学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの...

54
学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育について 参考資料1 平成28年2月4日 文部科学省

Upload: others

Post on 21-Aug-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

学力差に応じた教育について

特に優れた能力を持つ子供たちの力を更に伸ばす教育について

参考資料1

平成28年2月4日文部科学省

Page 2: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

2

目次

○日本における学力差の現状・・・・・・・・・・・・・・ 4○習熟度別少人数指導の現状・・・・・・・・・・・・・ 7○習熟度別少人数指導の事例・・・・・・・・・・・・・ 9○習熟度別少人数指導の成果・・・・・・・・・・・・・ 11○加配定数を活用した教育格差解消

に向けた取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13○補充的な学習の取組(沖縄県の事例)・・・・・ 15○ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・ 16○(関連施策)土曜日の教育活動・・・・・・・・・・・ 20○(関連施策)地域未来塾・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22○(関連事例)放課後や土曜日などにおける

発展・補充学習・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23○(参考)学習習慣(小学6年生)・・・・・・・・・・・ 25○(参考)学力差に応じた教育(諸外国の場合) 26

1.学力差に応じた教育について 2.特に優れた能力を持つ子供たちの力を更に伸ばす教育について

○大学への飛び入学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29○特色ある大学入学者選抜・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31○小学校段階からの専科指導(教科専門指導)・ 35○スーパーサイエンスハイスクール ・・・・・・・・・ 36○スーパーグローバルハイスクール・・・・・・・・・・ 39○スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール・・・ 42○教育課程特例校・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44○グローバルサイエンスキャンパス・・・・・・・・・・ 45○科学技術コンテストの推進・・・・・・・・・・・・・・・・ 47○(参考)スーパーグローバル

大学創成支援事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49○(参考)博士課程教育

リーディングプログラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50○新進芸術家海外研修制度・・・・・・・・・・・・・・・・ 52○異才発掘プロジェクトROCKET・・・・・・・・・・・・ 53○(参考)次世代の各界のリーダー

となる人材を育てるための自治体や民間の取組の例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

Page 3: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

1.学力差に応じた教育について

3

Page 4: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

日本における学力差の現状①1.学力差に応じた教育について

4

■PISA2012(OECD生徒の学習到達度調査)

0

5

10

15

20

25

30

レベル1未満 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4 レベル5 レベル6以上

生徒の割合

2003

2006

2009

2012

1 2 3 4 5 6 7

OECD平均

(%)

2006年との比較におい

て、統計的に有意に上昇

○ PISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果においては、低位層が減少し、上位層が増加しており、学力の底上げが図られている

3.2

8.0 7.6

3.3

(平均得点)

(調査実施年)

※順位はOECD加盟国中(カッコ内は全参加国・地域中の順位)※数学的リテラシー、科学的リテラシーは経年比較可能な調査回以降の結果を掲載

(数学的リテラシー)

Page 5: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

日本における学力差の現状②1.学力差に応じた教育について

5

■平成27年度全国学力・学習状況調査

○ 全国学力・学習状況調査の結果においては、下位県の成績が全国平均に近づく状況が見られ、学力の底上げが図られている○ 一方で、一人一人の学力の状況を見ると、正答数の分布にはばらつきが見られ、特に知識を活用する力の育成などのために一

人一人へのきめ細やかな対応が重要

平成19・20・21・25・26・27年度で,平均正答数(公立)が高い3都道府県と低い3都道府県の標準化得点の平均を算出※標準化得点が同値の場合は,それらの都道府県全ての標準化得点の平均を算出

95.096.097.098.099.0

100.0101.0102.0103.0104.0105.0

国語A 国語B 算数A 算数B

H19

H20

H21

H25

H26

H27

小学校

95.096.097.098.099.0

100.0101.0102.0103.0104.0105.0

国語A 国語B 数学A 数学B

H19

H20

H21

H25

H26

H27

中学校

5

○正答数分布グラフ(横軸:正答数、縦軸:割合)

(小学校 算数A) (中学校 数学A)

(中学校 数学B)(小学校 算数B)

A問題:主として「知識」を問う問題。身につけておかなければ後の学年等の学習内容に影響を及ぼす内容や,実生活において不可欠であり常に活用できるようになっていることが望ましい知識・技能など

B問題:主として「活用」を問う問題。知識・技能等を実生活の様々な場面に活用する力や,様々な課題解決のための構想を立て,実践し,評価・改善する力など

○平均正答数(公立)が高い3都道府県と低い3都道府県の標準化得点の平均の変化

Page 6: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

日本における学力差の現状③1.学力差に応じた教育について

6

○ 小中学生の学びについて行われた実態調査によると、授業についていけない生徒がいる一方で、「簡単すぎる」と感じている児童生徒も一定数いることがわかる

小中学生の学びに関する実態調査 報告書 [2014] 【ベネッセ教育総合研究所】

(出典) ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する実態調査」(平成26年度)

[調査地域・対象・サンプル構成]・調査対象:全国の小学4年生~中学2年生の

子どもとその保護者・発送数:各学年2,000組ずつ (計10,000組)・小学生の有効回収数:3,450組、中学生の有効回収数:1,959組(計5,409組)

Page 7: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

習熟度別少人数指導の現状①1.学力差に応じた教育について

学習指導要領において、小・中・高等学校で習熟度別指導が可能であることを明記

(平成15年の一部改正により明記)

小学校学習指導要領 第1章 総則(抜粋)

各教科等の指導に当たっては,児童が学習内容を確実に身に付けることができるよう,

学校や児童の実態に応じ,個別指導やグループ別指導,繰り返し指導,学習内容の習熟

の程度に応じた指導,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な

学習などの学習活動を取り入れた指導,教師間の協力的な指 導など指導方法や指導体

制を工夫改善し,個に応じた指導の充実を図ること。

7

※中学校・高等学校の指導要領にも同様の記載あり。

※教科書においては、平成17年度使用の小学校教科書から発展的な学習内容が記載されており、分量については、例えば、今年度使用されている小学校理科では、平均するとページ数割合で1冊当たり約4%を占めている。

Page 8: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

習熟度別少人数指導の現状②

○ 少人数指導のための加配教職員定数等を通じ、多くの公立小・中学校で習熟度別指導を実施

いずれかの教科で習熟度別指導を行っている学校の割合

文部科学省「教育課程編成・実施状況調査」より

38.8%

52.1%

63.1%

74.2%

81.6%80.7%82.7% 85.0%

70.5%

78.0%

82.9%

31.1%

49.9%

64.7%66.9%

72.3%73.1%74.4%73.9%

66.3%

68.5%

78.9%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

70.0%

80.0%

90.0%

12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 21年度 23年度 25年度

公立小学校

公立中学校

公立小学校(H12実績) (H25計画)

38.8%→82.9%

公立中学校(H12実績) (H25計画)

31.0%→78.9%

第7次定数改善計画⇒習熟度別少人数指導等のため22,500人の定数

改善を実施

平成13~17年に、習熟度別少人数指導など、きめ細かな指導を行う学校の取組を支援するための加配定数の

改善を実施(第7次定数改善計画)

※ 数値は、公立小・中学校のうち、児童生徒の理解や習熟の程度に応じた指導を実施している学校の割合である。

※ 数値は、年間を通じて実施するものだけでなく、ある単元の学習等の特定の時期で実施した場合、特定の学年で実施した場合も含んでいる。

※ 平成20年度から学校の負担軽減の観点から隔年調査としたため、平成20・22年度は未調査。

定数改善

※ 習熟度別指導では、補充的な学習や発展的な学習を取り入れた指導も実施している。

○補充的な学習を取り入れた指導を実施する学校の割合公立小学校:65.8% 公立中学校:60.4% (H25計画)

○発展的な学習を取り入れた指導を実施する学校の割合公立小学校:35.1% 公立中学校:30.9% (H25計画)

8

1.学力差に応じた教育について

Page 9: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

東京都大田区立開桜小学校の取組(算数)について

※初等教育資料(平成27年3月号)より

○ 算数科の授業において、1学年3学級を「ばっちりコース」(発展)、「しっかりコース」(標準)、「じっくりコース」(基礎) の3つコースに分け、習熟度別少人数学習を実施。その際、学級担任に加え、少人数指導担当(学年によってはさらに学習指導講師が加わり)3学級を4グループまたは5グループにして指導。

○ 関連する既習事項がどの程度身についているかをレディネステストで確認し、児童が教師と相談しながらコースを決定。

【共通事項】・1回の授業の中で、以下の3段階の思考のプロセスを意識して授業を構成。①「自己の思考」:課題把握を行い、見通しをもって自力解決を行う。→②「集団での思考」:自分の考えを発表し、全体で検討。→③「自己の思考」:まとめをし、適用問題を解いて、学習の定着を確認。【コースごとの特色】

コース別の授業の進め方

「じっくりコース」(基礎) 「しっかりコース」(標準) 「ばっちりコース」(発展)①課題把握は時間を確保して授業全体で丁寧に行う。見通しは全体で確認。自分の考えを持たせるために、必要に応じて具体物を操作させたり、ヒントを与えたりして解決させる。②発表においてどの児童にも身に付けさせたい考えを取り上げる。具体物、図式などを用いて発表させる。教師が支援しながらの検討を行う。③学習のポイントを全体で振り返り、キーワードを押さえながらまとめさせる。

①課題把握を確実に行わせる。見通しは、基本的には個人で、実態に応じて全体で確認。別の解決方法も考えさせ、必要に応じてヒントを与える。②発表において取り上げる考えを精選。それぞれの考え方やよさが聞き手に伝わるよう、根拠を示し、言葉、式、図表などを用いて発表させる。考えを比較して話し合わせる。③学習のポイントを押さえながら、全体または自分の言葉でまとめさせる。

①課題把握は短時間で行い、多様な解決方法を考えさせる。見通しは自分で考えさせる。また、自己の解決方法や結果が妥当かを振り返らせる。②発表においては多様な考えを取り上げる。明確な根拠で筋道立てて発表させ、友達の考えとの比較や関連づけを行いながらよりよい考えを話し合わせる。③学習のポイントを押さえながら自分の言葉でまとめさせる。

習熟度別少人数指導の事例①

9

1.学力差に応じた教育について

Page 10: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

大阪市立咲くやこの花中学校の取組(英語)について

※大阪市教育センターHP「習熟度別少人数授業事例集」における平成25年度の事例より

○英語科の授業における新出文法事項の練習活動や自己表現活動、音読練習などにおいて、習熟度別に二つのクラスに分け、習熟度別授業を行っている。基礎クラスは、ヒントを与えながら進めるクラス、発展クラスは、できるだけ英語で授業を進め、生徒が自分の力で課題に取り組むクラスである。

(スピーチ原稿を書く授業の事例)

クラスA(基礎) クラスB(発展)【導入】(5分)・挨拶/進出語彙の練習活動(ペア)【展開①】(10分)・新出文法事項の口頭練習(①一斉、②ペア)【展開②】(35分):スピーチ原稿を書く(1)いくつかテーマを提示して選ばせる。(2)書き方の例を示し、使える用語なども提示。(3)インターネットや図書室を利用し、自分の選んだテーマ

についての情報を集める。(4)書き方例をもとに原稿を書く。【まとめ】・授業のまとめ/挨拶

【導入】(5分) ※指示はすべて英語・挨拶/進出語彙の練習活動(ペア)【展開①】(10分)・新出文法事項の口頭練習(ペア×2)【展開②】(35分):スピーチ原稿を書く(1)地球環境に関するテーマを自分で考える。(2)インターネットや図書室を利用し、自分の選んだテーマ

についての情報を集める。(3)興味深い原稿になるよう工夫しながら、辞書を活用

して原稿を書く。【まとめ】・授業のまとめ/挨拶

習熟度別少人数指導の事例②

10

1.学力差に応じた教育について

Page 11: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

学習意欲の向上

習熟度別少人数指導を多くの時間で行っている学校の方が、学力上位層(A層)が多く、学力下位層(D層)が少ない関係が見られた。

習熟度別少人数指導を多くの時間で行った学校の児童生徒の方が,算数・数学に対して,好き・大切・よく分かると肯定的な回答をしている。

特に,低学力層において,学習意欲との関係が顕著に見られた。

学力向上

習熟度別少人数指導と学力層Dの児童の割合(算数A)学力層Dの児童の割合が、全国平均より低い学校の割合

習熟の遅いグループに対して少人数指導を

~全国学力・学習状況調査との関係~

52.3%

58.6%

47.7%

41.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

行っていない

3/4以上で行った

習熟度別少人数指導の成果①

○ 教職員の追加配置による習熟度別少人数指導は、学力・学習意欲の向上に効果あり

(出典)国立教育政策研究所「平成19・20年度全国学力・学習状況調査追跡分析」

44.2%

50.1%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

50.0%

習熟度別少人数指導を行っていない

年間の授業のうち、おおよそ3/4以上で行った

習熟の遅いグループ(D層)に対する少人数指導と算数の勉強が好きな児童の割合

11

1.学力差に応じた教育について

※各学力層は,児童生徒を正答数の大きい順に整列し,人数比率により25%刻みで4つの層分けを行ったものである。上位から1番目をA 層,2番目をB 層,3番目をC 層,4番目をD 層と呼称し,正答数が同じ場合は,上位の層に含む。

Page 12: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

1 平成19年度から27年度までの「全国学力・学習状況調査」結果の推移

国語A 国語B 数学A 数学B

19年 32位 25位 33位 25位

20年 31位 20位 28位 30位

21年 31位 37位 26位 26位

25年 11位 7位 12位 13位

26年 8位 6位 12位 10位

27年 5位 9位 7位 7位

(中学校)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

19年 20年 21年 25年 26年 27年

国語A 国語B 数学A 数学B

【四分位(ABCD層)の割合の変化】(各層の割合を全国と比較した差)※正答数分布を上位層(A層)から下位層(D層)までを25%刻みで4層に分類

A+B層

A層

B層

C層

D層

C+D層

ポイント 【中学校数学A】

○平成21年度からの平均正答率による順位を他の道府県と比較すると、国語A及び数学A、

数学Bにおいて全国での順位が上昇している。

(位)

○平成21年度と比較すると、AB層が増加、CD層が減少しており、基礎・基本の定着が図られている。

2 学力向上の要因分析○中学校では、25年度以降、全国平均を上回り、上位に位置している。

(1)都独自の加配の実施

※ 中学校入学前に約8割の生徒が中学校生活への不安をもち、

入学3か月後でも約5割の生徒が不安をもっているなど、

すべての学校でいつ問題が発生してもおかしくない状況

→ 都教育委員会として早急に対策を講じる必要

年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度

学級編制基準 39人 38人 37人 35人

加配教員定数 70人 118人 194人 251人

【中1ギャップに対応する加配状況】

※ 平成26年度以降も都独自に35人の学級編制基準を継続

(2)加配を活用した効果的な指導の推進

○ → 個に応じた指導の充実

○ → 幅広い学力層に対応した指導

○ → より効果的な指導方法・体制の普及

加配による習熟度別少人数指導の推進

発展的な教材を作成・配布(H23・24)

習熟度別指導ガイドラインの策定(H26)

都独自の加配の実施と、加配を活用した効果的な指導の推進により、生徒の学力向上を実現

中1ギャップの予防・解決のための加配の実施(H22~)

習熟度別少人数指導の成果②(東京都の事例)

○ 東京都では、教員加配による習熟度別少人数指導等の取組を通じて、正答率が向上

12

1.学力差に応じた教育について

《習熟度別少人数指導の実施状況(H27)》・加配2,266人・主に(小)算数、(中)数学・英語で実施・概ね2クラス⇒3グループに展開

Page 13: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

加配定数を活用した教育格差解消に向けた取組①1.学力差に応じた教育について

○ 教員加配等による学校での学習サポートの充実によって、子供の学力を保障

教育効果の高い学校※の特徴※同程度のSES(家庭の社会経済的背景)の児童生徒が通う学校と比較して、平均学力が高い学校に共通的に見られる取組

出典:お茶の水女子大学「平成26年度学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」

家庭学習指導(⇒次頁②「家庭学習のサポート」参照)

管理職のリーダーシップと同僚性の構築、実践的な教員研修

小中連携教育

言語に関する授業規律や学習規律の徹底(⇒次頁①「学校におけるきめ細かい指導」参照)

学力調査の活用

基礎基本の定着の重視と、少人数指導、少人数学級の効果(⇒次頁①「学校におけるきめ細かい指導」参照)

放課後や夏期休業期間中の補習(⇒次頁②「家庭学習のサポート」参照)

出典:お茶の水女子大学「平成25年度全国学力・学習状況調査の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究」

(正答率)

○家庭の経済状況は学力に大きく影響

※SES・・世帯所得と父母の学歴を合成した指標

13

Page 14: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

加配定数を活用した教育格差解消に向けた取組②1.学力差に応じた教育について

実態把握・要因分析

加配定数を活用した教育格差解消に向けた取組事例

学校におけるきめ細かい指導(①)

家庭学習のサポート(②)

個別の学習計画作成

学習方法の指導少人数指導の実施補充学習の実施

学習の定着学力の保障

○ 学力低位層生徒の個別学習指導計画に作成 (旭川市)

○ 学習の妨げになっている家庭内の要因について、アンケート等により実態把握をするとともに、児童や保護者との教育相談を実施(札幌市)

○ 放課後に学習方法等について学習相談を実施(旭川市)○ 学力低位層生徒を対象に放課後学習会を実施(旭川市)○ 不登校生徒や別室登校生徒などへの個別指導 (金沢市)

○ 朝学習の補助、授業への入り込み補助、抽出による補充学習の運営、長期欠席等進度に遅れのある児童への補充学習 (泉南市)

○ 放課後を利用して、基本的な読み書き・計算について補充学習や授業における課題の確認などの支援を実施 (都城市)

○ 家庭学習ノートの取組を放課後に指導 (旭川市)○ 長期休業中における学習サポートの実施 (旭川市)

14

Page 15: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

沖縄県の平均正答率(全国平均との差)の推移 【小学校】

▲ 10.0▲ 8.0▲ 6.0▲ 4.0▲ 2.0

0.02.04.0

H19年度 H20年度 H21年度 H25年度 H26年度 H27年度

国語A

国語B

算数A

算数B

15

○ 全国学力・学習状況調査の結果において、沖縄県では小学校調査において顕著な改善が見られる。A問題(知識)のみならず、B問題(活用)についても改善の傾向。

○ 学校質問紙調査の結果からは、沖縄県では、放課後や長期休業日を利用した補充的な学習の実施割合が、全国平均と比較すると顕著に高い。

【実施状況の変化】 放課後(週1回以上) H21:58.5% → H27:76.4%長期休業日(5日以上) H21:38.0% → H27:46.8%

全国

H21沖縄

全国

H27沖縄

2.0

3.4

3.0

17.6

12.2

20.5

14.7

40.8

14.6

34.6

12.8

18.0

20.0

27.8

16.7

9.4

12.1

9.1

10.9

5.2

39.0

4.6

41.6

7.9

放課後を利用した補充的な学習

週に4回以上 週に2~3回 週に1回

月に数回程度 年に数回程度 行っていない

全国

H21沖縄

全国

H27沖縄

2.3

2.3

1.8

7.1

4.4

3.0

4.4

9.0

18.5

32.7

21.4

30.7

31.8

41.4

35.2

38.6

42.9

20.5

36.8

12.7

長期休業日を利用した補充的な学習

13日以上 9~12日 5~8日 1~4日 行っていない

補充的な学習の取組(沖縄県の事例)1.学力差に応じた教育について

Page 16: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

ICTを活用した個に応じた学習支援①

○ 学校において、個別学習支援システムを活用し個に応じた学習支援を実施(東京都日野市立平山小学校の事例)

出典:スタディシリーズパンフレット

1.学力差に応じた教育について

◆児童は、ノートで答えを導いてから、答えをタブレットに入力。◆自動採点するだけでなく、一人一人のつまずきにあった出題がされ、個に応じた学習が可能。◆児童の学習記録が蓄積され、授業中に学習の様子が教員にフィードバックされたり、授業後に学習履歴を分析しその後の指導に活かすことが可能。

16出典:「未来の教室」の実現と新たな学びの創造ー実践とエビデンスー(平成25年2月東京都日野市立平山小学校)

通常の授業において一人一台タブレットを使用した協働学習を実施するだけでなく、個別学習においても、個別学習支援システムを活用し、授業内や家庭学習等でICTを活用。授業内において、教員の説明後に演習として活用するだけでなく、家庭に持ち帰って自宅での復習にも活用している。(平山小学校は、平成22年度総務省「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」の採択校。平成27年より「産学官共同プロジェクト次世代型学びプロジェクト『ひの@平山小』」に取り組む。)

◆タブレットを導入し、協働学習ツールや個別学習支援システム等の活用を充実。平成24年度4月と12月の標準学力検査(CRT)では、学力の伸びが確認された。第6学年算数【観点別】の得点

Page 17: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

ICTを活用した個に応じた学習支援②

70.0

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

時こくと時間

たし算とひき算の筆算

1けたをかけるかけ算の筆算

分数

九九の表とかけ算

わり算

円と球

計算のじゅんじょ

一億までの数

長さ調べ

三角形

全国平均を100

とした正答

3学年単元別正答率変化

1月

5月

学習記録の診断に基づく個別学習

アプリケーション実践単元学習記録の診断に基づく個別学習ア

プリケーション未実践単元

70.0

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

130.0

わり算の筆算

面積

一億をこえる数

角とその大きさ

垂直・平行と四角形

折れ線グラフ

そろばん

小数

全国平均を100

とした正答

4学年単元別正答率変化

1月

5月

学習記録の診断に基づく個別学習

アプリケーション実践単元

学習記録の診断に基づく個別学習

アプリケーション未実践単元

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

110.0

120.0

分数

単位量あたりの大き

整数と小数

面積

合同な図形

体積

小数×

小数

小数÷

小数

整数

平均とその利用

全国平均を100

とした正答

5学年単元別正答率変化

1月

5月

学習記録の診断に基づく個別学習

アプリケーション未実践単元

学習記録の診断に基づく個別学習

アプリケーション実践単元

平成26年1月と5月における標準学力検査(CRT)により、個別学習アプリケーション実践単元と未実践単元の単元別正答率を比較。(全国平均得点率を100としたときの得点率)個別学習アプリケーション実践単元は、正答率の伸びが大きい。

1.学力差に応じた教育について

タブレットがないため、既存コンピュータ教室のデスクトップパソコンに学習記録の診断に基づく個別学習支援システムを導入(平成25年)。通常の授業は普通教室で行い、コンピュータ教室が割り当てられている日には、設置しているパソコンで演習や補充学習を実施している。

17

○ 学校における個別学習支援システムの活用により、学力の向上も見られる(長野県坂城町立南条小学校の事例)

Page 18: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

ICTを活用した個に応じた学習支援③

○ 学校の授業での使用以外に、地域における学習の場においても、ICTを活用した個別学習ソフトの使用事例が出ている。

○ 益田市とNPO法人eboardが連携し、中山間地域の中学生を対象とした学習支援を実施(平成27年~)。

〇 仙台市とNPO法人アスイクが連携し低所得世帯の子供向けに学習指導センターで無料の学習支援を実施(平成25年~)。

〇 16箇所で約250名が支援を受けており、自治体とNPOが提供する学習支援としては日本最大級。

〇 株式会社すららネットのICT教材を学習教材として利用。

〇 大学生等の学習支援ボランティアも必要数配置。

①島根県益田市×eboard

③岩手県大槌町×リクルート

②仙台市×すららネット

○ 公民館や小中学校のパソコン教室を活用して、ドリルとアニメーション映像を組み合わせたインターネット教材を提供。

コラボ・スクールHPより

18

1.学力差に応じた教育について

指導者が不足する地域などでは、学校外における子供たちの学習を支援するため、 動画やドリル教材などICT教材を活用して、子供たち一人一人の学力や意欲に応じた学習支援を、ボランティア等を配置することにより効果的に実施している。

○ 認定NPO法人カタリバが運営する被災地放課後学校「コラボ・スクール大槌臨学舎」とリクルートの『勉強サプリ』がコラボレーションし、夏季講習講座を実施(平成27年)。

○ 利用者は夏期講習期間に、授業動画・オンラインドリルを用いた予復習を実施。

Page 19: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

ICTを活用した個に応じた学習支援④

○ 文部科学省でも、「官民連携学習支援プラットフォーム」を構築し、地域未来塾等の地域の学習の場でのICTを活用した取組を支援していく(平成27年度補正予算により措置)

地域未来塾に係る学習支援を促進するために必要なICT機器等の整備の補助(平成27年度補正)

全ての都道府県、政令市等において、ICTを積極的に活用した地域未来塾による学習支援を新たに展開

⇒ ICT機器等を中心とした開設備品等の整備 3.5億円 (全国約100箇所)【整備例】 タブレット、LAN設備、プロジェクター など

中学生等を対象に、大学生や教員OBなど地域住民の協力による学習支援を実施 経済的な理由や家庭の事情により、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身についていない中学生等への学習支援を実施

地域住民が参画する学校支援地域本部の活用により、原則無料(※)の学習支援(※参加者が一部実施経費等を負担する場合あり)

教員を志望する大学生などの地域住民、学習塾などの民間教育事業者、NPO等の協力により、多様な視点からの支援が可能

文部科学省

ICT活用を支援する「官民協働学習支援プラットフォーム」(イメージ) ICT関連企業と連携協力し、地域での子供の学習活動への

ICT活用を支援する「官民協働学習支援プラット

フォーム」を構築

連携

19

1.学力差に応じた教育について

Page 20: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(関連施策)土曜日の教育活動①

○ 家庭や学校によって土曜日の教育環境に格差がある現状を踏まえ、土曜日の教育活動の充実に取り組んでいく

<土曜日の教育活動について>

①「土曜授業」

②「土曜の課外授業」

「土曜学習」教育課程内の学校教育

教育課程外の学校教育

③教育委員会等の管理下 ④多様な主体による教育活動

連携・協力・地域の多様な団体・PTA、おやじの会・企業・NPO・民間教育事業者・大学等 等

学校が主体

教育委員会等の管理下 地域等における取組

20

企業や地域の協力を得て行う「土曜日の教育活動」を支援<文部科学省>

平成28年度 :12,000校多様な企業・団体からなる「土曜学習応援団」を組織し、

官民連携による取組を推進!

(補助対象校数)

⇒小学生の約20%は土曜日の午前中は、家でテレビを見たりして過ごしている

平成14年に学校週5日制を完全実施 H28年度予定額 12億円

家庭や学校によって、土曜日の教育環境に格差

(平成25年度全国学力・学習状況調査 児童生徒質問用紙より)

Page 21: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

○ 「土曜授業」は7,284校(22%)、「土曜の課外授業」は2,821校(8 %)「土曜学習」は9,465校(28%)で実施。補充的・発展的な学習の他、様々な活動が展開されている

①「土曜授業」 *全員参加

②「土曜の課外授業」

学 校 平成27年度 (実施割合)

小 学 校 4,771校 (23%)

中 学 校 2,250校 (23%)

高等学校 263校 (7%)

計 7,284校 (22%)

③「土曜学習」 *希望者が参加学 校 平成27年度 (実施割合)

小 学 校 6,932校 (34%)

中 学 校 1,692校 (17%)

高等学校 841校 (23%)

計 9,465校 (28%)

学 校 平成27年度 (実施割合)

小 学 校 941校 (5%)

中 学 校 556校 (6%)

高等学校 1,324校 (37%)

計 2,821校 (8%)

(関連施策)土曜日の教育活動②

活動の内容土曜日の教育活動の実施状況(平成27年度) ※平成24年度実績

21

出典:公立小・中・高等学校における土曜授業等に関する調査(平成25年9月30日)(文部科学省調べ)

※学校内外で実施※学校内のみの数値

※数値は、実施頻度に関わらず、実施したことのある学校数の割合である。

(複数回答)(%)

外部人材等を活用した教科の授業

外部人材等を活用した道徳,総合的な学習の時間,特別活動※高等学校は道徳を除く

保護者や地域住民等への公開授業

通常の教科等の授業(他の項目のものを除く)

運動会・体育祭等の学校行事

その他

Page 22: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(関連施策)地域未来塾

○ 学習が遅れがちな中学生等を対象とした学習支援を、地域住民、民間教育事業者、NPO等の協力により実施

(28年度予定額:269百万円(前年度予算額207百万円 ※学校・家庭・地域の連携協力推進事業の内数 )

22

(平成27年度から開始)

Page 23: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(関連事例)放課後や土曜日などにおける発展・補充学習①

○ 中学生を対象とした放課後等の支援の充実として、無料の夜間補充教室を実施(東京都葛飾区)

23

Page 24: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

*約9割の子供が参加

①いきいき土曜日事業【寺子屋講座】第1・3・5土曜日に、幼・小・中の英会話・国語

・算数・数学・英語・そろばん・合唱等【パソコン講座】第1・3・5土曜日に、小学生対象の

パソコン実習講座【水曜日講座】毎週水曜日放課後に、全中学校1・2年生に

数学・英語【夏季・冬季特別講座】中学3年生に英語・数学・国語(7日間)【幼稚園文字・英会話教室】週2日、幼稚園への出前授業【寺子屋昭和館・プラチナ館】小学校4~6年生に放課後補充学習【テレビ寺子屋講座】ケーブルテレビを活用した小・中学生

対象番組の放映

③のびのび放課後活動事業【スポーツ少年団等の活動推進】各種大会・活動の支援や後援【文化活動団体等の活動推進】発表会・展示会等の支援や後援

②わくわく体験活動事業【週末子ども育成活動】第2・4土曜日に、日頃できないようなものづくりや体験活動【ステップアップスクール】3泊4日の集団生活・自主活動等の宿泊体験

確かな学力

豊かな心

健やかな体

県内学力テストワースト2位(2003年) ⇒ 8年連続1位野球やバレーボールの全国大会出場

○ 市民講師を中心にした講座等により、確かな学力の定着や体づくりの機会を提供し、地方の子供にも平等に学習を保障して、格差をなくす取組(大分県豊後高田市)

24

(関連事例)放課後や土曜日などにおける発展・補充学習②

Page 25: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

文部科学省「平成26年度全国学力・学習状況調査」

11.5 14.7 36.0 25.0 9.4 3.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

学校の授業時間以外に,普段(月~金曜日),1日あたりどれくらいの時間,勉強をしますか

3時間以上 2時間以上、3時間より少ない 1時間以上、2時間より少ない30分以上、1時間より少ない 30分より少ない 全くしない

6.7 5.2 12.6 31.7 33.1 10.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

土曜日や日曜日など学校が休みの日に,1日あたりどれくらいの時間,勉強をしますか

4時間以上 3時間以上、4時間より少ない 2時間以上、3時間より少ない1時間以上、2時間より少ない 1時間より少ない 全くしない

(参考)学習習慣(小学6年生)

○ 普段、学校外での学習時間が1時間未満の児童の割合は38%

25

Page 26: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(参考)学力差に応じた教育(諸外国の場合①)

○ 諸外国では子供一人一人の学力等を尊重した教育を実施

アメリカ イギリス フランス

飛び級・早期卒業制度

○小学校から高校まで制度上は可能。・州や学区の基準に基づき,校長が判断。・現状は不明。

○初等中等教育において制度上は可能。・進級・進学について特に法令上の年齢制限

なし。・学校が判断。・ただし、飛び級,早期の進学等は一般的で

はない。

○小学校から高校まで制度上は可能。・学校の判断による。・小学校では原則1回。

留年制度

○小学校から高校まで制度上は可能。・ 学業成績に基づき,校長(あるいは校長を含む判

定会議)が決定。・ 高校段階では,進級要件として各学年における取

得単位数が決められている場合が少なくなく,要件を満たさない場合は留年となる。

・近年は小学校第3学年の英語等の成績に基づいて進級を判定する制度を導入する州が増えていく。

(参考)

4年間で高校を卒業できない者はドロップアウト等を含めて約20%。

○初等中等教育において制度上は可能。

・学校が決定。・自動進級が一般的で,遅進児に対しては,原級留置よりも追加指導の措置がとられる。

○小学校から高校まで制度上は可能。・学校の判断による。・小学校では原則1回。・中学校及び高校においては毎年度進級・留年を決定。ただし学習期の途中の留年は保護者の同意による。

習熟度別授業の制度と仕組み

○小学校から高校まで多様な仕組みで実施。

(例)・取出授業(主に小学校において,上級学年

の普通授業に部分的に参加させたり,英語・数学など基礎基本ができない児童・生徒を個別・小グループで指導)

・APプログラム,オナーズ・プログラム (大学学部前半レベルの授業を高校で提供)

・二重在籍制度(高校生が大学やコミュニティ・カレッジで履修した科目を高校卒業単位に振り替える)

○ 初等学校では混合能力編成が,中等学校では教科による習熟度別指導が普及している。後者には,次の三つの形態がある。

①ストリーミング(streaming):全般的な習熟度(general ability)に従って学級を編制し,すべての教科の学習指導をその学級において行う。

②セッティング(setting):特定の教科について習熟度別にグループ又は学級(set)を編制する。この方式は,数学・理科・英語などの基礎的教科で多く採用されている。

③バンディング(banding):習熟度に従って学年の全生徒を2~4の集団(band)に分けた後,各バンド内で生徒を更にセッティングや混合能力の方式により学級編制する。

○小学校,中学校第1学年及び高校で個別指導の時間が設けられている。・小学校では主に学習に困難のある児童に対する補習が行われる(週2時間)。・中学校第1学年及び高校では全生徒を対象に週2時間の個別指導時間が設けられ,生徒の進度に応じ,補習やより進んだ内容の学習が行われる。

その他

・子供一人一人の学力や適性を尊重した教育は州及び学区が主体となって実施。2012年度,少なくとも32州では優れた学力を持つ児童・生徒の識別,プログラム提供等を学区に義務付けている。

・連邦は州や学区の取組に対する財政援助を行っているほか,コネチカット大学(州立)に調査研究拠点を設け,その活動を財政的に支援している。

26

Page 27: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

ドイツ 中国 韓国

飛び級・早期卒業制度

○初等教育段階から前期中等教育段階にかけて制度上可能。・州により,親又は学校が判断。・同制度の利用は少ない。

○初等中等教育段階で制度上可能・飛び級は総合的資質や成績が特段優れている児童・生徒に対して許可されているが,義務教育段階(小学校・初級中学)では一般的に1学年上の段階に飛び級を行う。飛び級を禁止している地域も存在する。

○5歳児早期就学制度

1,800名(2008年)

○小中高早期進級・卒業制度早期進級 12名(2008年)早期卒業1,322名(2008年)(そのうち,高校が1,288名)

留年制度

○州により,初等教育段階後から後期中等教育段階にかけて制度上可能。

・子供の成績や適性に配慮しながら,学校と親が相談して決定。最終決定権は,州により学校又は親にある。

・2013年は,初等中等教育段階の普通教育学校に就学する児童・生徒の

2.3%が留年(全学年の平均)。

○義務教育段階(小学校・初級中学)では原則禁止

・各地方政府が留年の実施の可否を規定。

・上海市の例:小学校第1,2学年の留年及び小学校,初級・高級中学の卒業学年に属する児童・生徒の留年は禁止。

○制度上は可能・教育課程の履修状況に基づき,校長が決定

○現状(2011年)・小学校:63名(0.0%)・中学校:109名(0.0%)・高 校:129名(0.0%)

習熟度別授業の制度と仕組み

○初等教育段階から前期中等教育段階にかけて実施。

・各学校の判断で導入・実施。・子供一人一人の学力や適性を尊重し例えば教科により水準別のグループや学級を編成して指導を行ったり,逆に,特に初等教育段階では,様々な水準の子供がいるグループを編成し,子供同士で教え合い,学び合わせることで認識を促進するなどの取組が行われている。

○初等中等教育段階で実施初等教育段階から後期中等教育段階までの上級学校への入学者選抜試験に合格する上で有利な学習内容を提供する「実験クラス」等,水準別に編成された学級を各学校の判断で設置可能。

○小学校から高校まで,水準別のカリキュラム編成・運営が可能。ただし,導入は各学校の判断。

その他

○全国学習到達度調査(中学3年,高校2年対象)の結果が悪い学校に対し,補助教員配置等。

○特定分野・水準に応じた教育機関の整備(特殊目的高校143校,英才学校6校など) 27

(参考)学力差に応じた教育(諸外国の場合②)

Page 28: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

2.特に優れた能力を持つ子供たちの力を更に伸ばす教育について

28

Page 29: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

【趣旨】

・ある分野で特に優れた資質を有し、大学入学によって才能の一層の開花が期待される者に対し、早期から大学教育を受けさせることによってその資質の伸長の途を開く。

【制度概要】○対象者に係る要件

・大学の定める分野における特に優れた資質を有すること

・高校に2年以上在学したこと等

○受け入れ大学に係る要件・大学院が置かれ、かつ、教育研究上の実績及び指導体制を有すること

・特に優れた資質の認定に当たって、高

校の校長の推薦を求める等、制度の適切な運用を工夫していること

・自己点検・評価の実施及びその結果の公表を行うこと

大学への飛び入学①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 我が国においては、平成9年度から飛び入学を制度化し、これまでに123名が大学へ入学。

制度の概要・これまでに、9大学が飛び入学の制度を導入し、123名が

飛び入学により大学へ入学。 ※ 平成27年12月現在

【実施大学】

実施状況

制度導入年度 大学名 実施学部

平成10年度~ 千葉大学 文学部・理学部・工学部

平成13年度~ 名城大学 理工学部

平成17年度~平成26年度

昭和女子大学人間文化学部・人間社会学部・生活科学部

平成17年度~ 成城大学 文芸学部

平成17年度~ エリザベト音楽大学 音楽学部

平成18年度~ 会津大学 コンピュータ理工学部

平成26年度~ 日本体育大学 体育学部

平成28年度入学者選抜から制度を導入

京都大学 医学部

東京芸術大学 音楽学部

・米国、英国、カナダ等の欧米諸国や、韓国、台湾、シンガポール等のアジア諸国においても、入学年齢要件等制度に違いはあるものの、大学への飛び入学制度を採用。

・特に米国では、飛び級(acceleration)制度として、幼稚園段階から大学段階までにおいて多様な早修制度が設けられている。

【事例】Early Entrance Program(EEP)・1982年にカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校で開始。11歳以上の優れた中高生を対象にフルタイムでの大学教育の機会を提供している。毎年約100人が応募し、25~40人が入学。

参考:諸外国の状況

29

Page 30: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

大学への飛び入学②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

国内の事例:千葉大学(先進科学プログラム)

・ 平成10年から受入れを開始。・ 高校2年次終了後、通常より1年早く入学。

・ 入学後は、所属する各学部・学科の授業科目と並行して、プログラム独自の先進科学セミナーや国内外の第一線の研究者によるオムニバスセミナー、海外研修などを含む専用カリキュラムに基づいた専門教育を受ける。

・ 大学・大学院の早期卒業・修了制度と合わせると、最短23歳で博士号を取得する ことも可能。

プログラムの概要

<これまでの入学者数(平成10年度~27年度)>

<これまでの進路実績(平成10年度~27年度)>

・ 卒業後は、約9割が大学院へ進学。・ 修士修了者の6割近くが博士課程へ進学。・ 博士号取得者12名のうち、3名が大学教員(助教(東大、京大、筑波大))、3名が国内外大学・研究機関で博士研究員。

これまでの実績

年度H10

H11

H12

H13

H14

H15

H16

H17

H18

H19

入学者数 3 3 3 3 2 3 8 7 9 6

年度H20

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27 合計

入学者数 7 5 6 2 1 4 4 6 82

※ 千葉大学HPを基に、文部科学省にて作成。

進路先 人数

大学院修士課程在学中 7

大学院博士課程在学中 9

民間会社 27

大学教員 3

大学等の博士研究員 3

研究機関研究員(公的・民間) 5

官公庁・その他 7

計 61

30

Page 31: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

特色ある大学入学者選抜①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 東京大学では、平成28年度より、学力だけではなく、グループディスカッションや面接の結果等を評価する「推薦入試」を導入。

31

[概要]・ 全10学部で募集。募集人員は各学部で設定するが、全体として100名程度・ 各学校からの推薦は男女各1名の合計2名まで(複数学部への推薦不可)・ 各学部が定める推薦要件に該当し、平成28年度大学入試センター試験のうち、大学が定める教科・科目の全てを受験した者・ 出願書類と面接等の審査結果及び大学入試センター試験の成績を総合的に評価して決定。・ 大学入試センター試験は、入学後の学修を円滑に行い得る基礎学力を有しているかどうかを判断する観点から、8割以上の得点であること

を目安とする。

[各学部の例1:法学部(募集人員:10名程度)]推薦要件:高校の学業成績(各校の上位概ね5%以内)や問題発見能力、課題設定能力を有すること、異なる文化的背景等を有する他者との

コミュニケーション能力に優れていることなどを要求出願書類:調査書のほか、推薦要件に合致することを証明する書類(例えば、在学中に執筆した論文で志願者の問題発見能力・課題設定能

力を証明するもの、表彰状や新聞記事等の社会に貢献する活動の内容を証明する資料、留学経験等の志願者が異なる文化的背景や価値観への理解を有することを示す資料、国際バカロレアやSATなど国際通用生のある入学資格試験における優秀な成績を証明する資料、TOEFLや英検、IELTSなどの外国語に関する語学力の証明書など)を要求

選抜方法:提出書類のほか、グループディスカッションや個別面接、大学入試センター試験の結果を総合的に評価

[各学部の例2:経済学部(募集人員:10名程度)]推薦要件:高等学校等でいずれかの分野における飛び抜けた才能を有すること、他者との対話性に優れ、経済分野に強い関心を有すること、

高等学校等において英語、数学、地理歴史・公民のいずれかの2教科において成績が優秀であること。(地理歴史・公民はいずれかの1科目のみを対象)

提出書類:調査書のほか、推薦要件に合致することを証明する書類(例えば、数学オリンピックなどの科学オリンピックで顕著な成績をあげたことを示すもの、TOEFLや英検、IELTSなどの英語その他の外国語に関する語学力の試験において高得点を取ったことを示すもの、全国レベルの大会・コンクールでの入賞記録、留学を含む様々な国際的活動で、その内容が第三者によって高く評価されたものについて、その詳細や評価内容を記した文書など)を要求

選抜方法:提出書類のほか、個別面接(面接時に課題遂行能力を試すための課題を課す場合あり)、大学入試センター試験の結果を総合的に評価

※平成28年度は173人の出願があり、現在、選考中。

Page 32: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

特色ある大学入学者選抜②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 京都大学では、平成28年度より、学力だけではなく、高校時代の活動実績や学ぶ意欲等を評価する「特色入試」を導入。

32

[概要]・ 全10学部で募集。募集人員は各学部で設定するが、全体として100名程度・ 高等学校における幅広い学習に裏付けられた総合力と学ぶ力及び高い志を評価し、個々の学部が定めたカリキュラムと教育コースを受け

るにふさわしい学力と意欲を備えた者を選抜・ 第一次選考で高大接続を重んじる観点から、志願者自らの学ぶ意欲や志について書類選考を通じて評価。・ 第二次選考では、各学部において、学部が必要とする基礎学力や教育コースへの適合力を測定する能力測定考査ならびに論文試験、面接

試験等を組み合わせて、望ましい人材の選抜を丁寧に実施。・ 大学入試センター試験は、多くの場合、基礎学力を把握するために利用。

[各学部の例1:教育学部(募集人員:6名)]<学力型AO>出願要件:評定平均値4.3以上で大学入試センター試験で指定した教科・科目を受験する者出願書類:調査書、学びの報告書、学びの設計書選抜方法:第一次選考は、調査書、学びの報告書、学びの設計書により選考

第二次選考は、第一次選考に合格した者に対して、課題と口頭試問を行い、その成績と提出書類と総合して選考課題では、読解力、論理的・批判的思考力、問題解決能力などについて評価口頭試問では、探究心と洞察力、コミュニケーション能力などについて評価第二次選考の配点は、課題50点、口頭試問50点の計100点

最終選考は、第二次選考合格者で、大学入試センターの得点の合計が900点満点中80%以上の者を合格者とする。

[各学部の例2:工学部電気電子工学科(募集人員:5名)]<推薦>推薦要件:人格・識見ともに特段に優れている者

特筆すべき能力、リーダーシップと高い基礎力を有する者授業科目の一環として実施した課題研究や科学に関する課外活動において顕著な実績をあげた者大学入試センター試験で指定した教科・科目を受験する者の全てをみたすこと

提出書類:調査書、推薦書、学びの設計書、顕著な活動実績の概要選抜方法:提出書類に重点を置き、A・B・C・Dの4段階で評価し、A評価の者のうち、大学入試センター試験の合計得点が900点満点中80%を越

えた者を合格者とする。

※平成28年度は、医学部医学科にて1名が最終合格(1月13日時点)。その他の学部については、選考中。

Page 33: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

特色ある大学入学者選抜③2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 筑波大学の「国際科学オリンピック特別入試」では、国際科学オリンピック日本代表として選抜された者等を対象とした入試を実施。

33

[概要]・ 国際科学オリンピックやその代表者選考等にかかる活動を支援し、専門領域に関する確かな学力、高い課題解決能力を身に付けた人材を

育成するため、国際科学オリンピック特別入試を実施。・ 国際科学オリンピック日本代表として選抜された者、又は日本国内で行われる代表者選考会等で、その専門分野において一定の成績を収め

た者を対象として、明確な目標をもって学ぶ意欲や計画的に学ぶ意欲を評価して選抜。・ 選考方法としては、エントリーシートの内容に基づいて、15分程度の個別面接により行う(ただし、生物学類のみ書類審査による第1次選考を

実施)。

学 類 出願要件 募集人員

生物学類国際生物学オリンピック日本代表として選抜された者、日本生物学オリンピック本戦出場者又は日本生物学オリンピック予選優秀賞

受賞者5名

地球学類国際地学オリンピック、国際地理オリンピック、アジア太平洋地理オリンピックのいずれかに日本代表として選抜された者又はいずれ

かの国内選考会で好成績を収めた者(日本地学オリンピック予選通過者又は科学地理オリンピック日本選手権の金メダルもしくは銀メダルの受賞者)

若干名

数学類 国際数学オリンピックに日本代表として選抜された者又は日本数学オリンピック本戦でAAランク(IMO日本代表選手候補)の者 若干名

物理学類国際物理オリンピックに日本代表として選抜された者又は物理チャレンジに参加し、第1チャレンジ選考を通過して、第2チャレンジ

に出場した者若干名

化学類 国際化学オリンピックに日本代表として選抜された者又は全国高校化学グランプリの1次選考通過者 若干名

情報科学類日本情報オリンピック本選でAランクとなった者又は情報処理推進機構が主催する未踏IT人材発掘・育成事業に採択されたテーマ

のチーフクリエータ若干名

情報メディア創成学類

日本情報オリンピック本選でAランクとなった者又は情報処理推進機構が主催する未踏IT人材発掘・育成事業に採択されたテーマのチーフクリエータ

若干名

<これまでの入学者数(平成21年度~27年度)>

年度 平成21 平成22 平成23 平成24 平成25 平成26 平成27 合計

入学者数 5 6 9 6 7 5 4 42

Page 34: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

<これまでの入学者数(平成13年度~27年度)> <これまでの進路実績(第1~11期生)261人>

特色ある大学入学者選抜④2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 広範な教養を身につけた専門性の高いゼネラリストの養成を目的として、学部横断的な教育プログラムを提供する九州大学「21世紀プログラム」では、論文や面接等による入学者選抜を実施。

34

[概要]・ 21世紀プログラム(アドミッション・オフィス入試)は、平成13年度から導入した新しい教育プログラムで、広範な教養を身につけた専門性の高い

ゼネラリストの養成を目的とし、定員26名(1学年)で実施。・ 本プログラムは、チュートリアルによる個別指導のもとに、基幹教育科目、課題提示科目、プログラム・ゼミ、21世紀プログラム英語、学部横断的

な広範な専攻教育科目の履修など、全学の教育資源を使う。

・ 第1次選抜では、提出された調査書又は調査書に代わる書類、志望理由書及び活動歴報告書の総合評価により選抜(募集人員の3倍程度の人数を合格)

・ 第2次選抜では、第1次選抜の合格者に対し、講義に関するレポート、討論(150分)、小論文(約270分)及び面接(1人約15分~20分)を課し、その上で、提出書類の内容と合わせて総合評価により選抜

年度H13

H14

H15

H16

H17

H18

H19

H20

入学者数 20 22 19 25 30 26 26 27

年度H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27 計

入学者数 27 27 25 28 25 25 24 376

Page 35: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

○ 小学校の専科指導(教科専門指導)により、理解の進んでいる児童へは、より発展的な学習を実施することにより能力を更に伸ばし、学力低位層へは、教科の本質をわかりやすく児童に伝えることでつまずきをなくすよう、教科ごとの専門性の高い指導を充実する。

⇒小中一貫教育における小学校高学年での教科担任制の実施・【英語】中学校英語科教員による中学英語への接続を意識した専門的な指導 等

⇒【理科】科学的思考力を伸ばす実験・観察・専門性や十分な教材準備の時間を生かした、充実した実験・観察を通じ、仮説を立て、学び合う中で結果を予想し、

結果を吟味し合う授業を実施。・実験用機器やICT機器を創意工夫を持って活用し、「なぜ?何?」に応える発展的な学習を実施。 等

※教員採用試験において、小学校英語の特別選考を実施している団体あり(奈良県・佐賀県)

体育専科教員の効果事例(大分県)

50.0%

91.7%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

○体育専科教員を配置した学校では、児童の体力・運動能力が高い傾向。

+41.7P・体育専科教員を配置した学校では、体力・運動能力調査(平成25年

度)において、9割以上の区分※で県平均の測定数値が全国平均を上回っている。(県全体では5割に止まっている。)

県平均 体育専科教員配置校

体力・運動能力調査で全国平均を上回った区分の割合(25年度・小学校)

※区分・・・握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、20mシャトルラン、50m走、立ち幅とび、ボール投げの8項目×年齢別(6段階)×男女別(2)の全体で96区分

専科指導の評価(富山県) ○専科指導は教員・児童から高い評価

①, 78.8

%

②, 19.7

%

③, 1.5%

④, 0.0%

①, 77.3

%

②, 21.2

%

③, 1.5%

④, 0.0%

①, 60.6%

②, 27.3%

③, 12.1%

④, 0.0%

授業が

よくわ

かる, 93.9%

授業

が楽し

い, 95.1%

《教員の評価》 ①大変効果がある、②少し効果がある、③あまり効果がない、④全く効果がない

関心・意欲の向上 技能が身についた 他の教師への波及効果(教材研究)

《児童の評価》楽しいと感じて授業に臨み、授業内容がよくわかること、やる気を持って授業に取り組むことで、基礎学力の定着・向上につながる

※理科・音楽・体育・図工で専科教員を配置し専科指導を実施(66校・H23調査時)

小学校段階からの専科指導(教科専門指導)2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 教員加配等による専科指導の実施により、小学校における専門的指導を充実

国語 社会 算数 理科 生活 音楽図画工作

家庭 体育外国語活動

0.5% 0.6% 0.5% 9.2% 3.5% 3.4%

1.3% 1.0% 0.9% 15.9% 7.1% 4.4%

2.5% 3.6% 2.2% 15.9% 34.9% 13.9% 5.0%

2.9% 5.0% 2.5% 24.3% 43.0% 17.3% 5.8%

3.7% 11.4% 4.2% 37.3% 49.2% 18.6% 27.8% 8.1% 5.8%

3.8% 12.4% 4.1% 40.2% 51.1% 19.1% 29.6% 8.6% 6.2%

は,15%以上

第6学年

     教科  学年

第5学年

第3学年

第1学年

第2学年

第4学年

教科担任制の実施状況(25年度)

35

Page 36: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

スーパーサイエンスハイスクール2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 先進的な科学技術、理科・数学教育を通して、生徒の科学的能力や科学的思考力等を培い、将来の国際的な科学技術関係人材を育成するために、先進的な理数系教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」として指定し支援。(平成14年度から開始)

(※指定期間:5年、支援額:年間 9~16百万円、指定校数:203校(H27現在))

○学習指導要領の枠を超え、理数を重視した教育課程を編成

○主体的・協働的な学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)を重視

○研究者の講義、フィールドワーク等による興味関心の喚起

○国際的な活動(海外生徒との交流、国際学会での発表等)

○上記取組を高大連携や企業連携により高度に実施

<重点枠の設定>

(※最長3年、支援額:年間 7~13百万円、重点枠数:19校(H27現在))

科学技術人材育成の中核拠点として、更なる取組を行う学校を

重点枠に指定

・ 理数系カリキュラムや指導法、ネットワーク等を他の学校へ普及し、

地域全体の理数系教育の向上を目指す。

・ 海外の先進的な理数系教育を行う学校等との定常的な連携関係

を構築し、国際性の育成を図る。

主体的に課題を発見解決に結び付けることができる、将来の国際的な科学技術関係人材を育成

SSH校は、全国における科学技術人材育成の拠点、理科・数学への関心を喚起する拠点としての役割

「第2期教育振興基本計画」(抄)(平成25年6月14日閣議決定)・ スーパーサイエンスハイスクールの取組を充実させる・・・理数系人材の養成に向けた取組を総合的に推進することにより、理数好きの生徒等を拡大するととも

に、優れた素質を持つ生徒等を発掘し、その才能を伸ばし,科学技術人材を戦略的・体系的に育成・確保する。

「教育再生実行会議(第七次提言)」(抄)(平成27年5月14日)・ 特に優れた才能を有する人材の発掘・育成」の取組として、「スーパーサイエンスハイスクール・・・の取組について、学校現場で成果を最大限発揮できるように

するための運用の弾力化を含め、引き続き充実強化する。」

(平成27年度生徒研究発表大会表彰テーマ)

○凸レンズにおける「“副実像”の出現位置の数式化」(熊本県立宇土中学校・高等学校)

○関東平野の竜巻発生メカニズムに関する研究 -竜巻再現実験装置の開発を通して-

(沖縄県立球陽高等学校)

⇒ 「課題研究」(科学に関する課題を設定し、観察・実験等を通した研究)において、大学・企業等の支援を受けながら、主体的・協働的に学習・研究を実施

SSH校の主な特徴

○海外連携の組織的推進○アジアサイエンスワーク

ショップ in シンガポール/京都

○「サイエンス英語」における共同実験

○県内の小中高大が連携○全県規模の「千葉サイエンス

スクールフェスティバル」開催○高大連携セミナーの開催

⇒ 国際的に活躍する意欲能力の育成 ⇒ 児童生徒の理数への関心の喚起

(京都府立嵯峨野高校) (千葉県立船橋高校)

36

Page 37: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

茨城県立水戸第二高等学校数理科学同好会

※1 研究概要:閉じられた容器の中で、溶液の色が赤い状態(還元状態)と青い状態(酸化

状態)の間を行き来するBelousov-Zhabotinsky(ベロウソフ・ジャボチンスキー)反応を放置すると、数時間後に行き来が止まる。水戸第二高等学校の数理科学同好会のメンバーは、この振動反応が止まったかのように見えた反応が5-20時間後に復活し、再び振動を始めることを発見した。さらに、この研究は、同校の後輩に引き継がれ、その現象が起こる化学物質の濃度領域を突き止めた。

※2 「ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞-特別賞」: 日本ロレアル株式会社が日本ユネスコ国内委員会と共同で、2010年創設。理系女性のロールモデルとして科学の発展に貢献した個人または団体を表彰。

BZ反応についての従来の定説

数十秒ごとに赤と青の間を行き来 数時間後に反応が終了

水戸二高数理科学同好会の発見

数十秒ごとに赤と青の間を行き来 数時間後に反応が終了 5-20時間後に反応が復活

• 酸化・還元に関するベロウソフ・ジャボチンスキー反応(BZ反応)の新しい現象を発見。• 2011年、米国化学会発行の学術雑誌”The Journal of Physical Chemistry A”に研究成果を

掲載。• 平成24(2012)年、「ロレアルーユネスコ女性科学者日本奨励賞-特別賞」を受賞。

茨城県立日立第一高等学校 秋山大樹さん• 平成23年、茨城県立日立第一高等学校2年次在籍中に、平面画像が立体的

に浮かび上がって見える「立体視」を、特別なコツなしに体験できる新しい技術で特許申請・受理。

※2 研究概要:プリズムを使った従来の立体視法は、訓練せずとも容易に立体視ができる反面、見る距離や角

度を調整できない課題があった。秋山さんは、2枚の透明板とその間を満たす透明流体による頂角可変プリズムを開発し、この課題を解決した。

※1 日立一高の特別科目「科学研究」: 日立一高では、SSH活動の一つとして、特別科目「科学研究」を設定。各生徒がそれぞれのテーマを決め、研究に取り組む。先行研究の有無の調査も実施し、独創的なアイディアをもとに仮説を立て、実験・考察を行う。

(出典)JST news2012年3月号

(出典)文部科学省作成

37

スーパーサイエンスハイスクール指定校の生徒の活躍①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

Page 38: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

埼玉県立浦和第一女子高等学校出身 下山せいらさん

※2 日本学生科学賞:1957年創設の日本で最も伝統のある中高生のための科学自由研究コンテスト(読売新聞社主催)。優秀作品には内閣総理大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞などが贈られ、受賞者の中からIntel ISEFに派遣。

※3 Intel ISEF(インテル国際学生科学技術フェア):1950年に創設された高校生対象の世界最大の科学コンテスト。毎年50以上の国・地域から1,500名を超える高校生が集まり、研究成果を披露。

(出典) ともにJST news 2014年2月号

※1 高校当時の研究概要:プラナリアは、餌を見つけると咽頭と呼ばれる細い管を出して食べることが知られているが、摂食行動を誘発する原因については解明されていなかった。研究においては、アミノ酸や単糖類などの様々な物質を与えて摂食行動を観察し、グリコーゲンがプラナリアの摂食行動を促すことを突き止めた。

• 埼玉県立浦和第一女子高等学校で、「プラナリアの摂食行動」について研究。

• 平成17年の日本学生科学賞(※2)で文部科学大臣賞を、平成18(2006)年のIntel ISEF (※3)で動物部門1位を受賞。

• 現在、京都大学大学院にて、プラナリアの脳のどの神経細胞がグリコーゲンに反応し、どう処理されて咽頭を出すのかなど、神経回路網の解明に取り組む。

福井県立藤島高等学校出身 清水俊樹さん

藤島高等学校では、なかなか実験結果の出ない生物相手の研究を通じて、こつこつと努力を重ねることで何らかの結果は出ることを学ぶ。

「第4回サイエンス・インカレ」では、2年かけてこつこつと研究してきた成果である「消しゴムを科学する~文字を消す際の最適条件を求めて~」で、最も優れたポスター発表に与えられる「独立行政法人科学技術振興機構理事長賞」を受賞。

※1 サイエンス・インカレで発表した研究の概要:消しゴムで線を消す際の効率が様々な条件下で変化することを調べるため、1年間かけて右図の実験装置を自作。その後実験デー

タを蓄積し、消すときの荷重や芯の濃さ等の条件について数値化した。

※2 サイエンス・インカレ: 全国の大学学部生・高専4~5年生等が、書類審査を経て、口頭又はポスターにより、自然科学系の自主研究をプレゼンテーションする場。文部科学大臣表彰等の他、企業賞も多数授与される。

• 福井県立藤島高等学校でSSH生物部に所属し、淡水のエビに寄生する寄生虫であるエビノコバンについて研究し、平成21年に「第53回日本学生科学賞福井県審査最優秀賞」を受賞。

• 東京農工大学3年在籍時に、平成27年3月の「第4回サイエンス・インカレ」(※2)にて、最も優秀なポスター発表に与えられる「独立行政法人科学技術振興機構理事長賞」を受賞。

(上)ポスター発表をする清水さん(下)表彰を受ける清水さん

38

スーパーサイエンスハイスクール指定校の生徒の活躍②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

Page 39: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

スーパーグローバルハイスクール2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ、社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する。(平成26年度から開始)

・国際化を進める国内の大学のほか、企業、国際機関等と連携して、グローバルな社会課題を発見・解決し、様々な国際舞台で活躍できる人材の育成に取り組む高等学校等を「スーパーグローバルハイスクール」に指定し、質の高いカリキュラムを開発・実践する。

・平成28年度予算額(案)11億円(平成27年度予算額11億円)

・グローバル・リーダー育成に資する課題研究を中心とした教育課程の研究開発・実践・英語等によるグループワーク、ディスカッション、論文作成、プレゼンテーション、探究型学習等の実施・企業や海外の高校・大学(ESDを通じたユネスコスクールを含む。)等と連携した課題研究に関する意見交換

及び国内外フィールドワーク・課題研究の英語等による成果発表会等の開催・大学との連携による課題研究に関する英語等で指導を行う帰国・外国人教員等の派遣や、外国人留学生に

よる英語等によるサポート・単位認定を含む高大連携プログラムの提供

「ハーバード大学学生との意見交換」京都市立堀川高校(H26 指定校)

主な取組

・対象学校:国公私立高等学校及び中高一貫教育校(中等教育学校、併設型及び連携型中学校・高等学校)・指定期間:5年間・指定校数:112校(平成26年度56校、平成27年度56校)

概要

★第9回全日本高校模擬国連大会優秀賞を受賞し、高校模擬国連国際大会に日本代表団として出場予定優秀賞

・渋谷教育学園渋谷中学高等学校(H26指定校)

・関西創価高等学校(H27指定校)ベストポジションペーパー賞

・愛知県立旭丘高等学校(H26指定校)

★第3回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」最終審査進出(日本政策金融公庫主催)

・大阪府立三国ヶ丘高校(H26指定校)

成果

◎卒業時における生徒の4技能の総合的な英語力(CEFRB1~B2)レベルの生徒の割合の増加22%(H25)⇢90%(H26) ・立命館宇治中学校・高等学校(H26指定校)

◎将来留学したり、仕事で国際的に活躍したいと考える生徒の割合の上昇13%(H25)→95%(H26) ・大阪府立三国ヶ丘高校(H26指定校)

◎公的機関から表彰された生徒数、又はグローバルな社会又はビジネス課題に関する公益性の高い国内外の大会における入賞者数増加12人(H25)→30人(H26) ・渋谷教育学園渋谷中学高等学校(H26指定校)

39

「第9回全日本高校模擬国連」

Page 40: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

■目的:グローバル人材育成教育を高度化し、日本の中等・高等教育の質的転換に貢献する。■グローバル・リーダー像:社会貢献とイノベーションの志を抱き、世界の人々と共同し、問題解決に挑戦する人材。■達成目標:2割が海外大学へ進学する、4割が英語で授業を受ける、8割がCEFR B1以上の英語力、10割が社会

貢献活動に参加する。(平成30年度卒業時の学年生徒比)

研究課題「宇治・京都・世界をつなぐグローバル・アントレプレナーシップ」を英語で追求。

■2年次に全員が1年間の留学(アメリカ、カナダ等)。☛SGH研究課題:IM(英語イマージョン)コースを対象。

■アントレプレナー教育(起業家教育)を導入。

☛マサチューセッツ工科大学で実践。

■ ①②③「課題研究」の展開はすべて英語。☛研究を通じて、アカデミックスキル(分析力・調査力・

論述力・発表力・討論力)を総合的にトレーニング。☛国際高校生フォーラムを開催。海外高校生と研究発表、

リサーチ、討議、まとめ。

☛研究論文を仕上げ、SGH研究協議会でその成果を内外に発表。

①【政治・経済】世界の環境・社会問題を解決するソーシャル・ ビジネス

の研究

②【経営】グローバル企業におけるCSR戦略の研究

③【文化】宇治・京都の文化を世界に発信するビジネスの研究

目的・目標

課題研究の内容

特徴

SGH対象生徒:182人(3学年:1022名)◎将来留学したり、仕事で国際的に活躍したいと考

える生徒の割合:46%(H25)⇢94%(H26)*H30年度目標100%

◎卒業時における生徒の4技能の総合的な英語力(CEFRB1~B2): 22%(H25)⇢90%(H26)*H30年度100%

◎自主的に留学又は海外研修に行く生徒数:55人(H26 )* H30 目標150人

H26実績(アウトカム)

H26海外フィールドワーク実績

海外研修(香港)

・アントレプレナーシップを体験。・多文化共生における利点や問題点を探り、グローバルリーダーにとって必要不可欠となる資質を養う。

・イノベーションの志を抱き、自ら考え創り上げていく力を身につける。

スーパーグローバルハイスクールの特色ある取組例①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

立命館宇治中学校・高等学校の取組 課題研究展開はすべて英語

40

Page 41: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

■目的:中山間地域から,顕在化しているグローバルな社会課題に関心を持ち,深い教養やコミュニケーション能力、問題解決力等を身につけ,地方から国際社会で活躍できる「野性味あふれるグローバル・リーダー」を育成する。

研究課題「中山間地域からグローバル・リーダーを育成する課題研究及び発展的実践」

■中山間地域からグローバルな社会課題の設定・研究のため、ローカルからグローバルにつながる課題研究を行う。

《テーマ例》「環境」:五ヶ瀬町とインドネシアの林業・バングラデシュの砒素公害の比較研究を通

して,他のアジア諸国への環境対策普及方法についての研究「高齢化」:五ヶ瀬町とスウェーデンの高齢化対策の比較研究を通して,日本独自の高齢化対策開発実践とアジア諸国への普及方法に関する研究「経済格差」:バングラデシュのマイクロファイナンスの活用状況をもとに,地元(五ヶ瀬町)にその取組を取り入れ,農業のIT化を図る方法についての研究「エネルギー」:インドネシアと五ヶ瀬町の小水力発電開発の比較研究をもとに,日本の地方,及びアジア諸国へのエネルギー対策の普及方法についての研究

目的

課題研究の内容 H26海外フォールドワーク実績

バングラディシュ研修○九州大学ソーシャルビジネス研究センター、

アジアヒ素ネットワーク、クラミン銀行、ダッカ大学などとの連携

○シャムタ村(ヒ素汚染地域)視察○ヒ素中毒者へのインタビュー⇢英語での聞き取りや報告書とりまとめなど

SGH対象生徒:110人(3学年)◎課題研究に関して企業又は国際機関等の外部人材が参画した延べ

人数: 10人(H25)⇢31(H26) ※H30目標値50人◎課題研究に関する国外の研修参加者数: 0人(H25)→12人(H26)

※H30目標値20人◎平成26年度帰国・外国人留学生受入れ数: 0人(H25)→12人(H26)

※H30 目標値3人◎卒業時における生徒の4技能の総合的な英語力としてCEFRのB1~

B2レベルの生徒の割合:19.4%(H25)⇢25%(H26)※H30目標値50%

H26実績

★アイデアを出すだけではなく、行動を通して問題解決力を育み、生徒主体の自主的活動団体(学びの森カンパニー)の設立を目指す。

★グローバル×ローカルの社会課題を学習テーマとし、生徒の視野・関心を広げる。⇢地域の特性を見据え、世界との課題との関連づけを行う。

★海外フィールドワーク(バングラディシュやインドネシア)を通じて、多様性を肌で感じ、語学力だけではなく、コミュニケーション能力を育む。

特徴

スーパーグローバルハイスクールの特色ある取組例②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校の取組※中山間地域に位置する各学年1クラスの小規模中等教育学校

ローカルからグローバルへつながる課題研究

41

Page 42: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

○ 社会の変化や産業の動向等に対応した、高度な知識・技能を身に付け、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するため、先進的な卓越した取組を行う専門高校(専攻科を含む)を指定し、実践研究を行う。(平成26年度から開始)

指導・助言等

我が国の産業の発展のため、社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成

連携・協力

・特色あるカリキュラム(実験・実習、課題研究、起業家教育 等)

・技術開発研究の推進

・高度な技術・技能の習得

・高度資格への挑戦

・他学科との連携 など

専 門 高 校

大学・高専・研究機関等

・生徒を対象とした講座の実施

・最先端の研究指導 など

文部科学省管理機関(教育委員会、学校法人、国立大学法人)

専 門 高 校(専攻科)

5年一貫の教育

・特色あるカリキュラム(実験・実習、課題研究、起業家教育等)

・高度な技術・技能の習得

・高度資格への挑戦 など

専 門 高 校(本科)

スーパー・プロフェッショナル・ ハイスクール(SPH)

学校の指定、指導・助言・評価

成果の普及連携・協力

5年一貫 3年

先進的な卓越した取組を行う専門高校(農業・工業・商業・水産・家庭・看護・情報・福祉の8学科)を指定。指定期間は3年(最大5年)。指定校数H27:16校→H28:24校へ。

企業等

•熟練技能者による実践的な技術指導

・長期の就業実習

・共同商品開発

・外部人材の積極的な活用

など

連携・協力

地域の他の専門高校 指定校を中心に専門高校全体の底上げ・地域活性化

スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

H26年度開始

42

Page 43: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

都市園芸を担うスペシャリストの育成

福岡県立福岡農業高等学校

研究内容

データ 【本科】・全生徒数:4学科448名(都市園芸科、環境活用科、食品科学科、生活デザイン科)

・都市園芸科(1学年1学級40名)における平成26年3月卒業者39名の進路…就職:20名(うち農業関連:8名)、進学:16名(うち農業関連の進学:1名)

【専攻科】・全生徒数:2学科54名 (生物生産科、食品工学科)

・生物生産科(1学年1学級20名)における平成26年3月卒業者17名の進路…17名全員が就職(うち専業農家:1名、農業法人:3名、他農業関連:8名)

<フロンティア学習>LEDミニプラントを活用した植物栽培や水耕

栽培など先進的な実習を行い、高度な知識・技術を修得。

<マネジメント学習>産業現場等での実習(2年生希望者16名、8

日間)、農業参入した企業への視察等を通じて6次産業化、農

業生産工程管理(GAP)など先進的内容について学ぶ。

<スキルアップ学習>先進農家等外部講師による特別講義により地

域農業の課題や先進農家の経営実践等について学ぶ。

<実用的な資格取得>GAPを学習するための独自教材作成。食の6

次産業化プロデューサーレベル1(エントリーレベル)取得(18名)。

地域企業と連携した特色ある教育課程の構築

愛知県立豊田工業高等学校

研究内容

データ ・全生徒数:4学科716名(機械科、自動車科、電子機械科、電子工学科)

・平成27年3月卒業者242名の進路…就職:226名、進学:16名

・弁理士会からの講師派遣による知的財産権教育の実施や、工

業科目における安全教育の教材開発、科目「工業技術基礎」

の4学科連携した検討等を実施。

・空き缶サイズの模擬人工衛星の製作等を競い合う「缶サット甲

子園」全国大会への出場(特別賞を受賞)、企業での長期の就

業体験実習(10日間)等を通じ、実践的な技術力を育成。

・工業分野で用いられる表現を多く取り入れた英語の授業開発

や、課題研究発表会における英語での発表等を通じ、グローバル

な視点を身に付けさせる。 実車を使用した実習

水産業の高度化・グローバル化に対応した取組

静岡県立焼津水産高等学校

研究内容

データ 【本科】・全生徒数:4学科518名(海洋科学科、食品科学科、栽培漁業科、流通情報科)・平成26年3月卒業者147名の進路…就職:98名(うち水産関連:82名)、進学:49名

【専攻科】・全生徒数:1学科25名(航海工学科)・平成26年3月卒業者9名の進路…9名全員が水産関連に就職

<生徒の海外研修>日系水産企業の現地法人(タイ、中国)を訪問し、日本向けの食品製造を行う生産現場の視察等を行う(5日間、6名)。

<漁場予測と漁船漁業経営>カツオの回遊行動や漁場形成海洋ナビゲーターの活用方法等について漁業情報センター職員の指導を受けながら、漁場予測と安定的で持続可能な漁船漁業経営について学ぶ。

<冷凍装置の実証的研究>鮮度を保つ上での保冷温度管理と冷凍能力に優れた空気冷媒を活用した冷凍装置(陸上用としては実績がある)の船舶への流用に関する実証的研究を企業と連携して実施。

実習(かつお一本釣り)

地域と協同する株式会社の運営を通した起業家教育

岐阜県立岐阜商業高等学校

研究内容

データ・全生徒数:4学科1191名(流通ビジネス科、情報処理科、会計システム科、国際コミュニケーション科)

・平成27年3月卒業者392名の進路…就職:103名、進学:287名、その他:2名

・生徒・教員・PTAが運営する株式会社の設立・運営を通じてビ

ジネスリーダーを育成。

・生徒は同社の設立登記を行うとともに、広告の製作やスマート

フォンアプリケーションの開発、オンラインショップでの商品販売

などを通じて、受注、仕入れ、広告・販売促進、デザイン、発送、

代金回収、財務分析など、一連のビジネスの流れを実践するこ

とで、経営者としての素養を身に付ける。

・韓国のビジネス先進校との協同により商品開発のアイデアを提

案。

iPhoneアプリ開発

植物工場での栽培実験

スーパー・プロフェッショナル・ハイスクールの取組・成果の例2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

43

Page 44: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

教育課程特例校2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 学校や地域の特色を生かした特別の教育課程の編成

文部科学大臣が,学校教育法施行規則第55条の2等に基づき,学校を指定し,学校や地域の特色を生かした特別の教育課程を編成することが可能となる。※予算措置なし平成15年より「構造改革特別区域研究開発学校」制度として始まり、平成20年より全国化。

教育課程特例校とは

取組事例

独自教科等の設置

指導言語を英語で行う取組

富山県高岡市立の小学校・中学校・特別支援学校では,高岡市の伝統工芸や地域の産業について,見たり触れたり体験したりし、優れた技術をもつ地域の人々と交流を行ったりする独自教科「ものづくり・デザイン科」を設置。

国語を除く各教科等において、英語を指導言語とする授業を実施。※「国際バカロレア・ディプロマ・プログラム認定校における教育課程の基準の特例(平成27年文部科学省告示第127号)」が公布・施行されたことにより,国際バカロレア認定校においては,教育課程特例校制度を活用しなくても実施可能となった。

学校法人シュタイナー学園では,独自科目「オイリュトミー」,「コーラス」,「手の仕事」等を設置し,独自の人間の発達観を根幹としたシュタイナー教育を実施。

(参考)教育課程特例校指定の要件○学習指導要領等において全ての児童又は生徒に履修させる内容として定められている内容事項が,特別の教育課程において適切に取り扱われていること。

○総授業時数が確保されていること。 など

教育課程特例校制度は,学校や地域の特色を生かした特別の教育課程を編成するものであり,個のニーズに応じた教育課程の編成を可能にするものではない。学校や地域の特色を生かした特別の教育課程の編成の例としては,以下のようなものが実施されている。

44

大阪府池田市立の小学校では,教科の枠を超えた学習を通して、日常生活や理科学習から得た知識の範囲を超えた科学的な興味・関心を引き出すとともに,探究的活動に主体的,創造的に取り組む態度を育てることを目指す独自教科「科学・情報の時間」を設置。

独自教科等の設置

独自教科等の設置

Page 45: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

グローバルサイエンスキャンパス2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 将来グローバルに活躍しうる次世代の傑出した科学技術人材を育成するために、大学の場を活用して意欲と能力のある高校生を育成。(平成26年度から開始)

○ グローバル化の進む現在、国際的に活躍できる人材の輩出は急務○ 面としての教育では対応しきれない、個に応じた学習による才能の伸長も重要

現状認識

将来グローバルに活躍しうる次世代の傑出した科学技術人材を育成するために、大学の場を活用して意欲と能力のある高校生を育成。具体的には、地域で卓越した意欲・能力を有する高校生等の幅広い発掘、及び、選抜者の年間を通じた高度で実践的講義や研究を実施する大学を支援。併せて、国際性・専門性の観点から幅広い視野を付与。

概要

「第2期教育振興基本計画」(抄)(平成25年6月14日閣議決定)理数系人材の養成に向けた取組を総合的に推進することにより,理数好きの生徒等を拡大するとともに,優れた素質を持つ生徒等を発掘し,その才能を伸ばし,科学技術人材を戦略的・体系的に育成・確保する。「第4期科学技術基本計画」(抄)(平成23年8月19日閣議決定)国は…高等学校在籍中における大学の自然科学系科目や専門科目の履修など、円滑な高大連携に向けた取組を促進する。国は、科学技術に関する才能を伸ばす観点から、高等学校の生徒がより発展的な内容を学べるようにするための方策…等について検討を行う。

採択先:大学採択期間:4年間

実施規模(各年度における支援金額の上限と受講高校生数)・大規模型:60~70百万円、130名程度/年・標準型:30~36万円、60名程度/年継続校数:13校・大規模型:3校(H26 :2校、H27:1校)・標準型:10件(H26 :6件、H27:4件)

H28 新規課題数(標準型):2件程度

事例:京都大学(平成26年度採択)~科学体系と創造性がクロスする知的卓越人材育成プログラム(略称 ELCAS(エルキャス)~

【目的】京都大学の教育理念「対話を根幹とした自学自習」に基づき、優れた教育研究資源を積極的に活用した研鑽を通じ、グローバル社会で活躍し、主体的に科学を究める高校生を育成。

【内容】京都大学と府県教育委員会等からなるコンソーシアムが一丸となって、京都大学の理系専任教員らが織り成す最先端の環境下で高校生の才能を伸ばす。

◆基盤コース:平成26年10月以降、月2~3回程度実施。面接・試験等の選考を通過した高校1、2年生(平成26年度生・平成27年度生ともに各150名程度)が受講。「数学・物理」「生物・生命」「化学・物質」「情報」「環境」から選択するコースワークを経て、18分野に分かれた少人数制グループ実習に配属。

◆専修コース:平成27年5月以降、月2~3回程度実施。基盤コース受講者のうち、2年次に更なる選抜を経た高校生(平成26年度生は30名程度)が受講。1対1の対話型教育や、最大3名程度までのグループで研究室に入り、専門的な研究を進め、国際学会発表や英文ジャーナル執筆等の指導を受ける。

※ 留学生の活用、フィールドワーク・現地教員らとのディスカッションをメニューとした海外研修などを通じ、グローバル社会でのリーダーシップを育成。

グローバルサイエンスキャンパスによる国際的科学技術育成

(イメージ図)各主体が連携して、国際的科学技術人材の育成を促進

主機関:大学連携機関:教育委員会等

海外の理数先進

大学・高校等

研鑽・交流

更なる能力の伸長

他大学、民間企業等

「国際的科学技術人材」を育成する教育プログラムの実施

意欲能力のある

高校生

参加

大学

教育委員会

将来グローバルに活躍する国際性・専門性を備えた科学人材の育成

45●主な成果● Intel ISEF2015 4名出場、国際地理オリンピック(2015)銀メダル 1名 など

Page 46: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

2014年度新規採択東北大学飛翔型「科学者の卵養成講座」H27年度対象人数:130人

京都大学科学体系と創造性がクロスする知的卓越人材育成プログラム「略称ELCAS(エルキャス)」H27年度対象人数:150人

北海道大学地球と生命を理解する開拓力の開発H27年度対象人数:60~90人

筑波大学未来を創る科学技術人材育成プログラム(筑波大学GFEST)H27年度対象人数:60人

東京理科大学分野融合・対話型学習体験を通じた国際レベルの理数力養成H27年度対象人数:60人

慶應義塾大学世界の医療を切り拓く君・自我作古H27年度対象人数:60人

岡山大学科学先取りグローバルキャンパス岡山H27年度対象人数:60人

九州大学世界に羽ばたく未来創成科学者育成プロジェクトH27年度対象人数:60人

2015年度新規採択大阪大学世界適塾の教育研究力を活かしたSEEDSプログラム~傑出した科学技術人材発見と早期育成~H27年度対象人数:130人

宇都宮大学君が未来を切り拓く!~宇大の科学人材育成プログラム~H27年度対象人数:60人

埼玉大学ハイグレード理数高校生育成プログラムHiGEPS:(High-grade Global Education Program for Sciences)H27年度対象人数:75人

福井大学生命医科学フューチャーグローバルサイエンティスト育成プログラム-"Fukui Medical High School"としてのRole Model創成-H27年度対象人数:60人

広島大学アジア拠点広島コンソーシアムによるGSC構想H27年度対象人数:60人

46全国で約1000人の受講高校生を育成

グローバルサイエンスキャンパス採択大学一覧2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

Page 47: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

科学技術コンテストの推進①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 世界で活躍する卓越した科学技術人材の輩出と科学を志す生徒の増加を目的とし、主に理数系の意欲・能力が高い中高生が科学技術に係る能力を競い、相互に研鑽する場を構築。

日本国内で開催予定の国際科学オリンピックは下記のとおり⇒地学(2016(H28)年)、情報(2018(H30)年)、生物学(2020(H32)年)、化学(2021(H33)年)

世界で活躍する卓越した科学技術人材の輩出と科学を志す生徒の増加を目的とし、主に理数系の意欲・能力が高い中高生が科学技術に係る能力を競い、相互に研鑽する場を構築。

●世界で活躍できる卓越した人材の輩出●学校における理数・科学技術のイメージ・地位の

向上を通じ、科学を志す生徒の増加に貢献

「第2期教育振興基本計画」(抄)(平成25年6月14日閣議決定)・スーパーサイエンスハイスクールの取組を充実させるとともに,科学の甲子園,国際科学技術コンテスト,サイエンス・インカレ等の参加者数を増加させる。

「第4期科学技術基本計画」(抄)(平成23年8月19日閣議決定)・国は、国際科学技術コンテストに参加する児童生徒を増やす取組や、このような児童生徒の才能を伸ばす取組を進めるとともに、「科学の甲子園」や「サイエンス・インカレ」の実施など、科学技術に対する関心を高める取組を強化する。

1.トップ高校生の研鑽の場の支援

⇒教科系(数学、化学、生物学、物理、情報、地学、地理) ・ 課題研究系(ISEF等)コンテスト支援

- 国際大会への日本代表選手派遣(派遣・代表選手の訓練等)- 国内大会の開催支援(開催・周知活動・参加気運の醸成等)

- 国際大会の日本開催に対する支援(経費の一部負担)国際地学オリンピックの日本開催(H28) ※三重県津市にて開催

・内容:筆記試験、実技試験(固体地球科学分野・海洋科学分野、天文学分野等)、国際混合チームによる野外共同調査等

・期待される効果:高校生段階の理数才能育成に係り日本の存在感・イニシアティブを高めるとともに、情報の集積等による才能教育へのフィードバックに期待

2.チーム型活動を行う学校・団体の活躍の場の創出

- 科学の甲子園(対象:高校生)、科学の甲子園ジュニア(対象:中学生)

の全国大会を開催(大会運営・作問)- 都道府県予選大会に対する支援(経費の一部負担)

H23 H24 H25 H26

科学の甲子園 5,684 6,308 6,704 7,650

科学の甲子園ジュニア - - 16,369 21,958

【参考3:全国大会結果】●科学の甲子園(第4回)

・各都道府県から選出された代表高校(47チーム・370名)の高校生が出場

・渋谷教育学園幕張高等学校が総合優勝

●科学の甲子園ジュニア(第3回)・各都道府県の代表チーム(47チーム・282名)の中学生出場

・富山県代表チームが優勝

金 銀 銅

数学 0 3 3

化学 2 2 0

生物学 1 2 1

物理 1 2 2

情報 3 0 1

地学 1 1 2

地理 0 3 1

合計 8 13 10

【科学の甲子園・科学の甲子園ジュニア予選参加者数】(単位:人)

【H27国際科学オリンピック成績】

⇒科学の甲子園・科学の甲子園ジュニア開催

※ これまで科学の甲子園は過去4回(H23~)、科学の甲子園ジュニアは過去3回(H25~)開催

【次回開催予定】●科学の甲子園 (第5回)

日時:平成28年3月18日(金)~21日(月)場所:つくば国際会議場、つくばカビオ

●科学の甲子園ジュニア (第4回)日時:平成28年12月上旬

【参考1:国際科学オリンピックについて】

【参考2:科学の甲子園及び科学の甲子園ジュニアについて】

H16 … H22 H23 H24 H25 H26

3257 … 10845 12855 14764 16388 17960

【国際科学オリンピック国内大会への参加者数(※)の推移】(単位:人)

※参加者数:次年度の国際大会に向けた主に高校生を対象とした国内

大会の受験者数。

47

Page 48: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

国際科学オリンピック国内大会への参加者数の推移※参加者数は次年度の国際大会に向けた、主に高校生を対象とした国内大会の受験者数。

注:「数学」は、JMO(高校生以下対象)とJJMO(中学生以下対象)の二つの国内大会の合計値

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

1,732 1,855 2,148 2,335 2,672 2,880 3,452 4,279 4,882 5,063 5,528

1,201 1,193 1,318

2,009 2,105

3,078 2,879

3,049 3,202

3,481 3,416

324 443 851

1,322

2,069

2,395 2,181

2,453

3,113 3,149

3,265

187

198

312

653

809 842

983

1,116 1,222

1,425

59

150

334

415

531 714

729

857 998

1,121

319

587

551 777

791

812

1,462

1,868

111

192

260 448

571

782

1,013

1,337

地理

地学

情報

物理

生物

学化学

数学

17,960

16,388

14,764

12,855

10,845

10,504

8,501

6,742

4,6653,737

3,257

(人)

48

科学技術コンテストの推進②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

Page 49: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(参考)スーパーグローバル大学創成支援事業2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 徹底した「大学改革」と「国際化」を断行し、我が国の高等教育の国際通用性、ひいては国際競争力強化の実現を図り、優れた能力を持つ人材を育成する環境基盤を整備する。(平成26年度から開始)

【事業概要】

世界トップレベルの大学との交流・連携を実現、加速するための新たな取組や、人事・教務システムの改革、学生のグローバル対応力育成のための体制強化など、国際化を徹底して進める大学を重点支援。

○トップ型 (13件)世界ランキングトップ100を目指す力のある大学を支援(取組例)海外大学のユニット誘致による領域横断型共同カリキュラムの構築、優秀な教員や学生 が集う環境整備、海外展開 等

○グローバル化牽引型(24件)これまでの実績を基に更に先導的試行に挑戦し、我が国社会のグローバル化を牽引する大学を支援(取組例)海外大学との先駆的教育連携、大学教育のグローバル化モデルの構築、世界基準の教育展開 等

【具体的な取組事例①】東北大学の取組概要【トップ型】“世界から尊敬される「世界三十傑大学」へ”スピントロニクスなど、今後重点的に伸ばしたい強みがある分野について、海外トップ大学との密接な連携のもと先端的な国際共同大学院プログラム群を創設。卓越した教育・研究を行う大学へと飛躍することで、世界から尊敬される「世界三十傑大学」の一員となることを目指す。 世界トップクラスの教員参画による教育指導

【具体的な取組事例②】立教大学の取組概要【グローバル牽引型】“グローバル教養副専攻による領域横断的な知識の修得”全学部生が、特定の学問領域におさまらない多様なテーマによるグローバル教養副専攻を履修し、専門性に加え、領域横断的な知識を修得するカリキュラム改革やグローバル意識指数導入による学生の意識改革など先進的な取組を実施。10年後までに、全学生が一度は海外を経験するとともに、2,000人以上の留学生在籍を目指す。

1.国際化関連

①外国人及び外国の大学で学位を取得した専任教員等の割合、②全学生に占める外国人留学生の割合、③日本人学生に占める単位取得を伴う留学経験者の割合、④大学間協定に基づく派遣日本人学生数の割合⑤外国語による授業科目割合、⑥外国語のみで卒業できるコースの在籍者割合、⑦外国語力基準を満たす学生数の割合、⑧シラバスの英語化割合⑨混住型学生宿舎に入居する日本人学生の割合、⑩柔軟な学事暦の設定(全学でのクォーター制導入等)

2.ガバナンス関連

①年俸制の導入割合②テニュアトラックの導入割合③事務職員の高度化(外国語力基準を満たす職員割合)

3.教育改革関連

①ナンバリング実施割合②TOEFL等外部試験の学部入試への活用割合

(対象入学定員)③学生による授業評価実施授業科目割合

【採択大学が設定している主な成果指標】

49

Page 50: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(参考)博士課程教育リーディングプログラム①2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 全国33大学62プログラムにおいて、専門分野の枠を超えた博士課程前期・後期一貫したプログラムを形成し、俯瞰力と独創力を備え、広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成。(平成23年度から開始)

3

国内外の多様なセクターから第一級の教員を結集

産・学・官の参画による国際的・実践的な研究訓練

専門の枠を超えた体系的教育と

包括的な能力評価

優秀な学生が切磋琢磨しながら、主体的・独創的に研究

リーディング大学院

入試

博士論文

研究計画書審査

大学国際機関

行政機関

企業研究機関

コースワーク

研究指導

分野を超えた研究室ローテーション等

コースワーク

基礎的能力の包括的審査

専門基礎教育

入試

研究指導修士論文

博士論文

研究指導

講座・研究室

入試

従来の博士課程教育

専攻分野の選択

〇平成28年度予算案額:170億円〇支援期間:原則7年間〇在籍学生数:約3,300人

(平成27年6月時点)

50

Page 51: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(参考)博士課程教育リーディングプログラム②2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

具体的取組例

■特色ある取組

異分野協創、産官学協創、国際連携協創の三つの協創を軸に、効率的かつ機動的な修士・博士の一貫教育を実施

■養成したい人材像環境とエネルギーの両分野において

・高度な専門性を有し、

・時空間的にその形態を変えていく問題を複

眼的視点から判断できる俯瞰力

・的確かつ迅速な自立的課題抽出・解決力

・国際的リーダーシップ力

を兼ね備え、イノベーションを牽引できる人材

EDGE INNOVATION CHALLENGECOMPETITION 2015(エッジコンペ)にて総合優勝

アイデアの内容だけでなく、アイデアの出し方や実現に向けた計画も評価の対象とするアイデアコンペ「エッジコンペ」にて、「働く母親と子どものより良いコミュニケーションに向けて」というテーマの下、応募者252名より選抜された13チーム61名がアイデアを競わせた。その結果、東京大学、東

京工業大学、早稲田大学のプログラム学生の混成チームが、社会人等を押さえて総合優勝。

プログラム学生の成果

研究成果がNatureに掲載

実験のイメージ図

東京大学フォトンサイエンス・リーディング大学院のコース生による、世界で初めて完全な光量子ビットの量子テレポーテーションの実証に成功したという研究成果が、英国科学雑誌「Nature」に掲載 (Nature 500, 315–318, August 2013)。

光量子ビットの量子テレポーテーションは、量子力学の原理を応用した新しいタイプの情報処理(量子情報処理)実現に向けた最重要課題の一つ。

従来の技術では、転送が成功したか判定するために量子ビットを測定する必要があり、かつ転送効率が低かったが、今回の研究成果により、転送後の成功判定測定が不要で、これまでの100倍以上の高効率で転送することが可能となった。これは、1997年に世界で初めて光量子ビットの光量子テレポーション装置

が実現されて以来の、究極的な大容量通信や超高速コンピューターの実用化へ突破口を開く画期的成果である。

授賞式の様子

東京工業大学「環境エネルギー協創教育院」(平成23年度採択課題)

51

Page 52: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

新進芸術家海外研修制度2.特に優れた能力を持つ子供たちの

力を更に伸ばす教育について

○ 世界に羽ばたく次世代を担う芸術家の養成のため、海外で実践的な研修に従事する機会を提供。(昭和42年度から開始)

平成26年度までに3,255名が制度を活用(平成13年度までは、芸術家在外研修事業 により実施)【派遣実績】

平成20年度154名、平成21年度109名、平成22年度 96名平成23年度 64名、平成24年度 88名、平成25年度 79名平成26年度 81名、平成27年度 88名(予定)

※うち高校生研修(15歳以上~18歳未満 音楽、舞踊分野のみ)平成20年度 5名、平成21年度 5名、平成22年度 1名、平成23年度 0名、平成24年度 2名、平成25年度 2名、平成26年度 1名、平成27年度 5名(予定)

我が国の将来の文化芸術の振興を担う人材を育成するため、美術、音楽、舞踊、演劇、映画、舞台美術等、メディア芸術の各分野の若手芸術家等に、海外で実践的な研修に従事する機会を提供する。

【研修期間】 1 年(350 日~200 日、高校生研修含む)2 年(700 日)、3 年(1050 日)特別(80 日)短期(20~40日)の5 種類

【支給対象】 往復航空運賃・支度料・滞在費(日当・宿泊料)

<これまでの主な派遣者>奥谷 博 (美術:洋画 昭和42年度)森下洋子 (舞踊:バレエ 昭和50年度)絹谷幸二 (美術:洋画 昭和52年度)佐藤しのぶ(音楽:声楽 昭和59年度)野田秀樹 (演劇:演出 平成4年度)諏訪内晶子(音楽:器楽 平成6年度)野村萬斎 (演劇:狂言師 平成6年度)崔 洋一 (映画:監督 平成8年度)鴻上尚史 (演劇:演出 平成9年度)平山素子 (舞踊:モダンダンス 平成13年度)酒井健治 (音楽:作曲 平成16年度)長塚圭史 (演劇:演出 平成20年度)萩原麻未 (音楽:ピアノ 平成21年度)

52

Page 53: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

書類選考と面接で選出されたスカラーが東京大学先端科学技術研究センター内に開設された教室に月に数回のペースで集まり、・科学技術や芸術、スポーツ界など様々な分野で活躍するトップラン

ナーによる講義やディスカッション・プロジェクトベースドラーニングと呼ばれる料理や工作など身近な

ものを題材にした実践型の教育プログラム・一人一人の興味に応じたインターネットを利用した個別指導等を実施。

異才発掘プロジェクトROCKET(Room of Children with Kokorozashi and Extraordinary Talents)

2.特に優れた能力を持つ子供たちの力を更に伸ばす教育について

「1年間で何か変化がありましたかとよく問われます。我々は1年間で変化を求めていません。1年終えて15 名全員がROCKETへの残留を希望しました。この場が子ども達にとって意味のある場所になっていることが大きな成果であると考えています。」

1年間を終えての評価(ROCKET資料より)

対象人数

第1期(平成26年12月から1年間):全国601名の応募者の中から、15名を選出。第2期(平成27年12月から) :全国536名の応募者の中から、13名を選出。

○ 「突出した能力はあるが、現状の教育環境に馴染めず不登校傾向にある小・中学生を選抜し、継続的な学習保障及び生活のサポートを提供する」ことによって、「将来の日本をリードしイノベーションをもたらす人材を養成する」ことを目指し、東京大学先端科学技術研究センターと日本財団が平成26年から開始。

実施内容

53(ウェブサイト等を基に、内閣官房教育再生実行会議担当室にて作成。)

Page 54: 学力差に応じた教育について 特に優れた能力を持つ子供たちの 力を更に伸ばす教育 … · ICTを活用した個に応じた学習支援・・・・・・・

(参考)次世代の各界のリーダーとなる人材を育てるための自治体や民間の取組の例

民間の取組

自治体の取組

次世代リーダー育成道場(東京都)

ふくおか高校生知の創造塾(福岡県)

ネクストリーダー養成塾(宮城県)

日本の次世代リーダー養成塾 未来人財育成塾

○ 世界で活躍できる次世代リーダーを育てるため、高校生を対象として、夏休みに2週間程度の合宿を実施。

○ 各会を代表する講師陣による講義、アジアから招聘した高校生とのディスカッション、フィールドワーク等を行う。

○ 自治体(8県2市)とも連携。連携自治体の高校生は交通費等の助成が受けられる。

○ 12年目を迎え、卒塾生は1,862名。

■主催者:日本の次世代リーダー養成塾(知事、学界、経済界等の有識者で組織)

■実施時期:平成16年度~

塾での経験は進学や就職にどう役に立っていますか?(1~9期の卒塾生アンケート結果)

■主催者:新生日本・再生故郷実行委員会(会津若松市とプラチナ構想ネットワークが協力して主催)

■実施時期:平成25年度~

○ 新たな時代を切り拓く未来のリーダーを排出するため、中学生を対象として、夏休みに4泊5日の合宿を会津若松市で実施。

○ 世界で活躍する講師陣と直に接することで、自らが未来について考え、夢を描き、目標を持って取り組んでいく「あすなろの心」を育む機会を提供。

○ 3年目を迎え、卒塾生は252名。

(カリキュラムの概要)

■実施時期:平成24年度~

○ 世界を舞台に活躍する国際感覚豊かなタフな若者を東京から輩出するため、平成24年度に東京都教育委員会が開設。

○ 国内事前研修で様々なことを学び、その成果をもって留学にチャレンジする都立高校生を支援するプログラム。留学後には国内事後研修も課される。

○ 留学期間は一年間で、冬出発・夏出発の二つのコースが用意されている。

■実施時期:平成27年度~

○ 東日本大震災後の宮城を支える次代のリーダーを養成するため、各界で活躍されている方の講話聴講や、同世代の仲間とのグループワーク等を通じて、将来の夢や目標について考えを深めるための機会を中学生に提供。

○ 知事部局、県教委や県商工会議所連合会等が連携して実施。

○ 夏休みに2泊3日の合宿を実施。

・募集人数:約40人・対象:県内の中学1~3年生

■実施時期:平成18年度~

○ 生徒の課題解決能力の育成のため、福岡県教育委員会と九州大学が連携して実施。

○ 2泊3日の合宿を中心とした取組であり、合宿前に、生徒には事前研修を実施。さらにウェブシステムを活用した事前・事後学習を課している。合宿では、サブテーマを複数設けて、それぞれでグループワークを行う。

・募集人数:約200人・対象:県内の高校生

・募集人数:約200人・対象:都内の高校生等

(各事業のウェブサイト等を基に、内閣官房教育再生実行会議担当室にて作成。)54