朋永 - 岡部研究室東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 岡部 朋永...
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東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
岡部 朋永
低コスト複合材機体開発を実現するための 数値シミュレーション技術開発
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仙台から世界の空へ
次世代航空機研究センター
MMCsMMCs
MMCs
CFRP
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1.背景 - 東北大学次世代航空機研究センター体制
センター長
計算空気力学G 構造G 実験空気力学G 材料G
岡部朋永(教授)
岡部朋永(教授)
福永久雄(教授)
槙原幹十朗(准教授)
浅井圭介(教授)
大林 茂(教授)
大西直文(准教授)
澤田恵介(教授)
大林 茂(教授)
分野を横断したシームレスな設計・開発手法の確立が必要
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1.背景 - 航空機開発の現状
経済産業省 産業構造ビジョン2010
周辺状況:主要国は、複合材の最先端の技術に関し、産学官の連携を含めた戦略的な研究開発を加速させつつある。
現状:我が国の強みは、精度の高さと品質管理、納期遵守、複合材等の素材関連技術(例:東レがB787の炭素繊維を独占供給)などであり、高い
品質が必要な部位を日本に発注するパターンが定着しており、米・欧とも、日本との更なる協力を模索している。
アクションプラン:機体、エンジン、装備品、素材メーカー等の連携や、製品現場の課題を学問が解決する実学的な産学官の連携により、次世代旅客機等の開発に向けて、トータルなソリューションの提供により世界をリードできる体制を構築する。具体的には、複合材等の材料技術の強みをいかしつつ、材料の性能を最大限生かした設計技術を獲得する。(以下略)
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2.プロジェクト提案
ボーイング、エアバスはいかに現実的に数値シミュレーションを使いこなすかに熱心で、 集中投資をしている。空力・設計・材料・生産までが非常にタイトに関係づけられたCAEを
通じて体系化されており、これにより不要な人件費も実験も削れ、費用対効果の高い筋肉質な枠組みになっている。また、彼らは大学をいかにうまく使いこなすかにも長けている。
⇒できるだけ早く世界の流れにキャッチアップする必要あり
PJ課題: 低コスト機体開発を実現するための数値シミュレーション技術開発 予算、期間: 3000万×5年 体制: 代表) 大林先生 参加者) 澤田先生、轟先生、末益先生、長嶋先生、岡部先生 参加企業) MHI、KHI、TORAY、JAXA
(1)分野横断(空力・構造・強度)シームレス機体設計シミュレーターの開発 (澤田、長嶋、岡部、KHI)1000万×5年
(2)シミュレーション援用による認証プロセスの低コスト化 (岡部、末益、TORAY、KHI)1000万×5年
(3)氷着に関する非定常空力設計シミュレーターの開発 (大林、MHI)500万×5年
(4)複合材の特性を活かした機体構造設計シミュレーターの開発と実験的検証 (轟、平野、TORAY)500万×5年
⇒大学中心にて開発し、企業に検証してもらうことでブラッシュアップする
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2.1 機体設計シミュレーターの開発
詳細構造モデル
簡易構造モデル
安全余裕(均質化法)
空気力学
設計初期段階から、空力と構造をシームレスに最適化することで、空力設計と構造設計のトレードオフを高い次元で実施する ⇒我が国では経験の少ない全機設計を、 CAEを援用することで高度化する ⇒設計の初期段階での擦り合わせを密にし、 後工程での戻り作業を最小化する
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2.1 機体設計シミュレーターの開発
Stanford_Trace
Boeing_SIFT
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2.1 機体設計シミュレーターの開発
Crack initiation
T. Okabe, M. Nishikawa, H. Toyoshima, "A periodic unit-cell simulation of fiber arrangement dependence on the
transverse tensile failure in unidirectional carbon fiber reinforced composites", International Journal of Solids and
Structures, 48 (2011), 2948-2959.
東北大学_均質化法シミュレーション
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2.1 機体設計シミュレーターの開発 (FY2018~)
空力・構造・強度同時最適設計(目的関数の相関係数および散布図行列)
揚抗比
-0.071 重量
0.044 0.563 容積
-0.409 0.125 0.388 強度率
-0.187 0.256 0.000 -0.633 座屈
0.690 -0.472 -0.283 -0.411 -0.415 局所座屈
-0.276 0.248 0.152 0.374 -0.106 -0.614 ミニマム ゲージ率
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2.1 機体設計シミュレーターの開発 (FY2016-FY2017)
Euler解析 Euler解析
解析コードの非構造格子化 NS化,ナセル等付加物考慮
フラッター解析・非定常空力解析
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2.1 機体設計シミュレーターの開発 (FY2016-FY2017)
詳細構造モデル: 構造要素(シェル要素、ビーム要素)を利用
XFEMによる はく離のモデル化 (ソリッド要素)
解析モデルの組合せによって、成形時・運用時の損傷を模擬し、強度・剛性への影響を評価する。
(検証例)
・ ストリンガーき裂進展解析
・ボルト結合部およびその周辺の損傷・破壊解析
・プライドロップを考慮した損傷・破壊解析
孔開け時の層間はく離評価
補強材のはく離による強度低下の評価
破壊解析モデル:
連続体要素:ソリッド要素を利用
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2.2 シミュレーション援用による認証プロセスの低コスト化 標
準試
験片
専
用供
試体
実大構造
クーポン
構造要素
部分構造
実物大構造
構造認証のうち、試験に頼っていた部分を数値 シミュレーションに置き換えて開発コスト抑制を目指す。
0
0
IM600/#133(GIIc=1.86 kJ/m2)
Pro
jecte
ddam
age
are
a(m
m2)
Normalized impact energy (J/mm)
実験結果
解析結果
衝撃損傷による
内部破壊の解析例
具体的には、複合材構造衝撃損傷解析による 構造試験(構造要素から実大構造)の試験ケース数 削減を想定。
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2.2 シミュレーション援用による認証プロセスの低コスト化
衝撃損傷( FOD )・衝撃後圧縮強度( CAI )
衝撃損傷 0
0
IM600/#133(GIIc=1.86 kJ/m2)
Pro
jecte
ddam
age
are
a(m
m2)
Normalized impact energy (J/mm)
実験結果
解析結果
末益教授の複合材の衝撃損傷に関する数値シミュレーションは、実験結果と良く
合うことから、複合材部品のBVID/VID等の衝撃損傷の予測に適用可能。
⇒標定ケースの絞り込みを通じて、型式証明に必要な試験数削減につなげる
注記: BVID: Barely Visible Impact Damage 目視検査で見逃される前提での強度保証が必要な製造・運用時の衝撃損傷。 VID: Visible Impact Damage 検知後も、飛行継続できるだけの残留強度が必要な製造・運用時の大き目の衝撃損傷。
⇒シミュレーションを用いて衝撃損傷に強い構造を設計し、開発リスクを低減する。
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2.2 シミュレーション援用による認証プロセスの低コスト化
解析ソフト:Abaqus / Explicit
各損傷モデルをユーザーサブルーチンVUMAT によって組み込み
⇒ 衝撃による複合材積層板の内部損傷解析結果は試験結果と良く一致。 特に、背面層の層内亀裂(トランスバース・クラック)、層間はく離が再現できている。
解析モデル
解析結果
試験結果
研究テーマに対する期待
①分野横断シームレス機体設計シミュレーターの開発
• 機体設計シミュレータは、概念設計、トレード・スタディ等に有効。
• シミュレータ構成要素のモデル化、検証についてKHIが貢献可能。
• フラッタ解析の精度検証を大学/KHI共同で実施することは有効。
②シミュレーション援用による認証プロセスの低コスト化
• 認証の課題、援用による効率化の可能性等の提案が可能。
研究方法に対する期待
東北大学-KHI共同研究成果を基盤に据え、本研究で実用的
なツールに発展させることを期待。
• 空力と構造の非定常連成解析
• 複合材衝撃損傷付与解析
3. 機体メーカーの作業提案
3. 作業分担案
作業項目 東北大学 KHI (空力技術)
KHI (構造技術)
①機体設計 シミュレーター
仕様 ツール仕様設定 ツール要求 ツール要求
簡易解析ツール
ツール作成 (連成解析)
解析検証 (空弾性解析)
解析検証 (構造解析)
詳細解析 ツール
ツール作成 (フラッタ解析)
解析検証 (フラッタ解析)
ー
平成27~31年度の作業分担案は、以下の通り。
作業項目 東北大学 東レ KHI (構造技術)
②シミュレーション 援用による 認証効率化
仕様 仕様設定 課題提供 (材料認証)
課題提供 (構造認証)
詳細解析 ツール
ツール作成 (複合材損傷解析)
試験検証 (材料提供、
材料試験実施)
試験検証 (構造試験実施)
評価 ー 効率化評価 (材料認証)
効率化評価 (材料認証)
3.1 空力関連作業案 - フラッタ解析(1/2)
東北大、KHIとも空力構造強連成でのフラッタ解析が可能になりつつある 現状:
空力構造強連成でのフラッタ解析は時間がかかる(1日のオーダ)
設計適用には、時間の短縮化が不可欠(数万ケースの解析)
課題:
簡略手法を開発し、解析時間を短縮する
時間と精度のトレードを示す
目標:
(1) フラッタ解析の精度検証
・簡略手法の精度の基準であり、検証が必須
(2) 簡略手法の文献調査・KHI案から、幾つかの手法を試し、解析時間と精度を確認
(3) 簡略手法の改善の検討
実施内容:
1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
(1)
(2)
(3)
実施時期:
①機体設計シミュレータの研究作業案
3.1 空力関連作業案 - フラッタ解析(2/2)
レベルの異なる2種類のフラッタ解析を研究の対象とする。
A. 空力構造強連成でのフラッタ解析の精度検証 • 簡易化手法の比較対象でもあり、ベースとなるので精度の確認が必須
– 空力、構造それぞれのパートでの精度検証が必要
– 静空弾(衝撃波の位置が合わないと、フラッタは合わない)
– 動的空力(単純な振動翼)の検証
» 遷音速域での周波数特性
» AIAA Aero elastic Prediction Workshop (AePW)データの利用
– 構造モデルの検証
» 構造モデルのフラッタ予測への感度検証
B. フラッタ解析の簡易化の開発と精度検証 • 設計適用のためには、簡易化(Reduced Order Method;ROM)の開発が肝
• ROMの文献調査、KHI案より、幾つかの手法を選択し、幾つかのROMをコーディング
• 東北大コード、KHIコードを使って精度検証を行い、解析時間の短縮度と精度のトレードオフを明らかにする
• ROMの改善検討を行う
3.2 構造関連作業案(1/2)
○機体設計シミュレータの構築をKHIが支援
• 機体設計シミュレータに想定される用途と、その目的に沿ったインプット/アウトプットを設定する。
• 構造のラフ・サイジング時に想定する構造強度・剛性の目安を示し、サイジング用 構造モデルの仕様設定を支援する。
• 東北大学作成の構造モデルの検証を、通常の構造解析の手順で検証する。
①機体設計シミュレータの研究作業案
詳細構造モデル(FY2016-2018) 簡易構造モデル(FY2014-2015)
モデル仕様設定(東北大学/KHI)
・適切なインプット/アウトプットの項目を提案 ・構造強度・剛性の目安を提案
=>モデル作成(東北大)
=>モデル検証(KHI) ・一般的な構造解析ツール/チャートと結果を比較
3.2 構造関連作業案(2/2)
○認証プロセスの効率化の検討をKHIが支援
• 複合材構造の認証プロセスの調査を支援し、効率化の鍵となる要素を抽出する。 (試験パラメータ削減による試験数削減、開発リスクの低減等を期待)
• 本研究で用いる衝撃損傷解析が、複合材構造認証に与える影響を評価する。
• 認証プロセス効率化に用いるシミュレーションに対する要求を設定する。
• 複合材構造の衝撃損傷解析を、クーポンレベルから部分構造レベルの試験で検証する。
②シミュレーション援用による認証効率化の研究作業案
要素試験
材料試験
部分構造試験
実大構造試験
全機試験
設計 データ の取得
設計・ 解析
の検証
クーポン試験(CAI試験)で衝撃損傷解析を検証
構造要素、部分構造に対する衝撃損傷解析を
実施し、強度低下を評価する。
構造試験で解析の妥当性を検証する。
構造認証効率化への寄与を評価する。