OSCEにおける模擬患者の役割

ーパジャマを着て思うことー

帝京大学薬学部高橋秀依

共用試験

CBT：知識の試験OSCE：技能・態度の試験（オスキー）

◆実務実習前に薬学生として身に付けておく

べき技能・態度の修得度を測る

◆ 試験領域

患者・来局者応対、薬剤調製、調剤監査、

無菌操作の実践、情報の提供

OSCEObjective Structured Clinical Examination

客観的臨床能力試験

（オスキー）

（平成15年12月）

１）実務実習事前学習

(1) 事前実習を始めるにあたり、(2) 処方せんと調剤、(3) 疑義照会

(4) 医薬品の管理と供給、(5) リスクマネージメント、(6) 服薬説明と患

者接遇、 (7) 事前学習のまとめ

２）病院実習

(1) 病院調剤を実践する、(2) 医薬品を動かす・確保する、(3) 情報を正

しく扱う、(4) ベッドサイドで学ぶ、(5) 薬剤を造る・調べる、(6) 医療人と

しての薬剤師

３）薬局実習

(1) 薬局アイテムと管理、(2) 情報のアクセスと活用、(3) 薬局調剤を実

践する、(4) 薬局カウンターで学ぶ、(5) 地域で活躍する薬剤師、(6) 薬

局業務を総合的に学ぶ

実務実習モデル・コアカリキュラム

（５週間）

帝京大学（旧４年制）の事前学習

１日目

筆記試験：薬理学30問、薬剤師法・薬事法15問、調剤学17問（計算２問）

SGD：医療現場におけるマナーとルール

医療現場の実習指導者を交えたシンポジウム

２日目

筆記試験（再試験）

講義・実技指導：薬剤調製（散剤・水剤） 、調剤薬鑑査、無菌操作（手洗い・手袋脱着） 、薬剤交付、医療面接

実習初日用の服装チェック

３日目実技試験（OSCE）

ガイダンス、合格者発表

帝京大学（旧４年制）の事前学習

１日目

筆記試験：薬理学30問、薬剤師法・薬事法15問、調剤学17問（計算２問）

SGD：医療現場におけるマナーとルール

医療現場の実習指導者を交えたシンポジウム

２日目

筆記試験（再試験）

講義・実技指導：薬剤調製（散剤・水剤） 、調剤薬鑑査、無菌操作（手洗い・手袋脱着） 、薬剤交付、医療面接

実習初日用の服装チェック

３日目実技試験（OSCE）

ガイダンス、合格者発表

帝京大学（旧４年制）の事前学習

１日目

筆記試験：薬理学30問、薬剤師法・薬事法15問、調剤学17問（計算２問）

SGD：医療現場におけるマナーとルール

医療現場の実習指導者を交えたシンポジウム

２日目

筆記試験（再試験）

講義・実技指導：薬剤調製（散剤・水剤） 、調剤薬鑑査、無菌操作（手洗い・手袋脱着） 、薬剤交付、医療面接

実習初日用の服装チェック

３日目実技試験（OSCE）

ガイダンス、合格者発表

帝京大学（旧４年制）の事前学習

１日目

筆記試験：薬理学30問、薬剤師法・薬事法15問、調剤学17問（計算２問）

SGD：医療現場におけるマナーとルール

医療現場の実習指導者を交えたシンポジウム

２日目

筆記試験（再試験）

講義・実技指導：薬剤調製（散剤・水剤） 、調剤薬鑑査、無菌操作（手洗い・手袋脱着） 、薬剤交付、医療面接

実習初日用の服装チェック

３日目実技試験（OSCE）

ガイダンス、合格者発表

帝京大学（旧４年制）のOSCE

試験領域 課題

患者・来局者応対 医療面接（ベッドサイド）

薬剤の調製散剤

水剤

調剤鑑査 調剤薬鑑査

無菌操作の実践 手洗い、手袋脱着

情報の提供 薬剤交付（薬局）

無菌調製準備

水剤調製

薬剤交付

医療面接

パジャマを着るようになったきっかけ

平成１６年度：４週間実習が必修となる。

→実習を希望しない学生も実習に参加

→受け入れ先からクレームの嵐（態度が悪い！など）

教員に危機感が高まる。学生も不安感が高まる。

「パジャマを着てくれません？」「他に薬剤師業務で何ができそうですか？」

基礎系の教員（教授総会メンバー）が率先してパジャマを着ることになる。

実習前に初めてOSCEを実施：学生に具体的に態度教育を行う。

→クレームの激減

学生の笑顔にほっとする。 (この程度で良いなら簡単！）

４００名程度の学生を３期に分け、３回/年のOSCEを実施。

すでに９回完了。

SP（教員）の養成

１．実際にプロのSPさんの模擬患者ぶりを見学。素のままで良いことを確認。

２．「SPのこころえ」を渡邊先生から伝授。（３０分ほど）

ゆっくり話す。閉じられた質問には閉じられた答えを。

徹底して患者になりきる。

どの学生にも常に同じ患者であること。（余計なアドリブは厳禁！）

小道具（マイパジャマ、雑誌や本など）を用意。

３．シナリオ（設定）を覚える。（OSCEの三日前くらい）

骨折もしくは胃痛。津久井花子(４５歳）。家族構成。セリフ。

「昨日二階でお洗濯をしていたら玄関にお客様がみえたので慌てて階段をかけおりたら、最後の２段くらいをふみはずし

ちゃって、右足をどーんとうちつけちゃったんです。すごく痛くってもう動けなくなっちゃって。」

教員がパジャマを着る

誰でもパジャマを着られます。簡単です。

2007.7.08

・学生はとても緊張する。患者を先生と思う余裕がない。

・パジャマを着ると先生には見えない。患者そのもの。

・終了後に先生が共通の体験として学生を励ますことができる。

・学生の抱える問題点がよくわかる。

→コミュニケーションの講義に活用

・コミュニケーション能力に問題がある学生を発見できる。

・問題のある学生に対して備えができる。

SPをやってみてわかったこと

先生がSPとして参加することで益することが多い。

1年次生（新入生）を対象とした医療面接OSCE

実施年度 人数 科目名 講義時間 OSCE

4年制 平成15年度 312 名 薬学への招待 60分×3 2日間

平成16年度 408 名 薬学への招待 60分×3 2日間

平成17年度 357 名 薬学への招待 60分×3 1日間 ※

6年制 平成18年度 324 名 ｺﾐｭﾆｹｰｼｮﾝ演習1 90分×2 1日間 ※

患者さんにリアリティーはありましたか？ あった 90.1 % 90.0 % 85.4 %どちらでもない 6.6 % 6.9 % 10.2 %

なかった 2.8 % 2.6 % 1.9 %

（16年度 n=393、17年度 n=350、18年度 n=315）

教員が演じた模擬患者への評価

(16年度 n=133、17年度 n=131、18年度 n=90）

質問項目 選択肢 16年度 17年度 18年度

模擬患者さんが顔見知りでやりにくいことがありましたか？

ない 68.9 % 71.8 % 67.8 %

どちらでもない 25.2 % 20.6 % 27.8 %

あった 4.4 % 6.9 % 3.3 %

患者さんからのフィードバックを通じて参考になる情報を得られましたか？

あった 87.8 % 88.6 % 84.5 %どちらでもない 9.4 % 8.6 % 10.5 %

なかった 2.0 % 2.3 % 2.5 %

質問項目 選択肢 16年度 17年度 18年度

•ものすごく不安そうでした。自分の体調に本当に自信がなさそうでした。早く治したいという気持ちが伝わってきました。

•あまりにもリアルで対応に困りました。自分も苦しみに共感してしまいお腹が痛くなりました。

•なんだかすっごく現実味があって、どんどんその世界に引き込まれていくようだった。すっごく本物の患者さんぽくてよかったです。

•しっかりと患者さんになりきって演技してくださるので、こっちも自然と薬剤師になりきって演技することができた。「模擬」の患者さんとは思えなかったのですごい！！と本当に思った。

•本当に身体の具合が悪そうにお話してくださったので、こちらも真剣に取り組めました。模擬患者さんの立場も経験してみたいです。 そのことによって薬剤師として気をつけるべき点がたくさん見えてくるように思います。

教員が演じた模擬患者への感想

選択肢 16年度 17年度 18年度

今後の勉強に対してやる気が出ましたか？

出た 83.7% 88.3% 78.3%

どちらでもない 13.0% 9.4% 17.6%

出ない 2.5% 2.0% 1.5%

コミュニケーション技術を学ぶことについてどのように感じましたか？

重要である 95.4% 96.9% 90.7%

どちらでもない 3.6% 1.4% 4.6%

重要でない 0.3% 1.4% 2.2%

医療人として適切な態度の必要性についてどのように感じましたか？

重要である 95.4% 96.9% 94.7%

どちらでもない 3.6% 1.4% 1.9%

重要でない 0.3% 0.9% 0.6%

今回のような医療面接実習の必要性についてどのように感じましたか？

必要である 93.1% 95.1% 89.5%

どちらでもない 5.1% 3.4% 7.4%

必要ではない 1.0% 1.1% 0.6%

このような医療面接実習をこれからもやってみたいと思いますか？

やりたい 76.6% 77.7% 68.1%

どちらでもない 16.3% 16.9% 22.3%

やりたくない 6.4% 5.1% 7.1%

（16年度 n=393、17年度 n=350、18年度 n=315）

１年次生を対象とした医療面接OSCEの成果

なぜみんなパジャマを着てしまうのか？

●教員及び職員の意識改革（井上 圭三 学部長）強力なリーダーシップと愛されるキャラクター。学内全体の危機感の高まり。若手に将来を任せる体制づくり。（将来計画検討委員会）楽しんで参加できる雰囲気づくり。機械室のおじさんも手伝う。

●緻密なシステムづくり（渡邊 真知子 先生）参加学生１５０名程度、スタッフのべ１５０名程度を効率よく動かす。

学生を１０名ずつグループ分けし、６つのステーションを１０分間隔で巡回させる。教員は担当するステーションで２時間程度対応する。スタッフは与えられた役割を機械的にこなすだけでよい。医療系の大学院生の活用。

なぜパジャマを着てしまうのか？

●教員及び職員の意識改革（井上 圭三 学部長）強力なリーダーシップと愛されるキャラクター。学内全体の危機感の高まり。若手に将来を任せる体制づくり。（将来検討委員会）楽しんで参加できる雰囲気づくり。機械室のおじさんも手伝う。

●緻密なシステムづくり（渡邊 真知子 先生）参加学生１５０名程度、スタッフのべ１５０名程度を効率よく動かす。

学生を１０名ずつグループ分けし、６つのステーションを１０分間隔で巡回させる。教員は担当するステーションで２時間程度対応する。スタッフは与えられた役割を機械的にこなすだけでよい。医療系の大学院生の活用。

ステーション名

薬剤調製（散剤）

薬剤調製（調剤薬鑑査）

薬剤調製（水剤）

無菌操作準備・手洗い

薬剤交付

医療面接

学生数

146

スタッフ数

AM 84 （18）PM 39 (6)

14:00 15:00 16:0010:00 11:00 12:00 13:00

14：00～16：00

10：00～12：40

10：30～13：10

10：00～12：40

10：10～12：50

10：20～13：00

帝京大学薬学部 事前学習OSCE タイムスケジュール

午前： 学生10名が一単位となり各試験会場を10分間隔で移動しながら受験する。

薬剤調製試験（ 散剤 → 調剤薬鑑査 → 水剤調製） → 無菌操作準備試験→ 薬剤交付試験

午後： 学生14名が一単位となり10分間隔で受験する

医療面接試験

（ ）ﾃｨｰﾁﾝｸﾞｱｼｽﾀﾝﾄ

学生のみなり

フラットで転用可能な講義室を事務が設計してくださいました。

毎回パーティションやベッドなどをセットします。

医療系の研究室の学生達が手伝ってくれます。

OSCEをやってよかったこと

1. 学生に心構えができ、実習態度が非常に良くなった。

2. 意外と簡単にOSCEができることがわかって安心した。６年制にも対応できそうな感じを教員が持てた。

3. 直接実務実習に携わっていない基礎系の教員にも当事者としての意識が生まれた。

4. 他の講義や実習及び行事（オープンキャンパス）等にシステムの活用ができるようになった。