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九州地域の大豆をめぐる事情 平成27年10月 九州農政局生産部

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  • 九州地域の大豆をめぐる事情

    平成27年10月

    九州農政局生産部

  • 152146

    141

    110

    87

    6169

    82 83

    109108

    123

    144150152

    137134142138

    147145138137

    131129132

    25 24 2216 13 7 9 13 13

    18 19 2125 26 26 24 23 23 22 23 23 21 22 21 20 22

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    90

    100

    110

    120

    130

    140

    150

    160

    元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

    全国 九州(数値は全国の内数)

    1 作付面積

    1

    ○ 作付面積は全国・九州とも「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策」(平成11年10月策定)の推進等に伴い作付面積が増加。その後、平成15年をピークに横ばいで推移し、ここ数年は減少傾向であったが、平成26年度はわずかながら増加。

    ○ 全国の26年産大豆作付面積13万1,600haのうち、九州地域2万1,500haが占める割合は約16%。

    ○ 県別では佐賀県が8,670haで最も多く、次いで福岡県が8,100ha。この両県で九州地域の作付面積の78%を占め、全国では北海道、宮城県に次ぐ面積。

    大豆作付面積の推移

    資料:いずれも作物統計

    (単位:ha)

    平成22年産 平成23年産 平成24年産 平成25年産 平成26年産

    全国 137,700 136,700 131,100 128,800 131,600

    九州 21,100 22,000 20,900 20,400 21,500

    (全国に占める割合) (15) (16) (16) (16) (16)

    福岡 7,900 8,140 7,830 7,810 8,100

    佐賀 7,620 8,390 8,210 7,940 8,670

    長崎 509 506 472 458 464

    熊本 2,550 2,470 2,150 2,030 2,050

    大分 1,900 1,830 1,670 1,570 1,630

    宮崎 301 316 293 290 266

    鹿児島 308 312 287 274 276

    ○ 大豆作付面積の推移

    年産

    面積(千ha)

  • 272

    220

    197188

    10199

    119

    148145158

    187

    235

    271270

    232

    163

    225229227

    262

    230223219

    236

    200

    232

    4838

    24 31 12 12 20 28 2233 28

    4553

    65

    3918

    3826

    4250 45 44 44 40 35 36

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    180

    200

    220

    240

    260

    280

    300

    元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

    全国 九州(数値は全国の内数)

    2 生産量

    ○ 大豆の生産量(収穫量)は全国・九州とも平成20年以降、減少傾向となっている。平成26年産は、天候不順で全国的に不作となった平成25年産を踏まえ、産地交付金等の充実等による大豆作付の推進、を実施したことから、作付面積の増加に伴い、23万1,800トンと前年に比べ3万1,900トン(16%)増加。九州地域も3万6,100トンと前年に比べ900トン (3%)増加。

    ○ 管内を県別に見ると、佐賀県が1万5,300トンと最も多く、次いで福岡県の1万4,300トンで、この両県で九州地区の生産量の82%を占める。

    大豆生産量の推移

    資料:いずれも作物統計

    平成22年産 平成23年産 平成24年産 平成25年産 平成26年産

    全国 222,500 218,800 235,900 199,900 231,800

    九州 43,800 43,700 40,100 35,200 36,100

    (全国に占める割合) (20) (20) (17) (18) (16)

    福岡 16,700 16,600 15,800 13,000 14,300

    佐賀 18,100 19,200 17,200 15,900 15,300

    長崎 911 572 618 573 496

    熊本 4,590 4,420 3,810 3,370 3,710

    大分 2,430 2,210 1,950 1,550 1,690

    宮崎 512 269 337 484 317

    鹿児島 551 465 364 348 301

    (単位:トン)

    2年産

    ○ 大豆生産量の推移

  • 119

    168

    161 164

    178

    158 162 160

    180

    155

    176

    75

    167

    111

    189

    214

    196

    208 199

    192

    173

    168

    50

    100

    150

    200

    250

    16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

    全国(10a当たり平均単収169kg)

    九州(10a当たり平均単収194kg)

    3 単収○ 全国の大豆の平均単収(過去7ヵ年の単収のうち、最高及び最低を除いた5ヵ年の平均値)は169g/10aであり、台風等の気象災害を大きく受けた平成16年産を除き150~200kg/10aで推移。

    ○ 九州地域の大豆の平均単収(同上)は194kgであり、全国平均を上回っている。県別でも福岡県、佐賀県、熊本県は全国平均を上回っているが、平成26年産の単収は8年ぶりに全国を下回っている。

    ○ 九州地域も含め大豆単収は平成元年以降は伸び悩んでおり、ここ数年は減少傾向にある。その要因解析と対策が必要。

    資料:作物統計

    年産

    単収(kg/10a)

    ○ 大豆の10a当たり収穫量の推移

    全国平均単収:169kg/10a

    都府県平均単収:152kg/10a

    3※平均単収:過去7カ年の単収のうち、最高及び最低を除いた5カ年の平均値

    ○ 都道府県別平均単収単収(kg/10a)

    資料:大豆をめぐる事情(農林水産省生産局穀物課)

  • 4 品種

    ○ 大豆の品種別検査数量は、26年産で「フクユタカ」が2万9,335トン(九州の84.5%)で最も多く、次いで、「むらゆたか」の1,971トン(同5.7%)となっており、この2品種で九州地域の9割近くを占める。

    ○ 現在、フクユタカに栽培が集中しており、台風等気象災害が発生した際、大きな被害を受けることが懸念されるためフクユタカに続く豆腐加工適性に優れた早生品種の開発が課題となっており、農研機構九沖農研センターでも品種開発が進んでいる。

    ○ また、フクユタカ等の主要品種に難裂莢性を付与した「フクユタカA1号」などのいわゆるピンポイント改良品種の開発も進んでいるが、それらも含めた新品種の円滑な普及及び流通については、実需者も含めた十分な理解が必要。

    大豆品種別検査数量(平成26年産)

    九州沖縄農業研究センターが育成した新品種《すずかれん》 (種皮が黄色、納豆用)葉焼病とハスモンヨトウに抵抗性、すずおとめの

    後継品種

    《フクハヤテ》 (黄色、豆腐用)中間型(サチユタカ熟期)、豆腐食味が非常に良好、納豆、味噌、煮豆にも適

    《くろさやか》 (黒色、菓子用)クロダマルより早熟で多収、青臭みがないので大豆粉加工食品等に好適

    《はつながは》 (黄色、豆腐用)中間型、短茎で密植適応性高

    《フクミノリ》 (黄色、豆腐用)フクユタカに近い特性、ハスモンヨトウ抵抗性向上

    品種名 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 九州計

    フクユタカ 12,129 11,443 352 2,859 1,091 201 169 29,335

    むらゆたか 22 1,914 35 1,971

    すずおとめ 113 71 51 2 237

    トヨシロメ 161 161

    その他(種子用等) 1,804 1,679 75 328 100 55 61 3,011

    合計 14,068 15,036 427 3,293 1,403 256 232 34,715

    ピンポイント改良品種の普及・流通と課題【ピンポイント改良品種】既存品種の品質や形質を変えずDNAマーカーを活用して難裂莢性等の特性を付与。

    【普及・流通】

    既存品種とほとんど品質や形質が変わらないため、産地品種銘柄における品種群設定等により既存品種と同じ扱いで流通が可能。

    【課題】・同一銘柄で流通させた場合、既存銘柄の評価を下げる可能性。・既存品種の種子供給への不安。 等

    資料:農産物検査成績(生産年翌年3月末日現在の検査成績)

  • 43.9%

    38.0%

    50.0%

    54.9% 55.1%57.6%

    63.7%

    47.5%

    60.7%

    48.3%

    50.4%

    58.6%

    65.4%

    61.1%

    77.1%

    53.3%

    80.4%83.9%

    86.0%

    83.9%

    79.0% 87.2%80.8%

    82.3%

    30.0%

    40.0%

    50.0%

    60.0%

    70.0%

    80.0%

    90.0%

    15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26

    全国

    九州

    5 検査等級

    ○ 農産物検査の等級割合を見ると、九州産大豆の上位等級(1等及び2等)比率は、ほぼ毎年全国平均値を上回り、実需者から高い評価を得ている。

    ○ 検査における格下げの要因は、粒の充実不足による形質不良、しわ粒、汚損粒、カメムシによる吸害となっている。

    5資料:農産物検査成績(生産年翌年3月末日現在の検査成績)

    吸害粒

    未熟粒(扁平粒)

    整粒(健全粒)

    しわ粒

    ○ 大豆の農産物検査における上位等級の割合

    年産

  • 3.0

    5.0

    5.2

    2.2

    8.2

    9.1

    11.8

    2.3

    1.6

    3.2

    1.3

    9.4

    6.8

    9.0

    種苗費

    肥料費

    農業薬剤費

    光熱動力費

    賃借料・料金

    農機具費

    労働費

    全国

    九州

    6.76.5 6.5

    6.0 6.1

    6.5 6.4 6.3 6.26.4 6.3

    6.1

    5.65.9

    5.25.0

    5.2 5.1 5.0 4.95.2

    4.7

    4.0

    5.0

    6.0

    7.0

    15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

    全国九州

    6 生産費と労働時間

    ○ 大豆の10a当たりの生産費(25年産)は、全国では6.3万円/10a、九州地域では4.7万円/10aと低い。経年でも全国を下回っており、九州地域はコスト削減が進んでいる。

    ○ 九州地域の主要項目の費用は、全国と比べ、賃借料・料金が高く、それ以外の項目は低い。これは、大型機械の共同利用、共同乾燥施設への委託等により、労働力の省力化、農機具費の削減が行われているためである。

    ○ 労働時間についても、全国と比べて九州地域は少なくなっており、省力化が図られている。

    年産

    万円

    資料:いずれも生産費統計(25年産)注:平成19年産の調査結果より、小規模農家の集落営農組織への参加等による生産構造の変化を反映したものであることから、利用に当たっては注意が必要。

    ○ 大豆の生産費の推移(10a当たり全算入生産費) ○ 大豆の生産費の内訳(単位:万円/10a)

    13.7 12.5

    11.6

    10.1 9.0 8.8 8.3 8.1 7.6

    8.2 7.9 11.2

    9.3 9.9

    9.1

    6.9 6.7 6.7 7.1 6.7 7.9

    6.0 5.0

    10.0

    15.0

    15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25

    全国

    九州

    年産

    時間/10a ○ 大豆の労働時間の推移

    (主要項目)

  • 42 59 85 68 65 82 66 56 70

    91 8946 4

    21 61 50

    95 93 94 64 46 25

    61 35

    38 34 59

    24 20 21 36 48

    41

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

    入札販売 相対販売 契約栽培

    6,000

    8,000

    10,000

    12,000

    14,000

    16,000

    18,000

    20,000

    11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月

    21年産(加重平均6,654円)22年産(加重平均6,829円)23年産(加重平均8,299円)24年産(加重平均8,145円)25年産(加重平均14,168円)26年産(加重平均13,380円)

    7 国産大豆の価格の動向○ 国産大豆の価格は、17年以降については、7,000円/60kg前後で安定していたが、輸入大豆の高騰を受け、23年産、24年産頃から8,000円/60kg前後の高値で推移。

    ○ この状況下で、平成25年産が天候不順等による不作となり、26年2月から徐々に高騰し、25年産の平均落札価格は前年の約1.7倍となる14,168円。 26年産についても、依然として高い水準で推移し、平均落札価格は13,380円。

    ○ 九州産大豆は全国と比較して引き続き高い水準にあり、引き合いが非常に強い状況。

    ○ 価格の安定は、国産大豆の継続的な使用のための重要な条件の一つであり、実需者から安定生産を求める声が強いところ。

    ○ 国産大豆の入札取引における落札価格の動向 ○ 主要銘柄大豆(普通大豆)の入札販売結果の推移(単位:円)

    ○ 取引形態別販売数量の推移

    資料:大豆をめぐる事情(農林水産省生産局穀物課)

    県 品種 22年産 23年産 24年産 25年産 26年産

    全国 普通大豆平均 6,888 8,347 8,338 14,633 13,463

    北海道 大粒 とよまさり 6,603 7,788 7,838 13,845 12,389

    青森 大粒 おおすず 6,853 7,388 8,573 8,888 12,128

    秋田 大粒 リュウホウ 6,636 7,177 8,585 16,093 12,443

    栃木 大粒 タチナガハ 6,830 6,713 7,108 13,332 12,718

    新潟 大粒 エンレイ 6,831 8,089 8,323 8,821 13,771

    愛知 大粒 フクユタカ 7,113 9,866 9,135 17,459 15,984

    滋賀 大粒 オオツル 7,312 9,310 8,458 16,073 14,119

    福岡 大粒 フクユタカ 7,226 9,212 9,379 17,205 18,044

    佐賀 大粒 フクユタカ 7,198 9,519 9,423 17,019 18,099

    長崎 大粒 フクユタカ 7,550 9,350 9,219 18,835 13,820

    熊本 大粒 フクユタカ 7,163 8,994 8,998 16,925 18,358

    大分 大粒 フクユタカ 7,084 8,224 8,597 14,621 17,323

    宮崎 大粒 フクユタカ - - 9,380 - -

    鹿児島 大粒 フクユタカ - - 8,720 - -

    H24年7月(23年産)10,035円/60kgH25年7月(24年産)9,165円/60kg

    H26年7月(25年産)16,863円/60kg

    H27年7月(26年産)12,267円/60kg

    資料:日本特産農産物協会入札結果注:価格(円)は60kg当たりの包装代を含み、消費税等は含まない。年産

    千トン

  • 県名

    水田フル活用ビジョン

    H25作付面積

    H28作付面積(目標)

    増加率(目標)

    取組方針

    福岡県 7,810 8,300 6%大豆については、主食用米の需要減に対応する中心作物として、需要に応じて作付面積の拡大を図るとともに、適期作業の徹底、団地化で排水対策の徹底による湿害回避、土壌改良剤の投入による地力の向上等の取組により、収量の向上を目指す。

    佐賀県 7,940 8,660 9%

    実需者からの評価が高く生産拡大を求められており、また、主食用米と同等以上の所得が期待できることから、本県の転作の基幹作物として、共同乾燥調製施設等の処理能力や、連作障害に留意しながら、引き続き推進する。栽培面では、より効率的な生産体制を構築するためのブロックローテーションの広域化や地域の担い手への農地の面的集積、高性能機械の導入・共同利用に加え、適期播種が可能となる大豆不耕起栽培技術の積極的な導入を推進する。また、販売面においては、実需者ニーズに対応した販売対策を進めながら、契約栽培を主とした需要の安定確保の取組を強化する。

    長崎県 397 441 11%

    近年、経営所得安定対策の支援単価が高い新規需要米への転換や、播種時期の降雨量による単収がここ数年(H20~23)で、113Kg~180Kgと不安定であることなどにより、本県の水田における大豆作付面積(H24)は397haと微減傾向となっている。そのため、集落営農組織の育成による規模拡大、団地化やブロックローテーションの取り組み、大豆300A技術の普及を図るとともに、麦と同様排水対策の強化や適切な肥培管理による生産の安定化への取組が必要である。

    熊本県 2,030 2,100 3%

    ①本年度実施した「大豆・麦等生産体制緊急整備事業」により、新品種への転換や、機械の購入、リース事業等に取組み、生産拡大に向けた体制が整備されている。②今後とも、食品産業等のニーズに対応した生産を確保するとともに、産地交付金を活用し、担い手による作付に加えて、団地化(大豆H25:826ha→H28:920ha)等による効率的な生産、排水対策の徹底等の基本的な栽培技術の徹底を推進し、品質向上及び収量性を高め、低コスト安定生産により儲かる産地づくりを進める。

    大分県 1,570 1,800 15%大豆は、栽培適地への作付推進と圃場の団地化や輪作体系の確立を図り、単収を向上させることによる生産性の改善と品質の高位安定化を目指す。さらに、実需者ニーズに対応した品種(豆腐用としてニーズが高いフクユタカ、菓子用として近年ニーズが伸びているクロダマル)を導入し、高品質大豆産地づくりを進めていく。

    宮崎県 232 264 14% 契約栽培等を中心とした安定生産を行うため、排水対策等の生産性向上の取組を推進する。

    鹿児島県 206 270 31%適地適作を基本に,産地交付金を活用しながら,ブロックローテーションなど団地化を図るとともに,排水対策など生産性の向上を図る取組を推進し,実需者ニーズに対応した生産を推進する。

    合計 20,185 21,835 8%

    各県で策定された水田フル活用ビジョンによると平成28年の作付目標面積は21,835haと、平成25年の20,185haから1,650ha(8%)の増加となっており、国産大豆に対するニーズが高まるなか、生産の拡大が期待されます。

    参考①九州各県の「水田フル活用ビジョン」(大豆部分 抜粋)

  • 参考②-1 九州地域の豆類経営優良事例

    株式会社 Plant Farm Japan 成富 正司 氏 (佐賀県佐賀市諸富町)

    ◇水稲・大豆にタマネギを組み合わせた土地利用型複合経営。◇平成25年4月、企業的な農業を目指し法人化。雇用労働力を中心に据えた経営を展開。社員2名、臨時雇用18名、収穫・乾燥等一部は集団的組織と相互補完。◇作付面積は大豆4.14ha、水稲4.16ha、タマネギ7.2ha (25年度)大豆単収 312kg/10a(品種:フクユタカ、全て種子用大豆、県平均200kgの1.6倍)◇上位等級比率(2等級以上)は90.1%と優秀な成績。

    経営の概要

    ◆排水対策として、ほ場全体に本暗渠を設置、さらに毎年1回弾丸暗渠を1m間隔の高密度で実施。◆前作のタマネギの残肥により大豆作における施肥が不要のため、輪作体系全体の生産コスト低減に寄与。◆スタブルカルチを使った荒起し作業でトラクタへの負担が小さくなり、耕耘作業の時間と燃料を節約。◆病害虫発生防止としてフェロモントラップによる害虫発生予察を地域を挙げて行い、適期防除を徹底。◆大豆の播種、防除、収穫の作業は機械利用組合を活用、乾燥調整もJAの大豆共乾施設の利用でコストを低減。

    栽培・経営上の特徴

    佐賀市諸富町

  • 参考②-2 九州地域の豆類経営優良事例

    金子 正一 氏 (福岡県柳川市)

    ◇平成14年、漁業主体の経営から水稲・麦に大豆を加えた土地利用型農業に転換。◇地域の信頼関係構築により農地を集積し、面積を34.8haまで拡大。集積した圃場で自らローテーションを実施。◇作付面積は大豆20.5ha、水稲9ha、麦類34.8ha (25年度)大豆単収 262kg/10a(品種:フクユタカ、県平均166kgの1.6倍)

    経営の概要

    ◆圃場は暗渠と排水溝、弾丸暗渠を整備して排水性を向上。◆耕起と種まきを1工程で行い、3粒点播や土壌水分に応じた播種深度の微調整により、安定した出芽・苗立ちを確保。◆条間を通常より狭くし、大豆の葉で条間を覆うことで雑草を抑制。◆密植の効果により最下着莢位置を高め、コンバイン収穫時における収穫ロスを低減。◆乗用型機械の一貫作業体系により、省力化と低コスト化を実現。◆良質な大豆生産は収益性が高いことを認識し、大豆の年間所得が経営全体の6割を占める。

    栽培・経営上の特徴

    柳川市

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  • 参考②-3 九州地域の豆類経営優良事例

    西川副地区営農組合 (佐賀県佐賀市川副町)

    ◇平成18年に組合を発足し、水田の集落単位の生産体制を広域統合し、集落を越えた広域組合として農家数158戸、経営面積は361.1ha。(平成25年度)◇「地区内の農地はみんなで守ろう」を理念に主要作業を共同化。作業の省力、機械費の節減、作業性の向上により労働時間の大幅な短縮を実現。◇作付面積は大豆133.9ha、水稲207.7ha、麦類312.2ha (平成25年度)大豆単収 230kg/10a (県平均200kgの1.2倍)

    経営の概要

    ◆排水対策を徹底するため、ほ場の排水性に応じて3~5m間隔で弾丸暗渠を施工。◆播種に適した土壌水分を逃がさないため、2台のトラクターで耕起・は種を同時に実施し、安定した出芽・苗立ちを確保。◆防除は無人ヘリと乗用管理機、中耕培土はトラクタカルチ、収穫は大豆コンバインを活用する作業体系を確立し、徹底して労力を削減。◆経営規模に応じた農業機械の導入・利用やブロックローテーションを計画。◆農地が大規模であり、特定のオペレーターへの負担を避けるため、構成員全員が機械作業に従事。(大型機械は若手主体で対応)

    栽培・経営上の特徴

    佐賀市川副町

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  • 参考②-4 九州地域の豆類経営優良事例

    FarmZEN (福岡県久留米市善導寺町)

    ◇平成4年に善導寺地区機械共同利用組合を設立、平成18年任意組織FarmZENを設立し、平成26年5月農事組合法人FarmZENを設立。地域の17集落の関係農家257戸(耕作者162戸、委託農家95戸)、経営面積103.3ha。(平成26年度)

    ◇適正な圃場管理、安定多収に向けた適期作業を第一に活動。期間借地や遊休農地等を積極的に受け入れ法人への農地集積を推進。

    ◇作付面積は大豆(フクユタカ)12.7ha、水稲90.6ha、麦類34.5ha(平成26年度)、大豆単収 284kg/10a(県平均176kgの1.6倍)

    経営の概要

    ◆排水対策として、基盤整備による本暗渠に加え、毎年麦作付前に2m間隔で弾丸暗渠を施工。併せて、ブロックローテーションを大豆の団地化を推進。

    ◆大豆作付圃場には炭酸苦土石灰を散布し、大豆に適したpHを保持。また、近郊の酪農家に稲わらと堆肥を交換し、堆肥を圃場へ施用(耕畜連携)。

    ◆生産担当役員がリーダーシップを執り一斉は種を指示。役員から組合員に実施作業について説明し、大豆収量の確保に繋がる適期作業の重要性を全員が理解。

    ◆収穫前にはオペレーター研修を実施し、コンバインの操作、メンテナンス技術向上、組合員による残存雑草、青立ち株の抜き取りにより、汚損粒防止を徹底。

    ◆「大豆・麦栽培管理システム」を導入し、農業機械の圃場間移動に無駄がでないように工夫。

    ◆法人を設立したことで、組織で農地利用権設定が可能となり、今後、経営安定化に期待。

    栽培・経営上の特徴

    久留米市

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