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JJJIIICCCAAAののの水水水資資資源源源分分分野野野ののの協協協力力力方方方針針針 ~~~水水水供供供給給給・・・衛衛衛生生生・・・水水水資資資源源源管管管理理理~~~

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国際社会は、2015年に国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、2030

年を目標年次とする野心的で崇高な開発目標を掲げて、世界の諸問題の解決に向けた取り組

みを進めています。水資源に関しても、ゴール 6 として「すべての人々の水と衛生の利用可能

性と持続可能な管理を確保する」という目標が掲げられており、誰一人取り残されることなく、生

命の維持や生活に必要な水を得ることができ、衛生的な環境を保ち、限りある水資源を持続的

に利用できるような世界を目指そうとしています。

開発途上国では、人口や経済活動の増加、生活水準の向上等によって水需要が大幅に増

加しつつありますが、利用可能な水資源の量は限られています。その上、気候変動が水資源

や水関連災害にもたらす影響や、深刻化しつつある水質汚濁も懸念されています。また、水の

問題は、保健、教育、農業、エネルギー、都市開発、産業開発など、多くのセクターの開発と関

連しています。水を巡る諸問題を解決するためには、幅広い利害関係者が協調しながら、水資

源の開発・利用、水の公平な配分、水関連災害のリスクの軽減、水環境保全等の水資源管理

に取り組んでいく必要があります。

本資料は、SDGsの達成を目指す JICAの水資源分野(水供給・衛生・水資源管理)の協力

方針をまとめたものであり、JICAはなぜ水資源分野に対して協力するのか(意義、目的)、何に

対して協力するのか(重点)、どのように協力するのか(アプローチ、留意点)を述べています。

水に関する問題は多岐に亘りますが、本資料では特に水供給、衛生(トイレの建設や手洗い行

動)、水資源管理を中心に取り上げています。

我が国は水資源分野に対する政府開発援助(ODA)の金額において、世界最大の貢献を行

っており、日本国内や海外に蓄積された様々なリソースや知見を活用した幅広い協力を展開し

ています。これらの協力を通じて培ってきた開発途上国や関係者の皆様との信頼関係をもとに、

SDGsの達成に向けて、協力の効果、インパクト、持続性をより高めるべく、更なる協力アプロ

ーチの進化を目指す所存です。本資料が、JICAの水資源分野の取り組みに関する皆様の理

解の一助となれば幸いです。

2017年 11月

独立行政法人国際協力機構

理事 前田 秀

序文

(表紙写真:Kenshiro Imamura/JICA)

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水は人間の生存に不可欠であり、飲料水や生活用水としてのみならず、食料生産や、生

計を確保するための経済活動に必要なものとして、直接的・間接的に人間の生活を支えて

います。人間が健康で文化的な生活を営むには、良好な水環境を保全するとともに、適切

かつ効率的に水を利用し、健全な水循環を構築・維持していく必要があります。

特に、安全な水の供給と衛生の改善は、疾病リスクの削減につながり、生存・生活・尊厳

に対する脅威から人々を守る「人間の安全保障」の観点からも、非常に重要な課題であると

言えます。例えば、汚染された水に起因する下痢、赤痢、コレラ等の水因性疾病により、年

間50万人が死亡 1していると言われており、その多くは乳幼児です。また、乳幼児の低体重

や栄養失調の 50%2は、不衛生な水、不十分な衛生施設へのアクセス、及び不適切な手洗

い等の衛生行動に起因する頻繁な下痢や寄生虫症に関連しているとされています。

安全な飲料水を得るために、毎日水汲みを行っている人も多く、その多くは女性や子供で

す。また、水売りからの購入費や水因性疾病への医療費のために多額の出費を強いられ

ている家庭もあります。安全で手頃な価格での水の供給は、ジェンダー、教育、母子保健、

及び貧困削減等の課題の解決、さらには社会や経済の発展にも関連しています。

図1.基本的な給水サービスを利用できる人々の割合(2015年)

(出典)Progress on Drinking Water, Sanitation and Hygiene 2017(Update and SDG Baselines), JMP

水資源分野に対する協力の意義 1

(1)水資源課題の現状

※1 出典 World Health Organization (2017) 、http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs330/en/、閲覧日 2017 年 10月 6日

※2 出典 Wateraid (2016) “Water: At What Cost?” 、http://www.wateraidamerica.org/publications/water-what-cost-state-worlds-water-2016

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安全な飲料水にアクセスできない人々を 2015年までに 1990年比で半減することを目標

として掲げたミレニアム開発目標(MDGs)は 2010 年に達成されましたが、2015 年時点で

依然として約 6.6億人 3が基本的な給水サービスを利用できていないと推計されています。

また、2015年時点で基本的な衛生施設(トイレ)が使えない人々が24億人 4いるとされて

おり、9.5億人 5は野外排泄を行っていると言われています。特にサブサハラ・アフリカと南

アジアにおいて深刻です。衛生へのアクセスに関するMDGsのターゲットは達成できておら

ず、依然として人々の健康に対する重大なリスクとなっています。

水資源分野の課題は、今後益々深刻化することが懸念されています。それは、人口増加

や経済発展、生活水準の向上等に伴って水需要が増え続けているためです。2030 年には

全世界で、水需要に対して利用可能な水資源は 40%も不足するという報告もあり、今後も

人口増加が見込まれる開発途上国では特に深刻な問題です。水資源は、食料生産のため

図2.基本的な衛生施設を利用できる人々の割合(2015年)

(出典) Progress on Drinking Water, Sanitation and Hygiene 2017(Update and SDG Baselines), JMP

図3.2030年には水需要に対して水資源が 40%不足

(出典) Charting Our Water Future, The 2030 Water Resources Group の図を編集

※3,4,5出典 UNICEF and World Health Organization(2015) “Progress on sanitation and drinking water – 2015 update and

MDG assessment”

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の灌漑用水が水利用の約 7 割を占めているほか、エネルギー供給においても重要であり、

食料やエネルギーの安全保障に対する制約要因になることも懸念されています。様々な目

的の達成のために、限られた水資源を効率的に配分し、水利用の持続性を高めることが強

く求められています。

我が国は水の大量消費国です。大量に輸入されている農産物を国内で生産すると仮定

した場合、その生産に要する水量は約 800億m3/年 6と推測されており(これを「バーチャル

ウォーター」と呼びます)、相当量の水を他国から輸入していると解釈できます。これは、日

本人の年間水使用量 802 億 m3/年(2013 年)7に匹敵する量です。将来、世界的な水問題

の深刻化によってこれらの輸入が脅かされれば、我が国への影響は深刻であり、世界の水

資源問題は我が国の安全保障にとっても重要です。

2015 年 9 月に 17 のゴールと 169 のターゲットから成る持続可能な開発

目標(SDGs)が国連サミットで採択され、2030 年を目指した国際社会の開

発目標が定められました。この中で、水・衛生分野に特化したゴール 6が「全

ての人々に水と衛生施設へのアクセスと持続可能な管理を確保する」と定め

られました。ターゲットには、MDGsから引き継がれた安全な水へのアクセス、

衛生へのアクセスに加えて、水質の改善、水利用の効率化と持続的な取水、統合水資源管

理、水に関連する生態系の保全が含まれ、MDGsよりも幅広い内容となっています。

特に水供給に関しては、MDGs が「改善された水源にアクセスできるかどうか」で安全な

水へのアクセスを評価していたのに対し 、SDGs では、ターゲットの中に、「安全(safe)」で

「入手可能な価格による(affordable)」「公平な(equitable)」アクセスという文言が入りまし

(2) 国際的援助動向

図4.バーチャルウォーターの輸入量(2005年)

(出典)平成 25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書、環境省

※6 出典 環境省「平成 25年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」

※7 出典 国土交通省「平成 28 年版 日本の水資源の現況」

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た。さらに、このターゲットの達成状況のモニタリングを担っている世界保健機構(WHO)と

国連児童基金(UNICEF)は、最終的に目指すべき「安全に管理された水源(safely

managed)」を、「改善された水源(管路給水、深井戸、保護された浅井戸や湧水等)で、敷

地内にあり、必要な時に入手可能で、糞便性指標や優先度の高い化学物質指標の汚染が

ない」ような水源と定義することを提唱しています。このように、水質、価格、水汲み労働な

ども含めた水へのアクセスの「質」に注意が払われるようになったことが SDGs の大きな特

徴です。

表 1. SDGsゴール 6 とその達成に向けたターゲット一覧

ゴール 6 全ての人々に水と衛生施設へのアクセスと持続可能な管理を確保する

ターゲット 6.1 (安全な水へのアクセス)

2030年までに、安全で入手可能な価格の飲料水に対する全ての人々の公平なアクセスを達成する。

ターゲット 6.2 (衛生施設と衛生的行動へのアクセス)

2030 年までに、女性、女子、脆弱な状況下の人々のニーズに特別な注意を払いつつ、全ての人々の

適切で公平な衛生施設と衛生的行動へのアクセスを達成し、野外排泄を撲滅する。

ターゲット 6.3 (水質の改善)

2030 年までに、汚染を削減し、有害化学物質、有害物質の不法投棄の撲滅や排出の最小化を行い、

未処理の下水の割合を半減し、排水のリサイクルと安全な再利用を全世界で増加させることによって、

水質を改善する。

ターゲット 6.4 (水利用効率の向上と持続的な取水)

2030 年までに、水不足に対応するために、全てのセクターの水利用効率を大幅に向上させ、持続的な

取水と淡水供給を確保し、水不足に苦しむ人々の数を大幅に削減する。

ターゲット 6.5 (統合水資源管理の推進)

2030年までに、必要に応じて国際流域における協力を含む、全てのレベルにおいて、統合的水資源管

理を実施する。

ターゲット 6.6 (水関連の生態系の保全)

2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水関連の生態系を保護し、修復する。

ターゲット 6.a (国際協力と能力構築支援)

2030 年までに雨水利用、淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル、再利用の技術を含む、開

発途上国における水と衛生に関連する活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。

ターゲット 6.b (地域コミュニティの参加)

水と衛生に関わる管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

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我が国も、かつてはコレラ等の水因性疾病の蔓延、渇水による給水制限の頻発、終戦直

後の 70~80%にも及んだ漏水、地下水の過剰揚水による地盤沈下、生活排水、工場排水

等による河川や湖沼の水質汚濁など、多くの問題に直面しましたが、それらを克服してきま

した。今日、100%近い水道普及率を達成し、24 時間蛇口から飲用に適した水が供給され

ているほか、地盤沈下は沈静化し、工業用水の再利用や漏水の抑制など、水利用の効率

化についても世界有数の実績を誇っています。

図5.日本の水道普及率と水系伝染病患者、乳児死亡数

(出典)国土交通省水管理・国土保全局水資源部「日本の水」(2014 年)の図を編集

図6.世界各国における無収水率

※アスタリスク(*)記載国:各国において規模が大きい上位 3 ヶ所の水道事業体の平均無収水率を算出

(出典)UN-Water、GLAAS 2016/2017 country survey(2017)、(公財)水道技術研究センター水道ホット

ニュース第 543号(2016)より作成

(3)我が国の取り組み

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日本は自国の経験を活用し、活発な国際協力を展開してきました。例えば、2003 年 3 月

の「第 3回世界水フォーラム」(京都・大阪・滋賀)、2007年 12月の「第 1回アジア・太平洋

水サミット」(別府)を開催するなど、大規模な国際会議に対して貢献を行っています。

我が国は 2007 年以来、水供給・衛生分野の援助額において世界のトップドナーであり、

2015年までの 9年間の合計援助額は約 100億ドル 8に及びます。また JICAは、2006年

度から 2015年度までの 10年間で、約 3,572万人に対する給水サービスを実現し、技術協

力を通して延べ約 42,000人もの水供給・衛生分野の人材開発に貢献してきました。

2015 年に閣議決定された「開発協力大綱」では、前文において水問題は世界全体の平

和と安定及び繁栄に直接的な悪影響を及ぼしかねないリスクであるという認識を示しており、

重点課題の「『質の高い成長』とそれを通じた貧困撲滅」の中で、安全な水・衛生等、人々の

基礎的生活を支える人間中心の開発を推進するために必要な支援を行う、としています。

また、重点課題の「地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靭な国際社会の構築」に

おいても、気候変動対策、感染症対策、健全な水循環の促進等に取組むとしています。

このように JICA は、我が国の政策に沿った形で、日本の経験、技術、そしてこれまでの

実績を強みとして、引き続き水資源分野において、積極的に世界の課題解決に貢献するこ

とが求められています。

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2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

支援額(百万米ドル)

日本 世界銀行 ドイツ ヨーロッパ連合 フランス

アメリカ合衆国 アジア開発銀行 アフリカ開発銀行 イギリス連邦

図 7.水供給・衛生分野における主要ドナーの支援額推移(2007年~2016年)

(出典)OECD-DAC Creditor Reporting System (CRS)より作成

※8 出典 OECD-DAC Creditor Reporting System、https://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=CRS1、閲覧日 2017年 10月 2 日

日本

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JICAは、2030年に向けた開発目標として国際社会がSDGsを定めていることを踏まえ、

SDGs達成に向けた貢献を基本方針とします。

SDGsが掲げる「誰一人取り残さない(No one left behind)」ことを目指すという考え方は、

JICA がミッションとして掲げる「人間の安全保障」、すなわち人間一人ひとりに着目し、生

存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能

性を実現するために、保護と能力強化を通じて持続可能な個人の自立と社会づくりを促す

という理念と整合しています。また、我が国の開発協力大綱が掲げる「人間の安全保障」、

「質の高い成長」、包摂的で公正な開発の重視等の理念とも整合しています。

JICAは水資源分野(水供給・衛生・水資源管理)において、ゴール 6に定められた 8つの

ターゲットのうち、特に 6.1「安全で入手可能な価格の飲料水に対する全ての人々の公平な

アクセス」、6.2「適切で公平な衛生施設と衛生的行動へのアクセス、野外排泄の撲滅」、6.4

「水利用効率の改善と持続可能な取水による水不足の減少」、6.5「統合水資源管理の推

進」の達成に向けて、積極的に協力を進めていきます。

水資源分野における上述の 4つの

主なターゲットに含まれる、①都市給水、

②村落給水、③衛生、④水利用効率の

向上と持続的な取水、⑤統合水資源管

理の 5つのサブセクターに関する協力

方針を、以下のとおりとします。

水資源分野における JICAの協力と貢献 2

(1)SDGsへの貢献

(2)サブセクター別協力方針

カカンンボボジジアア

水水質質検検査査技技師師とと活活動動をを行行うう青青年年海海外外協協力力隊隊員員

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① 都市部の水供給分野に対する取り組み SSDDGGss タターーゲゲッットト 66..11

都市給水分野においては、SDGs のターゲット設定を踏まえ、JICA は安全な飲料水源

へのアクセスの拡充のみならず、必要な時に家の近隣で適切な水質の水が入手可能な価

格で持続的に入手可能であるというサービス水準の向上も目指します。また、SDGs ター

ゲット 6.1に掲げられた「全ての人々の公平なアクセスを達成する」という点も重視し、対象

地域における脆弱層にもアクセスが行き届くよう配慮します。

人口増加、都市化、及びサービス水準向上への要求によって、都市部を中心に益々高

まりつつあるインフラ整備への需要に応えるためには、多額の設備投資のための資金源

の確保が必要です。そのためには、公的資金や援助のみでなく、民間セクターの活用も求

められます。これら資金動員の前提となるのが、信用力の根幹となる国の水道政策や、水

道事業体の健全な経営・運営能力です。JICAは、相手国や対象となる水道事業体の発展

段階に応じて、資金協力を通じたインフラ整備による収入基盤の拡大と、技術協力による

制度・社会面も含む包括的な能力強化を支援し、能力が高まるにつれて民間資金を含む

自立的な資金の調達や民間セクターの活用促進を視野に入れた支援を進めます。

また、長期的な持続性を確保するためには、水道料金によるコストリカバリーが重要で

す。JICA は、地域毎の社会的背景に配慮しつつも、基本的には水道事業を独立採算とし、

受益者からの料金収入によって水道事業経営を行うという受益者負担の原則を重視しま

す。

都市給水分野の支援にあたっては、我が国に長年蓄積されたノウハウを積極的に活用

するため、地方自治体をはじめとする産官学との連携を強化するとともに、本邦での研修

事業や草の根技術協力等の提案型事業の推進等を通じた地方創生にも資する取り組み

を進めます。

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② 村落部の水供給分野に対する取り組み SSDDGGss タターーゲゲッットト 66..11、、66..bb

村落給水分野においては、JICA は安全な飲料水源へのアクセスの改善に引き続き取り

組みます。都市周縁部や人口数千人規模の人口が密集した集落での協力ニーズが増加

しており、サービスレベルもハンドポンプレベルだけでなく、公共水栓や庭先給水栓(ヤード

タップ)を備えた管路給水施設が求められることが多くなっています。これらの重要性を増

しつつある支援対象に対する協力に取り組みます。

その際には、SDGs ターゲット 6.b で謳われているような、住民による運営・維持管理体

制の整備への支援、コミュニティや住民組織を支えるセクターモニタリング、技術指導、大

規模修繕対応等の行政のサポート体制強化への支援を行い、さらに水料金の徴収による

コストリカバリーの支援、修理業者等を含む民間セクターへの支援、及び衛生意識の啓発

や衛生行動の改善に対する支援を

組み合わせます。

これらの活動では、保健セクター、

教育セクター等の関連分野や

NGOとの連携を強化して開発効果

を高めます。また、女性の参画を積

極的に促進することによるジェンダ

ー配慮等を通して、脆弱層への公

平なアクセスの確保を重視します。

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③ 衛生改善分野に対する取り組み SSDDGGss タターーゲゲッットト 66..22

衛生状況の改善については、手洗いには水が必要であるなど水供給セクターとの相互

補完の関係があることに留意し、保健セクター、教育セクター等の関連分野とも協力し、学

校や保健施設のトイレの整備、JICA ボランティアによる衛生意識啓発や衛生行動改善の

ための活動等も含めた取り組みを行います。

コミュニティに対する啓発活動や維持管理のサポートが行政によって組織的、継続的に

行われるよう、セクターモニタリング、法制度・戦略・計画の整備、関係行政機関の強化等

の政策・制度面からの支援を行います。

衛生改善への取り組みは、社会・文化的な配慮が重要であることを意識するとともに、

女性及び女子等のニーズに特に留意し、ジェンダー配慮を推進します。

SDGs ではトイレの利用

のみならず排泄物の安全

な処理・処分の観点が含ま

れています。JICA もセプテ

ィックタンクの屎尿汚泥の

引き抜きや処分なども含め

た、排泄物のフロー全体を

考慮した協力を行います。

セセネネガガルル 「「農農村村地地域域ににおおけけるる安安全全なな水水のの供供給給とと

衛衛生生環環境境改改善善計計画画」」ににおおけけるる学学校校ででのの衛衛生生教教育育活活動動 PPhh

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④ 水利用効率の向上と持続的な取水に対する取り組み SSDDGGss タターーゲゲッットト 66..44

我が国の水道事業は全国平均で 5%未満(2014 年)という世界的にみて極めて低い漏

水率を誇り、家庭や工場での節水においても様々な取り組みを行ってきた経験があります。

これらの我が国の蓄積した経験、知見を活かし、漏水対策の推進、従量制料金への移行

による節水インセンティブの喚起等、水利用効率化への取り組みを支援します。水不足が

益々深刻化することが予測されており、JICA の過去の協力の強みであるデータを重視し

た中長期的な水資源開発・管理計画の策定や、水文データ等のモニタリング体制の整備

は、今後一層重要になってくると考えられます。引き続き、水資源を水量・水質の両面から

持続的に利用するため、水資源の開発、管理、配分に関する問題解決型で実現可能性の

高いマスタープランの策定やその実行の支援、水資源のモニタリング能力強化の支援を

行います。

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ソソロロモモンン諸諸島島 「「水水道道公公社社無無収収水水対対策策ププロロジジェェククトト」」

ににおおけけるる漏漏水水探探知知のの訓訓練練

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⑤ 統合水資源管理分野に対する取り組み SSDDGGss タターーゲゲッットト 66..55

統合水資源管理を推進するためには、自然科学的技術と社会科学的技術を併用する

必要があります。これまで JICA は水資源開発や管理に関するモニタリング強化や計画策

定等、自然科学的技術に基づいた調査や協力の実績を多く蓄積してきました。引き続き、

このような協力に取り組むことに加え、今後は様々なセクターの多様な利害関係者(ステ

ークホルダー)の主張及び利害関係を明確にして問題分析を行い、社会的合意形成に基

づいて水関連事業を促進するための社会科学的技術も積極的に活用します。

そのために、対象となる社会・文化及びステークホルダーの十分な理解、自然科学的技

術に基づく調査の成果の分かり易い説明と関係者間での共有、合意形成プロセスの枠組

み形成と促進、慣習法を含む法制度や利害調整メカニズムの整備、利害調整・合意形成

のプロセスや成果を分かりやすく関係者と共有するための工夫等に積極的に取り組みま

す。このように JICAが第三者として統合水資源管理プロセスを促進することにより、中央・

地方行政機関の計画策定能力及び調整能力の強化を行うことを重視します。

国家レベルで統合水資源管理を推進するにあたっては、その国に合った組織・制度・政

策・計画・事業の形成を支援する必要があります。そのためには、ローカル・レベル、つま

りより小さな規模の地域社会の文化や慣習等に焦点を当てて、問題分析及び教訓を基礎

とする必要があります。グローバル・スタンダードの画一的な適用ではなく、ローカル・ガバ

ナンスに根差した問題解決を目指す統合水資源管理の実践的アプローチを推進します。

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各課題に取り組むにあたっては、以下の 4点の JICAの強みを積極的に活用します。

① 多様な協力体制を活かしたキャパシティ・ディベロップメントとインフラ整備の双方への協力

JICA は技術協力や資金協力等、様々な協力形態を持っており、これらを一体的に活用

することによって、施設整備による安全な水や衛生施設へのアクセス改善から、能力強化

によるサービスの質の向上や持続性の確保まで一貫した支援を実施することができます。

また、セクター改革や事業体の経営改善などの課題においては、意思決定を行い、改革

をリードするべき省庁や事業体のトップ、及びそれを実務面から支える各組織の技術系幹

部の意識改革が重要であることから、情報交換や議論を行うフォーラムのような場を設定

したり、先進事例を視察する本邦研修、第三国研修等の機会を設けたりするなどの働きか

けを通じて、改革を推進します。

ボランティア事業とも効果的な連携が可能です。例えば、アフリカに対する「水の防衛

隊」の派遣が代表的な例です。

((33)) JICAの強みを生かしたアプローチ

ロチャ川流域は、ボリビアで 3番目に人口が多いコチャバンバ大都市圏を含む重要な流域です。

ここでは、水不足が常態化し、生活用水と灌漑用水の間での競合や、上流と下流の住民の間での

水の利用を巡る争いが発生しています。また、水質の悪化は極めて深刻であり、洪水リスクへの対

応も迫られています。これらの課題に対して、コチャバンバ県庁を中心とする行政機関が、住民や

その他の利害関係者と協力し、流域の水をめぐる様々な問題や利害を調整しながら、水資源管理

を行う必要があります。

本プロジェクトでは、コチャバンバ県庁

が統合水資源管理を推進し、関連事業

を企画・調整するための能力を強化しま

す。そのために、現地法制度のレビュー、

モニタリングシステムや水資源アセスメ

ント能力の改善、パイロット活動を通じた

統合水資源管理に関わる実施プロセス

の教訓の抽出、関係者間の協力体制の

強化等を行います。

関係者の協調による総合水資源管理を実現し、多様な水問題の解決を支援

-ボリビア 「コチャバンバ県統合水資源管理能力強化プロジェクト」

(2016~2021年)-

事例

水質調査を行うプロジェクト関係者たち

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「水の防衛隊」は、村落給水や村落衛生、水道に関する青年海外協力隊等をアフリカに派遣し、

安定した水の供給や衛生改善を目指す支援を行う取り組みであり、2008年 5月に開催された第 4

回アフリカ開発会議(TICAD IV)の開会式における演説で、当時の福田康夫総理大臣が表明した

日本のアフリカ支援構想の一つです。2008 年から 2017 年(9 月時点)までの 9 年間で、ウガンダ

やセネガルなど 21 カ国に対して 236名の隊員を派遣してきました。

派遣前の青年海外協力隊員に対して、アフリカで広く使用されているハンドポンプの点検・修理

や、手洗い・衛生啓発手法などに関する技術補完研修が行われており、多くの隊員が技術協力プ

ロジェクトや無償資金協力とも連携することで、井戸の維持管理能力の向上や水管理組合の強

化、住民の水や衛生に対する意識啓発に取り組んでいます。

これらの支援を実施する際には、途上国自身が自らの力で「安全な水と衛生」の目標を

達成するための、個人、組織、制度・社会システム各層のキャパシティを評価できるように

し、各層への包括的な能力向上支援を行います。

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より多くのアフリカの人々へ安全な水を

-「水の防衛隊」によるコミュニティに密着した活動(2008年~)-

事例

衛生的な水について住民に説明を行う青年海外協力隊員

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JICA は、水道セクターと水道事業体の現状やパフォーマンスを把握・評価するための方法やツ

ールをまとめたハンドブックを作成し、プロジェクトを実施する際に適用しています。ハンドブックに

は、パフォーマンスを評価するための業務指標(パフォーマンスインディケーター)のリストや、水道

事業体のパフォーマンスをスコアリングして課題を抽出するためのツール、現状を把握するための

詳細なチェックリストなどが含まれ、水道セクターの分析、JICA 協力方針の検討、プロジェクトのデ

ザインなど、多くの場面で活用できるようになっています。

また、多くの技術協力プロジェクトでは、技術協力の対象となる相手国の職員の能力や組織能力

などを可能な限り定量的に評価し、プロジェクトの実施に伴って能力が向上していく様子を可視化

したり、目標とすべき到達レベルを定めたりすることで、プロジェクトの成果のモニタリングや、職員

のモティベーションの向上に役立てています。

② 中長期的な視点を踏まえた協力

JICA には中長期的なマスタープラン策定を支援し、さらにそれに基づいた事業実施を

支援してきた実績が多数あります。

水に関する事業は、水資源を持続的に管理するとともに、その利用にあたっては長期に

亘り施設を建設し運営・維持管理する必要があることから、引き続きこのようなアプローチ

で積極的に協力します。

相手国における水の量・質に関

する社会的ニーズの変化に合わ

せて、段階的かつ継続的な支援を

実施します。また、効率的かつイン

パクトが高い協力の実現のために、

拠点強化から面的展開へとつなが

る支援を実施します。

ササモモアア 「「沖沖縄縄連連携携にによよるるササモモアア水水道道公公社社維維持持管管理理能能力力強強化化

ププロロジジェェククトト」」ににおおけけるる定定例例会会議議

定量的な開発効果の測定を目指して

-「途上国の都市水道セクター及び水道事業体に対するキャパシティ・アセスメント

のためのハンドブック」(2010年)-

事例

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③ 国内の幅広いネットワークと我が国が培ってきた知見、経験、技術の活用

我が国が蓄積してきた知見や経験は、JICA が開発途上国を支援する際の大きな強み

です。特に、水道事業における豊富な知見・経験を有する地方自治体との連携をさらに強

化することで、途上国の水道事業体の組織能力強化に貢献します。

JICAは 1993年、内戦で荒廃したカンボジアの首都プノンペン市の水道を復興させるためのマス

タープランを策定しました。この計画は、施設整備に向けた他ドナーの資金を呼び込む契機となる

とともに、JICA も資金協力や技術協力によってマスタープランに沿った事業の実施を支援してきま

した。同じ頃にプノンペン水道公社の総裁に着任したエク・ソン・チャン氏は、このマスタープランを

道しるべとして料金徴収の改善、漏水対策、水道メーターの設置等数々の改革を進めました。その

結果、プノンペン水道公社は 10年も経たない間に、24時間連続給水、世界保健機構(WHO)のガ

イドラインを満たすレベルの安全な水質、適正な水圧による給水など、「プノンペンの奇跡」と呼ば

れる目覚ましい水道サービスの改善をなし遂げました。

JICA はプノンペン水道公社の改革の成果を全国の主要都市に拡大するべく、同公社の職員を

講師として活用しながら、地方の公営水道事業体を対象とした技術協力を展開しています。

また、並行して資金協力による施設整備

も行い、給水人口の増加と、それに伴う財

務状況の改善をしています。技術協力の

内容は、水道事業体の能力に合わせて、

維持管理能力強化によるサービス水準の

向上から開始し、経営能力や人材育成の

強化へと段階的に発展させています。

さらには、水道を所掌する政策官庁も技術

協力の対象に含め、水道法の策定、水道

事業体のモニタリング能力の強化など、

ガバナンスの強化を支援しています。

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日本の支援で整備されたプンプレック浄水場

「プノンペンの奇跡」を生み出したマスタープランの策定と、カンボジアの

水道セクター全体の能力強化に向けた支援(1993年~)

事例

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また、高度な開発課題への対応や、セクター改革への対応、留学生の受入などについ

ては、大学・研究機関との連携を強化します。さらには、民間セクターが有する技術力、創

造力についても積極的に活用します。

JICA は日本の知見、経験を対外的に発信することにも注力します。経験の活用に当た

っては、日本のやり方をそのまま「移転」するのではなく、途上国自身がそれぞれの社会経

済的文脈の中で自らの解決策を考案するための「触媒」として機能することに留意します。

成功体験だけでなく、地下水の

過剰揚水による地盤沈下等、途

上国が繰り返してはいけない日

本の経験についても教訓を活用

していきます。

開発課題が相互に関連してい

ることを踏まえ、開発課題の解

決のために関連する複数のセク

ター専門性の連携や活用を推進

します。

日本の水道事業は、長らく市町村による公営を原則として運営されてきました。そのため、特に

水道事業の経営、施設の維持管理、顧客対応などの分野を中心に、多くのノウハウは地方自治体

に蓄積されています。JICAは、日本国内の多くの地方自治体の支援を得ながら、途上国への協力

を展開しており、その数は 2005年から 2016年までの 10年あまりだけでも 30以上の自治体に及

びます。

地方自治体による協力は、技術的な側面のみならず、市民の公衆衛生の確保という水道事業の

根幹を成す考え方や、そのための組織運営や水道サービスのあり方まで含めて、水道事業体同

士という深い信頼関係を築きながら途上国の水道関係者に伝えることができるという特長を持って

います。これは、他の国際機関による協力にはない、日本に基盤を持つ JICAならではの協力にな

っています。

近年では、地方自治体の発意による草の根技術協力や、地方自治体が出資して設立された民

間企業と開発コンサルタントとの協働、地方自治体と地元民間企業との連携なども増えており、地

方自治体による開発途上国への支援は、我が国の地方創生にも役立っています。

日本の地方自治体が持つ水道事業の優れたノウハウを活用した途上国への

支援を展開

事例

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日本は、明治維新後の 1887年に横浜市で初めて近代的な水道が供用され、今日ほぼ 100%近

い普及率を達成し、24 時間いつでも安心して飲める水質の水道水が供給されています。その過程

においては、コレラ等の深刻な水因性疾患の流行、戦災による施設の壊滅と多量の漏水、高度経

済成長期の急速な水需要の増大、渇水の度に繰り返された給水制限、経済成長に伴う水質汚

濁、地下水の過剰揚水による地盤沈下など、数々の問題に直面し、それらを乗り越えてきました。

このような経験とそこから得られた教訓は、JICA が協力の対象としている開発途上国にとっても、

SDGsの達成を目指して開発を進める上で、大いに参考になるものと考えられます。本プロジェクト

研究では、日本の水道の開発経験と教訓を以下の 7 つのテーマと6つの事例に整理して、教材と

して取りまとめました。

テーマ1:日本の水道普及 法制度と行政

テーマ2:上水道システム 水源~送配水

テーマ3:水質管理

テーマ4:施設・設備の維持管理

テーマ5:無収水対策

テーマ6:経営管理(資金調達と料金)

テーマ7:組織基盤強化(ガバナンス、人材育成、広域化、官民連携)

事例1:水道事業体間の連携(日本水道協会)

事例2:水源確保(大阪市、沖縄県、福岡市)

事例3:地下水・地盤沈下対策(大阪市、埼玉県)

事例4:ブロック化と水運用(横浜市、福岡市)

事例5:水道料金決定のメカニズム(京都市)

事例6:顧客対応(大阪市、東京都、千葉県、矢巾町)

(写真)1949年頃の名古屋市の漏水調査の様子 1952年頃の水道普及前の水汲

みの様子

日本の開発プロセスにおける知見や教訓をまとめ、途上国への協力に活用する

-プロジェクト研究「日本の水道事業の経験」(2017年)- 事例

1949 年頃の名古屋市の漏水調査の様子

(出典 名古屋市上下水道局)

1952 年頃の水道普及前の水汲みの様子 (出典 羽仁進監督「生活と水」岩波映画)

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④ 途上国間の南南協力の支援、他の開発パートナーとの連携

JICAはこれまでの協力を通じて、多くのパートナーと関係を構築してきました。例えばバ

ンコクやプノンペン等の水道事業体は、過去の協力の成果により優れたパフォーマンスを

示しており、今や他国からも視察や研修を受け入れる拠点として機能しています。JICA は、

このような既往の協力の資産を活用し、第三国研修による他国への波及や、国内の他都

市への展開を狙った効率的・効果的な協力を推進します。さらに、「アジア地域上水道事業

幹部フォーラム」等、途上国の関連機関間で知見、経験を共有し、学びや気づきを得る機

会を提供します。

また、途上国の機関だけでなく、他の開発パートナーと連携することで、協力の効果を最

大化することができます。今後も他の開発パートナーとの相乗効果を目指した連携を進め

ます。

JICA は、アジア各国の水道事業体や監督官庁の幹部を日本に招き、水道事業の改善に向けた

取り組みや教訓を共有し、相互に学び合うため、2010 年から「アジア地域上水道事業幹部フォー

ラム」を開催しています。このような取り組みを通じて、水道事業を率いる幹部層の意識改革やリー

ダーシップの強化を図り、グッドプラクティスを他の水道事業体に波及させることを狙いとしていま

す。また、日本の水道関係者も多く参加し、日本の経験を伝えたり、開発途上国からの参加者との

ネットワーク構築の場としても活用したりしています。本フォーラムを通して知った他国のグッドプラ

クティスをより詳細に知るために、先進的な取り組みを行っている水道事業体を訪問し、学んでき

たことを自らの組織でも実践するという事例も出てきています。

活発な議論が行われた会場の様子 休憩中も参加者同士で意見交換が行われた

日本とアジア各国の水道事業体間のネットワーク強化を通じた学び合い

-「アジア地域上水道事業幹部フォーラム」(2010年~)-

事例

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各取り組みを進める際には、JICAは以下の点に配慮します。

① 貧困層・脆弱層への配慮、ジェンダー配慮、人権アプローチ

JICA のミッションである「人間の安全保障」の考え方に則り、一人ひとりの人間を中心に

据えて、脅威にさらされ得る、あるいは現に脅威の下にある個人及び地域社会の保護と能

力強化を通じ、各人が尊厳ある生命を全うできるような社会づくりを目指すため、貧困層、

脆弱層への配慮を重視します。

水供給・衛生分野は、女性の水汲みや女性・女児の衛生施設へのアクセスの問題に象

徴されるように、ジェンダー配慮が極めて重要であるため、ジェンダー主流化の観点を踏ま

えた協力を推進します。

また、安全な水と衛生へのアクセスは人権であるとの考え方が 2010年に国連総会で決

議されています。国連が提唱する①非差別・公平性(Non-discrimination)、②透明性と情

報へのアクセス(Transparency and access to information)、③参加(Participation)、④

説明責任(Accountability)という人権の原則、及び①利用可能性(Availability)、②物理

的なアクセス(Physical accessibility)、③質と安全性(Quality and safety)、④支払可能

性(Affordability)、⑤受容性(Acceptability)という配慮すべき内容を意識し、これらの「人

権アプローチ」を踏まえた協力を行います。

(4)JICAが協力にあたって特に配慮する事項

タジキスタン

給水施設の整備を通じて女性の水汲み労働の軽減に寄与

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協力の計画段階において、上述のような貧困層・脆弱層への配慮、ジェンダー配慮、人

権アプローチへの配慮を徹底します。また、協力の実施段階においても、これらの配慮事

項の実施プロセスとその成果をモニタリングします。ベースライン調査、エンドライン調査、

その他の社会調査等においては、貧困層、脆弱層、女性などへの裨益が確認できるよう、

これらのグループに細分化されたデータを取得します。

本プロジェクトでは、モザンビークの北部に位置するニアッサ州の 4郡を対象として、ハンドポンプ

付き深井戸給水施設の建設と改修、給水施設の維持管理体制の強化、手洗い施設のついた小学

校用トイレの建設とその維持管理指導、野外排泄の撲滅を目指す CLTS 手法(Community-Led

Total Sanitation:コミュニティ主導の包括衛生啓発手法)を用いた衛生啓発等の活動を行いまし

た。

小学校におけるトイレ建設では、維持管理の容易さ、持続性、コスト縮減だけでなく、利用者の目

線に立ったトイレの設計を行いました。具体的には、他人に見られることを恥ずかしがる女児や宗

教的な配慮が必要なイスラム教徒も利用しやすいよう、すべての個室に扉を、またトイレの前に長

い目隠し壁を設置し、手洗い用の水栓は目隠し壁の内側に設置しました。また、車いすや杖を利

用する障がい者のために、扉の幅を広くとり、スロープ、手すり及び腰掛を設置しました。

施設を管理する水衛生委員会の啓発活動用マニュアルにはジェンダー配慮に関する記述を盛り

込み、水衛生委員会の構成員の男女比が 1:1 となるように調整することで、女性が意思決定に参

画できるようにしました。

車椅子や杖の利用者のために設置されたスロープ 女子トイレの個室に設置された扉

すべての人々が利用しやすいトイレの建設

-モザンビーク 「ニアッサ州持続的地方給水・衛生改善プロジェクト」

(2013~2017年)-

事例

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② 平和構築・復興支援、難民支援、緊急支援

JICA は水供給・衛生分野の支援を、平和構築・復興支援、難民支援、緊急支援におけ

る、最も基本的なニーズとして重視しています。

平和構築・復興支援においては、①パイロット事業等を通じた迅速な開発効果の発現、

②住民やコミュニティから行政機構まで全てのステークホルダーを考慮した包摂性、③中

長期的な計画策定、④人材育成、⑤保健セクター、教育セクターなど関連するセクターと

の相乗効果を意識したマルチセクターでの支援、⑥他の開発パートナーと協調した継続的

な支援など、脆弱性に配慮した協力を行います。

難民支援においては、①人道支援から開発協力への連続的な協力の展開、②難民受

入国への包括的な支援(行政能力強化、社会サービス向上、インフラ整備等)、③国際機

関等との連携強化などに留意して協力します。

2011年のシリア危機発生以降、ヨルダンには大量のシリア難民が流入しており、元々水資源の

乏しいヨルダンでは水問題が深刻化しています。特にヨルダン北部では、難民がキャンプに留まら

ず一般のコミュニティでも多数生活するようになっており、このような難民を受け入れたホストコミュ

ニティと呼ばれる地域では、インフラへの負荷が高まり、給水事情の悪化や下水管の閉塞などの

問題が生じています。

漏水調査 下水管の閉塞対策の様子

そのため、本プロジェクトでは優先的に実施するべき給水プロジェクトの概略設計を行って速や

かに無償資金協力による事業化につなげるとともに、北部 4県を対象とした上下水道開発計画(マ

スタープラン)を策定し、他の開発パートナーとも連携してマスタープランに基づく包括的な施設整

備が進むよう支援を行いました。さらに、漏水対策など、喫緊のニーズに対してパイロット活動を通

じた能力強化を行い、迅速な開発効果が得られました。

シリア難民受入コミュニティへの支援

-ヨルダン 「シリア難民ホストコミュニティ緊急給水計画策定プロジェクト」

(2013~2017年)-

事例

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自然災害等に対する緊急支援においては、速やかな復旧・復興へと途切れなく支援を

継続することや、被災前よりも強靭な状態へのより良い復興(Build Back Better)を目指す

支援を行います。

③ 環境社会配慮

水資源開発にあたっては、既存の水利用への影響、生態系への影響、非自発的住民

移転等に留意が必要であり、水供給のための取水においても、水源が表流水であれば下

流の水利用への影響、水源が地下水であれば周辺の既存井戸への影響などに注意を払

う必要があります。このような環境社会配慮や脆弱層等への社会配慮に十分留意します。

また SDGsのターゲット 6.6では水域生態系の保全が謳われていることを踏まえ、自然

環境の保全に配慮した協力を行います。

④ 気候変動適応策、緩和策

気候変動は、降水量や降水パターンの変化、降

雨強度の変化等によって、地域の水資源や洪水流

出に影響を与えます。また温暖化による農作物の

作付けパターンの変化や水需要量の増加等、水需

要にも変化が生じます。水資源開発、水資源管理

に関するマスタープランの策定等においては、気候

変動の影響の予測を踏まえ、適応策を考慮に入れ

た計画立案を行います。JICAは、最新の科学的知

見を用いた影響予測の活用に加え、流域保全、地

下水涵養、遊水池等の整備など流域全体での水

循環を考慮した対策や、コミュニティにおける備え

の強化など、流域と地域社会を視野に入れた強靭

性強化のための取り組みを進めます。

気候変動の影響に対処するためには、コミュニティ

や社会の脆弱性を減らすことが重要であり、JICA は

そのためのキャパシティ・ディベロップメントを重視し

ます。温室効果ガスの排出を削減する気候変動緩

和策としては、計画段階からエネルギー消費量の削

減、再生可能エネルギーの活用等に配慮します。

エチオピア

井戸の掘削現場にて揚水試験を行う技術者たち

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⑤ 防災の主流化

日本は 2015 年に第 3 回国連防災世界会議を開催し、「防災の主流化」や「より良い復

興(Build Back Better)」を中心的な理念とする仙台行動枠組の採択に貢献しました。いつ

起こるか分からない災害に対して備えるためには、あらゆるセクターの開発計画において

事前に防災への配慮を組みこむ「防災の主流化」の考え方が重要です。特に水供給や水

資源開発は重要なライフラインであり、洪水等の災害に対する脆弱性もあることから、防

災への配慮が必要であり、計画段階における「防災の主流化」を推進します。

⑥ 国際河川、越境地下水

複数の国々に跨がる国際河川や、地下水盆(越境地下水)では、水需給の逼迫に伴っ

て、水を巡る紛争を引き起こさないよう、益々慎重な水資源の管理が求められます。開発

を行うにあたっては、下流国や地下水盆を共有する他国に対する影響を慎重に検討した

上で計画します。

国際河川や越境地下水を巡る政府間の協議のチャンネルとしては、政治レベルの「ハ

イ・ポリティックス(high politics)」と、技術者・実務者レベルの「ロー・ポリティックス(low

politics)」が設けられることが多く、二国間援助機関であるJICAはロー・ポリティックスを中

心的に支援します。周辺国との協調関係や信頼関係の構築に資する水資源関連情報の

収集や公開、水資源管理計画の策定、技術者・実務者レベルでの対話などを推進します。

JICA は水資源管理計画の策定を支援する際に、将来の気候変動の影響を考慮に入れる取り組

みを進めています。地球全体という大きなスケールでの気候変動の影響を予測したシミュレーショ

ン結果を活用し、より小さいスケールの流域や地域での気候変動の影響を詳しく予測する「ダウン

スケーリング」を行うことで、将来の水資源量や洪水流出の変化や不確実性を予測し、それに対応

した気候変動適応策を検討することができます。ケニア、チュニジア、フィリピン等で、調査と政策

や事業への提言を行いました。

また、タイでは地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)により、水循環の変動の予

測、その影響評価、適応策の研究などを行う「気候変動に対する水分野の適応策立案・実施支援

システム構築」(2008~2014 年)及び「タイ国における統合的な気候変動適応戦略の共創推進に

関する研究」(2016~2021 年)を実施しており、大学のみならず数多くのタイ政府の行政機関を巻

き込んで、適応策の政策決定への活用を目指した協力を行っています。

これらの協力は、先端的な知見を有する我が国の大学との連携によって行われています。

最先端の研究成果を活かして、気候変動を考慮した水資源管理を目指す

-気候変動の影響評価と政策への反映-

事例

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⑦ 関連セクターとの連携強化

水資源課題は多くのセクターと関連しており、SDGs においても、水・衛生分野のゴール

6以外に、ゴール2(食料安全保障、農業)、ゴール3(保健医療)、ゴール4(教育)、ゴール

5(ジェンダー)、ゴール 15(生態系保全)などと深い関連性があります。また、治水につい

てはゴール 1(貧困削減)、ゴール 11(都市・居住)、ゴール 13(気候変動)に、関連するタ

ーゲットが含まれています。これらの関連セクターとの関係を強化し、相乗効果の発現を

目指します。

⑧ 民間セクターとの連携強化

SDGsを達成するためには公的資金だけでは必要な投資額を賄うことができず、民間セ

クターによるビジネスを通じた投資を増やすための取組みが必要です。また、様々なイノベ

ーションも必要であり、民間セクターによる技術開発や新たなビジネスモデルの創出が、

SDGs 達成のための大きな推進力となります。JICA は、民間セクターとのパートナーシッ

プによる取り組みを積極的に進めます。

JICAが資金協力で建設を支援した学校では、男女別のトイレの建設や、トイレの適切な利用、清

掃、手洗いなどに関する啓発活動を行っています。アフリカ地域だけでも、2011 年から 2017 年ま

でに開始した 20 件以上の学校建設のプロジェクトにおいて、このような取り組みが行われており、

生徒の衛生意識の向上、就学環境の改善、女子生徒の通学意欲の向上、さらには生徒からその

家族に対して衛生に関する知識や実践が伝わることによるコミュニティ全体の衛生改善等に貢献

しています。

また、保健セクターとの連携にも数多く取り組んでいます。ケニアで実施された「コミュニティヘル

ス戦略強化プロジェクト」(2011~2014 年)では、保健省の能力強化を通じてコミュニティヘルス戦

略の普及を支援しました。この戦略の下で展開された、コミュニティ保健普及員と保健ボランティア

によるコミュニティヘルス活動では、身近な材料で作る簡易手洗い設備やトイレの整備、飲料水の

煮沸消毒の推奨など、水・衛生に関する知識の普及も行ないました。

教育セクター、保健セクターと連携した取り組み

事例

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⑨ SDGs のモニタリング指標を踏まえた協力の実施

SDGs のモニタリング指標を踏まえたベースライ

ン調査、エンドライン調査を行うなど、SDGs の達成

に向けた開発効果の確認を行うとともに、相手国政

府のモニタリング能力の強化に資する協力を行いま

す。

JICAは国内 14 カ所、海外約 100 カ所の拠点を活用するとともに、150以上の国・地域で展開し

ている ODA 事業を通じて蓄積した海外の現地情報や豊富なネットワーク、及び公的援助機関とし

ての途上国政府とのコネクションを活かし、民間セクターとの連携を進めています。JICA による支

援事業は、民間企業による途上国のニーズや市場の調査、技術や製品の普及・実証、官民連携

(PPP)案件の組成のための調査、途上国の課題やビジネス環境を理解した人材の育成、途上国

に関する情報の提供や民間企業に対するコンサルテーションなど多岐に亘ります。

水資源分野においても、貧困層や村落部を対象とした給水サービス、浄水処理装置、無収水対

策技術、浄水処理用の薬品、雨水利用システム、水道システムの維持管理技術、様々な特徴を持

つトイレなど、多様な技術や製品について、2012年から 2017年の間だけでも 70件以上の調査や

普及・実証事業が行われています。

日本企業の持つ技術力を、途上国の課題の解決に役立てる

-民間連携事業、中小企業海外展開支援事業-

事例

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Page 31: JJIICCAAのの水水資資源源分分野野のの協協力力方 …...国際社会は、2015 年に国連サミットにおいて持続可能な開発目標(SDGs)を採択し、2030

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分野 協力形態※1 アジア※2 北米

中南米アフリカ※3 中東※4 欧州 大洋州 その他※5 合計※6

技協 175 30 123 38 6 34 6 412

有償 5 0 1 0 0 0 0 6

無償 22 3 8 4 0 1 0 38

技協 8 5 64 1 0 2 1 81

有償 0 0 0 0 0 0 0 0

無償 1 0 10 0 0 0 0 11

技協 65 20 47 29 4 1 6 172

有償 0 0 0 0 0 0 0 0

無償 0 0 0 0 0 0 0 0

技協 21 4 16 0 0 3 0 44

有償 1 0 0 0 0 0 0 1

無償 0 0 1 0 0 0 0 1

294 60 259 72 10 41 13 765

都市給水

村落給水

水資源管理

衛生

総計※6

分野 協力形態※1 アジア※2 北米

中南米アフリカ※3 中東※4 欧州 大洋州 その他※5 合計※6

技協 6,452 615 3,210 1,180 38 513 112 12,119

有償 111,213 0 6,451 0 0 0 0 117,664

無償 16,887 1,827 6,331 2,261 0 1,843 0 29,149

技協 265 103 3,663 25 0 38 17 4,112

有償 0 0 0 0 0 0 0 0

無償 1,242 0 7,475 0 0 0 0 8,717

技協 2,518 443 529 213 6 1 294 4,003

有償 0 0 0 0 0 0 0 0

無償 0 0 0 0 0 0 0 0

技協 861 140 1,994 0 0 34 0 3,030

有償 10,398 0 0 0 0 0 0 10,398

無償 0 0 788 0 0 0 0 788

149,421 3,092 40,758 3,679 44 2,429 422 189,980総計※6

都市給水

村落給水

水資源管理

衛生

2014年度から 2016年度(3年間)における JICAの水・衛生分野の支援実績

経費実績

案件数

※1:技協:技術協力、 有償:有償資金協力(円借款等)、 無償:無償資金協力 ※2:アフガニスタンを含む。 ※3:北アフリカ地域(マグレブ地域)を除くアフリカ地域(サブサハラ・アフリカ) ※4:中東地域(アフガニスタン除く)及び北アフリカ地域(マグレブ地域) ※5:全世界を対象とした案件 ※6:複数の分野(村落給水と衛生、都市給水と衛生等)にまたがる案件は、各分野でダブルカウントしているため、 各分野の合計と総計の値が異なる。

参考資料

(百万円)

(件数)

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独立行政法人 国際協力機構

〒102-8012 東京都千代田区二番町 5-25 二番町センタービル

TEL: 03-5226-6603(代表) URL:http//www.jica.go.jp

JICA水資源分野の取り組み URL:https://www.jica.go.jp/activities/issues/water/index.html

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2017年 11月