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Instructions for use Title アイヌ語に於ける母音調和 Author(s) 知里, 眞志保 Citation 北海道大學文學部紀要, 1, 101-118 Issue Date 1952 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/33108 Type bulletin (article) File Information 1_P101-118.pdf Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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Instructions for use

Title アイヌ語に於ける母音調和

Author(s) 知里, 眞志保

Citation 北海道大學文學部紀要, 1, 101-118

Issue Date 1952

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/33108

Type bulletin (article)

File Information 1_P101-118.pdf

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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アイヌ語に於げる母一音調和

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アイヌ語に於ける母一音調和

イ呆

一問題の所在。

1

〔1〕自動詞又は語根に附いて他動詞密造る母

音の接尾露。〔2〕名詞の概念形に附いて人種形の語幹を遺る母一耳目

の接尾辞。〔3〕本稿の目的。

二自動詞に附いて他動詞を遺孟母一耳目の接尾辞。||〔生〕『ユ

1

一フ語法摘要』に拳げである例。〔5'μ

母一音の接尾欝冶除いて得られ

る自動詞の構遣。

三語根に附いて他動詞を遣る母一音の接尾軒ol--〔6〕「子一音十母

一音十子一音」型の語根。〔7〕語根に母音の接尾辞が附いて出来た他

動詞の全例。

四他動詞の形成に見られる母一音調和oll-〔8〕語根の母音と接尾

鮮の母音の闘係(第一表)。〔9〕他動詞形成に見られる母一平日調和。

五名詞の人稀形の語幹形成に見られる母音調和。||〔臼〕名詞の

概念形に附いて人格形の語幹在遺る母一音語尾。〔日〕車音節名詞の

一音節構造。〔臼〕開一音節の軍一音節名詞に於ける人種語幹の形成法。

〔臼〕その人種語幹の金例。〔U〕閉一音節の翠一耳目節名詞とその人橋

語幹の全例。〔日〕概念形の母一音と語尾の母一音の閲係(第二表)。

〔日〕名詞の人種語幹の形成に見られる母音調和。

六結語。

北大文息子部組要

〔1〕アイヌ一荷の他動詞の中には、母一耳目ア・ィ・ヮ・エ-オ

(1plr

lploutO〉ぞ語尾として成立している一群があって、弐の例の如く殆

〈註1

ど二音節のものばかりである。

「7

WEm

国l

¥

WEE

潰す

「テス」

Hg占そ

「カイェ」片山uJω

折る

「へヲェ」げσ司ゐ

「コモ」

}85ゐ折

この類の他動詞から母音語尾在取り去れば、残りの部分はもはや他動

詞としての存在中佐保つことはできない。その或者は自動詞となる。

寸ヤタ」

υEW

潰れる

「カイ」}内向吋折れる

この場合、母音語尾は、自動詞に附いてそれ沿他動詞化する働き暑な

しているのである。

ま七他の者は、母昔話尾在取り去れば、もはや翠濁では存立し得ない

所の意義単位となり、諸種の動詞の中に意義翠位として見出されるにす

ぎない。

「マク」日長B

「7

クナ」

Bmwko

「?クコサヌ」

「マクナタラ」

日III W

E開sくロロ

-103-

ぱっと開く

BmwEロ己記山ずうっと聞いている

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「チヤルい

「チヤんナ」岱母lro

散らばる

つチヤルコ品7

0

F

母zWC露同M15

ぱっと散る

つプシ」刊誌l

吋へり」「

へウ

「へウコサヌ」

「コムい

M85

「コムデf一

wg長会曲る

「ゴムコサヌい

Egaw皇室戸ぐっと曲る

これら思勢ゅのymw夕刊の担UF043

ぎ誌の類をしばらく諮棋と名ずける

ことにすゐ。すると,この場λ

山内の母音語尾は、時殺から樋動詞沿形成す

る建諮約様馬辞と見ることができる。

以上の郊く、整官一荷馬y-イ・ゥ・ザム・オタハlply-戸ータ10〉は、

、次の一一つの議きやする。

mw

自動認に仙仰いで他動詞や謹d200

斜詩棋に机仰いて抱動詞身撒ゐ。

品加数読む官議ぶという黙に於ては、的wも狩も全く同じ畿き在している。こ

の様に問一の機能、そもつものが、ァ・

4

・グ・ぷ・ォの一五つに分れてい

ゐのは、創刊故であろうか。これが一つの掬懇である。

ハ2Uもう一つの問題は、名認のガにも、援念静から人梯形の語幹を

形成する際に‘府内議の現象が見られることであboザノ守え語の名認には

人種離念の有無による詩静織化

li援念形と人鱗形の軍部ーーーが存夜ず

る。

MW

』に、「ネンかむロ〈腹)という名湖身例に取ってみよう。こ

アイ只

の町民吋l

シコサヌ」

ジナタ

グ-OA予

る録音調間利

央Hm

墨付 片言 ?望書p t;' z..

53為。缶

ぐっ

ずうっ

るっている

押戸命名

BH8ロー命

5年俗、::l ,... H

ぐっと傾く

るの。藷

旬、

宮話のペ言宮室五、J

於では

次の如く人様に関して詩形襲化必ず

⑮特 例制 ぞれ

寸 1 111 クこアこ じエホ ホ

ホオ1 ホヂホニンニオ ミヰ しー しー

しーーし一

し一

ycpハ腹)

MO口問(殺の臨〉ハ彼らの鐙)

1po旦〈殺の腹〉

υ

の誌か

oaハ君らの腹〉

weMM40乱ハあなたの腹〉ハあなたがたの腹〉

入部併の敬相守CM

の形であ700

F252c昆〈私の

。宮山

sycHM山

(¥-) E-す

l!羽子そ誌にしてそれと磁附加して一辺う

立相の我々LOM江戸邑話三

AWW

であ妙心。

持「アホニ」おかむ白山〈私仁ちの緩〉

ii相乎々も合めて…本う「我々'」。いわゆる「

hw

go宏氏〈⑦m440.

である。

これらの内切に於ては「腹いという概念のみが一訴され、納付以下

は「腹いという援念のよに川被の」「彼等のい叶殺のL

「君遣の」「の」

「私共の」「私濯の」というような人鱗樹齢念が隷加的に一不されている。悼

の「ネン」ハyom〉の如く名詞、か概念のみぞ表わす場合の形や私は概念品併

と呼び、持以下の「ネニ」「エネニい「エ一チ牛士一L

「クホエ」「チホニL

「アホニい等の如く概念と共心人檎観念そも一本す場合の形を私は人総形

と呼ぶことにしていゐ。

ところで、人様形は概念静から直接に諮られるのではなくて、概念お般

に母音の接尾鮮が附仰いて入構形の…北側斡が出来、更にそれに入構接頭訴が

附いて入総務が出来るのである。概念静の「ホンい〈吋窓口〉に母一首の接馬

辞ハム〉が附いて人斡潜の詩幹つホ一己ハ}MGHろが形成され、それ

(}2sV

「ヰゾL

合同氏』〉「ア」ハ2s)

「エハmwsU

「L

チ」ハmw門誌心及び

いわゆる

luヰー

棋の我々」

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ゼロの接頭蘇が附いて、第一人種車数形「クホこ

(W己6E)、同複数封

立形「チホこ(岳皆Oロσ、同包括形「アホニ」(各自

σ、第二人種車数

形「エホこ(各自由)、同複数形「エチホニ」

(oS皆83、第三人種単

複形「ホニ」

(FODO

壮一寸が成立しているのである。

さて、概念形に附いて人種形の語幹ぞ形成する母一耳目の接尾辞には、上

記の「イ」(ム)の他に、「ア」(1m)

も「ワ」(占)も「エ」(ゐ)も「才」

(ゐ)も存在する。この五つの母音の接尾辞は概念形に附いて人種形の

語幹必遺るという機能に於ては全く同慣値である。然らばその何れの母

音そも任意に用いてよいかというに、それは単語によって一定してい

る。同じく「腹」を意味する詩でも、「ホン」

20ロ)は必ず「ホニ」

ハFOロ1日)となり1

「バイ」ハ

23は必ず「。りイェ」ハ宮可10)

となる。また

同じく「中」を意味する語でも、「トム」

QOB)は必ず「トモ」(吉田ゐ)

となり、「。ヅム」

(ZB〉は必ずつ叶ム」ハ吉日出)となる。「尾」を意味

する「サル」ハ

Eろは「サラー一(出向山)となり、「葦原」在意味する

「サル」

(Eろは「サリ」

(EZ)となる。すなわち、分りやすく表に

して掲げれば弐の通りである。

回目(洞)

|

|

l

E

門戸(議δ淑)

出回同(州罰)||田甲山(議δ醐滴)

ED(雨)

|

|

F

o

E

(

議δ田

)

EE(苛〉

lizs'ロ(議δ骨)

Z日『〈商〉llg可1

0

(

議δ間〉

)!lzBゐ(

33

この様な直別の根擦は、一瞳どこにあるのか。これがまた一つの問題

である。

3〕本稿に於ては、これらの問題を闇明し、それに関聯して、アイ

ヌ語に於ける母音調和ハ〈on色町司自oロ己の存在。ぞ設いてみ七いと思う

のである。北

大文由学部組要

(註1)

稀に三一音節のものもあるが、それらも語原にさかのぼれば二普節に還

一万できるものばかりである。例えば℃円吋曲目白(ひろげる)は複数が℃可

26

U白であり、自動詞が日比

S由lF

内問(ひろがる)であるが、とれはどうも複

合語らしく思われる。ぇ・門医

'u-吋同

gw'r同(ひろがる)(『ユーカラ研究

二』】U

・830また

mr108(殺す)も自動詞は巾宮同(死ぬ)であるが、

これも本来は複合語であったらしく思われる。それについては後でふれ

る。↓一一、〔4〕、設3、参照。

(註2U

ととに掲げたDは北海遺西南郊(謄振地方、及び日高岡沙流地方)の

方言に於ける日常命日話の人格法である。

自動詞に附いて他動詞を造る母一音の接尾儲

4〕金田一京助博士は「ユーカラ語法摘要」(『ユーカラの研究二』

昭6)戸弓H1凶に於て、自動詞または形容詞から他動詞ぞ遺る語尾とし

IWOw-zwみ

PEE-等をあげ、なおその他につrzFBOh佐附ける特殊な

〈設1)

方法が日常多く用いる語の上にあるのは注目に値する」とて、失のよう

な例をあげておられる。

1刊を附けるもの

己申(除M刊か)||lg'日(除ガム吋〉

匂由(同。)lltg'日(同汁斗)

l戸沿附けるもの

ロロ(号外U仏げが

)lllロローロ(干外UEVMV)

E

Rばli同

2123

10

在附けるもの

宮山『(富斗「か)||片品ゐ(苗NV)

E河(§斗「NV)|l由品目。(§斗いい,

g

wa(当脅か)'|lW310(当NVU

円山可(謝野〉||包吋10

〈禅斗)

島。仲(河野)JloEZ(諮斗〉

「円

u

U11-

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アイヌ諸に於ける母音調和

土刊里

E

H

(茸qoc--woldrqoqNV)

金田一博土は以上の如くイ(ム)ウ(占)エハゐ)の例しかあげてお

られないが、ォ小0)

の例も僅かながら存在する(共僚〔5〕の山参

照)。然るにア小山)に至つては全くその例ぞ見出しがにい。このこと

は他の諸々の現象と一相侯ってζ

の種の母音接尾辞の起原に闘して一つの

示唆生与えるもの

t対一。。

(註

1)

金田一博士は、frf♂

lmを附けて他動詞を造る方法は「日常多く用

いる誇のじんにある」と書いて居られるが、そんなことはない。むしろ、

1r1F1由を附けて他動詞を造るのは古い方法であり、「古い語の上に多

くある」方法である。この方法は今は庭用に騎してしまい、古い他動詞

の中に「化石化した」委で観察されるだけである。アイヌはもはやそれ

らに他動詞化。機能を意識しないから、目ロ戸(置く)己ロロ(はめる)白色

(立てる)口氏(附ける)などを、白ロ(ある)戸口(はまる)白白(立つ)

ロ臼(附〈)の他動詞化とは考えず、別に田口九四(あらしめる日置く)

戸口lS(はまらせるHはめる)白血同日(立たせる日立てる)戸田lB(附かせ

る目附ける)という他動詞を造っているのである。

(註2)

金田一博士が芯印を自動詞の例に翠げであるのも誌である。これは

翠加何では語根に過fcず、介。を附してな叫BW叩となる時始めて「反る」

という意味の自動詞となるのであヲて、次孝(一二、〔6〕〔7〕)に師事げ

るべき例である。

(設3)

「子音+o+y」又は「子一音十O十W」の如き構造の語根は総べて目叩

を祝うて他動詞似する。それ以外に目白を取るものは総べて「子一音十

e

+子音」型。語根であって、ここに翠げであるFS芯u

冊目内

CZは例外で

ある。これは昨。円(持つ)がFS円1白(もたせる)になる様に、本来は

み叩を附すべきものが類推で1mを附したものか、或はW28vwogw

WO同1gvmF内D芯であるかも知れず、本稿で問題にしている品とは呉

る様に思われる。

(設

4)

との穫の母一音接尾鮮の起原に閥

Lては私自身一つの設をもっているが

本稿では其蕗まで論ずる徐裕が無いりで割愛する。いずれ他の機舎に詳

論を愛表するつもりである。

〔5〕他動詞から母一耳目の接尾鮮を除いて得られる自動詞は、その語形

の上から、弐の二種に分けることができる。

卯「母音十子音」の如き構造のもの。

制「子一音十母一音十子一行しの如き構遣のもの。

以上の内、刊に属する語例は敢に於て極めて少く、僅かに四個ぞ教え

るのみである。

山口

(

V

N

V

)

118ロ(針〈)

ロロ(真帆げが〉|||出口占(実与が)

g(同心)11123日(同什が〉

g(奇ハ)Tlis-日(歪,GNV)

これらの-自動詞は種々の鮪から見て、明に属するものとは本質的に類

会副〉

沿昼(にしている様に思われる。

制に属するものは失の諸例で、これも敢に於て極めて少ない。

岳山

10

ぞ取って他動詞になるもの

日O由(陣取JMV〉llBomゐ(曲川げさ

℃告(事課斗NV)Il--)OH】

1。(普議

ω伴MV)

倒占を取って他動詞になるもの

ZV円(湘ENV)|lZF戸(浦正斗)

百日内(蹄斗HMV)li可島出(。hJ吋)

吉田(草正が)l|吉田・戸(苫EJ3

。ygU(〔¥究開件以)li各戸℃出(〔¥『同町VNV〉

E同(!司

MUANV)1115ゲロ(司弓NV)

-106-

申告(OM山

τ〉lima-ロ(ONU弓MV)

l日必取って他動詞になるもの

日同(誠心ハ)11151へ草。qNV〉

Eロ(13ぷ)||『

ge山

(13AP3

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(4) :B円:>;">:: pl " 可可ー-<':;iゐ

議宙♀ぞ3gtき) こノて

I I I害虫~ ~詣宅守~ ~ミω 印ゐな~\'"工

事対 szbさかの'- J'¥J 'J

同国司(OEJ)|112吋10(山県〈議、例か)

宮司(富斗「

$1123(当ど

これらは、調立に白動詞として用いられるという黙を除けば、あらゆ

る鮪に於て、共僚以下に見て行こうとするものと共通の性質そもつ。本r

京外同種のもので凡った唱」とは確かである。

(註)第一、複数を治る方法が附と同とでは大いに逢う。附に属するものは複

数形を遺るのには補充法による。

自(ある)||岳山可(たくさんある)

自(立つ

)1lg凹区〔たくさん立つ)

己ロ(附く)111己印(たくさん附く)

これらO

他動詞化したものの複数形は次の通りである。

白ロE

同叩(あらしめる

H置く)1110W37芯(たくさんおく)

回目

EB(立たせる

H立てる)115E(40)(たくさん立てる)

ロロ九四(附かせるH附ける)||l己臼窓(たくさん附ける)

それに封して、同に属するものはをも同附して複数形を他国る。、

官庁(つぶれる)||百

FE(たくさん潰れる)

gu『(きれる)||宮マ冨(たくさん断れる)

これか、b出来た他動詞は、複数形を遺るに蛍って次む様に母品目。語尾を落

しても同を附けるので、自動詞の複数形と同じになる。

E(つぶす

)|l可白木古田(たくさん潰す)

宮山首(きる)|123白(たくさん切る)

第二、川に属する自動詞壮語形の上にアスペクトを表わすことはないのに

封して、同に属するものは誇挫の一部を反複させたり、接尾鮮をとったり

して、それ自身。詩形の上に複雑なアスペクトを表わす方法をもっている

のである。拙稿、アイヌ語法研究、『樺太隙博物館報告』四念四鋭、

HM-UN

|由参照。

北大文皐部h柏市文

語根

K附いて他動詞を造る母一品目の接尾僻

〔6〕前章に於ては、自動詞が母一耳目の接尾辞ぞ取うて他動詞在形成す

る場合に就いて専ら観察し七のであるが、本章では、語根が母音の接尾

静を取って他動詞在形成する場合に就いて専ら観察して見たいと思うo

t

母一耳目の接尾辞在取って他動詞冶構成する語根は、前節制に属するもの

と同じく、組べて「子一音十母音十子音」の如き構遣であり、これに,p

'r1pbゐが附いて他動詞が形成されるわけである。かくして形成さ

れた他動詞は、更に

E1(頭、Y

m

l

(

頭)、日68(尻)、。l

(

尻)、田町t

(

白身

を)、リヨ吋l

(

自身を)、中(お互そ)、その他目的格の名詞等と結合して

多数の自動詞ぞ成立させてい匂従ってそれらのものを取去れば、本章

に於て取扱うべき種類の他動詞が得られるわけであるoe

ここではかかる

もの冶も一緒に扱うこととし、向前章第五節〔〔5〕の伸)に属する自動

詞から形成された他動詞も、同類と見て、併せて取扱って行くことにす

る。

ηi

nU

(註)との種の自動詞にヲいては、古く金田一博士との共著『アイヌ語法概

設』(昭江、岩波)

H

Y

∞∞|苫に、私自身の集めた多数の例を翠げ、その

成立をも示しておいたので、就いて見られたい。

〔7〕以下、この種の他動調で現在までに拾い得た金例を、語根の母

一晋と接尾の母音の種類に分けて、例拳して行く。

山、10

を取るもの

匂O由B

O

(

~

H

針斗)

OU,。(事覇

ω侍NV)

吉田γ

。(MUJNJ可)

zw,。〈湘EJ吋)

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〈折る〕

(引く)

(巻く〕

〈彫刻する)

(注硯する〉

(振る〉

(切る〉

muy-e (束ねる)

(ゆすぶる)

〈押つぶす)

(網う〉

moy-e (動かす)

(まぜる〉

(ぐっと引く〉

chaw-e (解く〉

〔ひきしめる)

chiw-e (刺さす〉

piw-e く走らす〉

new-e c1このします〉

(曲げる〕

〈傾ける〉

kew-e (迫梯ラ〉

(鰯れる)

〈測る〉

(破る)

(向ける〉

(撹枠する〉

tom-o (集中させるj

kom-o (折曲げる〉

cho芦ーo(ボチャボ、チヤさせる〉

ι(剥くつ

(狙う〉

yom-o (ちぢらす〉

(起す〉

~-L1~ ~~ ~"<い「トト明白+。十堆1~但」割合聴器!1室二+!.絵tÄ (1)長ぶ

仁一。-・。J....IJ1紙同炉心)8...08苦手ミふやみQ心。

~ -a掬長時...08

mak-a (開く〕

mas-a (聞く)

(聞く〉

(聞く〉

chak-a (開く〉

(裂く〉

(裂く〉

(交叉させる〉

(拾てる〉

~-L1~軍~ ( C-u-・a))8 11室ぬ盆v 盟条'特v

心 I) ....IJ~;出回以患いの。

-eぬ係争Q...o8

(殺す〉

(及ばぬ〉

(すじ之をつける〉

kay-e

tay-e

日ay-e

nuy-e

huy-e

思lHtihヤ岡県Eピ手当:bJ{l~き I~m寝廷

to目。

sos-o

yok-o suy-e

tuy-e

包←-1

ruy-e

noy-e

poy-e

taw-e

tey-e

mos-o

pas-a

has-a

mw-e yas-a

nas-a

tas-a

rew-e

hew-e ~~ C-a一・aJ

sur-a

kel'-e

tem-e

per-e

nen-e

e

A

V

4

Fyvu

r‘

a

a

n

h

n

-m

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q斗gj~宝- Iトト羽田+t!a伽+;>, J サ4411主 PH~tI!十世 I~也+民」割合同E 号車 !l

~v-豆、間~霊 !lぬ舗や51 軍ぬ屯会'味合君主1いY ド (-e-・ eJ 8絵

'h:\ 8 -úl 8 苦手ミ心~~処 1) ベJ ':f<組制ぬ!輔、/。

三里 引の告さの-ul8

pat-u- (はねとばす)

par-u C賜る〉

yup-u Cひき緊める〉

rut-u (押し進める〕

num-u C締める)

pet-u (裂く〉

tap-u (かずこめる〉

tak-u C自Iる〉

kat-u C形成する)

kas-u C勝る)

kam-u (かぶさる〉

san-u _ (出す)

yak-u Cつぶす〉

rap-u (羽ばたく〕

rat-u (さげる〉

ra自-u crdときとる)

ram-u C思う J

mat-u (奉げる〉

plr-u (拭う)

Slr-u (こする3

kir-u (再ずる〉

put-u C突出す〉

pus-u (内から押出す)

tuk-u C突出す〉

tus-u (ふるわす)

手~+<令(邸噴きょ記陣 、

pek-u (燃やす)

pen-u (あげる〉

ket.u (こする〉

tes-u (反らす〕

l'ek-u (鳴らす〕

res-u (育てる〉

mes-u (もぐ〉

het-u Cこぼす〉

q -Lj沼 ~8 rK:- (-a-・uJ~ゐ;1 ~- (一1一・旬 、∞~- (-u ・uJ

及ト寧-(-e ・uJ '条O>~~誌の。 (-O-euJ 不均J超特ニ I )-\J~組E

!l坦いの。

iD -Ì~長。-úl 8

tar-I (挙げる〉

chal'-I CまきちらすJ

kar-I (廻す〕

kas-i (勝る〕

sal'-I (振向く〉

l'an-I (下げるう

(mat-i>) mach-i (もたげる〉

(rat-i>) rach-i (さげる〉

rar-I C判明す〉

pi自(問う〉

∞OJ[

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アイヌ緩

る飲一一管制綱和

知主設

宮山仲山リvuち刊のゲムハ3vUAi

のYMWl山〈円、け合〉

岳山

52山〈惑はMWω

ハ告が〉

)

加山活1日

3・ぴ)

弘治ムハ湖町酬が〉

)

岡阿山中山(知ハ〉

(

NV)

〈伊川河い芯旬、が〉

47M凶J-

げ話回2日

]司ロwz山

岡阿戸JF戸明白aM

H}orz日a

件。山内lw

〕巧む同-M

ぎ同工(際わ蕗JW〉

以上部開の内‘ハ!おeagle--ロは9倒、〔ーや|・ロはMM

例、ハig--C

5州問、ハjoi・口は一生例で、ハ

i?JCの鮮は見出されない。

(件同体

NV)

we,L♂

)

(

γ

ド¥ザド¥作付剤、市上附パNV〉

他動誌の

成に見られる

調率良

ハ8U以上一二倍の他動詞いて、話相恨の

の額係会鵡査した結果、下の知一変(第一干衣〉ぞ得た。

〔9〕こ衰の詳細なる捻討は後日の研究ドいと思うが、取

敬えず私は次の諸黙に惹かれるのであ妙心。

×

1

x

×

-a-

10

-110

lpムグ

i

ぬの併が隣熱多く、それに比してんYIO

の例が極めて少

い。このことは、この種の望背接的地鮮の起原ぞ暗示する…つの資料であ

るが、本稿の問問的とは直接の関係がないので、ここではこれ以上の論議

そ省く。

同一接ロ給制御の母管が諾棋の母音に}致すみ例が多い。接尾鱗

cに於

ては全部の側、が語棋の号令に一致し、接尾辞舎に於ても唯…例会ぞ除い

てはそ、ヲであり、

30

じ於てとリ諸制械の自治机ゆが

Q

及。-44

っていあ

ム町防庁は持様でぬ"。。この頃」とは、

MM一}h

〈中小味付NV

〉ili吉宗ロ(ヘUW花々〉

寄付

(iuψ,aqNV〉

191iさrtC

〈心棒辻斗)

ti

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吉田(訪

?das--吉田'戸ハ針立川

J3

吉田(型ヂ櫛醤

d脅さ含吟〉℃。田ゐ

(05ハ

)

等の如く、本来同一の語だったと思われるものがやはり同様であるこ

と、アイヌ語に於ては母音の前進的同化の例の多仏ゴピなどの事賓と

相侠って、明かに接尾辞の母音が語根の母音の影響の下に餐佑したもの

であることぞ示すものと思われる。

同語根の母音が。で接尾軒が

ωの例(〔

lo--3〉も、その反謝

の例(〔lmwt1・。〕)も存在しない。また語根の母音が。で接尾辞が戸

の例(〔|。

lE〕〉も、その反封の例(〔|ロ|・0〕)も見出されない。

語根の母音が

PFou-の内のいずれかである場合には、接尾辞もその何

れかでなければならず、また語根の母一昌一日が

poLの何れかである場合

には、接尾辞もまたその何れかでなければならない。今母一音在、

甲類llp戸

乙類110

丙類

110L

の三種に分けるならば、甲類と丙類、或は乙類と丙類は、この類の他動

詞の中で共存することができるけれども、甲類と乙類は共存することが

できないのである。

以上に依って、所謂「母音調和」が、アイヌ語の古い他動詞の形成法

の中に行なわれてい仁と断じていいと思うのである。

(設1U

これについては一一、〔4〕、出4、参照。

(説2)

誇板の尾一一ヰ日が込及び

B

唱に終っている相場合には例外なしに語尾に

-刊を附けて他動向を造る。

(設3)

例えば次のような例がある。

件。自国立(割問益率)↓

852白(耳d

UZ吉田廿

huq叫ν

目白W占l

(

内叫伸一ザ/)↓ヨ白

E'(一戸議部)

円持品目(!一uuqJ)↓江区目(耳d

謀部)

25(お叱晶子)↓OBB(ヨt

』霊痛は同刈)

北犬文町四十郎紀要

ggoro(対)↓包巾ロ件。(ヨ'議汁uq叫,)

oロgg(U庁議)↓

288(一戸隷獄斗叫)

zwロ(山か)↓ECWO(ヨd護法斗訓)

CEM可(議以内)↓SWOM可(司d

議U介

uq訓。)

。ョロ自℃叩(叱高ト)↓

805H}叩(耳d

議U介斗川叫)

吉田Oロ仲間(よふ聾)↓宵

omoEO(亙d

議U汁

uq叫)九

czg(隊司刷)↓

CFcg(ヨd国附街uq叫)

。宮司叩(子「↑丸山い)↓OYO一司叩(司4

漏出制uq川)

名詞の人稽形の語幹形成比見られる母一音調和

〔同〕名詞の概念形に附いて人種形の語幹冶遣る語尾として、,p'r

ap-Pゐの五つが存在することは、すでに第一章の〔2〕に於て見士

通りである。この五つの母音語尾は、人種形の語幹密造るという機能に

於ては、全く同慣債である。この様に全く同一の機能を持つものが、

1P

Er占

b10の五つに分れているのは、何故であろうか。前記の他動詞

の場合な

rh-参照する時、これもひょっとしたら母一音調和ではなかろう

か、とは容易に考えつくところである。

その様な苧えから、とりあえず皐一音節の名詞笠倖んで、

って、それが人種費化する場合唱を調査してみ七。

-111-

その全例に亘

(註)本営は名詞D

会一例に一旦って調益したものを愛表すべきであるが、今はそ

。徐裕がない。しかし、アイヌ語に於ては多一一音節句諾はたいてい軍一音節。

意義章伎に還元できる上うだし、また多音節の名詞の人稀語幹の形成はそ

の最後。一旦自衛に於て決定され、それが寧一音節の名詞の人稽語幹の形成法と

殆ど一致するように思われるので、単一音節。名詞だけを取上げても名詞の

人稼諾斡の形成法。意義をつかむりには別に差支えはないと信ずる。

アイヌ語の車一音節は、

要素の教とその配列の順序によって、失

のように分けることができる。

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3

母入国とだけのもの

一関一γ一向毎のもむ{

¥

4

4

夜十母音」のもの

壁一首訂r

一部一青山聞のもの九「母音主主のもの

一コナ普十母諮問十子辞」のもの

これ必見れば.笠はだけのもmvは…。もhhJWo

は次のようになゐ。

十母音V

アイヌ殺に於ける録音翁利

しかし、名誌につい

部刊誌管節のもの

一関一音簡のもの

受話

立主{ハ子一音十母一背十

ハ…淀〉低級、だけの意義翠仲代はある。日(薮〉0

0

〈広三しかし、

ζ

れらは合成

認の第一一撚縦飛としてのみ問地いられ、人制刑訴斡一を法ることはない。

及び設の人的併形語幹は、

はかめ冶語尾にとゐ。

の母一音ずーで、人犠諾幹の…語尾が

e

と書く。

〔口U

間半…一背節名詩

つの場合に分けることができる。

付概念憎の母音が

a、

e、

ぞ一語尾にとゐ。

山疑念形の

2ま

(21

概念形の

eで、

!31

瓶念形の

0

で、

ゐ人種五時斡の

.大別して

hvの場合はも

オし

人種誇斡の鶏絡も

aのもの。ハim--3

eのもの。ハlφ1・3

北海道に於て

ハ或は4同凶作〉

のも

部概念形の

HM

で、人種語幹の詩絡がれ℃

の。ハ!?人3

3

と警

40

〔は〉以下、間関管簡の慾昔部名認の会例について、その蹴執念形及び

ハ人議形の語幹には鋒諾身附けることはできないのであゐけれども、

人講料貯の締斡はぜロの入構接頭鮮や必取ってi

|つゑりそのままの務で

i

l第一一一人様の形になるので、今はわかりやすくするために、以下すべて

第一一一人棋の形とみなしてそれに相堂する諜諸々附けることにずら。なお

上段に瓶念形、中段に人鶏語幹の鶏落、下設に入構詩斡の強時ms||充分

強督した時の穆1lt丸信記載するJ

山??・どのもの

(

|iwE

言。)さ

iizg否定

)lis-ω(浮も〉芸〉

|!z器27mH(亙)

Md

〈議〉トil河mwEm(品降、〉議〉

liQmlyh凶ハ部〉

お〈弓罫〉

jigsm〈議む〉宅一驚〉

jig-Z(一ヴ

111Ebハ怠

3hポ〉;ii官ーぎハ一割〉

忌怨(宗務〉

I

ーっかおゐ戸芸号持議〉

111岳災23悶〈翠〉

盟ハ!?・ろのもの

}向。(慈〉

1igo

ハ訴の〉

~W8111宮内MO

〈議〉

同諸ハMm沸);iBぬら(怒号機数〉

ig?g(召〉

U10

ハ路〉

!

l一言み公紛争嬬〉

;i一苫lF

円ゆ

(hび

)ei--詰ゐ(詳

3品山〉

ii152ymw

Mvmw

ハ吋吋

)

1

i一句合

2

0

8

吋一心

lot-C〕のもの

山内

O(UiiiW010

由。

iil出

CEC

<""1ト。

お「溺〉

111仲OBC

〈或はsげとのも

-112-

ハ司〉(亙)

ハ品添

GVき|iWC1g

ハ冨〉

iiig握。IVO

公安じ持部〉

iiizlyc

〈耳〉

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句。(中リ)l!luo,。(議δ

ボ)1li一匂OP。

1日

l・13〕(北海道)、〔!?-E〕ハ樺太)

E〈調)1111EE3(議δ

謂)||E'宮古

---wrZ(百

15

巳〈斗ハ〉lllEl百(議

SU3ー

-EE旬。,Z

1lE'E(百」い)

立(部〉1llur苦へ議も)部〉|113'E

--12E(司15

岳山(跨附)|1i岳山l旬。(議3蹄附)||岳山131Z(ヨ)

11i岳山台。(百1r)

iF40〕(北海道)‘〔占i-Z〕ハ樺太)

E

(

)llEaZ(議

3g〈

註ご

(

)1iiEzZ(議δ盤)(話回)

Z

(

)11iZEE(おiG)開)(三〉

宮(粉〉||宮lZ(怠

33(訂

(隅務〉

||SB苫(おも)隔議

)|-E古'Z(百)

ロ戸lFσ(百一己

(事〉||lEQO(議δ事〉111213lZ(百)

1

2

'

3

2

ヒ1213lZS〉

(

!

ハE)

(

)

(耳)

(司〉

HJH

一戸〕戸門戸

lll門戸EUO

ハ註1)

北海道では付戸(弓)の人税形がない。これを他の例にならヲて日

gE

日立

wuwロ4mlF日とすれば、

wロ可(尿)の人稀形付ロMTO(彼の尿)宵戸山下回'F叩

(同)とまECれるからであろう。それで人格形を使う必要のあるような

場合は、日内O吋}内戸(彼の弓)OWRWロ(君の弓)甲内戸

HBE門官ド(私の弓)な

どのような一式い方をする。

(註2)

同様に、白戸(鍋)の人務形もない。回戸l

可申w

明白l

可由IF目とすれば、田戸可

(穴)の人格形印gTm(彼む穴)田口『品IF叩(同)とまECれるからであろ

北大文挙部紀要

P

っ。

(説3)

同様に、

E(弦)の人稀形もない。

2432占中伊由とすれば、宮可

(腹の中)の人稀形門戸可品(彼む腹の中)宮山『l

白EF印(同)とまgcれるか

らであろう。

(設4)同様に、甘口(倉)の人稀形もない。HU

ロ占♂切戸可日lV刊とすれば、ロロ可

(穴)の人稽形匂

57日(彼の穴)日)戸Hu--由l即日(同)とま容れるからであろ

P勺ノ。

〔叫〕閉一耳目節の単一音節名詞とその人種形の語幹在示せば次の通りであ

る。ハ人種形はその弱形のみ一不す。強形は弱形から規則的に迭られるか

ら。)山

概念形の母一菅が

aで、人種形の語幹の語尾の母音が

aのもの。

〔IF-m〕二例。

担問自

$3118日目白(議δ謹)

(

)Ill面白lm(議3hm)

間概念形の母一音がiで‘人稿形の語幹の語尾の母一耳目が

aのもの、

〔!?・ω〕無例。

間概念形の母一音が

uで、人格形の語幹の語尾の母音が

aのもの。

〔lf・3無例。

凶概念形の母一音が

eで、人橋形の語幹の語尾の母一平日が

aのもの。

〔1?・

3無例。

同概念形の母一耳目が

oで、人種形の語幹の語尾の母一昌一日が

aのもの。

〔!?・

δ無例。

附概念形の母一耳目が

aで、人格形の語幹の語尾の母一音が

iのもの。

〔1mVEl・口一一一例。

(WF)|lF日(議δwp)

(岱竿)|lm匂l日(議δBS

(

)lis-E日(骨片δ」戸)

円H

℃ω口同

-113-

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ト干 Iく思~~手当:l;:ヂ岳会岡田寝宮廷 3互銀

xat (主主〉…一〈閉じi>)xachi 恨の淡j

mat (女〕齢一一(mat-i>)machi (彼の女)

詰ar (茅版〉一一-sax-i(彼の茅際)

hat (街待〉ー (hat-i>)hachi

ha開 ('J、校〉一-h拙ーi

tat (事務皮〉一一一(tat-i>) tachi (彼の棒皮)

tax (荷李総〉ー一一-tal'-i(彼の荷縄〉

tam ( 刀 )---:tamωi (彼の刀〉

kam ぐ向〉ー… kam暢i(彼の肉〉

監 禁染6'攻守祭Tb・同や, -<議最な;寵裁号総自慢な治lW限為.....6' -w

1111還。xit (筋〉一一一(1'ルi>)1'ichi (彼の筋〉

1甘く i~ )…←-1'Ir-i

飽 it ( 〉一 -(mit・ michi(彼の扱〉

く 柄 )--nip~í (彼の柄〉

n託 ( 主将 〉 nichi

nik 日〉ー --nik-i(彼の桑悶〉

nis (鑓〉一-nis-i(後のさ雲〉

ik く臨〉ー…-ik-I

l搭 く 尾 〉 一--is-I(彼の尾)

時it く繊維〉 ヲsichi

sil王 ( ~ )が一一部ik-I(彼の白〉

日11' 〈鳩〉一一一sir・4く彼の地〉

pit く小石〉 pichi (彼の小石〉

く 〉

kip 〈 額 ) (彼の額)

kik 〈危機〉一次ik-I(彼の危機〉

ki1' C腕J)一…… ki1'~Í (彼の制〉

chip (舟)一一-chip-i(彼の舟〉

chit (女陰〉一べchit-i>)chichiく彼の女陰〉

chi昂 〈山〉一…-chis-i(:i皮の

chir (鳥〉一心hir-i

chin (騨〉一一chih-i(彼の脚〉

選雲仙員芸会段取為ロ手〆〈鑓絵6'議議~6'続捜6'殺到程、..... 6' ",", 6' 仰

心ト・iJ11<率。yup ( 兄 ) --yuP-I

〈 f1[ (彼の鹿〕

rup (彼の群)

rur (1主主 7J¥.)←-rur-i (彼の瀦7J¥.)

ru出 F…-ru8-I (彼の毛皮〉

rum く矢の根〉…一rum-I(彼の矢の根〉

ロ1.unく ) ---'-mun-i (彼の苓j

muk ( 日匂 )町一一m設k-i

mur ( )一一mur-iぐ彼の糠)

nup ( 援} く~主の野〉

num ( 半立 〉一一-num-Iく彼の紋〕

up ぐ魚の 一一-UP-I(彼の魚の白子〉

l1t ( 肋 uchi

U8 f ) ---u日ωi

ur く毛 -ur-i (彼の毛皮〉

日l1t (illIl 母〉一ーベsut-i>)日uchi(彼の組潟:)

sum (町 〉…一一su立l-I

hup ( 建 )一一hup-i(彼の溜〉

hut f量百 一一(hut-i>) hnchi (秘母〉

常r→ごrrゅ,

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hな 汲 〈 ) --hum~i (歌誌の音〉

( 山 〉一--hur.i(彼の

pus 〈 事選 〉…-pus-i

tu日 議誇 )-tusci (後倒的

tur L 持

kut

km‘ ) --kur-I

chup ( 〉仙一一chup-i

chuk ( 手火 〉……chuk-i 主の秋〉

歪 議室G染令指1M位Fhω-<薬去さき駆動G

(-e→ iJ 10蕊。主ek (将〉一-rek-i(彼の粍〉

net (品点本)…ーくnet-i>)n悦 hiく彼の諜木〉

附 m (綿密3… -seln-l

自の土 〈 蓋 〉 一 一 )sechi (彼の長〉

pet (J[I)一一 pechi

pes (段〉一:--pes-i(彼0)単〉

tes (列〉……tes-i(彼の列〉

kep く額〉一-kep-i

ker (沓)……ker-i

kem (針〉一-kem駒iく彼の圭1.)

挙1Mm~ ,州G',.;!J念。

霊 感崎台湾さG増寝込。手J除客員さG'瀧傘な級国史8'qま1Mtrr'::R.阿合,.,;;8'0

←οー・iJ 吠認。

hot く一端〉一…ーくhot-I>) hochi (彼の}邸〉

hos (持紳〉一…--hos-I

hom (調節)……わ

く 腹 〉一一-hon脚i(彼の腹〉

半~+<

pok ( . f ) -pok-i (後の下〉

top ( 竹 ) --toP-I (彼の竹)

kop ( 〉一一-kop-i(彼の塊〉

kot ( 赫〉 kochi (彼の跡、J

kor (蕗の葉〉…-kol'-I

鍛 os(蝿)一一mos-i

組 問 〈 乎 〉一一部品川彼の手〕

not ( I-l 〉 ) nochi (彼のね〉

nokく 部 〉 一 一-nok-I

non ( J役)一--non-i

op ぐ 矛 )

ot (死棺〉

ok 〉一-ok-I(彼の悲)

os ( 中 〉一-os-iく彼のや〉 出~四E34 4

日0日 〈 〉一一一 日.os-i

G 挺竣8' ロs吟おな O

iギミ塁。

(梢〉 〈彼の構〉

ham. (

pas 一一-pas-u

tap ( )湾〉……tap-u

主総 f塊)…tak-u(彼の処)

ta髄 (pヂ気)一一…ぬかu(彼の呼筑〉

kap 〈皮〉ーザ明}王叩鍋u

kat ( )一~-kaむu

char ( I-l )一一char-筏 日〕

yam (業)……yamcu(彼の議〉

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J時太)

糊腿合盆俳写ミ<!i6' ,.,;J 6'0

一冊一chiw-fラchiw

5量産日トヤ K聡ピ殺さと精霊合併草壁右手

rap

;::i i日l'am

ras

rar

6'1殺糸口会時:;:;6'0

nan

at

認 主選~~言芸会

・eJ111号室。

kew (船一~kew-e (彼の胤)一 ~kew-he (向上、

tek ($ i --tek-e

口6',.,;J 6'0

ω口

liti--

G結成6'

一 ke臼ーのlぽお

むs必6'0口G必6'0会瀧傘G臨陵台

f三段現目'糸口6'付J)

むG,.,;J 6'0

蓄基迫絵G〈ート凶J.J;l$O

l'uy (鉱石〉ぃ…ruy-c恨の 時紛… ruy-he(向上、樺太)

muy (予定)ぃ ~muy-c (後の東〉一-~muy-he (向上、樺太〕

臼uy(穴〉…一臨時-e 恨の幻 -~suy田he

puy (穴)----puy-e (彼の穴)--puy“he (向J:-.¥

nny (焔〕ヤ切 -nny々(彼の焔)一一~nuy々 le (向上、

一一ぐ絞の 中〉 一一(向j二、樺太〉

批ny必(彼の主投)一一~kuy-he (関上、開太〉

むや.-<建議令指傘G瀧E史な設!泳三ミむ6',.,;J

く羽〕…-rap-u(彼の澗〉

〈心)一一-l'am-u

( ) -~ra削

〈胤〉一-~r31'川(彼のj首〉

〈蹴)-~nan~u (彼の翻〉

( 組 〉 …-at-u

am (爪〉一~am-ll

盟 暴言斜誌な経;泳三三叫や p

(-i-・u) 1 j設。

mim (肉〉ー --mim-u(彼の内〉

e. 議雲母会絵合 ml~m':糸口や. -<護完全合開設G

〔…u--.uコ1¥1還。

tum (中〉… --tum欄u(彼の中〕

kns (故〉‘一公118-Uく彼の故〕

蕗議~4J会系企

〈ベ).吋e)g[~長。

moy (樹〕……moy-e(彼の勝〉

soy (外)---~soy-eく彼の外) ---~soy“he

toy (土)-~toyωe 恨のj二〉一脚he

koyぐ浪〉一(彼の浪〉一一…koy-he

態 握伯絵合没者銭、1ぜや.-<盤情さな

〈ート心J 1 i京。

par (ロ)切par戸 O

EZ 議室俗除会議学1b・阿や'

〈ート・0)総選。

器援俗言主6'

主主 主器供給な増I~回取 ω や〆

(.-e-・u') 1還。(額〉ー・ -k叩 -u(彼の額〉

盟 主援母告書き6'ミc手〆〈蒋除G

(-o-.n)議窓。

軍 基Zぐさ殺な議lRm~~ 吋 P'

(-a-・e)1I 1ミ塁。

haw (議)--haw必〈彼の聾〉ーーペlaw-he(向上、

〈舌)一--awの 〈役の舌〕一-aw-he(向上、樺太〉

一…maw吋e(絞め総)--maw-h今(fほJ二、樺太〉

金者.E~6'幅減合誌か隣友む G ,.,;J念。

会駆動合同2総会

o 6'吋J)6'0

o 6' ,.,;J 6'9

指傘な指向型G

3や決〈謀終合議議主令鹿島史6'

ロ〉

P'

aw

側、旬。尚一S

J

九品問,ti

mw

hF

uaw弔

c,

k

;

h

pbr-f

k

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〔ーロjcv無例。

国概念形の

〔みjc〕無例。

慨概念形の

lo--ou一一一鰐。

HOB〈会〉ligHH叫40

ぎ}ハハ織〉|||対ortC(議号機〉

ミ(苫

)110同2C

ハ議

33〉

以上の結果、な念とめると失の数表

メ合、仁3

1it

炉。-e 側 u-1 側a

15 L.J

前篠の

北大交的嶋市郊h

路市古

eで、人櫛形の一詰斡の語尾の

人種制限の

41

24

1

X

× 7 " o

12

22 ×

×

8 -a-

-1

同u-

8〕

。のもの。

の母一音、が

oのもの。

162

×

7

28

8

23

7

X

× -e胸一議と誌較すみ時、務部棋の

母音と諮問胞の母音との瞬間慌が‘あまりによく似ているのじ驚かされるの

である。

MV

ムwe語、みの削仰が断然多く,それに比して

smu。の例が緩めて少

い。このことはも、この識の母官接尾辞の恕路沿暗示す(る一つの資料で

あるよみ稿の闘的と皇思議の関係がないので、ここではv

ぶ以上の論

述冶省〈c

同ここでも接縫鯨の母一四日が語根の母背に一致する併が多い。接尾語

ふに於ては司会認の併が筒棋の母一音に一致し、接悶泥棒

zou於てもただ

一例な除恥にはそうであり

fおに於ても語根の熱出向が可及ぴト授に終

っている場合のほかは毘一様であゐ。このことはも

言言ハを〉芯川口会(冷も)甘す〉

ぎ日(奇)付へい560

ハみmsht)

の如く本来向一の認だつにと思われるもゆ一切やはり持様であること、ア

イヌ一向に於ては母一昔の前地的際化の例の仕掛いこときなどの事賓と抑制侠っ

て‘あぎらかに接尾酵の母一習が話相棋の母一音の影響のもとに費一花したもの

であゐこと会示すものと怠われる。

同第一表と第二議との開に見られる蜜擦な義臭は、第一一夜に於て

In--ouの例が、わずか

ι…倒だけではあるが、存在することである。

それは℃時ゐ(後の口〉という持であるが、閥単一級離のみでなく多一音範ゑ

で含めたあらゆる名詞に於て、??・ろとあるのはこの滞だけである。

金田一京劫簿土は、

℃おきハこ〉ーーもお吋0630(洪3ロ〉

と勢いておられる令ユ

iカラ話法措一安』一戸部

30すなわち℃言。の瀞治

以て議念形としておられるのである。それ花と問題はなくなるわけであ

るが、それは博士の誤であり、廷しくは、

富岡

(512EO(怠3511ゆきοさ〈一日〉

きものであるo

h

の北海道中北東部方言及び鐸太古一世間では

-117-

Page 18: Instructions for use - HUSCAP · 〕自動詞又は語根に附いて他動詞密造る母 音の接尾露。〔 2 〕名詞の概念形に附いて人種形の語幹を遺る母一耳目

アイ主総に於げる母音湘側約

女H恩

喜母ハロ〉i11島幸ロ(議♀ロ〉会事ロケ£

(E〉

の如く、ハ1ω15〕の形式命とゐ識から見ても察しられる諮り、本市燃は

望月〈ロ)'tiiMM

開1MM

〈議

3コ〉

であったと思われるので、しばらく計算の外に置いてもよいように思わ

れる。すると‘ここでもハ36iδ??・ろも

??EU?gl・品、等の組

合せは存在しないことになり、内9〕に於で見たのとそっくりぬ形式で

母管鱗和が行われていた、と考えゐことがで合沿。すなわち、語繰の枠

習が

ppp仙の内のいずれかである場合じは、議尾鮮もその何れかで

なければならず、まに器開判択の母音がovmww

山の何れかである場合には媛、

もま七その何れか?なければならない。母音そ

開T

類l!ip出

一向類|‘タ山

の三穏に分けゐならば、或は乙類と一汽績は、

の諮斡の中で共符すゐ瀞いとができるけれども、

とができないのである。

名詞の人格形

るこ

ハ設

1)

と必綴

ω

む経涼は

2M

〈ぞれ、後)だったと成われる。とれ

がか制約に秘して第一一一人組怖心形ができた。例えばかO口(媛)にふ〈彼

mw)

が総いて

HMOHM-

山〈彼。笈)とな

p、それが後に各入浴郡山り山政鈴にな

FJ

たものと双われる。このムは、今はもワばら怯紘一強制附として、日

sgHV由

〈被0

・掛川

V

Z喜多命〈ぞれ0

・秘子ヌヤ釦ロ〈白々れが・ふる)、山一芸ロ

〈それが・小さい〉

iiI以上、口同高附悶綾川断中々判官凶

limu様に方都…悶によって

はかなり白岡市問付戸川いられる。去はふからでた。それで人総務幹の稲尾

としてふでもとでもよいという制怖が非常に多いのである。司、アイヌ税問

淡減数“印刷YNCiNH務総。みもムからでた。それで機念形が

g

2

可で移る名問仰はも人税哨mmv

誇同地としてふを放るべきでみ治るが、そうす

ると若山及び三というようなアイヌ鈴に存在しない務総がで、きるので

それ&開いて品にしたものと怠われる。

ハ性2〉

形rpz可次ぴ94勾に終ってドるお閥的は

23入品(北海滋〉、

ay母〈

ゐ(樺太)な以て人税語幹を遺るb

その淑向は前述。愚容そめる。

〈設3)

9〕設3に就いて九ふれたい。

-L. ノ、

一語

るものであゐ。ヅ一y

r

7ルタイ特街の拙抽象では無い」とまで武

いきっていゐ事者もあboけれども母一音認和とは為母音の日間化作用が高

援に行われで文法上の形式にまで綴織佑されに現象にすぎないのである

から、協系の一言語にそれが見以されたとしても少しも不思議ではない符

(当uavH〉

官ぬる。現にアメリカの震にそ手品されるというじ、アブワカの

パングタ諸一級円いもあるという。アイヌ諸に於ける林投資調和については、

供舛

Uaaw〆

従来丸々勾存在が否定されていたのであるけれどーもも私は上に示したよう

な新しい根擦の上に立って、改めてその存在を主張しようとするもので

(

一一一・病床に

〈れ工)金田尚一淡助「潟水訟」

mM)五一七一丸。

〈一間2〉

ハ紋

3〉

アーνア

入品物、

(間哨叫

mu、約八104品交。

五島忠久「スワヒ

F訟における飲食滅私にワいて」(日本一後機敏令栢湖

沼獲の研究いも山町お三六一

}9898055e

七間交。

(設4〉傘尚一品求刑制「ユーカラ一一一八文。

設』問問六一良。

町北方議一一一箭判関税

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