医用治療機器学Ⅰ屈折・散乱・減衰! 屈折 "...

22
医用治療機器学Ⅰ 第11回 超音波とは・超音波吸引装置

Upload: others

Post on 23-Jun-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

医用治療機器学Ⅰ

第11回

超音波とは・超音波吸引装置

今回のテーマ (超音波とは・超音波吸引装置)

o 超音波とは何か。医超音波吸引器とは何か。圧電効果・電気歪効果とは何か、また電気歪素子について学ぶ。

ボイスチェンジャー

o  音声の周波数を変換する n  簡単な実験: n  無料音声解析ソフト n  [http://

www.cycleof5th.com/]より、”SoundEngine Free”

o  私の声のスペクトルです。 n  何人かの声のスペクトルを

比べてみる

o  「高い声」「低い声」 n  「変声」というか・・・

超音波と音波

o  超音波は電磁波じゃない! n  何回言っても、マイクロ波や赤外線の仲間だと思っている

人がいる、というか、何回言っても元々聞いていない!? n  そのまま、何回も国家試験を受けたりします。

§  毎回の授業を大切に聞こう!

n  縦波と横波 o  媒質の運動

n  振動と波動 o  振動:テキストP219

o  波動:テキストP230

n  音波の速度と電磁波の速度は全然違う

n  超音波の性質

縦波と横波

横波と縦波

o  横波

n  縄跳びの縄を、上下にゆすった時の波

n  海や川の表面の「波」

n  電磁波

o  縦波 n  音波・超音波

n  地震の際に、先に伝わる波(初期微動)

o  http://www15.wind.ne.jp/~Glauben_leben/Buturi/Hadou/Hadoubase1.htm

o  媒質:波を伝える媒体 n  媒質の性質によって、伝わり方が異なる。

「かめかめ波」は超音波か?

o  興味がなければ、というか「ドラゴンボール」を知らなかったら、このスライドは流します・・・

o  圧力が伝わっている → (弾性波の特徴) o  マンガの絵の感じから、どうみても音速

n  電磁波だったら、1秒間に地球を7回半回る。 o  「絵」にならない・・・

o  掌(てのひら)から出ている。 n  圧電振動に似ている・・・

n  コミックスを持っていないので 面白いスライドは作れませんが・・・

n  一度、ワンピースをじっくりと全巻読みたいのだけれど、 『教材作成用」に個人研究費で購入できないかなぁ・・・(嘘です)

屈折・散乱・減衰

o  屈折 n  伝播速度の異なる媒質の境界面で、光の進行方向が変わる

o  骨と軟組織(超音波は、骨でほとんど反射される)

o  赤外線は頭蓋骨を透過するが、入射角によって屈折する

o  X線CTなどは、影響を受けにくいが、屈折や、回折はある。

o  散乱 o  不均質な媒質、あるいは、浮遊物質などの影響を受けて、波動が

散乱される。

o  減衰 n  波動が遠距離に伝播すると、その振幅が低下する。

o  媒質そのものが波動を伝えにくい場合、減衰する

o  浮遊している微小物質などの影響を受けて、「散乱」してしまう場合、減衰する

超音波と音波 o  「超音波」も音波

n  「音」として聞こえるものだけが音波じゃない。

o  密度の変化を起こす弾性波 n  (縦波)全般を「音波」として扱っても、間違いとは言えない。

n  地震のP波は弾性波(超低周波?)

n  Infra-sonic

n  0.01~1Hz

o  こうもりの出す「声」 n  Ultra-sonic

n  15kHz~100kHz?

音の性質

o  音の反射 o  長岡技術科学大学井原研究室

のページから

n  製品の欠陥の検出に、音の反射を利用

o  音の回折 n  音源との間に遮蔽壁があって

も、回り込む o  小野測器のページから o  http://www.onosokki.co.jp/HP

-WK/nakaniwa/keisoku.html

超音波の特徴

1) 指向性が高いため、「音の束」として集中する 2) 性質の異なる物質の「境界面」などで音波が反射する

音響インピーダンスの異なる境界面で反射される 3) 音波の減衰は媒質の粘度、比熱、熱伝導度、音速に影響される

気体での減衰は非常に大きい。 4) 液体や気体では「縦波」のみだが、固体中では「横波」や「表面波」も

存在する。 5) 異物の存在で反射する超音波の反射の度合いは、その異物の大き

さと超音波の波長との関係で決まる。

n  長岡技術科学大学井原研究室のページから

音の伝わる速度

媒質 速度(m/s) 固有音響

インピーダンス

×106kg/m2/s 吸収係数 空気(0℃) 331 0.0004 12

水 1480 1.48 0.0022 脂 肪 1450 1.38 0.63 肝 臓 1549 1.65 0.94 腎 臓 1561 1.62 1 血 液 1570 1.61 0.18 筋 肉 1585 1.7 1.3/3.3 頭 骨 4080 7.8 13

MEの基礎知識と安全管理P60より

音響インピーダンスの境界面

o  気体、液体、固体で、音の伝わる速度は大きく異なる。 n  固体: 鉄道のレール、骨など、秒速4km n  液体(水中): 秒速約1.5km n  空気中: 秒速330mと、どんどん遅くなる。 n  真空中は?  → 誰か答えて下さい。

o  臓器の境界というよりも、「インピーダンスの境界」でより多く反射が起きる。

o  反射を利用する機器が、超音波エコー

超音波吸引装置

o  テキスト:P423

n  機械的な振動を与えて、軟部組織を破砕する。

n  皮膚や血管、神経などの弾性のある部分は破砕されない。

o  吸引と言っても、こちらは手術器具

o  別名:CUSA o  超音波振動

n  圧電効果、電気ひずみ効果、磁気ひずみ効果

n  振動周波数: 20~30(23~38)kHz n  振幅: 100~300µm

超音波吸引装置の構造

o  構造 n  超音波振動で組織を破砕する。 n  血管や神経のような柔らかい組織は傷つけない

o  洗浄水で洗い流し、破砕した組織ごと吸引する。 n  洗浄水は生理食泉水: 組織に吸収されても浸透圧を変えない

o  冷却水で機器を冷やす。 n  冷却水は蒸留水: 機械を錆びさせない

圧電効果/電気歪効果/磁気歪効果

o 圧電素子

o 電気歪振動子

n  テキスト:P424

o 磁気歪振動子

圧電素子

o  原理

o  電圧をかけると反る n  電気→圧力

o  反ると電圧が発生する

n  圧力→電気

磁歪方式、電歪方式

o  電圧や、磁気で歪を発生する素子を用いる

過去問

o 15回-午前-問題73 n 超音波吸引装置で正しいのはどれか

o  1.肝臓手術には適用できない

o  2.メス先の灌流には蒸留水を用いる

o  3.主作用は熱凝固である

o  4.メス先の振幅は500~800µmである。

o  5.メス先の振動数は20~30kHzである。

超音波切開凝固装置との比較

o 当初、標準テキストなどに「超音波切開凝固装置」が含まれていなかった事から、前期分の教材からこの項目が抜けていました。

o CUSAと超音波メスは、一つの本体で「モード切り替え」として使う事も出来るため、「振動数」や、振幅(ストローク)を対比して覚えておくと良いでしょう。

超音波切開凝固装置

o  45~55kHzの周波数で振動

o  50~100µmの幅で往復運動を繰り返す

o ブレードの振幅(ストローク幅)は調整可能 n  ブレード = 「刃」

n  この幅で、「切開」と「凝固」を切り替える

o 超音波振動の摩擦熱で「凝固」を行う n  タンパク質の「熱変性」を利用

o グリップを握る強さで切開の程度を調整

次回のテーマ (熱治療器(ハイパーサーミア))

o 体温と組織について、体温中枢について、熱治療器とは何か、温熱療法の加温方式、使用上の注意などについて学ぶ。