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「都市・地域計画学」 第3回 土地利用計画 (補足資料)

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Page 1: (補足資料)3-1.都市計画の定義と内容 <都市計画の基本理念(都市計画法第2条)> 都市計画は、農林漁業との健全な調和 を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な

「都市・地域計画学」

第3回

土地利用計画

(補足資料)

Page 2: (補足資料)3-1.都市計画の定義と内容 <都市計画の基本理念(都市計画法第2条)> 都市計画は、農林漁業との健全な調和 を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な

3-1.都市計画の定義と内容

<都市計画の基本理念(都市計画法第2条)>

都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。

<都市計画の対象となる区域>

「都市計画法」に基づいて、「都市計画区域」および「準都市計画区域」を指定する。

<都市計画の内容>

①都市地域における一体的・総合的な計画の確立・都市計画を策定すべき都市計画区域の指定・個々の都市計画を実施するための根拠となるマスタープランの策定都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の策定(都市計画区域マスタープラン)→

都道府県が策定・市町村の都市計画に関する基本的な方針の策定(市町村マスタープラン)

②計画的な土地利用の実現のための規制と誘導・主な内容:

区域区分、地域地区、開発許可制度、地区計画等

③快適な都市生活・活動のための都市基盤整備・都市施設の整備:道路、公園、下水道等・市街地開発事業の実施:土地区画整理事業、市街地再開発事業等

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3-2.都市計画区域と線引き制度

<都市計画区域>

都心の市街地から郊外の農地や山林の

ある田園地域に至るまで、人や物の動き、

都市の発展を見通し、地形などからみて、

一体の都市として捉える必要がある区域。

<準都市計画区域>

都心の市街地から郊外の農地や山林の

ある田園地域に至るまで、人や物の動き、

都市の発展を見通し、地形などからみて、

一体の都市として捉える必要がある区域。

2000年の法改正により導入された。

<線引き(区域区分)>

都市計画区域を2つに区分して、すでに

市街地になっている区域や計画的に市街

地にしていく区域(市街化区域)と、市街

化を抑制する区域(市街化調整区域)を定

める。2000年法改正により、地方自治体

が実施の可否を選択できることとなった。

出所:国土交通省「みんなで進めるまちづくりの話」

http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/index.htm

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3-3.岡山県内の都市計画区域と区域区分(線引き)の状況

<都市計画区域の指定状況>

14市7町で14区域を指定。区域の面積:約220,491ha

(県土面積の約31%)区域内人口:約169万人

(県人口の約88%)

<区域区分あり(線引き)>

岡山県南広域:6市1町

125,469ha

<区域区分なし(非線引き)>

津山広域:1市2町

16,986ha笠岡

:1市

12,481ha井原

:1市

8,995ha高梁

:1市

2,100ha新見

:1市

2,900ha備前

:1市

13,842ha真庭

:1市

8,919ha湯原

:1市(真庭)

570ha美作

:1市

2,371ha鴨方

:1市1町

4,867ha和気

:1町

6,913ha矢掛

:1町

9,062ha吉備高原:1町

5,050ha出所:岡山県の都市計画2013

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3-4.都市地域の一体的・総合的な計画(マスタープラン)

<都市計画区域マスタープラン(都市計画法第6条の2)>

2000年の都市計画法の改正により、すべての都市計画区域において「都市計画区域の整備、

開発及び保全の方針(都市計画区域マスタープラン)」を定めることになった。都市計画区域マスタープランは、住民に理解しやすい形であらかじめ長期的、広域的な

視点に立った都市の将来像を明確にし、その実現に向けて大きな道筋を明らかにすることを目的としており、以下の内容を定める。

①都市計画の目標(概ね20年後の広域的な都市の将来像、実現のプロセス、都市づくりの基本理念)②各都市計画区域で、区域区分をするか否かを判断し、する場合はその方針を定める。③主要な都市計画の決定の方針

<市町村マスタープラン(都市計画法第18条の2)>

1992年の都市計画法改正において、市町村自らが定める都市計画のマスタープランとして、「市町村の都市計画に関する基本的な方針(市町村マスタープラン)」が創設された。

市町村マスタープランは、都市計画区域マスタープランに則し、各市町村の区域を対象として、住民に最も身近な地方公共団体である市町村が、より地域に密着した見地から、その創意工夫の下に、市町村の定める都市計画の方針を定める。

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3-5.都市計画区域マスタープランの例:岡山県南広域

岡山県南広域都市計画区域マスタープラン(2012年1月)

岡山県南地域の将来都市構造図

出所:岡山県の都市計画区域マスタープランhttp://www.pref.okayama.jp/page/detail-3342.html

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3-6.市町村マスタープランの例:岡山市・2012年3月策定

都市づくりの目標 将来都市構造図

出所:岡山市都市計画マスタープラン(http://www.city.okayama.jp/toshi/tokei/tokei_t00009.html)

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3-7.土地利用計画の概要

土地利用計画は、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保するために、適正な制限のもとに都市における土地の合理的利用が図られるよう定める。

特に、市街地の無秩序な拡大を防止し、機能的な都市を形成するとともに快適な都市生活を実現するため、都市地域全体の合理的な土地利用計画を立て、開発行為、建築行為を計画的に誘導していく必要がある。

都市計画法においては,市街化区域及び市街化調整区域、用途地域、特別用途地区、防火地域及び準防火地域、風致地区、その他の地域地区等の制度がある。

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3-8.区域区分(線引き):市街化区域と市街化調整区域

国道2号線バイパス「経済成長・人口増加」の時代

→市街地拡大・スプロール→乱開発の抑制

「低経済成長・人口減少」の時代→市街地の縮小・縮退→計画的な集約(コンパクト)化

←岡山市南部のスプロール市街地

都市への人口や産業の集中化は、都市周辺部の単発的開発や、農地、山林等の無秩序な宅地化などのスプロール現象を生じさせ、道路や排水施設のない不良市街地が形成されるといった種々の弊害をもたらした。しかも、不良市街地がいったん形成された後は、地方公共団体は後追い的に、かつきわめて非効率的な公共投資を余儀なくされている。

このため都市計画法(法第7条)では、都市地域のうち、既に市街地を形成している区域とおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域を「市街化区域」、市街化を抑制すべき区域を「市街化調整区域」として定め、この区域区分(線引き)を基礎として諸般の都市計画を定め開発許可制度を併用することにより、計画的な市街化を図ることとしている。

この制度は、「都市化の抑制・コントロール」という観点だけでなく、「都市の魅力の計画的創出」の観点からも、今後も引き続き重要な役割を果たしている。なお、区域区分(線引き)をするか否かは、2000年の都市計画法改正により、都道府県が「都市計画区域マスタープラン」において判断することとなった。岡山県では「岡山県南広域都市計画区域」において区域区分を定めています。なお、笠岡都市計画区域の区域区分は2009年4月1日に廃止された。

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3-9.市街化調整区域における開発行為:開発許可制度

<開発許可制度>

昭和30年代後半から昭和40年代にかけての高度経済成長の過程で、人口や産業が都市に集

中したが、このような状況の中で、郊外部において無秩序に市街化が進んだり、道路や公園

といった安全で快適な都市生活を営むために必要不可欠な施設の整備が行われないままに市

街地が形成されるといった弊害が生じた。

開発許可制度は、都市計画で定められるいわゆる線引き制度の実効性を確保するとともに、

一定の土地の造成に対するチェックを行うことにより、新たに開発される市街地の環境の保

全、災害の防止、利便の増進を図るために設けられた都市計画法上の制度である。

都市計画区域

線引き都市計画区域

市街化区域1000m2(三大都市圏の既成市街地、近郊整備

地帯等は500m2)以上

※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

市街化調整区域 原則として全ての開発行為

非線引き都市計画区域3000m2以上

※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

準都市計画区域3000m2以上

※開発許可権者が条例で300m2まで引き下げ可

都市計画区域及び準都市計画区域外 1ha以上

<規制対象規模>

出所:国土交通省HP>>>>>>>>>>>>>>

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3-10.用途地域制の概要

出所:国土交通省「みんなで進めるまちづくりの話」

http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/index.htm

<地域地区>

都市計画区域内の土地をその利用目的

によって区分し、建築物などに対する

ルールを決め、土地の合理的な利用を図

るために、用途地域などの地域地区を指

定する。

また、準都市計画区域については、用

途地域などの地域地区のうち一部の地域

地区について指定する。

<用途地域における建築制限>

用途地域が指定されている地域では、

建築物の用途の制限とあわせて、建築物

の建て方のルールが定められている。

これによって、土地利用に応じた環境

の確保が図られるようになっている。

例えば、土地の面積と建物の床の面積

の比率(容積率)、道路の幅に見あった建物

の高さなどのルールがある。

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3-11.用途地域制の変遷(細分化)

1919年都市計画法(旧法)<4種類>

・住居地域

・商業地域

・準工業地域・工業地域

1992年都市計画法改正

<12種類>

・第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域

・第1種中高層住居専用地域・第2種中高層住居専用地域

・第1種住居地域・第2種住居地域・準住居地域

・近隣商業地域・商業地域

・準工業地域・工業地域・工業専用地域

1969年都市計画法改正(旧法廃止)<8種類>

・第1種住居専用地域

・第2種住居専用地域

・住居地域

・近隣商業地域・商業地域

・準工業地域・工業地域・工業専用地域

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3-12.用途地域による建築物の用途制限

以下の順に建築物の制限が緩くなっていく。

・第1種低層住居専用地域↓

・第2種低層住居専用地域↓

・第1種中高層住居専用地域↓

・第2種中高層住居専用地域↓

・第1種住居地域↓

・第2種住居地域↓

・準住居地域↓

・近隣商業地域↓

・商業地域

ほぼ制限なし↓

・準工業地域

ほぼ制限なし

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3-13.建築基準法による集団規定

出所:国土交通省資料「建築関係法の概要」www.mlit.go.jp/common/000134703.pdf

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3-14.用途地域内の建築物の形態制限

出所:岡山市「都市計画おかやま」

建ぺい率が大きいほど、敷地いっぱいに建物を建てることができる。

容積率が大きいほど、敷地に対して大きな(高い)建物を建てる

ことができる。

都市計画図における表記

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3-15.用途地域以外の地域地区

<地域地区>(都市計画法第8条~第10条の4)

地域地区は土地の自然的条件や

土地利用の動向を考えて、住居、

商業、工業等その他の用途を適正

に配分することにより、都市にお

ける住居の環境を保護し、都市環

境の利便性の向上を図ることを目

的として定める。また、都市としての美観、風致

を維持し、公害、火災等を防止す

るなど、適正な都市機能の維持増

進を図って良好な市街地を形成す

るため用途地域や特別用途地区、

特定用途制限地域、防火・準防火

地域、風致地区等の地域地区を定

める。

赤字:岡山県内において都市計画決定されているもの

→地域地区の内容については、「岡山県の都市計画2013」を参照すること。