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山元 一広

富山大学 理学部 物理学科 

KAGRA  サファイアミラー公開

富山大学理学部2018 年 3 月 8 日

目次1. 重力波とは2. KAGRA とは3. サファイア鏡について4. なぜサファイア鏡を使うのか5. 富山大学の役割6. 強度試験7. KAGRA の今後の予定

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1. 重力波とは 重力とは何か ? 1915 年 アルバート アインシュタイン : 一般相対性理

論 “ 重力は時空(時間と空間)の曲がりであ

る。            物体によって時空は曲がり、その中を

進む            物体の軌道が曲がる。”

3アルバート アインシュタイン ( ウィキペディア 英語版 )

安東正樹 重力波望遠鏡 KAGRA で見る新しい宇宙の姿

(東大物理学教室談話会  2013 年 5 月 31 日)

1. 重力波とは 重力波とは何か ?   1916 年 アルバート アインシュタイン : 重力波 “ 重力(時空の曲がり)の源となる物体が            激しい運動などをすると時空のさざな

み(重力波)            が光と同じ速さで伝わっていく。”

4アルバート アインシュタイン ( ウィキペディア 英語版 )

苔山圭以子 (スーパーサイエンスハイスクール  2016 年 4 月

21 日)

ものすごく重い物が互いの周りを回っている

1. 重力波とは

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2015 年:アメリカに建設された LIGO が初の重力波検出を成し遂げる。 予言から検出まで 99 年 !

LIGO open science center

1. 重力波とは

666666666

2017 年: LIGO メンバーにノーベル物理学賞

レイナー ワイス バリー バリッシュ キップ ソーン

富山大学理学部物理学科 5 研ののノーベル賞の解説参照http://www.sci.u-toyama.ac.jp/phys/5ken/  

1. 重力波とは

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2018 年 3 月現在:重い 2 つの天体の合体からの重力波

ブラックホール連星の合体: 5 回(そのうち一回はイタリアに建設されたVirgo との共同観測)-> 他の手段での観測が難しい。新しい天文学の誕生。

中性子連星の合体: 1 回 (Virgo との共同観測 )他の手段と相補的な観測

100年越しの宿題が解決してすべてめでたしめでたしか(もうなにもすることはない?)

光学望遠鏡の例ガリレオ ガリレイの観測は人類の天文的な知識を完全に塗り替えた。

…が、これで終わりではない。光学望遠鏡は長足の進歩を遂げた

8ガリレオ ガリレイ  ( ウィキペディア 日本語版 )

1. 重力波とは

たとえば すばる望遠鏡規模も性能もガリレオのものとは桁違い

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1. 重力波とは

100年越しの宿題が解決してすべてめでたしめでたしか(もうなにもすることはない?)

ニュートリノの例ニュートリノ:素粒子の一種。検出は極めてむつかしく初検出はノーベル賞。

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1. 重力波とは

ニュートリノの例検出は極めてむつかしく初検出はノーベル賞。->これでニュートリノの研究はおしまいではない。 その後もノーベル賞が3 回も出ている。(1)ニュートリノに種類(世代)があることの発見

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1. 重力波とは

ニュートリノの例検出は極めてむつかしく初検出はノーベル賞。->これでニュートリノの研究はおしまいではない。 その後もノーベル賞が3 回も出ている。(2)ニュートリノが質量をもつことの発見

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1. 重力波とは

ニュートリノの例検出は極めてむつかしく初検出はノーベル賞。->これでニュートリノの研究はおしまいではない。 その後もノーベル賞が3 回も出ている。(3)ニュートリノによる天文学

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1. 重力波とは

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2.KAGRA とは今後どうするか?(1) 台数を増やす:国際観測ネットワークの構築

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今後どうするか?(1) 台数を増やす:国際観測ネットワークの構築

LIGO India4km Arms

4km ArmsaLIGOHanford

aLIGOLivingston4km Arms

AdvancedVIRGO3km Arms

600m ArmsGEO600-HF

3km ArmsKAGRA

苔山 圭以子、重力波検出器の開発と重力波天文学(大阪大学電気工学特別講義  2016 年 6 月 28 日)

2.KAGRA とは

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第1世代:検出できず

第2世代:初検出!目標感度目指して開発を進めている

第3世代:本格的な重力波天文学が花開く

安東正樹 重力波望遠鏡 KAGRA で見る新しい宇宙の姿

(東大物理学教室談話会  2013 年 5 月 31 日)

今後どうするか?(2)雑音の低減

2.KAGRA とは

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今後どうするか?(2)雑音の低減

KAGRA の重要な特徴(a)岐阜県の神岡鉱山内に建設地面振動が小さい(都市近郊の 1/100 )

(b)熱雑音低減のために鏡を冷却 (-253℃、 20K) 。

第 1,2 世代通して KAGRA が初めて採用した。第 3 世代でも検討されている。

2.KAGRA とは

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KAGRA のある場所:岐阜県飛騨市神岡町地下にある鉱山跡のトンネルを利用して、東京大学宇宙線研究所の最先端研究施設がたくさんある!KAGRA の他のホスト機関は国立天文台と高エネルギー加速器研究機構

富山湾

神岡・茂住

北陸新幹線富山駅

苔山圭以子 (スーパーサイエンスハイスクール  2016年 4月 21

日)

2.KAGRA とは

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KAGRA のある場所:岐阜県飛騨市神岡町地下にある鉱山跡のトンネルを利用して、宇宙線研の最先端研究施設がたくさんある!

一番有名なのはカミオカンデとスーパーカミオカンデ2 度のノーベル賞

2.KAGRA とは

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3km

3km

2.KAGRA とは

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4 つのサファイア鏡の距離が重力波がくると変わる。それを光(レーザー)で測定する。

サファイア鏡がまず最初に重力波を” 感じる” 。最重要部品の一つ

2.KAGRA とは

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3.サファイア鏡について

22cm

15cm

23kg(密度は水の 4 倍)

単結晶人工サファイア

予備の鏡 2 個、本番鏡 1 個が納入ずみ写真はこの本番鏡

本番鏡 3 個が2018 年内に納品予定

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最初の本番鏡はここに設置今日は富山大学にあり、これから公開。明日KAGRA に移送される。

残りの 3 個の本番鏡は 2019 年春までに設置

3. サファイア鏡について

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4.なぜサファイアを用いるのかKAGRA の鏡はサファイア。LIGO 、 Virgo は溶融石英。

熱雑音:冷却すると” 通常は” 低下する。溶融石英は逆に大きくなってしまう。サファイアは冷却することによって効果的に熱雑音が低減できる。

低温でサファイアは非常によく熱を通す->低温状態を維持しやすい。  光を吸収して熱になっても素早く外に逃せる。

しかしサファイア鏡の製作(基材の製作、研磨、反射膜)は大きなチャレンジであった。さらに KAGRA で設置前に重要な工程が富山大学で行われる。残りの 3 個の本番鏡も設置前に富山大学に立ち寄る。

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富山大学: KAGRA最寄りの国立大学 (車で一時間 )2012年に KAGRAの共同研究機関となる。主にレーザー関連の研究開発を進めてきた。  五福キャンパスのクリーンルーム内での研究開発   KAGRAでの装置の設置や調整

2017年からサファイア鏡に関する重要な工程” 耳のとりつけ” をクリーンルームで行っている。

5. 富山大学の役割

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通常の光学実験では鏡は固定される。しかし地面に固定されると重力波が来ても鏡の間の距離が変わらない。 ->吊るす。

ファイバと(円筒形)の鏡の接続をどうするか?

5. 富山大学の役割

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吊るすためには(サファイアでできた)耳という部品を貼り付ける必要がある。

鏡と耳の間、もしくは鏡に埃がつくことを防ぐためこの貼り付けを富山大学クリーンルームで行っている(今後新しい鏡が続々と来る)。

LIGO、 Virgoでも溶融石英の耳をつけているがサファイアはKAGRAが初めて。

5. 富山大学の役割

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吊るすためには(サファイアでできた)耳という部品を貼り付ける必要がある。

鏡と耳の間、もしくは鏡に埃がつくことを防ぐためこの貼り付けを富山大学クリーンルームで行っている(今後新しい鏡が続々と来る)。

LIGO、 Virgoでも溶融石英の耳をつけているがサファイアはKAGRAが初めて。

5. 富山大学の役割

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5. 富山大学の役割

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5. 富山大学の役割

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サファイア耳取付の作業者:若手 3人

東京大学宇宙線研究所研究員( ICRRフェロー)東京大学宇宙線研究所大学院生(修士)富山大学理学部 4年生

取付方法に関しては LIGO、 Virgoに参加している研究機関と共同で

基礎的な研究、開発を 2013年から行ってきた。                       ->これ一つ

とっても国際的な研究

2017年 3月から富山大学クリーンルームで練習、開発をすすめ、予備のサファイア鏡 2個に耳をつけた。今回初めて本番鏡に耳をつけた。2018年内に残り 3個の鏡に耳をつける。 

5. 富山大学の役割

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6. 強度試験耳は文字通り命綱。吊っているときに剥がれることは許されない!

耳をとりつけたあとクリーンルーム内で強度試験(現在進行中!)。耳だけで支える。これにより吊ったときと同じ力が加わる。この状態で 1-2週間待ち、とれなければ OK。明日午前中に強度試験は終わり、 KAGRAへの搬送となる。

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6. 強度試験

サファイア鏡

耳 耳

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7.KAGRA の今後の予定2018 年春:簡単な構成(サファイア鏡は 2 個)で試験運転

予備の鏡すでに冷却中

明日移送される本番鏡これも冷却される

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最初の本番鏡はここに設置今日は富山大学にあり、これから公開。明日KAGRA に移送される。

残りの 3 個の本番鏡は 2019 年春までに設置-> その後LIGO,Virgo との共同観測を 2019 年中に開始することを目指す。

7.KAGRA の今後の予定

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