《中和滴定》 0 であ ch coohxcar2a-z1c1-02 問4で求めた正しいc...

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XCAR2A-Z1C1-01 《中和滴定》 次の文章を読み,15 に答えよ。ただし,原子量は H=1:0C=12:0O=16:0 であ る。 (25) 純粋な酢酸 CH 3 COOH の密度は 25 ℃で 1.04 g/mL である。この純粋な酢酸を適当な量取っ て,水を加え 1.00 L とした(これを A 液とする)。この酢酸水溶液(A )のモル濃度および取 り出した純粋な酢酸の体積を中和滴定法に従って求めるために,次の操作ⅰ~ⅲを行った。 2 価の酸であるシュウ酸の結晶を用いて標準溶液(これを B 液とする)をつくった。 B 液と を用いて中和滴定を行い,任意の濃度につくっておいた水酸化ナト リウム水溶液(これを C 液とする)のモル濃度を求めたところ,1.40 mol= L と算出された。 A 液の 20.0 mL C 液の 20.8 mL とがちょうど中和することがわかった。この操作終了 後, A mol= Lを求めた。ところが,B 液をつくるとき に用いたシュウ酸の結晶の化学式を,正しくは C 2 H 6 O 6 であるところを誤って C 2 H 2 O 4 して B 液の濃度を計算していたことが後になって判明した。そこで,計算し直して C mol= L,さらに正しい A 液の濃度〔mol= L〕を求めて,最初に取り出し mLを計算した。 1 の指示薬としては,メチルオレンジ(変色域 pH 3.14.4)とフェノールフタレイン(色域 pH 8.09.8)のうち,どちらが適当か。 (3) 2 のモル濃度は何 mol/L か。有効数字 3 桁で答えよ。 (5) 3 の化学式から,この間違いは何に起因すると考えられるか。 (5) C 2 H 2 O 4 はシュウ酸無水物。C 2 H 6 O 6 C 2 H 2 O 4 の化学式の差 H 4 O 2 が何に相当するかを考える。 4 のモル濃度は何 mol= L か。有効数字 3 桁で答えよ。 (6) B 1L 当たりに含まれるシュウ酸結晶の質量を a g 〕とすると,各濃度は次のように表せ る。 誤って求めた B 液の濃度; a 90:0 mol= L正しい B 液の濃度; a 126:0 mol= L5 の体積は何 mL か。有効数字 3 桁で答えよ。 (6)

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Page 1: 《中和滴定》 0 であ CH COOHXCAR2A-Z1C1-02 問4で求めた正しいC 液の濃度を用いて,問2と同様に正しいA 液のモル濃度を求める。 解 答 ・ 答案作成のポイント

XCAR2A-Z1C1-01

《中和滴定》次の文章を読み,問 1~問 5に答えよ。ただし,原子量は H=1:0,C=12:0,O=16:0である。 (25点)

純粋な酢酸 CH3COOHの密度は 25℃で 1.04 g/mLである。この純粋な酢酸を適当な量取って,水を加え 1.00 Lとした(これを A液とする)。この酢酸水溶液(A液)のモル濃度および取り出した純粋な酢酸の体積を中和滴定法に従って求めるために,次の操作ⅰ~ⅲを行った。

ⅰ 2価の酸であるシュウ酸の結晶を用いて標準溶液(これを B液とする)をつくった。ⅱ B液とア適当な指示薬を用いて中和滴定を行い,任意の濃度につくっておいた水酸化ナトリウム水溶液(これを C液とする)のモル濃度を求めたところ,1.40 mol=Lと算出された。ⅲ A液の 20.0 mLと C液の 20.8 mLとがちょうど中和することがわかった。この操作終了後,イ上記の情報により A液のモル濃度〔mol=L〕を求めた。ところが,B液をつくるときに用いたシュウ酸の結晶の化学式を,正しくはウC2H6O6であるところを誤ってエC2H2O4として B液の濃度を計算していたことが後になって判明した。そこで,計算し直してオ正しいC液の濃度〔mol=L〕を求め,さらに正しい A液の濃度〔mol=L〕を求めて,最初に取り出したカ純粋な酢酸の体積〔mL〕を計算した。

問1 アの指示薬としては,メチルオレンジ(変色域 pH 3.1~4.4)とフェノールフタレイン(変色域 pH 8.0~9.8)のうち,どちらが適当か。 (3点)

問2 イのモル濃度は何mol/Lか。有効数字 3桁で答えよ。 (5点)

問3 ウとエの化学式から,この間違いは何に起因すると考えられるか。 (5点)

C2H2O4 はシュウ酸無水物。C2H6O6 と C2H2O4 の化学式の差 H4O2 が何に相当するかを考える。 

問4 オのモル濃度は何mol=Lか。有効数字 3桁で答えよ。 (6点)

B液 1 L当たりに含まれるシュウ酸結晶の質量を a〔g〕とすると,各濃度は次のように表せる。 

誤って求めた B液の濃度; a90:0〔mol=L〕

 正しい B液の濃度; a

126:0〔mol=L〕

 

問5 カの体積は何mLか。有効数字 3桁で答えよ。 (6点)

Page 2: 《中和滴定》 0 であ CH COOHXCAR2A-Z1C1-02 問4で求めた正しいC 液の濃度を用いて,問2と同様に正しいA 液のモル濃度を求める。 解 答 ・ 答案作成のポイント

XCAR2A-Z1C1-02

問 4 で求めた正しい C液の濃度を用いて,問 2 と同様に正しい A液のモル濃度を求める。 

  解 答

答案作成のポイント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

問1 フェノールフタレイン

▲中和点での液性を考慮する。

問2 この滴定の化学反応式は  CH3COOH+NaOH ¡! CH3COONa+H2O

これより,A液のモル濃度を Ñ〔mol=L〕とすると 

▲中和の量的関係を正しく導く。

1£Ñ£ 20:01000

=1£1:40£ 20:81000

  ∴ Ñ=1:456〔mol=L〕答 1.46 mol=L

問3 C2H6O6=C2H2O4 ¢H4O2=C2H2O4 ¢2H2Oと表すことができる ▲標準溶液調製用のシュウ酸の結晶には,通常二水和物を用いる。

ので,シュウ酸の結晶に含まれる水和水を考慮していなかったものと考えられる。

問4 C2H2O4=90:0,C2H6O6=126:0であるから,B液 1 L当たりに含まれるシュウ酸結晶の質量を a〔 g〕とすると,誤って算出

した B液のモル濃度は a90:0〔mol=L〕となり,正しく算出する ▲ B液の濃度の値を a

90:0 からa126:0 に訂正して C液の濃

度を求める。と a126:0〔mol=L〕となる。

いま, a90:0〔mol=L〕の B液 b〔mL〕と濃度未知の C液 c〔mL〕

が中和したとし,C液のモル濃度が 1.40 mol=Lと求まったと考えると,次式が成り立つ。 

▲中和の量的関係を正しく導く。

2£a90:0 £

b1000

=1£1:40£ c1000

………………①

また,B液のモル濃度を a126:0〔mol=L〕と訂正し,正しい C

液のモル濃度を Ò〔mol=L〕とすると,次式が成り立つ。 

▲中和の量的関係を正しく導く。

2£a126:0 £

b1000

=1£Ò£ c1000

…………………②

よって,②¥①より  90:0

126:0 =Ò1:40

∴ Ò=1:00〔mol=L〕

答 1.00 mol=L

Page 3: 《中和滴定》 0 であ CH COOHXCAR2A-Z1C1-02 問4で求めた正しいC 液の濃度を用いて,問2と同様に正しいA 液のモル濃度を求める。 解 答 ・ 答案作成のポイント

XCAR2A-Z1C1-03

問 5 正しい A液のモル濃度を z〔mol=L〕とすると 

▲中和の量的関係を正しく導く。(求め方は問 2と同様)

1£z£ 20:01000

=1£1:00£ 20:81000

∴ z=1:04〔mol=L〕

つまり,A液 1.00 L中に含まれる酢酸の質量は  60:0£1:04〔 g〕となる。また,酢酸の密度は 1.04 g=mLであるから,求める酢 ▲体積=

質量密度 の関係を押さ

える。酸の体積は  60:0£1:04

1:04 =60:0〔mL〕

答 60.0 mL

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  解 説

問1 シュウ酸は弱酸,水酸化ナトリウムは強塩基であるから,中和点は塩基性側に偏っていると考えられる。よって,指示薬としてはフェノールフタレインが適する。 ▲フェノールフタレイン

変色域 pH 8.0~9.8

問4 B液のモル濃度を a90:0〔mol=L〕としたときに,C液の濃度

は 1.40 mol=Lと算出されたから,B液の濃度を a126:0〔mol=L〕

に訂正したときの C液の濃度を,次式のように求めてもよい。 

▲ B液の実際の濃度は,誤って

求めた B液の濃度の 90:0126:0

倍であるので,C液も同様に

1:40£ 90:0126:0 =1:00〔mol=L〕

a90:0:

a126:0 =1:40:Ò ∴ Ò=1:00〔mol=L〕

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

標準溶液の使用上の注意⑴ 瓶の上部に水滴がついていることがある。この水は溶液から蒸発したものであるから,流し出す前にはよく振って液と混ぜること。⑵ 標準溶液を瓶から出すときは,瓶の口を湿り気のある清潔な布で拭き,また初めに流れ出る部分の少量を捨てる。⑶ 使い残りの液は瓶に戻さない。⑷ 瓶の口は常に栓をしておく。