trivector approachを用いた...

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松仁会医学誌46 2):1061112007 はじめに 膝関節障害に対する人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty : TKA)は有用な術式の一つであ り,広く施行されている.TKAの展開法において は,以前は術野を十分に展開するために,medial parapatellar approachが主流であった.しかし近年 では,術後早期回復を目指して四頭筋を温存する 展開法が用いられるようになってきた.四頭筋を 温存する展開法には,midvastus approach 1) subvastus approach 2) quadriceps sparing 3) trivector approach 4) などさまざまな展開法が報告 されている.われわれは,20067月からtrivector approachを用いた低侵襲人工膝関節全置換術を施 行しており,その術後短期成績を検討することを 本研究の目的とした. 対象および方法 対象は20067月から20077月の間に初回TKA を施行した3336膝(男性7例,女性26例)で平 均年齢は73.6 歳(63 84 歳),平均BMI 26.4 16.634.2)であった.内訳は変形性膝関節症26 27膝,関節リウマチ45膝,大腿骨顆部骨壊死 34膝であった.膝関節可動域は術前伸展平均- 10.6°(-250°),屈曲平均121.7°(90140°) で,日本整形外科学会OA 膝治療成績判定基準 Trivector approachを用いた 低侵襲人工膝関節全置換術の経験 杉谷和哉,阪本厚人,原田智久,小嶋晃義, 南村武彦,遠山将吾,玉井和夫 松下記念病院 整形外科 要旨:人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty : TKA)は有用な術式の一つであ り広く施行されているが,その展開法においてはさまざまな報告がある.われわれ trivector approachを用いたTKAを施行しており,その術後短期成績を検討した. 対象はtrivector approachを用いてTKAを施行した3336膝(男性7例,女性26例)で, 平均年齢は73.6歳であった.評価項目として手術時間,皮膚切開創の長さ(皮切長), 術後在院日数,術後合併症,膝関節可動域,JOAスコア,インプラントの設置角, femorotibial angleFTA)を用いた.手術時間は平均122.8分,皮切長は平均13.4 cm術後在院日数は平均22.2日であった.術後合併症には,深部静脈血栓症9膝,術後せ ん妄2膝,創治癒遅延1膝,後外側不安定性1膝を認めた.平均経過観察期間5.1カ月 時で,膝関節可動域は伸展平均-1.1°,屈曲平均119.3°であった.JOAスコアは平 均術前50.6点から術後74.4点に改善した.骨脆弱性から設置不良を生じたRA 1膝を除 きインプラントの設置角は良好で,術後FTAは平均175.1 °であった.Trivector approachを用いたTKAの術後短期成績は良好であり,本展開法は術野の展開が比較 的容易で伸展機構に対する侵襲が少なく有用な展開法であると考えた. キーワードTrivector approach,人工膝関節全置換術,低侵襲手術 200793日受付 連絡先:〒570-8540 大阪府守口市外島町5-55 松下記念病院 整形外科(杉谷和哉)

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Page 1: Trivector approachを用いた 低侵襲人工膝関節全置換術の経験...22.2日(15~33日)であった.術後合併症としては,深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅

松仁会医学誌46(2):106~111,2007

はじめに

膝関節障害に対する人工膝関節全置換術(total

knee arthroplasty : TKA)は有用な術式の一つであ

り,広く施行されている.TKAの展開法において

は,以前は術野を十分に展開するために,medial

parapatellar approachが主流であった.しかし近年

では,術後早期回復を目指して四頭筋を温存する

展開法が用いられるようになってきた.四頭筋を

温存する展開法には,midvastus approach1),

subvastus approach2),quadriceps sparing3),

trivector approach4)などさまざまな展開法が報告

されている.われわれは,2006年7月からtrivector

approachを用いた低侵襲人工膝関節全置換術を施

行しており,その術後短期成績を検討することを

本研究の目的とした.

対象および方法

対象は2006年7月から2007年7月の間に初回TKA

を施行した33例36膝(男性7例,女性26例)で平

均年齢は73.6歳(63~84歳),平均BMIは26.4

(16.6~34.2)であった.内訳は変形性膝関節症26

例27膝,関節リウマチ4例5膝,大腿骨顆部骨壊死

3例4膝であった.膝関節可動域は術前伸展平均-

10.6°(-25~0°),屈曲平均121.7°(90~140°)

で,日本整形外科学会OA膝治療成績判定基準

Trivector approachを用いた低侵襲人工膝関節全置換術の経験

杉谷和哉,阪本厚人,原田智久,小嶋晃義,

南村武彦,遠山将吾,玉井和夫

松下記念病院 整形外科

要旨:人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty : TKA)は有用な術式の一つであり広く施行されているが,その展開法においてはさまざまな報告がある.われわれはtrivector approachを用いたTKAを施行しており,その術後短期成績を検討した.対象はtrivector approachを用いてTKAを施行した33例36膝(男性7例,女性26例)で,平均年齢は73.6歳であった.評価項目として手術時間,皮膚切開創の長さ(皮切長),術後在院日数,術後合併症,膝関節可動域,JOAスコア,インプラントの設置角,femorotibial angle(FTA)を用いた.手術時間は平均122.8分,皮切長は平均13.4 cm,術後在院日数は平均22.2日であった.術後合併症には,深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅延1膝,後外側不安定性1膝を認めた.平均経過観察期間5.1カ月時で,膝関節可動域は伸展平均-1.1°,屈曲平均119.3°であった.JOAスコアは平均術前50.6点から術後74.4点に改善した.骨脆弱性から設置不良を生じたRA 1膝を除きインプラントの設置角は良好で,術後FTAは平均175.1°であった.Trivectorapproachを用いたTKAの術後短期成績は良好であり,本展開法は術野の展開が比較的容易で伸展機構に対する侵襲が少なく有用な展開法であると考えた.

キーワード:Trivector approach,人工膝関節全置換術,低侵襲手術

2007年9月3日受付連絡先:〒570-8540 大阪府守口市外島町5-55

松下記念病院整形外科(杉谷和哉)

Page 2: Trivector approachを用いた 低侵襲人工膝関節全置換術の経験...22.2日(15~33日)であった.術後合併症としては,深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅

Trivector approach 107

(JOAスコア)は術前平均50.6点(35~65点)であっ

た.Femorotibial angle(FTA)は術前平均値

184.9°(156~203°)であった(表1).

全例に内側傍膝蓋骨の皮膚切開と t r ivec tor

approachを用いて展開して,TKAを施行した.術

翌日から荷重を許可して,可動域訓練,筋力トレー

ニングおよび歩行訓練を開始した.使用した機種

は1例2膝でZimmer社製NexGen LPS-Flex,32例34

膝でZimmer社製Natural-Knee Ⅱであった.

臨床評価項目として手術時間,皮膚切開創の長

さ(皮切長),術後在院日数,術後合併症,膝関

節可動域,JOAスコアを,また画像評価項目とし

てインプラントの設置角(図1),FTAを用いた.

結果

手術時間は平均122.8分(95~150分),皮切長は

平均13.4 cm(10~18.5 cm),術後在院日数は平均

22.2日(15~33日)であった.術後合併症としては,

深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅

延1膝,後外側不安定性1膝を認めた.平均経過

観察期間5.1カ月時において,膝関節可動域は伸

展平均-1.1°(-10~0°),屈曲平均119.3°(80~

135°),JOAスコアは平均74.4点(55~95点)であ

った.

インプラントの設置角は,a:84.7°b:89.8°

c:88.0°d:87.6°で,術後FTAは平均175.1°

(169~180°)であった.

症例

67歳,女性.BMIは30.8,膝関節可動域は伸

展-10°,屈曲110°でJOAスコアは50点であった.

術前FTAは191°で,全型の変形性膝関節症を認め

た(図2).Trivector approachを用いたTKAを施行

後11カ月時で,膝関節可動域は伸展0°,屈曲

115°,JOAスコアは80点に改善した(図3).

図1 インプラント設置角

症例 33例36膝 (2006年7月~2007年7月)

性別 男性7例8膝:女性26例28膝 年齢 73.6歳(63~84歳) BMI 26.4(16.6~34.2 ) 病名 OA:26例27膝 ON:3例4膝  RA:4例5膝

可動域(伸展/屈曲) ‐10.6°(‐25~0°)/ 121.7°(90~140°) JOAスコア 50.6点(35~65点)

FTA 184.9°(156~203°)

OA:変形性膝関節症 ON:大腿骨顆部骨壊死 RA:関節リウマチ

表1 症例(Trivector approach)

正面像 側面像 軸斜像

図2 術前単純X線像骨棘形成,関節裂隙狭小化を認め,全型の変形性関節症を認める.

Page 3: Trivector approachを用いた 低侵襲人工膝関節全置換術の経験...22.2日(15~33日)であった.術後合併症としては,深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅

108 杉 谷 和 哉 ほか

考察

T K Aの展開法においては,以前はm e d i a l

parapatellar approachが主流であった.術野の十分

な展開が可能であり,インプラントの正確な設置

が容易であった.しかしながら,膝関節伸展機構

を損傷するために,膝蓋大腿関節障害5-7)や術後

早期の大腿四頭筋筋力の低下が問題となる.これ

らの問題点を解決するために,近年では四頭筋を

温存する展開法が広まりつつある.その展開法と

して,midvastus approach1),subvastus approach2),

quadriceps sparing3),trivector approach4)などが

報告されている.これらの展開法はm e d i a l

parapatellar approachと比較して,術後早期回復を

獲得すると報告されている8-11).

Trivector approachは1993年Bramlett4)が初めて

報告した.Trivector approachは膝関節屈曲90~

110°で,膝蓋骨上極から約3横指中枢から始め,

大腿直筋腱内側から1.5~2 cm内側で内側広筋を

直線的に切開する.切開は膝蓋骨内側をとおり,

膝蓋腱内縁から1 cm内側を脛骨粗面まで行う

(図4).外側広筋,中間広筋,内側広筋の膝蓋

骨付着部を温存することで,膝蓋骨に対する3

つのベクトルを温存することから tr ivector -

retaining arthrotomyと命名されている.

本展開法の有用性はBramlettら12)Fisherら13)

が報告している.B r a m l e t tらは t r i v e c t o r

approachを用いて関節置換した234膝(Primary

179膝,Revision 23膝,Unicondylar 32膝)を検

討し,膝蓋大腿関節障害は0.5%未満であり膝蓋骨

の脱臼や骨折を認めなかったと報告している.ま

た,屈曲制限や疼痛を伴う内側広筋切開部の瘢痕

形成を認めず,術野の展開が十分可能であり,膝

蓋骨の安定性も獲得する有用な展開法であると報

告している. F i s h e rらは,片側にm e d i a l

parapatellar approachを用いたTKAと対側に

trivector approachを用いたTKAを同時に施行し検

討した.SLRはtrivector approachの方が2日早く可

能で,四頭筋筋力は術後6カ月の時点でtrivector

approachの方が強い傾向にあったと報告してい

る.

本研究の結果は,術後平均5.1カ月の経過で膝関

節可動域は伸展平均-1.1°,屈曲平均119.3°,

JOAスコアは平均74.4点と良好であった.膝蓋骨

のlateral releaseを施行した症例は1膝(3%)のみ

であり,膝蓋大腿関節障害は認めなかった.本展

開法は,大腿骨および脛骨の外側関節面の展開が

切開肢位 : 屈曲90°~110°

膝蓋骨上極の2~3横指中枢

膝蓋腱内縁から1cm内側

脛骨粗面内側

大腿直筋腱内側から1.5~2cm内側

図4 Trivector approach

正面像 側面像 軸斜像

図3 術後単純X線像インプラント設置位置は良好で,FTAは175°である.

Page 4: Trivector approachを用いた 低侵襲人工膝関節全置換術の経験...22.2日(15~33日)であった.術後合併症としては,深部静脈血栓症9膝,術後せん妄2膝,創治癒遅

Trivector approach 109

比較的容易であり(図5),インプラント設置位置

はおおむね良好であった.しかし,RA 1膝で骨脆

弱性から脛骨コンポーネント打ち込み時に設置不

良を生じた症例を認めた.脛骨コンポーネント

4°外反,術後FTA 169°となり後外側不安定性を

生じたが,術後装具装着下にリハビリテーション

を施行し,不安定性は消失した.

Trivector approachの欠点は内側上膝動脈を損傷

することおよび下行膝動脈を損傷する可能性があ

ることであるが,lateral releaseを要する場合に膝

蓋骨長軸以上に施行しないことで膝蓋骨の血流を

温存するように注意している.また,内側広筋を

切開するためにsubvastus approachと比較すると,

四頭筋筋力の低下を生じる可能性がある.そこで,

当院で2 0 0 5年6月から1 1月の間に s u b v a s t u s

approachを用いて初回TKAを施行した12例13膝

(表2)14)と比較検討したが,術後臨床成績に有意

差を認めなかった(表3).しかし,Subvastus

approachで3膝に創壊死を認めたことが,当院で

trivector approachに変更する要因となった.皮下

の剥離が大きいsubvastus approachで皮膚切開が

小さくなり,術野確保のため牽引することが軟部

組織の緊張を強め,創壊死を生じたものと考えた.

Trivector approachは皮膚切開から関節包切開まで

同一創を切開するため,皮下の剥離は最小限であ

り創治癒に有利であると考えた.

まとめ

Trivector approachは術野の展開が比較的容易

で,伸展機構に対する侵襲が少なく有用な展開法

であると考えた.術後短期成績は良好であったが,

今後長期成績を評価する必要がある.

図5 Trivector approachによる術野の展開大腿骨および脛骨の外側関節面の展開が容易である.

症例 12例13膝 (2005年6月~2005年11月)

性別 男性1例2膝:女性11例11膝 年齢 69.4歳(56~78歳) BMI 27.0(23.7~32.0 ) 病名 OA:8例9膝 ON:3例3膝  RA:1例1膝

可動域(伸展/屈曲) ‐5.8°(‐20~0°)/ 123.5°(70~145°) JOAスコア 52.7点(25~75点)

FTA 182.5°(153~192°)

OA:変形性膝関節症 ON:大腿骨顆部骨壊死 RA:関節リウマチ

表2 症例(Subvastus approach)

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110 杉 谷 和 哉 ほか

文献

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muscle-splitting approach for total knee

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2)Hofmann AA, Plaster RL, Murdock LE.

Subvastus(Southern) approach for primary

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Scuderi GR et al. Springer. 2002: 131-136.

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arthroplasty. Orthopedics 1998; 21: 53 -56.

14)杉谷和哉,玉井和夫,阪本厚人,他.

Trivector approachを用いた低侵襲人工膝関節

置換術の経験.第35回京都府立医大整形外科

同門会集談会(京都市),2006年12月3日.

展開法 Trivector approach Subvastus approach

経過観察期間 5.1カ月 13.2カ月 手術時間 122.8分 131.5分 皮切長 13.4cm 12.4cm

術後在院日数 22.2日 22.4日

合併症 DVT:9膝 術後せん妄:2膝

創治癒遅延:1膝 後外側不安定性:1膝

DVT:3膝 創壊死:3膝 脛骨sinking:1膝

可動域(伸展/屈曲) ‐1.1°/ 119.3° ‐0.8°/ 113.5° JOAスコア 74.4点 81.2点 設置角 a / b 84.7°/ 89.8° 83.5°/ 89.3°     c / d 88.0°/ 87.6° 89.7°/ 86.6°

FTA 175.1° 174.9°

表3 術後成績

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Trivector approach 111

Trivector Approach for Total Knee Arthroplasty

Kazuya Sugitani, Atsuto Sakamoto, Tomohisa Harada, Akiyoshi Kojima,Takehiko Namura, Shogo Toyama and Kazuo Tamai

Department of Orthopaedics Surgery, Matsushita Memorial Hospital

Total knee arthroplasty (TKA) is commonly performed and variable surgical approaches of TKA have beenreported. This study evaluated the early results of TKA performed with the trivector approach. Thirty-six knees inthirty-three patients (7 males and 26 females; average age 73.6) were evaluated with regard to surgical duration, thelength of skin incision, the length of postoperative hospital stay, postoperative complications, range of motion,Japanese Orthopaedic Association score (JOA score), position of the implants and the femorotibial angle. Theaverage surgical duration was 122.8 minutes, average length of skin incision was 13.4cm, and average length ofpostoperative hospital stay was 22.2 days. Among postoperative complications, there were 9 cases of deep venousthrombosis, 2 cases of postoperative delirium, 1 case of delayed wound healing and 1 case of posterolateralinstability. After an average of 5.1 months follow-up, the average range of motion ranged from -1.1 degrees to 119.3degrees. The average JOA score increased to 74.4 points postoperatively from 50.6 points preoperatively. Theposition of the implants was good except in one case of rheumatoid arthritis that showed implant malpositionbecause of the vulnerability of bone. The average postoperative femorotibial angle was 175.1 degrees. The earlyresults of TKA performed by the trivector approach were good. Surgical exposure during the trivector approach issuperior to that during the subvastus approach and the disruption of quadriceps muscle is less than medialparapatellar approach. We think that the trivector approach is useful for TKA.

Key words: Trivector approach,Total knee arthroplasty,Minimally invasive surgery