小型ソーラーパネルで 日射量に対応した 自動灌水を実現! -...
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小型ソーラーパネルで 日射量に対応した 自動灌水を実現!
農研機構 近畿中国四国農業研究センター
営農・環境研究領域 主任研究員
渡邊 修一
技術開発の背景
図1 日平均降水量と可能蒸発散能の関係 (広島県福山市のアメダスデータ30年分の平均値より作成)
図2 干ばつの被害を受けた茶園
夏場の水不足による収量・品質の低下 灌漑のための水が少ない
不足
瀬戸内海沿岸の中山間地での野菜栽培が抱える問題
可能
蒸発
散能
・日
平均
降水
量
(mm
/day
)
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従来の灌水方法の問題点 中山間地の露地栽培での
従来の灌水方法
畝間灌水 ホース灌水 散水灌水
スプリンクラー灌水
大量の水を消費・ロスも多い
問題解決のための方法
点滴灌水の導入
節水!
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点滴灌水導入時の問題点 水源
商用電源 大型のポンプ 複雑な制御系
さまざまなセンサ
×立地条件の制約 ×高い導入コスト
立地条件の克服 低コスト化
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解決するために開発した技術
日射制御型拍動灌水装置
新技術の特徴①
• 小型ソーラーパネルと小型ポンプ • 水を地上1.5mの高さに貯留 • 連続的な貯水と配水 • 点滴灌水で圃場に供給 • 10aあたりの導入費用は約20万円 (※費用は圃場規模などにより変動)
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拍動灌水装置のイメージ
ネーミングは・・・ あたかも心臓が血液を
送り出す“拍動”のような動作をするから
水をちょろちょろ
“タンクに貯めて ドバっと流す”
水を貯めては出し、貯めては出しを
“繰り返す”
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左側:養液栽培などで利用する交流ポンプ 右側:拍動灌水装置で使う直流ポンプ
小さいポンプを利用する
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少量ずつ長い時間灌水する 従来の灌水 拍動灌水
点滴孔あたりの灌水量 2L/h 0.2L/h 配管内流量
(※欄外の条件で試算) 5000L/h 500L/h
3mm相当の灌水(3000L/10a) を行うために必要な時間 0.6h 6h
必要なポンプの能力 83L/min以上 8.3L/min以上
10aあたり点滴灌水チューブの総延長 畝長50m×畝本数10本=総延長500m
点滴孔間隔0.2mの場合
500m÷0.2m間隔=点滴孔数2500穴
配管内流量=2500穴×点滴孔あたり灌水量
長さ50m
畝10本
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ソーラーパネルは小さくてもOK!
左側;売電用の太陽光発電システム 右側;拍動灌水装置のソーラーパネル
ポンプが小さいのでパネルは小型で十分 昼間しか稼働しないので蓄電は必要なし
新技術の特徴②
少量多頻度灌水 ⇒貯水と配水の繰り返し 日射に対応した灌水 ⇒灌水量=揚水量∝発電量 液肥灌水 ⇒貯水タンク内に肥料を直接投入
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少量多頻度灌水で根域に水をとどめる
下に浸透
横に浸透
少ない回数で たくさん灌水
複数回に分けて 少しずつ灌水
地表面
根の張っている範囲
もったいない!
水の広がり
従来は制御装置を使って タイマーなどで細かく設定
拍動タンクの貯水・配水の 繰り返しで多頻度に灌水
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高価な制御装置や液肥混入器も不要です
環境センサーと連動した制御装置の例 液肥混入器の例
いずれも施設栽培などでは一般的に用いられている機材ですが、 利用するためには商用電源や一定の水圧が必要。
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日射量に対応した自動灌水が可能
発電量が天気で変化するので灌水量は 晴天日では多く、曇天・雨天では少なく
植物の要求する水量と概ね一致
揚水
量(L
/m
in)
3
6
9
12
0 0 200 400 600 800 1000
日射量(W/m2)
9/25
10/4
9/28
10/1
10/7
10/10
10/13
給・排
液量
(L/日
)
0
150
300
450
日付
0
5
10
15
20
日射
量(M
J/m
2)
日射量と揚水量の関係 一日当たりの給・排液量と日射量の変動
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手軽に液肥灌水ができます
水路から取水
濾過槽
拍動タンク
タンクの内部
肥料が徐々に溶出 →液肥灌水
溶出
した総
窒素
量(g
)
与えたい量の肥料を網袋に入れて タンクの中に沈めるだけ
積算灌漑水量(m3)
タンクに肥効調節型肥料を投入した際の 積算灌漑水量と溶出した総窒素量の関係
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新技術の特徴のまとめ 立地条件の制約を克服 商用電源がない → ソーラーパネルで発電 水源が少ない → 小型ポンプで節水的な点滴灌水
低コスト化 少量多頻度灌水 → タンクの水位変動で管理 灌水量を調節 → ソーラーパネルの発電量で調節
液肥灌水 → タンクに直接肥料を投入
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本発明を活用した適用事例① 露地ピーマン栽培(窒素減肥)
• 窒素肥料30%削減→コスト削減 • 収量20%増加→収入アップ • 水やり・追肥作業→軽労化
N30%減 収量20%増
平均販売額が 43万円/10a UP!
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本発明を活用した適用事例② 露地ナス栽培(リン酸減肥)
• リン酸肥料25%削減→コスト削減 • 収量17%増加→収入アップ • 水やり・追肥作業・収穫作業→軽労化
収量17%増
P2O5 K2O N
粗収益が 41万円/10a UP!
想定される用途
• 農地以外での灌水装置として 家庭菜園、公園、屋上緑化など
• 環境教育教材として 太陽光エネルギー・水資源・植物を学習
• 国際協力技術として 送電設備や水資源の乏しい国や地域
実用化に向けた課題
ソフト面
• 装置のパッケージ化 • 流通・設置・指導など アフターケアの充実
ハード面
• 組み立ての簡易化 • 電磁弁の動作圧 • 濾過システム • 安価な水量計
ALL IN ONE !
企業への期待
• ソフト面の解決。 • ハード面の解決手段を持つ、企業との共同研究を希望。
• 農業分野以外からの参入も期待。
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :間欠式自動潅水装置 • 出願番号 :特許第3787628号 • 出願人 :独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
• 発明者 :吉川 弘恭、中尾 誠司
産学連携の経歴
• 2003年-2005年 農水省・高度化事業で(株)日進機械とあああああああああ共同研究
• 2007年- (有)プティオから「ソーラーパルサー」としてああああああああ市販
• 2007年-2009年 農水省・産学官連携経営革新技術あああああああああああ普及強化促進事業で(有)プティオと連携
お問い合わせ先
農研機構近畿中国四国農業研究センター
研究調整役 船附 秀行
TEL 084-923- 5231
FAX 084-923- 5215
e-mail funazki@affrc.go.jp