指導マニュアルの見方 · 2020. 3. 17. · -1 - 指導マニュアルの見方...

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指導マニュアルの見方

日本語教科書「にほんごチャンジ」は、中南米のスペイン語圏で日本語を学ぶ年少

者、とくに11~14,5歳ぐらいまでの子どもを対象に開発したものです。日本語

の文章の読解とそのテーマに基づく活動を中心とした学習を通して、「簡単な文章の

読み書きができる」能力から「やや高度な文法・漢字・語彙を習得し、一般的な事柄

について会話ができ読み書きができる能力」までを育成する内容となっています。

ここでとりあげた語彙や文型は限られているため、この教科書を1つの素材と考え、

必要に応じて補充を行いつつ利用していただければ幸いです。

指導の手引きの各項目について簡単に説明します。

【サブタイトル】 各課の題のほかに本文のタイトルとして掲載しています。

【ねらい】 学習を通して生徒がする活動内容を示しています。

【学習文型】 課でとりあげた文型をまとめてあります。

【主な学習活動】 教科書の構成にそって、考えられる学習活動を示してありま

す。時間配分は生徒の状況によって変わると思いますが、発

展した学習活動を組み合わせれば10時間前後が適当かと考

えます。ここでは練習問題や読解問題の解答を示したほか、

「発展」では、本文からさらに知識を広められるような内容

を、また「活動」として、楽しく活動的な学習活動を教室に

持ち込めるようなヒントを示してあります。

【備考】 課によって指導上の注意などを書いておきました。

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第1課 どうしてそう言うの?

【サブタイトル】

ことばの由来

【ねらい】

・身の回りのことばの由来を知る。

いつ、どこから、どのようにそのことばが自分の国に入ってきたのかを知り、

各国の文化や歴史背景なども理解する。

・身の回りのことばの由来を調べてみる。

日常よく使っている身近なことばを取り上げて、成り立ちを調べる。

・「ことばの由来辞典」を作る。

調べたことばを持ち寄り、1冊の辞書のようにまとめてみる。

【学習文型】

・~をはじめ ・~ことから ・~を中心に ・このように

【主な学習活動】

1.読む前に

・日常何気なくなされている「あいさつ」を取り上げ、そのことばの由来を考えて

みる。

・日本語のあいさつに限らず、スペイン語でのあいさつについても話し合ってみて

もよい。

2.本文

ラテンアメリカ諸国において主要食材である「いも」をテーマに、「さつまいも」

や「じゃがいも」について、いつ、どこから、どのように日本に伝わったかを知る。

また、伝えられた場所、伝えた人物、その物自体の形など、そのことばが名づけら

れた理由を読み取る。

ことばの由来を知ることが、いろいろな歴史や文化を知ることにつながることを

理解させ、自分たちの国のことばへの関心をふくらませる。

3.練習問題の解答

1.を中心に 2.をはじめ 3.ことから 4.このように

4.読解問題の解答

1. 1)からいも 2)りゅうきゅういも 3)アメリカいも

2. 1)-ア) 2)-イ) 3)-イ) 4)-ウ)

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5.発展

食べ物に限らず、日常よく使われている身の回りのことば(嗜好品、衣服、動詞

など)を取り上げ、そのことばがいつ、どこから、どのように伝えられたのかを知

る。絵の中にあるその他のことばについて話をふくらませ、次の活動へつなげてい

ってもよい。

6.活動

・発展ページを参考に、スペイン語のことばについて調べてみる。そのことばを絵

で表現し、いつ、どこから、どのようにして伝わったのかを簡単に日本語でまと

める。

・各自またはグループごとに調べた結果を最終的にまとめ、「ことばの由来辞典」

を作成する。

*その他の活動例

学習者の日本語のレベルにより、スペイン語のことばの由来だけではなく、本書

で取り上げられていない身の回りの日本語のことばの由来を調べてもよい。

7.備考

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第2課 私はだれでしょう?

【サブタイトル】

まんがの主人公

【ねらい】

・ 現在日本の文化のひとつとも言えるまんがを知る。

今では日本のみならず世界各国でも親しまれている日本のまんが、特にラテンア

メリカ諸国でも人気のあるいくつかのアニメを取り上げ、そこから日本語学習への

関心を深める。

・中級レベルの日本語で自己紹介、人物紹介ができるようになる。

まんがの主人公を通して、いろいろな性格を表すことばや表現を学ぶ。

・紹介文を書いてみる。

自国のまんがを取り上げ、実際にいろいろな性格のことばを使って中級レベルで

の人物紹介を行う。

【学習文型】

・~とともに ・~っぽい ・~うえに

【主な学習活動】

1.読む前に

・ラテンアメリカ諸国で知名度が高いと思われるアニメの主人公のイラストを見て、そ

のアニメがどのような話であるか、またその主人公がどんな性格であるかを自由に話

してみる。

・主人公以外の登場人物についてまで話が発展してもよい。

・教科書に掲載しているのは、左から「カードキャプターさくら」の木之本 桜、「ドラ

ゴンボール」の孫悟空、「ポケットモンスター」のピカチュウである。

2.本文

「ちびまる子ちゃん」(自己紹介)、「ドラえもん」(紹介文)、「鉄腕アトム」(紹介文)

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という世代を関係なく今も昔も日本でとても人気のあるまんがの主人公を取り上げ、そ

れぞれの紹介文を読む。その中で、いろいろな性格を表すことばや表現を学ぶ。

まんがのイメージをふくらませるために、実際のまんがの一部も掲載してあるので、

主人公以外の登場人物に話を発展させることもできる。また、まんがを知らなかった学

習者にとっては、そのまんがをイメージする手助けとなる。

3.練習問題の解答

1. うえに 2. っぽい 3. とともに

4.発展

本文で取り上げた紹介文中の性格を表すことばをもう一度取り上げ、その性格につい

てわかりやすく書かれた日本語の説明を読み、さらに理解を深める。

そして、本文中では取り上げられていない性格を表すことばについての問題にチャレ

ンジしてみる。性格や特徴を表すときによく使われる日本語の独特な言い方を知る。

☆チャレンジしてみましょう 解答

1.1) もの 2) 家 3) もの 4) や 5) ぼう

2.1) ア 2) ウ 3) エ 4) イ 5) オ 6) カ

5.活動

1.本文を参考に、自国のまんがから好きなものを選び、登場人物についての紹介文を

書く。

2.実在しないオリジナルのまんがを作り、その主人公についてさらに細かい紹介文を

書く。

*その他の活動例

グループごとにオリジナルのまんがを考え、人物紹介だけではなく、ストーリーも考

え、ひとつの新しいまんがを作成してもよい。

6.備考

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第3課 6500万年前の世界

【サブタイトル】

きょうりゅうのなぞ

【ねらい】

・自然科学的な読み物に慣れる。

・恐竜について知り、生物のたどってきた歴史に興味を持つ。

・オリジナルの恐竜を考えて、簡単なことばで説明する。

【学習文型】

・~一方~ ・~に比べて ・~に違いない ・~わりには

【主な学習活動】

1.読む前に

古代の地球について想像する。恐竜という答えが出てきたら、そのことについて話をしても

よい。(どんなものがいたか、どんなところに住んでいたか、など)また、人間は生物として

は新しいものであることも知る。

答1.現在より暖かく木々が生い茂り、恐竜が住んでいる。

答2.約6500万年前に絶滅したと言われている。

答3.現代人が登場したのが約14万年前と言われている。

2.本文

植物食恐竜と肉食恐竜の違いを読み取る。そして、恐竜が絶滅してしまった原因について知

る。いくつか恐竜の名前が出ているので、自分たちが知っている恐竜について、話をさせても

よい。なお、絶滅の理由についてはいろいろな説があり、本文の説が正しいというわけではな

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い。

3.練習問題の解答

1.に比べて 2.にちがいない 3.わりには 4.一方

4.読解問題の答え

1.食べ物-草や木のはっぱ(または、植物) 性格-おとなしい

体の特徴-つめや歯 歩き方-2足 / 4足

2.3)

5.発展

恐竜クイズの解答

1)-D、ウ 2)-A、ア 3)-C、エ 4)-B、イ

恐竜の名前のつき方に、いくつか特徴があることに気がつくとよい。

6.活動

恐竜を想像して、名前や食べ物、住んでいた場所や特徴などを、具体的に考えて簡単に説明

をする。生徒の日本語レベルに応じて、特徴を書く部分は指導をする。(使う文型を指示する、

いくつかの語彙をあらかじめ提示するなど)

できたものは、教室に掲示したり、クラスで「恐竜図鑑」としてまとめたりしてもよい。

7.備考

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第4課 漢字はすごい!

【サブタイトル】

絵から文字へ

形声文字

【ねらい】

・漢字に親しむ。

・漢字の由来や成り立ちについて知る。

・漢字の仕組みについて知り、今後の漢字学習に役立てる。

【学習文型】

・~にすぎない ・~をもとに

【主な学習活動】

1.読む前に

象形文字の導入。絵文字と現在の漢字が似ていることに気づかせる。

(絵文字の答え:月 日 火 川 木 母 犬 見 川 魚 鳥)

2.本文

「絵から文字へ」では、象形文字、指事文字、会意文字について理解する。象形文字

は絵をもとにつくられた文字であることを理解する。指事文字、会意文字はパーツをい

ろいろ組み合わせてつくられていることを理解し、漢字がどのようにしてできていった

のかを知る。

本文にある文字以外の象形文字や指事文字、会意文字を紹介するとよい。「形声文字」

では、偏とつくり(部首)について理解する。ここではあえて「部首」という用語は出

さずに、成り立ちを理解できるようにした。この仕組みが理解できると、今後の漢字学

習が容易になる。

「言」はごんべん。文字や人が話すことを意味する。

3.読解問題の解答

1.○ 2.× 3.○ 4.○ 5.×

4.発展1

象形文字と会意文字についての問題。

2.の国字の問題については、漢字を見て成り立ちを考えるものなので、自由に考えさ

せてよく、この漢字を練習したり覚えたりする必要はない。

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クイズの解答

1.1)車 2)門 3)高 4)金 5)歩 6)立

2.峠(とうげ)-山道を登りつめて、それを過ぎれば下りになるところ

(新明解国語辞典) 山、上、下

鰯(いわし)-ウルメイワシ、カタクチイワシなど遠海魚の総称。からだは細長く、

背中は青緑色で、腹は銀白色。食用または肥料用。

(新明解国語辞典) 魚、弱

*意味の解答はこの通りでなくてよい。

3.能力試験 3 級までの漢字 35 字がかくれている。(右 来 金 雨 土 火 出 円

年 休 上 女 何 学 六 車 大 本 足 月 行 四 前 左 下 口 見

手 名 母 先 中 男 友 一)

5.発展2

形声文字に関する問題

解答 1.1)題 2)旅 3)帰 4)場

2.持 時 飯 曜 清 晴 濯

漢字に興味を持つ生徒には、辞書を使って調べさせてもよい。

*その他の活動

象形文字を使って、絵手紙を書いてみる。

6.備考

コラム「顔文字」:パソコンや携帯メールの普及で、若い人たち(特に女性)に、顔文

字で書くメールが流行っている。ここに挙げたのはほんの一部で、人によっていろいろ

な顔文字を考えて使っている。

この課では、文型の習得より、漢字についての知識を深めることを重視しているので、

文型の練習問題は用意していない。必要ならば、教師が作成してやらせてもよい。

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第5課 おもしろトイレ事情

【サブタイトル】

トイレの革命

【ねらい】

・トイレの開発に関するエピソードを読み、物を作り出すことの大変さ、面白さを知る。

・トイレという身近なものの中に、文化の違いがあることを発見する。

・自由な発想でオリジナルのトイレを考えることで、物を作り出すことの面白さを体験

すると共に、それを説明する文と、的確な宣伝文句を日本語で考える。

【学習文型】

・~しかない ・~のではないか ・~たびに

【主な学習活動】

1.読む前に

・日本には洋式トイレと和式トイレがあることを知る。日本では古代から20世紀の前

半までずっと和式トイレであった。(だから「和式」なのである。)現在では洋式トイ

レのほうが人気があり、新築住宅のほぼ 100%が洋式トイレ。しかし、公衆便所ではお

しりを便座につけるのが汚くていやだと考える人も多く、和式トイレも多い。

・お湯でおしりを洗う便座を使ったことがある人がいればその感想を聞く。

・世界では、多くのものがおしりをふくために使われている(いた)が、そのほとんど

が、その国で身近にある、簡単に手に入るものだということを知る。(例えば、砂漠の

地域では、砂が使われている。決して水ではない。)

2.本文

お湯でおしりを洗う便座の開発・販売のための、「おしりのデータ」「お湯が出る装置」

「お湯の温度を一定にする装置」「テレビコマーシャル」に関するエピソードをとりあげ

ている。これらのエピソードを他のエピソードと混同しないように正確に読みとる。

3.練習問題の解答

1. たびに 2. のではないか 3. しかない

4.読解問題の解答

1.1)× 2)○ 3)× 4)× 5)○

2.1)町で車のアンテナがまっすぐにのびていく様子

2)雨の町の中の信号

3.お湯がとつぜん冷たい水に変わってしまうという故障があったから。

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5.発展

「ウォシュレット」以降の日本のトイレの事情を知り、自分の国のトイレと比較して、

トイレに対する考え方の違いについて話し合う。

(例えば、「この機能は必要か、必要ではないか。」「この機能があることから、日本の

人はトイレでどんなことに気をつかっているのか」など。)

6.活動

自由な発想でおもしろいトイレを考えさせ、絵・宣伝文句・紹介文を書く。ポスター

はいろいろな人が見るので、どこに貼っても不快感を与えない工夫が必要であることを

活動前に伝える。(本文中のテレビコマーシャルでも、食事中でも見られるような、細心

の配慮があった。)

宣伝文句は、短くて、おもしろく、しかもそのトイレの特徴がすぐにわかるような工

夫が必要であることを伝える。

実際に大きな紙にポスターをかかせ、紹介文を読ませて、新しいトイレを発表する場

を設けてもよい。

7.備考

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第6課 作文を書こう

【ねらい】

・生活作文、創作作文、意見作文を書く。

・原稿用紙の使い方を学ぶ。

【主な学習活動】

1.昨日一日の生活から、書くことを見つける。

・過去の出来事を振り返り、時間の流れに沿って作文を書く。

・単に、出来事の羅列にならないよう、会話文を入れたり、自分の思ったことを入れて書く

ようにする。

・縦書き原稿用紙の使い方を覚える。

2.友だちの良いところを見つけて書く。

・作文を書く前に、その友だちについて思うことを書き出す。

・そして、そのことにまつわる出来事や、自分との関係などを入れながら、友だちを紹介す

る。

・外見の特徴を述べるだけにならないよう、注意する。

3.物語を考えて書く。

・あらかじめ決められた約束事をベースに、物語を考える。

・主人公と話の始まりと終わりは設定してあるので、展開部分を自由に考えさせる。

・生徒のレベルによって、書かせる量を調整する。

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4.意見文を書く。

・導入:どちらの意見に賛成か、その理由は何かなど、自分の意見がしっかりまとめられる

ようにする。そして、次の意見作文を書く作業へとつなげる。

・意見の述べ方(書き方)を学習し、短い意見文を書いてみる。

・横書き原稿用紙の使い方を学習する。基本的には、縦書きと同じだが、数字を漢字でなく

算用数字を使う点や、カギカッコの向きや書く場所が異なるので注意する。短い練習問題

を載せたので、実際に書き方を練習するとよい。

・自分の意見を文章にする。テレビや新聞のニュースの中から、自分でテーマを決めて、作

文を書く。テーマによっては、語彙が難しかったり、内容が複雑になったりするので、教

師があらかじめテーマをいくつか選び、その中から選んで書かせてもよい。

5.備考

この課では、作文の題材を 5 つ載せているが、これは一度に全部書かせるためではな

い。他の課を進めながら、必要に応じてこの課にもどり、作文の指導をしてほしい。作

文が上手になるためには、ある程度の回数、書く練習をしないといけない。そのために

役立てて欲しい。一度にたくさんの量を書かせるより、少しずつ何度も書かせる方が、

書くことに慣れ、作文嫌いを減らすことにもつながるだろう。

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第7課 お札の顔はだれだ?

【サブタイトル】

野口英世の一生

【ねらい】

・野口英世の一生を、順を追って正確に読みとる。

・強い意志と絶え間ない努力で医者になった野口英世は、中南米をはじめ、世界で活躍

していたことを知る。

・自分の国の偉人に興味を持ち、その一生を調べ紹介する。

・自分がお札の顔になったと想定し、想像の文を書く。

【学習文型】

・~ではありませんか ・~なんて~ない ・なんて~だろう ・~ほどだ

【主な学習活動】

1.読む前に

・日本のお札には、著名な過去の人物が選ばれていることを確認する。

・日本の千円札を見て、印刷されている人物が誰で、どんなことをしたのか、知ってい

ることを話し合う。生徒に全く知識が無い場合は、いつの時代にどんな仕事をしてい

た人だと思うかなどを想像させる。

・自分の国のお札を用意し、印刷されている人物が誰で、どんなことをしたのか、知っ

ていることを話し合う。

※お札に人物が印刷されていない場合は、「お札に顔を載せるとしたら誰がいいと思う

か」について話し合うなどの活動が想定される。

2.本文

・野口英世の人生は、何かのできごとや人との出会いによって、変化していく。きっか

けとその結果のつながりを押さえながら読みとる。

・「 」内は会話、( )は思ったことが書かれている。

3.練習問題の解答

1. なんて 2.ほど 3.なんて 4.ではありませんか

4.読解問題の解答

①カ ②イ ③エ ④キ ⑤オ ⑥ウ ⑦ア

⑧d ⑨b ⑩a ⑪e ⑫c

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5.活動1

自分の国のお札に印刷されている人物の一生について、簡単な出来事、出会い、エピ

ソードを順に追って書く。お札の人物について書きにくい、もしくはお札に人物が印刷

されていない場合は、自分がお札に載せたい歴史上の人物について書かせる。教師が予

め一人の人物を取り上げ、例を示すことが好ましい。

例 野口英世

野口英世は、1876年に生まれました。小さいころやけどをして、左手が不

自由でしたが、手術を受けて、手が動かせるようになりました。このとき、医者は

すばらしい仕事だと思い、自分も医者になろうと決心しました。医者になってから

は、アメリカや中南米でかつやくし、特に黄熱病の研究で成果をあげました。しか

し、アフリカで自分が黄熱病にかかってしまい、51才でなくなってしまいました。

6.活動2

・お札の絵の顔の部分に自分の似顔絵を書くか、写真を貼る。左上の四角に、いくらの

お札なのか数字を書かせる。色をぬってもよい。

・お札の顔になるような活躍を、大きく想像させて自由に書かせる。

・書き終えたものをクラスで発表し、誰をお札の顔にするか決めることにすれば、人と

違った個性あるものを書くための動機付けができる。

*その他の活動例

・野口英世を読んだ感想文を書かせる。

・偉人の自己紹介文または紹介文を2課を参考に書かせ、名前をふせ発表し、誰のこと

か当てる。

・自分の好きな偉人について思うことを作文に書く。

・他の国のお札について、何がかかれているか調べる。

7.備考

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第8課 学校って、どんなところ?

【サブタイトル】

日本の学校

日本の学校のルールって、知ってる?

1週間のスケジュール

【ねらい】

・日本の学校の様子を知る。

日本の義務教育制度をはじめ、実際の学校(中学校)生活のルール、学習科目、

その他の活動を知る。

・自分の学校の校則を紹介(作成)する。また、学校自慢をする。

日本の学校と自分の学校を比べ、校則について話し合う。また、科目名を学び実

際の自分の学校の紹介(自慢)をする。

【主な学習活動】

1.読む前に

・毎日通っている学校生活について、各学校についての様子を話し合ってみる。日本の

学校制度とは大きく異なる部分もあるので、教科書にある絵から持つ疑問などについ

て話してみてもよい。また、学習者が通う学校ごとの違いもあるので、そこに焦点を

あてて話し合ってもよい。

2.本文

日本の義務教育について、学習期間や学習時期などを読み取り、現在の日本の教育状

況を知る。

日本では当たり前のように各学校ごとに定められた校則の例を読み、日本の校則とい

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うものについてどのように思うか各自の意見を持たせる。

日本の時間割の例を通して、1 週間のスケジュールを知り、日本人の中学生がどのよ

うな勉強をしているのかを知る。また日本語での科目名を学ぶ。

3.発展

異なる中学校に通う日本人中学生の会話を読みながら、さらに具体的に 1 日の学校生

活を知り、中学生の最も興味のある「クラブ活動」を知る。前ページの時間割とともに

会話を読み進めるとさらにわかりやすい。

4.活動

1.日本の中学校の校則をもう一度読み、自分の学校に校則がある場合には、それを紹

介し、また日本の校則と比べてどう思うかを発表する。校則がない場合には、自分

たちの学校にあったらいいと思われる校則を作成してみる。

2.日本の時間割を参考に、自分の学校で学習する科目を書き出す。

3.自分の学校のユニークな先生や授業を取り上げ、紹介文を書く。

*その他の活動例

・同じ学校に通う学習者同士をグループにし、グループごとのプロジェクトとして行っ

てもよい。また校則や学校自慢の紹介文を作成後に、各自発表させてもよい。

・実際に日本の中学校などでの生活経験のある学習者がいる場合には、実際に学校生活

を送ったときの様子や感想などを話してもらうとよい。

5.備考

この課で紹介する中学校の校則や時間割、クラブ活動に関してはあくまでも一例に過

ぎず現在の日本の中学校では、学校ごとにいろいろ異なる点も多い。

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第9課 ことわざ・慣用句はおもしろい!

【サブタイトル】

ことわざって何? 動物とことわざ 日本語の慣用句

【ねらい】

・日本語のことわざ・慣用句に興味を持ち、いろいろな場面での使い方を知る。

・日本語の「動物が登場することわざ」について知り、自分でもことわざを作ってみる。

・日本語の「体や顔の名前がついた慣用句」について知る。

・自分の国のことわざ・慣用句を日本語に訳し、説明する。

【学習文型】

なし

【主な学習活動】

1.読む前に

自分の知っていることわざ(スペイン語)を言わせ、ことわざについて興味を持たせる。日

本語のことわざで知っているものがあればあげさせる。

2.本文

1)ことわざって何?

・一つ目の絵を見たところで読み進めるのをやめ、自分なりの表現で(日本語で)ことわざを

考えさせる時間をとる。

・「さるも木から落ちる」を実際にどんな場面で使うか、下のイラストで確認すると共に、2

人組で「さるも木から落ちる」を台詞にいれた短い劇を作らせるてもよい。

2)動物とことわざ

・「たぬき寝入り」と「ねこの手も借りたい」について、それぞれ「たぬき」と「ねこ」であ

る理由を押さえながら読む。

3.日本語の慣用句

文そのままの意味と、慣用句としての意味の違いの面白さを「のどから手が出る」の例から

知る。「体のことばと慣用句」「顔のことばと慣用句」の説明の部分を見せないで、どういう意

味か想像させたり、絵をかかせたりしてもよい。なお、「のどから手が出るほどほしい」とい

うように、「~ほど」や「~くらい」と一緒に使うものは、「のどから手が出る」と「顔から火

が出る」であり、その他は「彼は顔が広い」というようにそのまま使うものである。

4.活動1

・「動物が登場することわざ」の例の意味と使い方を確認してから、同じ意味のことわざを作

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らせ、教科書にあるような絵を書かせる。

・状況を見て、日本語や自分の国のことわざをもとにした、オリジナルのことわざを作らせて

もよい。

5.問題の解答

①頭 ②口 ③顔 ④腹 ⑤口 ⑥口 ⑦耳

⑧足 ⑨手 ⑩目 ⑪へそ ⑫ 胸

6.活動2

自分の国の「動物が登場することわざ」や「体や顔のことばがついた慣用句」を日本語に訳

す。なるべく短い文にまとめさせたいが、ことわざらしくない表現になってもよしとする。未

習語彙が出てくる可能性があるので、辞書を用意させたり、教師が訳を手伝ったりする必要が

ある。もし日本語のことわざの中で対応するものがあったら紹介し、その同じ部分、違う部分

を比べる。

7.備考

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第10課 昔々、あるところに・・・

【サブタイトル】

かさこじぞう

【ねらい】

・日本の昔話を読む。

・日本文化である「お正月」を知る。

・ペープサート(紙人形劇)を作成し、昔話を演じる。

【学習文型】

なし

【主な学習活動】

1.読む前に

「昔々、あるところに・・・」という始まりで有名な日本の昔話のイラストをもとに、

学習者がこれまでに読んだことのある話について話し合う。

イラストの昔話:「つるの恩返し」「花さかじいさん」

「うらしま太郎」「かぐや姫」「さるかに合戦」

2.本文

昔話「かさこじぞう」を読み、昔話特有の表現や昔の会話表現を知り、日本の文化・週

間でもある「お正月」の様子を理解する。

特有の表現:始まり「昔々、あるところに・・・がありました。」

終わり「・・・とさ。」

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3.発展

本文に出てきた「お正月」についての知識をさらに深める。日本古来の伝統行事であ

るお正月の迎え方(おかざり、食べ物)を知る。

4.読解問題の解答

( 1 ) ( 7 ) ( 5 )

( 6 ) ( 3 ) ( 8 )

( 4 ) ( 9 ) ( 2 )

5.活動

ペープサートの作り方、持ち方、演じ方、動かし方を学び、実際に昔話(かさこじぞ

う)を演じてみる。

☆さあ、やってみよう!

・かさこじぞうを演じるために用意するものの一例があげてあるので、その他登場人物

や必要なものを考える。

・ペープサートの型紙見本を参考に他のものも作製する。

*その他の活動例

「かさこじぞう」以外の昔話を取り上げてもいいし、自国で有名な昔話などを取り上

げて、スペイン語や日本語で演じてみてもよい。

6.備考

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第11課 詩の世界

【サブタイトル】

世界でいちばん短い詩

【ねらい】

・詩の内容や表現を楽しむ。

・作文と詩の違いを知る。

・俳句、川柳についての知識を得、同じラテンアメリカの人や、子どもが作った作品を

知る。

・自分で詩や川柳を作ってみる。

【主な文型】

なし

【主な学習活動】

1.たんぽぽ

たんぽぽの白い綿毛が風にふかれて飛んでいく様子を描いた詩。ことばから感じとる

イメージを絵にして、「詩」というものについて知る。

2.名づけあそびうた

同じ詩人による作品。「たんぽぽ」とは全く違った、ことば遊び的な詩。詩には、いろ

いろなものがあることを理解し、何でも詩にできることを知る。

3.活動1

川崎洋さんの「なまえうた」を参考にして、自分の名前を使った「なまえうた」をつ

くる。「ん」で始まることばはないので、他の文字を使ったりして、難しくならないよう

指導する。

4.生活の中での感動を

・生活の中で感動したことや発見したことなど身近な話題も詩の題材となる。

・南米の特徴がよく表れている詩を鑑賞する。

・好きな詩を探して、クラスで発表する。

5.世界でいちばん短い詩

俳句の導入。目にした情景を、どのように短い文で言い表すか考える。この段階では、

俳句にする必要はなく、17文字の文になればよい。

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6.俳句

日本の有名な俳句を鑑賞し、俳句のきまりや特徴について理解する。また、ラテンア

メリカの人の作品を通して、自分たちの国でも俳句がつくれることを知る。

7.せんりゅう

川柳と俳句の違い、川柳のルール(ユーモアを入れる)などについて理解する。いろ

いろな作品を通して、川柳の特徴を知る。

8.活動2

川柳を作る。紹介したコツをもとに、楽しい川柳を考える。柔軟にいろいろな連想が

できるようにしたい。多少、字足らず、字余りがあっても構わない。

*その他の活動

・生徒の日本語によっては、俳句を作らせてもよい。その場合、子ども歳時記などで、

季語を紹介するとよい。また、無季語の作品でも構わない。

・作った川柳のコンテストをクラスでしてもよい。(誰の作品がいちばん面白かったか、

など)

・作者名も、本名でなくペンネームを考えると面白い。

9.備考

コラム「日本人の名前」

日本人の名前の特徴を簡単にまとめた。男性・女性それぞれに特徴があるので、

日本人名を持つ生徒には、自分の名前はどんな特徴があるのか調べさせてもよい。

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第12課 3分で何ができますか

【サブタイトル】

カップヌードルが生まれるまで

【ねらい】

・日本で作られ世界的に有名な食べ物となった「カップヌードル」の誕生の歴史を

知る。

・常体(「だ・である」調)で書かれた説明文の読解に慣れる。

・発明を生み出すためのヒントを知り、新たな発明品を考えてみる。

【学習文型】

・~もの ・~あまり ・~ことに ・~として

【主な学習活動】

1.読む前に

カップヌードルがこだわった「3分」という時間に焦点を当て、3分でできるこ

とを考えてみる。

2.本文

カップヌードルを発案し、その製品化に至るまでの開発者たちの努力の歴史を読

みとる。さらに、この食品は便利な食べ物として存在しているだけではなく、災害

時の援助物資としても大きな役割を果たしていることを知る。

3.練習問題の解答

1.ことに 2.あまり 3.として 4.もの

4.読解問題の解答

1.2) 2.3) 3.3)

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5.発展

カップヌードルには、普段食べているだけではわからない秘密が隠されている。

カップヌードルの構造を探ってみる。

6.活動

世界には人々の努力によって発明された様々な製品がある。それらの発明の歴史

を調べてみる。また、発明のヒントを知り、自分で新しい製品を考えてみる。

7.備考

世界に広まったカップヌードルは、販売地域によって味付けを変えるなど、他に

もいくつかの工夫がなされている。自分の住んでいる国ではどんなものが売られて

いるか調べてみてもよい。ホームページも参考になる。http://www.nissinfoods.co.jp

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第13課 朝って何時? 待つのは何分?

【サブタイトル】

時間の感覚

何分待ちますか

【ねらい】

・時間について、意識の違いがあることを知る。

・グラフのある文章を読んで、内容を読み取る。

・自分で表やグラフを作ってみる。

【学習文型】

・~とは ・~にしては ・~に関する ・~によれば ・~別に

・~に関わらず ・~について ・~のに対して

【主な学習活動】

1.読む前に

「朝」「ちょっと」ということばが持つ意味について考える。人によって、捉え方が違

うことに気づかせる。「朝」は何時か、「ちょっと」は何分か、クラスの人の意識を調べ

てみてもよい。

2.本文

前半では、人が時間に関することばに対して持っているイメージが、それぞれ異なっ

ていることを知る。また、グラフや数字が多く出てくる文章を正しく読み取れるように

する。

後半は、相手によって、待ったり待たせたりする時間を使い分けていることを知る。

ここでも、グラフや、その説明が正しく読み取れるようにする。

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3.練習問題の解答

1.関する 2.しては 3.別に 4.よれば 5.対して

4.読解問題の解答

1.3)

2.(上、左から)2時間 29.3% 13%

3.2)

5.発展

自分が時間について、どのような意識を持っているかを知る。

1では、時間に関することばについての感覚、2では、日本語のあいさつを使う時間に

ついて、3では、自分の国のことばの挨拶の使われ方について、自分がどのような感覚

を持っているか調べる。

国によって、人によって、ことばの使われ方が違っていることに気がつく。

6.活動

人を待つ時間、待たせる時間について 10人に聞いて、結果を表にしてグラフにまとめ

る。そして、出てきた結果について、なぜそうなのか、クラスで話し合いをする。

生徒の年令や能力によって、表の平均の出し方(合計÷人数)、グラフの書き方につい

て、指導する。

7.備考

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第14課 あなたはどっち?

【サブタイトル】

ディベートって、なに?

【ねらい】

・あるテーマに対して、自分の賛成意見または反対意見の理論的な述べ方を学ぶ。

・正しいディベートの仕方を学び、実際にディベートを行う。

・わかりやすく1つのテーマを例として取り上げ、そのモデルに従って基本的なディベ

ートを実際に行ってみる。

【学習文型】

・~(て)ばかり ・~くせに ・~うちに

【主な学習活動】

1.読む前に

身近に感じられる3つのテーマを取り上げ、それについて自分自身がどう思うかを形

式にとらわれず話し合ってみる。

2.本文

学生にとって身近に感じられる「宿題の必要性」をテーマに書かれた会話文を読み、

自分自身の意見の述べ方の大切さを理解する。また相手の意見の正しくない点などへの

質問の仕方の重要さなどを感じ取らせる。そして、先生の発言をもとに学習者の関心を

次の活動へとつなげていく。

☆ディベートとは、こんな話し合い

ディベートの一般的な流れを知り、その流れに従って具体的に発言の仕方を学ぶ。本

文の会話の内容をもとに例文があげられている。

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3.活動

テーマ『「犬」と「ねこ」と、飼うなら「犬」のほうがいい』を例として取り上げ、実

際のディベートの流れをつかみ、チャートに従って実際に意見、理由、質問、答えなど

を考え基本的なディベートを実際に行う。

*その他の活動例

この課では最終的にディベートを判定をする審判は教師を想定しているが、学習者の

日本語のレベルにより、審判役も学習者が行ってももちろんよい。

4.練習問題の解答

1.ばかり 2.うちに 3.くせに

5.備考

・ここで取り上げているディベートの仕方は一般的なものなので、学習者の人数やレベ

ルに合わせてアレンジしてもよい。

・テーマについてはじめに賛成側か反対側かを決める際は実際の自分自身の意見とは関

係なく「くじ引き」により決められるのが一般的なので、どちら側になったとしても

それに合わせて自分自身の意見が述べられるように指示する必要がある。

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第15課 ショートショート

【サブタイトル】

リオン

【ねらい】

・星新一の「リオン」を読み、ショートショートの世界を味わう。

・日本人向けに書かれた作品にふれる。

【学習文型】

・~がてらに ・~とも ・~に対して ・~のごとく

・~わけだ ・~あげく ・~とは限らない

【主な学習活動】

1.読む前に

・「リオン」という音から想像するものを言わせる。ライオンがかいてあるので、最初の答え

は動物に限定されてしまうかもしれないが、動物とは限らないことを伝え、自由に想像させ

る。

・コラムを読み、課のタイトルである「ショートショート」とは何のことであるかを押さえる。

2.本文

「リオン」と「ブロン」の形や特徴を、本文の中から正確に読み取るようにする。

3.練習問題の解答

1.のごとく 2.とも 3.に対して 4.わけだ

5.とは限らない 6.あげく 7.がてらに

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4.読解問題の解答

1.

・大きさがネコぐらい

・しっぽが大きい

・リスとライオンの両方に似ている の点を押さえていればよい。

2.

大きさ ネコぐらい

色 黄色っぽい

性質 飼い主に対してはリスのごとくおとなしく、敵に対してはライ

オンのごとく勇敢。

3.ぶどうのように小さい実がメロンのように少ししかなっていない

4. 4)

5.活動

・いろいろなものを組み合わせて、新しい動物や植物、道具など自由なものを書かせる。2つの組

み合わせにとどまらず、いろいろ組み合わせてもよいが、何と何の組み合わせなのかを、次の紹

介文にきちんと書くように指示する。

・いくらで買いたいか、次々に値段を言っていき、止まった所でその値段が決まる。各自の持ち金

を決めておくことがポイントである。一番高い値がついた人が勝ち。

6.備考

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第16課 いつ?どこで?だれが?なぜ?

【サブタイトル】

不思議な島「イースター島」

【ねらい】

・説明文に慣れる。

・不思議な話における謎を読み取り、文明・時代背景などを通して世界の不思議に興味

を持つ。

何がどのように不思議なのか、また現在なぜそう考えられているのか、また歴史

的背景、他国との関係などを読み取る。

・自分の町や国における不思議な話を見つけ、まとめる。

【学習文型】

・~一体~でしょう(か)/だろう(か) ・~をきっかけ ・~により/によって

・~にわたって

【主な学習活動】

1.読む前に

3つの質問に対して答えを考えながら、身の回りにある不思議な話の存在や、他国と

の関係を考える機会をあたえる。取り上げられている 2 枚の写真をもとに話をふくらま

せてもよい。

掲載写真:「マチュピチュ」(ペルー),「チチェン・イツァー」(メキシコ)

2.本文

ラテンアメリカ諸国に数多く存在する遺跡の一つであるチリの「イースター島のモア

イ像」をテーマに書かれた文章を読みながら、地理、時代背景、文明、歴史などを知る。

また、日本との意外な関係が築かれるきっかけなども読み取り、はるか離れた日本と南

米とのつながりに関心を持たせる。

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3.練習問題の解答

1.をきっかけに 2.にわたって 3.一体 4.により

4.読解問題の解答

1.

2. 2)

3. 2)

5.発展

本文の内容に関して、疑問に残る点を取り上げ、「イースター島」の名前の由来とモア

イ像の運搬の不思議についてさらに読み深める。

6.活動

・自分の住む町や国に関して不思議な話やおもしろい話があるか調べてみる。いつ、ど

のようにそれが発見され、どのような点に謎が残されているのか、また他の国との意

外な関係があるかなどをまとめる。

・各自またはグループごとに調べたことをクラスで発表し、他の人たちの意見を聞いて

みる。

*その他の活動例

文章でまとめるだけではなく、参考資料となる図、表、写真、絵なども集め、わかり

やすく見やすい壁新聞などとしてまとめてもよい。

7.備考

・イースター島

タヒチ

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第17課 あなたは何色?

【サブタイトル】

色のイメージ

【ねらい】

・抽象的な表現が多く使われた説明文を読むことに慣れる。

・色のイメージをもとに、色と心の関係を読み取る。

・性格や心の状態を表すことばを増やし、実際に周囲の人たちを色から診断してみ

る。

【学習文型】

・~わけではない ・~ものだ ・~向け ・~をもとに

【主な学習活動】

1.読む前に

色がイメージしやすい〝ウェディングドレス″や〝消防車″をテーマにそれぞ

れの持つ色のイメージについて、またなぜその色をイメージするのかなどを話し合

ってみる。

日本での一般的な色のイメージ:ウェディングドレス「白」、 消防車「赤」

2.本文

日常生活の中に見られるいろいろな物を通して、日本での色のイメージを知る。

また色のことばを増やし、各色が与える心理的な影響を読み取り、色と心の動きの

密接な関係を知る。

3.練習問題の解答

1.をもとに 2.ものだ 3.わけでもない 4.向け

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4.読解問題の解答

1.暖かい―赤 平和―緑 楽しい―黄色・オレンジ

冷たい―むらさき・青 エレガント―うすいむらさき ・青

やさしい/かわいらしい―うすいピンク

2.赤は、 心臓の動きを速くする という効果がある

行動力を示す 色だと考えられている

赤は、 交通信号 や 消防車 に使われている

5.発展

好きな色やいつも選んでしまう色をもとに、性格や心の状態がわかる心理テスト

をしてみる。

第2課で性格を表す中級レベルのことばをいくつか学習しているが、ここでさら

に語彙を増やす。

6.活動

各自がカラーセラピストになり、クラスメイトや家族など周囲の人たちからイメ

ージされる色を選び、発展ページの色診断結果を参考にそれぞれの人たちの性格を

診断してみる。

また反対に、自分自身が周囲の人たちからどのような色にイメージされたかを聞

き、実際の自分の性格や心理状態と比べてみる。

7.備考

この課ではあくまでも日本での各色に対するイメージを取り上げているので、各

国によって異なる場合には、日本とのイメージを比較したりしてみてもよい。

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第18課 地球が危ない!

【サブタイトル】

森林破壊

大気汚染と酸性雨

【ねらい】

・最近の環境問題について理解する。

・自分が、どのように環境と関わっているかを知る。

・環境を守るためにできることを考える。

【学習文型】

・~まま ・~のおかげ ・~につれて

【主な学習活動】

1.読む前に

環境に関係した簡単なクイズを通して、どの程度、正しい知識を持っているのかを知

る。また、解答についてどう思うか、それぞれ考えさせてもよい。環境に対する認識の

度合いを知ることができる。

2.本文

ラテンアメリカと関わりが深い 2 つの環境問題について述べてある。それぞれの問題

の原因を理解し、自分たちの国の問題と結びつけて考えられるようにする。語彙が難し

いので学習者のレベルによって、本文に入る前に語彙を説明する。

3.練習問題の解答

1.のおかげ 2.まま 3.につれて

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4.読解問題の解答

1.1)エ 2)ウ 3)オ 4)イ 5)ア

2.1)法律 2)ガソリンの質 3)車のナンバーによって運転できる日

5.発展

・チャートで、自分がどの程度環境のことを考えているかを知ることができる。

・普段の何気ない行動が、地球環境に影響していることに気づかせる。

6.活動1

自分が住んでいる町の空気の汚れ具合を知ることで、環境に対する意識を強く持たせ

る。外の輪ゴムは、置く場所によってかなり結果が違ってくると思われるので、いろい

ろな場所において、空気が汚れている場所、きれいな場所を調べてみてもよい。

7.活動2

実際に自分が、どのように環境汚染、環境保全に関わっているかを書き出すことで認

識させる。また、自分だけでなく、町や国単位ではどうか考える。それらをもとに、ど

うしたら環境を守ることができるのか考え、環境問題を常に意識できるようにする。

8.備考

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第19課 ぼくの夢、私の夢

【サブタイトル】

チャランゴでかなえた夢

【ねらい】

・ボリビアで活躍している日本人の音楽家が夢を実現するまでの話を読み、自分の将来につい

て考える。

・将来の夢について、今考えていることを日本語でまとめる。

・家族や身近な人たちに今の仕事についてインタビューをすることで、その人たちとの交流を

図る。

・チャートを使って、自分にあった仕事を見つける。

【学習文型】

なし

【主な学習活動】

1.読む前に

・自分の将来の夢について、自由に語らせる。

・家族や身近な人たちが今の仕事についた理由に興味を持たせる。

2.本文

ボリビアで活躍している日本人の音楽家が、苦労や挫折の経験を経て、夢を実現するために

努力し続ける姿を知り、自分自身の将来の夢について考える。

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3.読解問題の解答

1.4)

2.ボリビアの伝統的な、いなか風のリズムがとれていなかったから。

3.1)× 2)○ 3)○ 4)○ 5)×

4.活動1

・将来の夢を絵にかいた後、インタビューに答える形で、自分の答えを書く。

・絵にかきにくい夢だったら、言葉の説明を加えてもよい。

5.活動2

・家族や身近な人を選んで、インタビューをする。インタビューシートの一番した2つの空欄

には、自分で質問を考えて書く。

・インタビューが終わったら、それを元に、口頭で発表させたり、画用紙に絵や写真を

つけてまとめさせるとよい。

6.発展

・チャートで自分にあった仕事を見つける。

7.備考

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第20課 私の国にある「日本」

【サブタイトル】

海をわたった日本語

【ねらい】

・日本人の移住と日本語学校の歴史について知る。

・昔のことを知っている人にインタビューをする。

・自分たちの地域の日本人や日本語学校の歴史を調べてまとめる。

【学習文型】

・~といっても ・~にしたがって ・~にとって ・~どころか~も

【主な学習活動】

1.読む前に

自分の国にある異文化について知る。その中で、日本人や日本の文化は、どのように

残ってきたのか考える。また、現地の文化との関わりはどうかも考えてみる。

2.本文

日本語学校は、移住の歴史と深く関っていることを理解する。また、日本語が迫害さ

れた時期があったことや、日本語学校が果たしてきた役割の変化について知る。

3.練習問題の解答

1.にしたがって 2.にとって 3.どころか 4.といっても

4.読解問題の解答

1.× 2.× 3.○ 4.× 5.○

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5.発展

・インタビューの方法を勉強する。

・昔の日本語学校のことを知っている人にインタビューをして、その内容をまとめて発

表する。発表の方法については、壁新聞やプレゼンテーション、レポートなど、その

クラスや生徒の日本語レベルに応じて変える。

・1人でインタビューをするのが難しい場合は、役割を分担して行なう。

6.活動

・日本語学校と、その地域の移住の歴史を調べて表にまとめる。

・自分の国では、いつ、どのように移住が始まったのか、どんな出来事があったのか、

日本語学校はいつ、どのように建てられたのかを調べる。自分で調べられるものは調

べ、人に聞かないとわからないことは、インタビューをして情報を集める。

7.備考

※非日系の生徒の活動に配慮し、彼らの移住史についての学習を加味することも必要

である。移住国でラテンアメリカの国々は、それぞれの民族に移住の歴史がある。

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