地獄 入隊編 051-110 再々 - rittor...

1
ペダル音の押弦指は 最後まで同じにすべし ! ペダル奏法の名前の由来は、オルガンの足 鍵盤=ペダルから来ているようだ。クラシック には、ベース音を持続させた状態で上にハー モニーを展開させたり、逆に高音を一定に保 ちながら下のハーモニーを展開する作曲技法 がある。ペダル奏法とは、この技法を利用し て、ある音をペダル音として残しながらフレー ズを展開していく奏法のことを指す。このメイ ン・フレーズは高音にペダル音を置いた“ 高音 ペダル ”パターンになっているが、ペダル音が すべて 16 分音符のウラ拍に入るので、リズム の乱れに注意しよう(図1)。また、 ペダル音を 押弦する指は常に一定にする【 註 】 ように心掛 けてみてほしい。こうすることで、フィンガリン グがスムーズに行なえるだろう。 ペダル音の押弦を想定して 人差指&小指を同時に移動! 1小節目2~3 拍目のポジション移動には、 注意が必要だ。ここでは 3 拍目に入った瞬間、 人差指は 12 フレットから15 フレットに移動す るが、3 拍目の 2 音目がペダル音である1 弦 19 フレットになるため、人差指の移動と同時に 小指も19フレット上で待機するように心掛け てみてほしい(写真①)。このようなポジ ション移動では人差指ばかりを注意しがちに なるが、このフレーズはペダル奏法なので、ペ ダル音を確実に鳴らすことがポイントになる。 したがって、人差指と小指をセットにして、ス ムーズに移動することが大切だ。ペダル奏法 に限 ったことではないが、常に先のフレーズ展 開を読んだプレイを行なうようにしよう。 どうしてバロックだけなのか ? 著者によるネオクラ考察 ~コラム 8 ~ いわゆるネオ・クラシカル系ギタリストは、 バッハ好きな人が多いようだ。バッハはパイ プ・オルガンの名手でもあったから、ペダル奏 法を多用するネオ・クラシカル系ギタリストの ルーツになるのは必然なのかもしれない。ま た、バッハが用いた対位法と呼ばれる作曲技 法は複数の異なるメロディ・ラインを同時に進 行させるものなので、彼の曲をギターで弾くと 自然とペダル奏法のようになってしまうのだろ う。著者自身は、バッハの音楽にシーケンシャ ルな要素を強く感じるので、メカニカル・トレー ニングが好きなロック・ギタリストにとっては弾 いていてとても楽しい音楽なのではないかと 『 ベスト・クラシック 100 プ レミアム 』 バッハはもちろんのこと、地獄 のクラシック編の収録曲である 「 カノン」や「 運命」「 白鳥の湖 」 などを収録したクラシックの入門 的なベスト盤。 1 小節目 2 拍目の 3 音目。薬指で押弦後…… 小指でペダル音を鳴らす。ポジション移動も意識せよ。 人差指と小指をセットで移動することで…… ペダル音を確実に押弦することができるのだ。 思っている。ただ 1つ疑問なのが、ネオ・クラ シカル系と言うと、ほとんどがバロック音楽ば かりをモチーフにしていて、ペダル奏法やハー モニック・マイナーを使用することが多いという こと。そもそもクラシック音楽は、バロックだ けに限らず、古典派やロマン派、印象派、近 代音楽など、さまざまなジャンルがあるもの だ。しかし、それでもネオ・クラシカル系と言っ たら、やっぱりバロック音楽のみに集約されて しまう。だとしたら、これからはネオ・クラシカ ル系は、ネオ・バロック系と呼んでもよいので はないだろうか。この方が、音楽性をきちんと 説明しているような気がするな~。 【ペダル音を押弦する指は常に一定にする】ペダル奏法独特のメロディ・ラインは、ペダル音がくり返し鳴ることで成立する。したがって、ペダル音の鳴り方がバラバラにならないように、しっかり押弦するように心掛けることが大切だ。

Upload: others

Post on 06-Oct-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 地獄 入隊編 051-110 再々 - Rittor Musicけに限らず、古典派やロマン派、印象派、近 代音楽など、さまざまなジャンルがあるもの だ。しかし、それでもネオ・クラシカル系と言っ

ペダル音の押弦指は最後まで同じにすべし! ペダル奏法の名前の由来は、オルガンの足鍵盤=ペダルから来ているようだ。クラシックには、ベース音を持続させた状態で上にハーモニーを展開させたり、逆に高音を一定に保ちながら下のハーモニーを展開する作曲技法がある。ペダル奏法とは、この技法を利用して、ある音をペダル音として残しながらフレーズを展開していく奏法のことを指す。このメイン・フレーズは高音にペダル音を置いた“高音ペダル”パターンになっているが、ペダル音がすべて16分音符のウラ拍に入るので、リズムの乱れに注意しよう(図1)。また、ペダル音を押弦する指は常に一定にする【註】ように心掛けてみてほしい。こうすることで、フィンガリングがスムーズに行なえるだろう。

ペダル音の押弦を想定して人差指&小指を同時に移動! 1小節目2~3拍目のポジション移動には、注意が必要だ。ここでは3拍目に入った瞬間、人差指は12フレットから15フレットに移動するが、3拍目の2音目がペダル音である1弦19フレットになるため、人差指の移動と同時に小指も19フレット上で待機するように心掛けてみてほしい(写真①~④)。このようなポジション移動では人差指ばかりを注意しがちになるが、このフレーズはペダル奏法なので、ペダル音を確実に鳴らすことがポイントになる。したがって、人差指と小指をセットにして、スムーズに移動することが大切だ。ペダル奏法に限ったことではないが、常に先のフレーズ展開を読んだプレイを行なうようにしよう。

どうしてバロックだけなのか?著者によるネオクラ考察

~コラム8~

 いわゆるネオ・クラシカル系ギタリストは、バッハ好きな人が多いようだ。バッハはパイプ・オルガンの名手でもあったから、ペダル奏法を多用するネオ・クラシカル系ギタリストのルーツになるのは必然なのかもしれない。また、バッハが用いた対位法と呼ばれる作曲技法は複数の異なるメロディ・ラインを同時に進行させるものなので、彼の曲をギターで弾くと自然とペダル奏法のようになってしまうのだろう。著者自身は、バッハの音楽にシーケンシャルな要素を強く感じるので、メカニカル・トレーニングが好きなロック・ギタリストにとっては弾いていてとても楽しい音楽なのではないかと

『ベスト・クラシック100プレミアム』 バッハはもちろんのこと、地獄のクラシック編の収録曲である「カノン」や「運命」「白鳥の湖」などを収録したクラシックの入門的なベスト盤。

1小節目2拍目の3音目。薬指で押弦後…… 小指でペダル音を鳴らす。ポジション移動も意識せよ。

人差指と小指をセットで移動することで…… ペダル音を確実に押弦することができるのだ。

思っている。ただ1つ疑問なのが、ネオ・クラシカル系と言うと、ほとんどがバロック音楽ばかりをモチーフにしていて、ペダル奏法やハーモニック・マイナーを使用することが多いということ。そもそもクラシック音楽は、バロックだけに限らず、古典派やロマン派、印象派、近代音楽など、さまざまなジャンルがあるものだ。しかし、それでもネオ・クラシカル系と言ったら、やっぱりバロック音楽のみに集約されてしまう。だとしたら、これからはネオ・クラシカル系は、ネオ・バロック系と呼んでもよいのではないだろうか。この方が、音楽性をきちんと説明しているような気がするな~。

【ペダル音を押弦する指は常に一定にする】 ペダル奏法独特のメロディ・ラインは、ペダル音がくり返し鳴ることで成立する。したがって、ペダル音の鳴り方がバラバラにならないように、しっかり押弦するように心掛けることが大切だ。