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フォーメーションフライト(FF)技術の研究 最終報告書 研究成果のハイライト 成果の社会的意義・価値 成果創出に至る取組・克服状況 「宇宙科学の今後20年を検討する委員会」が宇宙科学ミッ ションとして挙げている「重力波干渉計」「赤外線干渉計」など の実現に不可欠な「編隊飛行」(FF:フォーメーションフライト) 技術を開発するための研究である。 「宇宙科学の今後20年を検討する委員会」が宇宙科 学ミッションとして挙げている「重力波干渉計」「赤外線 干渉計」などの実現に不可欠な「編隊飛行」(FF: フォーメーションフライト)技術を開発するための研究 である。 上記研究成果に関するエビデンス(査読付き論文、学会発表等) 宇宙科学技術連合講演会、深宇宙探査シンポジウム、DECIGOワークショップなどでFF研究にかかる発表を行った。 理学ミッションからFF技術確立に対する期待は強く、理学者と連携して研究を進めている。 共通様式 ISAS事業計 No, 研究代表者(所属) 費用(概算で OK3-2-1(例)事 務局記入 河野 JAXA 1000千円 ・研究目的・GOAL:複数の宇宙機が相互の位置 関係を保って飛行するフォーメーションフライト FF、編隊飛行)技術につき、イプシロン搭載小型 ミッション等による技術実証の提案を目的・GOAL とする。 ・具体的な成果:近年提案されたミッションを含め、 これらの実現に必要なFF技術の研究開発計画を 立案し、技術実証システムを提案可能なレベル まで高める。 ・今年度の研究成果:赤外線干渉計等の実現に 必要なFF技術要求を調査してFF技術研究開発 Roadmapを更新し、その実現性の確認を行った。 FFシステム技術および小型衛星による実証の検 討を行った。 ・次年度以降の研究計画:小型衛星による実証 システムおよびFFシステムの設計の具体化。

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Page 1: フォーメーションフライト(FF)技術の研究 ISAS …...フォーメーションフライト(FF)技術の研究 最終報告書 研究成果のハイライト 成果の社会的意義・価値

フォーメーションフライト(FF)技術の研究最終報告書

研究成果のハイライト

成果の社会的意義・価値 成果創出に至る取組・克服状況

「宇宙科学の今後20年を検討する委員会」が宇宙科学ミッションとして挙げている「重力波干渉計」「赤外線干渉計」などの実現に不可欠な「編隊飛行」(FF:フォーメーションフライト)技術を開発するための研究である。

「宇宙科学の今後20年を検討する委員会」が宇宙科学ミッションとして挙げている「重力波干渉計」「赤外線干渉計」などの実現に不可欠な「編隊飛行」(FF:

フォーメーションフライト)技術を開発するための研究である。

上記研究成果に関するエビデンス(査読付き論文、学会発表等)

宇宙科学技術連合講演会、深宇宙探査シンポジウム、DECIGOワークショップなどでFF研究にかかる発表を行った。理学ミッションからFF技術確立に対する期待は強く、理学者と連携して研究を進めている。

共通様式 ISAS事業計画No,

研究代表者(所属) 費用(概算でもOK)

3-2-1(例)事務局記入

河野 功JAXA

1000千円

・研究目的・GOAL:複数の宇宙機が相互の位置

関係を保って飛行するフォーメーションフライト(FF、編隊飛行)技術につき、イプシロン搭載小型ミッション等による技術実証の提案を目的・GOALとする。

・具体的な成果:近年提案されたミッションを含め、これらの実現に必要なFF技術の研究開発計画を

立案し、技術実証システムを提案可能なレベルまで高める。

・今年度の研究成果:赤外線干渉計等の実現に必要なFF技術要求を調査してFF技術研究開発Roadmapを更新し、その実現性の確認を行った。FFシステム技術および小型衛星による実証の検討を行った。

・次年度以降の研究計画:小型衛星による実証システムおよびFFシステムの設計の具体化。

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平成30年度戦略的開発研究(工学)報告書

研究課題名 フォーメーションフライト(FF)の研究

研究代表者(所属) 河野 功(JAXA第一宇宙部門)

共同研究者(所属)坂井真一郎(JAXA宇宙研)、伊藤琢博(JAXA研開部門)、五十里哲(東京大)常深博、松本浩典、林田清、中嶋 大、松尾太郎(大阪大)安東正樹(東京大)、佐藤修一(法政大)、武者満(電気通信大)

研究協力者(所属) 船木一幸、高島健(宇宙研)、児子健一郎、巳谷真司、松本祐樹(JAXA研開部門)

活動区分 ☑WG □RG □衛星運用

研究活動期間 平成30 (2018)年度 から 平成33 (2021)年度(予定)

平成30年度研究費 1,000(千円) 平成31年度研究費要求額 10,000(千円)(TBD)

平成30年度

研究成果

今年度の研究成果

・重力波望遠鏡や赤外線干渉計等の実現に必要なFF技術要求を調査し、小型衛星による技術実証の実現性を検討し、FF技術研究開発ロードマップを更新した。

・FFシステム技術および制御系の概念検討を行い、各ミッションについてシミュレーションや簡易実験により実現性の確認を行った。

評価ポイント

・評価委員会から「赤外線干渉計等の新たな要求を整理し、研究計画を策定する」事を要求されていたが、赤外線干渉計に加え、X線干渉計なども調査して研究計画に反映した。

・赤外線干渉計につき瞳分光方式を採用する事により、従来考えられていたよりも、FF制御系に対する要求を大幅に緩和できる事を明らかにした。

・重力波望遠鏡や赤外線干渉計につき、小型衛星等によるFF技術実証の検討を行い、実現性確認のためのシミュレータや基礎実験装置の整備を進めた。

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本研究の背景,目的,意義など

(背景) 「宇宙科学の今後20年を検討する委員会」(以下、「宇宙科学20年委員会」と略す)が2040年ごろの宇宙科学ミッションとして「重力波干渉計(望遠鏡)」「赤外線干渉計」を挙げ、そのために必要な技術として、「編成飛行」(編隊飛行、FF:フォーメーションフライト)が挙げられている。(次ページ図参照)

(目的) 本研究は、「宇宙科学20年委員会」が挙げた「重力波干渉計(望遠鏡)」「赤外線干渉計」等に必要な精密FFを実現するためのFF制御システム技術、相対航法センサ等の要素技術を検討し、2020年代に技術実証すべきFF技術の範囲や実現手法を明らかにし、小型衛星等による技術実証計画を明らかにする。

(意義)

宇宙科学20年委員会の報告書にある赤外線干渉計や重力波望遠鏡等の世界先端の理学ミッションを実現可能にする研究である。

本研究のゴール

•2021年度末までに、2020年代に事前実証すべきFF技術の範囲と、小型衛星等によるFF技術実証システムを明確にし、イプシロン搭載小型ミッション等に提案する。

•この2020年代の内に行うFF技術実証実験によりFF技術を確立し、2030年代の実施を目指す世界最先端のFF応用理学ミッション(実ミッション)を技術的に実現可能にする事を最終ゴールとする。

本研究の目的

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「宇宙科学の今後20年の構想を検討する委員会」

2020 2030 2040

4/23

名古屋大・金田先生より 4

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研究計画・方法(開始年度から。資金計画)

平成30年度(2018年度) (研究費: 1,000千円)・研究会経費、旅費 500千円・FF制御システムの研究(JAXA-東京大共同研究):300千円実験費、FF技術調査費・FFによる赤外線干渉計の研究(JAXA-大阪大共同研究):200千円

赤外線干渉計へ応用するための瞳分光の概念設計。(FY30は前置光学系(光束の結合部)の設計を行う。FY31に全体の詳細設計を行う。)

平成31年度(2019年度) (研究費: 10,000 千円(TBD))

FF技術実証ミッションとFF技術実証範囲の選定

FFによる重力波望遠鏡の研究

FFによる赤外線干渉計の研究

FFによるX線干渉計の研究

FF技術実証システムの概念設計

FF制御システムの設計、シミュレーションやクリティカル要素実験によるシステム実現性の確認

平成32年度(2020年度) (研究費: TBD)

平成33年度(2021年度) (研究費: TBD)

研究計画と方法

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研究計画・方法(FY30研究の計画)

FF応用理学ミッションからFF技術への要求の調査・検討とFF技術開発計画策定、ロードマップの改訂

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡、赤外線干渉計、X線干渉計)を持つ理学者との議論により、観測目的

や実現手法、必要となるFF制御精度や実現性等を明確化する。

・2020年代を目途に事前実証するFF技術の範囲などを検討し、FF技術開発計画の見直し検討を行い、FF

技術開発ロードマップの改訂に反映する。

FF制御系の概念検討

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡、赤外線干渉計等)の実現に必要なFF制御系概念検討を行う。

・クリティカル要素のシミュレーションや実験による実現性の確認方法の検討を行う。

FFによる重力波望遠鏡の研究

・FFによる重力波望遠鏡ミッションの実現性の確認を行うため、クリティカル要素であるドラッグフリー制御や

レーザー干渉計につき、シミュレーション解析や実験手法の検討を行う。

FFによる赤外線干渉計の研究

・FFによる赤外線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、その実現性の確認を行うため、シミュレーション

や実験手法の検討を行う。

FFによるX線干渉計の研究

・FFによるX線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、その実現性の確認を行うため、シミュレーションや

実験手法の検討を行う。

研究計画と方法

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研究計画・方法(FY31研究の計画)

FF応用理学ミッションからFF技術への要求の調査・検討とFF技術開発計画策定、ロードマップの改訂・小型衛星等によるFF技術実証衛星のシステム検討を進め、その実現性を勘案して、FF技術開発ロードマップに適宜反映する。

FF制御系の概念検討(精密相対制御)・重力波望遠鏡(B-DECIGO)について、FY30に引き続き、システム概念設計、高精度衛星シミュレータの改良、DF制御則やFF軌道設計の洗練化を進める。加えて、高精度衛星シミュレータと干渉計シミュレータの統合、FF軌道制御則の構築、DF-FF軌道制御の統合を進める。・赤外線干渉計について、相対位置・姿勢制御則の洗練化、民生センサの性能評価を進める。加えて、早期の実現を目指して衛星設計の具体化、詳細化を行う。

FFによる重力波望遠鏡の研究・FFによる重力波望遠鏡ミッションの実現性の確認を行うため、軌道設計、軌道シミュレーションやドラッグフリー制御につきシミュレーションや地上実証、微小推力雑音スラスタの性能評価等を進める。・レーザー干渉計の地上試験や、実験装置の外力雑音の評価を進める。

FFによる赤外線干渉計の研究・超小型衛星2台と小型衛星1台の天体干渉計を想定し、小型衛星のミッション部の光学設計の詳細化を進める。・(科研費により)瞳分光器の試験機を組み上げ、NASAのJWSTのために開発された赤外線検出器と組み合わせて、瞳分光器の性能を評価する

FFによるX線干渉計の研究・FFによるX線干渉計ミッションの実現手法の検討を行う。特に、Free Fryerを含む編隊飛行で実現するX線干渉計ミッション(MIXIM-Z)のための姿勢検出手法の検討を進める。

研究計画と方法

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平成30年度研究成果の概要研究成果

FF応用理学ミッションからFF技術への要求の調査・検討とFF技術開発計画策定、ロードマップの改訂

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡、赤外線干渉計、X線干渉計)を持つ理学者と議論し、ミッション達成に

必要なFF制御精度等の明確化を行った。これらをFF技術開発計画とロードマップの改訂に反映した。

FF制御系の概念検討

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡、赤外線干渉計等)の実現に必要なFF制御系概念検討を行った。

FFによる重力波望遠鏡の研究

・FFによる重力波望遠鏡ミッションの実現性の確認に必要なシミュレーションや実験装置等の検討を行った。

FFによる赤外線干渉計の研究

・FFによる赤外線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、瞳分光方式の実現の目途が得られた。

FFによるX線干渉計の研究

・FFによるX線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、基礎実験により原理確認を行った。

目標の達成状況

FF応用理学ミッションからFF技術への要求の調査・検討とFF技術開発計画策定、ロードマップの改訂

当初計画を達成した。さらに、X線干渉計等の新たなFF応用ミッションをFF技術開発計画に取り込み、ミッション実現性の検討を進めた。特に、赤外線干渉計については、瞳分光方式を採用する事により、これまで考えていたのと比較して宇宙機間の相対制御精度要求を大幅に緩和できる事が明らかになり実現性の目途が得られた。X線干渉計についても原理確認を行った。以上のように、当初計画を上回る成果があった。

来年度以降の研究方針

イプシロン小型ミッションでのFF技術実証を目指し、各理学ミッションにつき必要なFF制御精度とそれを実現する手法の検討、FF制御系の設計を進め、シミュレーションやクリティカル部の実験などで実現性の目途付けを行う。

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平成30年度研究業績(研究発表,特許,表彰など)

以下の学会、シンポジウム等に参加し、 FF研究にかかる講演を行った。【国内学会】10月24日:宇宙科学技術連合講演会(久留米シティプラザ、FF/RVDセッション)・松下,五十里他, “宇宙重力波望遠鏡のためのドラッグフリー・高精度編隊飛行複合技術に関する研究”

・船曳,五十里他, “宇宙機の大規模編隊飛行を実現する相対航法ネットワークの構築”

11月1日~2日:DECIGOワークショップ(名古屋大)・安東, “B-DECIGOの概要”

・河野, “DECIGO ミッション機器による衛星測位システムの高精度軌道推定の研究”

・佐藤, “ドラッグフリー制御の開発”

・松下, “B-DECIGO のための軌道設計及び高精度軌道・姿勢シミュレータの開発”

12月3日:深宇宙探査シンポジウム「編隊飛行がひらく 新たな宇宙探査」・河野, “宇宙最先端ミッションを実現するフォーメーションフライト技術の研究”

・佐藤, “スペース重力波アンテナDECIGO計画”

・松尾, “スペース赤外線天体干渉計”

・五十里, “超小型衛星の今と編隊飛行ミッションの可能性”

光赤天連シンポジウム2018

・五十里, “超小型衛星の世界動向と編隊飛行ミッションへの応用”

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平成30年度研究業績(研究発表,特許,表彰など)

【国際学会】

– Nobuhiro Funabiki, Satoshi Ikari, Ryu Funase, and Shinichi Nakasuka, “Network architecture for UWB-based relative navigation of multiple spacecraft in formation flight”, 29th AAS/AIAA Space Flight Mechanics Meeting, Kanapali, Jan. 2019

– Shuhei Matsushita, Satoshi Ikari, Masaki Ando, and Shinichi Nakasuka, “Orbital design of formation flight to keep relative distance applied to space gravitational wave antenna B-DECIGO”, 27th ISSFD, Melbourne,Feb. 2019

– Masaki Ando, “DECIGO : Gravitational-Wave Observation from Space”, 15th Marcel Grossmann Meeting, Rome, July, 2018

– Kiyoshi Hayashida et al. 2018, SPIE Proc. 10699, id. 1069923 11 pp.

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平成30年度研究成果の詳細非公開希望の有無

FF応用理学ミッションからFF技術への要求の調査・検討とFF技術開発計画策定、ロードマップの改訂

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡、赤外線干渉計、X線干渉計)を持つ理学者と議論し、ミッションの目的や計測原理、ミッション達成に必要なFF制御精度等の明確化を行った。これらをFF技術開発計画とロードマップの改訂に反映した。

FF技術実証の目標レベル

B-DECIGO/

高精度化

実用化さらなる高度化

FF技術開発ロードマップ(FY30見直し版)

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平成30年度研究成果の詳細 非公開希望の有無

FF制御系の概念検討(精密相対制御)

・FF応用理学ミッション(重力波望遠鏡B-DECIGO、赤外線干渉計等)の実現に必要な相対軌道、衛星システム検討、FF制御系概念検討等を行った。レーザー距離計による基礎実験を行った。

• B-DECIGOのシステム概念設計を行った• 高精度軌道・姿勢シミュレータの設計及び一部機能の実装を行った

• H∞制御を用いたDrag Free制御系の設計を行い、シミュレータを用いて性能を検証した

• 観測時間最大化を考慮した軌道設計・解析を行った

設計したB-DECIGO外観図

高精度軌道・姿勢シミュレータ概要

Drag FreeのためのH∞制御設計結果

• 赤外線干渉計技術実証機を、超小型衛星三機(50kg級1機+6U級2機)の構成で実現する案を提案し、現在システム概念設計を行っている(2月末終了予定)

• 上記技術実証機の相対位置・姿勢制御則を設計し、シミュレーションによる性能評価を行った

超小型赤外線干渉計技術実証機イメージ図(仮)

超小型赤外線干渉計高精度相対位置制御結果

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平成30年度研究成果の詳細 非公開希望の有無

FFによる重力波望遠鏡(B-DECIGO)の研究

・FFによる重力波望遠鏡ミッション(B-DECIGO)の実現性の確認のために、以下のシミュレーション解析や実験装置の試作等を行った。❖ ドラッグフリー制御のシミュレーション→干渉計感度の観点から干渉計およびドラッグフリー制御の成立性のシミュレーションに着手した。❖ 軌道設計、シミュレーション→太陽周回、地球周回、L点を候補軌道として軌道設計および評価を行った。❖ 衛星ドラッグフリーの地上実証 (およびそれを補助する機構の開発感度実証)→スラスタを用いた連続推進による衛星想定対象の1次元精密位置制御の実現性を確認した。❖ 微小推力雑音スラスタの開発・性能評価→μN級の雑音密度をもつスラスタの雑音評価のため、スラスタ搭載型のスラスタスタンドの開発改良をすすめ、0.1μN/√Hzを下回るシステム雑音レベルを実現した。❖ 航空機・微小重力下におけるドラッグフリーの動作実証→落下実験を想定したスタンドアロン実験装置の概念設計を行い、測定系の基本的な検証実験を進めた。

❖ 長基線レーザー干渉計の実証のための地上基礎実験→衛星を模擬したプラットフォーム間でレーザー干渉計を構成し、制御系の実証を行う事を目的にした実験装置。プラットフォーム懸架設備の組上げと予備動作確認、光学系の設計と調達を進めた。

❖ 外力雑音の評価→外力雑音評価のためのねじれ振り子装置を開発した。ねじれ振り子の低温化のためのクライオスタット設備の整備と試験を完了した。能動防振装置として1Hzの周波数帯で1/100の防振比を実現した。

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平成30年度研究成果の詳細 非公開希望の有無

FFによる赤外線干渉計の研究

• FFによる赤外線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、高精度分光測光のために提案された瞳分光の天体干渉計の光束結合器への応用が有効であり、FF制御精度の大幅な緩和が可能であることを発見。

- 2光束の干渉に要求される相対角度を大幅に緩和できる。

- 2光束の干渉の相対角度および位相差を計測できる。

• 数値シミュレーションにおいて有用性を検証し、相対角度および位相差を光子ノイズ限界で測定できることを証明(大阪大学大学院修士論文として提出予定)。

• 超小型衛星2台とマイクロサテライト1台の天体干渉計構築に向けた光学設計を行い、母衛星のミッション部に占める体積が50 x 50 x 25 cm以下になることを示した。

左: 1λ/Dの相対角度を入力した時のスペクトルの強度変化(橙線)と解析的に予想されたスペクトルの強度変化(青線)シミュレーション(橙線)と解析解(青線)が一致した事により、正確に位相計測を行う事が可能である事を証明できた。

右: 瞳分光器を天体干渉計の光結合へ応用する際の検出器で取得される像

波長方向

瞳面内の空間方向

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平成30年度研究成果の詳細 非公開希望の有無

FFによるX線干渉計の研究

・FFによるX線干渉計ミッションの実現手法の検討を行い、基礎実験により原理確認を行った。– 多重像X線干渉計(MIXIM)の基礎開発(別予算を使用)

• 2.5ミクロンピクセルサイズの可視光用CMOS検出器を導入し、室温でX線光子検出可能であることを実証。エネルギー分解能[email protected]

•放射光施設SPring8 BL20B2における実験で、サブ秒角の像幅の干渉像を得ることに成功。様々なエネルギー(6-25keV)、入射角度、格子-検出器間距離での応答を測定。X線偏光検出にも成功。

MIXIM 𝑧 𝑑 𝒇 𝜽

S 超小型衛星 0.5m 5 mm 0.2 0.4"

P X線衛星に寄生 10m 22mm 0.2 0.09"

Z 編隊飛行/FreeFryer

12.5m 25mm 0.1 0.04"

100m 70mm 0.1 0.01"

・Free Fryerを含む編隊飛行の計画検討・距離zと格子ピッチdでスケーラブルなミッション計画が可能・格子/検出器ユニットを必要数/可能数だけ搭載することで有効面積もスケーラブル・像幅qより小さい角度で姿勢検出が必要である事が技術課題

ALMAに匹敵!

𝑑=9.6mm,𝑧=184cm

0.3"

X線ビーム格子

CMOS検出器(2.5mmピクセル)

Pitch d=4.8mm or 9.6mmOpen frac f=0.2

距離 𝑧

𝑑=4.8mm,𝑧=46cm

0.6"

サブ秒角の撮像に成功微小ピクセルを生かしX線偏光測定にも成功

多重像X線干渉計MIXIM基礎実験@SPring8

スケーラブルなミッション形態の検討