カザフスタン共和国における外国投資

1．カザフタンにおける海外投資の動向・主要分野に対する評価......................................................................................2 2．投資に関する法的規制と優遇措置 ...........................................................................................................................................4 3．主要投資分野 ...................................................................................................................................................................................8

3‐1．発電事業................................................................................................................................................................................9 3‐2．鉱業......................................................................................................................................................................................13

（1）概要 （2）法規制..............................................................................................................................................................................19 （3）銅、ニッケル、亜鉛、コバルト.............................................................................................................................23 （4）クロム..............................................................................................................................................................................25 （5）金.......................................................................................................................................................................................26 （6）ウラン..............................................................................................................................................................................29 （7）希少金属 .........................................................................................................................................................................31 （8）石炭..................................................................................................................................................................................32

3‐3．鉄鋼......................................................................................................................................................................................33 3‐4．非鉄金属.............................................................................................................................................................................34

（1）アルミニウム ................................................................................................................................................................35 （2）銅、ニッケル、亜鉛、コバルト.............................................................................................................................36

4．加工産業.........................................................................................................................................................................................38 自動車製造、部品製造 ............................................................................................................................................................38

5．医薬品産業.....................................................................................................................................................................................40 6．食品加工.........................................................................................................................................................................................43 7．消費財..............................................................................................................................................................................................45 8．建設、エンジニアリング業務.................................................................................................................................................47 9．電気通信.........................................................................................................................................................................................49 10．電気通信機器..............................................................................................................................................................................51 11．銀行業 ...........................................................................................................................................................................................53 12．賃貸................................................................................................................................................................................................57 ファイナンスリース .....................................................................................................................................................................60

13アスタナ経済特区 ........................................................................................................................................................................62 ＊このレポートは 2004年までの状況をまとめたものである。

１．カザフスタンにおける海外投資の動向・主要分野に対する評価 93 年から 2004 年上半期におけるカザフスタンの外国投資の総額は 280 億ドル以上にのぼる。現在、40カ国以上の企業が投資を行なっており、カザフスタンに対する外国直接投資額は、2003年が年間で 45億ド

ル超だったのに対し、2004年は上半期だけで 25億ドル以上となっている。 カザフスタンは、93～2004 年の間で、国民 1 人当たりの外国からの投資額において、CIS 加盟諸国中ト

ップとなった。欧州連合（EU）と米国がカザフスタンを市場経済国と認めたことがカザフスタンの貿易に

良い影響を与えており、世界銀行はカザフスタンを投資先として魅力のある 20カ国に加えている。 カザフスタン国家統計庁によると、90 年時点では、カザフスタンには外資系企業がわずか 15 社しか進出

していなかったが、2003 年 1 月 1 日時点では、その数は 5,300 社に達している。その内訳は、外資の資本

参加を受けた 2,004 社、および外国企業に完全に属する 3,296 社となっている。授権資本額は 1,970 億テン

ゲ（約 15 億ドル）以上である。外資系企業の多くは南部アルマトゥイ周辺に位置し、その数は 3,404 社で

ある（出所：カザフスタン国立科学技術情報研究所） カザフスタンは、 CIS 諸国で初めて、国際格付け機関ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ

およびフィッチによる投資格付けを受けた。2002 年 9 月にムーディーズは、格付け機関として初めてカザ

フスタンのソブリン格付けを投資レベルまで引き上げ、2004 年 5 月にスタンダード・アンド・プアーズは、

外貨建て国債のソブリン格付けを投資レベル「BBB-/A-3」まで引き上げた。2004 年 10 月 27 日、フィッチ

は、カザフスタンに対する外貨建て長期格付けを「BB+」から「BBB-」まで引き上げた。外貨建て短期信

用格付けも”B”から”F3”に引き上げられた。また、自国通貨建て長期信用格付けは「BBB-」から「BBB」に

引き上げられ、高い水準を維持し、これら全ての格付けは「安定的」と評価されている。（出所：2004 年

10月 29日付ノーヴォスチ通信） 一方、カザフスタンに対する投資額の増加は、対外債務の拡大にもつながっており、今後は、国の債務返

済能力が問われることになる。カザフスタン中央銀行によると、2004 年上半期末の対外債務残高は 257 億

8,920 万ドルに上り、GDP の 76％に達している。カザフスタンの対外債務の増加傾向は、国のソブリン格

付けが引き上げられてから特に著しくなった。対外債務の増加に伴い、マイナス収支の増加が生じ、これが

カザフスタンの国際収支における経常収支の赤字を生んでいる。また、対外債務には加えられない外国直接

投資の増加を背景に、外国企業による利益の国外への持ち出しも増加している（表 1参照）。

表１．カザフスタンの投資・対外債務残高の推移（2002～2004上半期）

出所：カザフスタン中央銀行 外国直接投資における投資家の所得割合は、2002 年が 66％、2004 年第 2 四半期が 61％である。言い換

えると、これは、カザフスタンへの外国投資の約 60％が投資家の所得として、カザフスタンから持ち出さ

れていることを意味する（2004 年 9 月 27 日～10 月 1 日トゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェ

ーリナエ・アバズレーニエ）。 カザフスタンへの主な投資国は、米国、英国、イタリア、オランダなどである。政府は、合弁企業の設立

につながる直接投資の誘致に力を入れているが、実際の投資先分野は非常に偏っている。投資のほとんどが、

炭化水素資源採掘分野に向けられ、全体の約 60％を占める。これに対し、加工業への外国投資比率は 16％に留まっている。 政府も、「2003～2015 年のカザフスタンイノベーション発展戦略」に基づき、情報技術、機械工業、金

属加工、建築資材産業、生物工学、石油化学を優先的投資誘致分野とする方向性を打ち出した。 優先分野に対する投資を増やしてバランスの取れた経済構造を確立すべく、直接投資誘致に関する国家プ

ログラムが策定さえた。プログラムの主要方針の一つに、加工業の発展が挙げられている。しかし、加工産

業は一般投資家にとって魅力のある分野ではなく、加工業に投資を誘致するための投資環境の整備が、今後

の課題となる。 今日、カザフスタンに対する投資誘致を支援するための施策として、投資優遇措置、開発金融機関を通じ

た共同融資、マーケティング分析調査・工学・技術移転センターによる追加サービスの提供、財務省による

政府保証の提供などが挙げられる。また、特に有利な条件を投資家に提供するための特権付与法の策定が検

討されている。カザフスタンにおける外国企業およびそのカザフスタン駐在員の出入国手続きを簡素化する

ために、特別に「投資家ビザ」の交付も予定されている。こうしたビザの所有者は、内務省機関における登

録を免除され、出入国審査および税関審査での手続きが簡素化される。 カザフスタンで活動している投資家と直接的な対話を持ち、さらに投資活動に関する問題を速やかに解決

するため、大統領令（98年6月30日付）により、大統領付属外国人投資家委員会が設立された。2004年には、

委員会の5つの作業班による協議会が開催され、法律、税制、外国人投資家の活動状況、投資イメージの向上、

石油・天然ガス分野における投資環境などに関する協議が行なわれた。 また、技術革新政策、食料品・農産品政策および下部経済構造の発展のために必要な財源を確保するため、

投資基金、開発銀行、イノベーション基金、輸出信用・投資国家保険組合などの金融機関が設立されている。 ２．投資に関する法的規制と優遇措置 頻繁な法律の改正とその一貫性の欠如は、外国人投資家に大きな困難をもたらしている。法律「投資につ

いて（2003年 1月 8日付）」が、カザフスタンへの外国投資の基本法である。 投資環境 2003年初に、法律「外国投資について（94年 12月 27日付）」および法律「直接投資の国家支援につい

て（97年 2月 28日付）」に代わり、法律「投資について」（以下、「投資法」）が外国投資の基本法とな

った。新しく設定された投資法は、会社が資金を投入できる事業者の法的企業形態や、投資家に与えられる

一般的権利や保証などを規定する。 投資法に従い、指定された機関と契約を結ぶことで、以下の投資優遇措置を受けることができる。

・投資関連税金の優遇 ・関税の免除 ・政府による現物供与。投資関連税金の優遇措置は、固定資産への投資額に応じて一定期間、提供されるが、

5年を限度とする。 ・企業利潤税優遇措置 ・財産税優遇措置 ・土地税優遇措置

参考：現行法によると、特定のカテゴリーに該当する土地は課税の対象となる。この場合、基本税率は、

個々のカテゴリーごとに基準によって確定される。 例：農業用地の場合、基本税率は 1 ヘクタール単位で定められ、土地の質や地位級に基づいた段階税率

となっている。基本税は地位級 1の場合の 0.48テンゲから、地位級 100以上の場合の 202.65テンゲまで、

多岐に亘っている。居住用地（建物や付属建造物などの住宅基金が占める土地を含む）の場合、基本税率は

敷地面積 1 平方メートルを単位に場所ごとに規定され、住宅基金が占める土地の 0.09 テンゲから、アルマ

トゥイ市の住宅基金が占める土地の 28.95 テンゲまで幅がある。産業、輸送、通信、軍事、その他の非農業

用地（産業用地）の場合、居住区域に位置する産業用地の基本税率は、居住区の土地の基本税率によって定

められる。居住区外にある産業用地の基本税率は、1 ヘクタール単位で地位級に応じて規定され、地位級 0の場合に課される 48.25テンゲから、地位級 100以上の場合の 5,790.0テンゲまで幅がある。 投資関連優遇措置の開始日は、カザフスタン税法典により、契約の中で規定される。特別税制の適用を受

けている法人が行なう活動や、地下資源利用契約に基づく活動に関しては、投資関連優遇措置が適用されな

い。投資関連優遇措置は、国家による現物供与の形でカザフスタン共和国の法人に与えられる固定資産に関

しても、適用されない。関税の免除は、投資プロジェクト実施のために搬入される機材およびその付属品の

輸入において実施される。これは、国内で同様の機材およびその付属品が生産されていない場合、国内にお

ける同様の機材およびその付属品の生産量が投資の実施時に必要される量に満たない、投資に必要な型に一

致しないなどの場合である。

関税の免除は 1 年を期限に実施され、期限の更新も可能であるが、契約登録時から 5 年を上限とする。

関税免除の決定およびその更新は、投資に関する管轄機関が行なう。 参考：関税率は一般関税政策の枠内で規定され、対外経済活動商品一覧表によって規定される。現在、約

1 万 1,000 の商品項目が掲載されている。輸出関税は、大型有角家畜の毛皮およびスクラップメタルの輸出

に際してのみ徴収される。輸入関税について、現在の平均関税率は7.9％となっている。 国家による現物供与は、法の定める手続きを踏み、国有財産および土地資源の管理に関わる国家機関の同

意の下、政府もしくは管轄機関により、カザフスタン共和国法に従い、所有もしくは土地使用の形で提供さ

れる。国家による現物供与として提供が可能なのは、土地、建物、建造物、機械、設備、コンピュータ、計

測器、調節装置、輸送機関（乗用車を除く）、生産・事業設備である。国家による現物供与における評価額

の算定は、法律の規定に従い、その市場価格に基づいて行なわれる。国家による現物供与の上限は、法人の

固定資産への投資額（投資プロジェクトの規模）の 30％以下とする。国家による現物供与に対する評価額

が、この上限を超える場合、カザフスタン共和国の法人は、国家による現物供与の上限と評価額の差額を支

払うことにより、これを得る権利を持つ。このため、カザフスタンにおける民間投資促進の法的および経済

的な基盤は十分に効率的であり、ビジネス協力関係に広い展望を開くものであると指摘できる。 国家機関、各協会、商業機構などの提案に基づき、投資優遇措置が実施される優先事業の目録に追加・修

正が行われる。97～2004年第 3四半期の間に締結された契約数は 234、投資額は 3,092億テンゲ（約 24億

ドル）になる予定である。2004 年 1 月 1 日から 9 月 30 日までの間に、61 の投資優遇措置に関する申請書

が提出された。内訳は、その他の非金属・鉱物製品の生産（コンクリート、コンクリート製品、複層ガラス、

屋根ふき材料など）が 12 通、ゴム製品およびプラスチック製品の生産と建設が各 7 通、機械および機材の

生産、農業、金属製品の生産が各 4 通、化学工業が 5 通、食料品生産が 3 通、織物工業と紙パルプ産業が

各 2 通などとなっている。（出所：カザフスタン経済予算計画省「2004 年 1 月～9 月のカザフスタン共和

国経済社会発展の結果と 2004年第 4四半期の課題」） 投資保護 新しい投資法には、よく知られた旧外国投資法第 6 条が含まれていないことを指摘しなくてはならない。

この条項は、投資が 10 年以上の長期契約に基づいて行なわれる場合、投資が行われた時点から 10 年間、

もしくは指定された国家機関との契約の有効期間中に、法改正によって被害を被った投資家の保護を規定し

たものだった。確かに、新しい法律にも投資契約の安全を保証する条項が含まれてはいるが、この保証は、

投資に関する指定国家機関と締結された投資契約によって活動する投資家にのみ適用されるものであり、国

の安全保障、環境保護、国民の健康保護の問題に関する法律の改正は、その適用範囲ではない。そのため、

安定性に関する新法の条項は投資家を完全に保護するものではない。 投資優遇措置 投資法に従い、5年を限度とした免税および 5年を限度に更新可能とする 1年間の関税の免除であり、も

しくは、投資家が以下の要件を満たすことを条件とした資産の無償移譲などの優遇措置が実施される。 ・ 投資家がカザフスタンの優先的経済分野に資金を投入すること ・ 設備更新や、 新技術を導入して現在の生産を拡大・刷新するために、投資家が法人と規定された企業

の固定資産に資金を投入すること。

・ 申請された投資プロジェクトの実施に欠かせない財政・技術・組織的な資源があることを証明する書類

を、投資家が所轄機関に提出すること。 投資優遇措置の実施に際して用いられる優先的経済分野の目録は、政府決定第 436 号（2003 年 5 月 8 日

付）で承認されたものである。本決定では、投資の上限や投資額および活動の種類に応じた税制上の優遇措

置が与えられうる年数の上限も規定されている。 事業者の法的組織形態 95 年 3 月 1 日から施行された民法典の規定に従い、外国および国内の投資家は、様々な法的組織形態を

とってカザフスタンで事業活動を行なうことができる。カザフスタンで特に人気のある会社形態は、有限責

任会社である。カザフスタンでの法人設立を望まない外国企業は、代表部や支店を開設することもできる。 合名会社 創立者から独立した法人。参加することのできる企業数に制限はないが、自然人のみの参加が許される。

参加者は、それぞれに債務について社会的管財責任を負う。その運営は、参加者の総会で組織される運営団

体が行なう。 低授権資本額は、月次計算指標（MRP）（注：カザフスタンで採用されている単位）の 25倍（約 165ドル）に等しい額とする。 有限会社 創立者から独立した法人。組合の債務に関する有限管財責任を持つ参加者、および追加管財責任を持つ

参加者が、少なくとも 1 人ずついなければならない。有限責任を持つパートナーの責任は、その出資割合

の程度に制限される。自然人は有限会社 1 社においてのみ、社員となることができる。合名会社の参加者

は、有限会社の社員となることはできない。有限責任組合の 低授権資本額は、MRP の 50 倍（約 330 ド

ル）に等しい額とする。 有限責任会社 創立者から独立した法人。参加者数は、1 人もしくはそれ以上。有限責任会社の参加者の管財責任は、授

権資本への出資額により制限される。この場合、授権資本への出資形態は金銭でも現物でも構わない。参加

者の現物による出資は、創立者全員の同意、もしくは総会の決定により、金銭として評価される。現物によ

る出資額が MRP の 2 万倍（約 13 万 1,841 ドル）を超える場合、価格評価は独立した専門家による認証を

必要とする。有限責任会社の 低授権資本額は、MRPの 100倍（約659ドル）に等しい額とする。 株式会社

2003年 5月 13日、ナザルバエフ大統領が法律「株式会社について」に署名し、2003年 5月 16日に発効

した（以下、「株式会社法」）。株式会社法は、多くの問題を扱っており、これによって株式会社の 低授

権資本額が MRP の 5 万倍（約 32 万 9,603 ドル）まで拡大された。人民株式会社（株主数 500 人以上）の

自己資本額は、MRP の 100 万倍（約 659 万 2,067 ドル）以上である。株式会社法により、新たに設立され

た株式会社の授権資本は、会社が国家登録された日から 30 日以内に、創立者によって全額支払われなけれ

ばならない。有限責任会社の場合と同じく、株式会社の授権資本への出資は、金銭でも現物でも構わない。

この場合、資産の評価は国家資格に基づき活動する鑑定人が行なう。株式会社の資本における株主の持分は、

国家登録しなければならない。株式会社法では、ライセンスを持つ独立した記録係のみが株主の登録を行な

う権利を持つと規定されている。

駐在員事務所 カザフスタン共和国憲法に従い、外国企業はその利益を代表する駐在員事務所をカザフスタン国内に設

立することができる。駐在員事務所は独立した法人ではなく、情報収集や取引関係の構築などを目的として

設立される。 支店 支店は、企業の代表部と同様に独立した法人ではなく、外国法人の一部門である。支店は本店に代わっ

て義務を担い、企業活動を行なうことができる。 （出所：アーンスト・アンド・ヤング「カザフスタンのビジネスと投資概況」）

投資関連優遇措置の修正 ナザルバエフ大統領が署名した法律第 11 ‐Ⅲ「課税に関するカザフスタン共和国の一部法令の修正およ

び補足について（2004 年 12 月 13 日付）」により、追加控除、財産および土地税の支払い免除を定めた現

行規定に加え、新規納税者に対する企業利潤税（法人税）の支払免除の可能性も加えられることになった。 ここで言う新規納税者とは、投資プロジェクトの枠内で活動し、契約が締結された年内に国家登録を完

了した納税者を意味する。現行の生産拡大、設備更新に関する投資プロジェクトを実施しながら上記の定義

に当てはまらない納税者については、従来の税金優遇措置が適用される。土地税の支払免除に関しては、投

資プロジェクトの実施のために使用される土地にも適用されることになった。これまでの規定では、企業利

潤税に関する優遇措置の有効期間は 5 年を上限としていたのに対し、今回の修正により、今後は企業利潤

税に関する優遇措置の有効期間が、固定資産への投資額および活動の種類に応じて、これまでとは異なり、

10 年となった。財産税および土地税に関する優遇措置の有効期間は 5 年を上限とし、固定資産への投資額

に応じて個別に定められる。 しかし、国家と外国投資家の関係に関する法的基盤は十分に整備されたとは言い難く、紛争における処理

方法に関する議論はほとんど行われていない。カザフスタン側と投資家の間に生じた紛争の処理に関し、ジ

ャクスベコフ産業商務相によると、国際商事仲裁裁判所に関する個別法案の立案を法務省は不合理と見なし

たという。というのも、マジリス（下院）の審議のために提出された同裁判所の決定（外国での決定を含

む）の執行方法を規定した、仲裁裁判に関する法案で十分に対応可能だからだ。同氏によると、2004 年 3月 28 日と 6 月 27 日に開かれた外資系企業の代表と政府関係者の合同協議の場で、法務省のこうした提案

は支持を得られたという。これに対し、同会議で発言したベーカー・アンド・マッケンジー（Baker & McKenzie）のパートナーであるゴトブロド氏によると、外国人投資家は国際仲裁に関する法律の採択を既

に 3 年間も待っているという。カザフスタンの独立後に執行された外国仲裁判断は、わずか 2 件しかない。

同氏の説明によると、これは国際商事仲裁裁判所の決定が遂行されていないことに関係している。（出所：

外国人投資家委員会第 10回評議会の資料、2004年 12月 6日アルマトゥイにて開催） カザフスタンへの投資機会を大きく損なう 大の要因は、蔓延した汚職である。トランスペアレンシー・

インターナショナル（Transparency International）の報告書「2005 年度世界の汚職状況」によると、カザ

フスタンは 146カ国中 122位だった（順位の低い方が汚職・腐敗度が高いとする）。（出所： 2005年 3月

18日付カザフスタン・トゥデイ）

３．主要投資分野 第 10回外国人投資家委員会会議について（2004年 12月 6日、於アルマトゥイ） ナザルバエフ大統領は、カザフスタン産業・イノベーション発展戦略を 2005 年から 2015 年にかけて実

施する予定である。同計画は 3段階に分かれて実施される。 第一段階では、国の産業ポテンシャルの強化を目指す。大統領は「政府は消極的な政策から、積極的な投

資政策に移行しつつあり、投資実現に向けた調整役を努めることになる」と述べた。国内で実施されている

ハイテク分野のプロジェクトとして、アルマトゥイ近郊のアラタウにおける IT パーク、スチェプノゴルス

クにおけるバイオテクノロジー、クルチャトフにおける原子力、プリオゼルスクにおける通信技術の研究所

などである。大統領によると、これら全てのプロジェクトには例外的特典が付される。また、カスピ海の炭

化水素資源開発への勧誘活動を通じ、国内の産業設備の建設を進めることも計画されている。 第二段階は、技術革新の課題に向けた国家活動の再編である。これには、教育、科学、財政、関税政策に

おけるかなりの改善作業が必要になる。規格の統一および認定制度の改善が必要になり、 終的には、世界

貿易機関（WTO）への加盟手続きを完了しなければならない。また、教育補助金や技術関連の予算支出が

増え、高等教育機関の物的支援に対する要求も高くなり、国立・私立を問わず、専門技術教育・技師再教育

センターも設立される。技術革新の発展に寄与する企業家の育成には、特に力が注がれる。大統領は「外国

人投資家もこの分野の育成には関心があり、相応の投資をするものと思う」との期待感を表明した。学術研

究への融資のために、補助金制度と独立審査の導入が計画されている。カザフスタンの科学分野は今後、

新の科学開発動向に追いつくため、国際科学技術分野に関心を持つことになるだろう。 第三段階では、国内における技術革新の広報、および民間部門と国家機関の協力体制の構築が目指される。

大統領の考えでは、国の技術革新プログラムの成功は、今後 2 年の作業結果にかかっている。大統領は

「国家と投資家の関係がどのように構築されるかが重要である。我々は透明な経済を構築し、様々な行政障

壁を取り除き、ビジネスと競争を発展させるつもりである」と述べた。また、税法に修正が加えられる場合

には、現行法においてその安定性を保証する政策を継続する意向も表明された。 カザフスタン投資基金の評価について カザフスタン投資基金の評価によると、優先的投資分野として石油・天然ガス採掘分野および採鉱分野

の他に、以下が挙げられる。 1. ガスおよび電力を始めとするエネルギー資源関連製品の生産分野。建築資材、ガラス製品全般、セラミ

ック製品、化学製品および石油化学製品、ガスタービン発電所の電力発電など。 2. 農業。カザフスタンは、汚染されていない自然な環境で育てられた農産物の生産に大きな可能性を持っ

ている。南部における高品質の果実・野菜の生産は特に有望である。トマトの栽培・加工、果汁・濃縮

果汁の生産などの他にも、畜産業の発展も有望である。 3. 新規金属加工業。カザフスタンでは、形鋼圧延の生産拡大が求められている。形鋼の需要が急速に伸び

ており、その価格上昇も著しい。金属構造物やパイプの生産についても同じことが言える。また、縦シ

ーム鋼管の生産も必要である。 4. ガラス生産、冶金、石油化学工業、化学工業で使用されるソーダ灰の生産、個人衛生品、化粧品、洗浄

剤の生産など。付加価値の高い生産の確立と発展の見地から必要である。

5. 建設資材の生産。アスタナ市の建設、カザフスタンの各市の再興、道路建設、新規住宅建設、インフラ

設備、鉄道、海港、天然ガスおよび石油パイプライン、送電線などにおいて需要が高い。 カザフスタン投資基金（Investment fund of Kazakhstan） Almaty, ul. Zenkova, 80 Tel.: Waiting room: (3272) 588-333 Fax.: (3272) 583-799 E-mail: ifk@ifk.kz Contact Center Almaty Tel.: (3272) 598-111 E-mail: ifk@ifk.kz Astana ul. Abaya, 47, 3-1 Tel.: (3172) 591-030 (Burambaeva Aisulu)

３－１．発電事業 専門家によると、今後予想される電力需要の増加に対応するためには、電力会社は総額 20 億ドルにのぼ

る設備投資を必要としている。 カザフスタンの電力産業は特にロシアとの関係が強く、これは両国に共通したエネルギー供給網が発達

してきたこと、また、カザフスタン北部および東部の発電設備と、その発電能力の高さに関係している。ロ

シア企業以外の関心も今後、引くことになるだろう。 欧米の投資家は、カザフスタンの電力産業への投資にはあまり積極的でない。しかも、米国のオルマトや

英国のスコティッシュ・パワーといった、以前は事業を展開していた外資系企業の撤退も散見される。現在、

世界銀行と欧州復興開発銀行（EBRD）がカザフスタンの電力分野の発展に資金を供与している。当初、国

内の電力企業に対して非常に有利な条件で貸付が行なわれていたが、両行は近い将来の料金体系に抜本的な

改革が見られなければ、今後、カザフスタンの電力産業に融資を行なわないという結論を出している。政府

による明確な支援プログラムがなければ、この問題は解決できないだろう。投資インセンティブが生じるよ

うに、電力分野に対する税制を見直す必要もある（出所：2003 年 4 月 25 日付セヴェルヌィ・カザフスタ

ン）。 2003 年、カザフスタン開発銀行と EBRD は、第二南北送電線建設プロジェクトの実施に対する貸付資金

（第 1 トランシェ）を、共同出資した。プロジェクト費用は総額で 2 億 7,000 万～2 億 8,000 万ドルと評価

され、第 1トランシェによる融資比率はEBRDが 70％、カザフスタン開発銀行が30％である。 2004 年 3 月 16 日、カザフスタン開発銀行、EBRD、およびカザフスタン電力供給網管理会社

（KEGOK）が、第二南北送電線建設プロジェクトの実施に関する貸付契約に調印した。プロジェクト第一

段階の実施のために、EBRDは 12年の期限付きで 3,500万ドルを、カザフスタン開発銀行は 15年の期限付

きで 2,100 万ドルを出資する。このプロジェクトは、カザフスタン南部における電力供給問題の解決を目指

しており、完成すれば、北部の余剰電力が南部に効率的に供給されることになる（出所：2004 年 6 月 5 日

付カザフスタン・トゥデイ）。

ロシア統一エネルギー機構（UES）とカザフスタン政府は、2003 年にエキバストゥズ第二国有地区発電

所の設立に関する合意文書を締結した（出所：2004年 2月 23日カズインフォルム）。 ＜AESシルクロード、AESエキバストクズ、ウスチ・カメルノゴルスク＞

アイルランド・米国の合弁の AES は、カザフスタンで 96 年から事業を展開しており、パヴロダル州の

エキバストゥズ第一国有地区発電所、マイクベン・ヴェスト炭鉱、ウスチ・カメノゴルスク熱電併給火力発

電所、ソグリンスク熱電併給火力発電所を所有している。AES がカザフスタンへの参入を決定し、96 年に

AES シルクロードが設立された。その後、AES シルクロードは、中央アジアをはじめとする CIS 地域の企

業買収を進めている。 カザフスタンにおいて AES は、熱・電力の生産と配給を行なっている。電力生産はカザフスタンにおけ

る基本事業であり、パヴロダル州と東カザフスタン州の 5 つの発電所で主に行われている。他にも、AESはウスチ・カメノゴルスク火力発電所とソグリンスク火力発電所を購入し、カザフスタンにおける長期的投

資の実施に関心を寄せている。 AES は、カザフスタンにおける熱・電力生産で優位に立っており、総出力量は 6,846 メガワットに達す

る。熱・電力の生産活動は、AES エキバストゥズ発電所から 115 キロの距離に位置するマイクベン・ヴェ

スト炭鉱に支え、これは、石炭の円滑な供給を確保する目的で取得された。熱・電力の配給会社は東カザフ

スタン州にあり、これには東カザフスタン地域エネルギー会社（2015 年まで AESが運営の予定）、東カザ

フスタン地域エネルギー会社セミパラチンスク支店（2008年まで AESが運営の予定）が含まれる。これら

の会社の配給網は、全長 4 万 6,095 キロメートルになる。両社は、約 57 万 6,000 人以上の消費者に対して

電力の供給を行なっている。 AES は、カザフスタン国有の地区発電所の運営を開始してから 8 年の間に、出力を 400 メガワットから

1,800 メガワットまで拡大した。AES のプレスリリースによると、発電所の出力量を徐々に 4,000 メガワッ

トにまで増やす意向が表明されている。AES エキバストゥズの出力量は、99 年が 19 億キロワットだった

のに対し、2003 年には 64 億キロワットに増産している。AES の計画では、電力生産量を 2004 年には 77億キロワットにまで増やすことになっている。プレスリリースによると、カザフスタンで現在生産されてい

る電力に占める AESエキバストゥズの比率は 11.2％、これに対し 96年の比率はわずか 3.8％だった。AESエキバストゥズは、プロジェクトに関わるカザフスタン人比率を増やすために全力を注いでおり、現在、同

社の外国人労働者比率は 0.5％以下という。発電所における平均賃金水準は増加している。 2004年 8月 5日、カザフスタン中央銀行決定第 100 号（2004年 7 月 22日付）により、東カザフスタン

州に位置する AES ウスチ・カメノゴルスク熱電併給火力発電所に「第一級有価証券発行機関」の格付けが

行なわれた。手形流通額の限度は 2億 2,500万テンゲと定められた。手形の流通期間は 3カ月で、年間で計

9億テンゲ（約 680万ドル）の発行が許可される。 2004 年秋、AES ウスチ・カメノゴルスク熱電併給火力発電所が、総額 6 億 1,278 万テンゲ（約 465 億ド

ル）の記名式利札付社債を初めて発行した。カザフスタン証券取引所（KASE）は、同社を、安定した企業

財務状況と生産の安定性を意味する上場 A に加えた。社債の発行を保証するものとして、評価額 15 億テン

ゲ（約 1,139 万ドル）以上とされる同社の資産が担保とされた。集められた資金は、予定通り、 新式の環

境に優しい灰処理設備の建設に充てられる。また、ボイラー洗浄装置を 新式のものに変更し、さらに地元

の石炭を利用するためにボイラー本体の改造も続けることが予定されている。

2004年 2月にAESエキバストゥズのエキバストゥズ第 1国有地区発電所では、第 3発電ユニットの稼働

開始が予定されている。2003 年 11 月の事故で損傷した第 3 発電ユニットの復旧には、2004 年には 1 億

3,200万テンゲ（約 100万ドル）が投入され、2005年には約 5億 1,200万テンゲ（約 389万ドル）が支出さ

れる予定である。また、同発電所では、7 年前に停止し、2005 年 3 月に再び稼働した第 5 発電ユニットの

改修工事への追加投資が計画されている。投資額は 1億 2,800万テンゲで、発電ユニットの近代化が見込ま

れる。同発電所では 2004 年に 77 億キロワットの電力生産を予定している（出所：ヴォストチノ・カザフ

スタンスカヤ・エネルゲティチェスカヤ・ガゼータ、№7（28））。

“AES SILK ROAD INC. “ Almaty, pr. Abylai khana, 58 А, Office 106 Tel.: 503865 Fax.: 503866 “AES Ekibastuz, Ust-Kamenogorsk” Tel.: +7 (3232) 26-98-79 Fax: + 7 (3232) 26-93-43 E-mail: olga.alesenko@aes.com ＜アクセス・エネルゴ＞ アクセス・エネルゴは、北カザフスタン州における主要な電力会社であり、電力・熱エネルギーの生産・

輸送・配給を行なう。米国のアクセス・インダストリーズが共同設立者兼主要投資家である。 アクセス・エネルゴは、99 年に設立された。北カザフスタン州における 初の 3 年間の活動は、非常に

厳しいもので、電力系統を危機的状況から救うため、投資家は多大の努力を強いられた。製品の安定的生産

と品質を維持するため、アクセス・インダストリーズにより、設備改修および再装備に 3年間で約 3,100万

ドルが投入された。 専門家によると、第二熱電併給火力発電所の設備は 40年以上の稼働を経て、その耐用期限の 46％を使い

果たしている。2001 年の投資計画により、近代化、設備更新、環境対策に 1 億 6,000 万テンゲ以上が支出

されたのはこのためである。また、同発電所のために、2006 年までの中期プログラムと、アクセス・エネ

ルゴ・ペトロパヴロフスク第 2 熱電併給火力発電所の改修および設備更新計画が策定された。この計画に

かかる投資額は 20 億 3,400 万テンゲと見られる。第 2 熱電併給火力発電所では、その故障により大量の水

が過剰消費されることになった、水・化学管理システムの近代化に特別な注意が払われている。現在、

5,000万テンゲをかけて、処理能力 85 トンの脱塩装置の設置が進められれている。 アクセス・エネルゴは、冬期負荷率の増加に向け、できる限りの準備をしている。必要な作業は全て計画

通りに行なわれ、作業は期限内に完了する見込みである。アクセス・エネルゴが修理作業に費やした費用は、

2004 年 8 月 1 日時点で、総額で 4 億 9,970 万テンゲになる。中でも、ペトロパヴロフスク第 2 熱電併給火

力発電所の越冬向け準備に 3 億 4,750万テンゲ、北カザフスタン配電会社に 4,720 万テンゲ、熱配給網の修

理に 1億 500万テンゲが支出されてた（出所：2002年 8月 1日付カザフスタンスカヤ・プラウダ）。 アクセス・エネルゴは過去 4 年間で、発電ユニットの改修工事に約 40 億テンゲを投じてきた。この結果、

既に 40年以上稼働しているペトロパヴロフスク第 2熱電併給火力発電所では、99年に比べ故障が 5分の 1に減り、大気圏への排気ガス量も年間 1万トン減少した。送電線および変電所が部分的に改修され、市街 地の熱配給網が刷新された。しかし、状況は依然として厳しいままである。

アクセス・エネルゴは、問題の深刻さを理解した北カザフスタン州政府の協力を受け、総額 100 億テン

ゲ以上をかけて、エネルギー複合システムの近代化および改修に関する長期プログラムを策定した。このプ

ログラムでは、ボイラーや蒸発管の全面修理、集塵装置の近代化、タービン 4 基の交換、タービン 2 基の

高圧給水加熱器の交換、第 2 灰処理設備の回復、変電所、空中送電線、熱配給管の全面的修理、熱配給網

の新規建設などが予定されている。しかし、同プログラムの完全実施には困難も多い（出所：2003 年 4 月

25日付セヴェルヌィ・カザフスタン）。 “ACCESS INDUSTRIES INC.” Almaty, pl. Respubliki 15, Office 204 Tel.: 501172 Fax.: 501176 Astana, pr. Abaya, 121, Room 47 Tel.: 214560 Fax.: 580333 “Aksess Energo” TOO Petropavlovsk, ul. Zhambyla, 35 Tel./Fax.: (3152) 413702, 412828 ＜カザフスタン電力供給網管理会社＞

カザフスタン政府のイニシアティブで、国有電力供給網の近代化プロジェクトが立案された。このプロジ

ェクトは、カザフスタン電力供給網管理会社（KEGOC）の輸送システムの強化や、電力系統の制御と改善

を目的としたものである。 プロジェクト融資は、国際復興開発銀行（IBRD）および EBRD と、KEGOC の自己資金で行なわれる。

そのため、KEGOC は外国投資誘致を目指している。国有電力配給網の近代化計画の方針は以下の通りであ

る。 変電所の近代化は、高電圧設備の近代化、保護電器の交換、変電所の自動化などを指し、スイッチ、断路器、

変圧器、変流器、過電圧抑制装置、支持碍子（がいし）、蓄電器の交換がなど含まれる。 ○ KEGOC が所有するすべての変電所で保護電器の刷新が行なわれる。マイクロプロセッサ技術に基づい

た新しい保護電器は、輸送システム全体の安全性と正確さの向上につながる。 保護電器の交換は、変電所の自動化に合わせて行なわれる。これには、変電所設備の動作を管理・監視す

る遠隔端末装置（RTU）の設置が含まれる。KEGOC の輸送システムの稼動に対する集中制御に用いる監

視制御データ収集（SCADA）システムで、RTUは使用される。 ○ SCADA/EMS システム、デジタル企業遠距離通信網、自動電力商業会計システム、取引システムの購

入および設置を含む、管理部門全体の近代化。 SCADA/EMS システムは、カザフスタンにおける国有電力供給網の統一自動管理システムの建設を見込

んだものである。SCADA/EMSシステムは中央管理局と９つの地方管理局に設置される。 デジタル企業遠距離通信網は、送電線高周波伝送路、無線通信回線、衛星通信機能をベースに構築され、

管理・技術用の声やデータを伝える。

○ コンピュータ化された経営情報システム（MIS）の開発、納入、導入を含む、KEGOC の組織的発展。

MIS は、急速に変化する市場経済状況において、生産、経済、技術の観点から企業活動を効率的に統一管

理するシステムの構築を約束する。MISには以下の基本モジュールが含まれる。 ○ プロジェクトの管理および購入に関する基本コンサルタント、およびプロジェクトの各コンポーネント

に関する技術コンサルタントの採用を含む、技術支援。技術支援の一環として KEGOC の社員教育が行な

われる。 ○ カザフスタンの北部と南部を結ぶ 500キロワット第二送電線の建設プロジェクト実施。 “KAZAKHSTAN ELECTRICITY GRID OPERATING COMPANY ” (KEGOC) Almaty, ul. Shevchenko, 162 “zh”, 050008, Tel.: +7 (3272) 682730 Fax.: +7 (3272) 680218 http://www.kegoc.kzｘ ３－２．鉱業 （1）概要 国家統計庁によると、2004 年上半期におけるカザフスタンの地下資源開発に投資された額は 35 億 6,170万ドルで、このうち外国投資は 29億 1,880万ドルとなった（表 2参照）。 表 2．カザフスタンの地下資源開発に対する投資額（2004年上半期） （単位：100万ドル）

出所：カザフスタン国家統計庁 地域別に見ると、アティラウ州（シェア 38.5％）、マンギスタウ州（19.0％）、西カザフスタン州

（9.8％）、カラガンダ州（8.4％）となっている。

分野 投資額 炭化水素 2,771.5 半金属 177.5 石炭 156.3 銅 101.5 鉄、マンガン 123.6 金 60.1 アルミニウム 24.4 クロム鉄鉱 33.7 ウラン 26.6 地下水 21.5 その他の地下資源 64.3

カザフスタンは、鉱物生産において国際的に重要な位置を占め、今後、世界市場における影響力が強まる

可能性が高い。2003 年 1 月 1 日時点の世界の確定埋蔵量に占めるカザフスタンの燃料エネルギー資源の割

合は、石油：3.2％（世界第 7 位）、天然ガス：1.5％、石炭：3.1％（6 位）、ウラン：18.9％（2 位）、

金：2.7％（8位）、銀：16％（2位）、銅：7.1％（3位）、鉛：22％（１位）、亜鉛：15.2％（１位）、ニ

ッケル：1.4％（12位）、コバルト：3.9％（５位）、ボーキサイト：1.4％（10位）、鉄：6％（5位）、マ

ンガン：30％（2位）、クロム鉱石：37.6％（1位）、重晶石：47.2％（1位）、燐灰土：4.5％（6位）とな

っている。 カザフスタンは、銅、ウラン、チタン、合金鉄、鋼鉄などの生産で重要な役割を担っており、クロムの生

産ではユーラシア地域で圧倒的な地位にある。内陸国ゆえの輸送コストの問題が解決されれば、カザフスタ

ンは石油を効率的に輸送できるようになり、国際石油市場でも重要な位置を占めるようになるだろう。競争

が激化する環境でカザフスタンが国際鉱物原料市場に参入できるかは、商品の競争力次第である。 これまでにも指摘されてきたように、鉄鉱資源は特に品質が良く競争力が高い。国内埋蔵量バランスにお

いて、競争力があるとされる埋蔵量が占める割合は、クロム鉱石 99％、マンガン鉱石 91％となっている。

鉄鉱石の開発鉱区も、質の高い資源の割合が高いことを示している。 非鉄金属資源では、競争力のある資源の割合がだいぶ低くなる。銅に関しては、競争力があるとされる資

源のほぼ全てが、採掘が盛んに行なわれているカザフスタンの中央および東部の鉱区に限定される。鉛・亜

鉛では、競争力のある資源の約半分が東部の開発中もしくは開発準備中の鉱区にある。潜在的競争力がある

と見なされる資源の残り半分は、中央のジャイレム鉱区に集中している。南カザフスタン州のシャルキヤ鉱

区における亜鉛および鉛の大量の資源は、競争力があるとは見られていない。現状を打破するには、この効

率的な生産・精錬方法を取り入れる必要がある。これらの問題が解決されれば、同鉱区の資源は競争力があ

る資源部類に入る可能性もある。 カザフスタンの鉱物原料産業における主要企業と原料供給

表 3 ． 州 別 の 投 資 額 （ 単 位 ： 1 0 0 万 ド ル ）

州 外 国 資 本 国 内 資 本 外 国 資 本 国 内 資 本ア ク モ ラ 6 . 0 9 . 0 6 . 1 8 . 3ア ク チ ュ ビ ン ス ク 2 2 9 . 8 5 2 . 1 2 1 7 . 6 3 9 . 7ア ル マ ト ゥ イ 0 . 4 1 0 . 6 1 0 . 0 8 . 3ア テ ィ ラ ウ 1 , 2 5 8 . 6 1 1 1 . 1 7 5 6 . 1 6 7 . 7東 カ ザ フ ス タ ン 1 8 0 . 6 2 3 . 5 1 3 7 . 7 2 0 . 2ジ ャ ン ブ イ ル 0 . 7 3 5 . 1 0 . 2 1 7 . 1西 カ ザ フ ス タ ン 3 4 8 . 4 0 . 5 4 2 3 . 4 0 . 3カ ラ ガ ン ダ 2 7 5 . 3 2 3 . 8 2 6 0 . 5 1 9 . 4ク ス タ ナ イ 4 . 5 1 3 7 . 3 1 . 5 1 0 4 . 4ク ズ ル オ ル ダ 5 1 . 2 2 9 . 8 3 1 . 2 2 5 . 7マ ン ギ ス タ ウ 4 9 7 . 4 1 7 9 . 1 3 2 7 . 5 1 7 0 . 1パ ヴ ロ ダ ル 6 3 . 1 4 . 5 5 3 . 2 0 . 9北 カ ザ フ ス タ ン 0 . 0 0 . 8 0 . 0 0 . 1南 カ ザ フ ス タ ン 2 . 8 2 5 . 7 2 . 5 1 7 . 3

合 計 2 , 9 1 8 . 8 6 4 2 . 9 2 , 2 2 7 . 5 4 9 9 . 5出 所 ： h t t p : / / p o r t . k z / 2 0 0 4 年 9 月 1 5 日 付

2 0 0 3 年 上 半 期 2 0 0 4 年 上 半 期

燃料エネルギー産業 カザフスタンの燃料エネルギー産業の原料供給源は、十分に高い水準にある。ウランおよび石炭産業の

原料供給源は十分であり、これらの分野では競争力のある確定埋蔵量により 100 年以上の供給確保が見込

まれる。 鉄鋼業 鉄鉱石、マンガン鉱石、クロム鉱石の確認埋蔵量は、国内企業の需要を満たし、また効率的な輸出事業

を行なうのにも十分な規模である。採収産業がフル操業した場合に、競争力のある確定埋蔵量で供給確保が

できる年数は、鉄鉱石 80年以上、マンガン鉱石 100年以上、クロム鉱石 50年以上である。 確認埋蔵量による供給確保率は露天採鉱の場合かなり下がり、鉄鉱石が 30 年、マンガン鉱石 20 年、ク

ロム鉱石わずか 7年となる。 鉄鋼業では、原料の供給確保率が高いとはいえ、老朽化した設備に代わる新規設備の導入や地下採掘方式

への大規模な移行といった、難しい課題が残されている。 非鉄金属産業 銅鉱石および鉛亜鉛鉱石分野における原料供給源の状態は、非常に逼迫している。開発鉱区の確定埋蔵

量で供給確保ができる年数は、銅 20 年、鉛亜鉛 25 年である。銅、鉛、亜鉛の近年の好調な生産は、特に

豊富な資源量を有し、かなり以前から開発が行なわれている鉱区で集中的な生産が行われていることが主要

な原因となっている。 銅および鉛亜鉛産業の発展は、原料供給源の強化と直結している。この原料供給源の強化のためには、競

争力のある資源を新たに補填し、 新で生産性が高く効率的な生産・精錬方法を導入して、既存の鉱区で比

較的不足している鉱石を採取する必要がある。 アルミニウム産業 アルミニウム産業における原料の供給確保は、需要を満たしている程度である。

アルミニウム産業における原料供給源は、比較的低品質で精錬が難しい炭酸度の高いボーキサイトが主に

なっている。しかしながら、確定埋蔵量の大部分（85％）が十分に競争力のあるもので、この産業が 70 年

間安定した活動を行なえるだけの量がある。 国内では、アルミニウムの原料供給源を拡大することも可能だが、アマンゲリドィ鉱区のような高品質ボ

ーキサイト資源を新たに発見できる可能性は少ない。 チタン産業 チタン産業の国内原料供給源は、形成段階にある。

近になって確認され、評価された 初のオブホフ鉱区、ショカシ鉱区、サトパエフ鉱区）が、ウスチ・

カメノゴルスク・チタン・マグネシウム・コンビナート（UKTMK）の自社用原料供給源の基礎となった。

これら鉱区の確定埋蔵量は、競争力のあるものだが、この開発で UKTMK が供給源を確保できるのは 15～20年にすぎない。 国内チタン産業の原料供給源の発達における潜在性は十分に高いが、それは評価する価値のある有望な資

源の有無にかかっている。

金鉱石産業 金鉱石産業の原料供給源の状態は、カザフスタンの鉱物資源産業のなかでも特に緊迫している。主要な

金鉱床は、埋蔵量の水準でも、鉱石の品質でも、外国の鉱床と同じレベルを有しており、国内の金の生産水

準を引き上げることは可能なはずである。好調な金の国際市況を背景に、鉱床で採掘される金の質・量にお

いて、より高い水準を示す必要に迫られている。金の国際価格の上昇に伴い、 近のカザフスタンの金鉱石

産業は活況を呈している。 国内の金の原料供給源が、競争力が高く、豊富で選鉱しやすい鉱石資源を必要としているのは疑いない。

こうした資源が今後発見される可能性は残されているが、その埋蔵量を確定するには多額の資金を要する。

カザフスタンの鉱物原料供給源の発展傾向 近年、探鉱活動が極めてわずかしか行なわれていない状況で、カザフスタンの鉱物原料供給源の状態は、減少し

た埋蔵量の補填がなされない、また埋蔵量の全体的な減少および品質の低下といった傾向が認められ、しかもこの傾

向は強まりつつある。 補填が行なわれない結果、鉄およびマンガンを除く事実上すべての重要な鉱産物について、確認鉱量を含む総埋

蔵量が毎年 0.5～1.7％のペースで減少し続けている。 クロム、銅、鉛については、露天掘りに適した確認埋蔵量が急速に減少しつつある。 生産者が、特に豊富な鉱石（銅、ニッケル、クロム鉄鉱、マンガン、亜鉛など）について選択的な採掘をする傾向は、

地下に残った資源の確実な品質低下につながっている。 ほとんどの重要鉱物資源について、埋蔵量の減少分は、採掘による増加分を遥かに上回っている。たとえば、鉛は

96 年から、ニッケルは 95 年から、産業用埋蔵量は 1トンも増えていない。 主要な採鉱企業に関しては、特に非鉄金属の確保率が危機的な状態になっている。 非鉄金属、希少金属、貴金属に対する投資活動は、95 年以降、新しい鉱床の発見にはつながっていない。鉄、マ

ンガン、金、亜鉛、チタンをはじめとする資源の埋蔵量増加に関しては、主に既存の鉱区の再評価や徹底的な調査

実施により、達成されたものである。投資家の行動には、不当に少ない支出で探鉱の問題を解決しようとしたり、地下

資源の市況が良くないことを口実に、調査を中断しようとしたりする傾向が見られる（出所：エネルギー鉱物資源省地

質学および地下資源利用委員会情報分析センターの資料）。 固体資源

2004年 1月 1日時点で、調査の結果、国内埋蔵量バランスに加えられた鉱床は、銅鉱床が 91カ所、鉛鉱

床が 84カ所、亜鉛鉱床が 79カ所、金鉱床が 260カ所である。 2004 年 9 月 1 日時点で、契約条件の遂行モニタリングが、371 カ所で行なわれている。このうち、採掘

が行なわれているのが 199カ所、調査段階にあるのが 31カ所、調査と採掘が行なわれているのが 141カ所

である。締結されたライセンス数は 264、このうち 237 は契約がすでに締結され、のこりの 27 は契約が結

ばれていない。 371の鉱床のうち、金および銀が 119カ所、銅が 21カ所、鉛および亜鉛が 27カ所、鉄およびマンガンが

39 カ所、クロム鉄鉱が 10 カ所、ウランが 14 カ所、重晶石が 10 カ所、石炭が 45 カ所となっている。残り

の 86 カ所は、ニッケル、コバルト、ボーキサイト、モリブデン、チタン、ジルコニウム、燐灰土、錫、硫

酸ナトリウム、エメラルド、脈石英、希少金属、分散した金属、蛍石、沸石、ホウ酸塩、ホウ素、バナジウ

ム、珪灰石、ランドスケープアゲート、翠銅鉱、マグネサイト、緑玉髄、硬玉、温石綿、アスベスト、その

他の広く分布する鉱産物で、これらはカザフスタン政府によってライセンスおよび契約が交付されたもので

ある。 固体資源の探査活動は 3 万 3,500 平方キロメートルの範囲で行なわれており、採掘目的の探査活動は 17万 7,800平方キロメートルで行なわれている。 ライセンス交付済みのものは以下のようになる。 ・ 銅の国内埋蔵量の 67％：うち 40％がカザフスタン企業、60％が合弁会社による開発である。銅の埋蔵

が見込まれる 8万 6,200平方キロメートルのうち、ライセンス交付済みが 1万 3,100平方キロメートル、未

開発が 7万 3,100平方キロメートルである。有望な土地の予想埋蔵量は約 1億トンである。 鉛の国内埋蔵量の 74％：うち 40％がカザフスタン企業、25％が外国企業、35％が合弁会社による開発で

ある。亜鉛の国内埋蔵量の 56％がライセンス交付済みで、そのうちの 40％が国内企業、15％が外国企業、

45％が合弁会社によって開発されている。鉛および亜鉛の埋蔵量が見込まれる土地は計 5万 8,514平方キロ

メートル、このうちライセンス交付済みが 1万 9,826平方キロメートル、未開発が 3万 8,688平方キロメー

トルである。予想埋蔵量は、鉛が 5,860万トン、亜鉛が 1億 3,560万トンである。 ・ 金の国内埋蔵量の 81％、このうち 40％がカザフスタン企業、25％が外国企業、35％が合弁企業による

開発となっている。有望な土地は 48万 8,000平方キロメートル、このうちライセンス済みが 33万平方キロ

メートル、未開発が 16万平方キロメートル、有望な土地の予想資源量は 785万 8,000トンである。 ・ アルミニウムの国内埋蔵量の 50％：全埋蔵量がカザフスタン企業による開発となっている。ボーキサ

イトの予想埋蔵量は 10億 2,900万トンである。 ・ ニッケル、コバルトの国内埋蔵量の 56％：うち 16％がカザフスタン企業、84％が外国企業による開発

となっている。ニッケルの予想埋蔵量は295万 9,000トンである。 ・ 鉄の国内埋蔵量の 44％：うち 30％がカザフスタン企業、70％が外国企業による開発である。鉄鉱石の

予想埋蔵量は194億トンである。 ・ クロム鉄鉱の国内埋蔵量の 96％：すべての鉱床で、カザフスタン企業による開発が行なわれている。

クロム鉱石の予想埋蔵量は25億 3,300万トンである。 ・ マンガンの国内埋蔵量の 94％：うち 30％がカザフスタン企業、70％が外国企業による開発となってい

る。マンガンの予想埋蔵量は 42億 9,400万トンである。 ・ 石炭の国内埋蔵量の 27％：うち 28％がカザフスタン企業、34％が合弁会社、38％が外国企業による開

発となっている。石炭の予想埋蔵量は 172億 4,400万トンである。 大手企業が、多くの主要鉱物資源の開発を手がけている。カザフムィスが銅の国内埋蔵量の 42％、鉛の

13.6％、亜鉛の 15.3％の開発を手がけ、カズツィンクが銅の 3.2％、鉛の 5.8％、亜鉛の 12.8％、SSGPO 社

が鉄鉱石の 21.4％、コバルトの 44.3％、ジャイレムGOK社がマンガン鉱石の 33.7％の開発を行なっている。 地下水

2004 年 9 月 1 日時点で、ライセンス契約条件のモニタリングが、258 カ所で行なわれている。これらラ

イセンス内訳は、採収が 172 カ所、調査が 29 カ所、調査および採収が 57 カ所である。（出所：カザフス

タン共和国エネルギー鉱物資源省地質学および地下資源利用委員会のデータ）

表 4．主要鉱産物埋蔵量の増加量（80～2003年） （単位：トン）

鉱産物 単位 1980～2003年における埋蔵量

の増加量

期間別増加

量 期間別年平均増加量

80～90年 91～2003年 1980～1990年

91～2003年

鉛 1,000 t 7,387.1 4,532.9 2,854.2 412.1 219.6 亜鉛 1,000 t 23,862.0 14,761.6 9,100.4 1,341.9 700.0 銅 1,000 t 23,574.9 19,166.7 4,408.2 1,742.4 339.1 ボーキサイト 1,000 t 124,007.0 75,603.0 48,404.0 6,873.0 3,723.4 クロム鉱石 1,000 t 191,138.0 165,279.0 25,859.0 15,025.4 1,989.2 マンガン鉱石 1,000 t 430,409.2 356,299.0 74,110.2 32,390.8 5,700.8 鉄鉱石 100万t 5,998.2 2,402.6 3,595.7 218.4 276.6 金 kg 1,707,634.1 794,665.0 912,969.1 72,242.3 70,228.4 チタン 1,000 t 8,611.6 430.0 8,181.6 39.1 629.4 ニッケル 1,000 t 705.3 322.4 328.9 29.3 29.5 コバルト t 155,844.0 115,271.0 40,573.0 10,479.2 3,121.0 錫 t 61,517.4 32,377.0 29,140.4 2,943.4 2,241.0 タングステン t 447,456.0 445,410.0 2,046.0 40,491.8 157.4 モリブデン t 756,265.0 753,601.0 2,046.0 68,509.2 204.9 ウラン t 39,671.0 － 39,671.0 － 3,051.6 石炭 100万t 132,671.0 11,509.2 121,161.7 1,046.3 9,320.1 重晶石 1,000 t 1,826.2 1,826.2 － 140.5 燐灰土 1,000 t 2,448,181.0 2,081,465.0 366,716.0 189,224.1 28,208.9 フッ素 1,000 t 3,255.9 1,339.0 1,916.9 121.7 147.5 原油 1,000 t 2,619,039.0 1,481,881.0 1,137,158.0 134,716.5 87,473.7 天然ガス 100万㎥ 1,743,840.0 1,616,072.0 127,768.0 146,915.6 9,828.3 コンデンセート 1,000 t 694,963.0 688,415.0 6,548.0 62,583.2 503.7 チタンや石炭といった鉱物資源については、埋蔵量の拡大が見られる。鉄鉱石およびフッ素の埋蔵量増加

傾向は、ほぼ 1.5 倍に拡大した。大部分の鉱物資源に関し、埋蔵量の年平均増加率が減少している。増加率

の減少傾向が特に少ないのは、錫および石油である。埋蔵量増加率の減少傾向が大きい鉱産物は、ボーキサ

イト、鉛、亜鉛である。埋蔵量の年平均増加率の減少傾向が特に激しいのは、コバルト、銅、マンガン鉱石、

燐灰土鉱石、クロム鉱石である。80～90 年と比較して、91～2003 年の埋蔵量の年平均増加率に大きな減少

が見られたのは、天然ガス、コンデンセート、タングステン、モリブデンである。（出所：カザフスタン共

和国エネルギー鉱物資源省地質学および地下資源利用委員会情報分析センターの資料） 鉄鋼および非鉄金属の生産が減少している主な原因は、鉱物原料供給源の開発に向けた投資不足、テケリ、

ズィリャノフスク、バルハシのコンビナートなどが確定鉱量を使い果たしたこと、鉱物資源の採掘および精

錬に用いる既存設備の不備、鉱工業生産、精錬における主要設備および補助設備の老朽化にある。 鉱石採掘精練産業の重要な問題の一つに、生産技術の低さがある。これは、市場経済の下で、企業の財

務経済状況に大きな影響を与える。主要外国企業と比較して、国内企業は鉱石の損失が約 8～10％多く、国

産品のエネルギー集約度は 1.5～1.8 倍高く、労働生産性は全工程において低い。製品原価に占める材料費

比率は 70％に達している。選鉱工場や冶金工場に対する精錬原料の代金前払い制度、電気代および輸送費

の高さが、産業の発展を著しく阻害している。各産業のバランスの取れた成長を目指した進歩的な構造改革

が行なわれていない現状で、鉱業においては、原料輸出分野が過度に成長している。

2002年の投資額が 4,880億テンゲ（約 37億ドル、産業投資全体の 78.2％）に達したアティラウ州および

マンギスタウ州に、鉱業の約 3分の 2が集中している。（出所：A.S. Seidaly, E.A. Lazareva, I.A. Semiletova カザフスタン国立科学技術情報研究所） （2）法規制 １．国家審査 カザフスタン共和国憲法によると、鉱産物を含む地下資源は、国有資産と規定される。地下資源開発を行

なう業者は、契約で規定される所有権に基づき、鉱物原料を所有することになる。地下資源開発者に提供さ

れる地下資源が効率的・総合的に利用されるため、鉱区の鉱産物資源は、国家審査を受けることになる。こ

れは、鉱産物資源に関する情報、地下資源開発に際し考慮されるべき地下資源のその他の特性に関する情報

を対象とした総合的な審査である。確定鉱産物資源の採鉱における経済効率に関する審査の結果は、国内埋

蔵量バランスにこの埋蔵量を追加する根拠となる。審査は、特別指定機関である鉱産物資源に関する国家委

員会（GKZ）、および鉱産物資源に関する地域委員会（TKZ）によって実施される。過去 6 年で、GKZ は、

304カ所について審査を実施した。 表 5．国家委員会により検討された案件の動態

年 検討された対

象数 内訳

固体資源 地下水 炭化水素資

源 探査および採掘とは無

関係のプロジェクト 1998 19.0 12.0 1.0 6.0 - 1999 30.0 17.0 7.0 6.0 - 2000 33.0 27.0 2.0 4.0 - 2001 56.0 41.0 7.0 8.0 - 2002 66.0 25.0 12.0 20.0 9.0 2003 100.0 41.0 20.0 30.0 9.0 合計 304.0 163.0 49.0 74.0 18.0

出所：カザフスタン共和国エネルギー鉱物資源省地質学および地下資源利用委員会情報分析センター資料 国家地下資源審査の主な課題は、鉱物資源を効果的に活用するために、鉱産物資源および地下資源地区の

特性に関する情報を含む資料を分析・評価することである。この課題に基づき、国家地下資源審査では、鉱

産物資源の量、質、組成、技術上その他の特性、地下資源のその他の特徴に関するデータの信憑性、などが

評価の対象となる。さらに、鉱物の採掘における条件、また採掘とは関係のない目的による地下資源地区の

利用条件に関する、地質学、鉱山工学、水文地質学、土木地質学、環境、技術経済などの側面から得られた

データの信憑性、鉱産物の採収率、開発の経済効率に関する技術経済アセスメントもあわせて評価される。

さらに、鉱物原料供給源の拡大に関する提案と結論、地下資源開発地区および埋蔵量の確定レベル、地質調

査および地下資源評価における、探鉱、探査、採掘、その他の作業の結果と質も評価の対象となる。

２．地下資源利用契約における投資の定義 新しく策定された投資法（2003 年 1 月 8 日付）が、投資に関する定義をより狭いものにしたため、2003年 1 月 8 日までに地下資源利用契約を締結した多くの地下資源開発者に対して、契約に際して同法の定義

が適用されるのかどうかという疑問が生じた。この場合、投資の新しい定義の適用には、地下資源開発者に

とって有利な点と不利な点があった。このため、現行の地下資源利用契約における投資の新しい定義の適用

に関する問題は、重要で実際的な性格を帯びている。 この問題を分析したところ、これは簡単に解決できないことが判明した。 初の分析は、2003 年 1 月 8日までの地下資源利用契約における投資の定義に関するものだった。この時、地下資源利用契約の多くには

特定の定義がなかった。取り決められた定義がない場合、投資の定義は 2003 年 1 月 8 日まで施行されてい

たカザフスタン共和国法により規定されなければならなかった。 外国投資の定義は、法律「外国投資法（94 年 12 月 27 日付）」で行なわれていた。この法律は、カザフ

スタン経済への外国投資の誘致に関する法的・経済的な基本原則を定めたもので、政府による外国投資の保

護、実施の組織形態、外国人投資家が関係する争議の解決方法を規定したものだった。つまり、この法律に

よる投資の概念は、外国人の地下資源開発者のためのものだった。しかし、地下資源利用契約が発効した時

点で、多くの地下資源開発者は外国人投資家ではなかったため、外国投資法における投資の定義は、彼らの

地下資源利用契約には適用されなかった。法律第 75-1 号「直接投資の国家支援について（97 年 2 月 28 日

付））」により、直接投資の概念が確定されたが、それは投資全体に関する概念ではなかった。2000 年 3月 16 日に発効した投資家の権利保障に関する協定では、投資に関する定義がされている。しかし、この定

義もまた、国内地下資源開発者には適用されない。というのも、協定第 2 条によると、本協定が定める規

則は、投資の過程において 2 ヵ国以上の法的主体が参加している場合に適用される、となっているからで

ある。つまり、2003 年 1 月 8 日まで施行されていた投資法には、国内投資家を対象とした場合の投資の定

義が欠けていたのである。 民法典第 3 条 4 項によると、民法もしくは国家間協定に違反しない場合、民事関係は商取引習慣により

規定されることもあるという。上述の分析が示したとおり、2003 年 1 月 8 日まで施行されていた投資法、

および多くの地下資源利用契約に関する規程により、投資の概念は定義されていなかった。そのため、投資

の定義を確定するため、商取引習慣を適用する権利があると考えられる。地下資源利用契約の執行例を見れ

ば、鉱区における活動から利益を得るための地下資源開発者による全ての支出が、通常は投資と理解される

ことが分かる。これはエネルギー鉱物資源省によって承認された運営業務計画の規程でも裏付けられ、また

地下資源利用契約の規程でも間接的に裏付けられる。（出所：法律事務所Sayat Zholshy & Partnersテネロ

フ法律主任、ペトロリアム・アナリスチーチェスキ・ジュルナール2004年 12月第 6号） ３．鉱工業生産における計画、建設、採掘のライセンス 鉱工業生産分野におけるライセンス対象事業（サービス）に該当するのは、以下の通りである。 ・石炭、鉱石、非金属鉱物の鉱区に対する露天掘りおよび坑内作業による掘削・開発。 ・露天掘りおよび坑内作業による採鉱関連生産設備の機能強化。 ・採鉱基本作業、採鉱準備作業、採掘活動、竪坑の補強、落盤防止用支柱の設置。 ・採鉱関連特殊作業の実施（排水、探鉱、換気など）。 ・地下資源開発における鉱区測量作業。 ・掘削機械、ローダー、コンベア、鉄道および自動車両を用いた、鉱石および鉱物の破砕、積載、送付。 ・坑内空気の管理、換気。

・掘割の実施、山塊の掘削、露天掘りおよび生産現場における廃石の選別除去。 ・石炭の採掘、石炭生産の統廃合。 ・炭田の掘削および開発。 ・坑井および発破孔の掘削、爆破作業の準備および実施、爆破作業の機械化。 ・準備作業と浄化作業。 ・排水、乾燥、換気。山塊の輸送。電力供給、照明、通信、信号。 ・採鉱事業により損なわれた土地の土壌回復。 ・採掘場の浸水防止、防火作業。 ・機械による常時石炭採掘。パワーショベル、ブルドーザー、ローダーによる鉱産物の採掘。鉄道による鉱

物、鉱石、石炭の輸送。 ・砕石採石場における砂利用の石の採収作業。 ・採算の取れない鉱山および採掘場の閉鎖に際する清算作業。竪坑の埋め立て、採鉱設備の解体、堰の構築、

建物および建造物の解体、地表構造物の解体、表土の土壌回復。 ・採掘場の落盤防止用支柱の証明書および掘削、発破作業計画に関する、立案、検討、承認。 ４．鉱工業生産の計画に関するライセンス交付要件 申請者は、ライセンス交付申請書を提出する前に、その技能資格水準が当該活動分野において指定機関が

提示する要件を満たしているかを確かめる必要がある。 ライセンスの対象となる各活動分野の要件は、条例により認定される。 鉱工業生産建設プロジェクト事業の実施に対して提示される要件には、以下の点が含まれる。 ・事業の種類に応じ、法人の成員として、然るべき高等教育を受け 3 年以上の実務経験がある、もしくは

然るべき中等専門教育を受け 5 年以上の実務経験がある、技術責任者がいること。自然人の場合は、然る

べき高等教育と 3 年以上の実務経験、もしくは然るべき中等専門教育と 5 年以上の実務経験が必要とされ

る。 ・事業の種類に応じた、資材、技術、生産関連設備があること。この設備には、プロジェクトおよびプロジ

ェクト関係の品質管理システム、当該事業に関する国家基準一式、基準マニュアル、技術文書、手順書、図

面の作成および計算に必要な電子機器およびオフィスオートメーション機器、ソフトウェアが含まれる。 ・申請者が労働安全基準および環境基準の条件に一致していることを確認する採鉱技術・環境検査機関の鑑

定書。 ・申請者（ライセンス請求者）が法律で定められた前提条件および適合条件に一致していることを確認する

書類（資料）の鑑定および技術監査。 ・特別な種類のプロジェクト事業を実施するには、カザフスタン共和国法令に定められた手順に従い発行さ

れた然るべき許可を、自然人（法人の責任者）が有していることが求められる。 ５．鉱工業生産の建設事業に関するライセンス交付要件 鉱工業生産に必要な建設事業の実施に際し、必要とされる要件として、上述のものに加え、以下が求めら

れる。 ・事業の種類に応じ、提示される基準技術要求事項に一致する必要機材一式、荷役運搬機械、機械および装

置、備品、工具、装置が装備された、資材、技術、生産関連設備があること。

・実施事業の品質管理システム。技術基準文書に一致し、また法に定められた手順に従い委任された実験部

門。申請事業の実施に必要な検査機器。 ・安全管理および事故防止担当部門。 ・当該事業に定められた条件に一致した日常生産環境。 特別な種類の建設事業を実施するには、カザフスタン共和国法令に定められた手順に従い発行された然る

べき許可を、自然人（法人の責任者）が有していることが求められる。 ６．鉱工業生産の採掘に関するライセンス交付要件 鉱工業生産の採掘を行なう事業者に対する要件として、以下が求められる。 ・地下資源開発、安全管理、環境保護に関する基準条件に一致する、基本設計および生産計画。 ・以下の生産技術設備：生産工場、構造物（機械、装置、機材、ガス・石油管、ボイラー、容器、生産ライ

ン）。 ・製品、爆発・火災の危険がある物質、有毒物質、消火設備を保管するための、特別仕様の倉庫、収納設備

や容器。 ・採掘および設備、機材、装置、備品のメンテナンスを担当する部門。職業安全および環境保護に対する管

理担当部門。度量衡担当部門。地下資源開発における鉱区測量担当部門。 ・申請者が職業安全管理規則、環境基準に一致していることを確認する、採鉱技術・環境検査機関の鑑定。 ・所定の手続きにより確認された、安全な鉱区開発マニュアル、および生産現場における事故に際しての処

理計画。 ・然るべき教養水準、専門実務経験、技能資格を備えた、テクニカルマネージャー陣。作業規則および安全

規則の知識に関する技能資格検査をパスした専門家。

７．ライセンス交付の手続きと条件 ライセンスの交付に際しては、社会の安全、環境保全、市民の生活と健康を脅かさず、さらに、製品の品

質、作業およびサービスの質を保証する、生産条件が考慮される。 申請者の資格条件との一致は、所定の手続きにより委任された独立した法人また自然人が行なう査定評価

に基づき確認される。 上述の種類の活動に対しては一般ライセンス（無期限）が交付されるが、鉱工業生産の計画・建設分野で

事業を行なう外国の法人および自然人に対しては、具体的な建設対象に関する限定ライセンスが交付される。 ８．ライセンス交付に必要な書類 ライセンスの交付を受けるため、申請者は以下の書類を提出しなくてはならない。 ・カザフスタン共和国政府によって承認された、所定の書式による申請書。 ・申請者がライセンス事業の要件に一致することを記した書類。 ・特定の事業活動に従事する権利に対し、ライセンス料を納入したことを確認する書類。鉱工業生産の計

画・建設・採掘におけるライセンス交付に対する料金は、月次決算指標（MRP）の 10倍とする。 ・納税者登録証明書のコピー。 ・自然人の場合は、個人事業主登録証明書のコピー。 ・法人の場合は、法人国家登録証明書、法人の定款、法人の統計カードの各コピー。

・申請者が職業安全管理規則および環境基準に一致していることを確認する、採鉱技術・環境検査機関の鑑

定書。 ９．ライセンスの交付拒否 申請者が、ライセンス交付に必要な書類の提出手続きおよび条件に違反した場合、また審査の過程におい

て提出書類に誤記載が発見された場合、また裁判所の判決により申請者が当該事業に従事することが禁じら

れている場合、指定機関はライセンスの交付を中止することができる。 ライセンス交付の拒否に際しては、ライセンス交付に定められた期限内に、申請者に対して書面で理由を

含む回答が与えられる。 ライセンス交付拒否の理由が不服の場合、申請者は1カ月以内に、裁判に訴えることができる。 １０．ライセンスの返還、停止、失効 以下の場合、裁判によりライセンスの返還が求められることがある。 ・ライセンスに含まれる条件にライセンスの所有者が従わない場合。 ・ライセンス所有者がライセンスに基づいて行なっている事業への従事を、裁判所が禁じた場合。 ・ライセンス交付者がライセンスの効力を停止した理由が排除されない場合。 ・ライセンス交付に際し、ライセンス所有者が明らかに嘘の情報を提出した場合。 ライセンス交付者は理由を示せば、その効力を停止することができる。ライセンス所有者は、その効力停

止の決定に関して、裁判所に不服の申し立てができる。 ライセンスの効力が停止された理由が排除された後、ライセンスの効力は回復される。 次の場合に限り、ライセンスが失効する場合がある： ・ライセンスの有効期限が過ぎた場合。 ・ライセンスが交付された事業が全て完了した場合。 ・ライセンスが返還された場合。 ・ライセンスを自発的に交付者に返還する場合。 ライセンスの失効に関する争議は、裁判所で解決される。 （出所：カザフスタンの産業、2004年第 4号）

（3）銅、ニッケル、亜鉛、コバルト ＜カザフムィス・コーポレーション＞ カザフスタンの銅製造会社カザフムィス・コーポレーションは、科学生産合同ジェズカズガンツベトメト

の権利継承者である。主な事業内容は、非鉄金属鉱石の採掘、選鉱、精錬、銅の生産、金および銀の精錬、

化学生産、電力・熱エネルギーの生産、石炭の採掘である。 カザフムィス・コーポレーションは現在、カザフスタンの銅分野における全ての企業を統合している。

カザフスタン産の銅全体の約 90％を生産し、世界の銅生産大手企業の上位 10社に入り、生産される銅の半

分を中国に、残りの半分を欧州諸国に輸出している。なお、CIS地域では 大の銅製造会社である。 また、同社の構成には、強力な火力発電所 3 基とカラガンダ州の炭田も含まれる。近年、会社の資産は 4倍に増え、9億ドル以上と査定され、約 6万 8,000人が働いている。2001年には 3,970万トンの銅鉱石を採

掘した。純銅 41万 8,400トン、金地金 5,581キログラム、銀 65万 4,206キログラムが生産され、石炭 690万トンが採掘された。 同時に、カザフスタンで 大級の投資事業を行なっている。 近 5年間に 4億 5,000万ドルが生産に投資

され、2002 年の設備投資額は 1 億 6,000 万ドルを超えている（出所：2005 年 3 月 10 日付プロフェシオナ

ール）。 “Kazakhmys” Corporation Zhezkazgan, pl. Metallurgov 1, 477000, Tel.: +7 3102 748959 (Zhezkazgan), +7 3272 583326 (Almaty); Fax. : +7 3102 768247 (Zhezkazgan), +7 3272 657769 (Almaty). www.kazakhmys.kz ＜コッパー・テクノロジー＞ コッパー・テクロノロジーは、アクチュビンスク州フロムタウ地区において、銅・亜鉛鉱石の精錬をおこ

なう選鉱コンビナートの建設を計画している。まずは、選鉱コンビナートでは 10 月革命 50 周年記念鉱区

の銅･亜鉛鉱石の精錬を行なう予定である。同社の代表者が通信社に伝えたところによると、このプロジェ

クトは、コッパー・テクロノロジーがカザフムィスと共同で行なうことになっており、後者は技術援助を担

う予定である。精鉱コンビナートの建設は、採石場の開発、選鉱工場および粉砕選別工場の稼働開始からな

り、3億 3,000万ドルと評価されるフロムタウ地区の鉱床における銅･亜鉛鉱石開発投資プロジェクトの第 1段階にあたる。2005 年末までの完成を予定する第１段階の投資額は 1 億 2,100 万ドルである。工場の設備

および生産設計は、オウトクムプ・テクノロジー・ミネラルズが担当し、粉砕選別工場の設備は、サンドゥ

ヴィクが供給することになる。プロジェクトの第 2 段階では、ハイドロ・コッパー・テクロノジーによる

高純度銅製品の生産を行なうミニ工場（年間生産能力は、高純度銅 4 万トン）および貴金属抽出工場の建

設が予定されている。第 2 段階の投資額は 6,600 万ドルと見込まれ、2008 年までの完成が予定されている。

第 3 段階は、プリオル鉱区、ヴェセンノ・アラルチンスク鉱区、アヴァンガルド鉱区、クィズィル・キバ

チ鉱区における鉱山建設である。投資額は 1 億 3,000 万ドル、2018 年の完成を予定している（出所：2004年 11月 1日～5日付トゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェーリノエ・オボズレーニエ）。 第 4 段階では、電気亜鉛および亜鉛末を生産する工場が建設される。 終的には、 新設備および 新

技術の導入により、陰極銅、銅圧延材、貴金属、電気亜鉛の生産が可能となる。これらの製品は、外国での

需要が見込める。ちなみに、プロジェクト主催者の評価では、 新テクノロジーにより銅で 15％、亜鉛で

20～40％、貴金属で 15～25％の生産増が可能となり、また圧延材の生産費が年間 3,000 万ドル減少するこ

とを考慮して、製品の売上高が年間 1,800 万ドル増えることが予想される。この他にも、州の予算にも、プ

ロジェクトの実施により 初の 10 年間で年 500 万ドル、プロジェクトの終盤では年間 1,500 万ドルの税収

増が期待できる。新たに生産設備が建設されることにより、新たに 2,500 人分の雇用が創出されることにな

る（出所：2004年 11月 20日付インターファクス・カザフスタン）。

＜ポリメタル＞ ポリメタルは 98 年に設立された、貴金属採掘プロジェクトの管理会社である。現在、会社の構成にはロ

シアのスヴェルドロフスク州、ブリャート共和国、ハバロフスク地方、サハリン州、チタ州、マガダン州の

鉱業会社 5 社およびサンクト･ペテルブルクの計画研究所などが含まれている。同社は貴金属鉱床と探査地

区の 17のライセンスを所有している。 ポリメタルは、コッパー・テクノロジーと調印した協定を遂行するため、10 月革命 50 周年鉱区の含銅硫

化鉄鉱鉱床開発プロジェクトの立案に着手した。鉱床開発の効率評価プロジェクトには、収益を 大にする

ための採石場および採鉱の 適化に関する作業、主要生産設備の選定、採鉱の日程計画、鉱山輸送設備の経

済的評価などが含まれる。投資額 1 億 5,000 万ドルまでの建設プロジェクトを実現させる以降で、2005 年

第 4四半期の操業開始が予定されている（出所：2004年 4月 7日付カザフスタン･モニター）。 ＜ムズベリ＞ ムズベリは、英国オリエル・リソーシズのカザフスタンにおける子会社である。 地下資源の発掘調査を行なうために、すでにマルグラン研究所（アルマトゥイ市）から専門家が派遣され

ている。なお、鉱床の鉱石埋蔵量は少なく、約 1 億トンで、オリエル・リソーシズ代表部の考えでは、ム

ズベルが今後 25 年にわたって利益をあげるには、これで十分だという。ムズベリのボラトフ社長によると、

年間にニッケル 2万 5,000～3万トンおよびフェロニッケル 12万トンの採取を予定しているという。コスタ

ナイ州のメイステル第一副知事によると、同州は電力の殆どをトロイツクとルドゥニャの熱・火力発電所か

ら、そして、不足分をエキバストゥズで購入している。もし、カザフスタン産業商務省がこのプロジェクト

を承認すれば、早ければ 2005 年 1 月から約 1,500 人がコンビナートと工場町の建設に動員される（出所：

2004年 8月 22日付カザアグ）。 （4）クロム 英国のオリエル・リソーシズは、タイトル・トレーディングと、カルム・ファイナンスの株式 100％取得

に関する契約書を締結した。 2004年 11月まで、アクチュビンスク州のヴォスホッド・クロム鉱区はゲオインヴェストが所有していた。

2004年 11月 5日、プライベート・ポートフォリオ・マネージメントは、カルム・ファイナンスと、ゲオイ

ンヴェストの株式 100％の売却に関する契約書に調印した。オリエル・リソーシズ.のクルヅィン CEO によ

ると、同鉱区の獲得により、オリエル・リソーシズは価格にしてシェフチェンコ・ニッケル鉱区に等しい鉱

区の所有者となり、同社にとって、この獲得は長期的建設作業に向けた鍵となるものであるという。カル

ム・ファイナンスの購入価格は 2,500 万ドルである。プレスリリースでも発表されているように、オリエ

ル・リソーシズは 2005 年 4 月までにプロジェクトの技術経済評価の準備を終える予定である。現在、同社

は、カザフスタンでヴァルヴァリノ銅･金鉱区の開発も手がけている（出所：2004年 11月 29日付ビジネス

ニュース）。

（5）金 カザフスタンにおける主な金採掘プロジェクトは、400 トンの埋蔵量が見込まれるヴァシリコフ鉱区であ

る。オーストラリアのドミニオン・マイニング、カナダのプレイサー・ドム、テック・コーポレーション、

米国のファースト・ダイナスティー・マインズ、その他の民間企業が、94 年から開発を行なっている。し

かし、これらの企業はその後開発を中止し、ヴァシリコフ鉱区は 97 年に国有企業アルトゥイナルマスの管

理下に置かれた。2002 年に至るまで、生産者が関係を調整する必要があったこともあり、ここで採掘が完

全に実施されることは考えられなかった。しかし、開発プロジェクトにイスラエルのレビエフ・グループ

（Leviev Group）を取り込むという計画が持ち上がっている。同社は,、1億 3,400万ドルの投資を計画して

おり、新規会社はカザフスタンにおいて年 5～6トンの金を採掘する予定である。 また、東カザフスタン州の金採掘複合企業バクイルチクにおける大型プロジェクトについても述べる必要

があるだろう。ここの埋蔵量は約 200 トンに達し、鉱石に含まれる純金属の割合は 1 トン当たり 9.4g グラ

ムである。開発は、94 年に開始されたが、98 年 1 月に投資家が金の国際価格が低いことを理由に事業を停

止した。鉱区の複雑な地勢、極めて厳しい労働環境、労働者の効率の悪さも関係している。鉱区の所有に何

度か変更があった後、主要オーナーとなったのは、カナダのイヴァンホ・マインズ（旧インドシナ・ゴール

ドフィールズ）である。現在、同社は生産性の改善に 5 億ドル以上の投資が必要と考えており、2001 年 5月末には、同鉱区における金の採掘を、年間 0.62 トンの規模で再開し、将来的にはこれを 2 倍に増やす意

向であると表明した。 なお、2000年における輸出総額 96億ドルのうち、金は 1億 1,000万ドルと、わずかだった。 カザフスタンの金産業が持つ潜在能力は非常に大きなものである。現在の年間 12 トンを 4～5 倍に増や

すことも可能だろう。だが、この潜在能力を発揮するには、約 10 億ドルという巨額の外国投資を必要とし、

特に新しい鉱区の開発や、設備更新に投入する必要がある（出所：2002 年 1 月 9～22 日付コンチネント）。 ＜ヴァシリコフ・ゴールド＞

ヴァシリコフ・ゴールドは、2002 年 1 月 31 日に設立。株式の 60％がオランダのフルードゲイトに、残

り 40％がカザフスタン政府に属している。 ヴァシリコフ・ゴールドの主な事業分野は、種々の工業製品に用いる貴金属の生産を目的とした、鉱石、

その他の鉱物原料の採掘・精錬、工業生産用製品および日用品の生産および販売、貴金属、宝石、準宝石、

加工石材を用いた宝飾品の生産および販売、工業生産設備、インフラ設備の建設および稼働、取引、買付、

仲介業務、法人および個人を対象とした運送サービス、技術革新および投資活動、地質地理調査活動、法人

および個人に対する、現行法で禁じられていないサービスの提供、法の規定に従った対外経済活動などを行

なっている。 年間生産量は、約 1,000 キログラムで、生産は、露天掘り鉱山における金鉱石の採掘、建築用砕石の生産

などに分かれる。使用される鉱山用輸送設備は、掘削機械 EKG-5、掘削機械 SBSh-250MN、ブルドーザー

T-330、T-170、積載量 30～40トンのダンプカーBelAZなどである。。 ヴァシリコフ・ゴールドの 2004 年 1～9 月における粗金の生産量は、前年同期比 4.5%増の 716.5 キログ

ラムとなった。9 ヵ月間の商品価格は、現在の相場で 11 億 7,800 万テンゲとなる。同社では、粗金は精錬

加工され、高純度化され、2007 年までに金抽出工場を稼働させる予定でいる。これにより、年間に純金 8トンまでの生産が可能となる（出所：2004年 10月 15日付インターファクス・カザフスタン）。

ヴァシリコフ・ゴールドでは、生産性の高い金抽出工場の建設が予定されている。このプロジェクトが実

現すれば、金の生産量を年間 8トンまで増やすことが可能となる。 2004 年 7 月に、ヴァシリコフ・ゴールドとカザフスタン共和国エネルギー鉱物資源省は、地下資源利用

に関する契約書を締結した。これにより、契約の有効期限である 25 年間に、総額で 1 億 2,600 万ドルに上

る資本投資が行なわれることになる。このうち、採掘および精錬には 1億 1,800万ドルが投資され、また、

契約が発効して 初の 6ヵ月間のプロジェクト投資額は、4,500万ドルを予定している（出所：2005年 2月

19日アクモリンスク・プラヴダ）。 表 6．企業活動の主要指標

指標 単位 2002年 2003年 2004年 2003 年比

（% ） 生産量（製品、サービス） 1,000テンゲ* 1,372,018.0 1,628,759.0 1,515,939.0 93.1 課税前所得 1,000テンゲ* 178,548.0 352,478.0 226,416.0 64.9 予算への配分 1,000テンゲ* 170,225.0 311,580.0 281,856.0 95.1 人数 人 738.0 683.0 731.0 107.5 平均賃金 テンゲ* 25,953.0 35,175.0 34,565.0 99.5 2005年1月30日現在の株主 カザフスタン共和国財務

省国有財産および私有化委

員会 FloodGate Holding

- -

-

-

863,248.0 株 1,294,872.0 株

60

40

剥土 1,000 m³ 1,488.9 1,888.4 2,345.0 124.2 鉱石採掘量 1,000 t 1,284.1 1,509.1 1,570.0 104.0 金の生産量 キログラム 920.9 955.0 908.0 95.1

＊：1 ドル＝135.26 テンゲ。2005 年６月末付中央銀行公定レート。 出所：各種資料から作成 “SP “Vasilkovskoe zoloto” АО Legal address: Republic of Kazakhstan, 050020, Almaty, ul.Gornaya, 276, residence No.1 Actual address: Republic of Kazakhstan, 050013, Almaty, ul. Bukhar Zhirau 17 Tel. : +7 (3272) 92-50-41, 72-26-63, 72-29-63; Fax.: +7 (3272) 92-84-32 E-mail: inbox@vasgold.kz ＜ハンブレドン・マイニング＞ 英国のハンブレドン・マイニングは、カザフスタンのセキソフスコエ・ツェルコフカ金鉱区における露天

採鉱による開発を 2006 年春に開始する予定である。鉱区全体の金の埋蔵量は、280 万オンスと査定される。 金の年間生産量は 3万～3万 5,000オンスが見込まれている。露天掘り鉱山の開発期間は 6年である。

同社では現在、鉱区の残りの部分を開発するための坑内掘り鉱山の建設に関する技術的準備会を準備して

おり、方針の表明が 2005 年 6 月に予定されている。坑内掘りが開始されれば、鉱区における金の生産量は

11万オンスまで増加すると見られる（出所：2005年 3月 11日付インターファックス･カザフスタン）。 ＜TKA コーポレーション＞ カザフスタンの金採掘企業チャラルティンは、2004 年上半期に 966 キログラムの金を採取した。これは、

昨年同期より 711 キログラム多い。また、同社が同時期に販売した金の量は、前年同期が 118 キログラム

だったのに対し、460 キログラムとなった。同社の発表によると、この増加は精錬および生産量を拡大した

ことに関係しているという。また、2004年 7月末に、同社の主要株主の１つであるTKA コーポレーション

が、カナダの CIDEM から、ユーラシア・ゴールドの株式 57.7％を取得した。株式の代金として TKA コー

ポレーションは、CIDEM に対し、350 万ドル、ならびにチャラルティンの株式の 2％を渡した（出所：

2004年 9月 3日付インターファクス・カザフスタン）。 ＜セルティック・リソーシズ＞ 英国のセルティック・リソーシズ（以下、CRH）は、東カザフスタン州のスズダリ金鉱区における初生

硫化鉱物開発プロジェクトを実施するために、1,800 万ドルの融資の調達を計画している。CRH に属する

投資会社アレル（Alel）のスリヴァ社長は、このプロジェクトの実施に必要な貸付資金の調達先については

明言していないが、カザフスタンの銀行となる可能性も示している。同氏によると、現在、貸付契約書の細

部の詰めが行なわれており、これが終わってから融資の主要条件が公表されるという。 同氏によると、現在、CRH はスズダリ鉱区の硫化鉱物開発プロジェクトに関する技術・経済的アセスメ

ントの作成を終えるところである。このプロジェクトでは、硫化鉱物の年間処理能力 25 万トンの工場建設

が計画されている。ただし、この工場における鉱物処理能力は査定結果によっては、拡大の方向で修正され

る可能性がある。 この工場では、精錬において鉱物に有害不純物（砒素、硫黄）が含まれていることを考慮し、鉱物から金

の 80～90％までが抽出可能で、環境保護の観点から も妥当とされる、バイオリーチング法が採用される。

この方法の採用で成功を収めている世界 大級の金採掘企業である南アフリカのゴールドフィールズ

（Goldfields）から、必要な技術の提供を受ける予定であるという。 CRHは、酸化鉱物の追加原料供給源として、スズダリ鉱区から 30キロ離れたところにあるジェレク金鉱

の開発を開始する予定である。残りの酸化鉱物埋蔵量に約 4 トンの金が含まれるジェレク鉱区の開発に関

する抵当ライセンスを所有していた国内大手商業銀行と必要な契約書に調印したあと、CRH はこのプロジ

ェクトの過半数株式持分を獲得した。 スズダリ鉱区は 83年に発見された。当初、この鉱区は国有企業アルタイゾロトにより、85～94年に開発

が行なわれていた。95 年にセミパラチンスクのアレルがこの鉱区に参入したが、事実上、99 年まで鉱区の

開発は行なわれなかった。スズダリ鉱区で実際に作業が開始されたのは、外国人投資家が参入した 99 年の

ことである。 初の金インゴットが生産されたのは 99 年 12 月のことである。そして現在、アレルは計画

通り、3年で3トン以上の金を生産している。（出所：2003年 10月 12日付パノラマ）

（6）ウラン ＜カザトムプロム＞ カザトムプロムは、カザフスタン政府が運営しており、ウランおよびウラン化合物、原子力発電所用核燃

料、特殊設備・技術、二重用途物品の輸出入における独占企業である。同社は核燃料市場および希少金属市

場においてカザフスタンを代表する企業で、大統領令により 97 年 7 月 14 日に設立された。同社株式の

100％をカザフスタン政府が有している。従業員数は、約 1 万 6,000 人である。カザトムプロムの構成には、

ウルヴァ冶金工場、ヴォルコフゲオロギヤ、スチェプノエ鉱山管理局、ツェントラリノエ鉱山管理局、第 6鉱山管理局、マンギスタウ原子力エネルギーコンビナート、ツェントラリノエ鉱山管理局精製工場、ハイテ

クノロジー研究所が含まれている。 主な収入源の一つに、原子炉燃料の生産に利用されるウランの生産がある。2003 年の同社の天然ウラン

採掘量は前年比 8.2％増の 2,950 トンだった。2004 年の採掘量は 3,330 トンを見込んでいる。ジャキシェフ

社長によると、集中的生産発展プログラムを実施することで、2015 年までに天然ウラン採掘量は年間約 1万 6,000トンになるという。 カザフスタンの天然ウラン埋蔵量は約 90 万トンで、世界の埋蔵量の約 19％を占め、2010 年までに生産

量を 2 倍以上に増やすことが可能なだけの資源がある。現在、カザトムプロムは、第 6 鉱山管理局、スチ

ェプノエ鉱山管理局、ツェントラリノエ鉱山管理局の協力を得て、確認埋蔵量が合計で 11 万 7,000 トンに

なる 7 つの鉱区（ウヴァナス、ヴォストチヌィ・ムィンクドゥク、カンジュガン、ユジヌィ・モインクム、

セヴェルヌィ・カラムルン、ユジヌィ・カラムルン、アクダラ）で採掘を行なっている。ウラン資源の多く

が、現在まだ開発が行なわれていないツェントラリヌィ・ムィンクドゥク鉱区（天然ウラン埋蔵量 8 万

1,000 トン）、ハラサン鉱区（同 16 万トン）、インカイ鉱区の一部、カザトムプロムの地下資源利用契約

には含まれないカメコ鉱区（同 13 万トン）、ブデノフスク鉱区（同 30 万トン）に集中している。カザト

ムプロムの集中的発展プログラムの枠内で、南カザフスタン州のブデノフスク鉱区およびムィンクドゥク鉱

区におけるウラン採掘のために、7 つの新規鉱区の開発が予定されている。各ブロックでは、年間約 1,000トンのウラン採掘が計画されている。 カザトムプロムにおける今後の資金調達とウラン製品の販売を確保するために、採掘から 終消費まで一

貫した垂直統合システムを持つ中国核工業集団公司、ロシア連邦原子力省、ドイツのヌケム、日本の伊藤忠

商事、韓国企業 KORESと、合弁会社の設立に関する交渉が行なわれている（2005年 3月 11日付カザフス

タンスカヤ･プラウダ）。 合弁会社カトコは、モインクム鉱区における低濃縮ウランの試験的生産を開始している。 初の製品ロッ

トは 2001年末に完成し、2002年初めには国家審査を通過した。第一段階における年間生産量は 100トンを

超えないが、順次、1,000 トンまで拡大する予定である。モインクム鉱区におけるウランの確認埋蔵量は 2万～2万 7,000トンである。 また、ウスチ･カメノゴルスク市では、ウルヴァ冶金工場をベースとした米国との合弁会社も設立されて

いる。この合弁会社では、原子力発電所用燃料としてウランを加工する 新技術が使用される。米国側の代

表は、この合弁会社を米国の原子力産業にとって極めて重要なものと見なしている。ここで、カザトムプロ

ムは、カナダのカメコなど欧米企業と共同でベリリウムやニオブの地金を生産する意向である。

98 年にはカザトムプロムにより、ウラン採掘分野の発展プログラムが策定された。新しい鉱山・鉱床の

発見と建設が、プログラムの 重要方針の一つに加えられた。このプログラムでは 3 つの事業方針が定め

られている。 １． 収益性を向上させるため、製造費用の削減、 新技術や設備の導入による採掘量の拡大、市場メカ

ニズムの導入、ウランの探査・採掘にかかる合弁会社の設立、イルコリ鉱山およびセミズバイ鉱山を含む新

しい鉱山の建設。専門家の見方では、これら全ての措置により、ウランの生産量および輸出量の大幅な拡大

が可能となる。 ２． 消費者との長期契約に移行する。このため、外国企業および原子力発電所の口座を開設し、ウラン

原料加工分野での協力関係を発達させ、新しい種類の原子炉燃料の生産を行なう。 ３． 燃料集合体の製造業者と直接コンタクトを取り、商品の精製度を上げる。より精製度の高いウラン製

品の製造および販売が計画されており、これにより、多額の追加収入を得ることが可能になる（出所：

2003年 9月 26日付アジア・イ・アフリカ・セヴォードニャ）。 カザトムプロムは、2007 年までに世界 大級のウラン供給者となる意向を表明した。同社のジャキエフ

社長は、バルハシ湖に原子力発電所を建設する可能性にも触れ、カザフスタン政府はこれを肯定的に評価し

ているが、原子力発電所建設の具体的な計画や予定は何も決定していないと述べている。（出所：2003 年

10月 10日付 nuclea.ru）

＜カトコ＞ カトコは 96年に設立され、株式の 45％をコゲマ、45％をカザトムプロム、10％をザンベジ・ホールディ

ングスが所有している。99 年 3 月に、カトコはモインクム･ウラン鉱区の南区画とトルトクドゥク区画の開

発に関する 2 つのライセンスを得た。ライセンスの有効期限は 25 年間である。政府との地下資源利用契約

は 2000年 3月に締結された。ウランの採掘は、深度 500メートルまでの地下において酸浸出法で行われる。

鉱石のウラン含有率は 0.05％である。モインクム鉱区のウラン埋蔵量は 2万～2万 7,000トンと評価される。 これらの企業は、モインクム鉱区開発の技術・経済的アセスメントの確認作業で基本的に合意し、事業を

継続することになったが、プロジェクトの内容について意見の対立が見られた。カザトムプロムはコゲマに

対し、プロジェクトに 1 億ドルの融資を続けることを提案した。この他にも、カザトムプロムは、モイン

クム鉱区地域内に同社が建設する精製工場で、鉱山の生産物、天然ウランの化学精鉱を精製し商品化するこ

とを計画している。 コゲマは、プロジェクトの継続には賛成しているが、投資額に応じて合弁会社におけるそのシェアを増や

すよう要求している。また、天然ウランの化学精鉱の精製は、世界各国で行なわれているように、鉱山で直

接行われるべきだと考えている。 カトコのジャクスバエフ氏によると、2 つのシナリオが想定されているという。１つは、鉱山における原

料の精製、もう１つはカザトムプロムの精製工場における精製である。合弁会社における天然ウランの化学

精鉱の試験的年間生産能力は 100 トンである。カトコの操業条件について、創設者の間で合意に至ってか

ら 1年以内に工場が鉱山に建設されること、そこから 2年以内に設計生産能力の 1,000トンを達すること、

高山の生産量が 1,500トンまで拡大される可能性があることが、プロジェクトでは想定されている。（2003年 5月 22日付カザフスタンスカヤ･プラウダ）

＜カメコ＞ カナダのカメコとカザトムプロムは、合弁会社インカイを創設し、インカイ・ウラン鉱区における共同開

発計画を発表した。カメコの発表によると、合弁会社の株式の 60％をカメコが、40％をカザトムプロムが

所有している。鉱山建設への設備投資額が 3,800 万ドルに上るプロジェクトについて、その技術・経済的ア

セスメントの結論が指導部によって承認された。カザフスタン共和国核安全保障管理機関によるプロジェク

トの承認を得たのち、2007 年に鉱区における生産が開始され、2009 年までに年 260 万ポンドのウランを採

掘するようになると予想されている。カメコの査定では、インカイ・ウラン鉱区におけるウランの確認量お

よび推定量は、9,150万ポンドで、30年以上の採掘が可能である。 隣接地域における鉱床の可能性を調査するために、追加探査の実施も欠かせない。カメコは、建設作業

の 2005年初めの開始を予想し、2003年に 20万ポンドの混合酸化物U3O8が生産され、2007年までには年

間 600万ポンドの U3O8が生産される見込みである。2004年 4月 5日にカザフスタン共和国エネルギー鉱

物資源省のシコルニク相が議会で表明したところでは、カザフスタンはウラン輸出国の間における国際的リ

ーダーになることを計画しているという。同氏は「我々は、ウランの生産量を年間 1万 2,000トンまで拡大

し、国際市場で大きなシェアを獲得する意向である。このため、ザレチノエ鉱区、ツェントラリノエ鉱区、

マイクドゥク鉱区に新たにウラン鉱山を建設し、またスチェプノゴルスク鉱山管理局とツェントラリノエ鉱

山管理局に精製工場を建設することが予定されている」と述べた。同氏の考えでは、ウラン価格が安い現状

で競争力を確保するためには、大手企業による輸送区間の縮小も必要である。また、カザフスタンはウラン

鉱床の探査活動を今後も継続する意向であり、ウラン鉱石の輸出に留まらず、カナダや米国の原子力発電所

用の生産も検討しているという（出所：2004年 4月 2日付ゴールノエ・ジェーラ）。 （7）希少金属 ＜フォトヴォルタイク・ホールディング＞ 高純度ケイ素の生産を行なうカザフスタン･ドイツの合弁会社を設立するという決定は、未だにされてい

ない。イルティシ希土類会社のバビッチ社長によると、生産現場ではすでに 1 年にわたってケイ素製品の

生産作業計画が練られており、 終的な契約の調印は、ドイツにかかっているという。 相互協力関係が構築されない中、新たな状況が持ち上がった。珪岩鉱床を所有するカラタス・アバドが、

このプロジェクトからの脱退を表明したのだ。新たにパートナーとして、ウシュトベが選ばれた。 プロジェクトの主要投資家であるドイツのフォトヴォルタイク・ホールディングは、新しいパートナーと

交渉を行い、このプロジェクトの技術面での協力者であるカザフスタン国立技術大学と再び交渉を行なって

いる。 生産者に対するカザフスタン国立技術大学の支払いの問題も、解決していない。現在、同大学にはイルテ

ィシに対し、作業代金として 200 万テンゲの借金がある。カザフスタン産ケイ素の試験生産に必要な支出

は全て、発注者自らが負担したのである。 イルティシのバビッチ社長によると、この問題については、以前、同社を視察訪問した東カザフスタン州

のハラプノフ知事が協力を約束したという（出所：2005年 2月 21日付プロフェシオナール）。

（8）石炭 カザフスタンの石炭分野は、変革の時を迎えている。2002 年末時点で、世界の石炭の確認埋蔵量は、

9,845 億トンで、 新の採掘技術を用いれば、200 年以上の生産が可能な量である。英国 BP 社の統計によ

ると、2002年末時点で、カザフスタンには 340億トンの石炭の確認埋蔵量があり、米国（2,500億トン）、

ロシア（1,570 億トン）、中国（1,145 億トン）、インド（844 億トン）、オーストラリア（821 億トン）、

ドイツ（660 億トン）、南アフリカ（495 億トン）、ウクライナ（342 億トン）に次いで、世界第 9 位とな

っている。 カザフスタンの石炭埋蔵量の多くが、無煙炭および石炭である。特に埋蔵量が多いのが、カラガンダ炭田

（総埋蔵量 520億トン、確認埋蔵量 140億トン）、エキバストゥズ炭田（120億トン）、ウバガン・トゥル

ガイ褐炭田（400億トン）である。 カザフスタンの石炭輸出量は、97 年には 2,480 万トンだったのが、99 年には 1,680 万トンまで減少した。

しかし、2000 年には 2,510 万トン、2001 年には 2,790 万トンまで増加し、2002 年には再び 2,430 万トンま

で減少した。輸出量の増減は、主にロシアの石炭政策と関係している。主にロシア向けとなっているカザフ

スタンからの石炭輸出に対し、ロシアの石炭業界が激しく抵抗しているためである。しかし、その後、石炭

輸入制限は撤廃され、現在は、カザフスタン産石炭の輸出に対する特段の制限は設けられていない。欧州向

けの輸出量は、2001 年が 68 万 4,000 トン、2002 年が 134 万 2,600 トンとなった。2001 年にはフィンラン

ドが 31万 8,500トン、オランダが 14万 4,600トン、ルーマニアが 6万トン、ポーランドが 4万 7,100トン

を輸入した。2002 年にはルーマニアがトップになり 79 万 9,600 トン、ポーランドが 28 万 1,000 トンを輸

入した。2003 年には、チェコとトルコが、カザフスタン産石炭の輸入を開始した。アクタウ港とポチ港を

経由する新しい鉄道の敷設により、トルコおよびルーマニア市場向けのカザフスタン産石炭の供給を、より

採算性の高いものにすることができるようになっている。また中国市場の開拓準備も必要だ。近い将来、採

算の取れない炭坑の閉鎖と一般的な需要の拡大により、中国は石炭の輸出国から輸入国になると見られてい

る。カザフスタンはこの問題を注意深く考慮し、その輸出政策に反映させる必要があるだろう（出所：･

2004年 4月 30日付カザフスタンスカヤ・プラウダ）。 ＜ボガトゥイリ・アクセス・コミール＞ ボガトゥイリ・アクセス・コミールは、米国のアクセス・インダストリーズの子会社であり、96 年から

エキバストゥズのボガトゥイリ炭鉱における複合資産を所有している。現在は、ロシア統一エネルギー機構

（UES）との合意により、セヴェルヌィ炭鉱も管理している。2001 年には、両炭鉱で、約 3,500 万トンの

石炭が採掘された。 2003年に同社は、約 28億テンゲ（約 2,100万ドル）の設備投資を予定している。2003年 1～2月に同社

によって供給された石炭は前年より 52 万 3,000 トン多い、630 万トンとなった。2003 年は、3,000 万トン

まで拡大する計画である。そのためにも、石炭採鉱技術の改善や採鉱設備の刷新が必要である。 2003 年は、石炭の均質化を伴うボガトゥイリ炭鉱における集中的採鉱作業プロジェクトに基づいた事業

が続けられる。これは、非常に長期におよぶプロジェクトで、実現のために約 15 億テンゲ（約 1,100 万ド

ル）が投入される予定である。同社は 2003年だけで、設備刷新に約 28億テンゲ（約 2,100万ドル）を投入

する意向である（出所：2003年 3月 15日付カザアグ）。

＜コスタナイ・ミネラル＞ コスタナイ・ミネラルは、クリソタイル・アスベスト鉱物の採掘および選鉱を行なう、カザフスタンで唯

一の企業である。ロシアのオレンブルグ・ミネラルと共に、国際企業ユナイテッド・ミネラルの傘下に入っ

ており、ユナイテッド・ミネラルは、クリソタイル・アスベストを年に 55 万トン生産するこの分野で世界

大の企業となっている。 コスタナイ・ミネラルはジェティガラ鉱床をベースに設立され、65 年に操業を開始した。主要事業は、

クリソタイル・アスベスト鉱物の採掘および選鉱、そしてこれを基にしたアスベスト商品の生産である。コ

ンビナートは、国際規格に適合したクリソタイル・アスベストを年間に 40 万トン以上生産する能力を持つ。

従業員数は 3,600人である。 Legal address: Kostanaiskyay obl. Zhitikara, ul.Lenina, 67 President AO“Kostanaiskie mineraly”: Zhusupov Kanat Kuatzhanovich Tel.: +7(31435)2-44-45 e-mail: Zhusupov@asbest.kz http://www.asbest.kz 3－3．鉄鋼 鉄鋼生産において、カザフスタンは世界 28 位であり、2002 年には約 500 万トンが生産された。2003 年

までは、イスパト・カルメトがこの分野の完全独占企業だった。同社では鉄鋼の生産量を、2002 年の 380万～390 万トンから、2003 年には 420 万トンまで拡大する予定である。しかし、2002 年 12 月 7 日、カザ

フスタンでは、総費用 4,000 万ドルをかけた新しい製鉄工場カスティング（Kasting）が操業を開始するに

至り、状況は変わってきている。 組織的にも技術的にも高度に近代化されたカザフスタンの鉄鋼業は輸出に重点がおかれており、そのレベ

ルはロシアを遥かに超えている。カザフスタン産鉄鋼の主な貿易相手国は、中国、ロシア、イラン、欧州諸

国であり、約75カ国がカザフスタンから鉄鋼を輸入している。 カザフスタンでは、鉄鋼の国内需要はとても低く、アスタナ、アルマトゥイ、アクタウ、アティラウなど

の都市部における建設産業での需要に限られている。機械工業分野における需要はこれより少ない。2003年には、カザフスタンで国の中心部と西部地域を結ぶ新しい幹線鉄道の建設開始が予定されている。これに

関連し、ニジネタギルの冶金コンビナートでは、鉄道建設に使われる鉄材の供給が検討されている。 ロシアおよびカザフスタンの鉄鋼業は非常に密接に連携している。両国間では、ソ連時代から大量の鉱業

原料、金属、インゴットの相互供給関係が続いてきた（出所：2003 年 1 月 25 日№1～2 メタルルギーチェ

スキイ・ビュレテン）。 ＜イスパト・カルメット＞ 95 年、カラガンダ冶金コンビナートは、インドの LNM グループによって買収され、イスパット・カル

メトと改称した。2000年には投資額が 6億 5,000万ドルに達し、2007 年までに LNM グループは、イスパ

ト・カルメトの産業資金として約 5 億 8,000 万ドルを投資する計画であり、資金の投入額は合計で 10 億ド

ルを超える見込みである。 イスパット・カルメットは、商品を約 60 カ国に輸出している。中国に 4 事務所を構えており、他にもド

バイ、テヘラン、イスタンブール、ウィーン、モスクワ、シンガポールに事務所を置いている。LNM グル

ープの一員であるシカゴの研究所のスタッフが積極的に協力し、消費者が求める品質レベルに対応するため、

新製品開発を行なう専門グループも設置されている。同社は、コークス化学生産部門、焼結生産部門、溶鉱

炉部門、製鋼生産部門、転炉部門、圧延生産部門、熱電併給火力発電所、石炭部門などから構成されている。

（出所：2004年 9月 24日付パノラマ） ISPAT KARMET”, ОАО, Representative office . Almaty, ul. Luganskogo, 19 А Tel.: 503581, 503580 Fax.: 503584 ＜マグニトゴルスク冶金コンビナート＞ コスタナイ州に位置する株式会社ソコロヴォ・サルバイ採掘･選鉱生産合同は、鉄鋼生産における高品質

原料であるメタルブリケットおよびメタルペレットの生産工場を、カザフスタン国内に建設することを計画

している。工場の年間生産能力は 150 万トンとなる見通しだ。建設費用は 3 億 5,000 万ドルと見込まれ、

2006年の操業開始が予定されている。 年間に鉄鋼 1,150 万トンおよび圧延材 1,027 トンを生産するマグニトゴルスク冶金コンビナートと、業務

提携を行なう可能性も示唆されている。現在、ソコロヴォ・サルバイ採掘･選鉱生産合同は、マグニトゴル

スク冶金コンビナートに原料全体の約 70％を供給している。合弁会社が設立された場合には、マグニトゴ

ルスク冶金コンビナートが 2005 年に操業開始を予定している電気製鋼炉用の原料としてカザフスタン産の

ブリケットを使用する可能性もある（出所：2004年 10月 1日付インターファクス・カザフスタン）。 Sokolovsko-sarbaiskoe ore mining and processing enterprise, АО Address: 459120, Kazakhstan Kostonaiskaya obl. Rudnyi ul. Lenina 26 Tel.: (31431) 2-80-12, 2-89-00, 2-77-04 Fax.: (31431) 4-36-17, 4-36-16 3－4．非鉄金属 ウスチ･カメノゴルスク・チタン・マグネシウム･コンビナート（UKTMK） 2004年 1月 26日、ウスチ･カメノゴルスク・チタン・マグネシウム･コンビナート（UKTMK）の国家保

有株初回分の売却が行なわれた。売却された国家保有株は、10 万 7,910 株である。これは払込株式資本の

10％、もしくは議決権株式数の 11.11％に相当する。国家保有株は全体で払込株式資本の 15.5％、もしくは

議決権株式数の 17.22％になる。株式は 557万ドルで売却された。

国家保有株として売却された UKTMK の株価が、カザフスタン証券取引所史上 高の高値となったとは

いえ、会社全体の価格は世界の競争相手より遥かに低く査定されている。 UKTMK の現在の資本見積が低いのは、会社に対する影響力が小さく投資家の強い関心を引くには至ら

なかった、少数株主持分の売却によるところが大きい。 なお、チタン分野の成長回復は 2005 年までは期待できないと、専門家は見ている。チタン製品の生産に

特に重点を置く米国企業は、戦略的投資家と見なすことができるだろう（出所：2004年 1月 19～23日付ト

ゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェーリノエ・アバズレーニエ）。

UstKamenogorskTitanium-Magnesium Combine(UKTMK) Vostochno-Kazakhstanskaya obl., Ust-Kamenogorsk, p. Novaya Sogra, 492028 Tel.: (3232) 40-77-07, 33-66-03, 33-66-00 Fax.: (3232) 64-00-83, 33-02-40 Teletype: 139149 “OREL” （1）アルミニウム ＜ユーラシア金融・工業会社＞ ユーラシア金融・工業会社は 94 年に設立され、鉱業会社、電力会社、そしてカザフスタン 大のユーラ

シア銀行を所有している。グループ唯一のアルミニウム生産設備は、年間 150 万トンのアルミナ生産能力

を持つカザフスタン・アルミニウム社（旧パヴロダル・アルミナ工場）である。グループ企業の財務指標は

公表されていない。CIS 諸国研究所のグルジン氏は、ユーラシア金融・工業会社の年間売上高を 30 億～40億ドルと見積もっている。また、マシュケヴィチ、ショディエフ、イブラギモフといったカザフスタンの大

資本家 ３人も参加している。また、カザフロムやカザフスタン・アルミニウムなど、鉱石採掘精練関連の

企業の多くがこの管理下に入っている（出所：2004年 7月 23日付コメルサント）。 アルミ地金の生産で世界のトップ 3 に入るロシアのルスアルとユーラシア金融・工業会社が、それぞれ

50 万トンおよび 150 万トンの年間生産能力を持つ、アルミニウム工場およびアルミナ生産工場をカザフス

タンに建設する予定である。ルスアルによると、既に両社は覚書に調印したという。予定投資額は約 30 億

ドルと伝えられている。約 10 億ドルとされるプロジェクトの枠内で行なわれる作業のために、カザフスタ

ン業者が雇われる。 工場の第一期工事は、合弁会社が登録された時点から 1 年半以内の開始が予定されている。年間生産能

力 25 万トンとなるアルミニウム工場の第一期分は着工日から 3 年半以内に完成し、第二期分は、第一期分

が稼働した時点から 2 年以内に完成する予定である。年間生産能力 150 万トンのアルミナ工場の稼働開始

は、着工から6年以内を予定している。 カザフスタンにとって、こうした合弁会社の設立は、約 9,000 人が働くことになる国際レベルの企業の誕

生というだけでなく、国際アルミニウム市場への本格参入をも意味する。「アルミニウム産業における国際

的リーダーの一員であるルスアルとの提携は、カザフスタンの産業全体の発展にとっても強力な刺激とな

る」と、ユーラシア金融・工業会社のマシュケヴィチ氏は述べた（出所：2004年 4月 20日付カザアグ）。

＜アルミニウム・カザフスタン＞ アルミニウム・カザフスタンは、国内で唯一のアルミナ生産会社である。2003 年の生産量は、前年比

2.5%増の 141万 6,000トンだった。カザフスタン・アルミニウムの国家保有株 31.76％を 31億 9,100テンゲ

で購入したスイスのコリカは、パヴロダル州にアルミニウム製錬電解工場を建設することを約束した。年間

生産能力 6 万トンとなる工場は、2007 年 12 月 31 日までに操業を開始することになっている。 近、カザ

フスタン開発銀行は、3億ドルまでの貸付融資を行なう準備があることを表明した。 コリカは、ロシアおよびアフリカ諸国で鉱業、冶金、石油分野の大型プロジェクトを実施する、J&W

Holding AG企業グループに加わっている。 国有財産委員会第一副議長で入札委員会議長のウテポフ氏によると、コリカが、アルミニウム・カザフ

スタンの国家保有株の 31.76％を落札した。同氏によると、国家保有株は開始価格 30億 4,000万テンゲで、

コリカが 31 億 9,100 万テンゲで落札した。国家保有株の希望者は 6 社、このうち 2 社が中国、4 社が欧州

の企業だったが、魅力のある投資プログラムと十分なアルミニウム生産工学を提示したコリカに利があった。

コリカは年間生産能力 24 万トンの工場の建設を引受け、またカザフスタンの生産業者からアルミナと電力

を購入することを約束した。第一段階は生産能力 6万トンで、2007年 12月に操業が開始される予定となっ

ている。プロジェクトの実現から国が税金の形として得られる利益は、年間 6,710 万ドルと予想され、工場

の建設に 3,500人を投入する意向である。工場では 2,000人が働くことになる（出所：2003年 4月 16日付

カザフスタン・トゥディ）。

“Alyuminiii Kazakhstana” АО Pavlodar 140013 Representative office of АО “Alyuminii Kazakhstana” in Astana pr. Abaya 193 Tel.: 8-3172-152859 Representativ office of АО “Alyuminiii Kazakhstana” in Almaty ul. Gogolya 109-1 Tel./Fax.: 8-32-72-79-42-04 （2）銅、ニッケル、亜鉛、コバルト カザフスタンの非鉄金属産業では、銅が主要な位置を占め、カザフムィス・コーポレーションの独占状態

となっている。 90 年代半ばから、カザフムィス・コーポレーションは、ジェズカズガン冶金コンビナート、バルハシ鉱

石採掘精練コンビナート、東カザフスタン銅化学コンビナート、イルティシ銅精錬所、その他の鉱業会社な

ど様々な会社を吸収してきた。現在は、その生産設備の多くを近代化し、年間に約 42 万トンの銅を生産し

ており、そのほとんどを輸出している。 同社は、世界の大手銅生産会社の中で 9 位を占めている。銅の国際市場に占める同社の輸出シェアは

2.73％、CIS諸国では 31.7％に達している（出所：2003年 1月 25日付メタルルギーチェスキイ・ビュレテ

ン）。

＜カズツィンク＞ カズツィンク（Kaztsink）は、カザフスタンにおける亜鉛の大手統合生産企業で、約 2 万 1,000 人が採鉱、

選鉱、冶金の各部門、また電力生産や機械生産部門で働いている。 ウスチ・カメノゴルスク鉛・亜鉛コンビナート、レニノゴルスク多金属コンビナート、ズィリャノフスク

鉛コンビナートといった、東カザフスタン州の主要な非鉄金属生産会社 3 社の資本を統合して、97 年に設

立された。これら 3 社の主要株主はカザフスタン政府で、政府は投資家を惹きつけるために、ブフタルマ

水力発電所の長期使用権を与えた。その後、カズツィンクの株式の過半数は民間企業に売却され、スイスの

グレンコール・インターナショナルが主要投資会社となっている。 これまでに、カズツィンクは生産能力を大幅に拡大し、また、製品の生産もあらゆる方面に広げるなど、

成長を続けている。回転資金としてカズツィンクには、グレンコール・インターナショナルの資金、約 1億ドルが常に準備されている。技術、ならびに生産工程の改善が行なわれ、投資プログラムが積極的に実施

されている。 カズツィンクの投資プログラムでは、原料供給源の確保に重点がおかれている。これには、2002 年に年

間鉱物生産量 225 万トンに達したマレエフ鉱山の開発、チシン鉱山の年間生産量を 125 万トンの水準で安

定させるための措置、リッデル・ソコール鉱山の新しい金鉱石鉱体の開発などが含まれており、これらの課

題については、既に遂行されている。現在の冶金生産設備の稼働率が限界に達したため、カズツィンクは製

錬設備の改修作業を広げ、冶金工場の生産能力を 大レベルにすることを決定した。こうして、亜鉛工場を

拡大することにより、2003 年の亜鉛生産量は 27 万 6,000 トンに達する見込みである。主要な生産機能を維

持するために、生産工程に対するエネルギー資源の大量投入、環境対策、補助的生産が必要である。企業全

体を環境基準に一致させるために、カズツィンクでは 6年で 2,400万ドルが費やされ、2003年には 1,900万

ドルの支出が予定されている。ブフタルマ水力発電所の改修には 6 年で 1,500 万ドルが投入され、2003 年

には 200万ドルの投入が予定されている。 2004 年 4 月にカズツィンクは、ウスチ・カメノゴルスクに位置するオプトゥイヌイ鉛工場の株式 98％を

獲得した。これまでは、プロムインヴェスト社とカザフスタン投資基金が、同工場の主要オーナーだった。

この買収は、プロジェクト事業および調査事業の改編を目的としたものである。現在、カズツィンクは、東

カザフスタンのリッデル、ズィリャノフスク、ウスチ・カメノゴルスクの 3 都市に、プロジェクト部門お

よび調査研究所を置いている。プロジェクト設計部門と調査研究所を統合することにより、作業の効率化が

図れ、近代的なプロジェクト・調査センターの設立が可能となる（出所：2004年 4月 9日付パノラマ）。

出所：2004年 4月 9日付パノラマ “Kaztsink” AO ul. Promyshlennaya, 1 492020 Ust-Kamenogorsk Republic of Kazakhstan http://www.kazzinc.com e-mail: uk_office@kazzinc.com

表 ７ ． 投 資 内 訳 （ 2 0 0 3 年 7 月 時 点 ) （ 単 位 ： 1 0 0万 ド ル ）

投 資 分 野 金 額マ レ エ フ 鉱 山 お よ び 選 鉱 工 場 1 1 7チ シ ン 鉱 山 お よ び 選 鉱 工 場 4 9冶 金 工 場 3 4 . 7環 境 対 策 2 4そ の 他 5 9 . 8

計 2 8 4 . 5

Tel.: +7 (3232) 291001 Fax.: +7 (3232) 291355 http://www.kazzinc.com ４．加工業 カザフスタン投資基金のカキンジャノフ代表によると、カザフスタンの加工産業には対する投資が不足し

ており、外国人投資家は、カザフスタンのエネルギー分野以外の発展にはそれほど関心を持っていない。生

産段階に入るまでの時間がかかるため、利率の小さな貸付資金を利用したとしても、3～5 年は利益が確保

できない可能性があるからである。同氏は、カザフスタン投資基金が、中小の輸入代替プロジェクト 13～16件の投資案件に対し、1億 5,000万ドル程度の援助をする方針を提案している（出所：2004年 1月 19日

付カザフスタンスカヤ・プラウダ）。 ＜カザフ・イラン機械製造工場＞ 合弁会社カザフ・イラン機械製造工場のダウト所長によると、レンゲル機械製造工場とイランの民間資本

が、同工場の株式を折半しているという。イラン側は、2,300 万テンゲを生産に投資し、カザフスタン側は

評価額約 2,000 万テンゲの固定資本を行なう。現在、工場では様々な種類の折板を生産するラインの設置作

業が行なわれている。原料は全てカルメトコンビナートが供給し、製品は国内市場およびイラン、アラブ首

長国連邦（UAE）、ウズベキスタンに発送される予定である。また、機械製造用機材、機材用パーツ、成

型加工品、パイプ、農業用パーツの生産ラインも設置される予定である。全てのラインがイランの技術であ

り、カザフスタンに同様の技術はこれまでなかったと、アフメトフ CEO は強調している。工場で生産され

る製品の種類は、全部で 35 種類である。なお、工場が直面した問題の一つに、熟練した旋盤工や修理工と

いった技能労働者の不足が挙げられる。このため、同社では、自力で専門家の育成を始めている。78 人が

勤務しており、平均賃金は7,000テンゲである（出所：2001年 9月 1日付 シムケン・カズ）。 自動車製造、部品製造 ＜トヨタ・センター・アルマトゥイ＞ トヨタ・ジェトゥイスは、カザフスタンのブトゥイヤ・オートと日本の豊田通商が投資する合弁会社トヨ

タ通商ブトィヤのブランド名である。オートセンターのアイデアを実現するのには 3 年かかった。実際は、

パートナー同士、またカザフスタンの建設専門会社との調整に 2 年が費やされた。これは、カザフスタン

の国家保証なしに、日本の民間企業がカザフスタンに投資した初のケースである。プロジェクトへの投資額

は、合計で 300 万ドルを超える。必要な書類を全て揃えた後、オートセンターの建設は 9 カ月という記録

的に短い期間で行なわれた。そして 98 年 10 月、トヨタ・ジェトゥイスは操業を開始した。サービスセン

ターは、面積が 1 万平方メートル、日本の販売センターの優れた基準を完全に満たしており、この点は、

日本の専門家による特別審査で承認されている。この審査に基づき、トヨタ・ジェトゥイスはオープンした

その日に、正式に国家による認証を受けた。

自動車サービスを行なうための認証とは、サービスセンターの立地条件、スペースの機動性と 適性、ト

ヨタ自動車の求める水準に一致した設備、特別に訓練された技師や機械工で組織されたサービス対応チーム、

明確な顧客志向、日本式マネージメントのノウハウなどを含む、広い概念を意味する。これら全ての要素が

満たされていれば、顧客は質の高いサービスを確実に受けられるだけでなく、トヨタ自動車による品質保証

も得られるのである。 Toyota Center Almaty” Almaty Suyunbaya 151, 480018 Tel.: (3272) 30-29-95, (3272) 30-29-96; Fax.: (3272) 30-46-94 E-mail: astana@itte.kz ＜自動車組立工場アジア・オート＞ 東部ウスチ・カメノゴルスクに位置する自動車組立工場アジア・オートが、チェコのシュコダ製自動車の

組立開始に関する契約に調印した。 契約書の調印式で、東カザフスタン州のハプノフ知事は「2 年におよぶ交渉を経て、正しい選択がなされ

た。2005年第 2四半期には、 初の自動車 10～15台が組み立てられているはずである」と述べた。また、

2005年第 3四半期には、大量生産体制に入る予定であるという。 プロジェクトが完全に実現するまで、カズコメルツバンクがこのプロジェクトに投資することになってい

る。チェコとカザフスタンが共同で生産する自動車の価格は、プロジェクト関係者によると、カザフスタン

の消費者にとって適当なものになるという。生産開始から 1 年後には、シュコダ車 1,000 台が、2 年後には

3,000台が生産される見通しである（出所：2005年 2月 20日付Autonews.ru）。 スキャンダル：このプロジェクトは、アジア・オートとロシア自動車メーカーとの訴訟問題に発展した。アジア・オート

がロシアメーカーの自動車生産を始めたのだが、これを放棄したためである。

＜カザフスタン・カマス自動車生産コンソーシアム＞ ロシアのスヴィナレンコ連邦産業科学技術次官と、カザフスタンのジャコスベコフ産業商務相が参加して、

カザフスタン・カマスの設立に関する協定書が調印された。コンソーシアムの設立に関する決定は、ロシア

およびカザフスタンの協力に関する政府間委員会のイニシアチブによるものである。カザフスタン・カマス

の広報部によると、ロシアのトラック製造会社カマスおよびアスタナ・ファイナンス、セミパラチンスク機

械製造工場、コスタナイ・エンジン修理工場など合計8社が設立に参加した。 参加企業が設定した目的は主に、自動車の組立生産の発展、カマスのシャーシ生産における特殊技術の開

発、カザフスタン国内のカマスの設備を利用したホイール・トラクターの組立生産などである。その他にも、

自社製品の販売促進に向けた資金調達、修理サービスセンターを設置して製品に対する整備サービス網を拡

大することなどが挙げられる（出所：2003年 7月 2日付リア・ノーヴォスチ・プリヴォルジエ）。 カザフスタン・カマス自動車コンソーシアムに、新たに国有企業カザフスタン・エンジニアリングおよび

中央アジア燃料エネルギー会社が参加した。10 社の間でシェアが再配分された結果、カマス（20％）、ア

スタナ・ファイナンス（15％）、セミパラチンスク機械製作工場（10％）、イスケル（10％）、アクモ

ル・オートセンター・カマス（10％）、コスタナイ・エンジン修理工場（10％）、カザフスタン・エンジ

ニアリング（10％）、ツァテク（5％）、イスパト・カルメト（5％）、カザフスタン・トラクター（5％）

となった。 イスラモフ社長によると、2004 年、自動車の販売台数は 2,500 台で、貨物・特殊車両 430 台がリースに

出されたという（出所：2005年 2月 8日付カズインフォルム）。 ＜合弁会社アクモリンスク車両修理工場クリュコヴォ＞ 60 年以上にわたり、アクモリンスク車両修理工場は、貨物車の全面的修理を行なってきた。ここでは、

四軸無蓋貨車の全面修理、ホッパー車や長物車など各種無蓋車の耐用年数を伸ばすための修理、車両または

レールに合わせた輪軸の調整・修理などが専門的に行なわれている。 アクモリンスク車両修理工場とウクライナのクリュコヴォ車両工場は、合弁会社の設立に関する協定に調

印した。この協定に従い、ウクライナの技術による車両の組立がカザフスタンで行なわれることになった。

アクモリンスク車両工場のナビエフ社長によると、ウクライナ企業と設立される合弁会社は、カズモルサー

ビスに次いで 2 例目となる。カズモルサービスは、アクモリンスク車両工場が創立会社の一つとなり、

2003年 4月に運送会社として設立された。「2003年、ウクライナはカザフスタンから約 300万トンの穀物

を購入する予定である。これは、穀物運搬用車両の需要が増加するということを意味する」と同氏は述べて

いる（出所：2003年 9月 9日付タス・カザフスタン）。 “AKMOLINSKIY VAGONOREMONTNYI ZAVOD”OAO 473004, Astana, ul. Kurskaya 7/2 Tel.: 310440. Fax.: 310438 E-mail: avrz@dan.kz 5. 医薬品産業 専門家の査定によると、カザフスタンの医薬品市場の規模は、密輸も含めて年間 3 億ドルであり、2002年から拡大し続けている。国内における医薬品の密輸額は、年間約 1 億ドルである。カザフスタンの製薬

会社が国内市場に占める割合は 10％以下である（出所：2004 年 1 月 15 日付インターファックス・カザフ

スタン）。 現在、カザフスタンでは、東欧、インド、CIS 諸国製の医薬品が多く出回っている。欧州のメーカーは価

格が高く国内市場での競争が難しいため、価格ではなく、品質の高さを売り物にしている。依然として、密

輸の問題が深刻であり、特にロシアや CIS 諸国からの密輸が多い。広大な大地に都市が点在するカザフス

タンの状況が、医薬品の流通や販売促進を困難にしている点も重要だ。外国の製薬会社に共通する戦略は、

小限の投資ですぐに利益を上げることであるが、どの会社も全土にわたる流通網を持っておらず、カザフ

スタンにおける支部の活動も限定的である（出所：2004年 12月 12日付カザフスタン・モニター）。 カザフスタン医薬品輸入業者協会の会員である国内大手代理店が扱っている製品は、平均して 1,500～2,000 種類であり、取引高は合計で総輸入額の約 50％にあたる 7,500 万～8,000 万ドルである（出所：2003年 5月付カザフスタンスキ・ファルマゼフチーチェスキ・ベスチック）。

重要な法律 民間の医療活動に従事する自然人および任意の資産形態の医療機関による医療活動に関するライセンスの

手続きと条件は、カザフスタン共和国保健省命令第 42号（2001年 1月 16日付）により、承認された。 ・法律第 522号「薬事法（2004年 1月 13日付）」により、医薬品の取り扱いに関する管理を行なう国家

機関が定められ、また医薬品取り扱いライセンス、登録、医薬品の製造認可の登記方法について規定された。

また、臨床検査および前臨床検査、薬品の注入などの問題について規定された。 ・命令第 19号「医療機器および医療品について（2004年 2月 11日付）」（審議用法案） ・命令第 164 号Ⅱ「医薬品、医療品、医療機器の国家登録における審査手続きの改善について（2004 年

10月 19日付）」 ＜ファーム・インダストリー・ヨーロッパ＞ ファーム・インダストリー・ヨーロッパは、英国のファーム・インダストリー・ヨーロッパと、カザフス

タンのファーム・インダストリー・コーポレーションが共同出資している。カザフスタン 大の医薬品工場

となる同社は、2005 年末にアルマトゥイ州カラサイスク地区で操業を開始する予定である。内外の投資家

が 4,500 万ドルを出資して設立されるこの会社は、カザフスタンだけでなく、中央アジア全域に医薬品を供

給する、主要な医薬品メーカーになることが予想される。 英国のハティブ＆アラミが、プロジェクトの管理や専門家によるコンサルティングを行なう。契約に従い、

同社は、FDA（米国食品医薬品局）、GMP（薬品製造に係る欧州基準）、GLP（欧州連合の試験所基準）

に基づき、認証を与えなければならない。また、会社で働くことになる専門家の育成にも携わる予定である。

合計 350人の雇用が創設されることになるだろう。 ファーム・インダストリー・ヨーロッパの生産能力は、カザフスタンにおける医薬品需要を完全にカバー

することを前提に設定されており、まずは国内の需要をまかなうことから始め、その後、中央アジア全域に

事業を拡大する予定である。 敷地内には、錠剤、溶剤、アンプル、カプセル、軟膏などを生産する、高技術を用いた工場に加え、特殊

な衛生基準が求められる抗生剤製造工場も建設される。 初の段階では、一般的な薬剤の生産に重点が置か

れ、その後、350 種類ほどの多種多様な医薬品を生産する予定である。必要な場合には、建設の途中であろ

うと、生産に入ってからであろうと、さらなる追加投資が行なわれる見込みである。投資額は、10 年以内

に回収されると見られている（出所：2004年 1月 20日付カザフスタン・トゥデイ）。 ＜ニジュファーム＞ ロシアの製薬会社ニジュファームを、アジア諸国に拡大すべく、カザフスタンに設立された子会社である。

近い将来には、バルト諸国における活動を展開するため、リガにも代表部を設ける予定である（出所：

2004年 4月 5日付タス・カザフスタン）。 ＜グローバル・ファーム＞ 韓国のハン・セオ・ファームとカザフスタンのドスター・アンド・バディによる合弁会社である。工場の

建設は 2000 年に始められ、韓国のサウス・コリア・エクシムバンクとカズコメルツバンクにより 5 年間で

200 万ドルの融資が行われた。 初の工場は、2001 年 12 月にアルマトゥイに建設された。グローバル・フ

ァームは、医薬品を他社よりも 10～15％安く提供し、製品の供給スピードも早い。同社は、国内需要をカ

バーし、CIS 諸国市場に参入し、商品の一部を韓国に輸出することも計画している（出所：2002 年 1 月 1～15日付カマル・ニュース）。 ＜ファーマシア＆アップジョン＞ 米国のアップジョンは、93 年後半からカザフスタンで活動を始めた。97 年にはインターファルマ‐K を

ベースとした委託倉庫を設けることで医薬品の販売量を大幅に拡大することに成功し、市場の足場を固める

ことができた。カザフスタンに代表部はなく、主な販売はアルマトゥイを中心に行なわれている。なお、カ

ザフスタンで販売されている同社の医薬品は、全て米国、欧州、オーストラリアの工場で生産されたもので

ある。 これまでに、アップジョンはカザフスタンで 80 種類以上の医薬品を登録した。代表的な医薬品は、ビタ

ミン剤ユニカプ、抗生剤ダラツィン、リンコツィン、脳の血行をよくするセルミオンなどである。同社が力

を入れている分野の一つに、国際市場で 90％のシェアを持つプロスタグランジンの合成と生産がある。カ

ザフスタンでは、出産時に妊婦にかかる負担を軽減するために、この種類の薬剤が使用され始めている。 また、自社製品に関する詳細な情報を、医者、薬剤師、上級薬剤師の間に広めることも重要である。たと

えば、展示会への出品、特定分野に関する国際会議の参加、セミナー開催、パンフレット送付、医学誌への

広告掲載などである。 アップジョンのカザフスタンにおける戦略は、医薬品の広範な普及を目指すことにある。このため、多く

の医薬品の価格が、他の CIS 諸国より安く設定されている。他方、医薬品の需要の伸びが今後も続けば、

価格は次第に上昇することが予想される。同社の販売量は、毎年 20～30％のペースで増加している（出

所：医療展示会 2000における代表部責任者へのインタビュー）。 ＜ビク・グルデン ＞ 2000 年まで CIS 地域で唯一の代表部がアルマトゥイにあり、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキス

タン、アゼルバイジャンにおける事業を統括していた。2000 年に、同社はカザフスタンにおける拠点を拡

大し、コスタナイ、アスタナ、パヴロダル、カラガンダ、ウスチ・カメノゴルスク、シムケント、アクチュ

ビンスクに代表部が設置された。 同社は、基本的な薬剤に加え、新製品の普及にも努めている。カザフスタンにおける今後の戦略は、高品

質の薬品を市場に流通させることである。カザフスタンで活動を始めた当初は、国内のインフレが販売に影

響を与え、値下げを余儀なくされていた。 ＜シュワルツ・ファルマ＞ カザフスタン代表部は 98 年に活動を開始した。事業を始めた当初から活動に目立った変化はなく、販売

は毎年少しずつ伸びている。重要な役割を果たしているのは、カザフスタン市場に向けて設定された商品・

価格政策である。

通貨テンゲのインフレも会社にとって損益にはつながらず、2000 年の経済危機の時ですら、売上は逆に

幾分伸びたほどだった。同社は、ロシア製の医薬品とも価格で競争でき、しかも格段に品質の優れた廉価な

医薬品を供給している。基本戦略および概念は、医薬品市場の変化に柔軟に対応していくことで、今後もカ

ザフスタン市場における自社の地位を固める意向である。 ＜ベルリン・ケミ製薬会社＞ ドイツの製薬会社ベルリン・ケミは、北欧、東欧、CIS 諸国、中国に多種多様な医薬品を供給している、

欧州の大手製薬会社の一つである。 同社のカザフスタン代表部は 94 年から活動を行なっており、国内では 44 種類の医薬品が登録されてい

る。今後も、カザフスタン市場での販売拡大に向けた長期的な発展戦略をとっていく方針である。 BERLIN CHEMIE AG Pharmaceutical Company Almatinskaya obl., Almaty, pr. Abaya, 157, Office 17 Tel.:(3272) 41-23-18

6．食品加工

＜ブルガルコンセルブ・プロダクト＞ カザフスタン投資基金が協力して、ブルガルコンセルブ・プロダクトはカザフスタンにおける果実・野菜

類の保存加工生産の発展計画を実施しており、10 億テンゲ以上が、新しい生産ラインの導入と農産物生産

者の原料調達に投入された。アルマトゥイで開催された、第 7 回中央アジア国際食品見本市ワールド・フ

ード・カザフスタン 2004において、同社は優れた食品会社に与えられる賞を受賞した。 ジャンブイル州コルダイおよびシュスクの豊富な労働力や、自然・気候環境は、野菜の栽培と加工におけ

る複合経営に適している。州の農業管理局の資料によると、2003 年から両地区の農作業組織が、ブルガル

コンセルブプロダクトと共同で、この種の複合経営の導入に努めている（出所：2005年 3月 19日付プロフ

ェシオナール）。 ＜シビールスキー・ベーレク＞ 2004年、シビールスキー・ベーレクが、ロシアで製菓市場の 16.5％、乾パン市場の 51％を占めた。 カザフスタン北東部のパヴロダル市に位置するボルジャウは、カザフスタン 大の製菓会社で、主要商標

はボルジャウである。取引高および所有者は公表されていないが、シビールスキー・ベーレクの査定では、

ボルジャウは同国製菓市場の 11％を占めている。2005 年 5 月には、ボルジャウの設備を使い、主にシビー

ルスキー・ベーレクの商標でイリエシェックおよびコムパシェク等の製品の生産が開始される予定である。

この協定は 2005年 2月に締結された。なお、生産に入る前にボルジャウの生産能力は現在の 2.5～3倍に増

強される予定である。生産能力の拡大に必要な投資額は、まだ算出されていない。また、キルギスタン、ト

ルクメニスタン、ウズベキスタン等の他の中央アジア諸国にロシア企業が進出する可能性もある。

シビールスキー・ベーレクは、ボルジャウの株式取得も計画しており、現在、買収価格の検討が行なわれ

ている。同社にとって重要なのは、カザフスタンにおける販売戦略の実現と生産用地の確保である。同社は、

ボルジャウの買収により、カザフスタンにおける販売額を増やすだけでなく、同時に競争相手を排除するこ

ともできる。 市場関係者や専門家は、シビールスキー・ベーレクの決断を合理的なものと判断している。カザフスタン

の乾パンおよびスナック市場は、2001 年から毎年 30～40％のペースで成長しているからだ。しかし、現在

では、ビールやスナックの生産社の多くが乾パン製造も行なっており、シビールスキー・ベーレクはこれら

のメーカーと競合しなくてはいけなくなるだろう（出所：2005年 2月 23日付フロフェショナール）。 なお、カザフスタン国家統計庁の発表によると、98～99 年のカザフスタンにおけるビールの１人あたり

平均消費量は年間で約 6 リットルだったが、国内におけるビール生産量の大幅な増加により、2000 年のビ

ール消費量は年間 9～12リットルに達している（出所：2003年 11月 27日付カズインフォルム）。 ＜ティンコフ＞ 2004 年にロシアのビールメーカー、ティンコフがカザフスタンに輸出した瓶ビールは、同社の販売量全

体の 0.7％を占めた。同社は、2005年 3月にアルマトゥイにビール製造工場を建設する予定である。これは、

同社によって9番目の生産設備建設になり、ロシア外では初の試みである。 同社のグリゴロワ広告部長によると、アルマトゥイにあるビール・レストランだけでなく、中レベル以上

の全てのレストランが同社の競争相手になるという。なお、カザフスタンのビール醸造市場は今後も需要の

拡大が見込めると、同社では見ている（出所：2005年 2月 23日付プロフェシオナール）。 ＜バルチク・ビバレッジ ＞

2002 年 11 月にバルチク・ビバレッジがビール醸造工場イルビス（Irbis）の株式 76％を取得した。当初

は、生産能力を高めるために新工場の建設が計画されていたが、カザフスタン国内のビール醸造会社を買収

することが計画されるようになり、2003年 11月、4,000万ドルでビール醸造工場アク・ナルを買収した。 バルチク・ビバレッジが買収するまで、アク・ナルは EBRD および有限組合カブランを代表とするグル

ープに属していた。現在、アク・ナルの株式は、BBH グループが 90％、ツェスナが 6％、有限組合カノン

が 4％を保有している。 さらに、アク・ナルとイルビスが合併され、一つの会社となった。アク・ナルのリスノフ・マーケティン

グ部長によると、合併会社アク・ナルは、カザフスタンのビール市場で 11％のシェアを占め、年間生産量

は 400 万デカリットルであるという。バルチク・ビバレッジの 2004 年の生産量は前年比 18％増の 36 億

9,900万リットルで、ロシアでは 19％増、ウクライナでは 17％増、バルト諸国では 4％、カザフスタンでは

30％増となった（出所：2003年 11月 27日付ロスバルト）。 ＜コカ・コーラ＞ コカ・コーラは、94 年からカザフスタンで事業を展開している。同年には、合弁会社コカ･コーラ・アル

マトゥイ・ボトラーズにより、コカ･コーラ飲料が国内で生産および販売されるようになった。コカ･コー

ラ・アルマトゥイ・ボトラーズは、2つの販売センターと代理店を持っている。

カザフスタンのフードマスターは、95 年に設立された。エシク市の乳製品工場の設備で生産されたヨー

グルト、クリスタル・レイクが、同社の 初の製品となっている。現在、同社は 6 工場と酪農場一つを保

有している。国内の一部の地域で、同社は牛乳の受入拠点網を整備し、2002年には 1日の生産能力が 40ト

ンにのぼる中央アジア 大のアイスクリーム製造工場を新たに建設した。乳製品市場におけるシェアは

69％、首都アスタナでは 75～80％となっている。 フードマスターは、果汁飲料やネクターに使用していた自社の商標ピコをコカ･コーラに売却した。売却

に関する交渉は、約 1 年続き、2003 年 4 月に合意文書が策定された。海外からの専門家がフードマスター

の工場を訪れ、財務記録や生産工程を入念に調査し、また、コカ・コーラは、果汁飲料およびネクターの市

場に関する独自調査を行なった。その結果、ピコはカザフスタン市場で も人気のある商品の一つであるこ

とが判明し、米国アトランタにあるコカ･コーラ本社で、2003 年 12 月には 終的な決定が下された。コ

カ・コーラは、ピコがトップブランドになる大きな可能性を持っていると判断し、60 万ドル以上でその商

標を購入した。取引の結果、生産ラインはフードマスターに残されることになった。 ピコは、これまで通り国際基準である医薬品 GMP に基づいて生産されるだけでなく、世界でも特に高い

とされるコカ・コーラの基準も遵守しなければいけなくなった。ピコ生産工場の水は何段階にも分けて浄化

され、シュガーシロップは低温殺菌されたフィルターを通る。コカ・コーラ CIS のルステモヴァヤ宣伝マ

ネージャーによると、生産のために新しい試験設備が調達され、飲料がこれまで以上に入念に分析されるこ

とになるという。現在、コカ・コーラは、約 230 種類の様々な飲料を生産している。同社は、カザフスタ

ン市場で 38％のシェアを占めている。 コカ・コーラとの契約が成立してから、カザフスタンの飲料市場は大きく変化した。AC ニールセンの

資料によると、2003 年に大きなシェアを占めていたのはラインベック・ボトラーズで、44％を占めていた。

次いで RG ブランズが 19％、フードマスターは 4位で 5％だった。現在では、コカ･コーラの代理店ネット

ワークはカザフスタンの 88％をカバーしており、ピコの販売圏を広げることにより、今後も更なる生産量

の増加が期待される（出所：2003年 2月 12日付ビジネスニュース）。 COCA-COLA ALMATY BOTTLERS”, ТОО, SP, BOTTLERY Almaty, ul. Gogolya, 211 Tel.: 778823, 689819, 689980 Fax.: 509519 “COCA-COLA CIS SERVICES LTD” Almaty, ul. Gogolya, 211, Floor 5 Tel.: 509288 Fax.:506398

7．消費財

統計資料によると、カザフスタンは、国内市場全体で流通している食料品および日用品の約 80％を輸入

している。こうした状況から、既にカザフスタンと貿易をしている企業や、カザフスタンに商品の輸出を計

画している企業にとって、カザフスタンは将来有望な輸出先であることが分かる。

＜エイサー＞ 台湾のエイサー・グループは、ディーラーおよび代理店の広範なネットワークを世界 100 カ国以上に展

開しており、7,800 人以上の社員が働いている。2004 年の取引高は 67 億 5,000 万ドルとなり、2004 年は

Dell、HP、IBM、FSC に次ぐ第 5 位となった。カザフスタン市場ではロシア以上にインドおよび中国メー

カーの存在感が高まっており、実際、エイサーはカザフスタンにおける活動に以前にも増して力を入れてい

る。 モスクワに本拠地を置くエイサー CIS は、CIS 地域で も有望な市場の一つとしてカザフスタンを見て

おり、2005年は「カザフスタンの年」になると公表している。同社の 2005年地域計画によると、パートナ

ー網の拡大が 優先で、中でも全機種の小売販売網の拡大が重視されている。次いで、現在のエイサー製品

の法人顧客および個人利用者をサポートするための、サービスネットワークの改善が必要である。そして、

商標を積極的に市場に広めること、および全権代表部の設立も目指されている。エイサーには、販売におけ

るパートナーに様々な種類がある。パートナー関係のモデルの一つがエイサー・ポイント・パートナーで、

これはエイサー製品の小売販売を手がける。現在、カザフスタンでは、エフノドムがこの役割を担っている。

同社は、広範な店舗網をアルマトゥイだけでなくカザフスタン全土に展開している。別のパートナーモデル

であるエイサー・エクゼクティブ・パートナーは、大型プロジェクトや入札による販売を行い、テンギス・

コピルおよび JEL コーポレーションとの間で、こうした契約関係が築かれている。そして、 後がエイサ

ー・アクティブ・パートナであり、これは法人向け販売または注文販売を行い、パートナー関係としては低

いレベルである。現在、この種のパートナー関係の構築についてもカザフスタン企業が関心を示している。

パートナー関係の確立にあたっては、エイサーのネットワークを駆使した簡略化された登録手続きが取られ

ており、地方の企業でもやる気と能力さえあればパートナーの一員になることができる。 主流の商品は、卓上パソコンの Acer Power、Veriton、Aspire（家庭用パソコンシリーズ）、モバイルパ

ソコン TravelMate および Aspire、サーバーAcer Altos、周辺機器（液晶モニターやプロジェクター）、ポ

ケット用パソコンなどである。エイサーは、カザフスタン市場に 新技術を導入する意向である。記者会見

でニゾフスキー顧客担当営業部長は、初心者用ノートブックをはじめとする新製品を幾つか紹介し、カザフ

スタンでは特別の価格帯を設定して販売を行なう意向を表明した（出所：2005年 2月 28日付インターフェ

イス）。 ＜RG ブランズ＞ 2004 年 4 月、レセミ・グループの傘下に入っている RG ブランズの幹部が、物流会社ユニ・コマースの

株式の過半数取得について発表した。取引の価格は言明されなかった。 レセミ・グループのマジバエフ社長の指摘によると、このプロジェクトはRG ブランズとユニ・コマース

の 3年におよぶ取引関係の結果、実現したものだという。この取引の結果、RG ブランズはカザフスタンに

おける も大きな日用品流通会社の一つとなった。 また記者会見では、2003 年の RG ブランズの販売実績が 90 億テンゲ以上であり、総生産高は前年より

45％増加したと発表された。また、夏季には瓶入り飲料水の販売を拡大し、その後は無炭酸の「アクアミ

ネラル」の投入も検討されている。

8．建設、エンジニアリング業務

カザフスタン国家統計庁によると、カザフスタンで建設産業が急速に成長している。2004年 1～6月にお

ける国内の住宅建設への投資額は 2億 9,720万ユーロで、これは前年同期より 2.6倍多い。 ＜スキドモア・オーウィング・メリル＞ 首都アスタナで、カザフスタンのアフメトフ首相が、米国の建設デザイン会社スキドモア・オーウィン

グ・メリルのアダバン社長と会見した。同首相は、アスタナの建設に向けて採用された計画の特徴について

述べ、大規模なスポーツ娯楽施設を建設する計画などについて検討された。会談でアバダン社長は、アスタ

ナの建設に参加する計画について触れ、建築家またデザイナーとして協力することを提案した。会談の結果

アフメトフ首相は、アスタナにおけるイスラムセンターのインテリアデザイン、また、一連のスポーツ施設

の設計・建設に加わるよう SOM に対して提案した。SOM は、世界各国で数多くの施設の設計・建設を手

掛けており、また非常に権威のある賞も受賞している。中でも、米国や中国では高層ビル、その他の様々な

プロジェクトを手掛け、そのうちの一つはギネスブックにも登録されている（出所：2004 年 4 月 9 日付ビ

ジネスニュース）。 ＜シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング＞ 2004 年 2 月、アスタナで国有企業カザフスタン・エンジニアリングとシンガポール・テクノロジーズ・

エンジニアリングによる交渉が行なわれ、両社の間で合弁会社設立に関する協定が調印された。合弁会社は、

電子工学、石油ガス生産、その他の採掘分野で事業を行い、カザフスタンにおける造船などに従事すること

になる。 シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリングは 97 年に国営企業として設立された、東南アジア地

域における電子工学、制御・監視システム、海上・航空装置の 大メーカーで、シンガポールで も影響力

のある企業の一つである。シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリングは、カザフスタンでは原油・

天然ガスの採掘、農業、鉱業、造船などの分野に自社の技術、マネージメントを導入する意向である。同社

のホカ社長によると、2004年の 6月にはカザフスタンでの活動を開始する予定であるという。 カザフスタンは、新技術やマネージメントの導入に関心を寄せている。特に、カザフスタンでは国産通信

衛星の建設に着手する予定があり、シンガポールの技術に大きな期待がかけられている（出所：2004 年 5月 8日付カズインフォルム）。 ＜シーマン・フランス＞ シーマン･フランスは、世界中に工場を持つイタル・コメンティ・グループの子会社である。グループの

年間売上高は60億ユーロ以上である。 シーマン･フランスは 97 年からカザフスタンで活動を行い、98 年にはシムケントセメントを買収した。

シムケントセメントの近代化にシーマン･フランスは 2,000 万ドル以上を投入し、製品の年間生産能力を 10万トンから 60万トンに拡大している。

2004 年 11 月からシーマン･フランスは、アクチュビンスク州のセメント工場建設プロジェクト実施に対

する関心を表明している。カザフスタン側の情報によると、アクチュビンスク州にはセメントの生産に適し

た鉱物原料供給源があるという。特にケンジャルィ鉄道駅から数キロ離れたところには粘土と白亜の産地が

あり、またスィル・イレク泥灰岩産地もある。 この工場はバイガニン地方に建設される可能性がある。その結果、200～250 人の雇用が創出され、居住

地区へのガス供給が早められ、村民の社会問題も解決されるという（出所：2004 年 11 月 16 日付カズイン

フォルム）。 ＜クナウフ＞ ドイツのクナウフは、欧州 大の屋内外用石膏建材メーカーの一つである。 ソ連の崩壊後、クナウフの主要な投資案件はロシアで実施されており、過去 10 年で 新式工場やマーケ

ティング会社、訓練センターの建設を行なっている。ロシア以外にもモルドワと、ウクライナに工場を持っ

ている。 2001 年 7 月にクナウフは、アルマトゥイ州カプチャガイ市にあるギプスの所有者となった。工場そのも

のは厳しい状態にあるが、鉄道、水、下水道設備、ガスが近くにあり、アルマトゥイという販売市場からも

近いという利点がある。 このプロジェクトに対する融資は、ドイツの DEG が行なった。これは、欧州の主要な建設会社であり、

CIS諸国における民間企業の活動も支援している。 その後、クナウフ・マーケティング・アルマトゥイおよびクナウフ訓練センターが設立され、アスタナと

アティラウに営業所が開設された。これも、DEG の協力を得て実現された。なお、クナウフの製品はロシ

アの工場から輸送され、カザフスタン各地に供給されている。 クナウフのプロジェクトが成功した要因は、総合的なビジネス・アプローチにある。クナウフはカザフス

タン建築アカデミーと契約を結び、そこの生徒のために教科書と奨学金を提供している。また、財務省とは

専門家育成に関する契約を結んでいる。 クナウフは、原料供給のため、ジャムブイルにある鉱区の開発ライセンスを取得している。ここから石膏

原石が鉄道で直にコンビナートまで運ばれる。投資額は約 1,800万ユーロとなる。 クナウフおよび DEG の経営陣は、近い将来、カザフスタンの建材市場は多くの国に知られることになる

だろうと確信している。 Knauf Kapchagai, Almatinskaya obl., p. Zarechnyi, а/ya 90 Tel.: +7 32772 2 45 42, 2 47 30 E-mail: almaty@knauf.kz ＜サンチ・インピアンティ＞ 2005年 3月 11日、北カザフスタン州のマンスロフ知事は、イタリア企業サンチ・インピアンティのヴァ

ンニ営業部長と、同州に位置するレンガ工場設備の近代化に関し、双方に利益のある協力の可能性を検討し

た。

このレンガ工場の老朽化した設備を近代化する必要性は、住宅建設の増加によって生じた。住宅建設の進

展に関する国家プログラムを実施するには、主要な建設資材であるレンガの生産拡大が求められるからだ。

年間 500万個のレンガを生産するクィズィルジャル地区の工場が、現在のところ主要な生産所である。 イタリア側は、北カザフスタン州に 3,000 万個の生産能力を持つレンガ工場を建設することを提案してお

り、同時に、新規設備の設置に関する提案も行なった（出所：2005年 3月 15日付プロフェシオナール）。

9. 電気通信

独占企業である国有通信会社カザフテレコムの遠距離通信サービス分野における独占権の廃止は、国際通

信の自由化を見込んだものだったが、今のところ効果は表れていない。というのも、他の通信事業会社が、

法律面でも、技術面でも、カザフテレコムと競争する準備ができていないのである。なお、携帯電話とイン

ターネットが、現在のカザフスタンでは も有望な分野である（出所：2004 年 10 月 26～29 日付トゥラ

ン・アレム・セキュリティーズニェデーリノエ・オボズレーニエ）。 カザフスタンにおける携帯通信網の利用者数は、2004 年には 270 万人にまで増加し、携帯通信の普及率

（全人口に占めるモバイル化率）は、2004 年末には 18％となった。移動通信市場の代表格は、GSM 通信

事業会社の GSM カザフスタンとカル・テルである。両社は、2004 年末時点で市場の 95％を占めている。

2003 年に比べ、2004 年の利用者数の増加率は遥かに増え、新規利用者数は 130 万人に達した。新規利用者

数で首位に立つのが、K モバイル、エクセスの商標を持つカル・テルである。2004 年の利用者増加率は

115％で、顧客数は 85 万 9,000 人に達した（出所：トゥラン・アレム・セキュリティーズの評価、企業情

報）。 ＜GSMカザフスタン＞ GSMカザフスタンは、98年 6月に設立された。同年 9月には、2,500万ドルをトルクセルが、1,500万ド

ルをカザフテレコムが出資し、同社の授権資本は 4,000 万ドルまで増資された。GSM カザフスタンの通信

網は、99年 2月 6日にKセルの商標で操業を開始した。 GSMカザフスタンのもう一つの商標であるアクティブ・カード携帯は、99年 9月から利用が始められた。

GSM-900方式の事業ライセンスは、運輸通信省によって交付され、このライセンスはオークションで GSMカザフスタンが 6,750万ドルを支払い、98年 6月に 15年の有効期限付で取得した。ライセンスの条件とし

て、2005 年までにカザフスタン全土に通信サービスを拡大する義務がある。なお、同社の利益が上がるよ

うになったのは 2001 年以降で、これに際し、国家ライセンスの取得に必要な資金を含め、1 億 7,000 万ド

ル以上をモバイル通信の発展に投資した（出所：2005年 2月 14～18日トゥラン・アレム・セキュリティー

ズ・ニェジェーリノエ・オボズレーニエ）。 ＜アルテル＞ アルテルは、カザフスタンでAMPS方式の携帯通信サービスの提供を開始した 初の会社である。 CDMA 2000 を普及させる 初の段階で、アルテルは 2003 年秋に、アルマトゥイ、アスタナ、カラガン、

テミルタウ、ウスチ・カメノゴルスク、パヴロダル、クスタナイ、アクトベ、アティラウ、ペトロパヴロフ

スク、シムケント、クィズィロルダ、タラズ、カプチャガの 14 都市で同時に新ネットワークの操業を開始

した。また、2004年 3月から 4月にかけて 40以上の都市および居住地区を次々と加え、カザフスタンにお

ける通信範囲を大幅に広げた。他方で、事業実績は赤字だとも言われている（出所：2005年 2月 14～18日

付トゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェーリノエ・オボズレーニエ）。 ヴィンペルコム（Vympelkom） ロシアで 2 番目の規模であるヴィンペルコム（商標ビーライン）が、カル・テルの株主となった。2004年 8 月にヴィンペルコムによりカル・テルの株式 100％が買収された時、カル・テルは国内携帯市場の約

31％を占有し、約 60万人の利用者があった。 この取引価格は 3億 5,000万ドル、利用者１人当たりで計算すると、636.36ドルだった。この取引は、

2004 年の通信分野における も大きな出来事と言うことができる。経営上の危機に直面していたカル・テ

ルは、理想的な戦略的パートナーを得たからである。また、ヴィンペルコムは、カザフスタンにおけるモバ

イル通信の将来性を考えた場合、非常に魅力的な投資先を手に入れたことになる。カル・テルは、３つの新

しい料金プランを導入し、これにより利用者数は約 3 万 1,000 人増加した。2004 年 9 月末現在のカル・テ

ルの売上は 1,080万ドル、純益は 220万ドルとなった。 しかし、ヴィンペルコムの計画は、実現が長引く可能性がある。というのも、2004年 11月にヴィンペル

コムに対し、2001 年分として 1 億 5,700 万ドルの追徴税を支払うよう要求が提示されたからである。また

2002 年分の税務調査の中間集計でも、2,090 万ドルを追加支払しなくてはならない。投資グループ・アトン

（Aton）の専門家の見積もりでは、ヴィンペルコムは年度決算で、1 億ドル相当のルーブル国債購入への支

出、および追徴税と吸収の実施にかかった 4 億 5,000 万ドルを含めずに、5 億ドルのマイナスのキャッシュ

フローを示した（出所：2005年 1月 5～7日付トゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェーリノエ・

オボズレーニエ）。 2005 年 1 月に、既にヴィンペルコムの 100％子会社となっていたカル・テルに対し、トルコの預金保険

基金が正式に 7,550 兆トルコリラ（デノミ前）を請求したことにより、買収はさらに複雑化した。この出来

事は、ヴィンペルコムによる資産の買収前に起きたカル・テルの株主による紛争の結果生じたものと専門家

は見ている。しかし、ヴィンペルコムの登場により、影響が同社にまで及ぶ可能性も出てきた。（出所：

2005年 1月 19日付イルビス） 2005 年 2 月 10 日、ロシア側は、カザフスタンの投資家に 50％マイナス 1 株までを売却する計画につい

て承認した。条件として、ヴィンペルコムがカザフスタンの事業者から 25％マイナス 1 株を買い戻す権利

（コールオプション）、また株主総会において解決不能な紛争が生じた場合に残りの株式 25％を追加で買

い戻す権利が盛り込まれている。ヴィンペルコムでは、取引の価格を 1億 7,500万ドルと見積もっている。

この金額は、2004 年 9 月にロシア側がカル・テルの買収で支払った金額に応じたものである（出所：2005年 2月 10日付インターファクス・カザフスタン）。 カル・テルは、ヴィンペルコムのために、カザフスタン当局との関係を修復しなくてはならない。このた

め、今回の株式売却は短期的な性格を帯びることになり、結局はロシア側が再び唯一の株主となる可能性も

ある。ヴィンペルコムではまだ交渉が終わっていないこともあり、今のところ投資家候補を明らかにしてい

ない（出所：2005年 1月 24～28日付トゥラン・アレム・セキュリティーズ・ニェジェーリノエ・オボズレ

ーニエ）。

＜サムソン電子＞ カザフスタンにおける電子政府の構築、また電子工学、専門技術教育システム、化学工業、石油化学工業

分野における、幾つかの投資プロジェクトの準備への参加を、韓国のサムソン電子が申し出た。 また、カザフスタン政府は、電子税関、電子市民、電子不動産のようなシステムを構築できるかについて

も、関心を示している。 “SAMSUNG CORPORATION” (REPRESENTATIVE OFFICE SAMSUNG-DEUTSCHLAND GMBH) Almaty, 050059, mkrn. “SAMAL –2”, 69 А, Floor 1 Tel.: 500004 Fax.: 508860 “SAMSUNG ELECTRONICS”, REPRESENTATIVE OFFICE （韓国） Almaty, 050059, mkrn. “SAMAL –2”, 69 А, floor 2 Tel.: 585965 Fax.: 585966 E-mail: club@samsung.kz www.samsung.kz ＜コクロヴァ・グループ＞ トルコのコクロヴァ・グループは、20 以上の経済分野で活動するトルコ企業および国際企業 150 社以上

を掌握する複合企業の１つである。 近、同グループは石油生産、遠距離通信、インターネット、 新技術、

マスメディアに関心を示すようになっており、自社の代表部を通して、カザフスタンのデジタル通信に約 1億 6,000 万ドル投資をした。また、カザフスタンの遠距離通信市場におけるシェア拡大、炭化水素資源の探

査および採掘、また機械工業や道路建設への資金投資も検討している（出所：2003 年 12 月 26 日カザア

グ）。

10. 電気通信機器

＜エリクソン＞ スウェーデンのエリクソンとカザフスタンのアルテルが、カザフスタンにおける CDMA2000 1X 方式の

国内携帯通信網の構築に関する契約に調印した。ネットワークの操業開始は、2003 年第 4 四半期とされた。 契約には、コアネットワークおよび無線回線に必要な設備一式をエリクソンが提供すること、また、

Multimedia Messaging Service（MMS）およびShort Message Service（SMS）、ボイスメールなど主要アプ

リケーションの導入が盛り込まれた。スタッフの教育やネットワークの構築を含むサービス全般についても、

エリクソンが提供することになる（出所：2003年 9月 18日付タス・カザフスタン）。

＜シーメンス＞ 2001 年 9 月 5 日にアスタナで、カザフテレコムとドイツのシーメンスが、西部における光ファイバー通

信網の構築に関する工事完了確認書を取り交わした。このプロジェクトの建設を実施するために、シーメン

スはカザフテレコムに対し 5,900 万マルクの融資を決定した。また、2003 年の完成が予定される東部の光

ファイバー通信の建設に関する契約が調印され、プロジェクトの総費用は約 4,400 万ユーロとされる（出

所：2001年 9月 7日付インターファクス・カザフスタン）。 シーメンスは、カザフスタンへの投資を大幅に増やし、カザフスタン・ドイツの合弁会社を設立する意向

である。また、カザフスタンにおける遠距離通信インフラの拡大や、鉄道、発電所の近代化にも関心を示し

ている。さらには、国内の石油・天然ガスの輸送システムの近代化や、空港の改修・建設にも参加を計画し

ている（出所：2003年 11月 9日付インターファックス・カザフスタン）。 Siemence Astana, p. Karaotkel, Cottage S 7/1 Tel.: 242567 Fax.: 242570 E-mail: siemens_astana@at.kz www.siemens.kz Almaty, ul. Zharokova, 20 Tel.: 583737 Fax.: 583700 E-mail: representation@ala.siemens.kz www.siemens.kz ＜マイクロソフト＞ 米国のマイクロソフトは 92 年から CIS 地域で活動を行なっており、アゼルバイジャン、アルメニア、グ

ルジア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギスタン、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキ

スタン、ウクライナ、モンゴルにおける、 新テクノロジーの導入およびソフトウェア市場の開拓を進めて

いる。 2003 年 4 月からアルマトゥイで、正規ユーザーを対象とした無料テクニカルサポート・アクティベーシ

ョン・およびマイクロソフト情報センターの直通電話番号の運用が開始された。 “MICROSOFT CITY NET” Internet company, Tel.:(3272) 68-19-03 Almaty, ul.Gogolya, 176, Office 2 Official marketing partner of Microsoft

＜コロンバス・IT・パートナー＞ マイクロソフトにとってのパートナーの一つであり、平均的な市場セグメントを対象としたマネージメン

ト・ソリューションの主要専門業者でもある国際コンサルティング会社コロンバス・IT・パートナーが、

カザフスタンに地域代表部を開設した（出所：マイクロソフトの記者会見、アルマトゥイ、2004 年 9 月 28日）。

11. 銀行業 2004年上半期のカザフスタンにおける各銀行の総資産額は前年同期比22％増の1兆9,520億テンゲとなった。

特に増加が目立ったのは、カザフスタン興業銀行である。2004年上半期に、同行の資産は1.57倍に増えた。

資産額の格付けでは、同行は19位を占めている。2004年7月1日時点でカザフスタン 大の銀行となったのは、

カズコメルツバンクである。同時に、カザフスタンには 大級の銀行がもう一つあり、それはトゥラン・ア

レム銀行である。 こうして、カザフスタンでは上位の数行に市場シェアの大半が集中しており、カザフスタンの銀行システ

ムが一極に集中していることが分かる。 2004年上半期のカザフスタンにおける各行の資本見積は前年同期比19.6％増の2,010億テンゲとなった。

2004年上半期に増資額が特に目立ったのはATF銀行 で、1.7倍となった。同時期に、テミル銀行の資本は

19.6％減少した。カザフスタンにおける全銀行の資本見積に上位3銀行が占める割合は57％だった。ロシアで

は状況が幾分異なっており、上位3銀行が全体の資本に占める割合は31％に過ぎない。 ロシアの状況と同様、カザフスタンでも銀行が積極的に融資活動を行っている。資産構成における貸付の

割合は、40～70％の範囲で動いている。格付けでトップにあるのがカズコメルツバンクとトゥラン・アレム

銀行である。3位がカザフスタン人民銀行である。これらの銀行をロシアの銀行の中においた場合、貸付額で

それぞれ6番目、9番目、14番目を占めることになる。なお、2003年からカザフスタンの全行は、国際会計基

準に従い活動している。 2004年1月1日時点で、国内では35行が活動しており、このうち3行が国有、15行が外国資本（カザフスタ

ン共和国の非居住銀行の子銀行を含む）である。 各行の自己資本は全体で38.6％増の2,234億テンゲとなった。各行の全体の資産は39.3％増の1兆6,000億テ

ンゲとなった。銀行システムにおける流動性比率は0.93だった（基準0.3以上）（出所：2005年3月14日付エ

クスペルト・カザフスタン#5）。 ＜ドイツ銀行＞ 輸出金融の保険業者との提携をはじめとして、融資に関するコンサルティングサービスを行ない、また、

民間企業、国有企業、カザフスタン政府機関と同行との協力関係の促進に努めている。 カザフスタン代表部は、すでにカザフスタンの 30 行と金銭の貸し借り関係を持っている。同行の専門家

は、金額にして 3億 5,000万ドルになるカザフスタンにおける 4回目のソブリン債券発行の準備に参加し、

また、国有企業カザフスタン・テミル・ジョリの 1,500 万ドル分の債券発行における金融アドバイザーとし

ても機能している。また、カザフスタン貯蓄銀行の 7年の劣後債 1,600万ドル分を発行する際の主要マネジ

ャーとして協力し、シムケント石油精製工場とハリケケーン・クムコール・ムナイの合併にはコンサルタン

トとして関与し、さらにカザフスタンに関する調査報告書も作成し、これは好評を博した。 現在、ドイツ・銀行のカザフスタン代表部は、農業や技術関係の中小企業、民間経済部門への融資に力を

入れている。 DEUTSCHE BANK AG Almaty, pr. Abaya, 10 А, Floor 8 Tel.: 671104, 671096 Fax.: 671169 E-mail: dbalmaty@online.ru ＜コメルツ銀行＞ コメルツ銀行は、多岐に亘る銀行業務を行なうドイツの銀行であるが、カザフスタンでは、ドイツからカ

ザフスタンへの輸出に際しての長期融資に関する輸出金融の保険業者との提携など、国際貿易への融資に関

するコンサルティングサービスを行なっている。また、カザフスタンの国家機関を対象とした資産管理、私

有化に関するコンサルティング、貴金属取引における協力も行なっている。少なく見積もっても、ドイツと

カザフスタンの国際貿易全体の約 10％が、同行のサービスを受けている。現在、代表部はカザフスタンの

28 行と金銭貸し借り関係を持っている。多くのカザフスタンの銀行にとって、ユーロ決済における主要取

引銀行となっている。 95 年にコメルツ銀行は、穀物の調達に関する国家プログラムに融資を行い、8,500 万ドルを貸し付けた。

また、カザフスタンの銀行関係者を対象とした教育・技能資格向上のプログラムを自己資金で繰返し実施し

ている。これまでに、約 200 人のカザフスタン人がこの教育訓練プログラムを修了している（出所：2004年 # 32ジェロヴォイ・ミル）。 “COMMERZBANK AG” Almaty, pr. Abaya, 155, Room 27, 28 Tel.: 409900, 403915 Fax.: 509578 ＜欧州復興開発銀行（EBRD）＞ 2003 年 6 月 6 日にアルマトゥイで、欧州復興開発銀行（EBRD）によるカズコメルツバンクの議決権株

式 15％の取得に関する契約調印式が行なわれた。EBRD のルミエール総裁と、カズコメルツバンクのスプ

ハンデリジン頭取が契約書に署名した。 株式は 1 株当たり 0.59 ドルで購入され、取引総額は 3,060 万ドルとなった。これは、外国銀行が CIS 諸

国で投資を行なった中で、 大規模となった。EBRD から得た総資金は、カズコメルツバンクの増資に充

てられることになっている。 また、カズコメルツバンクの株式 15％を購入したことにより、EBRD は取締役会に自行の代表者を送る

ことができるようになり、カズコメルツバンクはサービスの質を拡大することが可能となった。スプハンデ

リジン頭取によると、個人を対象とした 15～20 年の長期融資のサービスを新たに提供することも検討され

ているという（出所：2003年 6月 29日付カザアグ）。

＜イスラム開発銀行＞ 第 28 回イスラム開発銀行年次総会の中で、カザフスタンは 3 つのプロジェクトへの融資に関する協定を

締結した。 まず、カラガンダ州の農村部における給水プロジェクトのためにイスラム開発銀行がカザフスタン政府

に貸付を行なうことを記した協定には、ジャクスベロフ通商産業相とイスラム開発銀行のアリ頭取が署名し

た。このプロジェクトでは、州内 94 の農村における給水システムの建設・改修工事が予定されており、

2004年初からの開始が予定されている。総費用は 1,130万ドル、うちイスラム開発銀行が 945万 1,000ドル、

カザフスタン政府が 186 万 3,000 ドルを出資する。イスラム開発銀行の貸付期間は 25 年で支払猶予期間は

7年、手数料は年間 2.5％である。 2 つ目は、カザフスタンの郵便事業の近代化プロジェクトに関するもので、イスラム開発銀行総裁とカズ

ポチタ（Kazpochta）のアリスタノフ社長が調印した。プロジェクトへの融資は総額で 1,346 万ドル、うち

イスラム開発銀行が 900万ドル、カズポチタが 446万ドルを出資する予定である。貸付期間は 12年、支払

猶予期間は 3 年、手数料は年間 6％である。このプロジェクトの主要目的は、新技術と効率的な経営システ

ムの導入により、郵便事業に競争力をつけることである。このプロジェクトでは、設備・ソフトウェア、郵

便用特殊機械の導入、社員教育の実施などが予定されている。 3 つ目は、アスタナ左岸の経済特区に位置するカザフスタン人文・法律大学の学術研究複合施設の建設プ

ロジェクトに関するもので、これにイスラム開発銀行が 1,361 万 5,000 ドルを支出し、貸付期間は 12 年で

支払猶予期間が 3 年、手数料が年間 6％となっている。このプロジェクトに対する融資は総額で 2,000 万ド

ル、うち、ナザルバエフ大統領の発意で設立されたサリ・アルカ（Sary Arka）基金が 638 万 5,000 ドルを

支出する。なお、プロジェクトに関する保証は、トゥラン・アレム銀行、カザフスタン人民銀行、カスピ銀

行が提供する。 以上 3プロジェクトは、2006年末までに実施される予定である。 また、ナザルバエフ大統領は、カザフスタンはイスラム開発銀行の授権資本におけるシェアを拡大する意

向であると表明した。 イスラム開発銀行のカザフスタンにおけるプロジェクトファイナンスは、2000～2003 年の総計で 7,624万 4,000 ドルだった。カザフスタンにおけるイスラム開発銀行による融資の配分を部門別に見ると、社会部

門 24％、公共部門 8％、輸送・通信部門 46％、産業部門 8％となっている。カザフスタンにおけるイスラ

ム開発銀行のプロジェクトは、スズガノフ記念外科センターへの 新医療設備の設置・改修工事、カラガン

ダ、アスタナ、アルマトゥイ、グリィシャドを結ぶ道路の建設、中小企業融資、郵便事業の近代化などであ

る。 カザフスタンは、商業・非商業リスクから輸出業者を保護するために 94 年に設立されたイスラム輸出金

融・投資保険コーポレーションに加盟した、CIS地域で 初の国でもある（出所：2003年 9月 20日付ビジ

ネスニュース）。 ＜アジア開発銀行（ADB）＞ アジア開発銀行（ADB）カザフスタン常設代表部の樋口所長によると、民間部門の支援は、政府と共同

で実施されるプロジェクトにおける技術協力という形で行なわれる。2004 年には、ADB プログラムと国家

戦略の共同実施が始まり、農村地域開発プロジェクトをはじめとする技術協力プロジェクト（合計 200 万

ドル）が実施されている。また、ADB により新技術協力プロジェクトに対して 160 万ドルが提供され、農

村地域の上下水道整備プロジェクト（合計 3,450 万ドル）に関する借款協定も調印されている。2005～2007 年の技術協力プロジェクトには、中小企業発展プロジェクト、政府機関の制度強化に関する技術コン

サルティングなどが含まれている（出所：2005年№37ジェロヴォイ・ミル）。 カザフスタンの銀行システムにおける外国の参加状況 カザフスタンの銀行システムにおける外国の参加事例は少ない。2004 年 6 月末のカザフスタン国内にお

ける外国資本の銀行数は 15 だった。外国人にとって、カザフスタンの銀行事業は魅力のある分野ではある

が、外国投資家の金融機関による独占支配の傾向があった。外国の大手銀行 ABN アムロ、シティバンク、

HSBCの 3行が銀行の資産全体に占めるシェアは 4％であるが、この数値は減少傾向にある。 外国銀行による市場占有率の減少は、国内金融機関の急速な成長や、地方政府による外国銀行に対する大

幅な規制と関係している。しかし、規制にも関わらず、外国銀行は安定した企業成長プログラムを策定し、

一定の利益を上げている。 HSBC は主に小口銀行業務で首位に立っており、シティバンクは商業銀行業務とコンサルティングサー

ビスに特化している。

出所：2004年9月付「カザフスタンの銀行業務‐リスクプロファイル」、カザフスタン• リスクプロファイル、

トゥラン・アレム・セキュリティーズ ＜テハカバンク＞ テハカバンクは 93年に設立された、カザフスタンと米国の合弁銀行である。 2003 年に国際格付機関ムーディーズ・インヴェスターズ・サービスは、同行の資産状態は良好であると

して、長期／短期預金格付をB1/NP、支払能力格付をE+の評価とした。 法人・個人に対して多様なサービスを提供する総合銀行であるエハカバンクは、ヴィザ・インターナショ

ナルと業務提携を行なっており、またアメリカン・エクスプレスの公式代理店であり、国際金融システム

SWIFT のメンバーでもある。さらに、カザフスタン預金保証基金に参加しており、カザフスタン証券取引

所にも加盟している。同行はアルマトゥイ市民のメイン・バンクとして、様々な金融決済を行なっている。

TEXAKABANK Almaty, ul. Gogolya/Kaldayakova, 30/26, 480100 Tel.: (3272) 500-060, Fax.: (3272) 500-063 Referral service: (3272) 50-30-20 http://www.texakabank.kz post@texakabank.kz ＜クレジット・インフォ・グループ＞ クレジット・インフォ・グループは、カザフスタンの有限組合第一金融事務所の創立者の一員となった。現

在、同グループは、アイスランド、チェコ、スロヴァキア、ルーマニア、ノルウェー、リトアニア、グルジ

ア、キプロス、マルタに金融事務所網を持っている。この競争には、このほかにも、米国・シンガポール合

弁のダン＆ブラッドストリート（Dun&Bradstreet）、英国・米国合弁のエクスペリアン・スコレックス

（Experian Scorex）、ヨーロッパの SHUFA・KSV など、世界各国で金融業務を行なっている国際企業が

参加した。第一金融事務所のアフメドフ所長は、クレジット・インフォ・グループが参加することによって

会社の業務の質が大幅に向上するだろうと述べている。この戦略的パートナーの選択について、第一金融事

務所では、優れた国際経験に基づいたデータベースの構築が促進されることを期待しており、貸付業務を専

門とした企業や銀行に対するサービスの提供も検討している。また、中期的な展望として、国内市場の需要

カバーだけでなく、他の中央アジア諸国の市場に進出することも考えられている。同氏は、2005 年内には

初の信用報告書を発行する意向であると述べた（出所：2005 年 1 月 31 日# 2（28）エクスペルト・カザ

フスタン）。

12．賃貸

外国の専門家は、カザフスタンのリース市場が現在の 1 億ドルから 2006 年までに 5 億ドルに拡大すると

予想している。 米国国際開発庁（USAID）カザフスタン出張所のフリツ副所長は「我々の査定では、2006 年までに国内

リース市場は 5 億ドルまで拡大する可能性がある。法的基盤は整備されつつあり、カザフスタンでリース

業が成長する様を、今年我々は目撃できるかもしれない」と述べている。 カザフスタン財政家協会のセムバエフ議長は「ファイナンスリース法に修正が加えられたことにより、

企業家にとって遥かに有利な条件で、 新技術設備の調達ができるようになる」と述べている。2003 年の

国内リース市場の規模は約 1 億ドル、もしくは固定資本への総投資額の 1％に過ぎなかったと述べた上で議

長は「私は文字通りリースの爆発的な成長を期待する。現在のリース会社は短期間で軌道に乗り、設備のリ

ース規模を拡大するようになるだろう」と述べた。また、カザフスタン市場に今後、新規のリース会社が誕

生し、さらに、外国の大手企業が参入する可能性もあると述べた。「今後、カザフスタンの資本が参加した

新規リース会社が設立されることは間違いない。また、非常に強力な外国企業も参入してくるだろう。これ

は、国内のリースの発展に対する障害が排除されたことによる」と、説明した。 現在、カザフスタンでは約 18 のリース会社が活動しており、このうち 5 社が大手として分類される。こ

れについて、国際金融公社（IFC）の民間事業開発パートナーシップ・プログラムの指導者であるグロスマ

ン氏は「新しいファイナンスリース法が採択されたことは、カザフスタンに新たな投資を誘致する機会を与

えただけでなく、他の CIS 諸国に対しても手本を示すことになる。これにより、カザフスタンのリース法

は CIS 諸国の中で特に先進的で、国際基準に一致するものとなった。この法律は他の全ての地域にとって

も手本となりうるものである」と述べた。 先に報じられたとおり、カザフスタン議会は 2004 年 2 月中頃に、ファイナンスリース法の修正を承認し、

大統領の署名を待つ段階に入った。修正の主な目的は、ファイナンスリースの法規制システムを構築するこ

とにより、一時的な流動資産をこの分野に投資するよう、投資家の関心を高めることである。（出所：

2004年 2月 26日付インターファクス・カザフスタン） 専門家の見方では、今回の修正により、カザフスタンでは「リースブーム」が起こる可能性があり、その

時、リース会社の数が急激に増え、サービス規模が膨れ上がるということである。 IFCの予想によると、2006年 9月までに新規のリース取引の規模は 5億～5億 5,000万ドル、もしくは固

定資本への総投資額の 4～5％に達し、リース会社は 20社以上になるだろう。 また、工業生産設備やサービス産業の設備におけるリースサービスの成長も期待できる。農業用の設備で

も需要が期待できる。なかでも、コンバインの年間需要は、アグロマシ・ホールシングの試算によると、

4,000台以上となる。 リース会社にとっては資金源の確保が（特に近年）一層大きな問題となっている。これは、設立された

銀行の資金が、現在の堅実投資原則では事実上底を付いているからである。というのは、リースクレジット

8,400 万のうち、約半分が子銀行に充てられるからである。もちろん、自己資本は急速に増えることが予想

され、これによりリース会社の潜在的資金ベースも拡大する。しかし、これは問題の深刻さを解消するには

至らない。この問題の も簡単な解決方法は、設立銀行によるリース会社への融資に関して一定の緩和策を

導入することだろう。 他に考えられる解決方法は、リース会社の株式市場への参入、国際機関や民間投資家からの借り入れ、設

備メーカーからの借り入れである。カザフスタンにおけるリース発展プロジェクトの指導者であるオマロフ

氏の考えでは、外国からの投資を受けることでこの問題は十分に解決できるという。2003 年にはすでにカ

ザフスタンのリース会社 2社が 1,300万ドル以上の対外クレジットを受けた。そして、これらの金利は、同

様の条件による銀行貸付の金利より安い。リース事業の経験を積むに連れ、また、2005 年の国際財務報告

基準（IFRS）への移行に伴い、他のリース会社も対外債務市場に参入する機会を得ることになる（出所：

カザフスタン国立総合大学カイルレノフ助教授、カザフスタンにおけるリース発展プロジェクト）。 （１）． カザフスタン・リース市場の現状 国内産業の発達は、カザフスタン経済のエネルギー部門への過度の依存という現状を解決する重要なポイ

ントである。カザフスタンの固定資産の消耗度に関する資料によると、60～80％が今後数年で刷新を迫ら

れるという。ここで大きな役割を果たすのが、固定資産への投資手段としてのリースである。 移行経済期にある国でも、先進諸国でも、リースは企業の重要な中長期的な資金源である。企業は、競争

原理の普及、革新的技術の導入、就業率などの問題において重要な役割を担い、たとえ活動中の企業であろ

うと再建された企業であろうと、リースを受ける企業の増資に有効な手段として、特別な役割を果たす。世

界中の事例を見ても、まさにこの手段が中小企業にとって考えられうる資金源となっていることが分かる。 初の段階で、リースの発展には国家の支援が欠かせない。国家の誠実な態度、すなわち税制上の優遇措

置、規制緩和や関税免除のおかげでリース業は発展を遂げるのであり、韓国やトルコでは競争力のある産業

が発達している。例えば、韓国のリース市場は 75 年にスタートし、その後、国家がリース業のために環境

整備を行なった結果、94 年までに世界第 5 位となった。現在、韓国が奇跡的な経済成長を遂げていること

は明らかだ。 固定資本への投資構造に占めるリースの割合は、先進諸国では約 20～30％、経済移行期にある国々では

約 10～20％である。カザフスタンでは、2003年にはわずか 1％、2004年の 9ヵ月間で 2％だった。ロシア

におけるこの指標は 5％である。 2000 年には国内に約 5 社のリース会社があったのに対し、現在は約 20 社に増え、このうち 15 社が積極

的な事業活動を行なっている。このうち、12 社はカザフスタン財政家協会のメンバーである。指摘してお

かねばならないが、リース会社といった場合、リース事業を行なっている銀行も含んでいる点である。リー

ス業は著しく成長しており、2003 年は 2002 年から 4 倍に増え、約 8,500 万ドルとなった。2004 年の 9 ヵ

月間におけるこの指標は前年同期の 3倍に増え、約 1億 5,600万ドルである。 主要リース会社（リースを行なう銀行を含む）は（カズグロフィナンスを除く）、2004年 10月 1日時点

のリース・ポートフォリオの規模による会社の順位だと、アスタナ・ファイナンス、BTA リーシング、ア

リヤンス・リーシング、ハリク・リーシング、ヴァリュト・トランジット・バンクである。中小企業にとっ

てリースは益々利用しやすくなってきており、リースの料金も低下傾向にある。 リース会社が業務を行なっている経済分野で、特に多いのは農業（全体の 52％）である。これは、国有

リース会社カズグロフィナンスによるところが大きい。また、農業に対する商業リース会社の関心が高くな

ったことも、指摘しなくてはならない。農業に投入された約 8,000 万ドルのうち、53％がこれらの商業リー

ス会社によるものである。商業リース会社は運輸・通信および建設分野の事業にも関心が高く、これらの分

野がリース市場全体に占める割合は、運輸・通信 18％、建設業 11％である。 （2）． カザフスタンのリース業発展における問題点 カザフスタンのリースに関する法的基盤は十分に近代的なものである。しかし、改善には限界がなく、以

下のような問題に注意を喚起する必要がある。 カザフスタンではリースがまだ発展段階にあり、輸送など流動性の高い資産が主流となっている。非常に

大きな問題として、リース会社による投資の確保が挙げられる。債務者１人当たりのリスクの上限を定める

カザフスタン中央銀行の基準（いわゆる K3）は、銀行によるリース会社への貸付に対し、一定の制限を設

けている。リース会社の殆どが銀行によって設立され、銀行から融資を得ている以上、この限度をリース会

社のために引き上げることが早急に求められる。この問題が解決されれば、市場におけるリースサービスの

供給増と、料金の低下も促進されるだろう。 また、特に小規模農家にとっての問題として、サブリース（転貸）の発展があげられる。ファイナンスリ

ース法の改正により、サブリースがファイナンスリースの一種として明確に規定された。しかし、ファイナ

ンスリースに関する税法の規定が、サブリースにそのまま適用されるわけではなく、その発達をむしろ抑制

するような形になっている。また、国内への投資の確保における重要な問題として、国際的なリースの発展

が挙げられる。税法典の修正に際し、IFC とカザフスタン財政家協会の提案が採用され、国際リースにおけ

る税金の免除は、このタイプのリースの発展に貢献するだろう。 ファイナンスリースの特徴の一つとして、リースとして提供された財産所有権はリース提供者（つまりリ

ース会社）に残り、リースを受ける側には、契約で規定された全ての義務が遂行されるまで、所持と利用の

権利のみが与えられる点が挙げられる。所有権の配分が複雑であることが、リース品である輸送機関の登録

に際して様々な対応を引き起こす。実際には、リース契約の対象である輸送機関の登録は、リースを受ける

者に対しても、そして、リースを提供する者に対しても行なわれる。どちらの方法も、借り手により車両が

登録から外されるリスク、または登録手続きの複雑さという欠点がある。 後に、リースは何よりも借り手

にとって魅力的でなければならず、新生産設備の創設および老朽化した設備の更新が進められなければなら

ない。この問題を解決するには、減価償却政策が欠かせず、特に借り手のために加速償却制度を導入する必

要がある。例えばロシアでは、リースで得られた固定資産について、3段階の減価償却基準が適用される。 （3）．カザフスタンにおけるリースの発展に関する展望 上述の諸問題を踏まえ、今後のリースの発展に向け、以下のことが必要となる。 ・輸入およびリース使用に際し、付加価値税が免除される設備リストの拡充。 ・リース会社への投資を行なう銀行に対する投資原則（K3）の見直し。 ・サブリース取引における税制上優遇措置の適用制限の撤廃。 ・カザフスタン内務省命令第 343 号「カザフスタン共和国における輸送機関およびその被牽引部の国家登

録規則について（98年 10月 12日付）」の修正。 ・固定資産の全使用期間において、借り手のために加速償却の権利提供。 リース部門への投資確保をはじめとする以上のような問題点が解決されれば、ファイナンスリース制度を

通した設備刷新が促進されるだろう。 2004 年の 9 ヵ月間のデータに基づいたリース会社の予想では、カザフスタンにおけるリース水準は約 2億 5,700 万ドルとなる見通しで、今後 2～3 年で、6 億ドルに達することが予想されている。これは、国内

の固定資本投資額全体の約 5％にあたり、ロシアの水準にかなり近いものである。また、上述の通り、先進

国におけるこの指標は約 15～30％である。つまり、カザフスタンでリース業が今後も成長する可能性はま

だ十分に残されており、そのためにあらゆる手段を用いる必要がある。また、2005 年から企業が国際財務

報告基準（IFRS）に移行することは、企業の報告書の透明性が高まることを意味し、これは投資家が投資

先の企業を選択する際にも重要になるだろう。カザフスタンの一般経済状況、IFRS への移行、改善された

リース法、これらによって、カザフスタンはさらに魅力的な投資先となることができる。 リース規模の増加は会社間の競争激化につながり、その結果、サービスの質向上やリース料金の低下にも

影響を与えるようになるだろう（出所：カザフスタンにおけるリース発展プロジェクトを手がけるオマロフ

代表）。 ファイナンスリース 所有物使用契約の一形態としてリースがカザフスタンで広く利用るようになったのは、この 10 年間であ

る。リース契約の内容は、リースの期間などによって異なっている。カザフスタンで特に利用されるリース

の形式は、ファイナンスリースである。 カザフスタン税法典では、減価償却資産の賃貸は、次の場合ファイナンスリースと見なされる （1） リース資産の所有権が借り手に移譲される、またはリース資産を定価で購入する借り手の権利がリ

ース契約で規定されている場合。 （2） リース期間が、固定資産の有効使用期間の 80％を超える場合。

また、課税の観点から取引をファイナンスリースと見なすためには、カザフスタン共和国ファイナンスリ

ース法「ファイナンスリースについて」に従わなければならない。

登録とライセンスの要件 ファイナンスリース法に基づき、契約は国家機関に登録されなくてはならない。もし借り手がカザフスタ

ン居住者で、リース提供者が居住者でない場合、借り手はリースの提供者に交換可能な通貨で支払うために、

中央銀行に契約を登録する必要もある。ファイナンスリース分野で活動するためのライセンスは、リース提

供者が銀行もしくは銀行業務を行なう機関でない場合、必ずしも必要ではない。なお、それらの機関が、リ

ース提供者としてファイナンスリース分野で活動する場合、中央銀行のライセンスを取得しなければならな

い。 ファイナンスリースの課税 税法典で定められた一般的な規定はファイナンスリースにも適用されるが、ここで課税の特徴について指

摘したい。カザフスタンにおけるファイナンスリースの形態は、カザフスタンの法人もしくはカザフスタン

に住所を持つ外国の法人がリース提供者であるファイナンスリースとしても、あるいは、カザフスタンに住

所を持たない外国の法人（この形態には、外国の法人がカザフスタンに常設機関を持っているが、この常設

機関の活動にリースが該当しない場合も含まれる）がライセンス提供者であるファイナンスリースとしても

認定さる。 カザフスタンの法人もしくはカザフスタンに常設機関を持つ外国の法人がリース提供者であるファイナン

スリース 通常、カザフスタンの法人であっても、外国法人の常設機関であっても、税法典で明確に規定されていな

い所得税を除き、税制は共通である。 付加価値税 リースに際し、リースが提供される場所がカザフスタンである場合（これは常に明確にされなくてはなら

ず、その際、 近カザフスタンで導入された商品もしくはサービスの販売場所に関する規則に準ずる）、リ

ース支払料金の元金部分には 16％の付加価値税が課せられる。付加価値税はリース提供者が徴収し、国庫

に納めなければならない。借り手が賃貸財産を固定資産として入手する場合、リース支払料金の金利部分に

は付加価値税が課せられない。 企業利潤税（法人税） カザフスタンにおける法人もしくは外国法人の常設拠点に対しては、30％の企業利潤税が課せられる。

外国法人の常設拠点は、企業利潤税の他に、15％の純利益税が課せられる。これは、カザフスタンと外国

法人の国の間で有効な二重課税防止協定がある場合、軽減されることもある。リース事業において、外国法

人の常設拠点に対する純利益税および企業利潤税の問題は、リース提供者のリース所得の元金部分と金利部

分を分けて検討する必要がある。リース提供者の元金部分には、企業利潤税および外国法人の常設拠点に対

する純利益税が通常の手続きにより課せられる（この場合、外国法人の常設拠点に対する純利益税は、それ

がリース提供者である場合にのみ課税される）。税の視点から見た場合、ファイナンスリースは資産の売却

と見なされることから、企業利潤税（および該当する場合は外国法人の常設拠点に対する純利益税）は、資

産の売却から得られる所得、つまり売却価格と当該資産の原価の差額に対してのみ課せられることになる。

しかし、通常こうした価格の増加はわずかなものである。リース提供者が外国法人の常設拠点である場合、

その国の法律および二重課税防止協定の存在により、カザフスタンで支払われた税金の一部もしくは全てが、

外国の税金として見なされる可能性もある。リースによる報酬額については、通常の課税方式では（下に記

した課税免除がない場合）全ての報酬額が次の二段階で課税される。まず、所得に対して 15％の税率が課

税され、次に企業利潤税および外国法人の常設拠点に対する純利益税を算出するために、所得の受領者は通

常、報酬額を課税ベースに加えなければならない。この場合、第一段階で支払われた税金の控除が認められ

る。これにより、この課税方式を使用した場合、報酬額に対する現行税率はちょうど 30％となり、外国法

人の常設拠点がリース提供者である場合には純利益税が追加される。一方で、税法典では、ファイナンスリ

ースによる報酬に対して、かなりの税制上の優遇措置が規定されている。固定資産が 3 年以上の期間で賃

貸され、リース期間の満了に伴い所有権が借り手に移譲する場合、リース提供者は企業利潤税・純益税（カ

ザフスタンに常設機関を持つ外国法人がリース提供者である場合）が免除される。納税者は、ファイナンス

リースによる金利収入に対する税金も免除される。この規程は、カザフスタンの法人に対して一律に適用さ

れる。外国法人の常設拠点に対するこうした免税措置の適用に関しては、こ税法典の様々な条文を比較する

ことで判断できるが、同時に、様々に解釈される可能性もある。 まとめ ファイナンスリースに対する課税について明確でない部分があるにせよ、カザフスタンにおけるこの事業

は活発な成長を続けており、固定資産を一時的に獲得する現実的な選択肢となりつつあることを指摘したい

（出所：アーンスト・アンド・ヤング課税部門ドスィンベコフ・チーフマネジャー）。

13．アスタナ経済特区

アスタナ経済特区は、大統領令第 645号「アスタナ・新都市経済特区の設立について（2001年 6月 29日

付）」により、有効期限は 2007 年までとして設立された。特区は、投資を誘致し先進技術を用いることに

よって短期間で新首都機能を建設する目的で、アスタナ市に流れるイシム川の左岸に設立された。 投資される資本は、政府ビル、国家機関およびその他の機関の事務所、外交施設、および住居の建設に投

じられる。特区の敷地は６つの区画に分かれており、特別の柵で囲われた境界の外周は、全部で 36.8 キロ

である（2001年 8月時点）。 投資を誘致するために、企業に対して税制・税関手続における優遇措置が適用される。インフラ設備や政

府庁舎、住宅などの建設にかかる付加価値税の免除も予定されている。この規定が適用されるのは、法人、

アスタナ市内に登録された居住者、そしてアスタナ市に住所を持ち非法人として企業活動を行なう自然人で

ある。税制上の優遇措置は、経済特区が機能する間において有効であるが、5年を限度とする。 2005年 1月 1日現在、「アスタナ・新都市」経済特区の設備建設に 1,355億テンゲ（約 10億ドル）が投

入され、これまでに特区を各国の政府、および実業界の代表が訪問している。 現在、特区には 124 件の施設が登録されており、そのうち 57 件が建設中、内訳は行政ビルが 13 件、公

共施設が 12件、住宅が 22件、インフラ整備・道路建設が 10件。設計段階にある施設が 9件、22件が労働

委員会により承認され、34件が竣工している。建設は約 400の請負業者が行なっている。 ユーラシア FPK、アラタウストロイインベスト、バジス・Ａ・コーポレーション、アスタナ・ネドゥヴ

ィージマスチ、エリトストロイ、クアト、ウランなどが投資を行なっており、政府庁舎や住宅の建設に携わ

っている。 3 万人を収容するスタジアムや屋内自転車トラック、多機能型展示場、イシム川に架かる橋、乗用車 400

台分の屋内駐車場などの建設も計画されている。 2005 年 1 月 1 日現在、「アスタナ・新都市」の税関により 3,412 件の貨物税関申告の手続がとられた

（総重量 149万 4,646トン）。関税および税金について適用された優遇措置の金額は、48億 6,564万 9,743

テンゲである。また、「アスタナ・新都市」の税務委員会により 521 企業が登録され、付加価値税が免除

された取引は 420億 7,852万 5,800テンゲにのぼる（出所：「アスタナ・新都市」経済特区管理局の情報）。 多くの専門家の考えでは、経済特区では住宅建設への投資が も収益性が見込まれる。これは、アスタナ

の人口が急増していること、そして、特にそこに居住する国家公務員が裕福であることにも関係している。 Department of Administration “SEZ”, Exective office Tel.: (83172) 243002, Fax.: (83172) 242087 sezastana@mail.ru sezastana@ok.ru www.astana.dan.kz/sez Tax committee SEZ “Astana”, Tel.: (83172) 240670 Custom-house SEZ “Astana “ Tel.: (83172) 241016