北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 ·...

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81 加えてシベリア南東付近に発達した低気圧と東シナ海か ら北に向かって進む台風によるものであると明らかにし た。大橋ほか 2007はフェーン現象が発現する様な一 般風が強い環境であっても,中部山岳域に熱的低気圧が 形成される場合には,北陸地方で日中に海風や谷風が生 じ,フェーン現象の中断または弱化がみられることを明 らかにした。 その他の地域のフェーン現象についてもいくつかの研 究が行われている。Ogura et al 20042003 3 2 日の朝,栃木県矢板市で起こった強風被害は,急速に発 達した低気圧が関東地方付近を通過した時,それに向 かって北西から吹き下ろすフェーン現象を伴った強風で あることを明らかにした。千葉ほか 20062000 4 23 日の青森県の八甲田山系猿倉岳で発見された樹木 被害の主因は,南西からの湿ったフェーン風と西寄りの 乾いたフェーン風の 2 つの強風によるものであることを 明らかにした。永沢ほか 1980では北海道オホーツク .はじめに 北陸地方は南側に脊梁山脈が位置するため,強い南風 が本州の脊梁山脈を越えるときにフェーン現象が発生し やすい条件である場所として知られている。フェーン現 象が発生すると暖かく乾燥した強風による被害が発生し やすくなり,ひとたび火災が起こると延焼の原因とな る。そのため気象学的な発生の原因を調べる事は,これ らの被害を防ぐうえで重要となる。 北陸地方のフェーン現象についてはこれまでにいくつ かの研究がおこなわれている。Arakawa et al1982)は 北陸地方のフェーン現象をメソ解析した結果,太平洋側 から日本海側へ向かう風は中央山塊の中をほぼ南北に走 る谷間を通ることを示した。更にフェーン現象は日変化 し,昼間弱く夜強い傾向があることを明らかにした。 Inaba et al 2002は北陸地方の富山で 5 日間にわたって フェーン現象が持続する特異な現象について,高気圧に 永田 祥一 ・加藤 央之 ** In this study, we clarified upper meteorological field for the foehn phenomenon on and around by statistical analysis in spring. On the first step, we defined the foehn day when a foehn phenomenon appeared. On the second step, we ana- lyzed the upper weather pattern, using principal component analysis. On the third step, we performed cluster analysis based on Z-score provided from principal component analysis and clarified a characteristic of the upper weather when a foehn phenomenon appeared. As a result, in Niigata, the foehn tend to occur when a migratory anticyclone moved to the east side of Japan, and a low pressure in the Sea of Japan side was exsited. On the other hand, in Toyama, Kanazawa and Fukui, when there was a migratory anticyclone in the south or the southeastern side, and a low pressure in the Sea of Japan side was existed. Keywords : Foehn phenomenon, Hokuriku district, Principal component analysis, Cluster analysis 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 気象パターン分類による解析Appearance Properties of the Foehn Phenomenon in Hokuriku District: Analysis by the Weather Pattern Classification Shoichi Nagata and Hisashi Kato ** Received November 17, 2014日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要 No.50 2015pp.81 93 13 Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25- 40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan ** Department of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan 日本大学大学院総合基礎科学研究科: 156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 ** 日本大学文理学部地球システム科学科: 156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

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Page 1: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

─ ─81 ( )

加えてシベリア南東付近に発達した低気圧と東シナ海か

ら北に向かって進む台風によるものであると明らかにし

た。大橋ほか (2007) はフェーン現象が発現する様な一

般風が強い環境であっても,中部山岳域に熱的低気圧が

形成される場合には,北陸地方で日中に海風や谷風が生

じ,フェーン現象の中断または弱化がみられることを明

らかにした。

その他の地域のフェーン現象についてもいくつかの研

究が行われている。Ogura et al (2004) は2003年 3月2

日の朝,栃木県矢板市で起こった強風被害は,急速に発

達した低気圧が関東地方付近を通過した時,それに向

かって北西から吹き下ろすフェーン現象を伴った強風で

あることを明らかにした。千葉ほか (2006) は2000年 4

月23日の青森県の八甲田山系猿倉岳で発見された樹木

被害の主因は,南西からの湿ったフェーン風と西寄りの

乾いたフェーン風の 2つの強風によるものであることを

明らかにした。永沢ほか (1980) では北海道オホーツク

Ⅰ.はじめに

北陸地方は南側に脊梁山脈が位置するため,強い南風

が本州の脊梁山脈を越えるときにフェーン現象が発生し

やすい条件である場所として知られている。フェーン現

象が発生すると暖かく乾燥した強風による被害が発生し

やすくなり,ひとたび火災が起こると延焼の原因とな

る。そのため気象学的な発生の原因を調べる事は,これ

らの被害を防ぐうえで重要となる。

北陸地方のフェーン現象についてはこれまでにいくつ

かの研究がおこなわれている。Arakawa et al(1982)は

北陸地方のフェーン現象をメソ解析した結果,太平洋側

から日本海側へ向かう風は中央山塊の中をほぼ南北に走

る谷間を通ることを示した。更にフェーン現象は日変化

し,昼間弱く夜強い傾向があることを明らかにした。

Inaba et al (2002) は北陸地方の富山で 5日間にわたって

フェーン現象が持続する特異な現象について,高気圧に

永田 祥一*・加藤 央之**

In this study, we clarified upper meteorological field for the foehn phenomenon on and around by statistical analysis in spring. On the first step, we defined the foehn day when a foehn phenomenon appeared. On the second step, we ana-lyzed the upper weather pattern, using principal component analysis. On the third step, we performed cluster analysis based on Z-score provided from principal component analysis and clarified a characteristic of the upper weather when a foehn phenomenon appeared. As a result, in Niigata, the foehn tend to occur when a migratory anticyclone moved to the east side of Japan, and a low pressure in the Sea of Japan side was exsited. On the other hand, in Toyama, Kanazawa and Fukui, when there was a migratory anticyclone in the south or the southeastern side, and a low pressure in the Sea of Japan side was existed.

Keywords : Foehn phenomenon, Hokuriku district, Principal component analysis, Cluster analysis

北陸地方におけるフェーン現象の出現特性―気象パターン分類による解析―

Appearance Properties of the Foehn Phenomenon in Hokuriku District:Analysis by the Weather Pattern Classification

Shoichi Nagata* and Hisashi Kato**

(Received November 17, 2014)

日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要

No.50 (2015) pp.81-93

13

* Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan

** Depar tment of Geosystem Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo 156-8550, Japan

* 日本大学大学院総合基礎科学研究科: 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40 ** 日本大学文理学部地球システム科学科: 〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

Page 2: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

永田 祥一・加藤 央之

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海で一般風が卓越している気象場でも海風が進入する時

に気温が短時間に急変する現象についての研究がされて

いる。

このような解析例についてまとめてみると,フェーン

現象について事例解析の観点からの研究はなされていて

も,統計的にフェーン現象を調べた研究は過去にはほと

んどない。更に北陸地方で行った過去の研究では富山の

フェーン現象を対象に行っているものがほとんどであ

る。そこで本研究では,加藤ほか(2013)が行った統計

学的な手法を用いて,暖候期におけるフェーン現象が出

現する時の気象場の特徴を北陸地方の代表4地点それぞ

れに対して明らかにする。

Ⅱ.使用データと解析手法

Ⅱ -1.使用データおよび期間

地上気象場の解析には,気象庁気象官署のデータを用

いた。対象地点は図 1に示すように,新潟,富山,金

沢,福井の 4地点である。データは日最高気温,日最小

相対湿度,のほか気温,相対湿度,風向,風速の時別値

を用いた。解析対象期間は1979~2011年の33年間の 3

~6月である。

上空の気象場の解析にはNCEP/NCARの再解析デー

タを用いた。対象領域は図 2に示すように,北緯27.5°~

47.5°,東経127.5°~147.5°で,水平解像度は2.5°×2.5°で

ある。鉛直方向は850hPaの温度場と高度場のデータを

使用した。解析対象期間は1979年から2011年の 3月か

ら 6月までの33年間で,00UTCのデータを使用した。

Ⅱ -2.フェーン現象発現日の定義

本研究におけるフェーン発現日は,Inaba et al. (2002)

や大橋他 (2007) に基づき以下のように定義した。ま

ず,日別値データより,①日最高気温が前後 5日間の合

計11日間の平均よりも 5℃以上高い日。②相対湿度の日

最小値が45%未満の日を選択した。次に,時別値デー

タより,①各時刻の気温が同時刻の11日間移動平均気

温より 5℃以上高い時間帯をフェーン持続時間とする。

②フェーン持続時の相対湿度の最小値が45%未満とす

る。③フェーン持続時に南寄りの風が卓越し,平均風速

が 3m/s以上である。ただし南よりの風向とは新潟と福

井では南東~南,富山と金沢では南東~南南西とする。

また,フェーン現象にはドライフェーンとウェット

フェーンの 2種類が存在するが,フェーン現象出現日に

どちらも含まれるようにし,解析をすすめた。

Ⅱ -3.解析方法

はじめに,上記の定義に基づいて,各地点のフェーン

現象発現日を抽出した。次に上空の気象場との関連性を

明らかにするために温度場と高度場の各層それぞれに主

成分分析を行い,基本的な変動パターンを求めた。この

とき全域の平均的な増減を示す第 1主成分が季節変動を図 1 地上解析の対象地域

図 2 上空気象場の解析対象領域

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北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

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く,特に金沢では 1事例もなかった。地点ごとの頻度の

違いは,図 1の対象領域の地形図から,頻度が多い富山

や福井では脊梁山脈に囲まれているのに対して,新潟や

金沢では脊梁山脈から遠く海からの影響を受けているこ

とが一つの要因ではないかと考えられる。また,6月に

は梅雨前線が存在するため,フェーン現象はほとんど現

れないと考えられる。

Ⅲ -2.上層気象場の基本的な特徴

Ⅲ -2-1.高度場の特徴

北陸地域を中心とした高度場850hPa,について地域

偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに

した。

第 1~第 6主成分の寄与率はそれぞれ41.7%,

27.3%,11.5%,6.9%,4.1%,2.3%であった。第 6主成

分までの累積寄与率は93.8%であり,変動の大部分を説

明できると判断できるので,解析では第 6主成分までを

使用した。図 4に第 1から第 3主成分の因子負荷量分布

図を示す。第 1主成分は「北北東-南南西の変動を示す

シーソーパターン」,第 2主成分は「西北西-東南東方

向のシーソーパターン」,第 3主成分は「日本付近を中

心とする変動パターン」を示している。第 4主成分以降

はより局地的な細かい変動パターンであった。

第 1主成分の寄与率が正で大きい日は地上天気図と対

応したところ,北海道付近に低気圧,日本の南側に高気

圧が存在している事例が多いため,南高北低を表してい

ると考えられる。また同様に第 2主成分の寄与率が正・

負それぞれで絶対値が大きい日は,日本をはさんで東側

に低気圧,西側に高気圧の配置,または逆に西側に低気

圧で東側に高気圧の配置となっていた。第 3主成分では

反映して大きく卓越する可能性があるため,各日の地域

平均からの偏差をとり,そのデータに主成分分析を行っ

た。次に温度場と高度場の各層それぞれについて主成分

分析の卓越指数を用いてクラスター分析(パターン分

類)を行い,フェーン現象発現日がどのような気象場の

時に発現しやすいのか解析を行った。最後に地点ごとに

フェーン現象発現日のみを対象としたクラスター分析を

行い,考察を行った。

Ⅲ.結果と考察

Ⅲ -1.フェーン現象発現日の頻度

上記の定義に基づいて地点ごとに抽出した結果,

フェーン現象発現の日数は全解析日数4026日中,新潟

では81日,富山では127日,金沢では47日,福井では

102日であった。図 3に示すとおり,新潟,富山,福井

では4月に頻度が一番多かったのに対して,金沢では 3

月に一番多かった。一方 6月はどの地点も頻度が少な

図 3 定義をもとに抽出した各地点のフェーン現象発現日

a) b) c)

図 4 850hPa高度場の主成分分析の結果a) 第 1主成分~ c) 第 3主成分の因子負荷量分布図。赤・青の色は因子負荷量の正負を表し,実線は平均高度場の値を表す.

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永田 祥一・加藤 央之

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応している変動の原因を特定することができなかった

が,小さな低気圧などによる変動パターンを示している

と考えられる。

Ⅲ -3.卓越指数の散布図

図 6に高度場における主成分分析から得られた第 1主

成分と第 2主成分の卓越指数の散布図を示す。同様に,

図 7に温度場における主成分分析から得られた第 1主成

分と第 3主成分の卓越指数の散布図を示す。

青色は対象期間4026日,赤色はフェーン現象発現日

を表す。高度場では第 2主成分は正の値が大きい時に

フェーン現象が起こりやすいことがわかる。同様に温度

場では第 3主成分の負の値が大きい時にフェーン現象が

起こりやすいことがわかる。つまり,日本の東側に高気

圧で西側に低気圧があって,温度場が日本付近で高い気

象場であるときにフェーン現象が起こりやすいと考えら

れる。以上よりフェーン日における卓越指数の特徴が得

られたため,上空気象場のパターン分類を行う。

Ⅲ -4.上空気象場のパターン分類

高度場と温度場それぞれに主成分の卓越指数を用いた

クラスター分析 (パターン分析) を行い,フェーン現象

が発現するときの気象場の類似性を明らかにする。本解

析では第 1~第 6主成分までの累積寄与率の値がいずれ

の要素でも90%を越えていることから,クラスター分析

はすべて第 6主成分までの結果を用い,6次元空間内で

行った。

高度場に関する樹状図を (図8a) に示す。グループの

平均的な高度場を示す。850hPaの高度場のパターンに

ついては,10グループに分けることができた。フェーン

寄与率が正・負それぞれで絶対値が大きい日は,日本付

近に低気圧または高気圧が存在する時であった。このこ

とから第 2主成分と第 3主成分はいずれも春季の移動性

高気圧と低気圧の相対位置に関連していると考えられ

る。第 4主成分以降は寄与率が小さいため,表している

変動パターンを特定することができなかったが,小さな

低気圧などによる変動パターンを示していると考えられ

る。

Ⅲ -2-2.温度場の特徴

温度場についても,北陸地域を中心とした850hPa面

の地域偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明

らかにした。

第 1~第 6主成分の寄与率はそれぞれ49.8%,17.0%,

11.7%,5.6%,3.6%,3.3%であった。第 6主成分まで

の累積寄与率は87.7%であり,変動の大部分を説明でき

ると判断できるので,解析では第 6主成分までを使用し

た。図 5に因子負荷量分布図を示す。第 1主成分は「北

北西-南南東シーソーパターン」,第 2主成分は「東-

西シーソーパターン」,第 3主成分は「日本付近を中心

とする変動パターン」を示している。第 4主成分以降は

より局地的な細かい変動パターンであった。

第 1主成分の寄与率の正・負を調べたところ,3月に

は正となり太平洋側で温度が高くなるが,6月になると

逆に負になり,温度傾度が小さくなる。すなわち,この

成分は季節的な南北の温度差を表していると考えられ

る。第 2主成分と第 3主成分は地上天気図により移動性

高気圧と気圧の谷によるものと対応しているため,移動

性高気圧の相対的な位置による暖気移流によるものだと

考えられる。第 4主成分以降は寄与率が小さいため,対

a) b) c)

図 5 850hPa温度場の主成分分析の結果a) 第 1主成分~ c) 第 3主成分の因子負荷量分布図。赤・青の色は因子負荷量の正負を表し,実線は平均高度場の値を表す.

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北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

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図 6 850hPa高度場の卓越指数 (Z1-Z2) の散布図赤はフェーン日の卓越指数,青がそれ以外の日を表す.

図 7 850hPa温度場の卓越指数 (Z1-Z2) の散布図赤はフェーン日の卓越指数,青がそれ以外の日を表す.

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永田 祥一・加藤 央之

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Eグループに含まれているフェーン現象発現日は新潟

31事例,富山64事例,金沢26事例,福井40事例であっ

た。このグループの平均的な高度場 (図8b) は,中国付

近が低圧部で,日本の南の太平洋側が高圧部になってお

り,平均より南北差が大きい。Gグループに含まれてい

現象発現日が含まれていたグループは,Aグループ,B

グループ,Eグループ,Fグループ,Gグループ,Hグ

ループ,Iグループであった。特にフェーン現象発現し

た日の日数が多いグループはEグループとGグループで

ある。

a)

b) c)

図 8 850hPa高度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) ~c) フェーン現象発現日が多いグループごとの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:各グループ日数.)

表 1 850hPa高度場の各グループのフェーン現象発現した日数

hgt850-0 Gr=A Gr=B Gr=C Gr=D Gr=E Gr=F Gr=G Gr=H Gr=I Gr=J

新潟 1/26 0/484 0/23 0/240 31/495 4/17 35/2447 7/265 3/26 0/3

富山 4/26 3/484 0/23 0/240 64/495 7/17 45/2447 1/265 3/26 0/3

金沢 2/26 2/484 0/23 0/240 26/495 4/17 13/2447 0/265 0/26 0/3

福井 1/26 1/484 0/23 0/240 40/495 3/17 55/2447 2/265 0/26 0/3

表 2 850hPa高度場の各グループのフェーン現象発現日数の比率

hgt850-0 Gr=A Gr=B Gr=C Gr=D Gr=E Gr=F Gr=G Gr=H Gr=I Gr=J

新潟 0.04 0.00 0.00 0.00 0.06 0.24 0.01 0.03 0.12 0.00

富山 0.15 0.01 0.00 0.00 0.13 0.41 0.02 0.00 0.12 0.00

金沢 0.08 0.00 0.00 0.00 0.05 0.24 0.01 0.00 0.00 0.00

福井 0.04 0.00 0.00 0.00 0.08 0.18 0.02 0.01 0.00 0.00

(表の数値は、フェーン現象発現した日数/グループ日数を示す)

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北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

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パターンの時に起こりやすいと考えられる。福井と新潟

はGグループにフェーン現象発現日が多く含まれている

が多いが,Gグループは2447事例と事例数が多いた

め,気象場が平均化されているので特徴的な気象場は見

出すことができなかった。

るフェーン現象発現日は新潟35事例,富山45事例,金

沢13事例,福井55事例であった。このグループの平均

的な高度場 (図8c) は,南北差はEグループより小さ

い。富山と金沢はEグループの時にフェーン現象が生じ

やすく,日本の東側で高気圧があり日本海側で低気圧の

a)

b) c) d)

図 9 850hPa温度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) ~d) フェーン現象発現日が多いグループごとの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:各グループ日数.)

表 3 850hPa温度場の各グループのフェーン現象発現した日数

hgt850-0 Gr=A Gr=B Gr=C Gr=D Gr=E Gr=F Gr=G Gr=H Gr=I Gr=J

新潟 0/18 0/6 0/5 58/2870 1/572 12/451 4/60 6/42 0/1 0/1

富山 1/18 0/6 0/5 87/2870 6/572 16/451 4/60 13/42 0/1 0/1

金沢 1/18 0/6 0/5 24/2870 3/572 11/451 5/60 3/42 0/1 0/1

福井 0/18 0/6 0/5 76/2870 4/572 8/451 5/60 9/42 0/1 0/1

表 4 850hPa温度場の各グループのフェーン現象発現日数の比率

hgt850-0 Gr=A Gr=B Gr=C Gr=D Gr=E Gr=F Gr=G Gr=H Gr=I Gr=J

新潟 0.00 0.00 0.00 0.02 0.00 0.03 0.07 0.14 0.00 0.00

富山 0.06 0.00 0.00 0.03 0.01 0.04 0.07 0.31 0.00 0.00

金沢 0.06 0.00 0.00 0.01 0.01 0.02 0.08 0.07 0.00 0.00

福井 0.00 0.00 0.00 0.03 0.01 0.02 0.08 0.21 0.00 0.00

(表の数値は、フェーン現象発現した日数/グループ日数を示す)

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永田 祥一・加藤 央之

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Ⅲ -5.フェーン現象発現日のパターン分類

上空気象場のパターン分類では,フェーン現象が起こ

る気象場の類似性を明らかにしたが,ここでは更に

フェーン現象が発現するときの気象場を地点毎に明らか

にする。

Ⅲ -5-1.新潟

図10に新潟を対象としたフェーン現象発現日 (81日)

について,高度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは11事例,Bグループは 4事例,Cグループは53事

例,Dグループは 3事例,Eグループは10事例であっ

た。事例数が一番多いCグループ (図10b) は日本の南

東に高圧部があり日本海側で低圧部となる特徴を持つ。

図11は,温度場のパターン分類結果を示す。Aグ

ループは51事例,Bグループは 3事例,Cグループは 1

事例,Dグループは22事例,Eグループは 4事例であっ

た。事例数が一番多いAグループ,(図11 b) では日本

付近で温度が高くなる特徴を持つ。

以上の結果から,新潟では日本の東に高気圧で日本海

側に低気圧がある配置となっているときにフェーン現象

が生じやすい。つまり低気圧の東側に暖気移流があるこ

とによりフェーン現象による温度上昇がより起こりやす

いと考えられる。

Ⅲ -5-2.富山

図12に富山を対象としたフェーン現象発現日 (127日)

について,高度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは 1事例,Bグループは110事例,Cグループは 1事例,

Dグループは10事例,Eグループは 5事例であった。事

次に,温度場に関する結果を (図9a) に示す。850hPa

の温度場のパターンについては,10グループに分けるこ

とができた。フェーン現象発現日が含まれていたグルー

プは,Aグループ,Dグループ,Fグループ,Gグルー

プ,Iグループ,Jグループであった。特にフェーン現

象発現日の日数が多いグループはDグループとFグルー

プとHグループである。

Dグループに含まれているフェーン現象発現日は新潟

58事例,富山87事例,金沢24事例,福井76事例であっ

た。このグループの平均的なグループの温度場 (図9b)

は,南北傾度が小さいが,これは平均場に近いグループ

であるためである。Fグループに含まれているフェーン

現象発現日は新潟12事例,富山16事例,金沢11事例,

福井が 8事例であった。このグループの平均的な温度場

(図9c) は,全体的に平均よりも南から北に向かって温度

傾度が大きくなっている。 Hグループに含まれているフェー

ン現象発現日は新潟 6事例,富山13事例,金沢 3事例,

福井 9事例であった。このグループの平均的な温度場

(図9d) は,南西側から日本上空で温度が高くなっている。

このことから,フェーン現象が多く発現する気象場の

グループはDグループであるが,このグループは2870

事例と日数が多いため,気象場が平均化されているので

特徴を見出すことができなかった。2番目に多いのが福

井を除くとGグループであるが,南北の気温差が平均よ

りも大きいときの気象場でフェーン現象が起こりやすい

と考えられる。一方,福井で 2番目に多いのが Jグルー

プであるが,日本付近で温度場が高くなっていることか

ら,暖気移流している時にフェーン現象が起こりやすい

と考えられる。

a) b)

図10  新潟850hPa高度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

Page 9: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

─ ─89 ( )

北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

21

ン現象が起こる時よりも,暖気移流が弱い時でもフェー

ン現象が起こりやすいと考えられる。

Ⅲ -5-3.金沢

図14に金沢を対象としたフェーン現象発現日 (47日)

について,高度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは 1事例,Bグループは30事例,Cグループは 7事

例,Dグループは 3事例,Eグループは 6事例であった。

事例数が一番多いBグループ (図14b) では,日本の南

東に高圧部があり日本海側で低圧部という特徴を持つ。

図15は,温度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは 3事例,Bグループは20事例,Cグループは19事

例,Dグループは 3事例,Eグループは 2事例であった。

例数が一番多いBグループ (図12b) では,日本の南東

に高圧部があり日本海側で低圧部という特徴を持つ。

図13は,温度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは2事例,Bグループは61事例,Cグループは10事

例,Dグループは7事例,Eグループは47事例であっ

た。事例数が一番多いBグループ (図13b) では,日本

付近で温度が高くなるパターンという特徴を持つ。

以上の結果から,富山では日本の南東から南側に高気

圧,日本海側に低気圧がある気圧配置となっている時に

フェーン現象が生じやすい。つまり春の移動性高気圧の

中心が南東側に移動し日本海側に気圧の谷または低気圧

が来たときに,低気圧の東側に暖気移流があるときに

フェーン現象が起こると考えられる。更に新潟でフェー

a) b)

図11  新潟850hPa温度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

a) b)

図12  富山850hPa高度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

Page 10: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

永田 祥一・加藤 央之

─ ─90( )22

Ⅲ -5-4.福井

図16に福井を対象としたフェーン現象発現日 (102

日) について,高度場のパターン分類結果を示す。Aグ

ループは 3事例,Bグループは57事例,Cグループは37

事例,Dグループは 4事例,Eグループは 1事例であっ

た。事例数が一番多いBグループ (図16b) では,日本

の南東に高圧部があり中国付近で低圧部という特徴を持

つ。

図17は,温度場のパターン分類結果を示す。Aグルー

プは67事例,Bグループは21事例,Cグループは 2事

例,Dグループは 9事例,Eグループは3事例であった。

事例数が一番多いAグループ (図17b) では,日本海側

で温度場が高くなり太平洋側で温度が低くなるパターン

事例数が一番多いBグループとCグループで (図15b,c)

ではどちらも日本付近で温度が高くなるという特徴を持

つ。

以上の結果から,金沢では日本の南東から南側に高気

圧,日本海側に低気圧がある配置となっている。つまり

春の移動性高気圧の中心が南東側に移動し日本海側に気

圧の谷または低気圧が進んだときに低気圧低気圧の東側

に暖気移流があるときにフェーン現象が起こると考えら

れる。富山と似た上空気象場でフェーン現象が起こりや

すいが,新潟でフェーン現象が起こる時よりも,暖気移

流が小さい時でもフェーン現象が起こりやすいと考えら

れる。

a) b)

図13  富山850hPa温度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

a) b)

図14  金沢850hPa高度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

Page 11: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

─ ─91 ( )

北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

23

の谷または低気圧が来たときに,低気圧の東側に暖気移

流があるときにフェーン現象が起こると考えられる。

富山と似た上空気象場でフェーン現象が起こりやすい

が,新潟でフェーン現象が起こる時よりも,暖気移流が

となった。

以上の結果から,福井では日本の南東から南側に高気

圧で日本海側に低気圧がある配置となっている。つまり

春の移動性高気圧の中心が南東に移動し日本海側に気圧

a)

c)b)

図15  金沢850hPa温度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) ~ c) 日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

a) b)

図16  福井850hPa高度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

Page 12: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

永田 祥一・加藤 央之

─ ─92( )24

により新潟とその他 3地点でフェーン現象が起こりやす

さが変わると考えられる。

今回の解析では地点ごとにフェーン現象発現日に対す

るクラスター分析を行い上空気象場のパターン分類を

行ったが,同じく地上の気温が上昇するときでもフェー

ン現象が起こる時と起こらない時の差がまだ見いだせて

いないことから,その条件に対してクラスター分析を行

う必要があると考えられる。更に富山,金沢,福井の 3

地点では気象場における違いがほとんど見出すことがで

きなかったが発生日時や回数は異なっているため,その

違いについて探るために他の要素を用いて解析をする必

要があると思われる。今後,地球温暖化などの気候変化

に伴い,フェーン日の増減も考えられるが,こうした局

地的な現象の将来予測のため,重回帰分析を用いた検討

も必要だと思われる。

謝辞

本研究を進めるにあたり,日本大学非常勤講師の永野良紀

氏をはじめ多くの方から助言をいただきました。心から感謝

致します。

本論文は,著者の一人である永田祥一の平成25年度日本大学文理学部地球システム科学科の卒業論文に加筆・修正を

行ったものである。

小さい時でもフェーン現象が起こりやすいと考えられ

る。

Ⅳ.まとめと今後の課題

北陸地方においてフェーン現象は富山で発生しやす

く,福井,新潟,金沢と続く。上空の基本的な気象場を

明らかにするために主成分分析を行い,得られた卓越指

数をもとにフェーン現象が発現する気象場との関連を調

べた結果,高度場は第 2主成分である「東-西変動パ

ターン」で,温度場は第 3主成分である「日本付近を中

心とする変動パターン」で関連が強かった。フェーン現

象日に対する上空気象場のクラスター分析を行った結

果,高度場に関して新潟は日本海側で低気圧があり日本

の南東側で高気圧がある気象場にたいして,富山,金

沢,福井では日本の南側で高気圧がある気象場で発生し

やすいと考えられる。しかし温度場では,4地点とも違

いが明瞭にでなかった。そして地点ごとのフェーン現象

が発現したときのクラスター分析を行った結果,新潟で

は日本の東の海上に高気圧,日本海側で低気圧があるパ

ターンのときに発生しやすいことがわかった。また富

山,金沢,福井の 3地点では日本の南東ないし南の海上

に高気圧,日本海側で低気圧があるときのパターンで発

生しやすいことがわかった。つまり移動性高気圧の位置

a) b)

図17  福井850hPa温度場のクラスター分析の結果a) クラスター分析の樹状図,b) 一番日数の多いグループの平均的な高度場(赤・青の色が平均場からの偏差,実線が等高度線を表す.Gr:グループ名,N:グループの日数.)

Page 13: 北陸地方におけるフェーン現象の出現特性 · 偏差による主成分分析を行い,基本的な特徴を明らかに した。 第1~第6 主成分の寄与率はそれぞれ

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北陸地方におけるフェーン現象の出現特性

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