月刊現代ギター - 2015年4月号

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Page 1: 月刊現代ギター - 2015年4月号
Page 2: 月刊現代ギター - 2015年4月号

10 特 集

ジュリアン・ブリーム・ロング インタビュー

37 第 2 特集 指頭奏法のススメCONCERT PHOTO REPORT

18 コンサート・フォトレポート ミロシュ

フリーバーズ・ギターデュオ 岩永善信 西垣正信 大萩康司 宮下祥子〔ゲスト〕グレブ・ニキテン(Vn) DUO-TRUSSARDIO& ウグムント・ヨハンネッソン 松尾俊介

REPORT

42 アシエール・デ・ベニート工房訪問記49 第 1回ジャカルタ国際     ギターフェスティバル 201454 中国・四川省/山東省ギター講習会

INTERVIEW

36 Jiro'sBar ~濱田滋郎対談〔25〕  智内威雄(左手のピアニスト)46 フアン・アントニオ・コレア・マリン

READING / ESSAY / LECTURE

32 愛器を語る[73]    安藤初代(グレッグ・スモールマン)

40 ポインツ・オブ・ギターテクニック[13]    デュオ・メリス63 オールド・ポップス・コレクション〔13〕   夜がくる~サントリーCM曲“人間みな兄弟”

               (小林亜星)(たしまみちを)67 ポピュラー・ヒット・レパートリー〔25〕 春一番(穂口雄右)(小関佳宏)

INFORMATION

58 新刊案内60 外盤案内62 新譜案内89 めもらんだむ90 今月の見どころ聴きどころ92 イベント&コンサートガイド96 コンクール・インフォメーション

ENSEMBLE

86 アンサンブルの広場

SCORE

113 今月の楽譜解説114 アンダンテとメヌエットOp.39 より(コスト)118 ポル・ケ?Op.28(マンホン)122 小犬のエチュード(佐藤正美)124 ひこうき雲(荒井由実~小関佳宏)※二重奏

Vol.49 No.4 April2015 No.616 April

ミロシュ

●表紙 ジュリアン・ブリーム●写真 テレーズ・ワシリー・サバ

70 EtudePub ~ギター・ベーシック・レパートリー     完全攻略〔新連載〕        (坂場圭介)72 アンサンブルで聴く巨匠の名技〔新連載〕                    (朝川博)74 atempo 日記〔61〕(渡辺和彦)76 セゴビアとパキータ〔49〕      (A.エスカンデ/訳:坪川真理子)80 ロンドン便り〔64〕(ワシリー・サバ/訳:関塚亮司)82 レパートリー充実講座〔241〕(亀井貴幸)   12の練習曲②(ヴィラ=ロボス)

88 あなたの街の~ギター教室紹介〔新連載〕

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10 Gendai Guitar

●『ギターラ!』の制作と古楽・古楽器について――――

――『クラシカル・ギター・マガジン』がイギリスからアメリカに移籍することになり、今回が英国版の最終号となります(2014 年 12 月号)。第一号は 1982 年 9 月~ 10月に発刊され、その時の表紙をあなたが飾りました。もう32 年前のことになりますね。当時あなたはどんな活動をされていましたか? 確かウィグモア・ホールでのリサイタル・シリーズをされていましたよね?ブリーム(以下 B):そうだね。それから“チャンネル 4”註)

での収録の準備をしていた。『ギターラ!』というフィルムで、スペインのギターの歴史に関するものだったんだ。1980 年から 1984 年まで 4 年間をかけて準備したから、1982 年頃と言えばちょうどその準備の真最中だったことになるね。選曲をしたり、調べものをしたり、バロックギター、ルネッサンスギター、ビウエラなどを練習したり。そして、とにかく演奏するすべての曲をしっかりと仕上げるのに追われていた頃だよ。――それ以前にバロックギターを弾こうと思ったことはなかったんですか?B:なかったよ。――ということは、あなたがバロックギターを研究するべ

く楽器を手に取ったのは、そのチャンネル4の撮影がきっかけだったということですか?B:そう。それから、4 コースのルネッサンスギターも作ったんだ。もしこの映像の制作が 20 年早かったら、16 ~ 17世紀の音楽を弾くのにモダンギターを使っても問題なかったと思う。しかし 1982 年ともなると、時代的にそれでは済まなかったんだね。そんなことをしたら批判の嵐が待ち受けていただろうし、しかもその批判はある意味正しいんだ。ここ 30 年間は、歴史的に適正な楽器を使っていこうというムーブメントが主流だからね。私が思うに、この流れは本当に素晴らしいものだし、音楽史的な側面から見て大きな変化だったんじゃないかな。――あなたのように完成された演奏家にとっては、すごく大変なことだったんじゃないですか。つまり……。B:別の分野に身を投じるということが、だよね !? 確かにそうだった。――とても勇気がいることだったでしょうね!B:そうだね。ただし私はリュートを以前から弾いていたからね。古楽にはもともと親しんでいたんだ。批判にも慣れっこだったし、だから結局は、そんなには勇敢ではなかったのかも。――それぞれの楽器を弾くためのテクニックはどのように

特集/ジュリアン・ブリーム

 英国誌『クラシカル・ギター・マガジン』の創刊号表紙を飾ったのは、同国を代表するギタリスト、ジュリアン・ブリームであった。同誌は 2015 年から米国に移籍することとなったが、英国版最終号の表紙には再びブリームが登場、ワシリー・サバ氏によるロング・インタビューが掲載された。 御年 82 歳の大巨匠は、残念ながら今はギターを弾いていないそうだが、サバ氏が撮影した右写真からもわかるように、今なお矍鑠として瀟洒な装いである。 古楽器・古楽との関わり、ブリテン、ヘンツェ、マルタンら 20 世紀ギター音楽の重要作品を残した作曲家について、ヴィラ=ロボス、セゴビアについて等々、話題は多岐にわたり、非常に興味深い会話が交わされた。その貴重な一問一答をサバ氏の御厚意により完訳でお届けする。

テレーズ・ワシリー・サバ Thérèse Wassily Sabaシドニー出身ロンドン在住。シドニー大学で音楽学を専攻する傍ら、シドニー音楽院にてクラシックギターを学ぶ。1991年からイギリスのクラシックギター専門誌『Classical Guitar Magazine』にて編集・執筆を務める。その他、『International Record Review』、『HMV Choice』、ドイツの『Akustik Gitarre』、アメリカの『Guitar Player』、日本の『現代ギター』など各国の音楽雑誌にて執筆。また、アラビア語、ペルシャ語、スペイン語での書籍編集、スペイン語から英語への翻訳を行なう。

 ロングインタビューインタビュアー/テレーズ・ワシリー・サバ

翻訳/坂場圭介

© Thérèse Wassily Saba

註):イギリスの公共テレビ局

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18 Gendai Guitar

Shin-ichi Fukuda 最新CD『アランフエス協奏曲/アルハンブラの想い出』をリリースしたミロシュが 2014 年 12 月に来日し、『協奏曲の夕べ』(共演:東京フィルハーモニー交響楽団)と 5つのソロ・コンサートを開催。そのツアーファイナル公演が東京・小金井市民交流センターで行なわれた。これまで“トレードマーク”だった足台代わりの白いギターケースではなく、通常の足台を使用して今回のツアーに臨んだミロシュ。前半最後に演奏されたバッハ〈シャコンヌ〉は今回の日本ツアーで初めてプログラムに取り上げた作品とのことだが、自ら編曲しただけあり、抜群の集中力を持って弾き切り大きな拍手を得た。この他にもスペインやブラジル作品を中心にした多彩なプログラムとミロシュならではのスタイリッシュな演奏で客席を引き付けるエンターテイナーぶりはさすがであった。

プログラム:グラン・ソロOp.14(ソル)、「スペイン舞曲集」より第 5番〈アンダルーサ〉、第 2番〈オリエンタル〉(グラナドス~ルーウィン)、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調BWV1004より〈シャコンヌ〉(バッハ)、ダンサ・ブラジレイラ(モレル)、《24の南米風小品》より〈ミロンガ〉(カルドーソ)、《ブラジルの風景》より〈バトゥカーダ〉(サビオ)、イパネマの娘(ジョビン)、ベサメ・ムーチョ(ベラスケス~S. アサド)、マシュ・ケ・ナダ(ベン~S. アサド)、バレエ音楽『三角帽子』より〈粉屋の踊り〉(ファリャ~ルーウィン)、ドビュッシーの無名碑に寄せる哀歌(ファリャ)、スペイン舞曲第 1番(ファリャ~ルーウィン)〔2014年12月13日/東京・小金井市民交流センター・大ホール〕

ミロシュ Miloš

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24 Gendai Guitar

愛器を語る

安藤初代 ◆グレッグ・スモールマン

(1992)

Hatsuyo Ando 6歳より中村登世子氏に師事。古賀音楽学院卒業後、阿部保夫氏に師事。1961 年マリア・ルイサ・アニードの来日公演セレモニーに於いて、日本若手女子代表として出演。1962 年 1stリサイタル開催と共に安藤ギター教室を主宰、以降コンサートや様々な楽器とのコラボレーションを行なう。スペインの名ギタリスト&ピアニスト、クエンカ兄弟、マリアエステル・グスマンを招聘してのコンサート(共演)を開催。2004 年・2008 年・2012 年スペインにて国際ギターコンクールの審査員を務めると共にアンダルシア各地にてリサイタルを行なう。2014 年 6 月、アンダルシアのビルビル城にて「日本・スペイン国交 400 年記念コンサート」を催す。日本ギタリスト協会会員、フォルマール・ギタリスタス代表、ブリランテ・デ・ラ・ギターラ講師、安藤ギター教室主宰。 写真:木田新一

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世界最高峰の呼び声が高い、スサーナ・プリエト(スペイン)と アレクシス・ムズラキス(ギリシア)によるギターデュオ。ギリシア・ボロスの国際ギターフェスティバルで 1999 年にデュオ・メリスとしてデビューし、世界各地でリサイタルを開催。欧米の数多くの国際ギターフェスティバルが彼らのコンサートとマスタークラスをシリーズ化している。フレッヘン国際ギターデュオ・コンクール(ドイツ)、第 21 回マウロ・ジュリアーニ国際ギターデュオ・コンクール(イタリア)、モンテリマール・ギターデュオ・コンクール(フランス)、パリ国際ギターデュオ・コンクール(フランス)で優勝、ライプチヒ室内楽コンクール(ドイツ)でデュオ / アンサンブル賞を獲得、ガエターノ・ジネッティ国際室内楽コンクールではレコーディング賞を獲得し彼らのファースト CD が作成された。オーケストラとの協演も多く、そのレパートリーはバロックから現代音楽までと幅広い。フランス・ストラスブール国立音楽院で教鞭を執り、日本からも松田 弦、近藤史明、徳永真一郎、上野芽実、小暮浩史らが彼らの教えを受けている。

デュオ・メリスDuo Melis

2015 年 2 月 12 日 GG サロン/通訳:樋浦靖晃(ギタリスト)/写真:宮島折恵/取材・構成:渡辺弘文、安藤政利(編集部)

No.13

スサーナ:小さな子供の場合には、 ハビエル・モレノJavier Garcia Moreno とルイス・アビーラ Luis Vidueira Ávila

という人が書いた『Nuevo Metodo de Guitarra』(Si bemol 刊)というやさしい教材を使います。これは、まだ楽譜が読めなくても、色分けによってどの音を弾くのかかが分かるようになっています。 7~8歳くらいになると、ポーランドのタチアナ・スターチャック Tatiana Stachak という人の『 First Class Guitar and

Extra Class Guitar』(Euterpe 刊)という教則本を使っています。最初は子供は開放弦だけ弾いて、その後は先生と二重奏をしていきます。非常に面白い和声付けがしてあって、子供が飽きないように出来ている優れた教本です。 プロフェッショナル・レベルの生徒には、デイヴィッド・ラッセルが用いるテクニックを教えています。ラッセルは教則本を出していませんが、私たちは何度も彼のレッスンを受けましたので、ラッセルのテクニックを良く知っています。アレクシス:生徒が抱えている問題に応じて、ラッセルのテクニックを教えるのですが、まずは 1 つ 1 つの小さな問題に焦点を絞り、それが改善出来るような課題を与えます。それを毎朝必ずやるようにさせています。

毎日の練習はどのくらい、どのようにやっていますか?

アレクシス:毎朝、ウォーミングアップも兼ねて、最初は右手の簡単な練習をやり、次に左手の簡単な練習、そ

 今月の「Points of Guitar Technique」は、2 月に初来日を果たしたデュオ・メリスが登場。“世界最高峰デュオ”の呼び声も高い彼らだが、来日公演では噂に違わぬ驚異的なテクニックと音楽性を披露し、一瞬にして聴衆の心を鷲掴みにした。イーストエンド国際ギターフェスティバルの開幕を翌日に控え、多忙なスケジュールの合間を縫って我々の質問に応じてくれた彼らの、夫婦デュオならではの息の合った一問一答を紹介したい。

ギターを勉強するにあたって、使った教則本はありますか?

スサーナ:最初はスペインでアグアドやソルの教則本を使いました。その後にプジョールのギター教則本。スペインでは音楽院でプジョールのメソッドをやることが義務づけられています。そして、ヴィラ=ロボスの《12 のエチュード》をやりました。あとはカルレバーロも勉強しました。アレクシスと出会ってからは、イタリアのマウロ・ストルティ Mauro Storti という人、彼はアレクシスの先生の先生なのですが、そういう人がいると教えられて、ストルティのメソッドをやりました。これは特に左手のために有効でした。アレクシス:僕は、ギリシアでサグレラス教本とプジョール教本をやりました。そして、彼女も言ったように、ストルティは私の先生の先生だったので、彼のメソッドをやりました。――生徒の教材には、どのようなものを使いますか?

32 Gendai Guitar

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◆はじめに 筆者はクラシックギター畑出身で、大学卒業の頃からリュートとバロックギターなど古楽器をメインに演奏してきた。最近は 18 世紀後半から 19 世紀初めの楽器:イングリッシュギター、ハープリュート、19 世紀ギターなどを弾く仕事も多い。1900 年前後のトーレス、ハウザーI世のウィーンモデルなどを弾くこともあり、プライベートではモダンギターも楽しんでいる。いずれの楽器も基本的に指頭弾きだ。 本項では指頭奏法の歴史を簡単に記し、筆者自身の個人的な体験をもとにクラシックギターにおける指頭奏法の実践について述べたいと思う。

◆歴史 リュートやバロックギターには指頭奏法のイメージが強いと思うが、歴史的には必ずしもそうではない。爪の使用に関しての多くの言及があり図像も残されている。アーチリュートやテオルボ、バロックギターはおおむね爪で弾かれていたらしい。17 ~ 18 世紀の図像からはっきりと爪が確認できるものを挙げる(図 1、2)。 ダウランドが弾いていたルネサンスリュート、ヴァイスが使っていたバロックリュートなどは通常指頭で弾かれた。右手の形がよく分かる図像を挙げる。どちらもブリッジ近くに小指を置き、手首はやや上がり指先で弦を捉えている(図 3、4)。

図 1:17 世紀のギター奏者ペレグリーニの肖像拡大すると、右手の爪を伸ばしているのが確認出来る。

図 2:18 世紀のアーチリュート奏者ダラ・カーサの肖像同じく、右手の爪を伸ばしている。

図 3:ルネサンスリュートのタッチ17 世紀初頭のイタリア人画家カラヴァッジョの絵画より。

Gendai Guitar 37

【第2特集】

指頭奏法のススメ竹内太郎 Taro Takeuchiアーリーギター/リュート演奏家。立教大学、ギルドホール音楽院でナイジェル・ノースに学ぶ。アーリーギターのレコーディングには『フォリアス!』『ギターの世紀』『アフェットーソ』などがある。2015 年 4月には、浜松市楽器博物館の所蔵楽器を用いたアルバム『可愛いナンシー』がリリースされる。http://tarolute.crane.gr.jp/

~その歴史と実践~

図 4:バロックリュートのタッチフランス・バロック期のリュート奏者シャルル・ムートンの肖像。

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