gilson社ピペットマンの管理を考える · 2・故障について 何故故障するのか...

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1 Gilson社ピペットマンの管理を考える エムエス機器株式会社

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  • 1

    Gilson社ピペットマンの管理を考える

    エムエス機器株式会社

  • 今日の内容について 1・偶然誤差/系統誤差 言葉の定義、おかしなデータがでること、精度管理とは

    2・故障について 何故故障するのか、目盛り/ピストン/消耗品

    3・重量法/ISO8655 やり方、重量から体積へ、蒸発誤差、何点/何回、チップ

    4・メンテナンス 分解、分解の手順、頻度

    2

  • 1・偶然誤差/系統誤差

    3

  • 1・偶然誤差/系統誤差

    4

    ☆ 誤差とは ・測定値は常に誤差が含まれます。永遠に正しい値(真値)そのものを知ることはできません。 ・真値の代わりに最確推定値(真値を推定すること)を用いて誤差を求めます。

    誤差=測定値-真値、相対誤差=誤差/真値

  • 1・偶然誤差/系統誤差

    5

    ☆誤差の種類と原因 ・過失誤差 ⇒ 誤動作、不注意、間違い。回避/低減/棄却ができるもの ・偶然誤差 ⇒ 突き止められない原因、制御できない条件の変動などによる誤差。 ばらつき。回避できないので、統計的な方法で処理。 環境因子などの揺らぎの原因を抑えれば小さくなる。 測定回数を増やせば小さくなる。 真値の周りにばらつく傾向。 「精密さ(Precision)」 ・系統誤差 ⇒ 規則的に生じる誤差。測定値に偏りを与える。 機器誤差/理論誤差/個人誤差 回避、低減、補正できる。 「正確さ(Accuracy)」

  • 1・偶然誤差/系統誤差

    6

    ピペットマンの場合の過失誤差 ・誤動作 P-200で100μLに合わせて160 μL

    ・不注意 チップがちゃんとついていない P-200を使おうとしてP-100を持っていた

    ・間違い P-5000にD1000を着けようとする 液体を吸うときに、チップを水の中に深くつけすぎた 水面についていなかった

    ・回避/低減/棄却ができるもの 水を吸った時にチップ内で水が跳ねてしまった チップの外側についていた水が混入した

  • 7

    1・偶然誤差/系統誤差

    偶然誤差 1)機械の故障?

    2)環境因子?

    3)テクニック?

    系統誤差 1)機械の故障?

    2)環境因子?

    3)テクニック?

    ピペットマンでの誤差の原因はなになのかを検討しましょう

  • 8

    1・偶然誤差/系統誤差 1)機械の故障?

    偶然誤差 ・オペレイティングロッドの変形

    ・ピストンの汚れ

    “動きが悪い”

    系統誤差 ・シール/O-ringの摩耗

    ・チップホルダーの汚れ、摩耗

    ・ピストンの錆び、汚れ、傷

    ・チップ(過失誤差?)

    “空気の漏れがある”

  • 9

    1・偶然誤差/系統誤差 2)環境因子?

    偶然誤差 ・温度のむらがある ・・・ 水、チップ、ピペット

    ・蒸発(湿度)の問題

    系統誤差 ・気圧が異なる・・・・体積/重量の換算の問題

    理論誤差であり、回避できる

  • 10

    1・偶然誤差/系統誤差 3)テクニック?

    偶然誤差 ・プレリンス(蒸発、チップに対するなじみ、温度)

    ・拭うということ

    ・肘の高さ、肘の角度

    ・ピペットを水面に対して斜めに持つ

    ・チップの水面に付ける深さ

    ・第一ストップの押し具合

    系統誤差 ・ピペットを水面に対して斜めに持つ

    ・チップの水面に付ける深さ

    ・第一ストップの押し具合

  • 11

    1・偶然誤差/系統誤差

    偶然誤差

    2)環境因子?

    3)テクニック?

    系統誤差 1)機械の故障?

    ピペットマンにおいて、機械の調子を検討するには系統誤差を議論するといいでしょう

  • 2・故障について

    12

  • 2・故障について

    13

    シールは擦れて摩耗します O-ringはだんだんゆるんできます

    何故故障するのか

    1)消耗するから

  • 14

    2・故障について

    0

    0.5

    1

    1.5

    2

    2.5

    3

    3.5

    4

    0 100 200 300 400 500 600 700 800

    誤差(%)

    リーク(Pa/S)

    リークと誤差の関係(P-1000,P-200)

    1.6%前

    シール/O-ringの摩耗による精度の影響について

    ほかの部品に異常のないP-1000、P-200でシール、O-ringのみを交換、最大容量での重量法の結果と、エアリークの測定の結果について相関をみました。

  • 2・故障について 何故故障するのか

    1)消耗するから

    右:新品・・・かくかくっとしています 左:故障品・・・丸まっています

    チップホルダーはチップの密着性に重要な場所

    チップホルダーが磨耗したり傷がついてしまうと分注量に影響します

  • 16

    何故故障するのか 1)消耗するから チップホルダーの摩耗による精度の影響について 同じピペットでチップホルダーだけを交換 (P-200、200μL10回測定での結果)

    チップホルダー 系統誤差 200μL 偶然誤差

    問題なし 200.3μL(0.17%) 0.23μL(0.11%)

    摩耗1 198.1μL(0.95%) 0.47μL(0.24%)

    摩耗2 197.7μL(1.17%) 0.36μL(0.18%)

    摩耗3 197.6μL(1.18%) 0.87μL(0.45%)

    カタログスペック 201.6~198.4μL(0.8%) ≦0.30μL(0.15%)

    2・故障について

  • 17

    2・故障について 何故故障するのか

    2)ピストンが錆びる/汚れる/傷がつく

    ①ピペットで溶液を吸い上げる

    ②ピペット内部は陰圧となり、液面が波立つ

    ③エアロゾルが発生する

    コロージョンプロテクションキット (P-1000 / F-1000 / P-1000N用)

  • 18

    錆びる場合

    汚れ、塩溶媒などにより錆びる場合は、錆びがO-ringに沿って輪のようになることが多い。

    腐食性の酸(塩酸など)や腐食性の有機溶媒などでピストンが全体的に錆びてしまう。

    汚れる

    蛋白などがつくと膜が出来て取れない汚れが出来る。試薬などがこびりつくこともある。

    チップホルダー内部

    周りの汚れ、ほこりや吸引しているサンプル、溶媒などで内部が汚れる。

    2・故障について 何故故障するのか 2)ピストンが錆びる/汚れる/傷がつく

  • 19

    2・故障について 何故故障するのか 3)その他部品について ☆フリクションリング 試薬がかかったり、UVが長時間照

    射されたりすると、フリクションリングが変形したり破損したりします。

    ☆オペレィティングロッド ロッドが力のかけすぎで曲がってしまったり、試薬等で汚れたり錆びたりすると滑らかに動かせなくなります。

    ☆ダイアル 試薬がかかったりすると変形したりしますが、長年使っていくうちに摩耗していきます。

  • 3・重量法/ISO8655

    20

  • 3・重量法/ISO8655

    Part 1:Terminology, general requirements and user recommendations Part 2:Piston pipettes Part 3:Piston burettes Part 4:Dilutors Part 5:Dispensers Part 6:Gravimetric methods for the determination of measurement error Part7: Non-gravimetric methods for the determination of measurement error

    ・ピペットマン/マイクロマン/ディストリマンやダイリューター/ディスペンサーに関するISO Piston-Operated Volumetric Apparatus

    ・各用語に関する定義(Systematic error, Random error, Nominal volumeなど)

    ・適合性試験/重量法に関する記述(比色法なども定義してある)

  • 3・重量法/ISO8655

    22

    まずはGilsonのビデオをご覧になって、普段皆さんが行っているやり方との違いがあるか確認ください。

  • 3・重量法/ISO8655

    23

    皆様のやり方とどこが違いましたか?

    ① ②

    ③ ④

  • 24

    3・重量法/ISO8655

    重量法における準備について

    ・容器は?容器の中は? ☆口の狭い、水はけのいいものを選ぶ ☆少ない容量で用いる容器には蓋があること ☆容器の中には必ず水が入っているといい ☆少ない容量(20μL以下)においては、容器を

    手で直接触らないように、手袋をはめ、ピンセットのようなもので取り扱う

    ・水は? ☆水、チップ、ピペット、容器などは同じ場所において、2時間くらい放置

    ☆気泡が出ているのであれば、超音波洗浄機にて泡を追い出すのがよい

  • 25

    3・重量法/ISO8655

    天秤の中にピペットを入れ、吐出するやり方はお勧めしません。 重量法の主役はあくまでもピペットです。 ピペットのやりやすいように実施すべきなのです。

    重量法の実際の動作、ピペットのテクニックについて

  • 26

    3・重量法/ISO8655 重量法における計測結果の求め方について

    Pipetting cycle - In Tempo いつも行っている環境、道具などで十分な練習を行っていないと、同じリズムで行うことは難しいです。

    ⇒ 1サイクル内での蒸発量

    重量から体積へ 天秤で得られるデータは重量です。ピペットは体積の道具ですから、得られた結果は換算しなくてはいけません。 換算?比重?密度?

  • 27

    3・重量法/ISO8655

    Z)e(m V ii

    e : 蒸発補正(ただし測定容量50μL以上では無視できる) Vi: 測定容量 mi: 測定重量 Z: Zファクター(in µl/mg)

    重量法における計測結果の求め方について

    1013 hPa ± 25 15 ~ 30°C

    23

    2

    0

    50%<

    参考:重量法における環境条件

  • ISO8655 Part6 Gravimetric methods Annex A: Z-Factor 水は温度と大気圧によって、その体積-重量の比は影響されます

    AIR PRESSURE hPa (mbar)

    1.0037

    1.0039

    1.0042

    1.0045

    1.0038

    1.0040

    1.0043

    1.0045

    24

    25

    26

    27

    1.0028

    1.0029

    1.0030

    1.0031

    1.0032

    1.0033

    1.0035

    1.0029

    1.0030

    1.0031

    1.0032

    1.0033

    1.0034

    1.0035

    20

    20.5

    21

    21.5

    22

    22.5

    23

    1.0019

    1.0021

    1.0022

    1.0024

    1.0026

    1.0020

    1.0021

    1.0023

    1.0025

    1.0027

    15

    16

    17

    18

    19

    960 1013 °C

    TEMPERATURE

    1.0038

    1.0041

    1.0043

    1.0046

    1.0029

    1.0030

    1.0031

    1.0032

    1.0033

    1.0035

    1.0036

    1.0020

    1.0022

    1.0023

    1.0025

    1.0027

    1067

    μL/㎎

    3・重量法/ISO8655 重量法における計測結果の求め方について

  • 29

    3・重量法/ISO8655 重量法は何点/何回がいいのか

    (3点/10回)もっとも確実かつISO8655で推奨 最大容量、最小容量 or 最大容量の10%、最大容量の50%

    系統誤差(精度)・偶然誤差(再現性)

    (2点/10回) 最大容量、最小容量 or 最大容量の10%

    系統誤差(精度)・偶然誤差(再現性)

    (3点/5回、2点/5回など) 系統誤差(精度)

    ☆状況により、本当に必要な情報、 データを検討しなくてはならない?

  • 30

    吸引時に膨張して変化する空孔の量DV

    ピストンが下がっているとき ピストンが上がっているとき

    チップホルダー

    空孔V0

    チップ

    ピストン

    ΔV≅(rg/P0)×hV0

    大気圧 P0

    r:吸引される液体の密度

    g:重力加速度

    3・重量法/ISO8655 重量法でチップを考える

  • PIPETMAN P2 に装着して、2 µLを吸引 (写真参照)

    DIAMOND TIP

    Level

    line

    G社チップ

    レベルラインより多い

    Droplet

    レベルラインより少ない

    A社チップ

    S社チップ

    レベルラインより少ない

    レベルラインより少ない

    M社チップ

    3・重量法/ISO8655 重量法でチップを考える

    基本はメーカー指定のチップを使うべきです。

    異なるチップを使う場合は、その評価から始めなくてはいけません。

  • 4・メンテナンス

    32

  • 33

    4・メンテナンス Q:メンテナンスは必要なのか? A:必要です Q:では、なぜ? A:系統誤差が生じるからです。 Q:系統誤差が生じるのは、使っていくうちにずれていくからですよね?

  • 34

    4・メンテナンス

    ピペットマンで使い続けていくと、確かに目盛り通りの量が分注できなくなっていきます。

    ピペットマンにおける系統誤差

    けど、普通に使っているだけでは校正ポイントは動かないのです。。。。(微調整は不必要)

    校正ポイントはピストンの位置合わせで決まります。

    部品が痛んでいき、空気の漏れが生じて、分注量が少なくなっていきます(つまり故障です) (決して多くなることはありません。)

    なので、定期的なメンテナンスが必要となります。

  • 35

    4・メンテナンス

    ☆消耗品の交換 シール、O-ringの交換 チップホルダーの交換・・・使えば摩耗する部品です

    では、どのようなメンテナンスが必要ですか?

    ☆ピペット内部の洗浄、状態確認 ピストンの状態確認及び付着している汚れの取り除き チップホルダーの状態確認及び内部に付着している汚れの取り除き その他の機能、外観上の検査 校正・容量チェック(検査報告書) ~微調整がいらない、お客様でできる範囲のことです~

  • 36

    4・メンテナンス

    ☆消耗品の交換 シール、O-ringの交換・・・1年に1回くらい チップホルダーの交換・・・2~3年に1回くらい

    では、どのくらいの頻度が必要ですか?

    ☆ピペット内部の洗浄、状態確認 ピストンの状態確認及び付着している汚れの取り除き チップホルダーの状態確認及び内部に付着している汚れの取り除き

    半年に1回ぐらいは行うといいと思います

  • 37

    4・メンテナンス では、どのくらいの頻度が必要ですか?

    実例① “1年に1回点検して、だめだったものは修理します“ シール/O-ringだけで治るもの 5% チップホルダーなどの部品も交換が必要なもの 5% ピストンなどがだめで修理が必要なもの 12%

    実例② “1年に1回メンテナンスを行っている “ チップホルダーの交換が必要なもの 5% ピストンがだめで修理が必要なもの 4% (30%以上のピストンに汚れあり)

    実例③ “1年に2回メンテナンスを行っている “ チップホルダーの交換が必要なもの 5% ピストンがだめで修理が必要なもの 2%

  • 38

    ご紹介1 • ピペットマンクラブ 弊社が行っております、ピペットマンユーザー様向けの会員サイトです。 使い方、メンテナンスなどの資料、動画などを取りそろえております。 “ピペットマンクラブ“で検索してください。 http://www.technosaurus.co.jp/supports/view/p_club

  • ご紹介2 • 弊社カスタマーサポートセンター 2007年11月、国内ピペット業界初のJIS Q 17025:2005(ISO/IEC 17025:2005)に適合するピペット校正機関としての認定を取得

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    • ISO/IEC 17025 校正 校正のみ/オーバーホール&調整後校正/受取時校正&オーバーホール&調整後校正

    http://www.jab.or.jp/system/service/calibrationlaboratories/accreditation/detail/149/

  • エムエス機器 8ホール

    小間No. 8A-406