デジタル化 の実現 - rockwell automation...automation today asia pacifi c november 2017,...

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ASIA PACIFIC Japan 主な内容 接続された インテリジェンスに よる事業の活性化 ダウンタイムの 削減、 品質の向上 コネクテッドデジタル 油田で活用される 最先端の生産方式 セキュアな産業ネット ワーク構築のための 5つの手順 November 2017 Issue 54 コネクテッドエンター プライズの構築 : デジタル化 の実現

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Page 1: デジタル化 の実現 - Rockwell Automation...Automation Today Asia Pacifi c November 2017, Issue 54 This magazine is published 4 times a year by ROCKWELL AUTOMATION Inc. for Asia

ASIA PACIFICJapan

主な内容接続されたインテリジェンスによる事業の活性化

ダウンタイムの削減、品質の向上

コネクテッドデジタル油田で活用される最先端の生産方式

セキュアな産業ネットワーク構築のための5つの手順

November 2017 Issue 54

コネクテッドエンタープライズの構築:

デジタル化の実現

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目次

Copyright© 2017 Rockwell Automation Inc. All rights reserved.ロックウェル・オートメーションの許可なく本書の一部または全部を複製することを禁じます。

Allen-Bradley, Automation Fair, Automation Today Asia Pacifi c, AutoSuite, CompactLogix, ConnectedProduction, ControlLogix, Guardmaster, FactoryTalk, LISTEN. THINK. SOLVE., Logix Designer, OptiLife, PharmaSuite, PlantPAx, ProductionCentre, PowerFlex, Rockwell Automation, Studio 5000, TechConnect, ThinManager, VantagePointは、Rockwell Automation, Inc.の商標です。

EtherNet/IPは、ODVA, Inc.の商標です。

Rockwell Automationに属していない商標は、すべてそれぞれの企業に所有されています。

ニュース & イベントコネクテッドエンタープライズの実現でのハイライト

特集記事 –

コネクテッドエンタープライズの構築:

デジタル化の実現デジタル化を活用するには、製造メーカにはビジネスモデルの刷新、スマートなパートナシップの構築、および投資対象の明確化が必要

ケーススタディ接続されたインテリジェンスによる事業の活性化: ダウンタイムの削減、品質の向上

技術に関する記事コネクテッドデジタル油田で活用される最先端の生産方式

アプリケーション記事セキュアな産業ネットワーク構築のための5つの手順

注目の製品 &

ソリューションコネクテッドエンタープライズを構築するための技術とソリューションの導入

2 ASIA PACIFIC

ジョセフ・スーサロックウェル・オートメーション アジア太平洋地域社長

Automation Today Asia Pacifi c November 2017, Issue 54

This magazine is published 4 times a year byROCKWELL AUTOMATION Inc. for Asia Pacifi c

Executive Publisher: John Watts – [email protected]

Managing Publisher: Sandra Lay Yan Sim – [email protected]

本誌の発行者

ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社〒104-0033 東京都中央区新川1-3-17 新川三幸ビルお問い合わせ先: [email protected]

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EXECUTIVE MESSAGE

購読/購読解除のお申し込みはwww.rockwellautomation.com/ja_JP/go/ATAP

よりスマートに、よりコネクテッドに

現在においても、多くの製造プラントにおける接続レベルは、決して高いとは言えません。多くのプラントに、接続から取り残されたオートメーションの「島々」や、オペレータの目による監視が必要

なさまざまなシステムやネットワークプロトコル、旧式のPCやサーバが存在しています。これらをすべて簡略化し、柔軟なイーサネット技術に基づいた統合ネットワーク構造に組み込むことが、当社の戦略の主たるバックボーンです。

私たちは、企業が長い期間に渡って発展し、商業的な成功を収めるためには、最新の傾向に対応すること、消費者の心理を把握すること、新興市場を理解すること、そして人材や技術を有効に活用することが必要だと考えています。

11月に開催された第26回Automation Fair®では、機械装置メーカ(OEM)各社がモノのインターネット(IoT)に拡張可能な、ロックウェル・オートメーションが提供するさまざまなレベルの技術が公開されました。このイベントの最大のテーマは、遍在するデータを意味のない生データと見なすのではなく、ユーザエクスペリエンスに寄与し、プロセスの向上や生産の効率化につながるよう分析し、活用することです。イベントで紹介され、デモが行なわれた技術によって、IoTが価値を付加する新しい方法を提供して生産性を向上させるということだけでなく、当社はいつでもお客様がIIoTの可能性を解き放つ手助けができるということを世界に知らしめました。

当社はパートナやお客様のコネクテッドエンタープライズの実現を支援するソリューションを次々に開発するとともに、コネクテッドエンタープライズの資産が生み出すデータを活用するコネクテッドサービスや製品群を構築し、洞察という形でデータをお客様に再提供しています。

今回の「Automation Today Asia Pacifi c」をお読みになって、ロックウェル・オートメーションがコネクテッドエンタープライズを実現する製品によって革新と専門知識をどのように結び付け、ユーザの競争力と収益性の向上を図っているかをご覧ください。

硬直した企業価値、旧式のシステム、部署間の連携に乏しい自己中心的な業務、デジタル技能の不足にとらわれる時代は終わりました。今や、グローバルな企業が率先して、将来の確固たる地位を築くべく包括的でカスタマイズされたデジタルトランスフォーメーションに投資する時代です。

果てしない旅路ですが、ロックウェル・オートメーションは立ち止まりません。お客様が課題を認識して克服できるようお手伝いし、真のコネクテッドエンタープライズの実現に向けてお客様が今できることを明確にすることが当社の目標です。

来年がよりスマートで生産的な年になることを期待しつつ、皆様が良い年を迎えられますことをお祈りしております。

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当社のデジタル油田ソリューションについては、以下のサイトをご覧ください。www.rockwellautomation.com/ja_JP/industries/oil-gas/overview.page

で、デジタル油田を最適化

生産データを実用的な知識に変換するセキュアな経路の導入

評価 | 実装 データ収集 & 集約分析 & 推論 | 最適化

どこから始めますか?

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アジア太平洋地域のイベント

ニュース & イベント

グローバルイベント

12月5日から7日にかけてアメリカ合衆国ラスベガスで開催されたPOWER-GEN国際会議および展示会において、ロックウェル・オートメーションは生産

データを運用可能にし、オペレータの業務効率を向上させる最新の分散制御システム(DCS)の展示やデモを行ないました。

ロックウェル・オートメーションのブースでは、各国の業界の専門家に向けてより迅速でより良い意思決定を可能にするリアルタイムの生産情報を取得する方法について説明しました。また、電力生産者がデジタルトランスフォーメーションの過程で直面する運用に関するニー

ズや技術不足を解決するための当社のさまざまなトレーニングやサポートサービスについても展示しました。

ロックウェル・オートメーションの社長兼CEOであるブレイク・モレットは、「コンバージェンスとコラボレーション」の基調講演において次のように語りました「インフラの老朽化や人材のスキルギャップ、そしてセキュリティに関する問題に取り組んでいるお客様がいらっしゃいます。これらの問題を解決するための、真に接続された発電所の実現を支援する標準化された最新の制御システム、IIoTテクノロジ、および産業パートナを活用することで、当社はお客様の業務を大きく改善してきました。これらを活用されるお客様は、最適化されたサステナブルなリアルタイム製造環境という恩恵を受けています。」

11月28日から30日にかけて、ドイツのニュルンベルクで開催されたSPS IPC Drives 2017において、ロックウェル・オートメーションが製造メーカや機械

メーカのデジタルトランスフォーメーションの実現をどのように支援するかについて70,000人を超える来場者に紹介しました。

ロックウェル・オートメーションは、製造メーカが抱える大きな課題の1つが、生産能力や作業員の安全性、そしてデータのセキュリティを損なうことなくコネクテッドテクノロジを導入するかであることを認識していま

す。このイベントにおいて、当社は高度な接続と専門知識の有効活用を可能にする、インダストリ4.0に向けたステージごとにカスタマイズされたリモートモ

ニタやクラウドベースの生産ライン分析などの技術を展示しました。来場者は、これらのソリューションに特化したさまざまなデモやポッドを体験しました。また、質疑応答形式のコネクテッドエンタープライズのワークショップでは、インダストリ4.0へのロードマップの提案やサポートを必要とする分野の確認が行なわれました。

発電分野におけるデジタルトランスフォーメーション

デジタル化活用のガイダンス

9月20日から22日にかけて中国の上海で開催されたRubberTech Chinaにおいて、ロックウェル・オートメーションは、いかにして機械装置メーカ(OEM)の

効率と安全性を改善しつつ、コストと生産時間を削減するかについてデモを行ないました。

当社はこのイベントで、製造実行システム(MES)であるAutoSuite™やThinManager®ソフトウェアソリューションなどの高度な技術を披露し、オートメーションの機械装置メーカに対してスマートマニュファクチュアリングやスマートマシンの大きな可能性を紹介しました。

11月6日から8日にかけて中国の長沙市で開催された第54回(2017年秋)中国国際製薬機械博覧会において、ロックウェル・オートメーションは「メイド・イン・チャイナ2025」のタスク遂行を支援し、ライフサイエンス産業の発展を促進するための統合ソリューションおよび専門技術を展示しました。ロックウェル・オートメーションの技術専門家が、ス

マートマシン、PharmaSuite® MESや関連する安全ソリューションを含むソフトウェアソリューションの機能について、医薬品メーカ向けに説明を行ないました。

また、11月7日に上海で開催された中国国際工業博覧会(CIIF)において、ロックウェル・オートメーションはSHANGHAI-FANUC Robotics (上海ファナックロボット有限公司)と共同で、スマートマニュファクチュアリングを実現するスケーラブルなMESプラットフォームを紹介しました。

「Information-Driven Future Smart Factory」の閉会式で、ロックウェル・オートメーション 中国の販売担当役員であるデニス・タンがFactoryTalk® ProductionCentre®プラットフォームを活用したカスタマイズソリューションのワークフローをデモンストレーションしました。オートメーションと情報技術を組み合わせることで、生産ライン上のスマートマシンと機器によって製造メーカの生産能力や品質が向上するだけでなく、資産およびエネルギー管理を円滑に行なうことが可能になります。

スマートマシンとスマート機器を展示

RubberTech China 2017, 中国国際工業博覧会2017

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ニュース & イベント

業界最高レベルの安全を実現している企業を表彰するこの賞

で、ロックウェル・オートメーションは自動車製造メーカのホンダ・オブ・カナダ・マニュファクチュアリング社と、英国の機器製造企業であるA.M.Pローズ社に第5回Annual Manufacturing Safety

Excellence (年間製造安全優秀)賞を授与することを発表しました。

ホンダ・オブ・カナダ・マニュファクチュアリング社には、オンタリオ州アリストンの事業所に対してその優れた安全プログラムを称える企業部門レベル優秀賞が授与されました。ホンダ技研工業は企業全体に安全に関する意識を浸透させており、カナダ事業部では安全を事業価値の中核とする取組みを続けています。こちらの工場では企業文化、コンプライアンスプロセス、および技術を改革することで安全を高める努力しており、各部署の代表が参加する装置安全委員会が設置されています。

A.M.Pローズ社には、安全に対する企業全体の取組みを称える企業レベル優秀賞が授与されました。同社は、既存の機械に最新の安全ソリューションを適用する予防的アプローチを採用することで、お客様の安全と生産性の両方を向上させています。安全ライフサイクル全体で安全の専門家がエンジニアリングスタッフと連携し、リスクアセスメントの実施や新しい安全ソリューションの設計を行なっています。チーム間の風通しの良い連携によって、安全システムの起こりうる誤用を特定し、削減することができ、安全システム設計の継続的な改善や向上につながっています。

製造安全優秀賞は、安全に関する確固たる文化の構築、洗練されたコンプライアンス手順の確立、最新の安全防御およびオートメーション技術の効果的な使用によって作業環境の安全性向上に配慮する企業に授与されます。

ロックウェル・オートメーションは医療用大麻の生産・販売企業であるマリカン・グループと共同で、マリカン社の栽培施設の主要な機能に接続し、高い歩留まりを

継続的に実現するための工場全体にわたって接続されたスケーラブルなプラットフォームを開発しました。

マリカン社のインフラ責任者であるジェフ・アヨッテ氏は次のように語っています。「オートメーションにより、人間工学的に困難で多くの労働力を必要とする業務を、より高いスキルセットを持つ技術的に優れたオペレータに転換することが可能になります。これにより、人員を削減して高い給与を払うことができ、農業経営における障壁を是正することができます。」

マ リ カ ン 社 は 、FactoryTalk™ソフトウェア、ロックウェル・オートメーションのLogix

ハードウェア、およびEtherNet/IP™ネットワーク接続を活用し、プロセス制御機能間の通信、オートメーションの構築、マテリアルハンドリングを合理化しています。この接続されたスケーラブルなシステムが、プロセスオートメーション、環境モニタおよび建造物管理に対応した単一の統合された工場全体にわたるプラットフォームを提供します。さらに、マリカン社はFactoryTalkエネルギーマトリクスを使用することですべての照明、ファン、およびその他の環境条件を制御して二酸化炭素排出量を最適化し、90%以上のエネルギー効率性を達成しています。

ロックウェル・オートメーションの北米販売、サービスおよびソリューション責任者であるテッサ・マイヤーズは、次のように語っています。「これは、当社が医療用大麻業界で行なった初めての大規模統合です。この事業は、ライフサイエンスと医療用大麻という類似の産業間で当社の専門知識を活用できることを証明する、重要な成功事例です。当社はマリカン社の資産活用、市場投入に要する時間の短縮、およびコスト削減を支援しています。」

エンカナ社は北米の大手エネルギー生産者で、カナダのモントニー地域に建設する3つの新しいガス処理施設のメイン・オートメーション・コントラク

タ(MAC)としてロックウェル・オートメーションを選定しました。ロックウェル・オートメーションは、これら3つの施設の

設計、プログラミング、立上げ、およびスタートアップの各ステップを総合的に管理することで、プロセスオートメーションやインテリジェントなパワー制御を含むプラント全体の制御ソリューションを配備しました。エンカナ社の3つの施設のうち2つは予算内かつ納期を前倒しにして完成し、もう1つも年内のスタートアップを予定しています。

ロックウェル・オートメーションのMACおよびMEC事業グローバルエンジニアリング部長であるジョー・クインは次のように語っています。「ロックウェル・オートメーションは当社の定評のある方法論、産業の専門知識、オートメーション技術、およびグローバルに調整可能な装置サプライヤを組み合わせ、お客様の統合事業に際してプラントがフル稼働するまでのコスト、リスクおよび時間を削減するべく、MACとメイン電気設備コントラクタ(MEC)として世界中で活躍しています。当社はこの方法論とプロセスをもってエンカナ・カットバンク・リッジ・プログラムに取り組み、2つのガス処理施設を納期前に予算内で完成させることができました。」

2017年製造安全優秀賞の受賞企業の発表

医療関連企業がコネクテッドエンタープライズのソリューションを採用

定評ある強力なMAC事業者として

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猛烈な速度で発展する産業分野では、スマートマニュファクチャリング生産の実現に向けて運用技術と情報技術の役割が非常に重要になっています。実際に、デ

ジタルトランスフォーメーションによって生産における成功とは何かを再定義する機会が生まれ、製造メーカの基本的な業務が変わりつつあります。また、デジタルトランスフォーメーションはバリューチェーン全体を対象としたソリューションの設計、およびその適用も可能にします。

つまり、デジタルトランスフォーメーションは製造メーカが無視することのできない傾向なのです。

デジタル化によって、企業は工場フロアから役員会議室に至るまで、製造工程全体を通して資産、生産、および作業員の状況を把握することが可能になります。適切な場所の適切な人物や装置に、適切なタイミングで情報を提供できるようになり、生産効率、品質、収益性が向上します。

接続のすすめ多くのエンドユーザが情報の島々を取り入れて生産やサ

プライチェーンの最適化を試みる場合には、よりスマートな機械を提供する機械装置メーカ(OEM)パートナが必要となります。

そのため、機械装置メーカにはこれらのエンドユーザの目的を理解し、それに対応することが求められます。企業、プラント、そしてサプライチェーンのパフォーマンスを改善するには、運用データ、業務データ、およびトランザクションデータにアクセスして、それを利用する機械がよりスマートでなければなりません。これには、データをより効果的に活用し、エンドユーザがそのデータに基づいてインテリジェントな決断を下すことができる技術を使用したスマートマシンを作り上げる必要があります。

機械装置メーカには、コスト競争力を維持するという命題も課せられています。機械装置メーカが直面する課題は、地域特性やお客様の要求によって変化します。機械装置メーカが競争力を維持するためには自分たちの土俵を越えて、コストや市場導入期間を削減し、競合企業に先んずるより革新的で戦略的な方法を検討する必要があります。

コネクテッドエンタープライズの構築:

デジタル化の実現 製造メーカがデジタル化の利点をいかすには、ビジネスモデルの刷新、スマートなパートナシップの構築、および投資対象の明確化が必要となります。

特集記事

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もちろん、ギャップを埋めるためにデータにアクセスできるようにするのは、言うは易し行なうは難しです。そこで登場するがコネクテッドエンタープライズです。

コネクテッドエンタープライズへの移行何百から何千マイルも距離のある企業全体を、

人、プロセス、および技術をシームレスに接続する最新のインフラは、コネクテッドエンタープライズと呼ばれています。コネクテッドエンタープライズには、ビッグデータや分析のみならず、オープン規格のモノのインターネット(IoT)機器、モビリティ、仮想化、そしてクラウドコンピューティングなどの先進技術も組み込まれています。

さらに重要なのは、これによってオペレーションを改善し変革する無限の機会が生み出されるという事実です。コネクテッドエンタープライズ

は、現在の産業が必要としている以下のような機会を提供します。

• 企業は収集した貴重な資産データを状況に沿ったすぐに使用できる情報に変えることで、従業員に重要な運用情報を提供し、機器のパフォーマンスの最適化を支援します。

• 機器データをより迅速な問題解決や予知保全戦略の策定、作業員の行動の分析に使用でき、これらすべてがダウンタイムの削減につながります。

• リモートアクセス技術を使用して、中央から遠隔地のワークステーションや設備をすべてモニタできます。これにより、システムを手作業でチェックするために作業員を派遣する際の安全リスクやコストを削減できます。

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これらの機会は、机上の空論ではありません。実際に急成長を遂げている企業が存在しています。これらの企業では、プラント機器に搭載されたスマートデバイスからデータを収集してオペレーションを監視し、より高品質でより速い生産速度、かつより少ないエネルギー消費を実現しています。また、重要な資産のデジタルツインを作成し、プロセスを仮想的にモデル化することで、設計やスタートアップから運用やメンテナンスに至るまでオペレーションをサポートするソリューションを積極的に開発しています。

企業によっては、リアルタイムの洞察を経営者に提供し、最大限の収益性を実現するための資産の最適化や、プラントのポートフォリオの戦略的な再編成に活用しています。

産業用イーサネットの接続性石油やガスなどの市場の変動が激しい産業では、エネルギー企業

が製造環境全体に渡ってさらなる効率性を達成するための新しい方法を模索し続けています。

そのような状況においても、トップ企業は産業用イーサネット接続や高度な分析ソフトウェアによって、資産データの価値を十分に活用し、ハイパフォーマンスな石油生産を加速しています。

コネクテッドエンタープライズの実現が、必要不可欠な事業となりつつあります。オートメーション、通信、および情報技術のコンバージェンス(収束)からの恩恵が増えるため、石油&ガス会社は油田、パイプライン、精製施設のデジタル化を進めています。ワイヤレス技術、視覚化ソフトウェア、およびその他の先進技術により、企業はリアルタイムで資産にアクセスしてモニタすることができ、いつでもどこからでもまったく異なる油田データを統合してすぐに使用できる情報として活用できます。

ゲームチェンジャーエネルギー分野が技術革新の活用において他の産業に後れを取り

がちだとはいえ、この分野のデータおよび分析の可能性はより多くの企業の参画に伴い、日々増大しています。

ロックウェル・オートメーションの検証済み参照アーキテクチャは、エンジニアリングや油田ソリューションの提供を促進するため、企業は最初の石油をより早く採取できます。ロックウェル・オートメーションは、現在の生産状況を分析してオペレーションの最適化の方法をリアルタイムで決定する製造実行システム(MES)ソフトウェアの石油&ガス企業への導入を支援します。

これらのベストプラクティスや定評のある繰返し可能なソリューションを使用することで、下流、中流、および上流のオペレーションはオープン規格のIoT機器、ビッグデータや分析、仮想化やモビリティ、クラウドコンピューティングなどの先進技術を活用して、コネクテッドエンタープライズを促進できます。

IoTで可能になった最も重要な進歩の1つとして、プラント全体にわたって複数の資産から重要な運用情報を抽出することが可能で、センサ、ハードウェアやハードウェア、そしてワイヤレス接続をシームレスに統合するデジタル・リモート・モニタが挙げられます。

石油&ガスの事業者だけでなく、他の分野の製造メーカもこの情報を使用して、現在や過去の動作状態を継続的にモニタする、あらゆ

1評価セキュアで連携の取れたオペレーションの青写真を作成

2保護およびアップグレードIT/OTネットワークおよび制御を、情報処理可能な最新技術にセキュアに更新

3運用データ資本データの定義と整理によって、パフォーマンスを左右する情報を提供し、より良いリアルタイムな意思決定を実現

4分析情報を、コスト削減、生産性向上、および顧客満足度改善につながる運用上のメリットに変換

5最適化およびコラボレーション予測機能を活用し、外部イベントや変化する市場条件により早く対応

コネクテッドエンタープライズの5ステージ

特集記事

8 ASIA PACIFIC

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る潜在的な問題をトラブルシューティングする、そして早期にプロセスを調整して稼働時間を伸ばすことが可能です。これらのいずれの操作も、実際の場所から何千キロも離れたワークステーションから離れることなく実行できます。

企業の成功これは序章にしか過ぎず、可能性は無限大で

す。より多くの企業がデータ活用の方法を模索し、コネクテッドエンタープライズの実現を選ぶようになると、その過程で企業が下す決定が長期の事業利益を実現するために重要になります。

デジタルトランスフォーメーションは、オペレーションと企業情報グループを一元化します。トップ企業は既に、生産性を改善してグローバルな

競争力を維持するためのデジタルトランスフォーメーションを開始しています。これらの企業は製造資産が内包する価値を引出し、向上した収益を株主に還元しています。

ロックウェル・オートメーションはコネクテッドエンタープライズへの変革を自ら経験し、エンドユーザが抱える課題だけでなく、エンドユーザにサービスを提供する機械装置メーカの機会も理解しています。

ロックウェル・オートメーションの産業に関する専門知識、技術、パートナがエンドユーザのコネクテッドエンタープライズを実現するために接続され、規格に準拠した競争力のある機械製造を行なうために機械装置メーカを支援します。

スケーラブルな実行で、ワークフローを確実に順守、連携、追跡します。品質やパフォーマンス向上のための特定のアプリケーションから、産業に特化したアプリケーションスイートや、総合的なMES (製造実行システム)まで対応可能です。

コラボレーションおよび設計ツールによって知識のシームレスな収集と共有が実現でき、チームのより効果的な意思決定が可能になります。これらのツールはパフォーマンス向上に役立つ、事故やデバイス情報、アラーム、トレンド、場所、および他の情報の共有や検討に使用できます。

スケーラブルな分析によって、データから価値をより早く、より簡単に漸次的に抽出することが可能です。スケーラブルな分析では、さまざまな新しい機器やエッジデバイス、および施設内外のクラウドプラットフォームに関する、ソースや消費者に最も近い情報を計算し、提供します。

コネクテッドサービスは、社内チームのトレーニングや補完を可能にします。スマート・マニュファクチュアリング・システムの設計から実装や最適化に至るまで、改善に向けた継続的な取組みにおいて、このサービスのラインナップは生産データを最大限に活用します。

コネクテッドエンタープライズの価値を引き出すデジタルトランスフォーメーションにより、企業はコネクテッドエンタープライズと、新しい価値をお客様に提供する新しい方法と、新しい収入源を手に入れることができます。消費者向けのビジネスでも、企業間取引においても、コネクテッド製品やサービスの機会は様相を変えています。例えば、企業によっては単に製品を販売するだけでなく、「サービスとしての機器」を提供しています。

製造企業は、このような新しいソリューションの計画、導入、およびサポートに関して支援を必要としています。ロックウェル・オートメーションは、以下のような分野で支援が可能です。

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ケース スタディ

接続されたインテリジェンスによる事業の活性化

機械装置メーカは、資産活用とコスト削減を可能にする革新的なクラウドアプローチを使用したビジネスモデルへの転換を図っています。

M.G.ブライアン社は米国テキサス州のグランドプレーリーを拠点とする重機および機械装置メー

カ(OEM)で、25年以上にわたってエンドユーザの生産要求を満たし続けています。同社は、エンジン、発電機、産業用ポンプユニット、油田向けサービス機器、および危険区域用パワーパックを世界中に供給しています。

石油&ガス業界においては、生産は資源を絶えず追い求める必要があり、中断は許されません。破砕車両のコストは100万ドル以上にも達します。過酷で孤立した環境でオペレーションが行なわれ、多くの消費部材を使用します。また、一般的に200時間ごとにオイルフィルタを新品に交換し、4,000~5,000稼働時間ごとにエンジンを完全に組み直す必要があります。生産者はコストを削減し、リースまたは購入した機器が投資に見合うようにROIを向上させる方法を常に模索しています。

M.G.ブライアン社はお客様がROIを最大限にいかせるように、コスト効率よくパフォーマンスを監視し、お客様が資産の稼働時間を最大化できるよう機器の動作状況をリアルタイムで把握する必要がありました。

クラウドベースのソリューションM.G.ブライアン社は、ロックウェル・

オートメーションのコネクテッドサービスの1つである戦略的な資産パフォーマンス管理(APM)ソリューションを採用し、Microsoft Azure™クラウド・コンピューティング・プラットフォームとリアルタイム情報にセキュアにリモートアクセスするためのFactoryTalk®ソフトウェアスイートを組み合わせた破砕車両用の新しい制御および情報システムを開発しています。

各車両の制御システムは、A l l e n -

Bradley®のCompactLogix™プログラマブル・オートメーション・コントロー

ラが活用されています。Factor yTalk®

VantagePoint®ソフトウェアのクラウドベースのバージョンは、制御システムデータを収集し、車両パフォーマンスの総合的かつ状況に応じたステータスを表示します。

新しい緊密に統合された制御および情報システムは、履歴データ、関連データ、およびトランザクションデータを含む重要な情報ソースを集約します。M.G.ブライアン社やお客様がデータセンターを独自に構築または管理しなくともこのリッチデータをフル活用で

きるよう、ロックウェル・オートメーションはクラウドコンピューティングを使用しました。M.G.ブライアン社は、モバイル技術やクラウド上でのビジネス情報のセキュアかつシームレスな転送を使用し、より高度な接続されたインテリジェンスを実現します。

かつてないレベルのカスタマサービス

M.G.ブライアン社のエンジニアリングディレクタであるジョッシュ・ラバドー氏は次のように語っています。「今ではモバイルデバイスやWebブラウザを介してクラウドからデータを取得し、個々の車両のドライブトレインの状態や破砕性能だけでなく、車両全体に関連するプロセス性能やメンテナンス傾向に関するレポートやダッシュボードを作成しています。クラウドコンピューティングの柔軟性と拡張性により、当社の増え続ける車両の運用を包括的に管理できるようになります。」

リモート資産データがセキュアかつ瞬時に視覚化できるため、M.G.ブライアン社のお客様は稼働時間と生産性が向上しています。例えば、M.G.ブライアン社はリースしていた車両のエンジンがサージして危険だというクレームを受けました。M.G.ブライアン社の作業員は、該当車両から送信されるデータに即座にログインして確認し、お客様にタンクをチェックして意図せず閉じたままとなっていたバルブを開けるよう指示することができました。この件は10分ほどで解決しました。そのお客様は即座に行動し、交換部品代としての

60,000ドルの出費、160キロの出張、作業員のケガ、生産時間の損失を未然に防ぎました。

さらに、APMソリューションの導入により、プロジェクトリスクや生産コストを削減しつつ、破砕車両の時間当たりの価値を向上させるという新しいビジネスモデルが実現しました。ラバドー氏は言います。「当社では、この情報をお客様へのパフォーマンス通知や予知保全にも活用できないか検討しています。今では、当社のポンプやその他のコンポーネントが耐久性に優れていることを示すハードデータを生成できるようになりました。そのハードデータは、保証の履行に使用できます。お客様には、エアフィルタの交換時期やエンジンの組み直しの時期を通知できます。その可能性は無限に広がっているように思えます。」

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ケース スタディ

ダウンタイムの削減、品質の向上テクニカルサポートがプラントのパフォーマンスを最適化し、

危機回避のベストプラクティスを実施あるチーズ工場でプロセス制御システムをロックウェル・オートメーションのFactoryTalk® Batch

にアップグレードした際に、従業員が新システムを理解できていないことに気づきました。この企業は制御システムの専門知識を持った技術者を雇い、更新したバッチアプリケーションをメンテナンスするためのバッチに関する知識を得ましたが、プラント責任者は製品の品質や在庫にばらつきがあり、収益の減少を招いていることに気づきました。

終業後に停電が起こり、プロセスラインが停止するという事象が発生したため、この工場はロックウェル・オートメーションのテクニカルサポートに連絡し、年中無休の24時間体制のTechConnect

SMアプリケーションサポート契約を結びました。

優れたサポート力担当のテクニカル・サポート・チーム

は、工場のアプリケーションをサポートするためにその生産システムを深く理解し、知識のギャップを埋めるために必要な専門知識を提供しました。

サポートチームはシステムにリモートでアクセスし、SQLサーバのハードドライブの空き容量がなくなっていることを確認したため、すぐにハードドライブの容量を空けて一時的に動作を復旧させました。翌日、根本的な原因を分析したところ、SQLサーバのデータベースの自動バックアップが失敗していたために、ハードドライブの空き容量がまったくなくなってしまうことが明らかになりました。サポートチームは、バックアップが失敗した場合でもハードドライブの空き容量がなくなることがないような、データベースの管理方法を策定しました。

これとは別に、動作シーケンスを手作業で変更したことで、主に2番目

と3番目のシフト中によく停電が発生していました。テクニカルサポートによる調査によって、Allen-Bradley®のControlLogix®プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)のコード修正が必要であることが判明しました。この事象が再発しないように、ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のセキュリティ設定も変更され、2番目と3番目のシフト中の停電は減少しました。

診断および処置製品の品質や、投入される原材料と

生産される製品とでの原料在庫の相違の問題を解決するため、工場側とサポートチームが共同でバッチプロセス全体を見直しました。

ロックウェル・オートメーションのエンジニアは、プログラミングコードを新しく実装し、工場のプロセスの複数の工程で重量測定が不正確であることを検出しました。この結果を受けて、当社のエンジニアは原料の計測を正確かつ安定して行なうために、不良な計測ユニットの交換とより頻繁なキャリブレーションの実施を推奨しました。これによって製品の品質と工場の在庫追跡・管理能力が向上し、月間80,000ドル以上の損失を防ぎました。

この工場では在庫の相違をさらに改善するグローバルイニシアチブとして、在庫追跡システムをSAPに移行することを決定しました。移行に先立ち、アプリケーションの改修が必要で

した。ロックウェル・オートメーションは信頼できるパートナとして、SAP

とプラントのプロセスコントローラとの通信を可能にするプログラミングコードを設計し、移行中のダウンタイムを防止しました。

さらに、当社のエンジニアは工場の社内エンジニアたちを継続的にトレーニングすることで、人材の強化を支援しています。知識管理オプションにより、社内エンジニアたちは簡単にソリューションマニュアルを入手して、問題処理能力を高めることができます。プラントのオンサイト機器に関するソリューションの詳細を確認できることで、定期的に発生する問題の特定と解決が簡単に行なうことができ、効率も向上します。

ご満足いただける結果TechConnect契約の下に結ばれたパ

ートナシップによって、このチーズ工場では従業員の知識が向上し、より革新的なバッチシステムへの移行に成功しました。プロフェッショナルなサポートにより、この工場の製品品質や在庫管理といったプロセスが全体的に改善されました。

アプリケーション・サポート・エンジニアの専門知識を最大限に活用することで、この工場はバッチシステムのメンテナンス費用を年間200,000ドル削減できました。

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技術に関する記事

この10年間、デジタル化された油田では安全性の向上とオペレーションの最適化が期待されて

きました。現在では、油井、コンプレッサ、ポンプステーション、そして精製施設に設置されたモノのインターネット(IoT)の要素であるスマートデバイスが、大量の運用情報を生み出し続けています。しかし、このデータを有効活用できるかどうかは別の話です。石油&ガス企業は、資産管理の分野

では他の産業に後れを取ってきました。これは、接続されない機器、独自のネットワーク、およびベンダーごとのデータベースといった異種ソースのデータを効率的に収集、集積、共有、処理する能力が乏しかったことが原因です。さらに、異分野データ間の透明性が、アプリケーション中心の情報管理によって阻害されていました。石油&ガス企業がこれらの問題を効

果的に解決するためには、ネットワークアーキテクチャを統一し、人材、技術、およびプロセスの力を集結させる必要があります。石油&ガス企業は制御機能および情報を統合することで、オートメーションレイヤと情報レイヤの両方の要件を満たしつつ、完全な接

続性とデータ統合を実現する企業全体を結ぶコネクテッドインフラを構築することが可能になります。

データの井戸を活用自動的にデータを収集し、関係者が

すぐに使用可能な情報を管理するインテリジェントなオートメーションエコシステムを構築すれば、生産工程を最大限に活用できます。これが、ロックウェル・オートメーションが提供するConnectedProduction™製品です。

ConnectedProduction環境は、生産機器、デバイス、およびシステムを接続します。

• 単一油井および複数油井向けのパッドシステムを含む人工採油システムは、プロセスの可視性を向上させます。人工採油システムは、流量データ、油井テストデータ、油井コンプリーションデータ、およびその他の表面処理装置のデータなど、複数のデータストリームを収集し、単一のデータストリームに結合するため、分析が容易になります。これによって、オペレータは油井の状態をより正確により早く把握できるようにな

り、最適な運用を行なうための決定を情報に基づいて下すことができるようになります。さらに、このデータにはデスクトップからもモバイルデバイスからもアクセスでき、クラウドベースであるため現場に行かなくても情報に基づいた決定を下すことができます。

• 油井モニタシステムによって、オペレータは離れた場所からリアルタイムデータを見たり、警告を出すことができるようになります。このデータは意味づけされ、検証されます。これによって生まれる高品質なデータを使用し、オペレータは生産に影響を及ぼす事態が発生した場合に、より優れた情報に基づいた決定が下せるようになります。

• 仮想多相フローメータは、油井の既存の計装を使用して、三相流(石油、ガス、水)をリアルタイムで計算します。予想生産量は割当目標と対比することができ、オペレータはこの予想を使用して生産量の変化をより正確に把握し、リソース割当てに関する決定を行なうことができます。

革新的なイーサネット接続や高度なソフトウェアを利用して生産能力を向上し、サプライチェーン全体で情報を共有

コネクテッドデジタル油田で活用される最先端の生産方式

ConnectedProductionTM

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生涯を予測し、ダウンタイムを削減石油&ガス企業では、ダウンタイム

や機器の故障が減益に直結します。ConnectedProduction環境は、石油&ガス企業の想定外のダウンタイムからの迅速な復旧を支援するだけでなく、ダウンタイムが発生する前に問題を解決します。スマートな資産は例外的な操作を必

要とする重要な情報を提供するため、技術力のある作業員を注意が必要な場所にのみ割当てたり、生産に重大な影響を及ぼす問題を解決させたりすることが可能になります。

インテリジェント通知システムにより、重要な関係者へのテキストメッセージや電子メールの送信や通知ができるため、問題をリアルタイムで特定して対処できます。拡張性に富んだHMIシステムは、内

蔵された障害検出および復旧機能によってシステムの可用性を最大限に向上させます。オペレータはネットワーク上のどこからでもシステム内のアプリケーションを変更でき、関係者はモバイルサポートを使用して常に接続された状態が維持されます。高度な分析および予測ソフトウェア

には、ダウンタイムにつながる傾向を検出する予知分析機能を搭載することができます。この機能により、運用チームは既知の問題に対して入念に計画し、リソースを割当てることが可能になります。最後に、技術者は資産管理ソフトウ

ェアを使用して、監査記録や資産設定のバックアップにアクセスできます。これにより、迅速にトラブルシューティングやダウンタイムの復旧を行なうことができます。

郵便受けからクラウドへConnectedProduction環境によって、

石油・ガスの採掘作業が合理化され、より確実に行なえるようになります。石油ビジネスの一角を占める炭化水素の輸送も例外ではありません。炭化水素の採掘作業は地理的に遠く

離れた油井、貯蔵タンク、パイプライン流入口、ターミナルなどに近い場所で行なわれるのが一般的です。購入者および販売者は、リース自動管理輸送(LACT)ユニットによって現地に赴かずに石油を取得します。以前から、炭化

水素の輸送には紙ベースのチケットが使用されており、購入者はユニットの隣に設置された郵便受けにチケットを投函します。しかし、多くのLACTユニットは自動化されておらず、ネットワークへも接続されていなかったため、しばしば請求の遅れや間違いが発生していました。現在では、クラウドベースの資産

パフォーマンス管理ソリューションがLACTスキッドに搭載されています。トラック運転手はHMIにID番号を入力して輸送を開始します。原油の搭降載に応じて、電子チケットが自動的に入力されます。その後、この情報がセキュアなクラウドに送信され、お客様に対する請求書が生成されます。 このシステムによって事実上間違いがなくなるだけでなく、現場および作業の管理者は各油田から産出する石油の種類や、全体的な石油の品質、通算の油田生産性といった、意味づけされた輸送に関する情報を取得できます。

動作概要デジタル油田技術を完全に導入する

と、石油&ガス企業は生産の最適化や採掘工程全体での効率性の改善につながる総合的な視覚化および制御が可能になります。また、従来はできなかった装置診断だけでなく、産業自体が変動し変革を続ける中での生き残りに不可欠な将来のパフォーマンスの予測も可能になります。しかも、完全な統合環境では、オペレータは装置の状態を監視して最高の効率を維持することさえもできるようになります。

ConnectedProduction環境への移行には、インフラを根本から改修する必要はありません。油井や油井管継手の表面処理から管理輸送に至るまで、既存

のオートメーションシステムやインテリジェントなフィールド装置などの現在の投資を接続することができます。この環境はオンサイト、クラウド、

またはその両方のオプションを組み合わせたハイブリッドモデルで構成および稼働できます。ConnectedProduction

環境は共通のプラットフォームとなり、オペレータは生産に関するあらゆる側面を視覚化して制御できるようになります。収集した適切なデータをリアルタイム診断、生産傾向、およびKPI (主要業績評価指標)の意味あるデータとして使用することで、石油&ガス企業は従業員に装置のパフォーマンスをより深く理解させ、より適切な情報に基づいた意思決定をさせることが可能になります。

接続することでギャップを埋める状況の変化に応じて、デジタルオー

トメーション技術は要件を満たす新しい方法の確立を支援します。デジタル油田技術のアプリケーションは、固有の資産ポートフォリオの需要側の圧力を解決し、従業員の生産性を加速させることで供給のギャップを埋める強力なメカニズムとなり得ます。

コネクテッドエンタープライズを実現し、デジタル油田、パイプライン、精製施設全体に実装されたオートメーション、通信、および情報技術のコンバージェンスから多大な恩恵を受けるには、包括的なアプローチが要求されます。今やスマートな製造メーカはConnectedProduction環境を活用して、上流、中流、および下流工程から資産にアクセスしてモニタすることができ、いつでもどこからでもまったく異なる油田データをすぐに統合して使用できる情報として活用できます。

プロセス制御の実現

運用効率を改善

プレス性能の最適化

油井パフォーマンスの向上

規則の順守の促進

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効率と収益性を追求するには、製造環境用のITインフラが不可欠です。

セキュリティは製品のみならず、プロセス、ポリシー、およびサービスも関連する幅広いト

ピックであり、世界中の製造企業共通の最も重大な関心事であると言っても過言ではありません。

必要となるセキュリティは、地域によって異なります。北米やヨーロッパでは、多くの製造プラントで旧式の制御システムが稼動しており、ものによっては20年以上も前のシステムである場合もあります。これらのシステムは設計時にセキュリティが考慮されていないため、非常に脆弱です。このような古い技術は、現在のセキュリティコンセプトを旧式のシステムに適用する際の障害となります。アジアやその他の新興市場のプラントは比較的新しいですが、だからと言ってセキュリティのレベルが高いとは言い切れません。

製造メーカがシステムの問題を特定して評価する方法を模索している一方で、効率性と生産性を最大化し、競争力を維持するための接続性の最適化、およびITと運用技術(OT )の統合促進の必要性が高まっており、製造メーカはより統合されたネットワークセキュリティ実現へと駆り立てられています。

ロックウェル・オートメーションが提供するコネクテッドサービスのラインナップに含まれるネットワークおよびセキュリティサービスは、企業のセキュリティコンセプトの策定、ベストプラクティスの定義、および包括的なセキュリティソリューションの展開をサポートするように開発されています。この一連のサービスにより、企業は製造資産のライフタイムに渡ってリスクを評価および低減することができます。これらのサービスはスポット的に必要となるものですが、一般的に企業内では調達できないものです。

ワンストップのサービス コネクテッドエンタープライズの成

功には、しっかりとしたセキュアかつ柔軟なネットワークインフラが不可欠です。ネットワークおよびセキュリティサービスの目的は、製造メーカに適した堅牢でセキュアなネットワークの開発と導入に尽きます。

ロックウェル・オートメーションのサービスは、運用目標を達成するための集中型のプラント全体にわたるネットワークインフラを評価および設計する重要なIT/OT分野の専門知識を提供します。設置完了後でも重要なテクニカルサポート、監視、および管理を行なうリモート・サポート・エンジニアが在籍しているため、ネットワークの信頼性とセキュリティが維持され、製造メーカは生産に集中することができます。ネットワークおよびセキュリティサ

ービスによって提供される統合ネットワークセキュリティへの5段階のアプローチを通じて、メーカは製造データをより有効に活用でき、優れた生産モニタを実現できます。

手順1: 評価データや固有のプロセスを保護する

セキュリティ規準を順守しつつ、最高のパフォーマンスを維持できるかが、既存ネットワークを評価する際の最大の懸案事項です。最初の手順は、エン

ジニアや従業員へのインタビュー、インフラの検分、結果のドキュメント化によって、収集されたデータを使用した標準的な評価を実施し、ネットワークの問題やリスクを特定して、優先順位を付けることです。

ロックウェル・オートメーションの評価サービスでは、派遣された当社の専門家が現地で作業を実施します。評価ではエンドポイントのデバイス、認識された業界標準、および企業ポリシーも考慮され、重大な問題や推奨事項のリストとして全体的な調査内容がレポートにまとめられます。この評価によって、これまでは推測の域を出なかった問題点が明確化されるため、製造メーカはネットワークアーキテクチャやセキュリティに存在する不備を特定でき、インフラにリスクが発生する前にこれらの問題に対処できます。

手順2: 設計既存の産業ネットワーク環境の再設

計を検討する場合、または新規にインフラを設計する場合、製造メーカは投資のライフサイクル終了まで最大限の効果が得られるように、効率、セキュリティ、およびアジリティを考慮する必要があります。設計プロセスにおいて適切な検討がなされないと、運用時にセキュリティリスクや想定外のコストが発生する、または重要データを活用できないといった事態になりかねません。

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アプリケーション記事

コネクテッドエンタープライズで、製造メーカがセキュアな産業ネットワークを構築するための5つの手順

セキュアな産業ネットワーク構築のための5つの手順

製造メーカは既成のソリューションを選択して迅速に実装することも、仕様に合わせてカスタマイズされたソリューションを選択することもできます。

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評価 設計 実装 検証 モニタ

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機能要件を定義し、特定のトポロジや製品をリストアップして、サービスを詳細に設計する必要があります。この詳細設計には、すべてのパーツの部材やディストリビューション層のトポロジから、構成情報、リモートアクセスの提供に至るまで、ネットワークに関連するあらゆる情報が含まれます。このような綿密な設計によって、製造メーカは将来を見据えたセキュアな産業ネットワークを構築することが可能になります。

手順3: 実装次に、設計したネットワーク・イン

フラ・プロジェクトを効率的に実装して稼働させる方法を検討します。業界標準に従って設計されたネットワークを設置することで、パフォーマンスと信頼性が向上し、不適切な実装で発生する可能性がある問題を排除できます。実装プロセス全体をサポートする実

装サービスには、調達、構成、設置、テスト、スタートアップ、および支援が含まれており、ネットワークを迅速に稼働させ、問題発生の可能性を最小限にとどめることを目的としています。

手順4: 検証より接続性の高い運用環境構築を目

的としたネットワークインフラの変更や設置は、非常に大きな投資になります。このため、作業終了後にはプロジェクトが完全かつ適切に実施され、事業に必要な技術水準および性能水準を達成しているかを確認する必要があります。これはまた、独立した第三者機関の専門家によって検証が行なわれることが重要です。検証サービスは、 I E E E、A S N I、

ODVA、 ISA95といった規格を確認する、現在のアーキテクチャの監査や、NERC CIP、IEC 62443などに従ったセキュリティ監査などで構成されます。高度な診断ツールと、ITと運用の両方の専門知識により、ネットワークが設置、セキュリティ、およびパフォーマンスのすべての要件を満たしているかを確認します。

手順5: モニタとメンテナンス産業ネットワークの維持管理は複雑

ですが、優秀な人材と継続的なモニタによる適切な管理によって、望ましく

ないダウンタイムからネットワークと生産を保護できます。これが、製造メーカが適切なスキルを適切な場所に適切なタイミングで割当て、セキュア、堅牢、かつ復旧の早いネットワークインフラを適切に保つために必要なサポートを従業員に提供すべき理由です。ネットワーク・サポート・サービス

は、インフラ管理や資産セキュリティモニタをリモートとオンサイトでサポートします。ロックウェル・オートメーションのTechConnectSM やVirtual Support Engineerといった洗練されたネットワーク技術で、施設の主要パラメータをモニタし、生産に影響を及ぼす前に問題に対処するためのセキュアなリモートアクセスを提供します。これにより、製造メーカは最高のパフォーマンスで運用を維持しつつ、新しい機器やシステムを迅速に統合できます。

スキルギャップを埋める10人の保守作業員が退職しても、新

規に採用される作業員は3人から7人であり、重大な業務知識不足を招いているという調査結果があります。現在の高度な機器は一般的なサポートではサポートしきれないにも関わらず、作業員の数が減少することで、専門家の業務知識を得ることは困難かつ高コストになってきています。

さらに、多くの企業では製造施設の現在のセキュリティ状態を評価する、または新しいセキュリティコンセプトを策定するトレーニングを受けた社内スタッフが在籍していません。この分野では、適切なスキルと経験を持ち合わせた社外のコンサルタントやサービスプロバイダが、標準化された包括的なアプローチでセキュリティ要件を評価することにより、価値を付加するこ

とができます。社外の専門家は経験が豊富で、最新のテクノロジやソリューション、ベストプラクティスに精通しています。実際、セキュリティコンセプトの設計および実装業務と、日常のメンテナンス作業の業務は大きく異なります。

成功のための連携製造メーカは日々、生産目標達成を

困難にする課題と直面しています。課題の発生は不可避なものかもしれませんが、製造メーカは単独でこれらの問題に立ち向かう必要はありません。ロックウェル・オートメーションの

コネクテッドサービスの本質は、製造メーカがコネクテッドエンタープライズによってオートメーションへの投資を最大限に活用することをお助けすることです。このサービスでは、シスコ社、AT&T社、パンドウィット社など、ロックウェル・オートメーションの戦略的パートナを活用して、セキュアなIT/OTネットワークインフラおよびクラウドコンピューティング機能を実現するために最新ソリューションを提供します。世界的に認知されているこれらの企業は機能を開発し、信頼性と技術力に富んだ、競争力があり戦略的な機能を製造メーカにもたらすシームレスなソリューションを提供することをロックウェル・オートメーションに約束しています。

産業用ネットワークのインフラはコネクテッドエンタープライズのあらゆるオペレーションの中心である一方、そのような強固なネットワークインフラの構築、継続的な管理、そのネットワーク上に存在する投資の保護は、包括的なアプローチのネットワークサービスおよびセキュリティサービスでしかなしえません。

ネットワークおよびセキュリティサービス

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注目の製品 & ソリューション

FactoryTalk® PharmaSuite®ソフトウェアには、電子バッチ記録(EBR)に関連した、計量動作モデリングが完全統合されています。既にサポートされているさまざまな計量モードに加えて、PharmaSuite 8.3ではキッティングに使用される従来の計測シナリオをサポートする新しい数量入力計量モードが提供されています。特に、生産中に

特定の材料に基づいた機器コンポーネントが組立てられるバイオテクノロジ分野では、この新しい機能でプロセスを合理化できます。新しいEnterprise Integration Hub (EIHub)アプリケーションにより、企業のアプリケーションと外部のITシステムに対して共通の接続方法が使用できるようになります。このアプリケーションは1つのシステムから入力される情報を確認し、受信側のシステムに適したフォーマットおよびテンプレートに変換します。また、情報の受信の確認や伝送障害時のアラート送信を行ない、コネクテッドエンタープライズ全体でのデータ変換を合理化します。

• より簡単で迅速なプロセス統合• 製造管理および品質管理に関する基準(GMP)機器を部品表(BOM)の一部として含み、在庫材料として管理することで、在庫機器を効果的に管理

• オンサイトでコンテンツエンジンを動作させることで、最小のリスクとコストで最新製品を継続的にリリース可能• 生産を行ないながら新しい機器の運用を開始し、ライフサイクル終了まで電子ログブックに運用情報を記録

PlantPAx®システムは最新の分散制御システム(DCS)で、工場全体をカバーする1つのインフラで、プロセス、ディスクリート、パワー、情報、および安全の制御を接続します。これによってユーザは適切な判断をより早く下せるようになり、お客様の要求や

変化の多い仕様により迅速に対応できるようになります。最新システムのリリースには以下のようなメリットがあります。• 維持管理が簡単で、提供速度と生産性が向上• よりスマートで、より生産的かつセキュアな企業環境を実現• 高度な構成およびオペレーションが可能なスマートシステム機能を採用

このリリースの目玉の1つとして、新機能とIEC61850デバイスライブラリを含むプロセスオブジェクトのロックウェル・オートメーションのライブラリの更新が挙げられます。この他に、マルチシステム/マルチサイトの企業用アーキテクチャ、クラウドベースのリモートアクセス、小規模システム用単一サーバ、IEC 62443採用のガイダンスなどが含まれます。

PlantPAx DCS用の標準制御パネルは、PlantPAxシステム選択ガイドおよび特性ラボに記載されているトポロジを使用してカスタマイズ可能です。これにより、ユーザはプロセスのコアコンピテンシにリソースを集中でき、プロジェクトにかかる時間やスタートアップおよび立上げの労力が少なくて済むため、設計段階全体が効率化されます。設置される基本機器としてキャビネット、バックパネル、電源装置、PlantPAx対応のI/Oシャーシがあり、マニュアル類が付属しています。

Automation Fair®では最新の傾向と、世界中の企業でコネクテッドエンタープライズによって産業用モノのインターネット(IIOT)がどのように活用されているかが紹介されました。今年は、コネクテッドエンタープライズの産業パビリオンにおいて多くの最先端ソリューションやテクノロジが展示されました。

2017 Automation Fair®でのテクノロジ & ソリューションのハイライト

ライフサイエンス分野でのMESソフトウェアの新しい可能性

新しいシステムのリリースおよび標準制御パネル

HOUSTON 2017

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注目の製品 & ソリューション

OptiLiftインテリジェント・ネット・オイル・コンピュータ(iNOC)は、自動化油井テスト用の測定ソリューションです。iNOCシステムは二相テスト分離器の「リキッドレグ」に取付けられ、複数のソースからのテストシーケンスを制御します。生成されるリアルタイムのデータは、油井オペレーションやテストシナリオをタイムリーに

管理するために共有されます。iNOCシステムはライン圧力、ライン温度、およびフローメータのプロセス入力に基づいて、オンラインで含水率を推定できるため、ラボでのテストが不要になります。

また、連続運用を行なえるよう設計されており、油井テスト環境でROIを最大化しつつ、生産を最適化します。この個別受注生産(ETO)ソリューションは、設置、構成、使用、メンテナンスが簡単なだけでなく、高い信頼性も特長です。

• マルチポート・セレクタ・バルブ(MSV)の接続時、最大で7つの油井の油井テスト容量最適化が可能• テスト期間にもかかわらず、24時間の石油と水の容量予測により、油井テスト期間を改善• ConnectedProduction™フットプリントで接続性をサポートし、リモートデジタル油田環境を実現

OptiLiftのラインナップに新たに追加された仮想フローメータ(VFM)は、異なる相(ガス、石油/コンデンセート、および水)の推定流量を測定し、シミュレーションや生産システムの最適なオペレーションを可能にするソフトウェアオプションです。高性能リモート・ターミナル・ユニットでVFMを使用することで、問題の検出や資産管

理のためのさまざまなデータポイントが提供されます。これは、手作業で行なっている油井テストスケジュール作成には心強いソリューションとなります。

計算ノードが油井孔/油槽から表面装置までの流動様式に沿って配置されます。各ノードには圧力、温度、および流量状態を計算するためのアルゴリズムが搭載されています。このアルゴリズムは、40年間のフィールドデータと400の油井シミュレーションによって作成されたものです。

• あらゆる油井タイプで運用メリットを提供• 複数の油井テストの値の推定を支援し、人工採油オペレーションの最適化と生産精度の向上を実現• ConnectedProduction環境をサポート• 現状のシステムにRockwell Automation®のシステムまたは他のブランドであっても統合可能

OptiLiftロッド・ポンプ・コントローラ(RPC)は、サッカー・ロッド・ポンプの最適化に必要なポンプオフ制御に基づいた正確かつ柔軟な動力計を提供する、高度な設計のオンサイト制御ソリューションです。このソリューションは油井オペレ

ーション向けにカスタマイズされた、圧力/温度モニタ、天然ガス流量計測、モータデータ、視覚化、アラーム機能、および診断をサポートします。

RPCは、ビームポンプおよびベルト駆動リニア・ポンプ・ユニットの正確な負荷および位置モニタや、ライン全体で一定の速度、またはVFD可変周波数のパワーパッケージによるポンプオフ制御を提供します。動的な油井表面および油井孔の動力計カード表示により、オペレータはプロセスの状態を把握できます。また、4つの固定速度モードと、3つの可変速度モードにより、オペレータは現在の状態に最適な動作モードを選択できます。

• ビームポンプおよびベルト駆動リニア・ポンプ・ユニットの正確な負荷および位置モニタや、ポンプオフ制御を提供• リアルタイムのデータが問題の早期検出および解決機能をサポート• 資産自動検出による迅速なConnectedProduction SCADA統合を実現• 複数の接続オプションおよび追加コスト不要のカスタマイズ

OptiLift™インテリジェント・ネット・オイル・コンピュータ

OptiLift仮想フローメータ

OptiLiftロッド・ポンプ・コントローラ

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注目の製品 & ソリューション

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注目の製品 & ソリューション

コネクテッドエンタープライズで全体的な競争力を高めるには、セキュアかつ堅牢なネットワークインフラが不可欠です。しかし、多くの企業にとって、インフラの設計、導入、および維持管理は複雑で時間がかり、資本予算に対してコストがかかりすぎることがよくあります。ロックウェル・オートメーションは、産業インフラを適切に設

計して展開する労力を緩和するサービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)を発売しています。仮想化とイーサネット技術を採用することにより、製造メーカは以下のようなメリットを実感できます。• サーバの設置面積が減少• 高可用性と冗長アーキテクチャによりインフラの信頼性が向上• 年中無休の24時間リモートモニタにより平均修理時間(MTTR)が向上

IaaSには、産業用データセンター(IDC)と産業用ネットワーク分散ソリューション(INDS)という2つのロックウェル・オートメーションのエンジニアリング済みのネットワークソリューションが含まれています。これらのソリューションは産業用途に特化して設計されており、ロックウェル・オートメーションの戦略的提携パートナであるシスコ社、パンドウィット社、マイクロソフト社の業界をリードするテクノロジを活用しています。IDCには視覚化環境に変換するために必要なハードウェアとソフトウェアのすべてが含まれており、高可用性とフォルトトレランスを実現するように設計されています。INDSは、エンドユーザに制御室と工場フロア間のセキュアかつ大容量の接続性を可能にするネットワーク分散パッケージです。

あらゆる規模の企業が業務をコネクテッドエンタープライズにデジタル移行したいと切望していますが、多くの場合、既存のインフラへの接続性が制限されてしまいます。IaaS契約を結ぶことで、ロックウェル・オートメーションはインフラを設計し、構築してテストします。これには、構成やお客様の施設でのオンサイト設置も含まれます。企業はクラス最高のテクノロジとアーキテクチャを活用して、ネットワークインフラのパフォーマンス、効率、稼働時間を最適化し、セキュリティリスクに対応できます。

サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)とは何か

ロックウェル・オートメーションが提供するConnectedProduction™製品の一部として、Well Managerソリューションは石油&ガス企業向けの油井パッドに関するすべての制御機能の単一ソリューションであり、実装がより簡単になるだけでなく、リアルタイムデータの可視性や生産効率が向上し、コストを削減できます。

Well Managerソリューションは、あらかじめエンジニアリングされた状態で納品されるため、油井パッドが複数ある場合でも迅速に統合可能です。また、高い拡張性により1つの場所で最大32の油井をサポートし、流量管理、人工採掘制御、現場全体でのデータの可視化を実現します。データは制御システムから直接取得されるため、手動でのデータレポートによる処理よりも整合性が高くなります。このソリューションは拡張されることを前提に開発されているため、初期の実装から数年後に現場に追加される油井や機器にも対応できます。

また、このソリューションによって、自動的に発見されて製造環境に自動統合される自己申告型油井が実現します。この自動検出機能よって人が操作する必要性がなくなり、間違いのリスクや特殊なスキルセットへの依存度が減少します。さらに、新しい油井のオンライン化にかかる時間を数分にまで短縮できるため、生産者は油井の貴重な生産データをより早く取得できます。ユーザは必要に応じて特定のソリューションを選択し、ROIをモニタしてより広範な用途へのスケールアップの可否を見極められます。このソリューションに追加される各セグメントは、データを有用なインテリジェンスに変換する接続性を実現するために構築されています。これにより、現在の投資を活用できるため、インフラを根本から改修する必要がなくなります。

コネクテッドエンタープライズへの費用効率に優れたゲートウェイ

モジュール式の拡張性に富んだソリューションが油田パッドの機能を向上

産業用データセンター(IDC)• 仮想化サーバが、複数のオペレーティングシステムやアプリケーションを実行

• サーバの設置面積を減少• アプリケーションの寿命を延長

産業用ネットワーク分散ソリューション(INDS)

• 苛酷な環境やデータセンターの環境で使用可能な

プレミアムエンクロージャ• 汎用性の高い完全互換の

コンポーネント

• ケーブルおよび電源管理を含む最大5つのシスコ製スイッチ

サービスとしてのインフラストラクチャ(IaaS)

以下が含まれる。年中無休の24時間

リモートモニタおよび管理ネットワーク

保管

計算バックアップ

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注目の製品 & ソリューション

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注目の製品 & ソリューション

Allen-Bradley® Guardmaster®の442G多機能アクセスボックスは、防護ドアに高い保持力、公差、および緊急時に安全防御された場所を退出できる手段が求められるアプリケーションに最適な統合安全ガードソリューションです。オペレータによる制御とそ

れ以外のオプションを選択できるため、さまざまなアプリケーションに対応できます。

インターロックおよびガード・ロック・モニタにPLeカテゴリ4の定格を採用した442Gは、最新の機能安全規格に準拠しています。ハンドルアセンブリには独自のコード式ボルトアクチュエータが搭載されています。このアクチュエータは割当てられたロックモジュールによってのみ認識されるため、ISO 14119の要件を満たす最高レベルの不正開封防止を実現します。

2000Nの高い保持力を実現する442Gには、作業員の安全や機械生産の保護を目的とした電動解除および電動ロックの2つのモデルが用意されています。以下の特長があります。• 独自のRFIDコード式ボルトアクチュエータにより最高レベルの不正開封防止を実現• 4つの明るいLEDがステータスと診断状況を通知• オプションのエスケープリリースにより、安全防御領域に閉じ込められた作業員が素早く簡単に退出可能• CIP Safety over EtherNet/IPバージョンは、Studio 5000™ Logix Designer®を使用して、ネットワーク接続されたオートメーション制御システムに簡単に統合可能

現在、442Gには最大4つの制御を搭載でき、そのうちの1つを非常停止押しボタンにすることができます。各押しボタンの機能と色はユーザが割付けることができため、異なるアプリケーションのデバイスを簡単にカスタマイズできます。

多くの企業が、事業の最適化を目的としたデジタル技術を実装しています。ピンポイントのソリューション実装でも完全なデジタルトランスフォーメーションでも、ほとんどの企業は新しいソリューションの計画、導入、維持、およびデジタル化を活用するためのサポートを必要としています。

情報インフラやセキュリティのニーズを満たすため、ロックウェル・オートメーションはコネクテッドサービス製品を採用し、このラインナップを継続的に拡大しています

予防保全サービスは、クラウドの基盤、機械学習、およびオートメーションの専門知識を使用して、コストのかかるダウンタイムやメンテナンス作業の原因となる、産業用資産およびシステムでのイベントを予測します。このサービスでは、資産から取得できるプロセスデータを使用し、問題や障害の兆候を示すデータパターンを機械学習を通じて識別します。また、イベント発生までの時間が予測できるため、資産の可用性を高めつつ、メンテナンスのコストを削減できます。

リモートサポート、モニタ、および対応サービスの24時間対応のリモートオペレーションは、重要なプロセスを大切に守ります。これらのサービスでは、派遣されたオンサイト・メンテナンス・チームが継続的なマシンモニタや障害対応から、年中無休の24時間リモートサポートからソフトウェア/ファームウェア更新に至るまで、あらゆる作業を提供することも可能です。チームの派遣によりFactoryTalk Cloudゲートウェイ、企業に設置されたロックウェル・オートメーションの産業用データ・センター・サーバ、または生産性の向上とダウンタイムの低減を同時に実現するハイブリッドモデルを活用できます。

データ統合および文脈化サービスは、豊富なデータの取得と、すぐに使用できる情報への変換を支援します。これらのサービスにより、生産性の向上につながる新しい機会が生まれます。生産者はネットワーク、機器、およびアプリケーション全体のモニタ、メンテナンス、および管理をロックウェル・オートメーションに委ね、スキル不足の課題を緩和することが可能です。2018年中に、デジタルトランスフォーメーションおよびデータサイエンティストによるコンサルティングサービスも提供が開始される予定です。

コネクテッドサービスのこれらのソフトウェア指向のサービスは、既存のアプリケーションおよび製品サポートサービスを基盤としており、企業は生産データにアクセスして使用し、リスクと市場導入期間を削減しつつ、資産の可用性と生産性を向上することが可能になります。コネクテッドサービスは拡張性に富んでいるため、メーカは無理なくROIを向上させ、CAPEX資金よりもOPEX資金への依存を高めることが可能になります。ロックウェル・オートメーションは、コネクテッドサービスをグローバルに提供および実行できるため、企業はオペレーション全体を通して一貫したサポートを受けられます。

コネクテッドサービスの拡張によりデジタルトランスフォーメーションを促進

ガードロックとアクセス制御を組み合わせ

Page 20: デジタル化 の実現 - Rockwell Automation...Automation Today Asia Pacifi c November 2017, Issue 54 This magazine is published 4 times a year by ROCKWELL AUTOMATION Inc. for Asia

ギャップを埋める方法については以下のサイトをご覧ください。https://www.rockwellautomation.com/ja_JP/capabilities/industrial-networks/overview.page?pagetitle=Industrial-Network-Services

運用とITシステムが分断されているために生産性と収益性が損なわれ、プラントのボトムラインにギャップが生じています。ネットワークおよびセキュリティサービス

これらのシステムを接続することにより、生産性を犠牲にすることなくネットワークとセキュリティリスクを解消できます。当社は運用とITネットワーク、およびボトムラインから利益を漏らさないために何が必要かを理解しています。単一の収束されたセキュアなプラットフォームは、運用を合理化し、企業全体を見渡せるようにして、ビジネス上の意思決定をよりよく下すために必要な実行可能な情報にアクセスできるようにします。

わずか

の製造メーカしかプラントフロアの情報を企業の基幹システムに統合していません。