v 1 mol (d = 0) d = dueckako.web.fc2.com/risuukiso_7hrv8eisrhg3324322itrrguhuefeuhwe/... ·...

20
定積モル比熱(定積熱容量) 気体の体積を一定に保って熱量 d Q を加えたとき,気体の温度が dT だけ上昇した とすると d Q = C V dT で定義される C V 定積熱容量(気体の物質量が 1 mol ならば定積モル比熱) とい う.体積一定 (d W = 0) の下では熱力学第1法則は dU =d Q であるから,定積 熱容量は次式で表される. C V =d Q/dT = ( ∂U ∂T ) V (定積熱容量) 理想気体の定積変化について述べた以下の文章のうち,誤っているもの を選びな さい.ただし,定積熱容量 C V は温度に依存しないものと仮定する. 選択肢 1) 加えられた熱量と理想気体の内部エネルギーの増加量は等しい 2) 内部エネルギーが減少すると温度は下がる 3) 内部エネルギーが増加すると圧力は上がる 4) 熱を加えると圧力は低下する

Upload: ngohanh

Post on 31-Jul-2018

227 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

定積モル比熱(定積熱容量)

気体の体積を一定に保って熱量 d′Qを加えたとき,気体の温度が dT だけ上昇した

とすると

d′Q = CV dT

で定義されるCV を定積熱容量(気体の物質量が 1 mol ならば定積モル比熱)とい

う.体積一定 (d′W = 0)の下では熱力学第1法則は dU = d′Qであるから,定積

熱容量は次式で表される.� �CV = d′Q/dT =

(∂U

∂T

)V

 (定積熱容量)

� �理想気体の定積変化について述べた以下の文章のうち,誤っているものを選びな

さい.ただし,定積熱容量CV は温度に依存しないものと仮定する.

選択肢

1) 加えられた熱量と理想気体の内部エネルギーの増加量は等しい

2) 内部エネルギーが減少すると温度は下がる

3) 内部エネルギーが増加すると圧力は上がる

4) 熱を加えると圧力は低下する

定積モル比熱(定積熱容量)

解説

1)体積一定 (d′W = 0)の下では熱力学第1法則は dU = d′Qであるから,

• 加えられた熱量と理想気体の内部エネルギーの増加量は等しい.

2)dU = d′Qであるから,dU < 0ならば d′Q < 0である.理想気体の内部エネ

ルギーが減少するということは気体から熱を奪っている.従って.

• 理想気体の温度は下がる.

3)理想気体の状態方程式 pV = nRT において V = 一定の場合,圧力と温度は

比例する (p ∝ T ).内部エネルギーが増加するということは気体に熱が加えられて

いるということで,温度は上昇する.従って,

• 理想気体の圧力は高くなる.

4)3)より

• 熱を加えると圧力は高くなる.

従って,誤った記述は 4)の「熱を加えると圧力が低下する」である.

定圧モル比熱(定圧熱容量)

気体の圧力を一定に保って熱量 d′Qを加えたとき,気体の温度が dT だけ上昇した

とすると

d′Q = Cp dT

で定義されるCpを定圧熱容量(気体の物質量が 1 mol ならば定圧モル比熱)とい

う.気体を準静的過程に変化させたときの熱力学第1法則 dU = d′Q− p dV より,

d′Q = dU + p dV を得る.圧力一定 (p =一定,すなわち dp = 0)の場合,この関

係式は次のように表すことができる.

d′Q = dU + p dV + dp V = d(U + p V ) = dH ただし H = U + pV

ここでH = U + pV という状態量をエンタルピーという.すなわち,定圧過程

において系が吸収する熱量はエンタルピーの増加に等しい.従って,定圧熱容量

は次式で表される.� �Cp = d′Q/dT =

(∂H

∂T

)p

 (定圧熱容量)

� �理想気体の定圧変化について述べた以下の文章のうち,誤っているものを選びな

さい.ただし,定圧熱容量Cpは温度に依存しないものと仮定する.

選択肢

1) 気体が吸収した熱量と気体の内部エネルギーの増加量は等しい

2) 気体に熱を加えると気体の体積は増加する

3) 気体のエンタルピーの増加量は気体が吸収した熱量に等しい

4) 気体から熱を取り出すためには外部から気体に対して仕事をする必要がある

定圧モル比熱(定圧熱容量)

解説

1)圧力一定 (p =一定)の下では熱力学第1法則は d′Q = dU + p dV であるから,

• 加えられた熱量は理想気体の内部エネルギーの増加以外に気体の体積変化に伴う仕事にもなる.

2)理想気体の状態方程式 pV = nRT において p =一定の場合,体積と温度は比

例する (V ∝ T )から,熱が加えられ温度が上昇すると

• 理想気体の体積は増加する .

3)定圧変化では d′Q = dH,つまり

• 理想気体のエンタルピーの増加量は吸収した熱量に等しい.

4)1)で述べたように,定圧変化では d′Q = dH = d(U + p V ) より,系に加え

られた熱は内部エネルギーとして蓄えられる他に気体の体積増加による外部への

仕事に使われる.逆に,気体から熱を取り出すときには系のエンタルピーが減少

する.これは内部エネルギーの減少の他に体積の減少を伴う.

• 体積が減少するということは,気体は外部から仕事をされるということである.

従って誤っている記述は 1)の「気体が吸収した熱量と気体の内部エネルギーの増

加量は等しい」で合う.

比熱比

定積モル比熱 CV と定圧モル比熱 Cpの比を比熱比と呼び γで表す.一般に γ > 1

である.

γ =Cp

CV

(γ > 1) (比熱比)

特に理想気体の場合には定積モル比熱CV と定圧モル比熱Cpの間には次の関係が

成り立つ.

Cp − CV = R (マイヤーの関係式,Rは気体定数) 

従って,比熱比を用いると理想気体のモル比熱CpとCV は以下のように表される.� �理想気体の定圧モル比熱および定積モル比熱

Cp =γ

γ − 1R, CV =

1

γ − 1R

� �2つの容器に圧力,体積,温度が等しい 1モルの理想気体を入れ,一方は体積を

一定に保ち,もう一方は圧力を一定に保ってそれぞれに熱量Qを加えた.得られ

た気体の温度について正しいものを選択肢より選びなさい.

1) 体積を一定に保った方の温度が高くなる

2) 圧力を一定に保った方の温度が高くなる

3) どちらも等しい温度になる

4) どちらの温度が高くなるかは分からない

比熱比

解説

熱量Qが加えられたときの気体の温度上昇をそれぞれ,∆TV,∆Tpとすると

∆TV =Q

CV

∆Tp =Q

Cp

である.マイヤーの関係式Cp − CV = nRよりCp > CV であるから

∆TV > ∆Tp ,

すなわち,体積を一定にして熱を加えた方の温度が高くなる.

圧力を一定にして pV = RT を満たす 1モルの理想気体の温度を1度上げたとき体

積が v増えたとすると

p(V + v) = R(T + 1),すなわち

pV + pv = RT +R

の関係が成り立つ.pV = RT より

pv = R

を得る.これをマイヤーの関係式に代入すると

Cp = CV + pv

右辺第2項の pvは圧力 pに抗して気体が v膨張する際にした仕事である.すなわ

ち,圧力を一定にして気体の温度を1度上げるためには,体積を一定にして気体

の温度を1度上げるのに必要な熱量 (CV )の他に,外部にする仕事 pv = Rだけの

熱量を余分に加えなくてはならない.言い換えれば,体積を一定にした方が少な

い熱量で温度を上げることができる.

熱機関の効率 その1

-

?

?

&%'$

高熱源 (T2)

低熱源 (T1)

熱機関

Q2

W

Q1

高 (温)熱源(温度 T2),低 (温)熱源 (温度 T1),作業物

質 (気体など)の 3つの要素で構成され,作業物質はあ

る状態から出発してふたたびもとの状態に戻るという

循環過程 (サイクル)を行う装置がある.同じサイクル

を繰り返して,受け取った熱を仕事に変える装置を熱

機関という.

熱機関を模式的に表すと左図のようになり,高熱源か

ら供給された熱 (Q2)はすべて仕事 (W )に変えられる

わけではなく,その一部 (Q1)は低熱源に放出される.

このとき,熱力学第1法則よりQ2,W,Q1の間には

W = Q2 −Q1の関係が成り立つ.

高熱源から受けた熱エネルギーのうち仕事に変えられ

る割合

η =W

Q2

=Q2 −Q1

Q2

= 1− Q1

Q2

を熱効率という.

熱効率 η = 0.4の熱機関がある.この熱機関では,1サイクルで 100 Jの仕事を取

り出すことができる.この熱機関が1サイクルの間に高熱減から供給されている

熱(Q2)はいくらか,正しいものを選択肢より選びなさい.

選択肢

1) 150 J

2) 250 J

3) 350 J

4) 450 J

熱機関の効率 その1

解説

熱機関の効率

η =W

Q2

に,η = 0.4およびW = 100を代入して

Q2 =W

η=

100

0.4= 250 J

と求められる.

従って正解は 2)である.

熱機関は低熱源側に熱を捨てることなしに熱を仕事に変えることができない.従っ

て,その捨てる熱の分,実際に取り出される仕事量より多くの熱を供給しなけれ

ばならない.

熱機関の効率 その2

-

?

?

&%'$

高熱源 (T2)

低熱源 (T1)

熱機関

Q2

W

Q1

高 (温)熱源(温度 T2),低 (温)熱源 (温度 T1),作業物

質 (気体など)の 3つの要素で構成され,作業物質はあ

る状態から出発してふたたびもとの状態に戻るという

循環過程 (サイクル)を行う装置がある.同じサイクル

を繰り返して,受け取った熱を仕事に変える装置を熱

機関という.

熱機関を模式的に表すと左図のようになり,高熱源か

ら供給された熱 (Q2)はすべて仕事 (W )に変えられる

わけではなく,その一部 (Q1)は低熱源に放出される.

このとき,熱力学第1法則よりQ2,W,Q1の間には

W = Q2 −Q1の関係が成り立つ.

高熱源から受けた熱エネルギーのうち仕事に変えられ

る割合

η =W

Q2

=Q2 −Q1

Q2

= 1− Q1

Q2

を熱効率という.

熱効率 η = 0.4の熱機関がある.この熱機関では,1サイクルで 100 Jの仕事を取

り出すことができる.この熱機関が1サイクルの間に低熱源に捨てる熱(Q1)は

いくらか,正しいものを選択肢より選びなさい.

選択肢

1) 150 J

2) 250 J

3) 350 J

4) 450 J

熱機関の効率 その2

解説

熱機関の効率

η =W

Q2

に,η = 0.4およびW = 100を代入して

Q2 =W

η=

100

0.4= 250 J

と求められる.従って捨てる熱Q1はQ2 −W = Q1より

Q1 = 250− 100 = 150 J

である.

従って正解は 1).

熱効率が η = 0.4ということは,供給した熱 (Q2)の4割しか仕事につかえないと

いうことで,残りの6割は低熱源に捨てられているということを意味する.

熱機関の効率 その3

-

?

?

&%'$

高熱源 (T2)

低熱源 (T1)

熱機関

Q2

W

Q1

高 (温)熱源(温度 T2),低 (温)熱源 (温度 T1),作業物

質 (気体など)の 3つの要素で構成され,作業物質はあ

る状態から出発してふたたびもとの状態に戻るという

循環過程 (サイクル)を行う装置がある.同じサイクル

を繰り返して,受け取った熱を仕事に変える装置を熱

機関という.

熱機関を模式的に表すと左図のようになり,高熱源か

ら供給された熱 (Q2)はすべて仕事 (W )に変えられる

わけではなく,その一部 (Q1)は低熱源に放出される.

このとき,熱力学第1法則よりQ2,W,Q1の間には

W = Q2 −Q1の関係が成り立つ.

高熱源から受けた熱エネルギーのうち仕事に変えられ

る割合

η =W

Q2

=Q2 −Q1

Q2

= 1− Q1

Q2

を熱効率という.

熱効率 η = 0.5の熱機関がある.この熱機関が1サイクルの間に高熱源から供給す

る熱をQ2,外部に対してする仕事をW,低熱源側に放出する熱をQ1としたとき,

Q2,W,Q1の間の関係を正しく表しているものを選択肢より選びなさい.

選択肢

1) W = Q2,W = Q1

2) W = Q2,W > Q1

3) W =1

2Q2,W = Q1

4) W =1

2Q2,W < Q1

熱機関の効率 その3

解説

熱機関の効率

η =W

Q2

において η = 0.5であるから

Q2 =W

η=

W

0.5= 2W

と求められる.従って捨てる熱Q1はQ2 −W = Q1より

Q1 = Q2 −W = 2W −W = W

である.従って,Q2,W,Q1の間の正しい関係は

3) W =1

2Q2,W = Q1

である.

熱効率が η = 0.5ということは,供給した熱 (Q2)の5割(半分)を仕事に,残り

の半分を低熱源に捨てることを意味する.

理想気体のサイクル その1

理想気体では,状態方程式 pV = nRT が成り立ち,内部エネルギー U は温度 T

のみの関数で dU = nCV dT (CV は定積モル比熱)と表される.また,準静的に

気体を変化させたときの熱力学第1法則 (dU = d′Q − p dV )は,様々な状態変化

に対して以下のように表される.� �理想気体の様々な状態変化における熱力学第1法則

• 定積変化:dU = d′Q

• 定圧変化:d′Q = dU + p dV = d(U + p V ) = dH

• 等温変化:d′Q = p dV

• 断熱変化:dU = −p dV� �

-

6

R

6

p

V

BC

As

s s

ピストンのついたシリンダーに封じ込めた理想気

体を,左図のように準静的に A→B→C →Aと

変化させた.ただし,A→Bの状態変化は等温過

程,B→Cは定圧変化,C→Aは定積変化である.

状態A,状態B,状態Cにおける温度TA,TB,TC

の大小関係を正しく表しているものを選択肢より

選びなさい.

選択肢

1) TA > TB > TC

2) TA < TB < TC

3) TA = TB > TC

4) TA = TB < TC

理想気体の理想気体のサイクル その1

解説

まず,状態変化A→Bは等温過程であるから温度は変化しない.従って,TA = TB.

-

6

R

6

p

V

BC

ApA

pC

V

また,理想気体の状態方程式 pV = nRT より温度

T は次式で表される.

T =V

nRp

状態変化C→Aは定積変化であるから,温度 T は

圧力 pに比例する.

状態Aの圧力 pAと状態Cの圧力 pCはグラフより

pA > pC であるから,TA > TC.

従って,正解は 3) TA = TB > TC である.

理想気体の理想気体のサイクル その2

理想気体では,状態方程式 pV = nRT が成り立ち,内部エネルギー U は温度 T

のみの関数で dU = nCV dT (CV は定積モル比熱)と表される.また,準静的に

気体を変化させたときの熱力学第1法則 (dU = d′Q − p dV )は,様々な状態変化

に対して以下のように表される.� �理想気体の様々な状態変化における熱力学第1法則

• 定積変化:dU = d′Q

• 定圧変化:d′Q = dU + p dV = d(U + p V ) = dH

• 等温変化:d′Q = p dV

• 断熱変化:dU = −p dV� �

-

6

R

6

p

V

BC

A

ピストンのついたシリンダーに封じ込めた理想気

体を,左図のように準静的に A→B→C →Aと

変化させた.ただし,A→Bの状態変化は等温過

程,B→Cは定圧変化,C→Aは定積変化である.

気体が外部から熱を吸収している過程はどれか,選

択肢より正しいものを選びなさい.

選択肢

1) A→B, B→C

2) B→C, C→A

3) C→A, A→B

4) C→Aのみ

理想気体のサイクル その2

解説

A→Bは 等温過程であるから,d′Q = pdV が成り立つ.吸収した熱量と気体が

外部にした仕事量は等しい.過程A→Bでは体積が増加しているので pdV > 0.

従って,d′Q > 0,つまり熱を吸収している.

B→Cは定圧過程である.d′Q = dU + pdV = d(U + pV ) = dH は,系が

熱を吸収するとき (d′Q > 0),吸収した熱は内部エネルギーとして蓄えられる他に

気体が外部に対してする仕事に使われることを表している.一方,系が熱を放出

するときには (d′Q < 0),気体の内部エネルギーは減少し気体は外部から仕事をさ

れる必要がある.状態変化B→Cは体積が減少 (dV < 0)している.これは気体

が外部から仕事をされていることを意味し,後者に相当するので d′Q < 0,つま

り熱を放出している.

C→Aは定積過程であるから,dU = d′Qが成り立つ.また定積過程では,p ∝ T

であり圧力 pと温度 T は比例関係にある.従って,TA > TCであり,温度は上昇

する.理想気体の内部エネルギーは温度のみの関数で dU = nCV dT であるか

ら,dT > 0であれば dU > 0つまり,d′Q > 0が成り立ち,熱を吸収している.

従って熱を吸収している過程は,3) C→A,A→Bである.

理想気体のサイクル その3

理想気体では,状態方程式 pV = nRT が成り立ち,内部エネルギー U は温度 T

のみの関数で dU = nCV dT (CV は定積モル比熱)と表される.また,準静的に

気体を変化させたときの熱力学第1法則 (dU = d′Q − p dV )は,様々な状態変化

に対して以下のように表される.� �理想気体の様々な状態変化における熱力学第1法則

• 定積変化:dU = d′Q

• 定圧変化:d′Q = dU + p dV = d(U + p V ) = dH

• 等温変化:d′Q = p dV

• 断熱変化:dU = −p dV� �

-

6

R

6

p

V

BC

A

ピストンのついたシリンダーに封じ込めた理想気

体を,左図のように準静的に A→B→C →Aと

変化させた.ただし,A→Bの状態変化は等温過

程,B→Cは定圧変化,C→Aは定積変化である.

各過程における気体の内部エネルギーの増減を正

しく表しているものを,選択肢より選びなさい.

選択肢

1) A→B:減少,B→C:減少,C→A:増加

2) A→B:変化なし,B→C:増加,C→A:減少

3) A→B:減少,B→C:変化なし,C→A:増加

4) A→B:変化なし,B→C:減少,C→A:増加

理想気体のサイクル その3

解説

1) A→Bは等温過程であるから温度の変化はない.dU = nCV dT より,温度

が一定であれば内部エネルギーは変化しない.

2) B→Cは定圧過程であるから,V ∝ T である.従ってB→Cにおいて温度 T

は下がる.dU = nCV dT より,温度が下がれば内部エネルギーも減少する.

3) C→Aは定積過程であるから,p ∝ T である.従って C→Aにおいて温度 T

は上昇する.dU = nCV dT より,温度が上がれば内部エネルギーは増加する.

従って正解は 4)である.

理想気体においては dU = nCV dT の関係より,結局

U(T ) = CV T + const.

と表される.従って,温度が上昇する過程では内部エネルギーも増加し,温度が

下がる過程では内部エネルギーも減少する.

理想気体のサイクル その4

理想気体では,状態方程式 pV = nRT が成り立ち,内部エネルギー U は温度 T

のみの関数で dU = nCV dT (CV は定積熱容量)と表される.また,準静的に気

体を変化させたときの熱力学第1法則 (dU = d′Q − p dV )は,様々な状態変化に

対して以下のように表される.� �理想気体の様々な状態変化における熱力学第1法則

• 定積変化:dU = d′Q

• 定圧変化:d′Q = dU + p dV = d(U + p V ) = dH

• 等温変化:d′Q = p dV

• 断熱変化:dU = −p dV� �

-

6

R

6

p

V

BC

As

s s

ピストンのついたシリンダーに封じ込めた理想気

体を,左図のように準静的に A→B→C →Aと

変化させた.ただし,A→Bの状態変化は断熱過

程,B→Cは定圧変化,C→Aは定積変化である.

状態A,状態B,状態Cにおける温度TA,TB,TC

の大小関係を正しく表しているものを選択肢より

選びなさい.

選択肢

1) TA > TB > TC

2) TA < TB < TC

3) TA = TB > TC

4) TA = TB < TC

理想気体のサイクル その4

解説

A→Bは断熱膨張であるから温度は下がる.従って TA > TB.

B→Cは定圧過程であるから,V ∝ T である.従ってB→Cにおいて温度 T は

下がる.従って TB > TC.

以上をまとめると,1)TA > TB > TC.