太郎、波呂  祥、濱口 直彦、牧野 英記、兼松 貴則、横山 秀樹

第4会場

肺腫瘍1 9:40〜10:12座長 礒部  威(国立大学法人島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学)

K-06 脳転移を有し、エルロチニブ・ベバシズマブ併用療法で長期維持療法し得た1例1)岡山済生会総合病院、2)岡山済生会総合病院 外科

渡辺 一彦1)、川井 治之1)、片岡 正文2)

K-07 副腎出血が診断の契機となった巨大肺嚢胞に合併した肺腺癌の1例呉共済病院 呼吸器内科

川口健太郎、河瀬 成穂、塩田雄太郎、堀田 尚克

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呼吸器学会 一般

K-08 肺アスペルギルス症と鑑別が困難であった肺多形癌の1例1)国立病院機構高知病院 呼吸器科、2)国立病院機構高知病院 呼吸器外科

田岡 隆成1)、今西 志乃1)、内藤 伸仁1)、高橋 直希1)、門田 直樹1)、坂本 晋一2)、宇山  攻2)、岡野 義夫1)、町田 久典1)、日野 弘之2)、畠山 暢生1)、篠原  勉1)、大串 文隆1)

K-09 気道狭窄を伴うALK陽性肺腺癌に緊急ステント留置術およびアレクチニブが奏効した1例1)独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科

南  大輔1)、佐藤  賢1)、安藤 千裕1)、中須賀崇匡1)、岩本 佳隆1)、頼  冠名2)、藤原 慶一1)、柴山 卓夫1)、米井 敏郎1)、木浦 勝行1)、佐藤 利雄1)

第4会場

肺腫瘍2 10:12〜10:52座長 村上  功(独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器内科)

K-10 診断に苦慮した非定型カルチノイドの一例鳥取大学医学部 呼吸器・膠原病内科

照屋 靖彦、山崎  章、武田 賢一、矢内 正晶、阪本 智宏、小谷 昌広、山本 章裕、山根 康平、井岸  正、清水 英治

K-11 EBUS-TBNAで診断のついた肝細胞癌の一例1)鳥取大学医学部附属病院 呼吸器膠原病内科、2)鳥取大学医学部附属病院 消化器内科

山本 章裕1)、牧野 晴彦1)、照屋 靖彦1)、高見 大樹1)、高田 美樹1)、倉井  淳1)、小谷 昌広1)、井岸  正1)、清水 英治1)、的野 智光2)

K-12 当院で経験した切除不能胸腺癌に対する集学的治療の検討1)県立広島病院 臨床腫瘍科、2)県立広島病院 心臓血管・呼吸器外科、3)県立広島病院 放射線治療科

土井美帆子1)、山内 理海1)、新田 朋子1)、篠崎 勝則1)、片山 達也2)、今野 伸樹3)、和田崎晃一3)

K-13 組織免疫染色でEGFR遺伝子変異を認め、EGFR-TKIが奏功した原発不明癌の一例1)松江赤十字病院 呼吸器内科、2)松江赤十字病院 呼吸器外科、3)鳥取大学医学部 分子制御内科

中崎 博文1)、池内 智行1)、徳安 宏和1)、宮本 英明2)、佐藤 泰之2)、磯和 理貴2)、清水 英治3)

K-14 急速増大に対して外科的切除を施行した悪性孤立性線維性腫瘍香川県立中央病院 呼吸器外科

松原  慧、青江  基、小来田佑哉、吉川 武志、三竿 貴彦

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呼吸器学会 一般

第5会場

感染症 9:00〜9:32座長 石田  直(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 呼吸器内科)

K-15 アスペルギルス沈降抗体が診断に有用であった慢性進行性肺アスペルギルス症の1例マツダ株式会社マツダ病院

大谷 俊人、山根真由香、大成洋二郎

K-16 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)合併の原発性A型インフルエンザ肺炎の1例JA高知病院

坂東 弘基、黒岩 厚夫、上田 祐二、住友 賢哉、北川 敬丈、依岡 孝秀、疋田 高裕、山子 泰斗、源田 陽子

K-17 肺結核の治療中に急性腎障害を来した2例国家公務員共済組合連合会吉島病院 呼吸器センター 呼吸器内科

稲田 修吾、松田 賢一、水本  正、吉岡 宏治、西野 亮平、池上 靖彦、山岡 直樹、倉岡 敏彦

K-18 胸腔鏡下肺生検によりMALTリンパ腫の肺浸潤影と肺非定型抗酸菌症を鑑別し得た一例独立行政法人国立病院機構米子医療センター 胸部血管外科

門永 太一、鈴木 喜雅

第5会場

自己免疫疾患 9:32〜10:12座長 中西 徳彦(愛媛県立中央病院 呼吸器内科)

K-19 腎障害,肺胞出血を認め,腹痛,皮疹,関節痛を伴わず発症したIgA血管炎の1例公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院

伊藤 有平、有田真知子、石田  直、吉岡 弘鎮、伊藤 明広、野山 麻紀、時岡 史明、横山 俊秀、金田 俊彦

K-20 抗ARS抗体陽性劇症肺炎の1剖検例国立病院機構浜田医療センター 呼吸器内科

柳川  崇

K-21 抗ARS抗体陽性の無筋炎性皮膚筋炎(CADM)による間質性肺炎の1例独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 呼吸器・アレルギー内科

板野 純子、谷本  安、大上 康広、石賀 充典、難波 史代、田中 寿明、小野勝一郎、高橋 秀治、濱田  昇、河田 典子、木村 五郎、宗田  良

K-22 好酸球性肺炎との鑑別を要した無筋炎性皮膚筋炎に合併した間質性肺炎の1例独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 呼吸器・アレルギー内科

大上 康広、木村 五郎、板野 純子、高橋 秀治、石賀 充典、難波 史代、田中 寿明、小野勝一郎、濱田  昇、河田 典子、谷本  安、宗田  良

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16

呼吸器学会 一般

K-23 胸膜炎を合併したIgG4関連肺疾患の一例1)松江赤十字病院 呼吸器内科、2)松江赤十字病院 呼吸器外科、3)鳥取大学医学部付属病院 呼吸器・膠原病内科

池内 智行1)、中崎 博文1)、徳安 和宏1)、宮本 英明2)、佐藤 泰之2)、磯和 理貴2)、清水 英治3)

第5会場

喘息・その他 10:12〜10:52座長 宮原 信明(岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科)

K-24 Cough hypersensitivity syndromeと考えられた1例岡山市立市民病院 呼吸器内科

洲脇 俊充、勝田 知也、讓尾 昌太

K-25 当院地域連携における吸入新薬の継続松山赤十字病院 呼吸器内科

梶原浩太郎、甲田 拓之、加藤 高英、濱口 直彦、牧野 英記、兼松 貴則

K-26 気管支喘息患者に対するFF/VIとBUD/FMにおける治療効果の検討愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座

仙波真由子、片山  均、山本将一朗、濱田 千鶴、三好 誠吾、大蔵 隆文、檜垣 實男

K-27 当院での気管支サーモプラスティの使用経験高松市民病院 呼吸器科

河野 洋二、岸本 伸人、大黒由加里、三崎 伯幸、加藤  歩

K-28 当院でのJR運転士の睡眠時無呼吸症候群についての検討JR広島病院 呼吸器内科

餘家 浩樹、安武 美紀、稲田 順也

第5会場

鑑別診断 10:52〜11:24座長 青江  基(香川県立中央病院 呼吸器外科)

K-29 発熱や咳嗽を欠き虚血性心疾患や喫煙関連間質性肺炎と鑑別を要した肺血管内リンパ腫の1例1)鳥取市立病院 内科・総合診療科、2)鳥取市立病院 循環器科、3)鳥取市立病院 外科、4)鳥取市立病院 病理診断科

谷水 将邦1)、檀原 尚典1)、足立 誠司1)、森田 涼香2)、池田 秀明3)、小林 計太4)

K-30 画像的に胸腺嚢胞との鑑別が困難であった前縦隔気管支原生嚢胞の一例財団法人倉敷中央病院 呼吸器外科

山梨 恵次、奥村 典仁、大月 康弘、本多 陽平、中園 千晶、田崎 拓朗、高橋 鮎子、中島  尊、松岡 智章、亀山耕太郎

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17

呼吸器学会 一般

K-31 肺癌化学放射線療法後にリンパ節結核を発症し,肺癌再発との鑑別を要した1例1)広島市立広島市民病院 呼吸器内科、2)広島市立広島市民病院 腫瘍内科

神原穂奈美1)、楢崎  唯1)、井原 大輔1)、益田  健1)、金原 正志1)、岩本 康男2)

K-32 PET-CT検査にて肺癌骨転移と診断された肋骨孤立性形質細胞腫の1例独立行政法人国立病院機構高知病院 呼吸器センター

門田 直樹、今西 志乃、矢葺 洋平、内藤 伸仁、田岡 隆成、岡野 義夫、町田 久典、畠山 暢生、篠原  勉、大串 文隆

第5会場

稀な疾患・その他1 13:20〜14:00座長 谷口 雄司(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座胸部外科学分野)

K-33 左下葉fissureless lobectomy1)岩国医療センター 胸部外科、2)岩国医療センター 呼吸器内科

片岡 和彦1)、久保友次郎1)、塩谷 俊雄1)、西  達也2)、梅野 貴裕2)、工藤健一郎2)、能島 大輔2)、久山 彰一2)

K-34 腹腔シンチグラフィにより診断し横隔膜縫合閉鎖術を行った横隔膜交通症の1例1)徳島大学病院 呼吸器・膠原病内科、2)徳島大学病院 腎臓内科、3)徳島大学病院 呼吸器外科

近藤 真代1)、手塚 敏史1)、米田 浩人1)、豊田 優子1)、後東 久嗣1)、岸   潤1)、吾妻 雅彦1)、埴淵 昌毅1)、村上 太一2)、土井 俊夫2)、河北 直也3)、滝沢 宏光3)、西岡 安彦1)

K-35 単心室症・Fontan術後、成人期に喀血を繰り返した若年男性の一剖検例1)公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 呼吸器内科、2)岸和田盈進会病院 喀血・肺循環センター、3)南京都病院 呼吸器内科

田中  妙1)、伊藤 明広1)、横山 俊秀1)、時岡 史明1)、野山 麻紀1)、吉岡 弘鎮1)、有田眞知子1)、橋本  徹1)、龍華 美咲2)、石川 秀雄2)、橘  洋正3)、石田  直1)

K-36 気管支原性嚢胞を合併した肺葉内肺分画症の1切除例1)山口宇部医療センター 呼吸器外科、2)山口大学大学院 器官病態外科学

田中 俊樹1,2)、田尾 裕之1)、吉山 康一1)、古川 公之1)、岡部 和倫1)

K-37 著明な粥状硬化を伴い瘤化した異常流入血管を認めた肺底動脈大動脈起始症の1例1)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 呼吸器外科、2)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 呼吸器内科、3)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 心臓血管外科、4)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科、5)広島大学 原医研腫瘍外科

原田 洋明1)、山下 芳典1)、三村 剛史1)、三登 峰代2)、奥本  譲2)、高崎 泰一3)、谷山 大樹4)、倉岡 和矢4)、坪川 典史5)、中野喜久雄2)

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18

呼吸器学会 一般

第5会場

稀な疾患・その他2 14:00〜14:32座長 濱田 泰伸(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 生体機能解析制御科学)

K-38 間質性肺炎の治療中に発癌をきたした3例愛媛県立中央病院 呼吸器内科

中西 徳彦、中村 純也、近藤 晴香、佐伯 和彦、橘 さやか、塩尻 正明、井上 考司、森高 智典

K-39 気管支拡張症に続発した消化管アミロイドーシスの一例新行橋病院 救命救急科

能勢 直弘

K-40 呼吸と循環の同時測定を目指した医療機器開発の試み1)国立病院機構広島西医療センター 総合診療科、2)山口大学大学院理工学研究科

中村 浩士1)、小池 隆夫1)、中島 翔太2)、田中 幹也2)

K-41 肺多形癌脳転移に対しガンマナイフ治療を行った1症例社会医療法人岡村一心堂病院

蓮井 光一、岡村 一博

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呼吸器学会 研修医

第2会場

肺腫瘍1 9:00〜9:48座長 津端由佳里(国立大学法人島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学)

KT-01 肺癌の化学療法中に発症した血小板減少症の一例1)マツダ病院 卒後臨床研修センター、2)マツダ病院 呼吸器内科

新庄 慶大1)、大谷 俊人2)、山根真由香2)、大成洋二郎2)

KT-02 未確診肺腫瘤に対する迅速病理診断の工夫1)松江市立病院、2)鳥取大学医学部附属病院 胸部外科

藤原和歌子1)、荒木 邦夫2)、窪内 康晃2)、城所 嘉輝2)、大野 貴志2)、万木 洋平2)、若原  誠2)、三和  健2)、谷口 雄司2)、中村 廣繁2)

KT-03 ニボルマブが奏効した非喫煙者、EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の2例1)香川大学医学部 卒後臨床研修センター、2)香川大学医学部 血液・免疫・呼吸器内科

溝口 仁志1)、石井 知也2)、喜多 信之2)、渡邊 直樹2)、高木 健裕2)、金地 伸拓2)、坂東 修二2)

KT-04 著明な高KL-6血症を呈した原発性肺腺癌の一例呉共済病院 呼吸器内科

足立 俊一、川口健太郎、河瀬 成穂、塩田雄太郎、堀田 尚克

KT-05 急性呼吸不全で発症した癌肉腫の一例県立広島病院 呼吸器内科・リウマチ科

香川 洋輔、玉本 聖佳、西田 紋子、谷本 琢也、庄田 浩康、石川 暢久、河野 紘輝、三好俊太郎、前田 裕行

KT-06 関節症状から診断された肺性肥大性骨関節症の1例1)鳥取大学医学部 分子制御内科学、2)鳥取大学医学部 器官制御外科学

山根 康平1)、原田 智也1)、矢内 正晶1)、山本 章裕1)、照屋 靖彦1)、武田 賢一1)、山崎  章1)、井岸  正1)、清水 英治1)、荒木 邦夫2)

第2会場

肺腫瘍2・その他 9:48〜10:28座長 井岸  正(鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センター 専門教育研修部門)

KT-07 悪性胸膜中皮腫との鑑別に局所麻酔下胸腔鏡検査が有用であった肺腺癌の1例1)広島市立広島市民病院 呼吸器内科、2)広島市立広島市民病院 腫瘍内科

楢崎  唯1)、益田  健1)、神原穂奈美1)、井原 大輔1)、金原 正志1)、岩本 康男2)

KT-08 心タンポナーデで発症し対症療法のみで長期生存中の悪性心膜中皮腫1)川崎医科大学附属川崎病院 臨床研修センター、2)川崎医科大学 総合内科学4

河原辰由樹1)、山根 弘路2)、越智 宣昭2)、本多 宣裕2)、山岸 智子2)、長崎 泰有1)、瀧川奈義夫2)

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呼吸器学会 研修医

KT-09 両側乳糜胸に対し、胸腔鏡下胸管結紮術を施行した一例1)県立広島病院 呼吸器内科・リウマチ科、2)県立広島病院 呼吸器外科

宮田真弓子1)、玉本 聖佳1)、西田 紋子1)、谷本 琢也1)、庄田 浩康1)、石川 暢久1)、河野 紘輝1)、三好俊太郎1)、前田 裕行1)、片山 達也2)、平井 伸司2)

KT-10 気胸を契機に発見されたBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群の2家系1)社会医療法人近森会近森病院 臨床研修部、2)社会医療法人近森会近森病院 呼吸器科、3)横浜市立大学医学研究科 分子病理学教室、4)社会医療法人近森会近森病院 病理部

古後 斗冴1)、石田 正之2)、中間 貴弘2)、古屋 充子3)、円山 英昭4)、山本  彰2)

KT-11 巨大solitary fibrous tumorの1手術例岩国医療センター 胸部外科

西村星多郎、塩谷 俊雄、久保友次郎、片岡 和彦

第2会場

感染症 10:28〜11:16座長 國近 尚美(山口赤十字病院 内科)

KT-12 インフルエンザウイルス感染に続発した黄色ブドウ球菌肺炎に対し,リネゾリドが著効した一例1)公益財団法人倉敷中央医療機構倉敷中央病院 医師教育研修部、2)公益財団法人倉敷中央医療機構倉敷中央病院 呼吸器内科

葛原 靖之1)、山崎 晶夫2)、伊藤 明広2)、阿河 昌治2)、田中  妙2)、熊谷 尚悟2)、武井玲生仁2)、古内 浩司2)、鷲尾 康圭2)、伊藤 有平2)、金田 俊彦2)、横山 俊秀2)、時岡 史明2)、野山 麻紀2)、吉岡 弘鎮2)、有田眞知子2)、石田  直2)

KT-13 ARDSに対してECMOを導入し,多発膿瘍に対してHBOを用いて救命し得たMRSAによる敗血症性ショックの一例1)岡山大学病院 総合内科、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、3)岡山大学病院 救急科、4)岡山大学病院 感染症内科

岡  浩介1)、頼  冠名1,2)、中道 晶子1)、大重 和樹1)、早稲田公一1,2)、湯本 哲也3)、塚原 紘平3)、佐藤 圭路3)、鵜川豊世武3)、花山 宜久1)、草野 展周1,4)、大塚 文男1)

KT-14 喀痰培養検査で髄膜炎菌が検出された肺化膿症の1例1)山口大学医学部附属病院 呼吸器・感染症内科、2)山口大学医学部附属病院 第二内科

大畑秀一郎1)、山路 義和1)、末竹  諒1)、大石 景士2)、伊藤 光佑1)、枝國 信貴1)、平野 綱彦1)、松永 和人1)

KT-15 breakthrough感染症として発症し,Liposomal Amphotericin B(L-AMB)が有効であった肺ムーコル症の1例1)松山赤十字病院 臨床研修センター、2)松山赤十字病院 呼吸器センター

年森  亘1)、濱口 直彦2)、甲田 拓之2)、加藤 高英2)、藤下 卓才2)、梶原浩太郎2)、波呂  祥2)、牧野 英記2)、兼松 貴則2)、横山 秀樹2)

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呼吸器学会 研修医

KT-16 進行期肺癌の化学療法中に合併したMRSA壊死性気管気管支炎の一例川崎医科大学附属病院 呼吸器内科

増田 孝一、吉原 史矩、大植 祥弘、八十川直哉、橘高  誠、黒瀬 浩史、池田 征樹、阿部 公亮、清水 大樹、毛利 圭二、加藤 茂樹、小橋 吉博、岡 三喜男

KT-17 市民公開講座に参加した方の肺炎球菌ワクチンの認知度について国立病院機構愛媛医療センター

川上 真由、伊東 亮治、大久保史恵、中村 行宏、佐藤 千賀、渡邉  彰、阿部 聖裕

第3会場

抗酸菌感染症 9:00〜9:40座長 伊東 亮治(独立行政法人国立病院機構愛媛医療センター 呼吸器内科)

KT-18 胸水の抗酸菌培養が診断の一助となったNocardia novaによる胸膜炎の79歳男性例1)山口大学大学院医学系研究科 呼吸器・感染症内科、2)山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学

末竹  諒1)、大石 景士1)、宮崎 要介2)、大畑秀一郎1)、山路 義和1)、伊藤 光祐1)、枝國 信貴1)、平野 綱彦1)、松永 和人1)

KT-19 原因不明の発熱精査中に発症し経時的変化を追えた粟粒結核の一例1)マツダ病院 卒後臨床研修センター、2)マツダ病院 呼吸器内科

矢野  潤1)、大谷 俊人2)、山根真由香2)、大成洋二郎2)

KT-20 Mycobacterium scrofulaceum肺感染症の1例川崎医科大学附属病院 呼吸器内科

渡邉 慶太、橘高  誠、小橋 吉博、吉原 史矩、八十川直哉、池田 征樹、黒瀬 浩史、阿部 公亮、清水 大樹、大植 祥弘、毛利 圭二、加藤 茂樹、岡 三喜男

KT-21 じん肺患者に発症し、診断に苦慮した粟粒結核の一症例呉医療センター

黒田 一駿、三登 峰代、奥本  穣、北原 良洋、中野喜久雄

KT-22 治療に難渋した若年発症の粟粒結核の一例国家公務員共済組合連合会吉島病院 呼吸器センター 呼吸器内科

松田 賢一、吉岡 宏治、稲田 修吾、水本  正、西野 亮平、池上 靖彦、山岡 直樹、倉岡 敏彦

第3会場

薬剤性肺炎 9:40〜10:20座長 石川 暢久(県立広島病院 呼吸器内科)

KT-23 mesalazineによる薬剤性好酸球性肺炎の一例1)地方独立行政法人広島市立安佐市民病院 初期研修医、2)地方独立行政法人広島市立安佐市民病院 呼吸器内科

土井 寛文1)、森脇 香莉2)、菅原 文博2)、山口 哲司2)、尾崎 紀仁2)、山根  高2)、北口 聡一2)

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呼吸器学会 研修医

KT-24 大葉性肺炎と鑑別を要した器質化肺炎の一例川崎医科大学 呼吸器内科

岩倉  主、八十川直哉、大植 祥弘、橘高  誠、黒瀬 浩史、池田 征樹、阿部 公亮、清水 大樹、毛利 圭二、加藤 茂樹、小橋 吉博、岡 三喜男

KT-25 sulfadoxine-pyrimethamineによる薬剤性肺傷害と考えられた一例1)岡山市立市民病院 総合診療部、2)岡山市立市民病院 呼吸器内科、3)岡山大学病院 呼吸器アレルギー内科

大山 矩史1)、譲尾 昌太2)、勝田 知也2)、洲脇 俊充2)、佐藤 晃子3)

KT-26 非結核性抗酸菌症治療薬によるANCA関連薬剤性肺炎の1例1)高知大学医学部 卒後臨床研修センター、2)高知大学医学部 血液・呼吸器内科

大山 洸右1)、大西 広志2)、穴吹 和貴2)、酒井  瑞2)、秋田  慎2)、窪田 哲也2)、横山 彰仁2)

KT-27 進行膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法における薬剤性肺障害の検討1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 腫瘍センター、3)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、4)岡山大学病院 緩和支持医療科、5)岡山大学病院 血液・腫瘍内科

古谷 奈緒1)、久保 寿夫2)、秦  雄介3)、狩野 裕久3)、渡邉 洋美3)、妹尾  賢3)、西井 和也3)、二宮  崇3)、市原 英基3)、大橋 圭明3)、佐藤 晃子3)、片山 英樹4)、堀田 勝幸3)、宮原 信明3)、田端 雅弘2)、金廣 有彦3)、谷本 光音5)、木浦 勝行3)

第3会場

間質性肺炎・自己免疫疾患 10:20〜11:08座長 後東 久嗣(徳島大学大学院医歯薬学研究部 呼吸器・膠原病内科学分野)

KT-28 形質細胞増多を伴う片側大量胸水貯留が初発症状であった全身性エリテマトーデスの1例独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科

向原 史晃、藤原 慶一、安東 千裕、中須賀崇匡、岩本 佳隆、南  大輔、佐藤  賢、米井 敏郎、佐藤 利雄、柴山 卓夫

KT-29 診断困難であったIgG4関連呼吸器疾患の一例広島赤十字・原爆病院 呼吸器科

町田  修、出口奈穂子、齊藤 尚美、大道和佳子、石山さやか、谷脇 雅也、大橋 信之、山崎 正弘

KT-30 間質性肺炎が先行し、増悪とともにMPO-ANCAの陽転化を認めた顕微鏡的多発血管炎の1例島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学

兒玉 明里、堀田 尚誠、森  雄亮、中尾 美香、天野 芳宏、濱口  愛、沖本 民生、津端由佳里、濱口 俊一、礒部  威

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呼吸器学会 研修医

KT-31 RAが先行したRPGN型MPAにDAHを合併した一例1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院、3)鳥取大学医学部 分子制御内科学

吉宮 元応1)、森田 正人2)、長谷川泰之3)、舟木 佳弘2)、高見 大樹3)、橋本  潔3)、山崎  章3)、清水 英治3)

KT-32 慢性咳嗽を契機に発見された抗ARS抗体陽性皮膚筋炎の1例1)県立広島病院 呼吸器内科、2)県立広島病院 リウマチ科

近藤 翔太1)、河野 紘輝2)、三好俊太郎2)、玉本 聖佳1)、谷本 琢也1)、庄田 浩康1)、石川 暢久1)、前田 裕行2)

KT-33 免疫抑制剤により救命しえた抗MDA-5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎の1例1)広島大学病院 卒後臨床研修センター、2)広島大学病院 呼吸器内科

山本優美子1)、上野沙弥香2)、泉  祐介2)、堀益  靖2)、益田  武2)、宮本真太郎2)、中島  拓2)、岩本 博志2)、藤高 一慶2)、濱田 泰伸2)、服部  登2)、河野 修興2)

第3会場

稀な疾患・その他1 13:20〜14:08座長 窪田 哲也(高知大学医学部附属病院 呼吸器・感染症内科)

KT-34 気管支喘息と誤診されていた気管内挿管後狭窄の1例川崎医科大学附属川崎病院 臨床教育研修センター

高橋 研斗、河合 泰宏、加藤  幹、栗原 武幸、宮下 修行、原  宏紀、沖本 二郎

KT-35 Sirolimus投与中に貯留した乳糜胸腹水がoctreotideにより減少を認めたLAMの1例1)広島大学病院 臨床研修センター、2)広島大学病院 呼吸器内科

中村 貴志1)、難波 将史2)、益田  武2)、堀益  靖2)、宮本真太郎2)、中島  拓2)、岩本 博志2)、藤高 一慶2)、濱田 泰伸2)、服部  登2)

KT-36 潰瘍性大腸炎に肺病変を合併した2症例1)独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科、2)岡山大学病院 呼吸器、アレルギー内科

假谷 成未1)、南  大輔1,2)、安東 千裕1)、中須賀崇匡1)、岩本 佳隆1)、佐藤  賢1)、藤原 慶一1)、柴山 卓夫1)、米井 敏郎1)、佐藤 利雄1)

KT-37 後腹膜リンパ脈管筋腫症病変にsirolimusが著効した1例独立行政法人国立病院機構岩国医療センター

森  俊太、能島 大輔、西  達也、梅野 貴裕、工藤健一郎、久山 彰一

KT-38 典型的な臨床経過を示したびまん性汎細気管支炎の一例1)三豊総合病院 内科、2)やまじ呼吸器内科クリニック

松浦 宏樹1)、山地 康文2)、吉田 泰成1)、中津 守人1)、安東 正晴1)

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呼吸器学会 研修医

KT-39 魚骨による食道穿孔により長期人工呼吸管理が必要となった患者のケア ~在宅を目指した急性期の関わり~1)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 看護科、2)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 呼吸器内科、3)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 呼吸器外科

友野 裕香1)、小田原めぐみ1)、森明 千晴1)、川根 千佳1)、吉田  敬2)、則行 敏生3)、山木  実3)

第3会場

稀な疾患・その他2 14:08〜14:48座長 沖本 二郎(川崎医科大学 総合内科学 1)

KT-40 肺膿瘍に続発し肺外血管がfeeding arteryであった末梢性仮性肺動脈瘤の一例1)福山市民病院 内科、2)福山市民病院 放射線科

井上 忠俊1)、三谷 玲雄1)、兵頭  剛2)、高田 一郎1)

KT-41 内径1cm以上の異常動脈を伴った肺葉内肺分画症に対して完全鏡視下肺底区切除を行った一例1)倉敷中央病院 教育研修部、2)倉敷中央病院 呼吸器外科

中井  健1)、奥村 典仁2)、松岡 智章2)、中園 千晶2)、大月 康弘2)、本多 陽平2)、田崎 拓朗2)、山梨 恵次2)、高橋 鮎子2)、中島  尊2)、亀山耕太郎2)

KT-42 ベバシズマブ併用化学療法中に気管潰瘍を発症した肺腺癌の1例1)徳島県立中央病院 医学教育センター、2)徳島県立中央病院 呼吸器内科

尾松  卓1)、稲山 真美2)、坂口  暁2)、吉田 成二2)、葉久 貴司2)

KT-43 生前に診断しえた肺腺癌胃転移の1例岩国医療センター 呼吸器内科

三井 將雄、工藤健一郎、西  達也、梅野 貴裕、能島 大輔、久山 彰一

KT-44 術前化学放射線治療後に上大静脈切除再建と気管支形成術により完全切除した局所進行右上葉肺癌の1例岡山大学病院 呼吸器外科

土生 智大、豊岡 伸一、宗  淳一、枝園 和彦、二萬 英斗、山本 寛斉、黒崎 毅史、三好健太郎、大谷 真二、杉本誠一郎、山根 正修、大藤 剛宏、金澤  右、木浦 勝行、三好新一郎

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25

肺癌学会 一般

第1会場

外科療法 14:05〜14:45座長 中村 廣繁(鳥取大学医学部 器官制御外科学講座胸部外科学分野)

H-01 内部の空洞が消失する画像経過を示した肺アスペルギルス症合併肺癌の1切除例1)高知医療センター 呼吸器外科、2)高知医療センター 呼吸器内科、3)香川大学医学部 呼吸器・乳腺内分泌外科

徳永 義昌1)、岡本  卓1)、張  性洙1)、尾崎 領彦2)、中島  猛2)、寺澤 優代2)、浦田 知之2)、中野 貴之3)

H-02 肺癌術後11年目にステープルラインに発生した炎症性腫瘤の1例四国がんセンター 呼吸器外科

宮内 俊策、牧  佑歩、上野  剛、杉本龍士郎、山下 素弘

H-03 10年の間に異なる増大傾向を示した多発肺がんの1例広島市立広島市民病院 呼吸器外科

松浦 求樹、中村 龍二、荒木 恒太、岡田 真典、西川 仁士、藤原 俊哉

H-04 化学放射線治療後に広範囲椎体合併切除を要した肺尖部胸壁浸潤癌の1例国立病院機構四国がんセンター 呼吸器外科

上野  剛、山下 素弘、杉本龍士郎、牧  祐歩

H-05 稀な肺腫瘍の1手術例鳥取県立厚生病院 外科

大島 祐貴、吹野 俊介、松岡 佑樹、田中 裕子、兒玉  渉、西村 謙吾、浜崎 尚文

第1会場

稀な病態1 14:45〜15:25座長 岡﨑 幹生(愛媛大学医学部附属病院 呼吸器外科)

H-06 多発性筋炎を合併した浸潤性胸腺腫の一例1)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 呼吸器内科、2)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 腫瘍内科、3)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 脳神経内科

山口 哲司1)、北口 総一1,2)、森脇 香莉1)、尾崎 紀仁1)、山根  高1)、菅原 文博1)、久賀淳一朗3)、山下 拓史3)

H-07 胸膜炎症状で発症し自然縮小した胸腺腫の2例川崎医科大学附属病院 呼吸器外科

野島 雄史、前田  愛、最相 晋輔、沖田 理貴、清水 克彦、中田 昌男

H-08 3cm以下の小型肺腫瘍に対するJCOG1408標準線量での定位放射線治療の長期成績広島大学病院 放射線治療科

木村 智樹、高橋 一平、竹内 有樹、西淵いくの、村上 祐司、永田  靖

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肺癌学会 一般

H-09 異なる臨床経過および免疫組織化学染色パターンを示したG-CSF産生肺腺癌の2例広島赤十字・原爆病院 呼吸器科

齊藤 尚美、大道和佳子、石山さやか、出口奈穂子、谷脇 雅也、山崎 正弘

H-10 人工気胸後にCT下針生検を行った縦隔病変の2例JCHO徳山中央病院 放射線科

折橋 典大、片山  節、山下 武則、安井 正泰、中木 浩司

第4会場

稀な病態2 10:52〜11:32座長 山﨑 正弘(広島赤十字・原爆病院 呼吸器科)

H-11 気管支鏡検査で診断し得たBALTリンパ腫の一例鳥取大学医学部付属病院 呼吸器・膠原病内科

高見 大樹、武田 賢一、照屋 靖彦、福嶋 健人、長谷川泰之、牧野 晴彦、井岸  正、山崎  章、清水 英治

H-12 腹腔内転移をきたした肺紡錘細胞癌の一剖検例1)東広島医療センター 呼吸器内科、2)東広島医療センター 呼吸器外科

下地 清史1)、村上  功1)、小川 喬史1)、宮崎こずえ1)、鍵本 篤志2)、柴田  諭2)

H-13 導入同時化学放射線療法と肺全摘術で、5年間無再発生存中の肺扁平上皮癌の1例国立病院機構山口宇部医療センター 呼吸器外科

岡部 和倫、田尾 裕之、林 雅太郎、吉山 康一、古川 公之、弘中 秀治、原  暁生

H-14 導入化学放射線療法後に胸壁合併切除を行い、術後間質性肺炎急性増悪を認めたⅢA期肺紡錘細胞癌の1切除例倉敷中央病院 呼吸器外科

本多 陽平、奥村 典仁、大月 康弘、田崎 拓朗、中園 千晶、山梨 恵次、高橋 鮎子、中島  尊、松岡 智章、亀山耕太郎

H-15 肝転移と考えられた病変が原発性肝細胞癌と診断された肺非定型カルチノイドの1例広島大学病院 呼吸器内科

黒住 悟之、益田  武、堀益  靖、宮本真太郎、中島  拓、岩本 博志、藤高 一慶、濱田 泰伸、服部  登

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肺癌学会 一般

第4会場

化学療法 13:20〜14:00座長 瀧川奈義夫(川崎医科大学 総合内科学 4教室)

H-16 CDDP+DTX+Bev.で画像上CRがえられた多形癌術後再発の1例尾道市立市民病院 外科

川真田 修

H-17 LCNECにNivolumabを使用した2症例の検討1)広島赤十字・原爆病院、2)大橋内科医院

大道和佳子1)、齋藤 尚美1)、石山さやか1)、出口奈穂子1)、谷脇 雅也1)、大橋 信之1,2)、山崎 正弘1)

H-18 シスプラチンによる腎機能低下発症のリスク因子に関する検討島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学

津端由佳里、御手洗裕紀、兒玉 明里、森  雄亮、中尾 美香、天野 芳宏、堀田 尚誠、濱口  愛、沖本 民生、濱口 俊一、礒部  威

H-19 Nivolumab治療後膵型アミラーゼ上昇を認めた1例国立病院機構四国がんセンター 呼吸器内科

上月 稔幸、原田大二郎、北島 寛元、野上 尚之

H-20 パロノセトロンを使用してショートハイドレーション法を行ったシスプラチン投与症例の検討市立三次中央病院

粟屋 禎一、佐野 由佳、中増 昭久

第4会場

EGFR・ALK陽性肺癌 14:00〜14:40座長 久山 彰一(独立行政法人国立病院機構岩国医療センター 呼吸器内科)

H-21 ALK融合遺伝子とEGFR遺伝子変異を検出した同時両側性多発肺癌の1例高松赤十字病院 胸部乳腺外科

環  正文、森下 敦司、久保 尊子、監崎孝一郎、三浦 一真

H-22 CrizotinibによるILDを発症後にAlectinibの投与が可能であったALK融合遺伝子陽性肺腺癌の1例徳島大学病院 呼吸器・膠原病内科

香川 耕造、手塚 敏史、大塚 憲司、森住  俊、後東 久嗣、岸   潤、吾妻 雅彦、埴淵 昌毅、西岡 安彦

H-23 肝転移巣においてEGFR変異アレルの欠失がみとめられた原発性肺腺癌の一剖検例1)独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器内科、2)独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器外科

村上  功1)、下地 清史1)、小川 喬史1)、宮崎こずえ1)、鍵本 篤志2)、柴田  諭2)

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肺癌学会 一般

H-24 AlectinibがALK融合遺伝子陽性肺癌の脳転移に有効であった一例岡山日赤病院 呼吸器内科

中西 将元、細川  忍、別所 昭宏、稲田 崇志、原  尚史、深松 伸明、尾形 佳子、佐久川 亮

H-25 ALK融合遺伝子陽性肺腺癌脳転移の5症例大田記念病院 脳神経外科

中崎 清之

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肺癌学会 研修医

第2会場

稀な肺腫瘍・その他 13:20〜14:00座長 堀田 勝幸(岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科)

HT-01 肺原発髄外性形質細胞腫の1例広島大学原爆放射線医科学研究所 腫瘍外科(広島大学病院 呼吸器外科)

大澤真那人、津谷 康大、吉川  徹、半田 良憲、坪川 典史、伊藤 正興、三隅 啓三、花木 英明、宮田 義浩、岡田 守人

HT-02 肺化膿症として治療した後に外科的切除で診断に至った浸潤性粘液腺癌の1例1)労働者健康福祉機構中国労災病院 救急部、2)労働者健康福祉機構中国労災病院 呼吸器内科、3)国立病院機構東広島医療センター 呼吸器外科、4)国立病院機構東広島医療センター 臨床検査科

坂本 拓海1)、塩田 直樹2)、三登 峰代2)、高尾  俊2)、佐々木啓介2)、柴田  諭3)、万代 光一4)

HT-03 EBUS-TBNAによって診断し得た右肺動脈原発血管内膜肉腫の1例1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院 がんセンター、3)鳥取大学医学部 分子制御内科学

徳田 直希1)、阪本 智宏2,3)、照屋 靖彦3)、山本 章裕3)、矢内 正晶3)、武田 賢一3)、小谷 昌広3)、山崎  章3)、井岸  正3)、清水 英治3)

HT-04 trimodality治療4年後に単発脳転移で再発したパンコースト腫瘍1)川崎医科大学附属川崎病院 臨床研修センター、2)川崎医科大学 総合内科学4、3)川崎医科大学 総合外科

長崎 泰有1)、矢野庄一郎1)、山岸 智子2)、越智 宣昭2)、本多 宣裕2)、山根 弘路2)、深澤 拓也3)、瀧川奈義夫2)

HT-05 Stage3胸腺癌に対する導入放射線療法後の手術におけるsemi-clamshellアプローチ岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科学

川名 伸一、三好健太郎、橋本 好平、黒崎 毅史、牧  佑歩、大谷 真二、山本 寛斉、杉本誠一郎、宗  淳一、山根 正修、豊岡 伸一、大藤 剛宏、三好新一郎

第2会場

肺癌合併症・その他 14:00〜14:40座長 青江 啓介(独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(山口がん・呼吸器センター) 呼吸器内科)

HT-06 胸部CTですりガラス陰影を呈した肺扁平上皮癌の2例1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院 胸部外科

徳留 純平1)、窪内 康晃2)、城所 嘉輝2)、大野 貴志2)、万木 洋平2)、若原  誠2)、三和  健2)、荒木 邦夫2)、谷口 雄司2)、中村 廣繁2)

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肺癌学会 研修医

HT-07 肺多形癌に対してnivolumabを投与中にニューモシスチス肺炎を発症した1例1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、3)岡山大学病院 腫瘍センター、4)岡山大学病院 血液・腫瘍内科

小柳 太作1)、妹尾  賢2)、狩野 裕久2)、西井 和也2)、秦  雄介2)、渡邉 洋美2)、二宮  崇2)、久保 寿夫3)、大橋 圭明2)、市原 英基2)、佐藤 晃子2)、堀田 勝幸1)、田端 雅弘3)、木浦 勝行2)、谷本 光音4)

HT-08 オシメルチニブ投与中に発症したうっ血性心不全の一例1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科

松尾 逸平1)、渡邉 洋美2)、市原 英基2)、狩野 裕久2)、妹尾  賢2)、西井 和也2)、秦  雄介2)、二宮  崇2)、久保 寿夫2)、大橋 圭明2)、佐藤 晃子2)、堀田 勝幸2)、宮原 信明2)、金廣 有彦2)、田端 雅弘2)、谷本 光音2)、木浦 勝行2)

HT-09 肺癌を含む悪性腫瘍患者におけるハイフローセラピー施行例の検討NHO愛媛医療センター 呼吸器内科

吉田  諭、渡邉  彰、中村 行弘、大久保史恵、佐藤 千賀、伊東 亮治、阿部 聖裕

HT-10 高カルシウム血症を伴ったALK融合遺伝子陽性肺癌の1例総合病院岡山赤十字病院 呼吸器内科

木浦 賢彦、中西 将元、別所 昭宏、稲田 崇志、原  尚史、深松 伸明、尾形 佳子、佐久川 亮、細川  忍

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日本呼吸器学会将来計画委員会からの報告

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1日本呼吸器学会における呼吸器内科医師増加活動の検証

日本呼吸器学会将来計画委員会礒部  威、國近 尚美、山谷 睦雄、猪又 崇志、柴田 陽光、中山 勝敏、藤本  源、森川 美羽、佐野 博幸、吉永  健、駒瀬 裕子、須田 隆文、木村  弘、三嶋 理晃、橋本  修

日本呼吸器学会では、これまで取り組んできた呼吸器科医増加活動の効果を検証するために、呼吸器内科専任教授の在籍状況、呼吸器学会会員数および呼吸器専門医数の増加状況などを調査した。調査の対象とした平成11年~平成25年までの15年間に8県で呼吸器内科専任教授の不在が解消された。しかし、15県で呼吸器内科専任教授が不在であった。呼吸器内科専任教授が在籍している都道府県では不在県に比べて会員数および専門医数の増加率が高い結果となった。呼吸器内科専任教授の不在が次第に解消され、会員数および専門医数も増加しつつあるが、内科関連の他学会に比べていまだ不十分な状況である。本検証を含め、将来計画委員会の活動について報告する。

2男女共同参画委員会の設置について

1)山口赤十字病院 内科(男女共同参画委員会副委員長)、2)島根大学 呼吸器・臨床腫瘍学國近 尚美1)、礒部  威2)

日本呼吸器学会将来計画委員会は、呼吸器科医師の増加、男女共同参画活動の支援および学術活動活性化の推進を主な使命として活動してきた。呼吸器学会全会員のキャリアの形成と維持が可能となることを目指し、本年度より新たに男女共同参画委員会が設置された。今後の活動方針、行動計画などについて報告する。

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呼吸器学会一般演題

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呼吸器学会 一般

K-01繰り返す気胸でBirt-Hogg-Dubé症候群が強く疑われた1例

倉敷中央病院 呼吸器外科田崎 拓朗、高橋 鮎子、亀山耕太郎、二宮 伸介、山梨 恵次、中島  尊、松岡 智章、奥村 典仁

【背景】Birt-Hogg-Dubé症候群(以下BHDS)は、多発性肺嚢胞・腎癌・皮疹を三主徴とする常染色体優性遺伝の疾患である。本邦での有病率は不明であるが、その責任遺伝子が17番染色体上に存在することが明らかになって以降報告が相次いでいる。【症例】症例は50歳女性。これまで右気胸4回、左気胸3回の加療歴があり(いずれも他院)、右気胸再発で今回当院に紹介となった。当院紹介後、ドレナージで改善し退院したが、初回外来で右気胸再発を認めた。待期的に手術を施行したが、術中所見では葉間を中心に肺全体に散在する大小様々なブラを認めた。手術は一部のブラを切除し小型のものはフィブリン糊を塗布し終了した。術後は明らかなリークを認めず、術後8日で退院した。術後に家族歴を詳しく聴取したところ、母方の祖母に気胸の既往があり、偶然当院で撮影していた母の胸部CTに横隔膜面を中心とした多発する肺嚢胞を確認できた。このことからBHDSが疑われ、本人・両親を含め説明を行い遺伝子検査の同意を得た。【結語】本症例では遺伝子検査の結果は判明していないが、臨床上はBHDSが強く疑われた。BHDSでは依然不明な点も多く、これからの症例の蓄積が重要と考えられる。

K-02EWSを用いた気管支充填術と胸膜癒着術が奏効した間質性肺炎・肺癌に伴う両側異時性難治性気胸の一例

岡山赤十字病院原  尚史、佐久川 亮、稲田 崇志、深松 伸明、中西 将元、尾形 佳子、細川  忍、別所 昭宏

【背景】難治性気胸へのEWSを用いた気管支充填術の有用性が報告されているが,両側気胸への実施報告は少ない.【症例】76歳,女性.間質性肺炎・左肺癌にて在宅酸素療法中に右気胸を発症し,胸腔ドレーンが2本留置されるも持続性の気漏と皮下気腫が遷延するため紹介となった.胸腔造影で気漏部位を同定した後,右B1,B2b,B3a,B3bにEWSを充填したところ肺の拡張が得られ気漏も減少した.50%ブドウ糖液による胸膜癒着術を追加したところ気漏が停止しドレーン抜去可能となった.1ヶ月後に突然の呼吸困難にて当院に救急搬送された.左気胸の診断で胸腔ドレーンが2本留置されるも持続性の気漏が遷延した.胸腔造影で気漏部位を同定した後,左B1+2a,B1+2b,B1+2c,B3a,B4aにEWSを充填したところ気漏は減少した.50%ブドウ糖による胸膜癒着術を追加しドレーン抜去可能となった.充填術に伴う合併症は認められなかった.【考察】低肺機能の両側難治性気胸に対してもEWSを用いた気管支充填術は安全に実施可能で,左右ともに著明な気漏減少効果が得られた.充填術前に胸腔造影で気漏部位を同定しておく事や充填術後の50%ブドウ糖液による胸膜癒着術の併用も有用な手段と考えられた.

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呼吸器学会 一般

K-03Birt-Hogg-Dube(BHD)症候群における肺嚢胞の考察 −自然気胸症例との比較を通して−1)社会医療法人近森会近森病院 呼吸器科、2)長崎大学病院 感染症内科(熱研内科)、3)松山市民病院 病理部、4)社会医療法人近森会近森病院 病理部石田 正之1)、高木 理博2)、中間 貴弘1)、大朏 祐治3)、円山 英昭4)、山本  彰1)

BHD症候群の肺嚢胞は、皮膚、腎腫瘍と並ぶ主要病変で、約9割の症例に認められる。本疾患の肺嚢胞に関して自然気胸と変わりはないとする報告が多かった。しかし近年の自然気胸とは異なる特徴が報告され病理所見のみでも高い確度で診断が可能との意見もある。今回当院の症例において、肺嚢胞の病理診断の機会を得たので、自然気胸症例との比較し、臨床病理学的検討を行った。臨床的には反復する気胸、下肺野の縦隔側に好発、嚢胞が血管の近傍に存在する所見など認められる。病理像としては、肉眼像で自然気胸症例と比較して嚢胞壁が薄く、周囲肺実質は保たれ、嚢胞内に血管が走行している像が認められた。組織所見として、嚢胞は胸膜直下や小葉間隔壁に接し境界は明瞭で、一部間質内に嚢胞壁が陥入する像が認められた。嚢胞壁の構成成分に肺胞が含まれ、線維化や炎症反応が認められない等自然気胸とは明らかに異なる所見が認められた。本疾患は、気胸を扱う病院であれば遭遇する可能性がある。本邦では典型的な皮疹を呈する例が少なく、加えて肺病変の好発年齢は、腎病変の好発年齢より20年ほど若い事を踏まえると、早期確定診断のために、肺病変の適切な診断は重要である。

K-04月経随伴性気胸の手術症例 −女性気胸の臨床的検討−

香川県立中央病院 呼吸器外科小来田佑哉、松原  慧、吉川 武志、三竿 貴彦、青江  基

女性特有に起こる気胸の一つとして月経随伴性気胸がある。頻度は初発の女性気胸患者において3-6%と低いが、手術を施行した再発例であれば18-33%といわれている。また、治療は手術が第一選択となり、術後ホルモン療法の有効性が検討されている。症例は34歳女性。喫煙歴なし。子宮内膜症と繰り返す右気胸の既往があり、再度右気胸を発症し当科紹介受診。月経随伴性気胸を疑い月経期に合わせて胸腔鏡手術を施行した。明らかなブラは認めず、下葉S6背側や横隔膜腱中心を主体として1-2mm大の茶褐色の斑点状病変が散在し異所性子宮内膜が疑われた。横隔膜と肺の部分切除を施行し、PGAシート、fibrin glueにて被覆した。病理診断では、子宮内膜間質様細胞を認め、免疫染色にてER陽性であったことから、月経随伴性気胸と診断した。術後よりホルモン療法を開始し、現在まで再発なく経過している。女性の再発気胸においては、本疾患を考慮する必要がある。最後に、2011-2015年の間に当科で経験した入院を要した女性気胸71名の検討を行ったので報告する。

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呼吸器学会 一般

K-05気胸を合併した多発肺嚢胞の2症例

松山赤十字病院 呼吸器センター甲田 拓之、加藤 高英、藤下 卓才、梶原浩太郎、波呂  祥、濱口 直彦、牧野 英記、兼松 貴則、横山 秀樹

【症例1】39歳、男性。【主訴】咳、胸痛。【現病歴】X年9月中旬より上記主訴あり、10月初旬に呼吸困難が出現し近医を受診、胸部X線で左肺透過性低下を指摘され当科に紹介された。胸部CTで両側気胸、多発肺嚢胞を指摘され入院した。【既往歴】38歳:虫垂炎手術。【家族歴】母:腎がん。【生活歴】建築業、現喫煙者。【現症】両肺音減弱。【経過】両側胸腔ドレナージ後に左肺ブラ切除術を施行された。またX+1年、経過観察中に左腎腫瘍を指摘され左腎部分切除術を受けた。

【症例2】50歳、男性。【主訴】胸痛、呼吸困難。【現病歴】X+2年2月中旬感冒を契機に上記主訴が出現、2月下旬に当科を受診した。胸部CTで両側気胸、多発肺嚢胞を指摘され入院した。【既往歴】20歳:十二指腸潰瘍。【家族歴】父:肝癌、母:胃癌。【生活歴】配送業、現喫煙者。【現症】顔面にざ瘡様皮疹が多発、両肺音減弱。【経過】両肺ドレナージ後に一時軽快退院したが左気胸が再発し、再入院の上左肺ブラ切除を施行された。【結語】気胸、多発肺嚢胞を呈した2症例を経験した。1例は腎がんの家族歴があり、自身も腎癌を合併し、もう1例は顔面皮疹を合併していた。希少疾患であるBirt-Hogg-Dube症候群と考えられたため報告する。

K-06脳転移を有し、エルロチニブ・ベバシズマブ併用療法で長期維持療法し得た1例1)岡山済生会総合病院、2)岡山済生会総合病院 外科渡辺 一彦1)、川井 治之1)、片岡 正文2)

症例は65歳 男性。2009年右下葉結節影を検診で指摘。肺癌の疑いで精査したが確定診断に至らず経過観察となった。陰影に変化ないことから、炎症性瘢痕として観察終了となった。2013年10月の検診で陰影増大を指摘され、11月に当院受診。胸部Xpで左下肺野に3cm、左上葉に1cmの結節を認め、頭部MRで転移巣を認め、精査で肺腺癌の診断となり、EGFR遺伝子変異exon19欠損を認めた。T2aN0M1b stageIVとして、ゲフィチニブ治療を開始したが、肝障害を認めたため、エルロチニブに変更したが腫瘍マーカー上昇をみた。サイバーナイフ施行後に転移病巣がコントロールできていることを確認し、ベバシズマブ併用に変更した。皮疹が激しいことから減量投与したが、16コース投与したコントロールできている。EGFR-TKIとベバシズマブはそれぞれ、肺癌細胞の増殖に必要なEGFRおよびVEGFのシグナル伝達阻害をする。単一投与ではescape mechanismのため治療効果の減弱が指摘されており、併用の有用性が期待される。脳転移を有する患者にエルロチニブとベバシズマブの併用療法で、減量投与にも関わらず長期無増悪生存期間が得られた症例を経験したので報告する。

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呼吸器学会 一般

K-07副腎出血が診断の契機となった巨大肺嚢胞に合併した肺腺癌の1例

呉共済病院 呼吸器内科川口健太郎、河瀬 成穂、塩田雄太郎、堀田 尚克

【症例】48歳,男性.【主訴】左背部痛.【現病歴・臨床経過】突然の左背部痛を主訴に近医を受診しCTを撮影したところ両肺尖部はbullaに占拠され右肺bulla下壁に不整な腫瘤を認めた.また疼痛部位に一致し75mm大の左副腎腫瘤を認め内部に淡い高濃度域を認め腫瘤内出血を疑う所見であった.以上より肺癌と副腎転移を疑われ当院紹介となった.PET/CTで右肺,左副腎,左肩甲骨,左第9肋骨に著明な集積を認め肺癌副腎・骨転移を疑う所見であった.CTガイド下肺生検で腺癌と確定した.肺癌多発骨転移,左副腎転移並びに副腎腫瘍内出血と臨床診断した.【考察】気腫性肺嚢胞症に肺癌を合併する頻度は高いと報告されている.また肺尖部など末梢発生例が多いため自覚症状に乏しく進行性肺癌として発見されることが多い.本症例も同様に左副腎転移巣からの出血による背部痛で進行性肺癌の診断に至った.また肺癌の副腎転移症例で出血を来したものは本邦では12例報告があるのみで予後不良と報告されている.副腎転移部出血が診断の契機となり巨大肺嚢胞に合併した肺腺癌の症例を経験し興味深いと思われたので報告する.

K-08肺アスペルギルス症と鑑別が困難であった肺多形癌の1例

1)国立病院機構高知病院 呼吸器科、2)国立病院機構高知病院 呼吸器外科田岡 隆成1)、今西 志乃1)、内藤 伸仁1)、高橋 直希1)、門田 直樹1)、坂本 晋一2)、宇山  攻2)、岡野 義夫1)、町田 久典1)、日野 弘之2)、畠山 暢生1)、篠原  勉1)、大串 文隆1)

症例は65歳女性、20xx年4月、胸部単純X線検査で右上肺野空洞影及び内部の菌球様軟部影を認め、前医紹介となった。胸部CTで右上葉に41x27mmの空洞影及び菌球様軟部影を認め、血液検査でアスペルギルス抗原が陽性であったため、肺アスペルギルス症としてイトラコナゾール投与が開始された。しかし、同年11月の陰影が増大しており、悪性腫瘍の可能性も考慮された。精査加療目的に当院紹介となった。経気管支生検でsquamous cell carcinomaの診断を得、アスペルギルスは検出されなかった。全身検索の結果cT2bN2M0stage3Aであり、同年12月胸腔鏡下右上葉切除術を施行した。術後診断はpleomorphic carcinoma pT2bN2M0 stage3Aであった。作成された標本中にはアスペルギルス菌体は認められなかった。多形癌とアスペルギルス症の合併例は国内でも報告があるが、本症例は、アスペルギルス抗原が陽性であったものの、塗抹や培養、手術検体ではアスペルギルス菌体は確認できず、菌球様の陰影も肺多形癌が主病態であったものと考えられる。画像所見、血清検査等でアスペルギルス症に合致しうるとしても、肺癌の可能性も考慮し、経気管支生検を行うことが望ましいと考えられた。

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K-09気道狭窄を伴うALK陽性肺腺癌に緊急ステント留置術およびアレクチニブが奏効した1例1)独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科南  大輔1)、佐藤  賢1)、安藤 千裕1)、中須賀崇匡1)、岩本 佳隆1)、頼  冠名2)、藤原 慶一1)、柴山 卓夫1)、米井 敏郎1)、木浦 勝行1)、佐藤 利雄1)

【目的】今回我々は、気道狭窄に対してシリコンステント留置術による気道確保を行った後にアレクチニブによる加療が奏効し、ステント抜去が可能となった1例を経験したので報告する。【症例】45歳、男性。1ヶ月前より咳嗽が出現し、1週間前より労作時の呼吸困難感を自覚していた。意識消失発作で前医に救急搬送され、心タンポナーデに対して心嚢ドレナージ術が施行された。CT画像所見から肺癌、縦隔リンパ節転移に伴う気道狭窄症および癌性心膜炎が強く疑われたため、緊急ステント留置術目的に当院紹介となった。左右主気管支に対してバルーン拡張術を行い、気管分岐部にシリコン製のDumon® Y-stent留置(外径16×13×13mm)を行った。術前の気管支鏡検査における超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)検体から肺腺癌の診断が得られておりCDDP+PEMによる殺細胞性抗癌剤治療を開始するも効果乏しく、その後ALK遺伝子陽性の結果が得られたことよりアレクチニブによる加療を開始し奏効した。気道狭窄は改善し、治療5ヶ月後にステント抜去が可能となった。【結語】気道狭窄に対してシリコンステント留置術は有用であり、忍容性の高いアレクチニブによる治療が奏効した。

K-10診断に苦慮した非定型カルチノイドの一例

鳥取大学医学部 呼吸器・膠原病内科照屋 靖彦、山崎  章、武田 賢一、矢内 正晶、阪本 智宏、小谷 昌広、山本 章裕、山根 康平、井岸  正、清水 英治

症例は68歳女性。20XX-1年8月の検診で胸部レントゲン異常を指摘され、近医受診。胸CTで左下葉に9mm大の結節影を認めた。その後縮小傾向なく当科紹介となる。同年10月に気管支鏡検査(末梢生検)を施行したが、悪性所見認めず。腫瘍増大傾向がないこと、初診時に軽度上昇していたpro-GRPが低下したことから経過観察としていた。20XX年12月の胸部CTで左下葉結節影の増大、縦隔リンパ節腫大を認めた。pro-GRPも再上昇しており、肺癌の可能性を考え、縦隔リンパ節のEBUS-TBNAを行い非定型カルチノイドの診断となった。初診時より胸部CTで左胸膜に小結節影を認めており、試験開胸を行ったところ、壁側胸膜と臓側胸膜に数ケの播種結節を認め、同部位の生検から胸膜転移と判断した。手術不能症例で症状なく、緩徐な経過であることから慎重な経過観察を継続している。今回、我々はpro-GRP高値を示し、緩徐な進行で診断に苦慮した非定型カルチノイドの一例を経験した。pro-GRPは特異度90%と小細胞肺癌に特異的な腫瘍マーカーとして知られているが、カルチノイド等の神経内分泌腫瘍でも上昇することがあり、鑑別を要すると考えられた教訓的な症例であったため報告する。

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K-11EBUS-TBNAで診断のついた肝細胞癌の一例

1)鳥取大学医学部附属病院 呼吸器膠原病内科、2)鳥取大学医学部附属病院 消化器内科山本 章裕1)、牧野 晴彦1)、照屋 靖彦1)、高見 大樹1)、高田 美樹1)、倉井  淳1)、小谷 昌広1)、井岸  正1)、清水 英治1)、的野 智光2)

【症例】76才、男性。【主訴】食思不振。【現病歴】食思不振で近医総合病院を受診し、造影CTで肝尾状葉の不均一な造影効果や門脈血栓を指摘された。肝膿瘍もしくは感染を伴う胆汁瘻および門脈血栓症を疑われ、入院加療が開始された。入院時CTで両肺多発結節影と縦隔リンパ節腫大も認められたが、画像フォローの方針となった。抗菌薬加療で症状や採血所見の改善があり、自宅退院となったが、1ヶ月後に発熱で同院再入院となった。この時も抗菌薬加療で採血所見の改善を認めていたが、CTで縦隔リンパ節の増大、血中IgG4高値を指摘されたため、IgG4関連肺疾患の精査目的に当科紹介となった。肝尾状葉の不均一な造影効果や門脈血栓の評価目的に行った肝臓血管造影で門脈内腫瘍も疑われたが、確定診断には至らなかった。縦隔腫大リンパ節および肺野結節影の評価目的に気管支鏡検査

(EBUS-TBNA、肺生検)を実施したところ、それぞれで肝細胞癌が検出された。肝細胞癌の診断で消化器内科転科となり、加療を継続されている。【考察】肝細胞癌の縦隔リンパ節転移は比較的少ない。本例のようにEBUS-TBNAで診断のついた肝細胞癌は報告が少なく、貴重な症例と考えられた。

K-12当院で経験した切除不能胸腺癌に対する集学的治療の検討

1)県立広島病院 臨床腫瘍科、2)県立広島病院 心臓血管・呼吸器外科、3)県立広島病院 放射線治療科土井美帆子1)、山内 理海1)、新田 朋子1)、篠崎 勝則1)、片山 達也2)、今野 伸樹3)、和田崎晃一3)

【背景】稀少疾患である胸腺癌は、一般的に転移よりも局所浸潤傾向を示すが切除不能の進行した状態で発見されることが多い。【方法】当院で5年間に経験した切除不能胸腺癌6例(IVA期2例、IVB期3例、III期術後再発1例)について、後方視的に治療経過の検討を行った。【結果】組織型は扁平上皮癌5例、肉腫様癌1例で、平均生存期間は14.5ヶ月(6.3~43.8)であった。初診時6例中3例に大血管への浸潤、心嚢水貯留を認め、肺、骨への多発転移をそれぞれ2例に認めた。局所浸潤を呈した3例のうち、同時化学放射線治療(weekly CBDCA/PTX+縦隔RT 50~56Gy)を2例に施行し、広範な心膜、血管内浸潤を伴った1例に化学療法(CBDCA/PTX⇒CDDP/VP-16)単独治療を行った。化学放射線治療

(CRT)を行った2例では局所コントロールは良好であったが、CRTが不可能であった1例では病変の増大を認めた。隣接臓器への浸潤を認めず遠隔転移を伴った2例ではCBDCA/PTX(nab-PTX)療法によりPFS 30.5ヶ月、38.0ヶ月と良好な経過を示した。【まとめ】局所浸潤を伴う切除不能胸腺癌症例では、化学放射線治療による局所コントロールが重要と考えられる。

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K-13組織免疫染色でEGFR遺伝子変異を認め、EGFR-TKIが奏功した原発不明癌の一例1)松江赤十字病院 呼吸器内科、2)松江赤十字病院 呼吸器外科、3)鳥取大学医学部 分子制御内科中崎 博文1)、池内 智行1)、徳安 宏和1)、宮本 英明2)、佐藤 泰之2)、磯和 理貴2)、清水 英治3)

症例は67歳女性。腰痛症のため当院整形外科を受診し、L2、L4に転移性骨腫瘍を認めた。PET検査では腰椎病変、左舌区結節、縦隔リンパ節への集積を認めた。左舌区結節の胸腔鏡下肺部分切除を施行したが悪性所見を認めなかった。L2椎体切開生検を施行し、紡錘形癌細胞を認めたが原発巣を特定できず、原発不明癌の診断となった。椎体組織でEGFR遺伝子解析(SRL;Cycleave法)を行ったが、遺伝子変異は認めなかった。セカンドオピニオンで某A病院を受診し、当院で採取した椎体組織でEGFR L858R変異特異抗体での免疫染色が行われ、びまん性に強陽性を示した。この結果より治療方針を検討し、gefitinibでの治療を開始したところ腫瘍縮小を認めた。現在まで約1年間使用継続中である。一般臨床ではEGFR遺伝子変異の検出は、PCR法などの分子生物学的手法で行われている。本症例は遺伝子解析ではEGFR wild typeであったものの、免疫染色でEGFR変異特異抗体に陽性を示し、さらにEGFR-TKIも奏功した。文献的考察を加えて報告する。

K-14急速増大に対して外科的切除を施行した悪性孤立性線維性腫瘍

香川県立中央病院 呼吸器外科松原  慧、青江  基、小来田佑哉、吉川 武志、三竿 貴彦

症例は81歳男性.胸部レントゲン写真で左下肺野に異常陰影を指摘された.1年前の胸部レントゲン写真では指摘されていない.胸部造影CTで,左横隔膜直上に造影不均一乏血性で長径約80mm大の充実性腫瘤を認めた.胸水や有意なリンパ節腫大は認めず,腫瘍マーカーや炎症反応の上昇もなかった.孤立性線維性腫瘍を疑い更なる精査も考慮したが,急速に増大していることを勘案し,診断と治療を兼ねた外科的切除を先行した.腫瘤は境界明瞭で表面分葉状の結節性病変で,左肺下葉の臓側胸膜と連続し,横隔膜側の壁側胸膜と癒着していた.腫瘤と左肺下葉の一部,横隔膜上の壁側胸膜を合併切除した.病理所見で腫瘤は臓側胸膜から発生しており,肺,横隔膜への浸潤は認めなかった.紡錘形の腫瘍細胞と膠原線維の増生が見られ,免疫染色ではCD34陽性,bcl-2陽性であり,孤立性線維性腫瘍と合致した.また,細胞密度の高い領域や広範な壊死といった悪性成分を認め,悪性孤立性線維性腫瘍と診断された.術後6日目に退院した.孤立性線維性腫瘍は胸膜より発生する比較的稀な間葉系腫瘍で,悪性のものはさらに稀である.今回急速な増大を示した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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K-15アスペルギルス沈降抗体が診断に有用であった慢性進行性肺アスペルギルス症の1例

マツダ株式会社マツダ病院大谷 俊人、山根真由香、大成洋二郎

症例は79歳男性。発熱と咳嗽を認めたため近医を受診した。胸部CTで左肺に陳旧性肺結核による空洞と浸潤影を認めたため細菌性肺炎と診断され、セフェム、キノロン、ミノサイクリン系抗菌薬等で加療を行われた。しかし、発熱や咳嗽は持続し、左肺尖部の空洞内部にもfluidの貯留を認めた。喀痰の抗酸菌検査は陰性、ガラクトマンナン抗原やβ-Dグルカンも陰性であったため原因精査目的に当科を紹介受診した。気管支鏡検査を行ったが、培養検査を含め有意な所見を認めず、原因は不明であった。一旦外来で経過観察を行ったがその後も発熱と咳嗽は持続した。画像的に慢性進行性肺アスペルギルス症(CPPA)の可能性も否定できなかったため、アスペルギルス沈降抗体を測定したところ陽性となった。CPPAと臨床的に診断しボリコナゾールを開始したところ解熱し、以後経過は良好であった。診断に難渋したが、アルペルギルス沈降抗体陽性により臨床的にCPPAと診断し改善し得た一例を経験したのでここに報告する。

K-16急性呼吸窮迫症候群(ARDS)合併の原発性A型インフルエンザ肺炎の1例

JA高知病院坂東 弘基、黒岩 厚夫、上田 祐二、住友 賢哉、北川 敬丈、依岡 孝秀、疋田 高裕、山子 泰斗、源田 陽子

【症例】79歳 女性.【現病歴】2016年3月29日に38度台の発熱,咳嗽,筋肉痛が出現した.近医受診し抗菌薬治療を開始された.症状が持続し呼吸困難も出現してきたために4月3日に当院を紹介受診した.【経過】来院時に大気下でPaO2:46mmHgと低酸素血症を認め,インフルエンザ迅速検査でA型陽性であった.胸部X線・CTで両肺野全域にすりガラス陰影および浸潤影を認めたため,ウイルス・細菌混合性肺炎を疑い抗菌薬や抗ウイルス薬などで治療開始した.第2病日にさらに呼吸状態が悪化し,陰影・経過などからARDSと考えIPPVを開始した.各種培養・自己抗体・インフルエンザ以外の感染マーカー検査が陰性なため,ARDS合併の原発性A型インフルエンザ肺炎と診断した.IPPV開始後は徐々に呼吸状態は改善し第9病日には抜管,第36病日には大気下でPaO2:66mmHgと呼吸状態の改善を認めた.【考察】インフルエンザ肺炎は稀であるが,急性かつ重篤な肺炎をきたすことがある.特に高齢者や基礎疾患をもつ症例は重症化する可能性が高いといわれている.本症例はインフルエンザの高リスク患者を適切に評価し,早期診断治療する事の重要性を示唆する貴重な症例と考え報告する.

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K-17肺結核の治療中に急性腎障害を来した2例

国家公務員共済組合連合会吉島病院 呼吸器センター 呼吸器内科稲田 修吾、松田 賢一、水本  正、吉岡 宏治、西野 亮平、池上 靖彦、山岡 直樹、倉岡 敏彦

<諸言>肺結核の治療中に急性腎障害を生じることは稀である。今回、我々は肺結核の治療中に急性腎障害を生じた2例を経験した。<症例1>43歳、男性。前医で肺結核と診断され、当科でHREZの内服治療を開始した。第21病日に血清クレアチニン値が3.2mg/dlまで上昇したため、薬剤性の急性腎障害を疑い、全ての抗結核薬を中止した。その後も急速に腎障害が進行したため、血液透析が可能な病院へ転院した。その後、血液透析の導入により結核治療を完遂した。<症例2>54歳、男性。肺結核と診断され、当院でHREZの内服治療を開始した。第37病日より緩徐に血清クレアチニン値が上昇し、薬剤性の急性腎障害を疑い、全ての抗結核薬を中止した。薬剤中止後より緩徐に血清クレアチニン値が低下した。その後、RFPの減感作療法を行ったが、血清クレアチニン値の再上昇は認めず、結核治療を完遂できた。<結論>抗結核薬による薬剤性の腎障害はRFPで多く報告されている。肺結核の治療中に腎機能の悪化を見た際、薬剤性の可能性を考え、抗結核薬の早期中止を検討することが必要と考えた。しかし、早期に中止しても透析導入を余儀なくされる症例も存在し、留意すべき重篤な副作用である。

K-18胸腔鏡下肺生検によりMALTリンパ腫の肺浸潤影と肺非定型抗酸菌症を鑑別し得た一例

独立行政法人国立病院機構米子医療センター 胸部血管外科門永 太一、鈴木 喜雅

【症例】60歳代男性.前医で19年前より溶血性貧血を認め,1年前から右背部と右頬部に腫瘤を自覚した.治療目的に当院紹介受診.右背部腫瘤の生検で,MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫と診断した.全身精査の際,胸部CTで気管支透亮像を伴う多発肺浸潤影を認めた.気管支鏡洗浄液で抗酸菌塗抹ガフキー2号相当を認め,非定型抗酸菌症疑いとなった.肺病変の診断目的に胸腔鏡下右肺下葉部分切除術を行った.肺底部に白色肥厚した胸膜変化を認め,同部位を部分切除した.右下葉は固く器質化していた.切除肺の一部を迅速組織診に提出した所,悪性リンパ腫の診断だった.摘出した組織からは抗酸菌検出されず,MALTリンパ腫の肺浸潤と診断した.PET-CTでは,肺病変,皮下腫瘤,肝臓,脾腫,椎体にFDG集積を認めた.現在,化学療法中である.【まとめ】MALTリンパ腫の肺浸潤像は多彩な所見を呈する.悪性リンパ腫に非定型抗酸菌症が合併している場合,活性化の可能性があるため,化学療法は慎重に行う必要がある.胸腔鏡下肺生検がMALTリンパ腫の肺浸潤影と肺非定型抗酸菌症との鑑別に有用だった一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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K-19腎障害,肺胞出血を認め,腹痛,皮疹,関節痛を伴わず発症したIgA血管炎の1例

公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院伊藤 有平、有田真知子、石田  直、吉岡 弘鎮、伊藤 明広、野山 麻紀、時岡 史明、横山 俊秀、金田 俊彦

【症例】33歳 男性。【主訴】血痰,発熱。【既往歴】高血圧,脂質異常。【経過】1週間前から血痰,発熱を認め前医を受診した。胸部レントゲン写真で斑状影を認め,Cre 7.23mg/dLと腎障害を認め,11月7日に当院へ受診。胸部CTにて両側肺野に多発する斑状影,Hb 9.2g/dLと貧血を認めたため,気管支肺胞洗浄を行い,血性の回収液を認め肺胞出血と診断した。ANCA関連血管炎や,Goodpasture症候群を疑いメチルプレドニゾロン1g静注を3日間,新鮮凍結血漿を用いた血漿交換を3日間連日で行った。入院4日目にシクロフォスファミド750mg静注投与と,プレドニゾロン内服85mg/日を開始した。MPO-ANCA,PR3-ANCA,抗GBM抗体はすべて陰性であり,腎生検を行った。メザンギウム基質と細胞の増加,半月体形成,免疫抗体法でIgA沈着を認め,IgA血管炎と診断した。腎機能は改善しなかったが,肺胞出血は改善し再燃なく落ち着いていたため,2回目のシクロフォスファミド600mg静注を投与し,プレドニゾロンは漸減し,12月16日に退院,継続加療とした。腹痛,関節痛,皮疹を認めず,成人に発症したIgA血管炎を経験したため,文献を加えて報告する。

K-20抗ARS抗体陽性劇症肺炎の1剖検例

国立病院機構浜田医療センター 呼吸器内科柳川  崇

71才男性、高血圧、心房細動あり、健康生活者。8月26日から労作時の息切れ、食欲不振あり。9月2日発汗、体温39℃あり開業医受診。胸部X線写真異常を認め当院に紹介された。SPO2 86%、画像所見などから入院治療が必要と話すも固辞して帰宅。翌9月3日呼吸困難が増強し入院となる。胸部Fine cracklesあり。KL-6 2170U/ml、SP-D 435ng/ml。胸部X線写真では両側下肺野容積減少、濃厚影、線状影を認めた。CTでは両側下葉背側優位の濃厚影、周囲のすりガラス濃度を認めた。また右上葉に肺癌を疑う最大長径24mmの不整結節を認めた。低酸素血症が強く、重症の特発性器質化肺炎と考え抗菌薬、ステロイドパルス療法、シベレスタットナトリウム、シクロスポリンを併用し治療を行なったが呼吸不全が進行。9月8日エンドキサンパルス療法も行なったが同日死亡した。解剖時の肺組織では部位により急性期DAD所見と腔内の線維化が高度で硝子膜の残存がみられる器質化DAD所見がみられた。また右上葉、左下葉に腺癌が存在した。入院時の検査で抗ARS抗体が陽性(インデックス値170)。抗EJ抗体、抗Ro-52抗体が陽性と死後判明した。抗ARS抗体陽性肺疾患について文献的考察を加え報告したい。

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K-21抗ARS抗体陽性の無筋炎性皮膚筋炎(CADM)による間質性肺炎の1例

独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 呼吸器・アレルギー内科板野 純子、谷本  安、大上 康広、石賀 充典、難波 史代、田中 寿明、小野勝一郎、高橋 秀治、濱田  昇、河田 典子、木村 五郎、宗田  良

近年,筋炎症状の乏しいCADMによる間質性肺炎の報告が散見されるがその多くは抗MDA5抗体陽性である.今回我々は,抗MDA5抗体陰性で抗ARS抗体陽性のCADMに合併した間質性肺炎を経験した.症例は40代女性.アトピー性皮膚炎,気管支喘息で通院加療中であった.平成28年1月頃から発熱と咳嗽,両側手指の紅斑を認め,約2か月後に呼吸困難感を伴い受診した.胸部画像では,両肺の容積減少と下葉優位の斑状影・浸潤影,すりガラス影を認め,器質化肺炎を伴った間質性肺炎と考えられた.気管支肺胞洗浄液中にリンパ球優位の著明な総細胞数の増加を認めた.抗Jo-1抗体と抗MDA5抗体は陰性であったが,抗ARS抗体(ELISA)が陽性であった.アトピー性皮膚炎に加えてmechanic's handsやGottron徴候も認めた.筋炎の自他覚所見はなく,抗ARS抗体陽性のCADMに合併した間質性肺炎と診断し,プレドニゾロンとタクロリムスによる治療で症状・画像ともに速やかに改善した.本症例で陽性となった抗ARS抗体は,免疫沈降法による検査結果から抗KS抗体と判断され,既報の臨床像に矛盾しなかった.抗ARS抗体の測定は,間質性肺炎の病因や病型の補助診断,治療法の選択や予後の推測に有用と考えられた.

K-22好酸球性肺炎との鑑別を要した無筋炎性皮膚筋炎に合併した間質性肺炎の1例

独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター 呼吸器・アレルギー内科大上 康広、木村 五郎、板野 純子、高橋 秀治、石賀 充典、難波 史代、田中 寿明、小野勝一郎、濱田  昇、河田 典子、谷本  安、宗田  良

症例は69歳の男性。右腹部皮膚の疼痛を主訴に前医を受診し、皮膚生検を行い脂肪織炎と診断された。初診時より3か月後に手掌皮膚に紅斑が出現し、同部位を生検したが有意な所見は得られなかった。初診時より4か月後、発熱を主訴に当院を受診した。CT上両中下肺野を中心に濃厚影~すりガラス影を認め、末梢血好酸球33%と高値であり好酸球性肺炎を疑った。気管支鏡検査を行いBALFで好酸球80%と高値であったため好酸球性肺炎としてステロイド投与を開始した。しかし徐々に酸素飽和度が低下しCT上陰影の増悪を認めた。抗MDA5抗体が陽性と判明し、筋炎症状を伴っていないことから無筋炎性皮膚筋炎に伴う間質性肺炎と診断した。ステロイドパルス+タクロリムス投与にて改善を認め、現在も治療中である。皮膚筋炎は特発性炎症性筋疾患に分類されるが、間質性肺疾患を合併すると患者の生命予後に大きく寄与すると言われている。近年、特異的自己抗体による皮膚筋炎の臨床所見の予測が可能となり、特に抗MDA5抗体が間質性肺疾患を予測するマーカーとして有用であることが明らかになってきている。文献的考察を交え報告する。

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K-23胸膜炎を合併したIgG4関連肺疾患の一例

1)松江赤十字病院 呼吸器内科、2)松江赤十字病院 呼吸器外科、3)鳥取大学医学部付属病院 呼吸器・膠原病内科池内 智行1)、中崎 博文1)、徳安 和宏1)、宮本 英明2)、佐藤 泰之2)、磯和 理貴2)、清水 英治3)

症例は73歳男性.湿性咳嗽と繰り返す蕁麻疹を主訴に近医受診したところ,胸部CTで両側腋窩および縦隔にリンパ節腫脹,右胸水,肺底部周囲の間質肥厚像を認め当科紹介となる.胸水性状は滲出性であり,ADA高値,好酸球優位であった.クオンティフェロン検査は陰性,胸水の抗酸菌塗抹陰性であり結核は否定的と診断した.血清と胸水中のIgG4上昇あり,IgG4関連肺疾患を疑って右中葉よりTBLB行ったがIgG4染色で有意な所見認められなかった.診断目的でVATS施行し,間質肥厚像を認めた右肺底部の生検を行った.生検組織の臓側胸膜には形質細胞の浸潤が目立ち,IgG4陽性細胞を認めた.IgG4/IgGが46.2%であったことから,胸膜炎を伴ったIgG4関連肺疾患と診断した.診断後は経過観察としていたが,胸水増加傾向となったためプレドニン投与開始し,治療反応は良好である.IgG4関連肺疾患では,肺門・縦隔リンパ節腫脹,充実性結節,気管支壁肥厚など様々な画像所見を示すことが知られているが,胸膜炎合併の報告は少ない.胸膜炎の鑑別として,IgG4関連肺疾患は重要と思われ,若干の文献的考察を含めて報告する.

K-24Cough hypersensitivity syndromeと考えられた1例

岡山市立市民病院 呼吸器内科洲脇 俊充、勝田 知也、讓尾 昌太

難治性咳嗽の原因として,近年,Cough hypersensitivity syndrome(CHS)の概念が提唱されている。今回,我々は,CHSと考えられる症例を経験したので報告する。症例は73歳,男性,never smoker。20年前から慢性乾性咳嗽あり。咳の誘因は気候(気温の低下,梅雨,台風等),温度差のある部屋への出入り,エアコンの風,ディーゼル車の排気ガス等。CAPアレルゲンは全て陰性。スパイログラム,モストグラフ,呼気NOも著変なし。これまでICS,ICS/LABA,抗ヒスタミン剤等を試すも,完全には軽快せず。胃カメラにて食道裂孔ヘルニアを認めるがPPIも効果なし。CHSを疑い,プレガバリンを投与したところ,咳は著明に改善。しかし,薬疹出現し,やむなく中止。ガバペンチンに変更したところ,咳には著効したものの,やはり,薬疹出現し,中止。プレガバリン,ガバペンチン何れも著効しており,臨床的にCHSと考えられた。慢性咳嗽の診療において,原因を想定した特異的治療の効果が乏しい場合には,CHSを疑い,治療を行うことも必要と考えられた。

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K-25当院地域連携における吸入新薬の継続

松山赤十字病院 呼吸器内科梶原浩太郎、甲田 拓之、加藤 高英、濱口 直彦、牧野 英記、兼松 貴則

【背景】近年,ICS/LABAやLAMA/LABAの吸入新薬が次々と発売されている.しかし新薬は投与日数の制限があり,総合病院への頻回な通院は負担となり継続できないことがある.【目的】総合病院において,吸入新薬を継続できない患者背景を明らかにする.【方法】2013年11月~2015年10月に当科で,1回14日分の投与制限のある吸入新薬を処方されたCOPDまたは気管支喘息患者を対象とした.電子カルテを用いて患者背景を評価した.ROC曲線を用いて居住区への距離のカットオフ値を解析した.吸入新薬の継続可否を目的変数とし,患者背景を説明変数として重回帰分析を行った.【結果】全33例を解析した.投与日数は42(21-73)日で,継続可能(長期処方に移行,近医で継続,治療Stepdown)は61.7%であった.ROC曲線では居住区から当院までの距離が7.9km以上が吸入新薬継続不能となるリスクであった.重回帰分析で新薬継続できない患者背景リスクは,かかりつけ内科なし

(β=0.20),遠距離の居住区(β=0.19)であり,FEV1改善率,年齢との関連は見られなかった(Adjusted R2=0.36,P=0.02).【結語】吸入新薬を継続できないリスクは社会的要因が大きく,近医との地域連携が課題である.

K-26気管支喘息患者に対するFF/VIとBUD/FMにおける治療効果の検討

愛媛大学大学院 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座仙波真由子、片山  均、山本将一朗、濱田 千鶴、三好 誠吾、大蔵 隆文、檜垣 實男

【背景】気管支喘息の治療に用いる吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤の種類は近年増加しているが、吸入薬剤別の長期コントロールの比較は十分に行われていない。【目的】Fluticasone furoate/Vilanterol(FF/VI)とBudesonide/Formoterol(BUD/FM)の気管支喘息患者に対する治療効果の検討を行う。【方法】2010年1月から2016年1月までに当院でFF/VIあるいはBUD/FMを開始した気管支喘息患者72例(FF/VI 36例、BUD/FM 36例)を対象に、吸入治療開始から気管支喘息増悪までの期間を後ろ向きに解析した。気管支喘息以外の呼吸器疾患を合併した症例は除外した。【結果】増悪までの期間はFF/VI群とBUD/FM群で有意な差は認めなかったが(p=0.902)、BUD/FM群は3日間以上の全身ステロイド投与が必要な気管支喘息増悪をきたすまでの期間が有意に短かった(p=0.034)。また、観察期間中に吸入治療を中断した患者群は気管支喘息の増悪を来しやすく(p=0.014、HR 9.491、95%CI 1.575-57.20)、治療の中断はBUD/FM群で有意に多かった(p=0.0096)。【結論】全身ステロイド投与を要する気管支喘息増悪がBUD/FM群で多い理由として吸入治療の中断が多いことが考えられた。

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K-27当院での気管支サーモプラスティの使用経験

高松市民病院 呼吸器科河野 洋二、岸本 伸人、大黒由加里、三崎 伯幸、加藤  歩

気管支サーモプラスティは重症喘息患者に対する非薬物療法として注目され、呼吸機能検査の改善が報告されているが、気道抵抗や呼吸抵抗に対する検討は少ない。4症例の気管支サーモプラスティによる加療前後に各種呼吸機能検査を施行し検討した。症例はすべて喘息予防管理ガイドラインの治療ステップ4にて最重症持続型である。ボディプレチスモグラフ(ミナト医科学社:BX-9)、IOS(マスタースクリーンIOS)、NIOX-MINO(Aerocrine社)を使用し、FEV1.0、PEF、RV、Raw、R5、R20、Fres、FeNOを評価した。3回の気管支サーモプラスティの施行前後に比較検討し、すべての項目で有意な変化はみられなかった。喘息関連QOLは著明に改善しており、発作回数も大きく減少しているが、今回の呼吸機能検査では改善はみられなかった。気管支サーモプラスティの詳細な作用機序は不明な点もあり、今回の症状と呼吸機能のかい離についても長期間のフォローアップ等のさらなる調査検討が必要である。また、BT施行による短期間の気道上皮や気道平滑筋の変化についてOCT(optical coherence tomography:光干渉断層法)を使用して観察したので同時に報告する。

K-28当院でのJR運転士の睡眠時無呼吸症候群についての検討

JR広島病院 呼吸器内科餘家 浩樹、安武 美紀、稲田 順也

【目的】睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の主な原因として(1)肥満、(2)アルコールの飲用、(3)扁桃腺肥大、(4)仰向臥位での睡眠、(5)下顎が小さい、(6)加齢、(7)鼻づまりなどの要因が関与している。当院でのSAS症例での原因との関連を検討した。【方法】H26年2月からH28年2月までの期間にJR西日本運転士1436名に対して簡易式PSGでスクリーニングを施行し、陽性症例に対しPSGを施行した。PSGを施行した79症例に対してアンケート、検査結果、身体所見などを調査し、比較検討を行った。【結果】79症例のPSGの結果、異常なしが18例、AHI5-10の軽症群が32例、AHIが10-30の中等症群が15例、AHIが30以上の重症群が14例であった。有病率は4.2%(61例/1436例)であった。治療としては、中等症群の47%、重症群の100%にCPAP導入を行っていた。【結論】SAS群は比較的高齢で肥満で低身長の体型に多い傾向にあり、扁桃腺腫大も大きな要因となっていた。CPAP導入が必要な重症、中等症症例の多くにいびき、日中傾眠の症状を認め、高血圧症や高脂血症を合併していた。今回の有病率は4.2%と低くない結果であり、運転士などの職種では簡易式PSGでのスクリーニングには良い検査であると考えた。

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K-29発熱や咳嗽を欠き虚血性心疾患や喫煙関連間質性肺炎と鑑別を要した肺血管内リンパ腫の1例1)鳥取市立病院 内科・総合診療科、2)鳥取市立病院 循環器科、3)鳥取市立病院 外科、4)鳥取市立病院 病理診断科谷水 将邦1)、檀原 尚典1)、足立 誠司1)、森田 涼香2)、池田 秀明3)、小林 計太4)

【緒言】近年、肺のびまん性陰影を契機に診断される血管内リンパ腫の報告がなされている。今回、我々は発熱や咳嗽を認めず、労作時の息切れと頻回の胸部絞扼感が主訴で、喫煙関連間質性肺炎や虚血性心疾患と鑑別を要した症例を経験した。【症例】62歳男性、重喫煙者。1ヵ月の経過で労作時息切れと頻回の胸部絞扼感が出現。狭心症様の症状で救急受診され、心臓カテーテル検査等が施行されたが、虚血性心疾患や肺塞栓は否定された。胸部CT検査で肺のびまん性陰影が認められ、当初は喫煙関連間質性肺炎と診断され、禁煙と吸入療法を行うも症状は改善しなかった。軽度の血小板減少とLDHの異常高値が判明し、骨髄検査、胸腔鏡下肺生検にて血管内リンパ腫と診断した。【考察】本例は血管内リンパ腫の肺病変に高頻度で認められる発熱や咳嗽が認められず、CT画像の初期診断も誤ってしまったことが診断の遅れにつながった。LDHの異常値と血球減少が診断の契機となっており、肺のびまん性陰影にこれらを伴う場合は、積極的な組織生検を行うべきと考えられた。また、血液内科や呼吸器内科以外の診療科にも疾患認知を高める必要があると考えられた。

K-30画像的に胸腺嚢胞との鑑別が困難であった前縦隔気管支原生嚢胞の一例

財団法人倉敷中央病院 呼吸器外科山梨 恵次、奥村 典仁、大月 康弘、本多 陽平、中園 千晶、田崎 拓朗、高橋 鮎子、中島  尊、松岡 智章、亀山耕太郎

気管支原生嚢胞は気管や気管支に接して中縦隔に発生することが多い.また,嚢胞穿破後の感染の報告もあり手術による切除が考慮される.今回,画像的に胸腺嚢胞との鑑別が困難であった前縦隔気管支原生嚢胞を穿破させることなく胸腔鏡下に切除したので報告する.【症例】67歳女性.2014年9月胸部CTで前縦隔腫瘍を指摘され当院紹介となった.胸部CTで前縦隔に3cm台の嚢胞性病変を認め,胸部MRIではT1W1高信号/T2WI高信号であり,内部粘稠な胸腺嚢胞が疑われ,腫瘍径および無症状であることを考慮し外来で経過観察としていた.2016年4月の胸部CTで若干増大傾向であり,今後の感染や穿破を考慮し手術の方針とした.【手術】3ポート完全鏡視下,CO2送気下で左胸腔アプローチとした.内胸静脈背側の縦隔胸膜を切開した.無名静脈尾側に弾性軟な嚢胞性の病変を認め,嚢胞壁を温存しつつ周囲組織との剥離を試みた.嚢胞壁と周囲組織の癒着は強固であり,右開胸とし,右縦隔胸膜の一部と嚢胞壁を一塊として剥離した.標本摘出後,迅速病理診断で悪性所見を認めず手術終了とした.手術時間は1時間39分,出血量は少量.最終病理診断は気管支原生嚢胞であった.

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K-31肺癌化学放射線療法後にリンパ節結核を発症し,肺癌再発との鑑別を要した1例1)広島市立広島市民病院 呼吸器内科、2)広島市立広島市民病院 腫瘍内科神原穂奈美1)、楢崎  唯1)、井原 大輔1)、益田  健1)、金原 正志1)、岩本 康男2)

【症例】67歳,男性.【現病歴】2014年4月に咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部レントゲンで右上肺野結節影を指摘され,精査目的に当院紹介となった.#7リンパ節よりEBUS-TBNAを施行し,非小細胞肺癌の診断であった.画像上,右上葉肺癌cT1aN2M0 cStageIIIA,multistation N2のため手術適応はなしと判断した.2014年5月より化学放射線療法(RT 60Gy,CDDP+VNR)を施行し,CRの効果であった.その後は経過観察としていたが,2015年1月のCTで右鎖骨上窩リンパ節腫大を指摘,PET-CTでは右鎖骨上窩リンパ節,左頚動脈周囲リンパ節に異常集積を認め,肺癌の転移が疑われた.初診時,組織診断未確定であったため,右鎖骨上リンパ節に対し経皮的針生検を施行し,内部壊死を伴う肉芽腫を認め,リンパ節結核が疑われた.穿刺液の抗酸菌培養,PCRを施行し,いずれも結核菌陽性となり,RFP+INH+EB+PZAによる治療を開始した.肺癌に関しては再発を疑う所見は認めていない.【考察・結語】抗癌剤治療は細胞性免疫を低下させ,結核再燃の要因となりうる.肺癌の再発を疑う症例であっても可能な限り生検を施行し,再発の確定診断に努めるべきである.

K-32PET-CT検査にて肺癌骨転移と診断された肋骨孤立性形質細胞腫の1例

独立行政法人国立病院機構高知病院 呼吸器センター門田 直樹、今西 志乃、矢葺 洋平、内藤 伸仁、田岡 隆成、岡野 義夫、町田 久典、畠山 暢生、篠原  勉、大串 文隆

【症例】83歳、男性。他院にて慢性腎不全で維持透析施行中。左胸部の鈍痛の訴えがあり胸部X線検査施行し、左下肺野に腫瘤影を指摘され当科紹介となる。胸部CT検査施行し、右肺上葉S3に辺縁spiculaを有する不整形の濃度上昇を認め、左第8肋骨の背外側に指摘されていた骨破壊を伴う腫瘤形成を認めた。PET-CT検査施行し、肺癌骨転移と画像診断された。しかし、リンパ節転移や遠隔転移なども認めず肺癌骨転移としては非典型的であるため骨腫瘍や形質細胞腫などを考えた。尿中Bence-Jones蛋白陽性であり、肋骨生検術施行し形質細胞腫と診断された。骨髄検査は異常所見を認めず。その他に明らかな骨病変を認めないため肋骨孤立性形質細胞腫と診断した。治療については全身状態を考慮し放射線治療を行い腫瘍縮小効果が得られた。肺病変については肺癌の可能性はあるが、御本人が精査を希望されなかった。【考察】骨の孤立性形質細胞腫は稀な腫瘍である。肋骨と胸骨に発生する頻度は7.8%と報告されており、肋骨の孤立性形質細胞腫は稀である。原発巣と乖離のある骨転移を疑う所見を認めた場合には、形質細胞腫を鑑別にあげる必要があると考える。

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K-33左下葉fissureless lobectomy

1)岩国医療センター 胸部外科、2)岩国医療センター 呼吸器内科片岡 和彦1)、久保友次郎1)、塩谷 俊雄1)、西  達也2)、梅野 貴裕2)、工藤健一郎2)、能島 大輔2)、久山 彰一2)

【はじめに】分葉不全では葉間の切離を最後に行うfissureless lobectomyが有用である。【症例】72歳、男性。前医でCT,気管支鏡、PETで間質性肺炎合併左下葉扁平上皮癌cT3N3M0 stage3Bと診断された。全身化学療法がレジメンを変更しながら継続され、原発巣はしだいに増大傾向となり、リンパ節は不変であった。当科に紹介され、手術を選択された。後側方開胸、両肺換気下に手術を施行。葉間には分葉不全と癒着を認めfissureless lobectomyの方針とした。下肺静脈、下葉気管支、下葉肺動脈の順に切離し、葉間は腫瘍とのマージンを確保して上葉側で、自動縫合器で切離した。エアーリークを認めず、ドレーンは2日目に抜去できた。病理では6.5cmの扁平上皮癌でypT2bN0M0 stage2Aであった。【考察】本症例は、化学療法を3年半継続された後のサルベージ手術で、間質性肺炎を合併していた。葉間は分葉不全と癒着により剥離困難であった。本症例に、肺静脈、気管支、肺動脈と処理をして、最後に葉間を自動縫合器で切離するfissureless lobectomyは有用であった。【結語】分葉不全の間質性肺炎合併肺癌に対するサルベージ手術に際し、fissureless lobectomyが極めて有用であった。

K-34腹腔シンチグラフィにより診断し横隔膜縫合閉鎖術を行った横隔膜交通症の1例1)徳島大学病院 呼吸器・膠原病内科、2)徳島大学病院 腎臓内科、3)徳島大学病院 呼吸器外科近藤 真代1)、手塚 敏史1)、米田 浩人1)、豊田 優子1)、後東 久嗣1)、岸   潤1)、吾妻 雅彦1)、埴淵 昌毅1)、村上 太一2)、土井 俊夫2)、河北 直也3)、滝沢 宏光3)、西岡 安彦1)

【症例】82歳、男性。X-3年にネフローゼ症候群、ウイルス性肝硬変を指摘され、当院にて通院加療を受けていた。ネフローゼ症候群は完全寛解状態にあり、肝硬変による腹水貯留は著変なく経過していた。X年6月に呼吸困難感が出現し、縦隔の左方偏位を伴う右大量胸水の貯留を指摘され、精査加療目的にて入院となった。入院後より胸腔ドレナージを開始し、第3病日には胸水および腹水の消失を認めた。胸水排液量の減少を確認しドレーンを抜去したが、再び右胸水および腹水の貯留を認めた。胸腹水はともに漏出性であった。横隔膜交通症による腹水の胸腔内移行を疑い、Tc-99m MAAによる腹腔シンチグラフィおよびSPECT/CTを撮像したところ、腹腔から胸腔への核種移行が確認された。利尿剤による薬物治療に抵抗性であり、胸腹腔鏡下横隔膜縫合閉鎖術を行った。その後再燃することなく経過した。【考察】胸腹水貯留を認めた場合、横隔膜交通症が鑑別すべき疾患としてあげられる。横隔膜交通症の診断において色素や造影剤を用いることもあるが、腹腔シンチグラフィは安全および簡便であり、交通部位の推定にも有用であった。

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K-35単心室症・Fontan術後、成人期に喀血を繰り返した若年男性の一剖検例

1)公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 呼吸器内科、2)岸和田盈進会病院 喀血・肺循環センター、3)南京都病院 呼吸器内科田中  妙1)、伊藤 明広1)、横山 俊秀1)、時岡 史明1)、野山 麻紀1)、吉岡 弘鎮1)、有田眞知子1)、橋本  徹1)、龍華 美咲2)、石川 秀雄2)、橘  洋正3)、石田  直1)

先天性心疾患に対し小児期にFontan手術を受け成人を迎えている患者は増えており、呼吸器合併症の報告も散見される。今回Fontan手術を受けた22年後に難治性喀血を生じた症例を経験したため報告する。症例は28歳男性。先天性単心室症、無脾症を有し、1993年(6歳時)にFontan手術を施行された。2009年(22歳時)に肺Mycobacterium gordonae症を発症し、化学療法を完遂したが左上葉に空洞が残存した。以降は気道感染を繰り返しており、2015年X月に細菌性肺炎のため入院となった。経過中、肺アスペルギルス症を発症し、抗真菌薬による治療を行ったが左肺から喀血を繰り返すようになった。肺アスペルギルス症に加えて、Fontan手術の影響により左肺動脈が狭窄しており、左肺への側副血行路の発達が喀血に寄与していると判断した。手術を検討したが喀血および右左シャントによる低酸素血症、肺高血圧発症のリスク、易感染性などの理由から適応外と判断された。気管支動脈コイル塞栓術を施行したが、X+2月大喀血のため気管挿管を施行し、挿管下で左上葉にEWSを施行したがVAPを発症し永眠した。繰り返す喀血に対し治療に難渋した一剖検例を経験したため若干の文献的考察を加えて報告する。

K-36気管支原性嚢胞を合併した肺葉内肺分画症の1切除例

1)山口宇部医療センター 呼吸器外科、2)山口大学大学院 器官病態外科学田中 俊樹1,2)、田尾 裕之1)、吉山 康一1)、古川 公之1)、岡部 和倫1)

症例は20歳台、男性。学校検診での胸部X線写真で異常を指摘され当科受診。CTで左後縦隔に5cm大の造影効果のない嚢胞性腫瘤と左肺下葉に嚢胞性変化と気管支拡張を伴う部分を認めた。大動脈からの異常動脈はなく、肺動脈が流入し肺静脈に還流していた。気管支分枝の欠損は認められなかった。気管支原性嚢胞合併肺葉内肺分画症の診断で、完全胸腔鏡下手術を行った。気管支原性嚢胞は、周囲臓器との交通はなく容易に切除できた。分画肺への大動脈からの異常動脈はなく分画肺は過分葉しており、流入する肺動静脈を切離した後に過分葉に沿って分画肺のみの切除を行った。術後経過良好で、術後4日目に軽快退院となった。組織学的には、気管支原性嚢胞と肺分画症に矛盾しない所見であった。気管支原性嚢胞合併肺葉内肺分画症、大動脈からの血流を伴わない肺葉内肺分画症のいずれも非常に稀であり、bronchopulmonary foregut malformationに含まれる病態と考えられた。分画肺が過分葉していたため、完全胸腔鏡下に分画肺のみの切除が可能であった。稀な気管支原性嚢胞合併肺葉内肺分画症を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

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K-37著明な粥状硬化を伴い瘤化した異常流入血管を認めた肺底動脈大動脈起始症の1例1)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 呼吸器外科、2)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 呼吸器内科、3)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 心臓血管外科、4)国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 病理診断科、5)広島大学 原医研腫瘍外科原田 洋明1)、山下 芳典1)、三村 剛史1)、三登 峰代2)、奥本  譲2)、高崎 泰一3)、谷山 大樹4)、倉岡 和矢4)、坪川 典史5)、中野喜久雄2)

症例は40歳,女性.禁煙外来受診時にばち状指を指摘された.胸部CTにて左下葉肺底部を中心に血管陰影の増強やすりガラス陰影を認め,胸部下行大動脈から左肺底区に流入する瘤化を伴った異常動脈が確認された。3D-CTによる気管支、肺動静脈の分布から、分画肺は認めず,肺底動脈大動脈起始症と診断し,異常動脈の切離と左下葉切除術を施行した.異常動脈の基部は内径13mmと太く、さらに瘤化を伴っており脆弱であると考えられたため,心臓血管外科医の判断のもと小開胸下に結紮切離した.病理学的に異常流入血管は,著明な粥状動脈硬化を伴っていた.良性疾患故に可及的肺容量温存が考慮されるべきだが、3D-CTによりV6の走行が異常流入血管を取り巻いていることからS6温存による肺底区切除は困難と判断した。本疾患の術式に関しては,異常血管の状態に応じた処理法および肺切除必要領域の判定が重要と考えられた.

K-38間質性肺炎の治療中に発癌をきたした3例

愛媛県立中央病院 呼吸器内科中西 徳彦、中村 純也、近藤 晴香、佐伯 和彦、橘 さやか、塩尻 正明、井上 考司、森高 智典

【はじめに】間質性肺炎(IP)症例では、ステロイド剤と免疫抑制剤による治療が行われることが多い。今回、IPに対する治療中に膀胱癌、子宮頸癌を経験したので報告する。【症例】症例1:82歳女性。プレドニゾロン(PSL)mg+シクロホスファミド(CPA)5mgで治療されていた。13年後に膀胱癌を発症。症例2:64歳女性。PSL 10mg+CPA 100mgで治療されていた。8年後に肉眼的血尿を認め、膀胱癌と診断された。症例3:41歳女性。PSL 10-15mg+タクロリムス3mgで治療されていた。5年後に職場健診にて子宮頸癌と診断された。【考察】CPAの長期投与により、膀胱癌のリスクが増加するとの報告は散見されるが、多くは多発血管炎性肉芽腫症あるいは関節リウマチに対するものである。タクロリムスについては、皮膚扁平上皮癌のリスクが増えるといわれている。いずれも、長期投与によりリスクが増えると考えられており、間質性肺炎においても治療が長期化する場合、発癌のリスクにも留意すべきと考えられる。

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K-39気管支拡張症に続発した消化管アミロイドーシスの一例

新行橋病院 救命救急科能勢 直弘

67歳男性。気管支拡張症に対しCAM長期投与開始された。2か月後より腹痛、下痢、発熱出現。他院で腸炎と診断され輸液治療がなされたが改善ないため当院転院。来院時CRP 20,WBC 14800。38度台の熱発と腹痛下痢を認めた。感染性腸炎を疑い転院後CMZ投与と絶食管理行ったが改善ないため大腸内視鏡を施行した。直腸~下降結腸に、粘膜浮腫、点発赤を伴った小びらんの多発を認めた。生検病理所見では浮腫、好酸性滲出物、出血を伴う粘膜壊死の所見で、経過から抗生剤起因性腸炎が疑われた。抗生剤中止し中心静脈栄養管理としたが改善ないため病理検体を再検討。コンゴレッド染色で多数の血管壁にアミロイドの沈着を認め、抗Amyloid A抗体免疫染色陽性であった。家族歴やリウマチ等他の基礎疾患が無い為、気管支拡張症に続発した続発性消化管アミロイドーシスと診断した。喀痰から緑膿菌とMRSAが検出されたためLVFX、ST投与、抗炎症効果を期待し麻黄湯投与したところ症状改善した。気管支拡張症に消化器症状が出現した場合、本疾患を疑うべきと考えられた。

K-40呼吸と循環の同時測定を目指した医療機器開発の試み

1)国立病院機構広島西医療センター 総合診療科、2)山口大学大学院理工学研究科中村 浩士1)、小池 隆夫1)、中島 翔太2)、田中 幹也2)

【目的】心臓拍動より周波数の低い呼吸運動に着目し、両方を同時に測定可能な体導音センサを開発中である。在宅医療の更なる安全性を確立するため、“呼吸と脈拍数の変動”を用いて、心肺停止事故のリスクを予測することを目的とした。【方法(1)機器の開発】脇下にマイクを挟んで計測できる体導音センサを開発した(ver. 1)。同じく新規開発した周波数解析アルゴリズムと組み合わせることで、脈拍数と呼吸数の同時計測も可能である。【方法(2)在宅患者への使用】入院患者、在宅・難病・重度心身障害者における呼吸評価(呼吸数、呼吸強度)の評価を行う。なお本研究は、人権の保護と法令等の遵守の目的で、当院倫理委員会審査にて承認済(番号14)である。【結果(1)】健常ボランティア22名における呼吸数の計測(屋外)では、測定不能1名(0.05%)、測定値エラー3名(0.14%)であった。【結果

(2)】在宅患者2名ならびに入院患者2名に対して計測を継続している。【まとめ】体導音センサは、様々な環境下でも安全かつ簡便に使用可能である。

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K-41肺多形癌脳転移に対しガンマナイフ治療を行った1症例

社会医療法人岡村一心堂病院蓮井 光一、岡村 一博

近年、寡数個の肺癌脳転移に対しては定位的放射線治療が選択されることが多くなってきた。今回、比較的稀な組織型で悪性度が高いとされている肺多形癌(肺癌全体の0.1~0.3%)の脳転移に対しガンマナイフ治療が有効であった症例を経験した。症例は66歳女性。平成27年12月左上葉肺癌にて左肺全摘が行われ、病理診断はPleomorphic carcinoma with adenocarcinomaであった。術後の化学療法は本人が躊躇していた。平成28年2月末頃より右上下肢の不全片麻痺が出現し、頭部検査にて転移と思われる責任病巣が指摘された。同病変に対し3月脳転移病変に用いられる通常の照射線量でガンマナイフ治療を施行。治療後は速やかに右不全片麻痺は改善し、画像上も治療病変の縮小と病巣周囲の脳浮腫の軽減が確認された。径3cm程度までの大きさの脳転移に対するガンマナイフ治療効果は既に確立されている。本症例の治療後の観察期間はまだ短いが、原発病変の組織型に関係なくガンマナイフ治療は有効で患者のQOL向上に役立つと考えられた。

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呼吸器学会研修医演題

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呼吸器学会 研修医

KT-01肺癌の化学療法中に発症した血小板減少症の一例

1)マツダ病院 卒後臨床研修センター、2)マツダ病院 呼吸器内科新庄 慶大1)、大谷 俊人2)、山根真由香2)、大成洋二郎2)

症例は81歳、男性。左上葉肺腺癌(cT2N0M1,Stage4)、EGFR遺伝子変異ありと診断しゲフィチニブ、ペメトレキセド、エルロチニブによる治療を行ったが増悪したため中止した。4th lineとしてドセタキセル(DTX)単剤療法を開始し、day9にGrade2の好中球減少を認めたが、day21に正常化した。血小板はDTX投与前に17.8万/µlであったが、day29からday70まで約2.0万/µlと減少した。画像検査で腫瘍の増悪は認めず、各種自己抗体は陰性、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体陰性で、骨髄検査では巨核球数は基準値内で、他の血球に異常なく悪性所見も認めなかった。その後、血小板は経過観察で回復した。以上のことから血小板減少の原因として、肺癌に合併した二次性免疫性血小板減少症が考えられた。肺癌に合併した血小板減少症についての報告は散見されるが、治療経過の中で発症するのは稀であり、抗癌剤の副作用や癌の骨髄浸潤も疑い診断に苦慮した。本症例では、原因として特発性血小板減少性紫斑病やDTXによる血小板減少症の可能性も否定できないことは興味深く今後も検討の余地がある。

KT-02未確診肺腫瘤に対する迅速病理診断の工夫

1)松江市立病院、2)鳥取大学医学部附属病院 胸部外科藤原和歌子1)、荒木 邦夫2)、窪内 康晃2)、城所 嘉輝2)、大野 貴志2)、万木 洋平2)、若原  誠2)、三和  健2)、谷口 雄司2)、中村 廣繁2)

画像診断の進歩に伴い小型肺腫瘤の発見が上昇しているが、確定診断に至らず、診断と治療を兼ねて手術を行う症例も増加している。その際、術中迅速診断は必須であるが、当科では肺癌であれば永久標本で組織亜型と浸潤度が正確に診断できるように、感染を疑う腫瘤では感染対策に配慮した工夫を行っているので症例を提示し紹介する。【肺癌疑い症例】胸腔鏡下肺部(区)切を行い、バッグに入れ体外に摘出する。標本を不潔野で針生検し、迅速病理で病変が確実に取れていること、癌かどうかを確認して縮小手術で終了か、根治手術へ移行する。【感染性腫瘤が否定できない症例】同じく胸腔鏡下切除して摘出した標本を検査部に持っていき、N95マスクを着用し、キャビネット内で針生検を行うか、割を入れて迅速診断、培養(細菌、真菌、抗酸菌)、PCR検査に提出する。肺の未確診腫瘤は種々の病変が含まれ、正確な診断が要求される中で感染の疑いがあれば感染防御対策も重要である。原発性肺癌ではTNM分類Ver. 8への対応が迫る中、T因子における浸潤径や胸膜浸潤は重要な要素であり、本法では迅速診断で組織の挫滅を最小限に抑えることができ、有用な工夫と考えられる。

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KT-03ニボルマブが奏効した非喫煙者、EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の2例

1)香川大学医学部 卒後臨床研修センター、2)香川大学医学部 血液・免疫・呼吸器内科溝口 仁志1)、石井 知也2)、喜多 信之2)、渡邊 直樹2)、高木 健裕2)、金地 伸拓2)、坂東 修二2)

【背景】進行期非小細胞非扁平上皮癌におけるプラチナ併用2剤化学療法後のDOCに対するニボルマブの優越性が示され、さらにそのサブ解析で喫煙者、EGFR遺伝子変異陰性群に対するニボルマブの有効性が指摘された。【症例1】63歳、女性。2014年7月に健診異常を契機に発見された肺腺癌で、cT2aN2M1b、stageIV、EGFR遺伝子変異(L858R)陽性と診断された。ゲフィチニブ投与後、CBDCA+PEM+BEVを初め殺細胞性抗癌剤投与が継続された。2016年1月からは7th lineとしてニボルマブ投与が開始された。【症例2】66歳、女性。2014年2月に左不全麻痺で発症した肺腺癌で、cT2bN2M1b、stageIV、EGFR遺伝子変異(Exon19 deletion)陽性と診断された。エルロチニブ投与後、CBDCA+PEMを初め殺細胞性抗癌剤投与が行われ、2016年3月から4th lineとしてニボルマブ投与が開始された。2症例とも2週後の胸部X線で陰影の縮小が確認できるほど奏功し、6週後の胸部CTでも腫瘍の縮小が確認された。【考察】非喫煙者、EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌であっても、本症例のようにニボルマブが著効することもある。ニボルマブ投与の時期を逸することなく、治療の選択肢の一つとして常に念頭に置いておくべきである。

KT-04著明な高KL-6血症を呈した原発性肺腺癌の一例

呉共済病院 呼吸器内科足立 俊一、川口健太郎、河瀬 成穂、塩田雄太郎、堀田 尚克

【症例】69歳 男性.【主訴】咳嗽,労作時息切れ.【現病歴・経過】初診の1か月前より咳嗽,労作時息切れを自覚したため近医を受診した.その際,胸部レントゲンで左胸水を指摘され当院紹介入院となった.胸部単純CTで左S6に腫瘤影と縦隔リンパ節腫大を認めた.肺癌を疑い,胸水細胞診と胸膜生検を施行し肺腺癌T1bN2M1a Stage4の診断に至った.EGFR遺伝子の検索ではL858Rに変異を認めた.EGFR-TKIを投与したがPDとなり,カルボプラチンとペメトレキセド,ペメトレキセド維持療法で化学療法を継続した.初診より1年後に骨転移を認め,ニボルマブでの治療を開始した.投与開始にあたって血清のKL-6が14,978U/mLと著明な高値を呈していた.治療継続中に右胸水の貯留を認め,胸水中のKL-6は40,989U/mLと著明に高値であり肺癌からKL-6が産生されていることが示唆された.

【考察】肺癌組織からKL-6が産生されることを示唆する症例の報告が散見されており,文献的考察を加えて報告する.

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KT-05急性呼吸不全で発症した癌肉腫の一例

県立広島病院 呼吸器内科・リウマチ科香川 洋輔、玉本 聖佳、西田 紋子、谷本 琢也、庄田 浩康、石川 暢久、河野 紘輝、三好俊太郎、前田 裕行

症例は50歳、男性。2016年2月中旬に突然の呼吸困難を認め近医を受診した。胸部単純X線写真で右無気肺を認めた。急性呼吸不全を伴ったために、気管挿管の上で当院にヘリコプターで搬送された。当院で気管支鏡検査を施行したところ、右主気管支をほぼ閉塞する腫瘍性病変を認め、カメラは通過不可能であった。経気管支肺生検を施行したが、病理診断結果は壊死組織のみであり、確定診断には至らなかった。腫瘍マーカーはCEA 5.4ng/ml、SCC 2.0ng/ml、NSE 38.2ng/ml、シフラ 13ng/mlと軽度上昇していた。人工呼吸管理を開始したところ、無気肺が解消したが、第2病日に喀血し、再度無気肺をきたした。その後はBest Supportive Careの方針となり、第15病日に永眠した。ご家族の承諾が得られたので剖検を施行したところ、右S6に最大径3cmの腫瘍を認め、下葉から上葉にかけて広範囲に浸潤していた。この腫瘍が右主気管支の気管分岐部より2cmまで内腔に確認でき、表面には壊死性病変を認めた。#7に転移と考えられるリンパ節腫脹を認めた。病理所見で癌肉腫と診断した。癌肉腫は全肺癌の1%以下と極めて稀であり、急速な経過をたどり、剖検まで行った貴重な症例を経験したので報告する。

KT-06関節症状から診断された肺性肥大性骨関節症の1例

1)鳥取大学医学部 分子制御内科学、2)鳥取大学医学部 器官制御外科学山根 康平1)、原田 智也1)、矢内 正晶1)、山本 章裕1)、照屋 靖彦1)、武田 賢一1)、山崎  章1)、井岸  正1)、清水 英治1)、荒木 邦夫2)

症例は52歳女性。20XX年10月下旬に全身の関節痛が出現し、12月14日に前医受診。関節リウマチ等の膠原病が疑われ、精査目的で12月24日に当科紹介。関節症状に関しては、関節エコーで多発関節炎の所見を認め、NSAIDsによる疼痛管理を行った。また、当科初診時に施行した胸部Xpで、左肺尖部に腫瘤影を認めた。胸部CTで左上葉に38mm大の腫瘤影を認め、精査の結果、肺腺癌(cT3N0M0、StageIIB)の診断となった。初診時より、ばち状指があり、骨シンチグラフィーで両大腿骨遠位部骨皮質に軽度集積亢進を認め、測定した血管内皮増殖因子(VEGF)が高値であった。以上の経過より、肺腺癌による肺性肥大性骨関節症と診断した。肺腺癌に対して、外科的治療を行ったところ、関節症状は改善し、VEGFは低下した。肺性肥大性骨関節症は、慢性肺疾患に伴い、ばち状指、長管骨の骨膜新生、関節炎を3徴とする症候群である。今回、我々は関節症状から診断された肺性肥大性骨関節症を合併した肺腺癌の1例を経験した。肺性肥大性骨関節症では、原因となる肺疾患の診断が重要と考えられた教訓的症例であったため、文献的考察を含めて報告する。

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KT-07悪性胸膜中皮腫との鑑別に局所麻酔下胸腔鏡検査が有用であった肺腺癌の1例

1)広島市立広島市民病院 呼吸器内科、2)広島市立広島市民病院 腫瘍内科楢崎  唯1)、益田  健1)、神原穂奈美1)、井原 大輔1)、金原 正志1)、岩本 康男2)

【症例】75歳,女性.【主訴】労作時呼吸困難.【現病歴】2016年1月頃より労作時呼吸困難を認めたため,近医を受診し右胸水貯留指摘された.胸腔ドレナージを施行したところ,胸水細胞診でclass4:悪性胸膜中皮腫疑いとの診断であったため,精査・加療目的で当科受診した.同年2月に局所麻酔下胸腔鏡検査を施行し,壁側胸膜に肥厚性病変を認めた.同部位より生検を行い,組織学的に肺腺癌の診断に至った.肺腺癌cTxN2M1a,cStage4(EGFR遺伝子変異陰性,ALK融合遺伝子陰性)と診断し,CBDCA+PEM+BEVによる化学療法を開始した.治療開始後胸水再貯留を認めず,現在のところ外来化学療法継続中である.【考察】悪性胸水における胸水細胞診の感度は70%程度と報告されている.特に悪性胸膜中皮腫では胸水細胞診の診断率は30%程度と報告されており,細胞診では診断が不確定な場合も多い.その一方で,胸腔鏡下生検は診断率95%と非常に高いことが知られている.近年局所麻酔下胸腔鏡検査が肺癌の診断に有用と報告されており,患者に対する侵襲も少なく簡便に行うことができるため,気管支鏡検査による診断が困難で胸水貯留を伴う症例では積極的に行うべきである.

KT-08心タンポナーデで発症し対症療法のみで長期生存中の悪性心膜中皮腫

1)川崎医科大学附属川崎病院 臨床研修センター、2)川崎医科大学 総合内科学4河原辰由樹1)、山根 弘路2)、越智 宣昭2)、本多 宣裕2)、山岸 智子2)、長崎 泰有1)、瀧川奈義夫2)

【症例】85歳、男性。【主訴】呼吸困難感。【現病歴】63年前、アスベスト関連事業所での2年間の勤務歴あり。2013年8月から軽度の呼吸困難を自覚していた。2013年9月になり呼吸困難が増悪し近医を受診したところ、動脈血酸素飽和度の低下と洞性頻脈が認められたため、当院を紹介された。胸部CTでは大量の心嚢液貯留を認め、心エコーで心タンポナーデと診断され、心嚢ドレナージ術にて症状は軽快した。心嚢液セルブロック標本ではカルレチニン、D2-40、およびWT-1が陽性、CEAは陰性の核異型を有する中皮細胞が多数認められ、悪性心膜中皮腫との診断に到った。積極的治療希望がなく対症療法のみ施行したが、発症から31ヶ月後の現在も生活の質を保ったまま健在である。【考察】悪性心膜中皮腫の予後は一般的に不良である。胸膜中皮腫に準じた化学療法による生存期間延長が期待されている半面、高齢者では疾患自体が希少であることや副作用の問題から、化学療法の位置付けも未だ不明確である。今回我々は高齢悪性心膜中皮腫患者において、化学療法を施行せず長期生存が得られている症例を経験した。臨床経過を経時的な画像所見とともに報告する。

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KT-09両側乳糜胸に対し、胸腔鏡下胸管結紮術を施行した一例

1)県立広島病院 呼吸器内科・リウマチ科、2)県立広島病院 呼吸器外科宮田真弓子1)、玉本 聖佳1)、西田 紋子1)、谷本 琢也1)、庄田 浩康1)、石川 暢久1)、河野 紘輝1)、三好俊太郎1)、前田 裕行1)、片山 達也2)、平井 伸司2)

症例は68歳、男性。2015年7月より息切れを自覚した。8月に近医を受診し、胸部単純X線写真で両側胸水を認めたため、精査加療目的で当科を紹介受診した。胸水検査を施行したところ淡血性の混濁胸水を認め、胸水中のトリグリセリドが高値であり両側乳糜胸と診断した。全身検索を行い、造影CTで左腎下極に56mm大の腫瘍、左腋窩にリンパ漏嚢胞を認めた。リンパ液の漏出部位検索目的でリンパ管シンチグラフィーを施行したところ、気管分岐部の下方に漏出部位を認めた。リピオドールリンパ管造影を行い、右胸腔内へのリピオドールの流出を認めた。右胸腔ドレナージを施行し、低脂肪食、サンドスタチン点滴を行い、胸水のコントロールは良好となった。11月に左腎癌に対し、後腹膜鏡下左腎摘除術を施行した。術後経過は良好で、胸水は増量なく経過観察していた。2016年1月に右胸水が増量し、呼吸困難が増強してきたため、胸腔ドレナージを再度施行した。排液が500mL/日と減量してこないため、胸腔鏡下胸管結紮術を施行した。以後、胸水の増量なく経過している。乳糜胸の原因として左腎癌の可能性も示唆されたが、左腎摘除術後も胸水は改善しておらず、特発性乳糜胸と考えられる。

KT-10気胸を契機に発見されたBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群の2家系

1)社会医療法人近森会近森病院 臨床研修部、2)社会医療法人近森会近森病院 呼吸器科、3)横浜市立大学医学研究科 分子病理学教室、4)社会医療法人近森会近森病院 病理部古後 斗冴1)、石田 正之2)、中間 貴弘2)、古屋 充子3)、円山 英昭4)、山本  彰2)

BHD症候群は皮膚腫瘍、多発性肺嚢胞・反復性気胸、腎腫瘍を3徴とする常染色体優性の遺伝性疾患で、2002年に原因遺伝子が同定されている。今回気胸を契機に診断に至ったBHD症候群の2家系を経験したので報告する。症例1:50代女性。発端者は30代に初発し、今回3度目の気胸で受診した。血縁3名に複数回の気胸の家族歴があった。頚部に数mm大の丘疹を認め、胸部CTでは両側下葉縦隔側有意に多発する嚢胞を認めた。血縁者2名で発端者と同様の所見があり、腎腫瘍が認められた。この2名と発端者の皮膚組織から特徴的な所見を得た。遺伝子検査にて確定診断を得た。症例2:30代女性。初発の気胸で受診。父に気胸の既往あり。胸部CTで両側下葉縦隔側有意に多発する肺嚢胞を認めた。保存的治療を行ったが、短期間に2回の再発を認め、嚢胞切除を行った。本人、父親の遺伝子検査を行い、確定診断を得た。腎には有意な病変は認めなかった。BHD症候群は責任遺伝子の発見後報告例が増えており、今後どの医療機関でも遭遇する可能性があると考えられる。一方認知度は高いとは言えない。徴候が複数診療科にまたがる事もあり、見逃されている例も少なくないと考えられ、注意すべき疾患である。

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KT-11巨大solitary fibrous tumorの1手術例

岩国医療センター 胸部外科西村星多郎、塩谷 俊雄、久保友次郎、片岡 和彦

孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:以下SFT)は胸膜中皮下の間葉系細胞由来(CD34陽性)である稀な疾患である.今回われわれは,臓側胸膜に発生したSFTを治癒切除し得た一例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は85歳,女性.胸部圧迫感を主訴に当院救急外来を受診した.胸部レントゲンにて右上肺野に腫瘤影を認めた.CTでは右S1に中心部に石灰化を伴う85mm大の腫瘤影を認めた.CTガイド下肺生検を施行したところ,SFTと診断されたため,後日胸腔鏡補助下右上葉部分切除術+壁側胸膜合併切除術を施行した.術後病理所見にて,紡錘形の腫瘍細胞が不規則束状に増生しており,免疫染色にて,CD34(+),S100(-),α-SMA(-),MIB-1 index:lowであり,術前診断に矛盾しない像であった.現在,再発なく外来経過観察中である.腫瘍が胸壁等と接する場合,術前における発生側およびその基部の性状の把握は難しいと思われる.しかし,本症例では,CTガイド下肺生検にて腫瘤影の見え方が変化したことから,腫瘍の性状を術前にある程度把握することができた.SFTにおける腫瘤影の見え方の変化は術式選択において重要な情報となりうる.

KT-12インフルエンザウイルス感染に続発した黄色ブドウ球菌肺炎に対し,リネゾリドが著効した一例1)公益財団法人倉敷中央医療機構倉敷中央病院 医師教育研修部、2)公益財団法人倉敷中央医療機構倉敷中央病院 呼吸器内科葛原 靖之1)、山崎 晶夫2)、伊藤 明広2)、阿河 昌治2)、田中  妙2)、熊谷 尚悟2)、武井玲生仁2)、古内 浩司2)、鷲尾 康圭2)、伊藤 有平2)、金田 俊彦2)、横山 俊秀2)、時岡 史明2)、野山 麻紀2)、吉岡 弘鎮2)、有田眞知子2)、石田  直2)

症例は既往のない60歳男性.来院数日前より感冒症状を認め,症状増悪したため当院を受診した.意識障害と低酸素血症があり,気管挿管してICUに入室した.インフルエンザウイルスB感染と細菌性肺炎の合併と診断し,ペラミビル,スルバクタム/アンピシリン(SBT/ABPC),アジスロマイシンで治療を開始した.培養より起炎菌はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)と判明し,第4病日にSBT/ABPCを中止し,セファゾリン(CEZ)投与を開始した.しかし状態は悪化し,第7病日の胸部CTで両肺に多発する膿瘍を認めた.クリンダマイシンを追加投与したが効果乏しく,第14病日よりリネゾリド(LZD)追加投与に変更した.その後急激に呼吸状態が改善し,第21病日に呼吸器から離脱し,第58病日に退院となった.起炎菌がMSSAであっても菌量の増加に伴いセフェム系の効果が低下することがあり,本症例ではこれに加え,膿瘍形成のためCEZ単独では効果が乏しかったと考えられた.LZDは黄色ブドウ球菌の毒素合成阻害作用を持ち,肺野への組織移行性も非常に良好であるため,本症例において著効したと考えられた.

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KT-13ARDSに対してECMOを導入し,多発膿瘍に対してHBOを用いて救命し得たMRSAによる敗血症性ショックの一例1)岡山大学病院 総合内科、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、3)岡山大学病院 救急科、4)岡山大学病院 感染症内科岡  浩介1)、頼  冠名1,2)、中道 晶子1)、大重 和樹1)、早稲田公一1,2)、湯本 哲也3)、塚原 紘平3)、佐藤 圭路3)、鵜川豊世武3)、花山 宜久1)、草野 展周1,4)、大塚 文男1)

症例は70歳台男性.呼吸困難のため前医受診した.急速な血圧低下と重症肺炎を認め当院へ救急搬送となった.急性呼吸窮迫症候群(ARDS)として人工呼吸器管理としたがSpO2が維持できず,来院4時間後に体外式人工心肺療法(ECMO)導入となった.喀痰培養でMRSAが検出されたことから,MRSA肺炎を伴う敗血症性ショックと診断し,抗菌薬はMEPM+DAP+LZD+RFPとした.全身管理の結果来院7日目でECMO離脱,24日目でICU退出となった.遷延する両側大腰筋膿瘍,脊髄硬膜外膿瘍,椎間板炎,化膿性脊椎炎に対し高気圧酸素療法(HBO)を併用したところ,著明な自覚症状,画像所見の改善を認め,歩行可能となり転院した.MRSA肺炎は近年発生率の増加している死亡率が高い予後不良な疾患であり,敗血症を来すと他部位への膿瘍形成も問題になる.MRSAによる敗血症性ショックにおいてARDSへはlung restを行い得るECMOを併用し救命し,かつ遷延する多発膿瘍に対してHBOを併用することで改善を得た貴重な症例であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

KT-14喀痰培養検査で髄膜炎菌が検出された肺化膿症の1例

1)山口大学医学部附属病院 呼吸器・感染症内科、2)山口大学医学部附属病院 第二内科大畑秀一郎1)、山路 義和1)、末竹  諒1)、大石 景士2)、伊藤 光佑1)、枝國 信貴1)、平野 綱彦1)、松永 和人1)

症例は、生来健康の28歳男性。X年4月14日より咳嗽、黄色喀痰が出現し、4月18日から咳嗽時に右胸痛と喀痰に少量の血液の付着を認めた。同日、当院一般内科を受診し、胸部CTで右肺上葉に空洞を伴う長径33mmの辺縁不整の結節影が指摘され、4月19日に当科紹介受診となった。発症が急性であること、炎症所見を認めたことより肺化膿症を疑いCVA/AMPCの処方で帰宅とした。4月20日に咳嗽の増悪と咳嗽時の胸痛が自制不可となり同日入院し、SBT/ABPCで加療を開始した。4月22日に喀痰培養より髄膜炎菌が検出された。意識障害や髄膜刺激症状は認めなかったが、髄膜炎と抗菌薬の移行性を考慮し抗菌薬をCTRXに変更した。入院加療後は、胸部CTで結節影の縮小、排菌がないことを確認し退院した。髄膜炎菌は、飛沫感染によりヒト-ヒト感染を起こし、感染力が強く集団感染を起こすことがあるため、濃厚接触者(医療従事者、家族)に対してRFP:1200mg/日分2の予防内服を行った。髄膜炎菌は、気道を介して血流感染症や髄膜炎を引き起こす菌であるが、肺化膿症の原因菌となることは少ない。若干の文献的考察を加え報告する。

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KT-15breakthrough感染症として発症し,Liposomal Amphotericin B(L-AMB)が有効であった肺ムーコル症の1例1)松山赤十字病院 臨床研修センター、2)松山赤十字病院 呼吸器センター年森  亘1)、濱口 直彦2)、甲田 拓之2)、加藤 高英2)、藤下 卓才2)、梶原浩太郎2)、波呂  祥2)、牧野 英記2)、兼松 貴則2)、横山 秀樹2)

症例は72歳,男性.関節リウマチに対する長期免疫抑制療法施行中,X-2年に肺非結核性抗酸菌症,X-1年10月に慢性進行性肺アスペルギルス症を各々合併し,抗菌薬及び抗真菌薬(Voriconazole:VRCZ)治療を施行された.一旦は改善したが,X年1月より膿性痰と血痰が増加した.喀痰培養ではアスペルギルスは検出されず,ムーコル(Cunninghamella属)の発育を認めた.VRCZ内服中のbreakthrough感染による肺ムーコル症と診断され,X年3月に当科へ入院した.L-AMBを約4週間投与された後,喀痰培養ではムーコルの検出が持続したが,呼吸器症状は著明に改善し自宅退院した.以後,症状増悪時に約4週間のL-AMB投与を行い,確定診断から1年以上の生存期間を得られている.

【考察】ムーコル症の薬物療法では高用量L-AMB投与が推奨されているが,治療期間に関して一定の見解はなく,副作用等から実臨床では長期・高用量投与が難しいケースも存在する.本症例では培養陽性が持続したが病勢は比較的緩徐であり,症状を指標としたL-AMBの間歇的投与が有効であった.また,ムーコル症の原因菌種が培養同定された報告は少なく,貴重な症例と考えられるため報告する.

KT-16進行期肺癌の化学療法中に合併したMRSA壊死性気管気管支炎の一例

川崎医科大学附属病院 呼吸器内科増田 孝一、吉原 史矩、大植 祥弘、八十川直哉、橘高  誠、黒瀬 浩史、池田 征樹、阿部 公亮、清水 大樹、毛利 圭二、加藤 茂樹、小橋 吉博、岡 三喜男

【背景】壊死性気管気管支炎は新生児や小児の人工呼吸器使用例に続発する致死的な合併症として報告される稀な疾患である。今回、成人の化学療法中に合併したMRSA壊死性気管気管支炎を経験したので報告する。【症例】74歳、男性。肺腺癌cT4N1M0 StageIIIAの化学療法目的で入院。4th line 1コース目の第9病日に血痰と発熱を認め、喀痰検査で貪食像のある黄色ブドウ球菌を検出した。SBT/ABPCにて加療を行うも第12病日目に胸部X線写真で左上、中肺野に肺炎像を認め、MRSA肺炎と診断し、抗菌薬をVCMに変更した。第19病日の胸部単純CTで間質性陰影の出現を認め、精査、鑑別目的で気管支内視鏡検査を実施した。気管分岐部から両側主気管支にかけて全周性に白色壊死様粘膜病変がみられ、同部位の細菌培養でもMRSAが検出された。VCM、LZD等の抗菌薬を投与するも、多臓器不全を合併し第35病日に死亡した。【考察】壊死性気管気管支炎は稀な疾患であるが、MRSA感染症に伴う気道病変が考えられる場合には積極的な気管支内視鏡検査を行う必要がある。

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KT-17市民公開講座に参加した方の肺炎球菌ワクチンの認知度について

国立病院機構愛媛医療センター川上 真由、伊東 亮治、大久保史恵、中村 行宏、佐藤 千賀、渡邉  彰、阿部 聖裕

【目的】市民公開講座に参加した方の肺炎球菌ワクチンに対する認識をアンケートで確認する。【方法】平成27年7月に日本呼吸器学会中国四国支部で行った肺の日記念市民公開講座に参加した方を対象に無記名自己記入形式のアンケート調査を行った。【結果】市民公開講座参加者180名中有効回答は129であった。肺炎球菌ワクチンの認知度は81.4%だった。定期接種が開始されたことを知っていた方は76.0%だった。平成26年度の定期接種対象者うち定期接種を受けた方は50%にとどまっていた。定期接種対象年齢になった時に接種することを決めていた方も43.6%にとどまっていた。ワクチン接種を受けない理由として「副作用の懸念」を上げている方が最も多く、「効果に疑問がある」「費用が高すぎる」が続いていた。肺炎球菌ワクチンの講演後では「ワクチン接種したい」と答えた方は52.7%に増えた。

【結論】市民の肺炎球菌ワクチンに対する認知度は高いがワクチンの認識が不十分であり、市民向けの講演会開催などの啓蒙活動が必要と思われた。

KT-18胸水の抗酸菌培養が診断の一助となったNocardia novaによる胸膜炎の79歳男性例1)山口大学大学院医学系研究科 呼吸器・感染症内科、2)山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学末竹  諒1)、大石 景士1)、宮崎 要介2)、大畑秀一郎1)、山路 義和1)、伊藤 光祐1)、枝國 信貴1)、平野 綱彦1)、松永 和人1)

患者は胸腺腫摘出・放射線照射後、膀胱癌術後、糖尿病のため当院通院中であった。X年10月に発熱で近医を受診したところ胸部X線で胸水貯留を指摘され、GRNX内服が開始されたが改善しなかった。その後吸気時胸痛と呼吸困難感が出現し、同年11月に当院循環器科入院となった。胸腔穿刺の結果グラム染色や抗酸菌塗抹・PCR検査では有意な所見は認めず、リンパ球有意の浸出性胸水であったもののADA低値であったため細菌性胸膜炎を疑われTAZ/PIPCで治療が開始された。熱型・胸水の改善が得られなかったためMEPMに変更後、改善が得られLVFX内服に変更し退院した。後日胸水の抗酸菌培養からNocardia属が検出され増菌培養後にNocardia novaが同定され当科紹介となった。同菌による胸膜炎と診断し経過を見たがLVFX変更後から胸水・炎症所見の改善を認めなくなったため、ST合剤内服に変更した。その後、胸水・炎症所見は改善し加療を継続している。Nocardia属菌は好気性グラム陽性桿菌で弱抗酸性を有する。グラム染色はNocardia症の診断に有効であるが抗酸菌培養が診断の一助となることもある。本例の様な免疫不全患者の胸膜炎ではNocardia感染症も想起して精査を進めることが重要である。

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呼吸器学会 研修医

KT-19原因不明の発熱精査中に発症し経時的変化を追えた粟粒結核の一例

1)マツダ病院 卒後臨床研修センター、2)マツダ病院 呼吸器内科矢野  潤1)、大谷 俊人2)、山根真由香2)、大成洋二郎2)

症例は91歳、男性。数日前から食欲低下や倦怠感があり当院に救急搬送された。来院時は39.3℃の発熱、CRP高値を認めたが、呼吸器症状や低酸素は認めなかった。胸部X線写真、全身CTで明らかな異常陰影は認めず、原因不明の発熱として入院し、各種培養検査を提出したが陰性であった。抗菌薬投与するも解熱せず、自己抗体や腫瘍マーカーも陰性であった。入院後21日目より呼吸苦が出現し、再度全身CTを撮影したところ、両肺に微細粒状影が広がっており粟粒結核が疑われた。喀痰、尿、胃液の抗酸菌検査を行ったところ喀痰よりガフキー2号を認め、結核菌PCRが陽性となった。粟粒結核と診断し転院となった。粟粒結核は血行性に全身に散布する結核であり、結核菌が血中から肺内に定着した当初は画像では明らかではなく、血行散布から3-6週間後に胸部X線写真で明らかになるとされている。本症例でも入院時は両肺に異常陰影は認めず原因不明の発熱として精査加療されたが、経過とともに両肺に多数の微細粒状影が出現し粟粒結核の可能性が考えられた。このように初診時に画像で異常を認めなくても、不明熱の鑑別として結核を挙げることは重要であると考える。

KT-20Mycobacterium scrofulaceum肺感染症の1例

川崎医科大学附属病院 呼吸器内科渡邉 慶太、橘高  誠、小橋 吉博、吉原 史矩、八十川直哉、池田 征樹、黒瀬 浩史、阿部 公亮、清水 大樹、大植 祥弘、毛利 圭二、加藤 茂樹、岡 三喜男

【症例】60歳、男性。【現病歴】数年前から健康診断で胸部異常陰影を指摘されていた。また、数回感冒症状で近医にて抗菌薬治療を受けていたが、継続治療中の基礎疾患等はない。近医で施行された喀痰抗酸菌検査が陽性であったが同定はできず。非結核性抗酸菌症疑いで20XX年7月に当科へ紹介となった。血液検査ではMAC抗体が陽性であった。胸部CTでは右中下葉・舌区中心に気管支拡張を伴う小葉中心性粒状影とconsolidationの混在を認めた。右下葉には空洞性病変も認めた。菌種同定・確定診断のために気管支内視鏡検査を施行した。吸引痰・BAL検体でガフキー6号、MAC PCRとTb PCRは陰性であった。6週で110コロニーが培養され、DDH法でM. scrofulaceumと同定した。現在CAM+RFP+EBによる3剤治療を行い定期的な観察を続けている。【考察】M. scrofulaceum感染症は、非結核性抗酸菌症の0.7%前後に認められる稀な抗酸菌感染症である。MAC抗体は、本菌でも陽性となりうることが示唆されている。治療方針の決定では、菌種同定と確定診断をつけていくことが重要であり、気管支内視鏡を含めた積極的な試みが必要と思われた。

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呼吸器学会 研修医

KT-21じん肺患者に発症し、診断に苦慮した粟粒結核の一症例

呉医療センター黒田 一駿、三登 峰代、奥本  穣、北原 良洋、中野喜久雄

症例は83歳男性。外傷性のくも膜下出血、胸腰椎破裂骨折で当院に入院した。入院時の胸部X線検査で両肺野に粒状陰影を認めたが、既往症として知られていたじん肺による陰影と考え経過観察とした。入院翌日より38℃以上の発熱が出現した。咳、喀痰などその他の呼吸器症状は認めなかった。入院5日目に施行した胸部CT検査では、11年前と比較して両肺野のびまん性粒状影が増悪しており、じん肺の増悪と考えた。また、両肺野に浸潤影も認め、細菌性肺炎の合併を疑った。スルバクタム/アンピシリン、メロペネム、パズフロキサシンなど各種抗菌薬の投与を行うも、解熱傾向や肺野病変の改善を認めなかった。尿検体で結核菌のPCR検査、培養検査が陽性であり、尿路結核と診断した。また、誘発喀痰検査では塗抹検査でガフキー3号、結核菌のPCR検査と培養検査が陽性であり、肺結核と診断した。複数臓器の病変とCT所見より粟粒結核と診断した。過去の報告はわずかであるが、画像所見で鑑別が困難なじん肺と粟粒結核の合併症例は、じん肺患者の発熱診療において臨床医が知っておくべきピットフォールであると考えた。

KT-22治療に難渋した若年発症の粟粒結核の一例

国家公務員共済組合連合会吉島病院 呼吸器センター 呼吸器内科松田 賢一、吉岡 宏治、稲田 修吾、水本  正、西野 亮平、池上 靖彦、山岡 直樹、倉岡 敏彦

症例は14歳、ネパール出身の男児。近医でCrohn病に対してアザチオプリン及びインフリキシマブによる治療が行われ病状は安定していたが、X年8月中旬より発熱が続くため近医に入院した。精査の結果、粟粒結核と診断されX年9月に当院に転院した。Crohn病及び結核性腹膜炎による消化器症状のため内服は困難であり、INH注射+RFP坐薬+SM筋注にて治療を開始した。治療後、肝障害が悪化したためINH・RFPを中止しSM筋注+LVFX点滴にて治療を継続した。その間に両肺のスリガラス影が悪化し重症の呼吸不全をきたしたため、ステロイド治療を開始した。肝障害の改善後、INH・RFP投与を再開したが肝障害の再燃なく、INH+RFP+SMにて治療を継続した。10月上旬に下血をきたし内視鏡にて止血処置を行った。10月下旬より全身状態は改善し食事摂取も可能となったためINH+RFP+EB内服に治療を変更した。しかしながら12月上旬より再び肝障害の悪化を認めた。INHによる肝障害と診断し、以後RFP+EB+LVFX内服にて治療を完遂した。以上、原疾患及び併存症の悪化や抗結核薬による副作用等のため治療に難渋した若年発症の粟粒結核の一例を経験した。若干の考察を加えて報告する。

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呼吸器学会 研修医

KT-23mesalazineによる薬剤性好酸球性肺炎の一例

1)地方独立行政法人広島市立安佐市民病院 初期研修医、2)地方独立行政法人広島市立安佐市民病院 呼吸器内科土井 寛文1)、森脇 香莉2)、菅原 文博2)、山口 哲司2)、尾崎 紀仁2)、山根  高2)、北口 聡一2)

症例は62歳、男性。潰瘍性大腸炎と診断され、2015年2月5日からmesalazine 4000mg/日の内服を開始した。その約2週間後から38度台の発熱、乾性咳嗽が出現した。3月5日の胸部X線写真で両上肺野にすりガラス影を認め、胸部CTでは両肺上葉の胸膜直下を主体にair bronchogramを伴う浸潤影とすりガラス影を認めた。末梢血で好酸球の上昇を認めたことから、mesalazineによる薬剤性好酸球性肺炎を疑い、内服を中止した。後日行った気管支肺胞洗浄、経気管支肺生検でも好酸球性肺炎を示唆する所見であった。mesalazine投与中止後は、経過観察のみで速やかに症状改善を示し、末梢血での好酸球低下と画像所見の改善も認めた。これらの臨床経過よりmesalazineによる薬剤性好酸球性肺炎と診断した。炎症性腸疾患の治療薬として従来よりも副作用が少ないとされるmesalazineが頻用されるようになったが、近年呼吸器系副作用の報告が散見される。今回我々はmesalazineの中止のみで速やかに改善を認めた薬剤性好酸球性肺炎の症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。

KT-24大葉性肺炎と鑑別を要した器質化肺炎の一例

川崎医科大学 呼吸器内科岩倉  主、八十川直哉、大植 祥弘、橘高  誠、黒瀬 浩史、池田 征樹、阿部 公亮、清水 大樹、毛利 圭二、加藤 茂樹、小橋 吉博、岡 三喜男

【症例】68歳、男性。1週間前にインフルエンザB型感染症に罹患し近医で加療を受けた。その後も発熱と咳嗽症状の改善が乏しく、地域基幹病院を紹介受診した。胸部X線写真で左下葉に大葉性肺炎を認め、尿中肺炎球菌抗原陽性であり、肺炎球菌性肺炎の診断で入院となった。後に喀痰培養より肺炎球菌が同定された。初期治療でSBT/ABPCにて加療を行うも改善乏しく、MEPM+LVFXに変更したが、陰影の改善乏しく精査加療目的で当科へ転院となった。【経過】MEPM+LVFXの14日間投与で全身状態は改善したが、胸部CTで一部に空洞性病変が出現し、広範囲な浸潤影は残存しているため、左下葉大葉性肺炎と肺化膿症に対する根治治療として左下葉切除術が検討された。術前に同病変に対する鑑別、精査目的で気管支内視鏡検査を施行。気管支鏡内視鏡検査では、感染症を示唆する炎症性の浮腫等は認めず、肺生検検体にて器質化肺炎と診断された。その後、抗菌薬投与は中止し、ステロイド投与で左下葉浸潤影の著明な改善を認めた。【考察】全身状態良好で、抗菌薬不応性の肺炎に対しては、不必要な抗菌薬使用を避ける為にも、精査、鑑別目的で積極的な気管支内視鏡検査を施行すべきである。

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呼吸器学会 研修医

KT-25sulfadoxine-pyrimethamineによる薬剤性肺傷害と考えられた一例

1)岡山市立市民病院 総合診療部、2)岡山市立市民病院 呼吸器内科、3)岡山大学病院 呼吸器アレルギー内科大山 矩史1)、譲尾 昌太2)、勝田 知也2)、洲脇 俊充2)、佐藤 晃子3)

症例は26歳,女性.アレルギー性鼻炎の既往がある.2月21日から3月21日まで卒業旅行としてスペイン,モロッコ,スーダン,エチオピア,カタールに滞在して帰国した.3月13日にスーダンで駱駝の生乳を摂取,翌日からエチオピアへ移動するに際して,マラリアの予防のため3月15日にsulfadoxine-pyrimethamineを飲んだ.3月16日にエチオピアへ入国し軽度の嘔気があった.エチオピアからはカタールで18時間のトランジットを経て帰国.3月25日から発熱,倦怠,吸気がしにくくなり,労作時呼吸困難を感じた.3月26日にも改善がないため近医を受診,胸部画像の異常陰影を指摘された.3月28日には別の病院を受診しDOXYが処方された.3月31日に再診すると肺病変の増強を示唆する所見がみられ,4月4日にも諸症状が軽快せず更に別の病院を受診し入院した.SpO2 96%,翌4月5日に気管支肺胞洗浄液を得て細胞数 3.5x105/mL,Neut 3%,Lym 7%,Mf 83%,Eos 7%,CD4/8 2.23であった.薬剤性肺傷害と診断し,PSL 25mGの経口投与を始めると諸症状の速やかな軽快がみられた.現在ではマラリアの予防にこの薬剤は禁忌となっており,稀な症例と考えられたため文献的考察を加えて報告する.

KT-26非結核性抗酸菌症治療薬によるANCA関連薬剤性肺炎の1例

1)高知大学医学部 卒後臨床研修センター、2)高知大学医学部 血液・呼吸器内科大山 洸右1)、大西 広志2)、穴吹 和貴2)、酒井  瑞2)、秋田  慎2)、窪田 哲也2)、横山 彰仁2)

症例は84歳の男性。水疱性類天疱瘡に対して、プレドニゾロン(PSL)30mg/日で治療開始時の胸部CTで粒状影を指摘され、当科を紹介受診した。気管支鏡検査でM. intracellulareを検出し、非結核性抗酸菌症(NTM)と診断して、リファンピシン(RFP)、エタンブトール、クラリスロマイシン併用療法を開始したところ、5日目に発熱、紅斑を認めた。RFP中止にて解熱、紅斑の改善を認め、RFP減感作療法を行い、NTM治療を継続した。NTM治療開始9ヶ月後、PSL 7.5mg/日に減量した時点で、発熱と左上葉浸潤影を認めた。末梢血好酸球数は正常であったが、血清IgE 2957IU/ml、P-ANCA 40.3IU/mlと上昇していた。気管支肺胞洗浄では、総細胞数、リンパ球、好酸球、好中球の増加を認め、抗酸菌は検出しなかった。1月半前の残血清を測定したところ、IgE 943IU/ml、P-ANCA 7.0IU/mlであったが、3年前に測定されたP-ANCAは陰性であった。NTM治療薬の中止のみで、浸潤影は消失し、P-ANCAは陰性化した。NTM治療薬によるANCA関連薬剤性肺炎を経験したので報告する。

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呼吸器学会 研修医

KT-27進行膵癌に対するゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法における薬剤性肺障害の検討1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 腫瘍センター、3)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、4)岡山大学病院 緩和支持医療科、5)岡山大学病院 血液・腫瘍内科古谷 奈緒1)、久保 寿夫2)、秦  雄介3)、狩野 裕久3)、渡邉 洋美3)、妹尾  賢3)、西井 和也3)、二宮  崇3)、市原 英基3)、大橋 圭明3)、佐藤 晃子3)、片山 英樹4)、堀田 勝幸3)、宮原 信明3)、田端 雅弘2)、金廣 有彦3)、谷本 光音5)、木浦 勝行3)

【背景】進行膵癌に対するゲムシタビン(GEM)+ナブパクリタキセル(nab-PTX)併用療法は、GEM単剤と比較して有意な生存期間の延長効果を示し、標準治療として用いられている。主な有害事象として、骨髄抑制や末梢神経障害が報告されているが、薬剤性肺障害の報告は少ない。【目的】進行膵癌に対するGEM+nab-PTX療法による薬剤性肺障害の発症について検討する。【方法】2015年1月~2016年4月の間に、当院でnab-PTX+GEM療法を導入した進行膵癌の58例を後方視的に解析し、薬剤性肺障害の発症について検討した。【結果】4例で薬剤性肺障害の発症を認めた。年齢中央値;57.5歳(49-77)、投与ライン数中央値;2(1-3)であった。CTCAEによる肺臓炎のgradeは、grade1が1例、grade2が2例、grade3が1例であった。3症例でステロイドが導入されており、ステロイドの反応性は良好であった。【結論】GEM単剤の薬剤性肺障害の発症頻度は1.5%、nab-PTXは0.8%であるのに対し、当院での検討ではGEM+nab-PTXによる薬剤性肺障害の発現頻度は6.9%と比較的高頻度であった。治療を行う際には、レントゲンやCTによる定期的なフォローを行うことが重要であると考えられた。

KT-28形質細胞増多を伴う片側大量胸水貯留が初発症状であった全身性エリテマトーデスの1例

独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科向原 史晃、藤原 慶一、安東 千裕、中須賀崇匡、岩本 佳隆、南  大輔、佐藤  賢、米井 敏郎、佐藤 利雄、柴山 卓夫

症例は45歳,女性.生来健康であり,定期内服薬はない.2015年3月初旬頃より労作時呼吸困難を自覚し,4月の健診で左胸水貯留が認められ,当科を受診した.胸水穿刺では,性状が淡黄色の滲出性胸水で,著明な形質細胞増多を認めたが,悪性細胞は検出されなかった.約1ヶ月の経過で胸水が急速に増量したため,胸腔ドレナージを施行した.排液後の胸部CTで造影される左胸膜肥厚,結節が散在しており,胸腔鏡下胸膜生検を施行したところ,悪性細胞は検出されず,小型リンパ球,形質細胞の胸壁および動脈壁への浸潤を認め,非特異的胸膜炎の所見であった.血液検査において抗核抗体が陽性であり,その後の検査で抗ds-DNA抗体陽性,補体価低値が認められ,皮疹などの特異的な症状は見られなかったが,全身性エリテマトーデス(SLE)による胸膜炎と診断した.プレドニゾロン30mg/dayにて治療を開始し漸減,現在も胸水の再貯留なく経過している.皮疹,関節痛,腎障害,汎血球減少などの特異的な臨床所見を伴わず,形質細胞増多を伴った胸水貯留のみで発症したSLE症例の報告は少なく,貴重な症例と考えられ,文献的考察を加えて報告する.

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呼吸器学会 研修医

KT-29診断困難であったIgG4関連呼吸器疾患の一例

広島赤十字・原爆病院 呼吸器科町田  修、出口奈穂子、齊藤 尚美、大道和佳子、石山さやか、谷脇 雅也、大橋 信之、山崎 正弘

症例は68歳男性。3年前に高アミラーゼ血症、ERCPで膵管狭窄を認め、IgG4 108mg/dlと軽度高値であり自己免疫性膵炎と診断され、PSL 30mg/dayより治療開始、炎症は改善しステロイドは徐々に漸減した。経過中のCTで右上葉に粒状影を指摘され、当科を受診した。非結核性抗酸菌症を疑い気管支鏡で擦過・気管支洗浄を行ったが、菌は検出されず無症状であったため経過観察とした。ステロイドは糖尿病治療中であり、腎結石による尿路感染を繰り返していたため早めに漸減され、気管支鏡施行後4ヶ月後に終了した。膵炎の再燃なく経過は良好であったが、徐々に肺の陰影は広がり浸潤影・すりガラス陰影を呈したため10ヶ月後に気管支鏡を再検した。TBLBで組織学的にIgG4陽性の形質細胞の浸潤を認め、IgG4関連呼吸器疾患と診断した。現在ステロイド治療を再開し陰影は改善傾向である。IgG4関連呼吸器疾患の陰影は気管支血管束の肥厚や粒状影、結節影や浸潤影など多彩である。IgG4関連疾患は全身疾患であり、他臓器に再燃することもあるため、肺内に異常陰影が出現した場合にはIgG4関連呼吸器疾患を疑うことが重要である。

KT-30間質性肺炎が先行し、増悪とともにMPO-ANCAの陽転化を認めた顕微鏡的多発血管炎の1例

島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学兒玉 明里、堀田 尚誠、森  雄亮、中尾 美香、天野 芳宏、濱口  愛、沖本 民生、津端由佳里、濱口 俊一、礒部  威

症例は66歳の男性。2005年11月から咳嗽を主訴に某医へ通院中であった。経過観察の胸部単純X線写真で胸部異常陰影の増悪を認め、2011年7月当院を紹介された。初診時の胸部CT検査では両側下葉胸膜直下に網状影および蜂巣肺を示しており、UIP patternと考えられた。各種びまん性肺疾患の鑑別診断を行いそれらが否定的であったことから、特発性肺線維症(UIP/IPF)と診断し、2012年11月から呼吸機能増悪を認めピルフェニドンの内服加療を開始した。2015年12月から微熱、咳嗽の悪化と労作時の呼吸困難が出現し、網状影の増悪を認めた為、IPF急性増悪と判断して入院の上ステロイドパルス療法を開始した。入院時に各種抗体を再測定したところ、以前に測定し陰性であったMPO-ANCAが140U/mLと上昇を認めており、腎機能障害と尿蛋白も出現したため顕微鏡的多発血管炎を疑い腎生検を施行した。その結果、同疾患と確定診断を得たためエンドキサン療法を追加し、自覚症状と胸部陰影の改善を認めた。本症例は間質性肺炎が先行し、その増悪とともにMPO-ANCAの陽転化を認めており、間質性肺炎の病態進行と顕微鏡的多発血管炎の発症との関連を考察する上で重要な症例と考えここに報告する。

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呼吸器学会 研修医

KT-31RAが先行したRPGN型MPAにDAHを合併した一例

1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院、3)鳥取大学医学部 分子制御内科学吉宮 元応1)、森田 正人2)、長谷川泰之3)、舟木 佳弘2)、高見 大樹3)、橋本  潔3)、山崎  章3)、清水 英治3)

症例は85歳男性、1980年に関節リウマチ(RA)の診断でブシラミンにて内服加療されていた。2008年よりリウマチ関連間質性肺炎にて当科で経過観察中であった。2014年には腎機能低下と血尿、蛋白尿を認めMPO-ANCA>300U/mLと上昇し、腎生検にて半月体形成性糸球体腎炎を認めたため、顕微鏡的多発血管炎(MPA)に伴う急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と診断されステロイドパルス療法が施行された。その後PSL5mgで維持されていた。今回2016年4月呼吸困難を主訴に救急搬送され、胸部CTにてびまん性間質性陰影を認め、翌日のBFにて肺胞出血が認められた。ステロイドパルス療法+シクロホスファミド療法行ったところ、呼吸状態と胸部陰影の改善が認められた。関節症状と腎機能の悪化は認められなかった。悪性関節リウマチは否定的であり後の報告でMPO-ANCAが上昇しており、MPAに伴うびまん性肺胞出血(DAH)と診断した。RAにMPAを合併した報告例は散見されるが、今回RAやRPGNの活動性は乏しいにもかかわらず、新しくDAHをきたした症例を経験したため若干の文献的考察を含めて報告する。

KT-32慢性咳嗽を契機に発見された抗ARS抗体陽性皮膚筋炎の1例

1)県立広島病院 呼吸器内科、2)県立広島病院 リウマチ科近藤 翔太1)、河野 紘輝2)、三好俊太郎2)、玉本 聖佳1)、谷本 琢也1)、庄田 浩康1)、石川 暢久1)、前田 裕行2)

【症例】30歳,女性.約1年前から続く咳嗽を主訴に2014年4月前医を受診した.診察で両下肺でラ音を聴取し,胸部X線で両下肺野に異常影を認めた.血液検査ではCRP上昇を認め,非定型肺炎を疑いLVFXを処方された.しかし,再診時にも胸部X線上の浸潤影に変化なく,CRP低下を認めなかったため,慢性咳嗽の精査目的に当科へ紹介された.当科初診時にはヘリオトロープ疹・ゴットロン徴候・メカニックハンドなどの皮疹と下肢筋痛を認めた.血液検査ではCK・アルドラーゼ・KL-6の上昇を認め,のちに抗ARS抗体陽性が判明した.胸部CTで両肺に網状すりガラス影,MRIで左大腿外側広筋に筋炎を疑う所見を認め,針筋電図でも筋原性変化を認めた.以上より,抗ARS抗体陽性の皮膚筋炎と診断し,PSLとタクロリムス投与を開始した.治療開始後より症状・所見の改善を認め,軽快退院した.【考察】抗ARS抗体は,皮膚筋炎/多発筋炎で最も高率に検出される筋炎特異的自己抗体で,診断補助の1つとして重要である.また,抗ARS抗体陽性患者では高頻度に間質性肺炎を認めることが知られている.今回,慢性咳嗽を契機に発見された抗ARS抗体陽性皮膚筋炎を経験したので,文献的考察を交えて報告する.

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呼吸器学会 研修医

KT-33免疫抑制剤により救命しえた抗MDA-5抗体陽性の急速進行性間質性肺炎の1例1)広島大学病院 卒後臨床研修センター、2)広島大学病院 呼吸器内科山本優美子1)、上野沙弥香2)、泉  祐介2)、堀益  靖2)、益田  武2)、宮本真太郎2)、中島  拓2)、岩本 博志2)、藤高 一慶2)、濱田 泰伸2)、服部  登2)、河野 修興2)

抗MDA-5抗体は皮膚筋炎の中でもclinically amyopathic dermatomyositis(CADM)を中心に見出される皮膚筋炎特異自己抗体である。急速進行性間質性肺炎と関連し、治療抵抗性で予後不良因子ともなっている。この度救命しえた抗MDA-5抗体陽性のCADMに合併した急速進行性間質性肺炎を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。症例は66歳、女性。1年6ヵ月前に膵癌のため手術を施行され、術後化学療法を施行されていた。その頃より両手指関節背面の紅斑や両側肘伸側の角化・色素沈着をが徐々に悪化していた。呼吸困難感と低酸素血症を呈するようになり、胸部CTにて薬剤性肺障害が疑われたため当科へ紹介入院した。両側下肺野に捻髪音を聴取し、ヘリオトロープ疹、Vネック型紅斑、後頚部に紅斑・落屑を認め、両側手背にはゴットロン徴候を認めた。胸部CTにて両上葉や下葉背側に浸潤影を認め、胸膜下にはすりガラス影を認めた。抗MDA-5抗体が陽性であり、諸検査よりCADMに合併した急速進行性間質性肺炎と診断されて、副腎皮質ステロイドとシクロフォスファミド、シクロスポリン(後にタクロリムスへ変更)の併用療法が開始された。

KT-34気管支喘息と誤診されていた気管内挿管後狭窄の1例

川崎医科大学附属川崎病院 臨床教育研修センター高橋 研斗、河合 泰宏、加藤  幹、栗原 武幸、宮下 修行、原  宏紀、沖本 二郎

気管支喘息と誤診されていた気管内挿管後狭窄の1例を報告する。症例は37歳男性である。平成21年11月、髄膜脳炎にて気管内挿管による呼吸管理が行われた。抜管後より喘息が出現し、ICS/LABAで治療受けるも症状は持続していた。転居のため転院し、初診時の胸部聴診にて、前胸部で呼気時、吸気時ともにwheezeを聴取した。胸部CT、気管支鏡により声帯直下に器質化した気管狭窄を認め、気管内挿管後狭窄と診断した。ICS/LABAで改善しない喘息症状には、器質的疾患の除外が必要と考えられる。

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呼吸器学会 研修医

KT-35Sirolimus投与中に貯留した乳糜胸腹水がoctreotideにより減少を認めたLAMの1例1)広島大学病院 臨床研修センター、2)広島大学病院 呼吸器内科中村 貴志1)、難波 将史2)、益田  武2)、堀益  靖2)、宮本真太郎2)、中島  拓2)、岩本 博志2)、藤高 一慶2)、濱田 泰伸2)、服部  登2)

【緒言】リンパ脈管筋腫症(LAM)に伴う乳糜胸腹水は難治性であるが、今日ではsirolimusにより制御される症例が報告されてきている。今回我々は、sirolimus投与中に貯留した乳糜胸腹水がoctreotideにより減少を認めた1例を経験した。【症例】34歳女性。【主訴】腹部膨満感。【現病歴】2012年4月左大腿の浮腫を主訴に前医を受診し、CTで後腹膜腫瘤と多数のリンパ節腫大を指摘された。後腹膜腫瘤の生検によりLAMと診断された。無治療で経過観察されていたが、2015年1月より左の乳糜胸水による呼吸困難が出現したためsirolimusを導入された。一旦、胸水は消失したが、徐々に乳糜腹水が増加し、左胸水も再貯留するようになった。加療目的に2016年2月に入院した。【経過】octreotide皮下注を開始したところ、徐々に胸水の減少を認めた。退院後2か月の時点で胸水は完全に消失し、腹水も減少を認めている。【考察】過去にsirolimus投与中に制御不能となった乳糜胸腹水に対してoctreotideが奏効した報告例はない。本症例は、このような症例に対してoctreotideの導入を支持するものである。

KT-36潰瘍性大腸炎に肺病変を合併した2症例

1)独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 呼吸器内科、2)岡山大学病院 呼吸器、アレルギー内科假谷 成未1)、南  大輔1,2)、安東 千裕1)、中須賀崇匡1)、岩本 佳隆1)、佐藤  賢1)、藤原 慶一1)、柴山 卓夫1)、米井 敏郎1)、佐藤 利雄1)

【症例1】20歳、男性。15才より潰瘍性大腸炎に対してメサラジン(5-ASA)による加療が行われていた。半年前から咳嗽が出現し、肺野には両上葉を中心とした班状影を認めたため呼吸器内科紹介となった。気管支鏡検査では、気管・気管支および末梢気管支粘膜にかけて広範囲に全周性の浮腫上変化と点状出血を認めた。潰瘍性大腸炎の気道肺病変と考え、ステロイド加療を開始したところ奏効した。【症例2】25歳、女性。潰瘍性大腸炎にてメサラジンで加療されていたが、治療抵抗性のためステロイド療法、次いでインフリキシマブ(INX)が導入された。治療開始後5ヶ月後より呼吸困難感が出現し、両側下肺野優位の非区域性すりガラス影、濃厚影を認めため呼吸器内科紹介となった。気管支鏡下肺生検では、腫大した肺胞上皮細胞の剥離や間質へのリンパ球主体の炎症細胞浸潤を認めた。INXによるリンパ球刺激試験が陽性でありINXによる薬剤性肺炎と診断した。ステロイド治療が奏効し、その後アザチオプリンによる加療を開始しステロイド漸減中止となった。【結語】潰瘍性大腸炎の腸管外肺合併症では、原病の気道肺病変や薬剤性肺炎などを念頭におくべきであり、気管支鏡は診断に有用であった。

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呼吸器学会 研修医

KT-37後腹膜リンパ脈管筋腫症病変にsirolimusが著効した1例

独立行政法人国立病院機構岩国医療センター森  俊太、能島 大輔、西  達也、梅野 貴裕、工藤健一郎、久山 彰一

症例は32歳の女性。2011年10月に自然気胸を発症し当院胸部外科を受診した。この際、胸部CTで多発する嚢胞性病変を指摘され、全身を精査したところ、頭蓋内病変と後腹膜病変を指摘されたため、結節性硬化症に伴うリンパ脈管筋腫症(TSC-LAM)が疑われた。泌尿器科で定期的にフォローされていたが、2015年9月に後腹膜病変の増大を認めたため、確定診断目的でCTガイド下生検を施行し、後腹膜LAM病変と診断した。切除が検討されたが、左腎の合併切除を避けられないため、sirolimus導入目的で当科紹介となった。Sirolimus 2mgで導入したところ、6週間の投与で後腹膜の病変は著明な縮小を認めた。その後、難治性の口内炎が出現したため、現在は1mgへ減量し継続している。SirolimusはTSCの合併症である腎血管脂肪腫を縮小させるとの報告はあるが、肺外LAMに対する報告は稀である。今回、後腹膜LAM病変に対しsirolimusが著効した1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

KT-38典型的な臨床経過を示したびまん性汎細気管支炎の一例

1)三豊総合病院 内科、2)やまじ呼吸器内科クリニック松浦 宏樹1)、山地 康文2)、吉田 泰成1)、中津 守人1)、安東 正晴1)

【はじめに】びまん性汎細気管支炎(以下DPBと略記)は本邦で疾患概念が確立された副鼻腔気管支症候群の一つであり,呼吸細気管支における原因不明の慢性炎症と慢性副鼻腔炎を合併する進行性の呼吸器疾患として知られている.多量の膿性痰、咳嗽を伴い,慢性呼吸不全を来して死に至る予後不良の疾患であったが14員環マクロライド少量長期療法の普及で予後は著しく改善された.HRCTで特徴的な小葉中心性粒状影を示すため画像所見の理解が適切な診断を下す上で非常に重要となる.【症例】67歳男性.【主訴】咳嗽,呼吸困難感の増悪.【現病歴】201X年4月上旬より咳嗽と発熱があらわれた.近医を受診後抗菌薬内服で経過観察していたものの咳嗽の増悪から著しい呼吸困難感を自覚し当院救急外来に救急搬送された.【来院時現症】血圧 109/85mmHg,脈拍数 98/分,呼吸数 24/分,SpO2 90%(室内気),両肺でラ音をびまん性に聴取した.【画像所見】胸部単純CT:両肺にびまん性に小葉中心性粒状影と気管支拡張像を認める.【考察】今回我々は典型的な画像所見を有し,少量マクロライド長期療法が著効したDPBの一例を経験したので他症例と併せ,若干の文献的考察を加えて報告する.

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KT-39魚骨による食道穿孔により長期人工呼吸管理が必要となった患者のケア 〜在宅を目指した急性期の関わり〜1)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 看護科、2)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 呼吸器内科、3)広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院 呼吸器外科友野 裕香1)、小田原めぐみ1)、森明 千晴1)、川根 千佳1)、吉田  敬2)、則行 敏生3)、山木  実3)

人工呼吸器装着患者にとって、医療者が行なうケアが生命予後やQOLに大きな影響を与える。一般病棟では、集中治療室と違いマンパワー不足はやむを得ない現状にあるが、その環境下でも患者に必要充分な医療を提供する必要がある。そのために、急性期より在宅療養を意識し多職種と協働していくことが大切である。今回、魚骨による食道穿孔、縦隔炎を発症し長期人工呼吸管理が必要となった症例を経験した。縦隔炎の起因菌が多剤耐性菌のため感染コントロールが難しく、肺炎を繰り返すなど、人工呼吸器からのウィーニングがすすまない状況が続いた。長期人工呼吸管理となり、患者の意欲も低下していく中で、看護師個々の知識、技術の向上を図り、看護の統一を行なうことで質の高い医療を提供するだけでなく、スタッフが自信をもってケアを行なうことができた。また、一般病棟では人工呼吸管理下でのリハビリが行ないにくい状況があるが、看護師、理学療法士が協力することで、リハビリの継続にもつながった。人工呼吸器装着中の患者が在宅療養を目指すためには、患者および家族の思いに寄り添い、早期からチームで患者を全人的にサポートしていくことが重要であると思われた。

KT-40肺膿瘍に続発し肺外血管がfeeding arteryであった末梢性仮性肺動脈瘤の一例1)福山市民病院 内科、2)福山市民病院 放射線科井上 忠俊1)、三谷 玲雄1)、兵頭  剛2)、高田 一郎1)

症例は86歳女性。201X年3月頃より血痰を自覚し前医受診。肺炎として抗生剤による治療を受け軽快。しかし6月中旬に喀血を来し前医を再受診。CTにて右中葉の肺膿瘍を認めたため、精査加療目的にて当院紹介受診。ダイナミックCTで右中葉の肺膿瘍の内部に強い造影効果を示す末梢性仮性肺動脈瘤を認めた。血管造影を施行したところ、肺動脈造影で動脈瘤は描出されず、右内胸動脈造影で拍動性の仮性肺動脈瘤、続いて肺動脈中葉枝が描出された。よって右内胸動脈前肋間枝(肋間動脈)が肺内血管と交通し肺動脈瘤に血流を供給、更に肺動脈へ逆行性に流入していると考えられた。シアノアクリレートにより右内胸動脈前肋間枝を塞栓したところ、肺動脈瘤は消退し喀血も止まった。結核以外の感染に伴う末梢性仮性肺動脈瘤の報告は稀であり、更に肺外血管がfeeding arteryであったものは極めて稀であると考えられたので報告する。

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KT-41内径1cm以上の異常動脈を伴った肺葉内肺分画症に対して完全鏡視下肺底区切除を行った一例1)倉敷中央病院 教育研修部、2)倉敷中央病院 呼吸器外科中井  健1)、奥村 典仁2)、松岡 智章2)、中園 千晶2)、大月 康弘2)、本多 陽平2)、田崎 拓朗2)、山梨 恵次2)、高橋 鮎子2)、中島  尊2)、亀山耕太郎2)

【はじめに】肺分画症は正常肺・気管支と交通をもたず、体循環から異常動脈により灌流される異常肺組織をもつ疾患である。肺葉内肺分画症では感染を反復することから術適応とされている。今回我々は1cm以上の太い異常動脈を伴った本症に対し、完全鏡視下手術を行ったので報告する。【症例】19歳男性。20XX年4月の検診で胸部異常陰影を指摘され、近医受診。胸部CTにて肺分画症が疑われ、同年9月当科紹介。初診時、呼吸器自覚症状はなく、肺炎や喀血の既往もなかった。胸部造影CTでは下行大動脈から左肺底区に流入する内径11mmの血管を認めた。PryceIII型の肺葉内肺分画症と診断し手術を施行した。【手術】皮切3cmの1windowと2portsで完全鏡視下にアプローチ。肺靭帯近傍に繊維性癒着を伴う太い異常動脈を同定。ナイフレス自動縫合器を用いて処理した。葉間の癒着を剥離後、肺底区動脈、肺底区静脈、肺底区気管支を順次剥離、切断。区域間を自動縫合器で切離し、肺底区切除を完了した。術後経過良好で術後3日目にドレーン抜管、4日目に退院となった。【結語】異常動脈の処理には注意を要するが、若年者に多い本症に対しては、本術式は肺機能的にも美容上も有用な術式と考える。

KT-42ベバシズマブ併用化学療法中に気管潰瘍を発症した肺腺癌の1例

1)徳島県立中央病院 医学教育センター、2)徳島県立中央病院 呼吸器内科尾松  卓1)、稲山 真美2)、坂口  暁2)、吉田 成二2)、葉久 貴司2)

【症例】68歳、男性。X-2年3月に右上葉肺腺癌と診断され、CBDCA+PTXによる化学療法と原発巣に対する放射線併用療法が行われた。X-1年2月、腫瘍の増大を認めCBDCA+PEM+BEVの3剤併用療法を開始、6コース施行、PEM+BEVの2剤を継続した。X年7月、維持療法12コース目施行後に血痰と頚部痛を自覚し、救急外来受診。CTでは著変なく経過観察となった。血痰は消失したが頚部痛は持続したため、8月再度CTを撮影したところ、甲状腺レベルの気管壁が一部不明瞭になり、周辺軟部組織へ気体の混入も認めた。気管支鏡検査では気管半周を占める潰瘍性病変を認めた。入院抗菌剤加療で頚部痛は改善し、一旦自宅生活も可能であったが、11月突然の大喀血により永眠された。【考察】ベバシズマブの副作用として、高血圧、蛋白尿、創傷治癒の遅延、出血および消化管穿孔などがあげられる。我々が検索し得た範囲では気管潰瘍を発症した報告はなかった。本症例においては放射線加療により組織が脆弱化していたところに、抗癌剤による広範囲な腫瘍の壊死が重なり気管潰瘍を起こしたと想定される。ベバシズマブを含む化学療法施行時には気管潰瘍にも注意が必要と考えられたため報告する。

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KT-43生前に診断しえた肺腺癌胃転移の1例

岩国医療センター 呼吸器内科三井 將雄、工藤健一郎、西  達也、梅野 貴裕、能島 大輔、久山 彰一

【症例】70歳、男性。【主訴】咳嗽、体重減少。【既往歴】肺気腫、間質性肺炎。【現病歴】繰り返す咳嗽と体重減少を認め2015年10月に近医を受診し、胸部CTで左肺門部に腫瘤を認め、精査加療目的で当院紹介となった。気管支鏡検査の結果、低分化腺癌(cT3N2M1b StageIV)と診断された。同年11月よりCBDCA/S-1を開始するも病勢増悪したため、DTXに変更した。貧血の進行も認め精査目的で施行したCTにて胃壁の肥厚を認めた。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部前壁と大弯に潰瘍を伴う胃粘膜下腫瘍を認め、生検の結果肺腺癌の転移と診断された。その後全身状態は徐々に悪化し、2016年3月に永眠された。【考察】原発性肺癌は、肺、肝、副腎、脳、骨、腎などの臓器に転移しやすいといわれている。肺癌の胃転移は稀な上に、胃粘膜下腫瘍としての形態をとることが多く症状に乏しいため、剖検で転移を確認したという症例が多い。今回、貧血の進行と胃転移に関して直接の因果関係は無かったと考えるが、症状に乏しくかつ稀な肺癌胃転移を生前に診断し得た症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。

KT-44術前化学放射線治療後に上大静脈切除再建と気管支形成術により完全切除した局所進行右上葉肺癌の1例

岡山大学病院 呼吸器外科土生 智大、豊岡 伸一、宗  淳一、枝園 和彦、二萬 英斗、山本 寛斉、黒崎 毅史、三好健太郎、大谷 真二、杉本誠一郎、山根 正修、大藤 剛宏、金澤  右、木浦 勝行、三好新一郎

症例は66歳男性。受診1年前より時折胸骨から背部にかけた痛みと易疲労感を自覚していた。同年の健診で胸部レントゲン上異常陰影を指摘され、近医で行ったCT精査で、上縦隔に浸潤を疑う右上葉肺腫瘤を認め、局所進行肺癌の疑いで当院紹介となった。精査により、扁平上皮癌cT4(上大静脈

(SVC))N1M0 StageIIIAと診断され、シスプラチンとドセタキセルによる化学放射線治療後手術を行う方針とした。術前の画像的治療効果は、PRであった。手術はSVCと右主気管支~気管にかけて浸潤を認めたため、右上葉スリーブ切除・再建+SVC合併切除・自己心膜パッチ再建+縦隔リンパ節郭清を施行し、気管支吻合部を大網で被覆した。術後経過に大きな問題なく、術後第29病日に退院となった。病理検査は、治療効果Ef2、ypT4N1M0 ypstageIIIAで切除断端は陰性であった。SVC・右主気管支に浸潤を伴う局所進行肺癌に対して、術前CRT後にSVC合併切除再建と気管支形成術により完全切除を行った症例を経験した。その可能性について考察して報告する。

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肺癌学会一般演題

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肺癌学会 一般

H-01内部の空洞が消失する画像経過を示した肺アスペルギルス症合併肺癌の1切除例1)高知医療センター 呼吸器外科、2)高知医療センター 呼吸器内科、3)香川大学医学部 呼吸器・乳腺内分泌外科徳永 義昌1)、岡本  卓1)、張  性洙1)、尾崎 領彦2)、中島  猛2)、寺澤 優代2)、浦田 知之2)、中野 貴之3)

【はじめに】画像上空洞を呈する原発性肺癌の頻度は、扁平上皮癌で24%、腺癌で15%と報告されている。また空洞壁の経時的変化は、肺アスペルギルス症や肺癌を示唆する所見の1つである。今回、空洞が消失したが異型細胞が検出されており、肺切除により肺アスペルギルス症合併肺癌と診断した1例を経験したので報告する。【症例】49歳男性。2015年12月、発熱、胸痛、血痰を主訴に近医受診。CTにて右肺上葉S1に空洞を伴う35mm大の病変を指摘され、気管支鏡検査を施行。細胞診でClass 3aを検出したが、確定診断に至らず経過観察。1ヶ月後、空洞は縮小するも病巣の充実性部分は増大し、加療目的に当科紹介。2ヵ月後の当院CTでは、空洞は消失し、中心部は低吸収で辺縁が濃染される27mm大の結節。確定診断・治療目的に胸腔鏡下右肺上葉部分切除術施行し、迅速病理組織診にて肺アスペルギルス症合併非小細胞肺癌と診断した。引き続き右肺上葉切除術および系統的リンパ節郭清施行した。最終病理組織診でも、肺アスペルギルス症合併肺腺癌pT3N0M0 stage2Bの診断。術後経過は安定して経過し、術後補助化学療法施行中。

H-02肺癌術後11年目にステープルラインに発生した炎症性腫瘤の1例

四国がんセンター 呼吸器外科宮内 俊策、牧  佑歩、上野  剛、杉本龍士郎、山下 素弘

症例は77歳,男性.多発すりガラス陰影(GGN)に対し,66歳時に胸腔鏡下(VATS)右中葉切除+下葉部分切除+縦隔リンパ節郭清術を施行(中葉:野口F, pStageIA,下葉:野口A, pStageIA).72歳時に増大する左上葉GGNに対してVATS左上葉部分切除術を施行(野口C, pStageIA).さらに4か月後に増大する右上葉GGNに対してVATS右上葉区域切除術を施行(野口C, pStageIA).経過観察中に初回手術時の右下葉S6のステープルライン近傍に結節影が出現し,経過のCTで増大傾向を認めた.PET-CTではFDGの軽度集積を認めSUVmax 2.0であり,肺癌の再発が疑われたため右開胸S6区域切除術を施行.術中迅速病理診断では炎症性変化のみとの診断であり,術後病理診断でも腫瘍性病変は認めなかった.肺癌術後のステープルライン近傍に新たな腫瘍性病変を認めた場合,断端再発や異時性肺癌を疑う必要があるが,稀ながら異物反応による炎症性肉芽腫,感染による腫瘤形成,炎症性偽腫瘍,血腫等の報告もある.今回我々は肺癌術後のステープルライン近傍に発生した炎症性腫瘤を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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肺癌学会 一般

H-0310年の間に異なる増大傾向を示した多発肺がんの1例

広島市立広島市民病院 呼吸器外科松浦 求樹、中村 龍二、荒木 恒太、岡田 真典、西川 仁士、藤原 俊哉

【はじめに】CTで発見されたすりガラス状陰影(GGN)の対応として1)経過観察の間隔や期間,2)手術適応の基準や術式,3)多発病変など,治療方針の決定は容易ではない.今回我々は,10年間に異なる増大傾向を示した多発肺がんの1例を経験したので報告する.【症例】48歳女性,生来健康,喫煙歴なし,10年前に左S3のGGN(8.5mm)のため当院でSecond opinionを受けていた。今回胸部異常陰影を指摘され,CTで左S10に22mmのインデントを伴う肺結節,気管支鏡で腺がん確定,SUVmax 4.1の集積を認めたが,リンパ節転移、遠隔転移は認めなかった.左S3のGGNはSUVmax 0.7であったが濃度上昇を伴い11mmに増大しており多発肺がんと考え,胸腔鏡下左下葉切除+リンパ節郭清とS3区域切除を行った.10年前のCTに左S10にpure GGN(10mm)が写っており増大したものと考えられた.【考察】本症例では2か所のGGNがPL1の肺がんと若干の増大と濃度上昇に留まると言う異なる増大傾向を示した.このことを予測することは不可能であり,定期的な経過観察が重要であることを教えてくれた症例である.【結語】多発のGGNでは異なる増大傾向を示す場合があり経過観察が重要である.

H-04化学放射線治療後に広範囲椎体合併切除を要した肺尖部胸壁浸潤癌の1例

国立病院機構四国がんセンター 呼吸器外科上野  剛、山下 素弘、杉本龍士郎、牧  祐歩

【はじめに】肺尖部胸壁浸潤癌(SST)は、より根治性を上げるため化学放射線治療(CRT)後に外科的切除が行われる。今回、椎体浸潤を伴ったSSTに対し、CRT後、根治切除を行った1例を報告する。

【症例】50代男性、右肩痛、右上肢のしびれ、右眼瞼下垂を認めた。胸部CTで右肺尖部に腫瘍を認め、Th1からTh3までの椎体、第1から3肋骨を含む胸壁浸潤を認めた。肺癌(cT4N0M0、StageIIIA)の診断で、CDDP+DOCを2コース、放射線治療45Gyを施行。後側方開胸を頭側に延長した開胸創で右上葉切除、椎体半側切除、前方より椎体のプレート固定を行う方針とした。【手術】右上葉切除、第1から3肋骨を含む胸壁、C7からTh3の椎体半側合併切除、リンパ節郭清を行った。鎖骨下動脈が腫瘍に巻き込まれており、合併切除、血管再建行った。前方から椎体のプレート固定を行った。手術時間15時間54分、出血量5330ml。【術後経過】広範囲の椎体半側と胸壁切除のため、首の保持が困難であり、ハローベストを装着し、術後50日目に椎体の後方固定術を行った。病理結果は、pCR、Ef3であった。現在、外来通院中である。【考察】CRT後に椎体、胸壁合併切除を行った肺尖部胸壁浸潤癌の1例を経験した。

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肺癌学会 一般

H-05稀な肺腫瘍の1手術例

鳥取県立厚生病院 外科大島 祐貴、吹野 俊介、松岡 佑樹、田中 裕子、兒玉  渉、西村 謙吾、浜崎 尚文

肺の粘液性嚢胞腺腫は非常に稀な腫瘍である。この稀な腫瘍の手術を経験したので報告する。症例は80歳代、女性。2009年に他院で上行結腸癌手術の既往あり。術後のfollow up中に左下葉S8~S9の結節影が増大してきたため当科紹介となった。CT上、左下葉S8~S9に辺縁分葉状の腫瘤影を認め、2年10か月の経過で8×7mmから31×16mmに増大していた。原発性肺癌、上行結腸癌肺転移などを鑑別診断に胸腔鏡下手術を施行した。腫瘍を切除し、術中迅速検査で悪性像なし、真菌症も鑑別にあがる等の病理診断であった。左肺底区切除術を施行し、術後経過は良好である。左下葉S9の30×28×28mmの腫瘍は嚢胞状で、内容はゼリー状、一部充実部分を認めた。Cystadenoma of borderline malignancy, mucinous and serous typeの診断であった。文献的にはほぼ良性の経過をとるが、まれに転移再発もあり定期的なfollow upが必要とされる腫瘍である。

H-06多発性筋炎を合併した浸潤性胸腺腫の一例

1)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 呼吸器内科、2)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 腫瘍内科、3)地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 脳神経内科山口 哲司1)、北口 総一1,2)、森脇 香莉1)、尾崎 紀仁1)、山根  高1)、菅原 文博1)、久賀淳一朗3)、山下 拓史3)

【背景】浸潤性胸腺腫に重症筋無力症や低ガンマグロブリン血症を合併することが多く、多発性筋炎を合併する報告は少ない。【症例】42歳男性【既往歴】特記事項なし【現病歴】2015年5月に健康診断で胸部レントゲン写真異常を指摘されたが放置していた。2015年12月から労作時の呼吸困難が出現した。2016年1月には症状の増悪があり胸部レントゲン写真で左大量胸水を指摘されたため当科紹介受診した。胸部CTにて前縦隔の巨大腫瘤と左胸水・左胸膜播種病変を認めた。CTガイド下生検では胸腺腫の病理診断であり、浸潤性胸腺腫と診断した。2016年1月よりCarboplatin+nab-Paclitaxelでの化学療法を開始した。2016年2月中旬に両側大腿の疼痛・筋力低下が出現した。CPKの上昇があり下肢MRI、筋生検で筋炎の所見がみられた。抗Jo-1抗体、抗ARS抗体は陰性であり浸潤性胸腺腫に伴う多発性筋炎と診断した。ステロイドパルス療法により症状の改善および胸腺腫の著明な縮小が見られた。2016年4月にvolume reduction目的で外科的切除を施行し、術後はステロイド投与なしで症状なく経過している。多発性筋炎を合併した浸潤性胸腺腫の一例を経験したため文献的考察を加えて報告する。

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肺癌学会 一般

H-07胸膜炎症状で発症し自然縮小した胸腺腫の2例

川崎医科大学附属病院 呼吸器外科野島 雄史、前田  愛、最相 晋輔、沖田 理貴、清水 克彦、中田 昌男

胸腺腫は無症状で発見されることが多く、胸痛や胸水貯留などの胸膜炎症状を伴う胸腺腫は比較的稀である。当科でも過去に1例報告しているが、今回同様の症例を経験したので、文献的考察を踏まえて報告する。【症例1】(日本胸部臨床2010):24歳、男性。発熱と胸痛で発症し前縦隔に75×40mm大の腫瘤を指摘されたが、1ヶ月の対症療法で50×25mm大に縮小し、その後拡大胸腺全摘術を施行した。病理では変性壊死を伴ったTypeB2の胸腺腫と診断された。【症例2】:36歳、男性。胸痛を主訴に近医受診しCXRで前縦隔腫瘍を指摘され、当院紹介となった。受診時には胸痛は改善していたが、胸部CTで前縦隔に100×55mm大の腫瘤と右胸水貯留を認めた。胸腺腫を疑い、手術を行う方針とした。術直前に再度胸部CTを行ったところ、前縦隔の腫瘤は90×35mmと軽度縮小し、右胸水貯留は消失していた。その後、拡大胸腺全摘術を施行し、病理では広範な壊死を伴ったTypeB1+B2の胸腺種と診断された。

H-083cm以下の小型肺腫瘍に対するJCOG1408標準線量での定位放射線治療の長期成績

広島大学病院 放射線治療科木村 智樹、高橋 一平、竹内 有樹、西淵いくの、村上 祐司、永田  靖

【目的】2016年2月より「臨床病期IA期非小細胞肺癌もしくは臨床的に原発性肺癌と診断された3cm以下の孤立性肺腫瘍(手術不能例・手術拒否例)に対する体幹部定位放射線治療のランダム化比較試験」(JCOG1408)が開始された。本試験の標準治療相当の線量分割で定位照射を行った自験例を後方視的に解析する。【対象と方法】組織確定したIA期非小細胞肺癌もしくは臨床的に非小細胞肺癌と診断した3cm以下の小型肺腫瘍64例68病変が対象。患者背景は、年齢中央値78.5歳、男性/女性:44/20例、組織確定/未確定:38/26例、手術適応の有無:21/43例であった。定位放射線治療はJCOG1408標準治療相当の線量分割である48Gy/4回(アイソセンタ処方)を照射した。【結果】観察期間中央値は41.5ヶ月。3年/5年局所制御割合及び全生存割合は各々90.7%(95%CI:82.9-98.5%)/87.4%(95%CI:77.7-97.2%)、74.6%(95%CI:62.9-86.2%)/56.4%(95%CI:41.7-71.2%)であった。再発形式は局所7例、所属リンパ節5例、遠隔14例であった。有害事象はCTCAE ver4.0 grade 3の肺臓炎が3例であった。【結語】JCOG1408標準治療相当の線量分割では局所再発及び遠隔転移に対し改善の余地がある。

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肺癌学会 一般

H-09異なる臨床経過および免疫組織化学染色パターンを示したG-CSF産生肺腺癌の2例

広島赤十字・原爆病院 呼吸器科齊藤 尚美、大道和佳子、石山さやか、出口奈穂子、谷脇 雅也、山崎 正弘

【背景】G-CSF産生腫瘍は肺癌に多く治療抵抗性である.今回G-CSF産生肺癌の2例を経験したので報告する.【症例1】54歳男性.主訴は嗄声.肺腺癌cT2aN3M1b, StageIVに対しCBDCA+PEMを1コース,nab-PTXを4コース行った.左主気管支狭窄を生じたためS-1+RTを開始したが,白血球ならびに血小板数増多と発熱が持続し,治療開始7ケ月後に癌死した.死亡1ケ月前の血清でG-CSF 58.2pg/ml,IL-6 56.6pg/mlと上昇を認め,上顎転移巣組織の免疫染色で抗G-CSF抗体陽性,抗IL-6抗体陽性を示した.【症例2】67歳男性.主訴は発熱.肺腺癌cT3N2M0, StageIIIAに対しCBDCA+PTX+RTを行った.その後7次治療まで行ったが難治性であり,経過中白血球増多を認めたが血小板数は正常だった.治療開始1年後に癌死した.死亡1ケ月前の血清でG-CSF 123pg/mlと上昇を認め,再発後の原発巣組織の免疫染色で抗G-CSF抗体陽性を示したが,抗IL-6抗体は陰性だった.【まとめ】G-CSF産生肺癌は経過が急速で予後不良である.また,炎症性サイトカイン(IL-6)が同時産生される場合,G-CSF産生を惹起する可能性が示唆され,今後本腫瘍の解明にさらなる症例集積が必要である.

H-10人工気胸後にCT下針生検を行った縦隔病変の2例

JCHO徳山中央病院 放射線科折橋 典大、片山  節、山下 武則、安井 正泰、中木 浩司

縦隔の腫瘍性病変に対して、EBUSでの生検は広く行われているが、種々の要因で有効に目的が達せられない場合もあり得る。介在肺を穿刺せず縦隔病変をCT下生検する方法として、人工気胸下での方法があり、今回若干の工夫のもとに同手技を行ったので報告する。【症例】1)58歳・男性、検診発見での前縦隔腫瘍。胸腔内への送気手段として、滅菌した極細径気管支内鏡用の生検鉗子をガイドに、16Gサーフロー針を用いた。緩徐に約700mlの空気注入後、穿刺コースを確保して、半自動生検針にて生検を行った。結果はTypeB2胸腺腫であった。2)76歳・女性、軽度の呼吸苦を機に近医より紹介され、浸潤性の縦隔腫瘍を認めた。上記同様に人工気胸を作成、この際SpO2:88%への低下と軽度の呼吸速迫が見られたが、酸素吸入での回復を確認して素早く生検・脱気を行った。結果は小細胞癌であった。症例2のみ送気の際に輸血用フィルターを介し、2例とも続発性胸膜炎は見られなかった。

【結語】症例は限定されるが、人工気胸にて肺穿刺を避けた縦隔CT下生検を行える場合がある。施行にあたっては慎重な監視や処置判断およびフォローが望まれる。

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肺癌学会 一般

H-11気管支鏡検査で診断し得たBALTリンパ腫の一例

鳥取大学医学部付属病院 呼吸器・膠原病内科高見 大樹、武田 賢一、照屋 靖彦、福嶋 健人、長谷川泰之、牧野 晴彦、井岸  正、山崎  章、清水 英治

症例は86歳男性、10年前より当院でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL:Diffuse large cell B-cell lymphoma)に対する放射線・化学療法開始され寛解に至り1年前に終診となっていた。検診で右中肺野結節影指摘され、近医受診。経時的増大傾向認めるため当科紹介となった。CTで右S5に周囲にすりガラス影伴う不整陰影あり、画像上強く原発性肺癌を疑う所見であった。診断目的に気管支鏡検査施行し、組織学的にBALT(Bronchus associated lymphoid tissue)type悪性リンパ腫と診断した。BALTリンパ腫は低悪性度B細胞性リンパ腫で肺原発悪性腫瘍において0.3~1%と比較的稀な疾患であり、画像所見は多彩で肺癌や炎症性疾患との鑑別が困難な場合がある。また、気管支鏡検査やCTガイド下肺生検での診断が得られず、診断治療目的での外科的切除で診断し得た報告も多い。本症例は10年前に左扁桃で得られた検体よりDLBCLの診断を受け治療、寛解に至っているが、今回の検体では病理学的に全く異なる所見であり、再発ではなくBALTリンパ腫を新たに発症したものと考え、文献考察含め症例報告する。

H-12腹腔内転移をきたした肺紡錘細胞癌の一剖検例

1)東広島医療センター 呼吸器内科、2)東広島医療センター 呼吸器外科下地 清史1)、村上  功1)、小川 喬史1)、宮崎こずえ1)、鍵本 篤志2)、柴田  諭2)

症例は、重喫煙者、2型糖尿病を有する73歳男性。気管支鏡検査・右鎖骨上リンパ節生検より肺紡錘細胞癌、下部消化管内視鏡検査より直腸癌を認め、重複癌の診断となった。臨床病期診断目的にPET-CT検査を施行したが、腸間膜リンパ節転移がみられ、肺癌由来か直腸癌由来か鑑別が困難であった。前者をcT1bN3M0 stage3Bと判断したのち放射線化学療法を施行するも、CT検査にて腸間膜リンパ節の増大ありPDと判断した(無増悪生存期間43日)。以降緩和ケア主体の診療にて、46日後に死亡した(全生存期間89日)。剖検にて大網転移および腸間膜リンパ節転移は肺紡錘細胞癌の転移によるものと明らかになった。生前肺紡錘細胞癌および直腸癌の臨床病期分類に苦慮した一例として、若干の文献的考察を加え報告する。

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肺癌学会 一般

H-13導入同時化学放射線療法と肺全摘術で、5年間無再発生存中の肺扁平上皮癌の1例

国立病院機構山口宇部医療センター 呼吸器外科岡部 和倫、田尾 裕之、林 雅太郎、吉山 康一、古川 公之、弘中 秀治、原  暁生

【はじめに】我々は、進行肺癌に対する導入化学放射線療法後の肺全摘術の良好な成績を内外で報告してきた(AATS 2015、日本胸部外科学会 2014、日本呼吸器外科学会 2015等)。今回は、5年間無再発生存中の肺扁平上皮癌の1例を報告する。【症例】患者は、手術時の年齢が63歳の男性。大腸ポリープを精査中に、胸部CTで左上下葉気管支分岐部付近に5cm大の腫瘤を指摘された。精査の結果、上下葉に進展する扁平上皮癌、c-T4N1M0, Stage IIIBと診断された。2010年10月から導入化学放射線療法を実施した。化学療法は、CDDP 40mg/m2とTXT 40mg/m2のday 1とday 8投与を1クールとし、合計2クール投与。放射線療法は、原発巣と肺門と縦隔に対して46Gy照射した。放射線療法終了後36日目の2011年1月に、左肺全摘術を行った。手術時間は3時間40分、出血量は200gで、肋間筋による気管支断端の被覆を行った。病理診断は扁平上皮癌、yp-T1N0M0, Ef. 2で、5年間無再発生存中である。

【結語】導入同時化学放射線療法と肺全摘術で、5年間無再発生存中の肺扁平上皮癌の1例を報告した。導入同時化学放射線療法の肺全摘術は、進行肺癌の予後を大いに改善している。

H-14導入化学放射線療法後に胸壁合併切除を行い、術後間質性肺炎急性増悪を認めたⅢA期肺紡錘細胞癌の1切除例

倉敷中央病院 呼吸器外科本多 陽平、奥村 典仁、大月 康弘、田崎 拓朗、中園 千晶、山梨 恵次、高橋 鮎子、中島  尊、松岡 智章、亀山耕太郎

【はじめに】間質性肺炎急性増悪(以後AE)は、肺癌術後の合併症の中で現在、最も重篤なものである。今回われわれは導入化学放射線療法後に拡大手術を施行し、術後にAEを発症した1例を経験したので報告する。【症例】患者は67歳男性。検診で胸部異常陰影を指摘され、当院へ紹介受診。初診時より左背部痛を認めた。PET/CTにて左上葉の胸壁浸潤を伴う腫瘤影と、4cm大に腫大した大動脈下リンパ節を認め、ともにFDG高集積を認めた。CTガイド下生検にて紡錘細胞癌の診断を得、cT3N2M0の評価にて導入化学放射線療法を施行後に手術の方針とした。なお胸部CTにて軽度の間質性肺炎並存を認めていた。導入療法にてPRが得られ、RTx終了後1ヵ月後に左上葉切除+左第3/4肋骨・第3/4胸椎横突起合併切除+ND2aを施行した(完全切除)。術後3日目、8日目に胸部CTを撮影、AEが疑われ、直ちにBALを施行。リンパ球の上昇を認めPSL 55mg/日を開始。速やかに酸素化の改善と間質影の消退を認め、術後29日目に自宅退院となった。【結語】導入療法後の拡大手術例でありAE発症リスクが高いと予想されたが、早期に診断し、ステロイド治療を開始することで改善が得られ、良好な結果に繋がったものと考える。

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H-15肝転移と考えられた病変が原発性肝細胞癌と診断された肺非定型カルチノイドの1例

広島大学病院 呼吸器内科黒住 悟之、益田  武、堀益  靖、宮本真太郎、中島  拓、岩本 博志、藤高 一慶、濱田 泰伸、服部  登

【緒言】肺非定型カルチノイドはその20%が遠隔転移を起こし、肝臓へ転移する症例が多い。今回我々はCTで単発の肝転移と考えられた病変が原発性肝細胞癌と診断された肺非定型カルチノイドの1例を経験した。【症例】69歳男性。【現病歴】2015年5月、健診の胸部単純X線検査で右肺上肺野に異常陰影を指摘されたため当科を受診した。各種画像検査と気管支鏡検査により小細胞癌(c-T1aN0M0, StageIA)と診断され、手術が施行された。その結果非定型カルチノイド(p-T1aN2M0, StageIIIA)と診断され、術後化学療法が計画された。しかし、CTで肝臓S7/8に30mm大の造影CTで早期濃染し、平衡相でも持続する結節が認められ、造影エコーやMRI検査所見から、カルチノイドの肝臓への遠隔転移と考えられた。CBDCA+VP-16による化学療法を4コース施行され、病変は軽度縮小したが、残存していたため肝生検が施行された。その結果、原発性肝細胞癌と診断され、肝腫瘍切除術が施行された。現在、両疾患とも再発なく経過している。【考察】本症例の経験から、画像検査所見から単発の転移が疑われる際には、根治を目的として積極的に病理診断を行い、治療方針を再考すべきと考えられる。

H-16CDDP+DTX+Bev.で画像上CRがえられた多形癌術後再発の1例

尾道市立市民病院 外科川真田 修

はじめに:多形癌は予後不良な疾患で標準的な化学療法は確立されていない。今回われわれはシスプラチン+ドセタキセル+ベバシツヅマブ(CDDP+DTX+Bev.)投与し画像上CRがえられた多形癌術後再発症例を経験したので報告する。症例:60代、男性。主訴:検診発見。現病歴:検診で右肺の異常所見指摘され近医受診、精査目的で当院呼吸器内科紹介、気管支ファイバーで非小細胞肺癌(腺癌疑い)と診断され、手術適応ありとして当科紹介。胸部CT:右中葉に空洞を伴う約3cm大の腫瘍を認めた。PET-CT:腫瘍に一致してSUVmax. 14.8の陽性所見を認めた。縦隔リンパ節転移や他臓器転移は認められなかった。手術:胸腔鏡補助下に右中葉切除2群リンパ節郭清を施行した。腫瘍は胸膜面に露出していたが胸水や胸膜播種は認められなかった。病理:腺癌細胞と紡錘形細胞が混在する多形癌で、T2N1M0 pstageIIAと診断された。術後経過:術後半年のCTで胸膜播種疑われたが小病変であり経過観察とした。術後10ヶ月目のCTで播種病変の増悪とドレーン挿入部胸壁再発を確認した。CDDP+DTX+Bev.を6クール投与し、終了後2週間目のCTでCRを確認した。結語:多形癌にCDDP+DTX+Bev.が有効である可能性がある。

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肺癌学会 一般

H-17LCNECにNivolumabを使用した2症例の検討

1)広島赤十字・原爆病院、2)大橋内科医院大道和佳子1)、齋藤 尚美1)、石山さやか1)、出口奈穂子1)、谷脇 雅也1)、大橋 信之1,2)、山崎 正弘1)

【症例1】62歳男性.40本×34年の喫煙歴あり.20XX-8年に肺腺癌cStageIIIAに対し他院で化学放射線治療施行.20XX-7年に結節影が出現し外科的肺生検で大細胞神経内分泌癌(以下LCNEC)と診断.化学療法を再開したがPDとなり,6次治療として20XX年よりNivolumabを開始.投与開始後4週のCTではSDでありProGRPは721.3pg/mlから112.5pg/mlに著減した.有害事象は投与7週目にGrade1の薬剤性肺障害が出現したが,3日間のステロイド点滴投与で速やかに改善した.【症例2】55歳男性.30本×32年の喫煙歴あり.20XX-2年に右下葉の結節影を指摘されCTガイド下生検でLCNECと診断.化学療法を行っていたがPDとなり,3次治療として20XX年よりNivolumabを開始.投与4週後のCTはPRであり,上昇傾向であったProGRPは110.1pg/mlから82.0pg/mlへ減少に転じた.特記すべき有害事象は認めず現在も投与継続中である.【考察】LCNECは臨床的に小細胞癌に似ているとされながらも治療には非小細胞癌・小細胞癌レジメンいずれも用いられ,その治療については十分なエビデンスの集積がないのが現状である.LCNECの治療に際しNivolumabが果たしうる役割について,当院の経験症例の経過を踏まえ考察する.

H-18シスプラチンによる腎機能低下発症のリスク因子に関する検討

島根大学医学部 内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学津端由佳里、御手洗裕紀、兒玉 明里、森  雄亮、中尾 美香、天野 芳宏、堀田 尚誠、濱口  愛、沖本 民生、濱口 俊一、礒部  威

【背景】シスプラチン(cisplatin:CDDP)はいまだ肺癌治療のキードラッグであるが、その投与に際しては腎機能低下が用量制限毒性であり注意が必要である。年齢やCDDP投与時のハイドレーション法、Mg製剤使用の有無が腎機能低下に関わるとされているが、その他のリスク因子については明らかでない。【目的】CDDPを投与した肺癌患者の背景と腎機能低下の有無を解析することで、そのリスク因子を検討する。【方法】2013年10月~2016年4月に当院でCDDPを含む化学療法を行った肺癌患者の患者背景と治療経過中の腎機能低下の有無、併存症について検討した。【結果】症例は49例、年齢中央値は67歳。CDDP投与後にCTCAE grade 2以上の腎機能低下を認めた症例は10/49例(20.4%)であった。腎機能低下群のうち高血圧症が併存する症例は5/10例(50%)であり、腎機能低下を認めなかった患者群(6/39例、15.4%)と比較して有意に高かった。【まとめ】CDDP投与前には併存疾患の確認が重要であり、高血圧症が併存する症例ではより腎機能保護を指向した十分な支持療法の検討が必要と考える。

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肺癌学会 一般

H-19Nivolumab治療後膵型アミラーゼ上昇を認めた1例

国立病院機構四国がんセンター 呼吸器内科上月 稔幸、原田大二郎、北島 寛元、野上 尚之

【はじめに】切除不能進行・再発非小細胞肺がんに対し承認されたnivolumabは免疫関連有害事象に注意を要する。【症例】86歳女性。嗄声を主訴に精査したところ両側多発肺結節影を認め、肺腺癌

(cT4N2M1b(PUL, BRA),Stage IV,EGFR exon 19欠失変異陽性)と診断された。以降、カルボプラチン+ペメトレキセド、エルロチニブ、ドセタキセル、ビノレルビンによる抗がん剤治療や、経過中に転移性脳腫瘍や転移性骨腫瘍に対し、サイバーナイフ治療や緩和的放射線治療を実施した。その後、ニボルマブを開始したところ、治療前、血清アミラーゼ227U/Lであったが、投与後2週目で452U/L、4週目で583U/Lと上昇を認めた。その際の膵型アミラーゼは、421U/Lと上昇していた。一方、自覚症状は特に認めず、CT上も明らかな膵炎の所見を認めなかった。4週目以降、ニボルマブの投与を延期しカモスタットメシル酸塩の内服を開始したところ、2週後にはアミラーゼ222U/L(膵型64U/L)と低下した。しかし、治療開始8週目のCTにて原病の増悪を認めニボルマブは無効と判断し治療を中止した。【結語】nivolumab投与後、高アミラーゼ血症は稀な副作用であるが、治療中は注意を要する。

H-20パロノセトロンを使用してショートハイドレーション法を行ったシスプラチン投与症例の検討

市立三次中央病院粟屋 禎一、佐野 由佳、中増 昭久

【背景】当院では2010年10月よりCDDP投与時にはショートハイドレーション法(SH法)を用いてきたが,2011年10月までは5-HT3受容体拮抗剤はグラニセトロン(Gra)を使用してきた。2012年11月からは遅発性嘔吐に対しても有効であるパロノセトロン(Palo)に変更してCDDPを投与してきた。【方法】2012年11月から2015年12月までにPaloを使用してSH法を行ったCDDP投与症例64例を対象にして,その忍容性に関して報告し,Gra投与時の制吐効果,外来治療移行率と比較検討する。【結果】年齢中央値68歳(37-78),性別は男/女:52/12例,PS0/1/2/3:27/31/3/3例,レジメンはCDDP+PEM±BEV:36例,CDDP+VNR:13例,CDDP+CPT-11:10例,その他:3例。嘔吐はgrade1:1例,悪心はgrade1:22例(34.4%),grade2:4例(6.3%),grade3:5例(7.8%)であり,grade3以上の腎障害は認めなかった。外来治療可能症例は53例(82.8%)であった。これらは過去に報告したGra投与時の制吐効果,外来移行率より良好な成績だった。【結語】CDDP投与時のPaloを用いたSH法は忍容性が良好だった。

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H-21ALK融合遺伝子とEGFR遺伝子変異を検出した同時両側性多発肺癌の1例

高松赤十字病院 胸部乳腺外科環  正文、森下 敦司、久保 尊子、監崎孝一郎、三浦 一真

ALK融合遺伝子陽性肺癌とEGFR遺伝子変異陽性肺癌はともに非喫煙者、腺癌に多く認められ、それぞれ排他的発現をすることが知られている.今回ALK肺癌とEGFR肺癌が併存した同時両側性肺癌のまれな1例を経験したので報告する.症例は72歳、女性.咳嗽と咽頭痛を主訴に近医を受信し胸部単純写真で異常陰影を指摘され、精査目的に当院呼吸器内科を紹介受信した.CT検査では右S10に18mm大の不整形腫瘤と多数の胸膜肥厚像、横隔面結節から連続する肝腫瘤を認めた.気管支鏡検査で確定診断に至らず、PET-CT検査では上記病変に高度集積を認めた.胸膜播種を伴う肺癌が強く疑われ、確定診断目的に胸腔鏡下右下葉部分切除と壁側胸膜生検を施行、広範囲胸膜播種を伴う腺癌と横隔膜播種巣の肝浸潤と診断された.ALK融合遺伝子を検出し(FISH)、クリゾチニブ400mg/日を開始したところPET-CT上異常所見は消失した.クリゾチニブ投与開始後2年が経過し、右肺癌治療当初より指摘されていた左上葉の11mm大のGGNが増大傾向を示し肺癌が疑われた.耐術能に問題なく、ご本人の希望もあり上大区切除を施行、EGFR遺伝子変異陽性の腺癌と診断された.治療の観点から興味深い症例と思われ報告する.

H-22CrizotinibによるILDを発症後にAlectinibの投与が可能であったALK融合遺伝子陽性肺腺癌の1例

徳島大学病院 呼吸器・膠原病内科香川 耕造、手塚 敏史、大塚 憲司、森住  俊、後東 久嗣、岸   潤、吾妻 雅彦、埴淵 昌毅、西岡 安彦

【症例】48歳、男性。X-1年11月頃より咳嗽が出現し、近医にて加療を受けていた。X年1月にCTを撮像し、両側肺に異常陰影を指摘され当院へ紹介入院となった。中葉から経気管支肺生検を行い肺腺癌と診断した。全身検索にて脳転移、肝転移、骨転移を認めた。ALK陽性肺腺癌であることを確認しCrizotinibを開始した。左肺を中心に新たなスリガラス状陰影の出現を認め、Crizotinibによる間質性肺疾患(ILD)として、治療開始9日目に投薬を中止した。中等量プレドニゾロンの内服を開始し、両側肺の間質陰影の改善を認めた。投与中止25日目よりAlectinibを開始し、ステロイド薬の漸減を行った。現時点においてILDの再燃は認めず、治療経過は良好である。【考察】ILD発症後にCrizotinib再投与が可能であった症例は少数報告されているが、再投与によるILD再燃のリスクは否定できず、確立されたものはない。ALK-TKIに対する選択性の違いや有効性の高さなどから、CrizotinibのILD発症後にAlectinibの投与を試みることは、選択肢の1つとなりえる。

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H-23肝転移巣においてEGFR変異アレルの欠失がみとめられた原発性肺腺癌の一剖検例1)独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器内科、2)独立行政法人国立病院機構東広島医療センター 呼吸器外科村上  功1)、下地 清史1)、小川 喬史1)、宮崎こずえ1)、鍵本 篤志2)、柴田  諭2)

症例は喫煙歴のない88歳の女性。食欲不振、息切れにて紹介医を受診し、胸部単純X線撮影にて右側の胸水がみとめられたため、当科紹介受診となった。胸水細胞診にて腺癌、EGFR遺伝子L858R変異が検出され、臨床病期IV期:T1b(右S8原発)N0M1b(癌性胸膜炎、多発骨転移)の原発性肺癌との診断にてゲフィチニブの投与を開始した。投与後胸水は減少し、全身状態の改善もみとめた。投与開始274日後に胸水の増加、あらたに肝転移巣がみとめられたため再発と診断した。再発診断後は急速に全身状態が悪化し、死亡した(全生存期間294日)。剖検によって得られた右S8の原発巣からは、EGFR遺伝子L858R変異が検出されたが、6cm大の肝転移巣からはWild typeのEGFR遺伝子のみで、L858R変異は検出されなかった。ゲフィチニブに対する耐性機序に、活性化変異アレルの欠失が関与している可能性がうかがえる興味深い症例を経験したので報告する。

H-24AlectinibがALK融合遺伝子陽性肺癌の脳転移に有効であった一例

岡山日赤病院 呼吸器内科中西 将元、細川  忍、別所 昭宏、稲田 崇志、原  尚史、深松 伸明、尾形 佳子、佐久川 亮

【背景】脳転移はPSを低下させて全身治療を妨げたり、QOLの低下を来すため、その治療は非常に重要である。しかし全脳照射後の認知機能低下が問題となり、長期予後が期待できる症例に対しては脳へのダメージが少ない治療を考える必要が出てきた。【症例】61才女性。非小細胞肺癌cT1aN3M0 StageIIIBの診断でCBDCA+PTXを用いた化学放射線療法を施行した。再発後にPEM、Erlotinibを投与するも増悪した。再生検しALK融合遺伝子を認めたためCrizotinibを開始し著効したが、ILDを認め中止した。ステロイドにてILDが改善し、漸減中に肺癌の病勢が急速に悪化し呼吸困難を来すようになった。多発脳転移を認めたが無症状であり、全身の病勢コントロールを優先しAlectinibによる治療を開始した。脳転移を含めたすべての病変において著しい縮小効果を認めた。【結語】Alectinibは脳転移制御においても効果が期待でき、放射線治療だけではなく分子標的薬による全身治療も考慮し、患者のQOLを保ちながらの長期生存を目指す治療戦略の検討が必要と思われる。

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肺癌学会 一般

H-25ALK融合遺伝子陽性肺腺癌脳転移の5症例

大田記念病院 脳神経外科中崎 清之

目的:ALK融合遺伝子陽性の肺腺癌脳転移の症例を報告する。方法:当院にて2009年から2015年に肺腺癌脳転移の164例に対して初回放射線治療としてガンマナイフ治療を実施し得た。ALK融合遺伝子陽性が確認された5例(3.0%)について調査した。結果:年齢は中央値66歳、男性が4例であった。いずれも頭蓋外転移が存在していた。mRPA分類では2aが1例、2bが2例、2cが2例であった。ガンマナイフ治療時の個数は中央値6(範囲、1-40)。総体積中央値は1.0ml(40個の1例は評価せず)であり、全脳照射を併用した例はなかった。5例ともガンマナイフ治療(GKS)後にグリゾチニブもしくはアレクチニブを内服している。GKS後いずれの病変も局所制御が得られたが4症例が脳内新病変に対してGKSを行い、全脳照射を2例要した。特に1例は広範囲な癌性髄膜症を生じている。1例アレクチニブにてgrade 4の腎機能障害が生じた。最終経過観察の段階で4名生存中であり、生活の自立が得られている。経過観察期間中央値は17.0カ月(範囲、7.7-53.7カ月)である。結論:ALK融合遺伝子陽性肺腺癌脳転移例はALK阻害剤により、他の肺腺癌脳転移よりも長期の生存期間が得られることが示唆された。

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肺癌学会研修医演題

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肺癌学会 研修医

HT-01肺原発髄外性形質細胞腫の1例

広島大学原爆放射線医科学研究所 腫瘍外科(広島大学病院 呼吸器外科)大澤真那人、津谷 康大、吉川  徹、半田 良憲、坪川 典史、伊藤 正興、三隅 啓三、花木 英明、宮田 義浩、岡田 守人

症例は66歳女性。他疾患フォロー中のCTにて左肺上葉S3に24mm大の結節影を指摘された。気管支鏡下生検で肺原発髄外性形質細胞腫と診断され、胸腔鏡補助下左肺上葉S3区域切除術を施行された。永久病理検査でも髄外性形質細胞腫と診断された。肺原発の髄外性形質細胞腫は非常に稀であり比較的予後良好とされているが、多発性骨髄腫への移行例も報告されており、術後も血液内科医を含めた慎重なフォローが必要である。

HT-02肺化膿症として治療した後に外科的切除で診断に至った浸潤性粘液腺癌の1例

1)労働者健康福祉機構中国労災病院 救急部、2)労働者健康福祉機構中国労災病院 呼吸器内科、3)国立病院機構東広島医療センター 呼吸器外科、4)国立病院機構東広島医療センター 臨床検査科坂本 拓海1)、塩田 直樹2)、三登 峰代2)、高尾  俊2)、佐々木啓介2)、柴田  諭3)、万代 光一4)

浸潤性粘液腺癌は多彩な画像所見を呈する。器質化肺炎や細菌性肺炎と同様の画像所見と呈する事があり,しばしば鑑別が問題になる。今回我々は肺膿瘍として治療し外科的切除で診断に至った浸潤性粘液腺癌の1例を経験したため報告する。症例 59歳男性。病歴 39度の発熱、胸痛を主訴に当院の救急外来を受診した。WBC 14800/ul,CRP 29.2mg/dlと上昇していた。右下葉は無気肺で内部に空洞を認めた。肺化膿症と診断し、抗菌剤投与を開始した。無気肺が改善せず、気管支鏡検査で内腔観察した。右中間気管支幹より末梢に大量の分泌物を認め、粘膜は発赤していた。腫瘍や痰による気管支の閉塞はなく、TBLBも悪性所見を認めなかった。その後も発熱が持続したため感染コントロールを目的に外科的切除を行った。右下葉全体を占める緊満な腫瘤14.5cm×13.0cm×6.0cmを切除した。肺胞構造は保たれているものの、細胞質内に粘液を有した腫瘍細胞が肺胞壁を置換するように進展していた。気腔内には粘液が充満していた。浸潤性粘液腺癌(sT3N0M0stageIIB)と診断した。

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肺癌学会 研修医

HT-03EBUS-TBNAによって診断し得た右肺動脈原発血管内膜肉腫の1例

1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院 がんセンター、3)鳥取大学医学部 分子制御内科学徳田 直希1)、阪本 智宏2,3)、照屋 靖彦3)、山本 章裕3)、矢内 正晶3)、武田 賢一3)、小谷 昌広3)、山崎  章3)、井岸  正3)、清水 英治3)

【症例】73歳、女性。【現病歴】20XX年2月下旬に乾性咳嗽を認め近医を受診した。胸部レントゲンで右肺門部に腫瘤影を認め、胸部CTを施行。右肺動脈に沿った肺門部の異常影を認めたため、3月3日に精査目的で当科紹介となった。造影CTで右肺動脈から上中下葉肺動脈にかけて、血管壁に沿って連続する不整かつ内部不均一な腫瘤影を認めた。PET-CTでは、同部位にFDGの集積亢進を認めた。画像所見より血管内腫瘍や肺癌を疑ったが、外科的生検はリスクが高いと判断した。コンベックス走査式超音波気管支鏡を用いて病変の観察を行ったところ、右中間気管支幹に病変部と肺動脈の境界を確認し、病変部の血流は乏しかったため、安全に生検が行えると判断し、同部位より超音波気管支鏡下針生検(EBUS-TBNA)を施行した。生検の結果、組織学的に未分化多型肉腫の所見を認め、画像所見と併せて肺動脈原発の血管内膜肉腫と診断した。【結語】肺動脈原発の血管内膜肉腫は非常に稀な疾患である。症状は非特異的であり、肺動脈血栓塞栓症や肺癌との鑑別が困難な症例も多く、診断が遅れる傾向がある。術後診断や剖検で診断される症例が多い中、EBUS-TBNAは早期に診断する上で有用と考えられた。

HT-04trimodality治療4年後に単発脳転移で再発したパンコースト腫瘍

1)川崎医科大学附属川崎病院 臨床研修センター、2)川崎医科大学 総合内科学4、3)川崎医科大学 総合外科長崎 泰有1)、矢野庄一郎1)、山岸 智子2)、越智 宣昭2)、本多 宣裕2)、山根 弘路2)、深澤 拓也3)、瀧川奈義夫2)

【症例】61歳女性。【喫煙歴】15本/日×40年。【現病歴】2011年12月、右肩甲骨部の疼痛のため近医を受診し、胸部CTで右肺尖部のパンコースト腫瘍が疑われ紹介された。肺腺癌(T3N0M0、stage IIB)の診断で、2012年1月より放射線(60Gy/30Fr)併用同時化学療法を施行した。2012年3月に右上葉切除+胸壁合併切除を行い、術後化学療法を追加した。2014年7月まで年2回の脳MRIを含めた画像診断では、再発は認められなかった。無症状ではあったが2016年1月に脳MRIを撮影したところ、左前頭葉に8mm大の造影効果を有する結節影が出現した。PET-CTを含めたre-stagingでは他に再発部位を認めず、ガンマナイフによる局所治療を施行した。【考察】局所進行非小細胞肺癌に対する放射線化学療法後の初回再発部位として、脳転移単独は3年1ヶ月後の再発が最長であった(ASCO 2011, abstract #7048)。また、パンコースト腫瘍に対するtrimodality後の初回再発部位としての脳転移も30ヶ月以降では認められていない(Chin Clin Oncol 4:39, 2015)。脳転移単独再発は局所療法で治癒可能であり、surveillanceに示唆を与える症例と考え報告する。

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肺癌学会 研修医

HT-05Stage3胸腺癌に対する導入放射線療法後の手術におけるsemi-clamshellアプローチ

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 呼吸器・乳腺内分泌外科学川名 伸一、三好健太郎、橋本 好平、黒崎 毅史、牧  佑歩、大谷 真二、山本 寛斉、杉本誠一郎、宗  淳一、山根 正修、豊岡 伸一、大藤 剛宏、三好新一郎

【背景】胸骨正中切開は胸腺癌切除術における標準的アプローチであるが、片側胸腔内での操作を併施する上での視野が良好とはいえない。また術前放射線療法例では、多くの場合、放射線の影響で腫瘍や縦隔組織が胸骨裏面に癒着しており、正中切開法の安全性が高いとはいえない。今回我々はStage3胸腺癌に対する導入放射線療法後の手術においてclamshell切開線に沿って片側のみ開胸を行うsemi-clamshellアプローチを用いた。【症例】60歳、男性。胸腺癌(正岡3期、心膜、左肺浸潤、大動脈弓下リンパ節転移)に対して導入放射線・化学療法後、手術を実施した。仰臥位とし、clamshellの皮膚切開線に準じて左側を切開して第4肋間で左開胸、胸骨は同肋間で横切した。腫瘍を目視しながら胸骨裏面の癒着剥離を行ったうえで開創幅を拡げ、縦隔全体および左胸腔の良好な視野を確保した。胸腺両葉と併せて心膜、左横隔神経、左肺上葉、左肺結節の切除、左側上縦隔リンパ節郭清を行い腫瘍を完全切除した。【考察】Semi-clamshell切開は縦隔・肺門・片側胸腔へのアプローチに優れた安全なアプローチであり、胸腺摘出とともに縦隔リンパ節郭清、片側胸腔内操作を必要とする症例に有効である。

HT-06胸部CTですりガラス陰影を呈した肺扁平上皮癌の2例

1)鳥取大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター、2)鳥取大学医学部附属病院 胸部外科徳留 純平1)、窪内 康晃2)、城所 嘉輝2)、大野 貴志2)、万木 洋平2)、若原  誠2)、三和  健2)、荒木 邦夫2)、谷口 雄司2)、中村 廣繁2)

肺扁平上皮癌はCTで充実性結節として認められることが多く,すりガラス陰影を呈することは極めてまれである.今回我々はすりガラス陰影を呈し,早期肺腺癌と鑑別を要した末梢発生の肺扁平上皮癌の2例を経験したので,病理学的考察を加えて報告する.症例1:60歳代男性.喫煙歴20本/日×20年.CTで右肺S2に経時的に増大する20×10mm大のC/T比0.35のpart solid noduleを指摘された.症例2:80歳代男性.喫煙歴10本/日×65年.CTで右肺S6に経時的に増大する17×15mm大のC/T比0.47のpart solid noduleを指摘された.症例1,2ともに早期肺腺癌を疑い,診断・治療目的に胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した.病理検査ではいずれも腫瘍細胞は充実性小胞巣状で,腫瘍辺縁を中心にlepidic growth様に進展し,腫瘍内には角化や細胞間橋が一部に認められた.免疫染色ではともに扁平上皮癌に特異的なp40陽性,腺癌に特徴的なTTF-1陰性であり,扁平上皮癌と診断された.CTですりガラス状に見えたのは腫瘍辺縁で肺胞腔を残しながらlepidic growth様に進展したためと考えられた.近年,末梢小型肺癌が多く発見されるようになったが,本症例のようにすりガラス陰影を呈する扁平上皮癌があることも念頭に置く必要がある.

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肺癌学会 研修医

HT-07肺多形癌に対してnivolumabを投与中にニューモシスチス肺炎を発症した1例1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 呼吸器・アレルギー内科、3)岡山大学病院 腫瘍センター、4)岡山大学病院 血液・腫瘍内科小柳 太作1)、妹尾  賢2)、狩野 裕久2)、西井 和也2)、秦  雄介2)、渡邉 洋美2)、二宮  崇2)、久保 寿夫3)、大橋 圭明2)、市原 英基2)、佐藤 晃子2)、堀田 勝幸1)、田端 雅弘3)、木浦 勝行2)、谷本 光音4)

【症例】40歳、男性。【主訴】労作時呼吸困難。【現病歴】肺多形癌、Stage IVに対して化学療法中であった。4次治療としてnivolumabを投与されていたが、投与開始後3ヶ月経過した時点で労作時呼吸困難を自覚した。CTを撮像されたところびまん性のすりガラス影を指摘されたため精査加療目的で入院した。nivolumabによる薬剤性肺障害も疑われたが、気管支内視鏡検査を施行されたところ、気管支肺胞洗浄液でpneumocystis jirovecii DNA陽性と判明しニューモシスチス肺炎(PCP)と診断された。ST合剤および副腎皮質ステロイドで加療され、速やかに軽快した。その後nivolumabの再投与が行われたが、再燃なく経過している。【考察】nivolumabはヒト型抗ヒトPD-1抗体であり、肺非小細胞癌に対する治療薬として認可されている。有害事象として間質性肺疾患が知られており、国内臨床試験において5.4%に出現したと報告されている。本症例は間質性肺疾患との鑑別が問題となったが、気管支内視鏡を行うことでPCPと診断可能であった。文献的考察を含め報告する。

HT-08オシメルチニブ投与中に発症したうっ血性心不全の一例

1)岡山大学病院 卒後臨床研修センター、2)岡山大学病院 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科松尾 逸平1)、渡邉 洋美2)、市原 英基2)、狩野 裕久2)、妹尾  賢2)、西井 和也2)、秦  雄介2)、二宮  崇2)、久保 寿夫2)、大橋 圭明2)、佐藤 晃子2)、堀田 勝幸2)、宮原 信明2)、金廣 有彦2)、田端 雅弘2)、谷本 光音2)、木浦 勝行2)

【症例】70歳代、女性.【主訴】労作時呼吸困難・下腿浮腫.【現病歴】2011年に進行肺腺癌(L858R陽性)と診断され,上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬や殺細胞性抗癌剤を含む種々の薬剤により治療を行っていた.2015年1月には,原発巣より再生検を施行しEGFR T790M変異を検出している.2016年4月より5次治療としてオシメルチニブを開始した.オシメルチニブ開始後,第22病日に下腿浮腫,軽度の労作時呼吸困難,経皮的動脈血酸素飽和度の低下(94%,室内気)を認めた.胸部単純写真では心拡大・胸水貯留,血液検査でBNPの上昇(223.6pg/ml),心エコーにて左房拡大を認め心不全と診断した.虚血性心疾患を疑う所見はなく、またその他原因となる被偽薬もなかったためオシメルチニブによる心不全と判断した.入院にてオシメルチニブを中止し,フロセミド20mg内服を開始したところ,速やかに症状の改善を認めた.【考察】オシメルチニブ開始後3週間で発症した心不全の症例を経験した.オシメルチニブによる心不全は,本邦ではこれまでに報告例がなく貴重な症例であると考えられたため文献的考察を含めて報告する.

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肺癌学会 研修医

HT-09肺癌を含む悪性腫瘍患者におけるハイフローセラピー施行例の検討

NHO愛媛医療センター 呼吸器内科吉田  諭、渡邉  彰、中村 行弘、大久保史恵、佐藤 千賀、伊東 亮治、阿部 聖裕

【対象と方法】当院で2012年から2016年4月までにハイフイローセラピー(HFT)を行った11例の肺悪性腫瘍患者についてレトロスペクティブに検討した.【結果】HFT開始時点で緩和ケアの方針であった患者は8例.方針未決定が1例,積極的治療中が2例であった.全例死亡退院しており,入院期間は平均27.2日(2-69日)であった.HFT使用理由は高流量酸素投与が9例,食事摂取が4例,NPPV不耐が2例,排痰困難の改善が1例などであった.HFTの転帰は病状軽快のため終了が2例,そのまま死亡が5例,挿管1例,NPPV併用1例.2例は患者拒否のため短時間で使用を終了した.11例中7例で酸素化の改善や食事可能になるなどの有効性が見られた.使用期間は平均6.0日(1-19日)であった.患者の主観でHFTへの変更が良かったと評価されたのは5例,評価不明が4例,短時間で拒否が2例であった.良かったと評価した5例のうち4例で食事摂取可能であったことが挙げられた.HFT開始時に意思疎通のできない5例のうち3例では,上記効果はみられなかった.【結論】食事希望の患者ではHFTの有効性は高かった.意識障害のある患者での有効性は限られており,HFTの適応は慎重に検討するべきと考えられた.

HT-10高カルシウム血症を伴ったALK融合遺伝子陽性肺癌の1例

総合病院岡山赤十字病院 呼吸器内科木浦 賢彦、中西 将元、別所 昭宏、稲田 崇志、原  尚史、深松 伸明、尾形 佳子、佐久川 亮、細川  忍

【症例】62歳,男性.【主訴】呼吸困難.【現病歴】呼吸困難を主訴に前医を受診し,両肺に多発腫瘤と右胸水貯留を指摘され当院紹介となった.血液検査ではCEAは正常でSCC,CYFRA,NSEの上昇を認めており,好扁平上皮癌や小細胞癌の可能性を念頭に精査を進めた.また補正血清カルシウム値10.8mg/dlと高カルシウム血症を認め,腫瘍随伴性高カルシウム血症を疑い加療を行った.気管支鏡検査などからALK陽性肺腺癌(cT4N3M1a,stageIV)の診断となった.血清PTHrPは正常で,intact PTHが103pg/mlと上昇しており,原発性副甲状腺機能亢進症を疑い99mTc-MIBIシンチグラフィを行ったところ,多発縦隔リンパ節腫大の中に高集積の結節を認め,異所性副甲状腺腫による高カルシウム血症と臨床診断した.現在,肺癌に対してはalectinibが奏効しており,血清カルシウム値も内服ビスホスホネート製剤によってコントロールされている.【考察】腫瘍随伴症候群の1つの高カルシウム血症は肺癌患者の5.7~35%に認められると報告され,肺癌診療において常に念頭に置く必要がある.しかし,本症例のような偶然の併発症の場合もあり,様々な疾患を考慮した鑑別診断が必要と思われたため報告する.

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第55回日本呼吸器学会 中国・四国地方会第55回日本肺癌学会 中国・四国支部会 

プログラム・抄録集

発 行 平成28年6月

編 集 広島大学大学院 分子内科学    〒734-8551 広島県広島市南区霞1-2-3    TEL:082-257-5196 FAX:082-255-7360

印 刷 株式会社メッド    〒701-0114 岡山県倉敷市松島1075-3    TEL:086-463-5344 FAX:086-463-5345