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「三菱電機グループ 倫理・遵法行動規範(以下、本規範という)」は、三菱電機グループ(以下、当社グループという)の従業員一人ひとりが事業や担当業務を遂行するに当たって遵守・尊重すべき法令や社会規範を整理し、まとめた統一的な行動規範であり、我々の日常行動における指針となるものです。

本規範は 1990 年に制定され、その後の法令の改正や社会の規範意識の変化等を踏まえた数次の改訂を行い今日に至っていますが、当社グループの従業員一人ひとりがこの行動規範を十分に理解しこれに則って日常業務を遂行できるよう、参照しやすい冊子形式にして配布しています。

倫理・遵法の重要性について改めて説くまでもありませんが、最近の世上でも、公金横領等の金銭不祥事、製品に関するデータの改ざん、不適切な会計処理等のコンプライアンス違反行為が世の明るみに出た例は枚挙に暇がなく、また、かくいう当社グループにおいても、1997 年に「海の家事件(総会屋への利益供与)」、2011 年に「一部の自動車用部品の取引についての独占禁止法違反」、2012 年に「防衛・宇宙事業における費用の過大計上・過大請求」等の重大なコンプライアンス違反事案を過去から幾度も発生させたことを決して忘れてはなりません。

そして一旦不祥事を起こせば、法人や従業員個人に対する刑事罰の適用、免許停止や営業停止等の行政罰の適用、被害を被った顧客・取引先・消費者等からの補償や損害賠償の請求、株主からの訴訟提起等々、会社の業績や従業員個人の人生に大きなダメージを与えることになります。それだけに止まらず「この会社は不正行為を駆使して利益を上げている会社だ」「この会社は社内の不正発生を全くチェックできない会社だ」「この会社のつくる製品は全く信用できない」等、永年地道に築き上げてきた「三菱 / 三菱電機」のブランド価値、顧客、株主や地域社会からの信用・信頼を一気に損なうことになりかねず、その失った信用を取り戻すのには並大抵の努力では足らないということも、よく理解しておく必要があります。

倫理・遵法の徹底は、社会からの信用・信頼を維持し当社グループが持続的に発展していくために欠くことのできない大前提であるということを肝に銘じてください。

今般の本規範の改訂では、近年の法規制動向の反映、事業のグローバル化への対応、実務の参考となるQ&Aの充実等を図り「倫理・遵法行動ガイドライン」に反映させました。本冊子を精読し、自らの日常の行動や部門・職場の慣行を振り返り、仮に法令や社会規範にもとる行為が見られるようであれば思い切ってこれを改めてください。

当社グループの更なる発展のために、高い倫理観に支えられ誇り高い行動に溢れた職場を皆で作り上げていきましょう。

企業行動規範委員会

【はじめに】

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倫理・遵法に関するトップメッセージ1.企業理念2.7つの行動指針3.企業倫理・遵法宣言4.倫理・遵法行動規範 〔1〕 企業倫理・法令の遵守 〔2〕 人権の尊重 〔3〕 社会への貢献と我々のビジネス 〔4〕 社会との協調・融和 〔5〕 環境問題への取組み 〔6〕 企業人としての自覚5.当社グループのコンプライアンス体制 (1)コンプライアンス体制 (2)内部通報制度 (3)監査・点検

倫理・遵法行動ガイドライン

三菱電機グループ

倫理・遵法行動規範

目   次

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はじめに

1.企業倫理・法令の遵守 〔1-1〕 基本原則 〔1-2〕 法令の遵守と誠実な取組み 〔1-3〕 良識ある行動2.人権の尊重 〔2-1〕 基本原則 〔2-2〕 児童労働、強制労働に関する規範 〔2-3〕 差別に関する規範 〔2-4〕 人格の尊重 〔2-5〕 職場の安全衛生に関する規範 〔2-6〕 労働関係に関する規範3.社会への貢献と我々のビジネス 〔3-1〕 契約に関する規範 〔3-2〕 公正競争に関する規範 〔3-3〕 不適切な支払の禁止に関する規範(贈答・接待、政治献金、寄付) 〔3-4〕 製品の安全性・品質に関する規範 〔3-5〕 経営情報の開示と経理処理に関する規範 〔3-6〕 輸出入・安全保障輸出管理に関する規範 〔3-7〕 外注先・購入先との取引に関する規範 〔3-8〕 知的財産の創造・保護・活用に関する規範 〔3-9〕 反社会的勢力との関係に関する規範 〔3-10〕 広告・宣伝に関する規範4.社会との協調・融和 〔4-1〕 企業市民としての責任と行動 〔4-2〕 社会貢献活動5.環境問題への取組み 〔5-1〕 環境問題への取組み 〔5-2〕 事業活動における環境配慮に関する規範 〔5-3〕 環境配慮型の製品・サービスの提供に関する規範 〔5-4〕 環境に関わるコミュニケーションの促進6.企業人としての自覚 〔6-1〕 企業人としての自覚 〔6-2〕 不正・利益相反行為に関する規範 〔6-3〕 企業機密の管理・行使に関する規範 〔6-4〕 他者の企業機密の管理・利用に関する規範 〔6-5〕 インサイダー取引に関する規範 〔6-6〕 個人情報保護に関する規範

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三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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倫理・遵法に関するトップメッセージ企業をとりまく環境は急激な変化が続いていますが、いかに時代が移り変わっ

ても決して変えてはならないのが企業倫理・遵法精神の徹底です。当社グループでは、コンプライアンスの基本方針として「企業倫理・遵法宣言」

を制定し、その中で「法、社会倫理、あるいは社会常識にもとる行為をしなければ達成できない目標の設定やコミットメントはしません」と社会に対して宣言しています。

皆さんにおかれては、目前に迫る創立 100 周年、更には次の 100 周年に向けてお客様や社会から信頼される企業であり続けるために、改めて「倫理・遵法の徹底」は会社が存続するための基本であることを肝に銘じてください。そして、社会を構成する一員として皆さん一人ひとりが「倫理・遵法に反する行為は行わない」ことを自らの責務として強く認識し、常日頃から数段高い倫理観を持って誇り高き行動をとるよう心掛けてください。

執行役社長  

1. 信頼 社会・顧客・株主・社員・取引先等との高い信頼関係を確立する。2. 品質 最良の製品・サービス、最高の品質の提供を目指す。3. 技術 研究開発・技術革新を推進し、新しいマーケットを開拓する。4. 貢献 グローバル企業として、地域、社会の発展に貢献する。5. 遵法 全ての企業行動において規範を遵守する。6. 環境 自然を尊び、環境の保全と向上に努める。7. 発展 適正な利益を確保し、企業発展の基盤を構築する。

2.7 つの行動指針

三菱電機グループは、技術、サービス、創造力の向上を図り、活力とゆとりある社会の実現に貢献する。

1.企業理念

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私たちは、活動するいかなる国や地域においても、常に以下に宣言するところに則って行動します。

■ 法の遵守法は最低限の道徳であることを認識し、法の遵守はもちろん、社会全体の倫理観や社会常識の変化に対する鋭敏な感性を常に持ち、行動します。法、社会倫理、あるいは社会常識にもとる行為をしなければ達成できない目標の設定やコミットメントはしません。

■ 人権の尊重 常に人権を尊重した行動をとり、国籍、人種、宗教、性別等いかなる差別も行いません。

■ 社会への貢献企業としての適正利潤を追求するとともに、社会全体の発展を支えるとの気概を持ち、企業の社会的責任を自覚して行動します。

■ 地域との協調・融和 良き市民、良き隣人として、ボランティア活動等地域社会の諸行事に積極的に参加し、地域の発展に貢献します。

■ 環境問題への取組み循環型社会の形成を目指し、資源の再利用をはじめ、あらゆる事業活動において、いつも環境への配慮を忘れずに仕事を進めます。

■ 企業人としての自覚企業人としての自覚を持ち、自らの扱う金銭等の財産、時間、情報等

(特に電子メールやインターネットの利用)に対し、公私を厳しく峻別し行動します。

3.企業倫理・遵法宣言

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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4.倫理・遵法行動規範

〔1〕企業倫理・法令の遵守

〔 1- 1〕基本原則 私たちは、企業倫理・遵法の徹底は、事業を支える基盤を維持・強化する活動であるとともに、社会からの信頼を得て会社が存続するための基本であることを強く自覚し、当社グループを挙げて真摯に取組みます。

〔 1- 2〕法令の遵守と誠実な取組み 私たちは、事業を行う各国・地域のあらゆる法令、規則、国際的な取決め(条約等)を適切に把握し、これを遵守するとともに、顧客・取引先との契約等を誠実に履行します。

〔 1- 3〕良識ある行動 私たちは、本規範に基づき、各部門での法令管理・監査を適切に行うとともに、事業を行う各国・地域において、法令を遵守することはもちろんのこと、企業倫理に則した良識ある行動をします。

〔2〕人権の尊重

〔 2- 1〕基本原則 私たちは、事業を行う各国・地域において、広く人や社会とのかかわりを持っていることを認識し、人権を尊重します。

〔 2- 2〕児童労働、強制労働に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、いかなる雇用形態かを問わず、児童労働や強制労働は行いません。

〔 2- 3〕差別に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、雇用や人事処遇に関して、従業員の人種、民族、国籍、性別、年齢、信条、宗教、社会的身分、障がい等を理由とする差別的取扱いをしません。また、そのような誤解・疑義を与えないよう、日頃から、自らの言動をチェックします。

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〔 2- 4〕人格の尊重 私たちは、事業を行う各国・地域において、他の従業員の人格を尊重し、ハラスメントや誹謗・中傷、威圧による業務の強制等相手の人格を無視した行為は行いません。また、そのような誤解・疑義を与えないよう、日頃から、自らの言動をチェックします。

〔 2- 5〕職場の安全衛生に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、関係者全員が安心して働くことのできる安全で快適な職場環境作りに努めます。 特に生産活動・工事にあたっては、関係会社・協力会社・購入先・発注先等と協力し、安全衛生の確保に努めます。

〔 2- 6〕労働関係に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の雇用、人事、勤務、賃金、労働時間、入国管理等に関する労働関連法令及び社内規則・手続きを遵守し、健全な労働条件や職場環境の維持・向上に努めます。

〔3〕社会への貢献と我々のビジネス

〔 3- 1〕契約に関する規範(1) 私たちは、取引先と締結した契約の内容を理解し、定められた内容

を誠実に履行します。(2) 私たちは、事業を円滑に遂行し、係争を未然に防止するため、適切

な契約を締結します。また、いかなる理由があろうとも、法令や社会規範に反する契約は締結しません。

(3) 私たちは、社内規則・手続きに基づき、契約を締結します。

〔 3- 2〕公正競争に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域において、取引先が官公庁である

か民間企業であるかを問わず、適用される独占禁止法、競争法をはじめ、公正な取引に関する全ての法令・規則を遵守します。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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(2) 私たちは、同業他社との間で、明示か黙示か、公式か非公式か、書面か口頭かにかかわらず、価格、生産・販売能力、販売条件、入札、利益、コスト、その他の公正競争を制限する合意・取決め・情報交換を行いません。私たちは、上述の誤解・疑義を与えるような同業他社との接触を行いません。

(3) 私たちは、同業他社との接触を持つ場合(例:業界団体会合への参加)には、定められた社内規則・手続き等を遵守します。

(4) 私たちは、代理店等との間で、販売価格の維持、販売地域の制限等、公正競争を制限する合意・取決め・情報交換を行いません。

〔 3- 3〕不適切な支払の禁止に関する規範(贈答・接待、政治献金、寄付)(1) 私たちは、事業を行う各国・地域において、公務員であるか民間企業

であるかを問わず、直接か間接かにかかわらず、不当に有利な立場や不当な利益を取得・維持することを目的とした支払は行いません。

(2) 私たちは、代理店等を通じて不適切な支払を行わないとともに、代理店等の起用にあたっては法令及び社内規則・手続きを遵守します。

(3) 私たちは、いかなる場合でも、不適切との疑義を持たれるような支払を行いません。

(4) 私たちは、顧客や代理店等の取引先からの贈答・接待等を受ける場合は、事業を行う各国・地域の法令、社会規範、社内規則等に則った適切な範囲にとどめ、個人的な利益の取得等につながるような贈答・接待等を受けません。

(5) 私たちは、政治献金や各種団体への寄付等を行う際は、当該活動を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、適切な方法で行います。

〔 3- 4〕製品の安全性・品質に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域の製品の安全性・品質に関する法令・

基準及び社内規則・手続きを十分理解し遵守するとともに、「四つの品質基本理念」のもと、より高度な安全性・品質を目指します。

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(2)私たちは、製品の開発・製造から販売・保守に至る全ての場面で、常に安全性・品質に留意し、製品の安全性・品質に関する説明や情報提供は、正確で見やすいものを目指します。

(3) 私たちは、製品の安全性・品質に関する情報を入手した場合、直ちに事実関係を確認します。また、問題があることが判明した場合には、関連法令を遵守し迅速かつ適切に対応します。

<四つの品質基本理念>・品質は第一であり、納期 ・ 価格などに優先する。・ いかなる犠牲を払っても良い品質をつくるという目標は変えることはない。・安全にして使用に便なるもの、妥当な寿命をもち、性能が均一であること。・品質に対する責任は、個々の製品の品質に関してそれぞれの製造に関与

する全ての経営者・社員が等しく負わなければならない。

〔 3- 5〕経営情報の開示と経理処理に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続き等を

遵守し、株主・投資家等に対して、財務内容や事業活動状況等の経営情報を適切に開示するとともに、会社の経営理念・経営方針を明確に伝えます。

(2) 私たちは、法令及び社内規則・手続き等を遵守し、適正な経理処理を行います。

〔 3- 6〕輸出入・安全保障輸出管理に関する規範(1) 私たちは、貨物・技術を輸出又は輸入する場合には、事業を行う各国・

地域の輸出入に関する法令及び社内規則・手続きを遵守し、貨物名、技術名、価格、原産地、輸出・輸入量等を正しく申告します。

(2) 私たちは、事業を行う各国・地域において、全ての貨物・技術の取引に関して、安全保障輸出管理に関する法令及び社内規則・手続きを遵守し、輸出する貨物・技術が国際的な平和及び安全の維持を妨げるような用途に用いられないことを確認します。また、法令で規制される貨物・技術を輸出する場合、事前に適切な許可を取得します。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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〔 3- 7〕外注先・購入先との取引に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域の調達に関する法令及び社内規則・

手続きを遵守し、外注先・購入先との取引を公平・公正に行います。(2) 私たちは、発注業者としての優位な立場を利用した不合理又は不当

な取引を行いません。また、そのような疑義を持たれるおそれのある取引も行いません。

(3) 私たちは、品質、価格、納期、技術開発力、安定供給の面で優れ、関連する法令及び社会規範の遵守、人権の尊重、環境保全活動の推進等の社会的責任を果たしている外注先・購入先を選定します。

(4) 私たちは、外注先・購入先から贈答・接待等を受ける場合は、事業を行う各国・地域の法令、社会規範、社内規則等に則った適切な範囲にとどめ、個人的な利益の取得等につながるような贈答・接待等を受けません。

〔 3- 8〕知的財産の創造・保護・活用に関する規範(1) 私たちは、知的財産は重要な会社資産であることを十分に理解し、

事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、これらを権利として確保、維持するとともに、事業への有効活用を促進します。

(2) 私たちは、他者の知的財産権を自らの知的財産同様に尊重し、その侵害予防に努めます。

〔 3- 9〕反社会的勢力との関係に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域において、反社会的勢力(暴力団、

テロリスト、麻薬組織、その他犯罪組織)とは取引を含めて一切の関係を持ちません。

(2) 私たちは、反社会的勢力に対して毅然とした態度で対応し不当な要求には応じません。

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〔 4- 1〕企業市民としての責任と行動 私たちは、事業を行う各国・地域において、社会的役割を担っていることを認識し、国や地域によって異なる文化・慣習を尊重し、社会に貢献すべく、協調・融和に努めます。

〔 4- 2〕社会貢献活動(1) 私たちは、事業を行う各国・地域において、三菱電機グループで共

有する社会貢献活動に関する理念・方針のもと、社会貢献活動に積極的に取組みます。

(2) 私たちは、災害・復興支援等の分野でも、ボランティア活動等をはじめ、必要とされる支援ニーズに応える社会貢献活動に積極的に取組みます。

〈理念〉三菱電機グループは、社会の要請と信頼に応える良き企業市民として、持てる資源を有効に活用し、従業員とともに、豊かな社会づくりに貢献する。

〔4〕社会との協調・融和

〔 3- 1 0 〕広告・宣伝に関する規範(1) 私たちは、事業を行う各国・地域の広告・宣伝に関する法令及び社

内規則・手続きを遵守し、社外に発信するあらゆる情報(ウェブサイトやプレゼンテーション等を含む)には、誇大・虚偽等の不適切な表現や、他者を誹謗・中傷するような表現を用いません。

(2) 私たちは、不当な表示や誤解を与える表現は、顧客に不利益になるだけでなく、当社グループの企業イメージを損なうことにもなるため、社会常識と倫理観に則した公正な広告宣伝活動(顧客へのプレゼンテーション等、社外への情報発信を含む)を常に心がけます。

(3) 私たちは、「 」や「MITSUBISHI」等、いわゆる「三菱マーク」は三菱を冠する企業の信用の象徴であることを理解し、三菱グループのルールに基づき、適切な使用・管理を行います。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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〔5〕環境問題への取組み

〔 5- 1〕環境問題への取組み(1) 私たちは、未来の人々と地球環境を共有しているとの認識の下、環境

への取組みを経営の最重要課題の一つと位置づけ推進します。(2) 私たちは、事業を行う各国・地域において、環境に関する法令及び社

内規則・手続きを遵守します。また、社会の変化に対する鋭敏な感性を持って、常に環境への配慮を忘れずに事業活動に取組みます。

(3) 私たちは、世界各国で先進的な技術を駆使し、「持続可能な社会」と「安心・安全・快適性」が両立する豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指していきます。

〔 5- 2〕事業活動における環境配慮に関する規範 私たちは、これまで培った技術や新たに開発する技術を用い、事業活動によって地球環境に与える負荷をできる限り少なくしていきます。

〔 5- 3〕環境配慮型の製品・サービスの提供に関する規範 私たちは、各々の製品を継続的に改善し、「省エネルギー」で低炭素社会に、

「省資源」や「小型化・軽量化」で循環型社会に貢献する高性能な製品・サービスを提供します。

〔 5- 4〕環境に関わるコミュニケーションの促進 私たちは、環境への取組み状況を社会に開示し、企業市民として社会との相互理解のためのコミュニケーションを進めます(例:環境報告書の公表)。

〈方針〉・ 社会福祉、地球環境保全の分野において、社会のニーズを反映し、地域

に根差した活動を行う。・ 科学技術、文化芸術・スポーツへの支援活動を通じ、次世代の人材を育

む活動を行う。

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〔6〕企業人としての自覚

〔 6- 1〕企業人としての自覚 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、企業活動に従事している企業人として常日頃から数段高い倫理観を持って誇り高き行動をとるよう心掛けます。 また、企業活動に従事していないときも、社会の一員として良識のある行動をとります。

〔 6- 2〕不正・利益相反行為に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、公私を厳しく峻別し、金銭はもちろんのこと、時間や情報、また、管理者においては所属員への業務指示も含め、いやしくも会社の資産を私したり、個人の利益の獲得を目的とした流用はしません。加えて、勤務時間中であっても勤務時間外であっても、個人の利益と会社の利益が対立する行為及びそのような可能性のある行為は行いません。

〔 6- 3〕企業機密の管理・行使に関する規範(1) 私たちは、その業務において知った会社の企業機密を、事業を行う

各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、適切に管理するとともに、第三者への企業機密の漏洩を防止します。

(2) 私たちは、その業務において知った会社の企業機密を、自己の個人的利益又は自己の家族・友人等の経営する会社等の第三者の個人的利益のために不当に利用しません。

〔 6- 4〕他者の企業機密の管理・利用に関する規範(1)私たちは、不必要な他者の企業機密を受け取りません。(2)私たちは、他者の企業機密を入手する場合は、社内規則に基づき適

切な内容の秘密保持契約を締結するとともに、適法かつ適切な方法によってのみ受け取ります。

(3)私たちは、入手した他者の企業機密について、秘密保持契約に基づき正しく管理します。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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〔 6- 5〕インサイダー取引に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、その業務において知った当社又は他社の未公開の重要情報(インサイダー情報)を利用して、自己の個人的利益又は自己の家族・友人等の経営する会社等の第三者の個人的利益を図ること(例:会社の未公開の重要情報に基づいて、会社の株式等の売買を行うこと)はしません。

〔 6- 6〕個人情報保護に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、その必要がある限りにおいて、適法かつ適切な方法によってのみ個人情報を取得し、適切に利用します。また、個人情報への不正アクセス、漏洩、紛失、改ざんの防止に努めます。

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5.当社グループのコンプライアンス体制

(1)コンプライアンス体制 当社グループのコンプライアンス体制は、「コンプライアンス推進は事業推進と一体不可分」との認識の下、当社の各部門及び国内外の関係会社各社が主体的にコンプライアンスを推進する体制としています。 当社においては事業上のコンプライアンス推進責任者を本部長、関係会社においては各社社長とし、各本部・各社にこれを補佐する役割を担う者をそれぞれ配置して、当社グループのコンプライアンスにおける最高議決機関である「企業行動規範委員会」にて策定したコンプライアンスに関する統括的方針に基づき、各事業遂行におけるコンプライアンスの徹底を図ることとしています。

①当社《体制》 各部門のコンプライアンス推進において、各部門の長は、所属員の指揮監督を行うとともに、自部門におけるコンプライアンス推進体制を構築しなければなりません。また、各部門の所属員は、担当する業務の範囲において自主的にコンプライアンスを推進しなければなりません。

ア.本部コンプライアンス部長 各本部におけるコンプライアンスの推進にあたり、自本部内におけるコンプライアンス施策の展開、コンプライアンス状況の点検及び不正・不祥事への対応等について主体的に実行します。

イ.コンプライアンスマネージャー 各事業部・場所におけるコンプライアンスの推進にあたり、事業部長・場所長を補佐するとともに自事業部及び場所におけるコンプライアンス施策の展開、コンプライアンス状況の点検及び不正・不祥事への対応等について主体的に実行します。

ウ.コンプライアンスリーダー 各事業部・場所におけるコンプライアンスの推進にあたり、自部門の部長を補佐するとともに「場所別コンプライアンス情報連絡会」に出席して、コンプライアンスに関する情報共有を行います。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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《委員会・会議等》ア.企業行動規範委員会

 当社グループのコンプライアンスにおける最高議決機関として、毎年上期・下期に開催され、当社グループのコンプライアンスに関する統括的方針及び重点取組事項等を策定します。法務担当執行役を委員長とし、本社管理部門の長等が委員を務めます。

イ.本部コンプライアンス部長会議 各本部におけるコンプライアンス推進のために、本部コンプライアンス部長を招集して、企業行動規範委員会の審議事項及び決定事項を解説するとともに情報共有及び意見交換を行います。

ウ.コンプライアンスマネージャー会議 各事業部・場所におけるコンプライアンス推進のために、各事業部・場所のコンプライアンスマネージャーを招集して、企業行動規範委員会の審議事項及び決定事項を解説するとともに情報共有及び意見交換を行います。

エ.場所別コンプライアンス推進委員会 企業行動規範委員会の審議事項及び決定事項を受けて、各事業部・場所におけるコンプライアンスに関する具体的推進事項の策定を行います。事業部長・場所長を委員長とし、各部長が委員を務めます。

オ.場所別コンプライアンス情報連絡会 各事業部・場所におけるコンプライアンス推進レベルの向上を目的とし、企業行動規範委員会の審議事項及び決定事項の確認を行うほか、コンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。コンプライアンスマネージャーを事務局とし、コンプライアンスリーダーが委員を務めます。

②国内関係会社 各社のコンプライアンス推進において、各社社長は、自社のコンプライアンス推進における責任者として、自社におけるコンプライアンス推進体制を構築しなければなりません。また、各社の従業員は、担当する業務の範囲において主体的にコンプライアンスを推進しなければなりません。

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《体制》ア.会社統括コンプライアンスマネージャー

 自社におけるコンプライアンスの推進にあたり、社長を補佐します。また、自社のコンプライアンス推進レベルを向上させるために、

「コンプライアンス情報連絡会」の企画・運営を行います。会社統括コンプライアンスマネージャーは、「会社統括コンプライアンスマネージャー会議(当社が開催)」に出席し、コンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。

イ.コンプライアンスマネージャー 自社におけるコンプライアンスの推進にあたり、各部門の長を補佐します。コンプライアンスマネージャーは、自社の「コンプライアンス情報連絡会」に出席して、コンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。

《委員会・会議等》ア.コンプライアンス推進委員会

 自社のコンプライアンスに関する具体的推進事項の策定を行います。社長を委員長とし、各部門の長が委員を務めます。

イ.会社統括コンプライアンスマネージャー会議 各社におけるコンプライアンス推進のために、各社の会社統括コンプライアンスマネージャーを招集して、企業行動規範委員会の審議事項及び決定事項を解説するとともに情報共有及び意見交換を行います。

ウ.コンプライアンス情報連絡会 自社におけるコンプライアンス推進レベルの向上を目的とし、自社のコンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。会社統括コンプライアンスマネージャーを事務局とし、コンプライアンスマネージャーが委員を務めます。

エ.拠点別コンプライアンス推進委員会 関係会社のうち資本金 5 億円以上の会社又は三菱電機冠称会社について原則設置し、各拠点におけるコンプライアンスに関する具体的推進事項の策定を行います。拠点長を委員長とし、拠点長直轄組織の長が委員を務めます。

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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③海外関係会社 各社のコンプライアンス推進において、各社社長は、自社のコンプライアンス推進における責任者として、本規範を踏まえながら、各国・地域の事情にふさわしいコンプライアンス体制を構築し、従業員の指揮監督を行うとともに、主体的にコンプライアンスを推進します。また、各社の従業員は、担当する業務の範囲において自主的にコンプライアンスを推進します。

《体制》ア.会社統括コンプライアンスマネージャー(Corporate Compliance

Officers / Chief Compliance Officers(CCO)) 自社におけるコンプライアンスの推進にあたり、社長を補佐します。「地域別コンプライアンスマネージャー会議」に出席し、コンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。

イ.地域コンプライアンスマネージャー(Regional Chief Compliance Officers(RCO))

 地域代表機構内に設置され、各地域内における各社のコンプライアンス推進につき、CCO を支援します。また、地域のコンプライアンス推進レベルを向上させるために、「地域別コンプライアンスマネージャー会議(Regional Compliance Committees(RCC))」を開催しコンプライアンスに関する情報共有及び意見交換を行います。

《会議等》ア.地域別コンプライアンスマネージャー会議

 地域内各社におけるコンプライアンス推進のために、各地域内各社の会社統括コンプライアンスマネージャーを招集して、各社のコンプライアンス推進状況を確認するとともに情報共有及び意見交換を行います。

〈当社社規〉総括編「1300 コンプライアンスに関する規則」、「1300-1 コンプライアンスに関する細則」

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(2)内部通報制度 コンプライアンスを徹底していく上では、問題の兆候を早期に発見し、できるだけ早い段階で適切に対処することが極めて重要です。日頃業務に携わっている中で「何かおかしい」と感じたら、決して見過ごすことなく、先輩・上長、コンプライアンスマネージャー、法務・コンプライアンス担当部門、法令管理部門等へ必ず相談してください。ただし、もし何らかの事情があり職場の中での相談が困難な場合は内部通報制度を活用してください。当社では「倫理遵法ホットライン」という相談窓口を設けています。 「倫理遵法ホットライン」では、通報者の保護を図り、意図的な誹謗・中傷など以外は通報いただいた方へ不利益となる取扱いは行いません。円滑な事実確認の為、実名での通報をお願いしていますが、匿名での通報にも対応します。 なお、関係会社については、各社にて相談窓口を設けています。

〈関連法令〉公益通報者保護法〈当社社規〉総括編「1502 倫理遵法ホットラインに関する規則」、「1502-1 倫理遵法

ホットライン運用細則」

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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(3)監査・点検 当社グループでは、経営の健全化と体質強化を図るため、監査・点検(例:全般統制自己点検、監査部による監査、情報セキュリティ自己点検、遵法自己点検、輸出管理・環境に関する監査・点検等)を行っています。内部監査では、各部門・各社の経営活動が、経営方針、法令、会社諸規則・制度に則り、かつ事業環境の変化に対応しているかどうかを、公正・客観的な立場から検討・評価しています。

〈当社社規〉総括編「1501 内部監査規則」

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拠点 事業部-場所

三菱電機グループコンプライアンス推進体制

会社統括コンプライアンスマネージャー会議

コンプライアンス推進委員会

○○長

コンプライアンスマネージャー

社長

執行役会議

事業部長・場所長

本部長

部長

一次管理部門

本部コンプライアンス部長会議

法令管理部門

企業行動規範委員会

コンプライアンスマネージャー会議

社長

地域代表機構(地域コンプライアンス

マネージャー)

コンプライアンスリーダー

課長

内部通報制度監査・点検

(全般統制自己点検、監査部監査、輸出・環境・品質に関する監査・点検等)

○○長

国内関係会社のコンプライアンス体制

海外関係会社のコンプライアンス体制

三菱電機のコンプライアンス体制

社長

場所別コンプライアンス推進委員会

場所別コンプライアンス情報連絡会

拠点別コンプライアンス情報連絡会

コンプライアンス情報連絡会

一次管理部門

会社統括コンプライアンスマネージャー

地域コンプライアンスマネージャー会議

会社統括コンプライアンスマネージャー

本部コンプライアンス部長

コンプライアンスマネージャー

三菱電機グループ倫理・遵法行動規範

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倫理・遵法行動ガイドライン

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1. 企業倫理・法令の遵守

〔1-1〕基本原則 私たちは、企業倫理・遵法の徹底は、事業を支える基盤を維持・強化する活動であるとともに、社会からの信頼を得て会社が存続するための基本であることを強く自覚し、当社グループを挙げて真摯に取組みます。

 コンプライアンスの取組みは、事業を支える基盤を維持し強化する活動と位置づけられます。コンプライアンスの徹底なくして事業の持続的な発展はなし得ず、逆に重大なコンプライアンス違反を引き起こせば経営・事業に影響を及ぼす損害が発生するだけでなく、社会的信用も損なうことになり、会社・事業の存続を揺るがす事態を招きかねないということをまず認識してください。 当社グループは残念ながら過去から幾度も不祥事を発生させています。これを謙虚に反省し二度と不祥事を発生させないために、コンプライアンスの取組みを改めて強化し、徹底してください。

〔1- 2〕法令の遵守と誠実な取組み 私たちは、事業を行う各国・地域のあらゆる法令、規則、国際的な取決め

(条約等)を適切に把握し、これを遵守するとともに、顧客・取引先との契約等を誠実に履行します。

 事業活動を遂行する上で遵守すべき法令・規則は多岐に亘りますが、これらを誠実に遵守することがコンプライアンスの第一歩です。法令・規則にはグローバルで共通的なもののほか、その各国・地域に固有のものもあります。当社グループの事業がグローバル化する中で、事業を行う各国・地域にて適用される法令・規則をまず遵守することが必要です。 法令・規則の遵守に加えて、顧客や取引先と締結した契約等についてもそこに定められた事項を誠実に履行することが必要です。「約束したことを守る」というのは社会的信用を維持する上での大前提です。また、契約の多くは中長期的・継続的な取引関係、相手との信頼関係がそのベースとなっていますが、顧客・取引先との信頼関係を維持する観点からも契約を誠実に履行することが必要です。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〔 1- 3〕良識ある行動 私たちは、本規範に基づき、各部門での法令管理・監査を適切に行うとともに、事業を行う各国・地域において、法令を遵守することはもちろんのこと、企業倫理に則した良識ある行動をします。

 法令・規則や契約の遵守も含め私たちが尊重すべきものとして「企業倫理」があります。企業倫理の意味するところは幅広く、法令等で定められた最低限の基準を超えて、あるいは法令等で定められていない領域であっても、社会常識に則って行動すること、地球環境や事業活動拠点の存する地域社会への配慮、人権への配慮、社会的弱者への配慮等に基づいて行動することを指します。「企業倫理に反する行いをしては、社会からの信用・信頼を得られない」と認識してください。 本規範では、私たちが遵守すべき主な法令、尊重すべき企業倫理項目とそれに即した行動基準を整理し解説しています。本規範に則り、企業人・社会人として良識ある行動をしてください。

Q & A

Q . 業務を遂行する中で、コンプライアンスに関して気になる点がある場合は、どこに相談をすればよいですか?

A . 上長、自部門のコンプライアンス担当へ相談してください。もし何らかの事情があり職場の中での相談が困難な場合は、内部通報窓口(当社では「倫理遵法ホットライン」)を活用ください。

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倫理・遵法行動ガイドライン

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2. 人権の尊重

〔2- 1〕基本原則 私たちは、事業を行う各国・地域において、広く人や社会とのかかわりを持っていることを認識し、人権を尊重します。

〔 2- 2〕児童労働、強制労働に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、いかなる雇用形態かを問わず、児童労働や強制労働は行いません。

〔2- 3〕差別に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、雇用や人事処遇に関して、従業員の人種、民族、国籍、性別、年齢、信条、宗教、社会的身分、障がい等を理由とする差別的取扱いをしません。また、そのような誤解・疑義を与えないよう、日頃から、自らの言動をチェックします。

 当社グループはグローバルに事業展開していますが、その企業活動において各国・地域の法令を遵守するとともに、雇用や人事処遇に関して差別的取扱いをしてはなりません。 グローバルな事業展開の上では様々な文化・慣習、歴史観を持つ人達と接する機会が多くありますが、「郷に入っては郷に従え」のことわざが示すとおり、まずは相手の文化や慣習を尊重し、理解しようと努めてください。また、自らの出身国と相手の出身国の国民感情・歴史認識等に大きな隔たりがある場合も、むやみに自己の考えを押し付けてはなりません。相手の立場を慮りつつ、慎重に発言・行動するよう努めてください。

〔 2- 4〕人格の尊重 私たちは、事業を行う各国・地域において、他の従業員の人格を尊重し、ハラスメントや誹謗・中傷、威圧による業務の強制等相手の人格を無視した行為は行いません。また、そのような誤解・疑義を与えないよう、日頃から、自らの言動をチェックします。

 「ハラスメント(harassment)」とは嫌がらせ、いじめ、悩ますこと等の意味で、当社グループでは、ハラスメントについて広く人権の問題として

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

捉え、その防止に向けて各種の対応を行っています。ハラスメントには様々な種類がありますが、職場で問題になるハラスメントとしては、セクシャルハラスメント(セクハラ:性的嫌がらせ)、パワーハラスメント(パワハラ:職場の権力を利用した嫌がらせ)、マタニティハラスメント(マタハラ:妊娠・出産・育児休業等をきっかけとした嫌がらせ)、パタニティハラスメント(パタハラ:男性が育児のための休暇・短時間勤務・フレックス勤務等を申出・取得することを上司・同僚等が妨げる嫌がらせ)等があります。 職場だけでなく、宴席等での言動でも、相手がそれを不快に感じ、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威や肉体的・精神的苦痛を与えた場合には「ハラスメント」となりますので、私たちは常に相手の気持ちを考えて行動しなければなりません。 ハラスメント問題について性の区別がない点にも注意が必要です。例えば、セクシャルハラスメントについては、男女間の問題として捉えられがちですが、同性から受ける性的な言動や結婚・出産等プライバシーに介入する言動もハラスメントとなります。また、「男らしく」「女らしく」といった男性性・女性性を固定的に評価する言動も問題となります。更に男性・女性といった外形的性区分のみならず、LGBT※注のような性的マイノリティに対するハラスメントについても同様に問題となります。実際にハラスメントを受けたと感じた場合は、決して一人で悩まず、ハラスメント相談窓口や上長、人事担当部門等に相談してください。

※ 注 LGBT について LGBT とはレズビアン(Lesbian:女性同性愛者)、ゲイ(Gay:男性同性愛者)、バイセクシュアル(Bisexual:両性愛者)、トランスジェンダー(Transgender:性同一性障害など心と体の性が一致しない人)の頭文字に由来し、性的少数者を意味します。これらの性的傾向及び自認は個人の自由に属するものであり、それを理由とした誹謗中傷や嫌がらせは厳に慎まなければなりません。

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倫理・遵法行動ガイドライン

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〔 2- 5〕職場の安全衛生に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、関係者全員が安心して働くことのできる安全で快適な職場環境作りに努めます。 特に生産活動・工事にあたっては、関係会社・協力会社・購入先・発注先等と協力し、安全衛生の確保に努めます。

 従業員の安全と健康は経営活動の基盤であり、「従業員の安全と健康を守ることを全てにおいて優先する」ことは当社グループの基本的な考え方です。 安全衛生の確保に向けては、会社の取組みとともに、従業員の安全衛生意識の堅持が推進の両輪です。従業員一人ひとりが決められたルールを遵守するとともに、安全衛生管理活動に積極的に参加し、「自分の身は自分で守る」、「予防こそが最良の危機管理」という意識を常に持つことが必要です。 また、定期的に健康診断を受診して健康状態をチェックするとともに、メンタルヘルス不調の予防のため積極的にセルフケアに努めるなど、心身の健康を維持することが必要です。 また、海外に出向・出張する際は、気候や環境が国内とは異なることから、安全や健康にいつも以上に留意してください。

〈関連法令〉労働安全衛生法〈当社社規〉勤労編「安全衛生規則」

Q & A

Q . 生産が計画から遅れているときは、安全上の禁則・遵守事項を無視して生産挽回を図っても問題ないですか?

A . 問題となります。当社グループでは、従業員の安全と健康を守ることを全てにおいて優先することとしています。職場・作業ごとの禁則・遵守事項は守る、不安全行動(リスクテイキング)はしない等、「自分の身は自分で守る」ための意識を常に持つことが必要です。

納期安全

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

Q & A

Q . 就業規則に違反する行為をした場合どのような処分を受けますか?

A . 懲戒解雇を含む懲戒処分を受けることがあります。

〔 2- 6〕労働関係に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の雇用、人事、勤務、賃金、労働時間、入国管理等に関する労働関連法令及び社内規則・手続きを遵守し、健全な労働条件や職場環境の維持・向上に努めます。

 会社は健全な労働条件・環境を整え、その維持に努めなければならないことはもちろんですが、従業員一人ひとりも他者を尊重し相互にコミュニケーションを図るなどして、働きやすい職場の雰囲気を作っていくことが重要です。 また、従業員と会社の関係については、「労働基準法」等の労働関連法規により定められており、これらを踏まえて社内規則として規定されたものが就業規則です。就業規則は、就業時間、休憩時間や懲戒事由等、働く上での基本的なルールを定めたものです。就業規則の内容を理解し誠実に遵守しなければなりません。

〈関連法令〉労働基準法、男女雇用機会均等法〈当社社規〉勤労編「社員就業規則」

倫理・遵法行動ガイドライン

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3. 社会への貢献と我々のビジネス

〔3- 1〕契約に関する規範(1)私たちは、取引先と締結した契約の内容を理解し、定められた内容

を誠実に履行します。(2)私たちは、事業を円滑に遂行し、係争を未然に防止するため、適切

な契約を締結します。また、いかなる理由があろうとも、法令や社会規範に反する契約は締結しません。

(3)私たちは、社内規則・手続きに基づき、契約を締結します。

 契約は法的拘束力のある当事者の権利や義務を定めた約束であり、その内容が違法でないか否かを確認するとともに、たとえ違法でないとしても契約違反のリスクがないかをしっかりと確認したうえで当社としての義務を確実に果たすことが必要です。

①契約とは 契約とは当事者を法的に拘束する力をもった約束のことを言います。契約によってあらかじめ当事者の権利・義務を定めておくことにより、事業を円滑に進めるためだけでなく、トラブルを未然に防止することができます。ただし、一旦締結した契約は、確実にその権利・義務を果たさなければならないため、あらかじめその内容を正確に把握したうえで締結すべきか否かを判断しなければなりません。 契約の内容・形式は原則として自由ですが、当然ながら法令に則ったものでなくてはなりません。談合契約等の公序良俗に反する契約や、独占禁止法・下請法等の強行法規に反する契約は無効となるほか、倫理・遵法の観点からも問題となりますので締結してはなりません。その他、過去取決めた内容が現在の法令に則ったものかどうかなどの確認も必要ですので、疑問点がある場合や専門的知識を要する場合には、法務・コンプライアンス担当部門等へ相談してください。

②契約上の義務の遵守 取引先との間でトラブルが生じた場合、たとえ長年の取引関係があったとしても、契約上の権利・義務に基づき損害賠償請求や契約解除等の対応を求められることは当然であると考えるべきです。自らの義務が果たせな

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

い場合には、経済的な損失だけではなく社会的な信頼をも損ねる事態になりかねないことをしっかりと認識してください。

③契約書について 契約は原則として当事者のお互いの意思表示の合致のみで成立します。したがって、例えば口頭での取決めであっても、その内容に当事者が合意した場合は有効な契約として成立します。しかし、言った言わないのトラブルを避けるためや当事者の権利・義務を明確にするためには、契約書を作成・締結することが必要です。約束を守ることができるのか否かを契約前に十分に検討した上で、契約書には「守ることができる義務」のみを記載してください。 その他、契約書には取引内容を適切に反映していること、問題が起こったら当事者がどのように対応すればよいか判別できること等を具体的に定めておくことが必要です。また、紛争になった際には、解決に当たる人(裁判所や仲裁人等)が契約書の記載内容に基づいて当事者の権利・義務を判断することになるため、それぞれの項目について明確に規定しておくことが必要です。 また、契約書の調印は、適切な権限者によって行われなければなりません。適切な権限者とは、当社では規則によって「原則として部長以上の職位にある者」と定められており、それ以外の者に委譲する場合には厳格な手続きが定められていますので、必ず規則や内部牽制基準に基づいた対応が必要です。

〈関連法令〉民法、消費者契約法〈当社社規〉総括編「1311 契約書押印権限規則」〈マニュアル類〉「なるほど!!契約実務マニュアル」、「契約書式集&ワンポイント

アドバイス」、「国際売買契約書作成ガイドブック」

倫理・遵法行動ガイドライン

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Q & A

Q . 契約を締結する際、どのような点に注意すべきですか?

A . 注意すべき点として、以下の点が挙げられます。ただし、案件ごとに注意すべき点も異なりますので、疑問がある場合は上司や法務部門に相談してください。

契約内容が法令に違反していないか契約相手が信頼できる組織か(信用不安がない、反社会的勢力でない等)契約上自社に課されている義務が履行できる内容であるか支払金額、支払方法、支払期日等の支払条件が規定されているか当該契約に関連して発生する費用、損害等が誰の負担になっているか(過度に自社が負担する旨が規定されていないか)契約書に違反した場合の法的責任の内容(損害賠償、罰金等)が適切か契約の解除はどのような場合に認められるか、明確に規定されているか契約内容が平等的で両者が受け入れられるか新たに発生する知的財産権が誰に帰属するかが明確に規定されているか契約の準拠法(どの国の法令が適用されるか)や紛争解決手段(訴訟、仲裁等)が適切に選択され、規定されているか

契約内容の承諾

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

当社グループ事例当社グループは、防衛・宇宙事業における工数の付替え等による不適切な計上として、費用の過大計上及び過大請求を特定の顧客に対して行っていた。当該行為は、顧客との契約に違反する行為であり、契約上の違約金も含めて、総額約 757 億円を支払うこととなった。

A国で行われる公共入札の概要(発注内容、発注者、規模等)が不明な段階で、自称A国の政府関係者と繋がりがあるというコンサルタントを当社グループ会社B社が起用した。しかし、B社と当該コンサルタントとの間の契約書には、業務内容や対象案件、対象製品等が特定されておらず、どのような場合に報酬を支払うのかが不明確な内容であった。やがて入札概容が明らかになり、B社は営業活動を行ったが、入札資格が得られず、C社が受注することとなり、結局 B 社は C 社の下請け業者として業務の一部を受注した。数年後、コンサルタントからコンサルティング契約に基づく報酬を要求され、B社はこれを拒否したところ、当該コンサルタントは、B社を被告として訴訟を提訴した。訴訟長期化による訴訟費用・作業負荷の増加等も踏まえ経済合理性の観点から和解することとなった。

【コンサルティング契約を締結する際の留意点】契約相手が信頼できるコンサルタントであるか否かの事前調査

(属性調査)を徹底すること契約内容を事前に確認し、業務内容、対象案件、対象製品、発注者、発注時期、受注者等を特定し、どのような場合に報酬を支払うのかを明確に定めておくことコンサルタントが取り扱える製品を、当該コンサルタントとコンサルティング契約を締結する自社の契約締結部門が取り扱ってい

倫理・遵法行動ガイドライン

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る製品に限定すること(コンサルタントが取り扱える製品の範囲を過度に広くしないこと)他の三菱冠称会社や当社グループ会社をトラブルに巻き込まない様に、「MITSUBISHI ELECTRIC XXX」など自社の正式名称を使用すること(漠然と自社を「MITSUBISHI」としないこと)

〔 3- 2〕公正競争に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域において、取引先が官公庁である

か民間企業であるかを問わず、適用される独占禁止法、競争法をはじめ、公正な取引に関する全ての法令・規則を遵守します。

(2)私たちは、同業他社との間で、明示か黙示か、公式か非公式か、書面か口頭かにかかわらず、価格、生産・販売能力、販売条件、入札、利益、コスト、その他の公正競争を制限する合意・取決め・情報交換を行いません。私たちは、上述の誤解・疑義を与えるような同業他社との接触を行いません。

(3)私たちは、同業他社との接触を持つ場合(例:業界団体会合への参加)には、定められた社内規則・手続き等を遵守します。

(4)私たちは、代理店等との間で、販売価格の維持、販売地域の制限等、公正競争を制限する合意・取決め・情報交換を行いません。

 国内外で事業活動を遂行するにあたって、各国・地域の独占禁止法及び競争法(以下、関連する法令も含めて独禁法・競争法という)に抵触する行為は、疑わしい行為も含め、いかなる場合においても決して行ってはなりません。これは、取引先相手が官公庁であるか、民間企業であるかを問わず同様です。 独禁法・競争法に違反する行為があった場合、会社に対して巨額の制裁金が課されるだけでなく、従業員個人に対する刑事罰(懲役・禁錮等)が科されることや、社内処分を受けることもあります。また、不正な手段によって利益を得ていたとして社会から厳しい非難を受けるほか、官公庁からの指名停止処分・営業停止処分、顧客や消費者からの損害賠償請求等、

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

会社経営の根幹を揺るがしかねない極めて深刻な損失を被ることがあります。 当社グループは、過去に独禁法・競争法違反に幾度も問われており、2011 年の「一部の自動車用部品の取引についての独占禁止法違反」事案以降も独禁法・競争法違反で当局の処分を受けています。再度違反行為に問われることは絶対に許されないことを、今一度肝に銘じなければなりません。違反行為は「絶対悪」であるとの認識を強く持ち、不公正な手段を決して用いることなく、自らの事業競争力を高めていくことが我々の使命であることを強く認識してください。

①独禁法・競争法の目的 独禁法・競争法は世界の多くの国や地域で制定されています。国や地域によって規制の内容に多少の違いはありますが、いずれも事業者が市場において公正かつ自由に競争を行うことにより、製品の低価格化・サービスの充実・機能の改良等を促進し、消費者がそのメリットを享受できるようにすることを目的としている点は共通です。 よって、この目的を阻害する行為(競争制限行為、競争阻害行為)については、官公庁向けの事業に限らず、民間の顧客向けの事業においても、同様に違法となることに注意が必要です。 そして、日本の独禁法には、具体的な競争制限・競争阻害行為として、主に以下の 3 つの類型が定められています。

ア.私的独占 他の事業者の事業活動を排除又は支配することにより、競争を実質的に制限する行為

イ.不当な取引制限 カルテル・入札談合のように、競争事業者間における価格、生産・販売能力、販売条件、入札、利益、コスト、仕入れ先に関する合意・取決め、その他公正競争を阻害する合意・取決めに関する行為

ウ.不公正な取引方法 代理店・販売店、仕入先等、販売ルートの上流に位置づけられる当事者と下流に位置づけられる当事者との間における、再販売価格の維持(代理店等の販売業者が顧客に販売する価格を拘束・指示すること)、販売地域の制限、不当廉売等の取引制限行為等

倫理・遵法行動ガイドライン

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 海外の独禁法・競争法においても、基本的には日本の独禁法と同様の行為が禁止されているので、事業活動にあたっては、事業を行う各国・地域において適用される独禁法・競争法を遵守することが必要です。

②独禁法・競争法違反の世界的な摘発強化 近年、世界中の独禁法・競争法当局が自国の国内市場に影響を与えるカルテルに対する法執行を強化しており、域外の企業・個人であっても、自国の独禁法・競争法に基づいて摘発(域外適用)を行っています。特に、米国、EU では積極的に域外適用が行われていますが、中国、韓国、豪州、インド、カナダ、ブラジル、メキシコ、シンガポール等でも増加傾向にあります。2012 年には、米国司法省が日本企業に対して 360 億円(現時点で米国司法省から日本企業が科された罰金の最高額)の罰金を科し、複数の日本人従業員が罰金刑・禁錮刑に処せられた事例も発生しています。

③課徴金等の減免制度(リニエンシー制度) 各国・地域の独禁法・競争法当局は、カルテル・入札談合行為を自主的に申告した企業に対し、課徴金等を減免する制度(リニエンシー制度)を採用しています。日本又は各国・地域の独禁法・競争法当局の調査を受けた企業が、本制度に基づく課徴金等の減免を得るために、同業他社との情報交換等の実施に関する情報を提供することで、違反行為が発覚するケースが増えています。 各国・地域の独禁法・競争法当局間での情報交換も活発に行われており、多国間に跨る違反行為を自社で隠していたとしても、同業他社が先んじていずれかの国で独禁法・競争法当局に駆け込み、情報提供を行う可能性がある以上、違反行為を隠し通すことは不可能であると認識してください。 ④カルテル・入札談合防止のための行動原則

ア.上述のとおり、独禁法・競争法違反行為、特にカルテル・入札談合に関する摘発が強化されています。したがって、同業他社との間では、明示か黙示か、公式な場か非公式な場か、書面か口頭かを問わず、独禁法・競争法違反行為を疑われるおそれのある以下のような情報交換行為は決して行ってはなりません。また、コンサルタント

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

等の第三者を通じて間接的に以下のような情報交換を行う場合も摘発の対象となるおそれがあるので注意してください。

◦製品・サービスの価格、具体的な取引条件、将来の販売価格についての情報交換

◦販売量、生産量、コスト、シェアについての情報交換◦短期の需要見通し、顧客や地域・製品の種類等の市場の分割につい

ての情報交換◦入札価格、受注予定者についての情報交換◦入札に参加するか否かについての情報交換

 もし、同業他社も出席している会合等で上記の話題が出たときは、異議を述べた上で退席しその内容を報告の上、記録として残し最低でも 5 年間は保管してください。 なお、たとえ以下のような事情・状況があったとしても、違反行為が許されることはありません。

◦顧客から、不当な値引き要請が行われたため、事業を守る意味合いで行った。

◦違反行為が顧客担当者の意向を踏まえた行為である。◦競合する他社との間で「価格の合意」は行ったが、実行にまでは至

っていない。◦競合する他社との合意内容を実行したが、実質的なメリット(効果)

はなかった。◦「価格値上げ」の合意ではなく「価格値下げ」の合意を行ったに過

ぎない。 また、入札業務に関する取扱い、同業他社との接触時の取扱いについては、各社の規則(同業他社との接触に関するルール等)に基づいて手続きを行ってください。

イ.各国・地域の独禁法・競争法当局は厳罰で臨んでいますが、一方で日本企業の独禁法・競争法遵守への認識の甘さが指摘されています。日本の業界慣習においては、同業他社と懇親会やゴルフコンペ等をすることが依然としてありますが、横並び意識が生まれ、懇親の範囲を超えてカルテルにつながるリスクがあるため、実施にあたって

倫理・遵法行動ガイドライン

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は必要性を十分に吟味してください。

ウ.独禁法・競争法違反行為に関与することは、たとえ会社のために行ったとの認識であっても、結局は会社に対して巨額の損失しか生み出さない背信行為となるばかりでなく、従業員個人に対しても刑事罰(懲役・禁錮等)や懲戒解雇等の厳しい処分を科されることもあるため、決して行ってはなりません。

〈当社社規〉営業編「5096 入札管理規程」、「5098 同業他社との接触に関する管理規程」〈マニュアル類〉「独占禁止法遵守マニュアル」、「米国独占禁止法遵守マニュアル」、

「EU 競争法遵守マニュアル」、「中国独占禁止法遵守マニュアル」

Q & A

Q . 同業他社が参加する業界団体の会合に出席したところ、そこで製品に関する価格引上げの話が出ました。独禁法・競争法上問題となりうる危険な話だと認識しましたが、賛成も反対もすることなくそのまま会合終了まで参加しました。独禁法・競争法上問題となりますか?

A . 問題となります。同業他社間で価格等の合意や情報交換を行った場合は、明示か黙示かを問わず、独禁法・競争法違反と疑われます。明確に「拒否」をしない限り、黙示の合意があったと判断されるおそれがあるので、「独禁法・競争法上危険な話し合いには参加しない」と明確に拒絶の意思を表明し、即座に退席して、速やかに上長、コンプライアンスマネージャー、法務・コンプライアンス担当部門、法令管理部門等に報告してください。なお、手続きの詳細は、同業他社との接触に関する社内規則を確認してください。

では、

今回は当社で

・・・・・

・・・・・・

A社

C社

B社

D社

次回は当社で

お願いします

業界の密約は

守るべきですね

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

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社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

Q . 出資関係のない代理店が自社の製品を他の代理店よりも安い価格で販売しているため、当該安売りについて他の代理店からクレームがあった。それに対し、当社は、安売りしている代理店に対して、当該代理店から消費者への販売価格(再販売価格)を増額するように指示した。この行為は、独禁法・競争法上問題となりますか?

A . 問題となります。代理店は自由に再販売価格を設定することができます。代理店に対して、再販売価格の増額を指示することは、当該代理店の再販売価格を拘束する行為に該当し、独禁法・競争法違反となります。

当社事例 当社は、一部の自動車用部品の取引において、同業他社とカルテルを行い、以下のとおり、各国・地域(日本、米国、中国、欧州、韓国)の独禁法・競争法当局から独禁法・競争法違反で処分を受けており、本件に関わった従業員が米国当局により起訴されるという事態となった。◦日本の公正取引委員会から約 14 億円の課徴金(2012 年)◦米国司法省から約 190 億円の罰金(2013 年)◦中国国家発展改革委員会から約 7 億円の課徴金(2014 年)◦欧州委員会から約 146 億円の課徴金(2016 年)◦韓国公正取引委員会から約 6,300 万円の課徴金(2016 年)

安売りしちゃ困るよ!

〔 3- 3〕不適切な支払の禁止に関する規範(贈答・接待、政治献金、寄付)(1)私たちは、事業を行う各国・地域において、公務員であるか民間企業

であるかを問わず、直接か間接かにかかわらず、不当に有利な立場や不当な利益を取得・維持することを目的とした支払は行いません。

倫理・遵法行動ガイドライン

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(2)私たちは、代理店等を通じて不適切な支払を行わないとともに、代理店等の起用にあたっては法令及び社内規則・手続きを遵守します。

(3)私たちは、いかなる場合でも、不適切との疑義を持たれるような支払を行いません。

(4)私たちは、顧客や代理店等の取引先からの贈答・接待等を受ける場合は、事業を行う各国・地域の法令、社会規範、社内規則等に則った適切な範囲にとどめ、個人的な利益の取得等につながるような贈答・接待等を受けません。

(5)私たちは、政治献金や各種団体への寄付等を行う際は、当該活動を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、適切な方法で行います。

 取引先及び関係先等との間の贈答・接待等の授受は、法令や社会的常識の範囲内で節度を持って行ってください。特に、国内外の公務員に対する贈答・接待等の提供は、贈賄行為として日本を含め各国・地域の当局から刑事罰を科されるリスクがあるため十分な注意が必要です。 なお、国内においては、国家公務員・地方公務員の他に、みなし公務員や法律に贈収賄罪の定めのある法人の役員・従業員に対する贈賄行為も禁じられていますので注意が必要です。対象となる法人については、「公務員等への対応マニュアル」<贈収賄罪規定、みなし公務員規定のある主な法人等のリスト>(当社法務・コンプライアンス部発行)を参照してください。

(1)贈答・接待等の取扱い

①世界的に強化される取締りと制裁 世界の多くの国・地域において贈収賄に関する規制が設けられています。近年、贈収賄の取締りが世界的に一段と強化されており、会社に対する制裁のみならず、従業員個人に対しても刑事罰(罰金、禁錮等)を科されるケースも増えてきています。また、米国や英国の当局は、多くのグローバル企業に対して、自国の贈賄に関する規制を域外適用して巨額の制裁を課していますので、グローバルに事業を行っている当社グ

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人権の尊重

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環境問題への取組み

企業人としての自覚

ループは、事業に関わるあらゆる国・地域の贈収賄に関する規制を遵守することが必要です。

②贈賄行為の禁止ア.贈賄行為とは

 贈賄行為とは、「取引その他の不当な利益を取得し又は維持するために、国内外の公務員、みなし公務員、国営企業の職員等賄賂の授受が禁止されている者(以下、公務員等という)、その職務に関する行為をさせ又はさせないことを目的として、直接又は第三者を介して、贈答・接待等を提供し、又はその申込若しくは約束する行為」を指します。

イ.公務員等に対する直接的な贈賄行為 以下のような贈賄行為に当たる可能性が高い行為は、いかなる理由があっても行ってはなりません。・プロジェクトを落札するため、事前に公表されない最低入札価格

の提供と引き換えに贈答・接待等を行う。・本来は環境基準を満たしていないプラント等について、設備設置

の許可の付与と引き換えに贈答・接待等を行う。・税金の減免・処罰の回避・軽減等と引き換えに贈答・接待等を行う。・車、宝飾品のような高級品を提供する。・風俗店や舞妓・芸妓宴席での接待を行う。・現金や換金性のある商品券を提供する。・公務員等の家族等を当社グループ会社で優先的に雇用する。・公務員等の家族も含めて観光等に招待する。 等

〈例外的に許容される行為〉 公務員等に対して贈答・接待を行う場合であっても法令や社会的常識の範囲内(安価な記念品・販促用品、軽食等)で節度を持って行う限りにおいては、贈賄行為として問題となることはありません。また、民間企業の役員・従業員との間の贈答・接待等の授受に関しても、社会的常識の範囲内で節度をもって行うべきです。

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 ただし、社会的常識の範囲内で行われる贈答・接待等であっても、入札前や調査前など、相手の判断に影響を与えるようなタイミングで行われる場合や、同一の公務員に対し繰り返し贈答・接待等が行われる場合には贈賄行為と疑われる危険性が高まるので、贈答・接待等を行うタイミングや頻度にも注意が必要です。 社会的常識の範囲内であることを確認するために、会議費・交際費の事前伺いや事後報告を行うことに加え贈賄防止に関する社内規則も遵守してください。

ウ.公務員等に対する間接的な贈賄行為(コンサルタントや代理店等の第三者を介する場合)

 上記イ.のように、公務員等に対して直接的に贈賄行為を行う場合だけでなく、コンサルタントや代理店等の第三者(以下、コンサルタント等という)を通じて公務員等に対して不正な目的で現金を支払うなど間接的に贈賄行為を行う場合も違法となります。 また、当社としては贈賄行為を行うつもりはなくても、当社がコンサルタント等に対して支払った報酬を原資として、コンサルタント等が勝手に公務員等に対して贈賄行為を行ってしまった場合には、当該コンサルタント等を起用していた当社も共謀者として処罰されるリスクも高いため、コンサルタント等と取引をする場合には、事前に社内手続きに基づいて、贈賄行為を行うリスクがないかを以下の観点から調査することが必要です。・過大な報酬を支払うよう要求を受けていないか・契約書に記載されている業務の内容が不明確でないか・公務員等の親戚でないか、又は密接な付き合いがないか・公務員等から紹介を受けていないか・ 現金での支払いや海外の銀行口座への送金を求められていないか 等

エ.公務員等から不当な要求を受けた場合 公務員等から贈賄行為を強要された場合は毅然とした態度で拒否した上で、社内手続きに基づいて報告してください。

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人権の尊重

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企業人としての自覚

 ただし、要求に従わないことによって、生命又は身体に危害が加えられるおそれがある場合は、個人の安全を最優先してください。この場合も、事後に社内手続きに基づいて報告してください。

オ.ファシリテーションペイメント 当社グループの方針として、入国、査証、通関、許認可等の行政手続きを円滑に進めてもらうために公務員等に対して少額の金銭を支払うこと(ファシリテーションペイメント)は、各国・地域の法令等において明示的に認められる場合を除いては、行ってはなりません。なお、日本においては法令上認められていません。ただし、ファシリテーションペイメントを支払わないことによって、生命又は身体に危害が加えられるおそれがある場合は、個人の安全を最優先してください。

カ.民間企業の役員・従業員への贈賄行為 国や地域によっては、公務員等に対する贈賄行為だけでなく、民間企業の役員・従業員への贈賄行為も禁止されている場合があり、民間企業の役員・従業員であっても、贈賄行為を行ってはなりません。

キ.国家公務員倫理法・倫理規程 日本の公務員及びみなし公務員との関係においては、国家公務員倫理法・倫理規程にも留意することが必要です。国家公務員倫理法・倫理規程は、公務員及びみなし公務員を規制する法律ですが、当社グループの行為によって相手方に迷惑を掛けることを避けるため、同規制に留意した対応が必要です。公務員及びみなし公務員は、「利害関係者」との間で、次のようなことができません。

金銭・物品の贈与を受けること金銭の貸付けを受けること無償でサービスの提供を受けること供応接待を受けること一緒に麻雀・ゴルフ・旅行をすること 等

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③贈答・接待等を受ける場合の対応 取引先・関係先等から贈答・接待等を受ける場合には上長に相談し、上長の適切な指示に従い対応してください。社会的常識の範囲内であれば、受けることはできますが、社会的常識を超えるものは、辞退、返却しなければなりません。

〈関連法令〉刑法 第 198 条(贈賄罪)、不正競争防止法〈当社社規〉営業編「5099 国内公務員等に対する贈賄行為の防止に関する規程」、 「5084 外国公務員等に対する贈賄行為の防止に関する規程」

〈マニュアル類〉「公務員等への対応マニュアル」、「贈賄行為の防止に関する規定ガイドライン」

Q & A

Q . ある公務員に対して、当該公務員の職務上の地位を利用して当社に便宜を図ってもらう見返りとして金品の供与を約束しましたが、結局その公務員はその行為をせず、当社も金品を供与しませんでした。このような場合であっても贈賄になりますか?

A . 贈賄になります。実際に公務員から便宜を図ってもらうこともなく、金品を供与しなかったとしても、職務上の地位を利用し、自社に便宜を図ってもらうことを目的として賄賂の授受を約束したり、一方的に賄賂の申込みをするだけでも、贈賄となります。

他社事例 A 社(ドイツ企業〈米国で上場〉)は、受注を獲得するために、南米、アジア、中近東、アフリカの諸国の公務員 4000 人以上に対して 7 年間で、累計約 1,400M 米ドルの賄賂を支払った違法行為により、米国及びドイツの当局から総額約 1,600M 米ドルもの制裁金を科せられた。

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人権の尊重

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企業人としての自覚

(2)政治活動支援に関する取扱い 日本国内の政治献金(政治資金パーティー券の購入含む)については、必ず事前に政治担当部門(当社においては本社総務部)による審査等の手続きを踏み、政治資金規正法に則った対応を行わねばなりません。また、選挙活動については公職選挙法を遵守しなければなりません。 海外においても各国・地域の法令を遵守しなければなりません。

①政治資金規正法 政治資金の寄付については、政治資金規正法により寄付の量的制限(寄付金総額の制限など)や質的制限(国や地方公共団体から補助金や出資を受けている会社からの寄付禁止など)が定められています。これらは会社単位で適用され、政治資金団体への企業献金、政治資金パーティー券の購入にあたっては、必ず事前に政治担当部門(当社においては本社総務部)による審査等の社内手続きを行い、政治資金規正法を遵守することが必要です。 違反行為を行った場合、会社のみならず従業員個人にも刑事罰が科されます。

参考:会社の政治資金寄付に関する制限

受領者

政治家個人、その他の政治団体(資金管理団体、後援会等) 会社からの寄付は一切禁止

政党(本部・支部)、政治資金団体

750万円~1億円(会社の規模に応じて異なる)

政治資金パーティー 20万円/1パーティー以上購入した場合、官報に支払者の名称等が記載される。

主な制限

②公職選挙法 国や地方の公職選挙における選挙活動については、公職選挙法で詳細に規定されています。選挙活動期間中の陣中見舞い品の提供も違法とされているなど、日常生活における私人間の常識とは異なる規制がありますので、公職選挙法に違反しないように、政治担当部門の判断を仰ぎつつ慎重に対応してください。

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(3)寄付金の取扱い 社会からの要請や、良き企業市民として地域における役割と責任を果たすために寄付を行います。寄付を行うか否かの判断や寄付の決済にあたっては、社内手続きを行ってください。

①寄付の判断基準 寄付を行うか否かについては、社会からの要請に対する必要性、寄付先の属性(反社会的勢力ではないこと、公務員等と密接な関係がないこと)等に基づき判断します。 この判断基準に基づく寄付として、地域社会との調和維持を目的とした寄付や社会貢献活動の方針に則った寄付があります。これらの寄付については、社会貢献活動の一環として可能な範囲で積極的に行います。

②寄付の認許 寄付の認許については、社内規則等に決済の手続きと決裁者が定められており、これに則った手続きが必要です。支出した寄付の内容は全て寄付担当部門(当社においては本社総務部)への報告が必要です。

〈当社社規〉総括編「1309 寄付金管理規則」、「1310 公課管理規則」

〔 3- 4〕製品の安全性・品質に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域の製品の安全性・品質に関する法令・

基準及び社内規則・手続きを十分理解し、遵守するとともに、「四つの品質基本理念」のもと、より高度な安全性・品質を目指します。

(2)私たちは、製品の開発・製造から販売・保守に至る全ての場面で、常に安全性・品質に留意し、製品の安全性・品質に関する説明や情報提供は、正確で見やすいものを目指します。

(3)私たちは、製品の安全性・品質に関する情報を入手した場合、直ちに事実関係を確認します。また、問題があることが判明した場合には、関連法令を遵守し、迅速かつ適切に対応します。

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環境問題への取組み

企業人としての自覚

<四つの品質基本理念>・品質は第一であり、納期 ・ 価格などに優先する。・いかなる犠牲を払っても良い品質をつくるという目標は変えることはない。・安全にして使用に便なるもの、妥当な寿命をもち、性能が均一であること。・品質に対する責任は、個々の製品の品質に関してそれぞれの製造に関与

する全ての経営者・社員が等しく負わなければならない。

 当社グループは、確かな品質を確保するために、基本理念である「四つの品質基本理念」のもと、品質に関する法令・規格を遵守し、品質保証及び品質改善活動を展開しています。

①製品安全に対する責務 製品の安全性に配慮することは当然の責務であり、メーカーは製品の欠陥に起因する製品事故に対して、各国・地域の製造物責任法(PL 法)に基づき製造物責任を負います。例えば、日本においては故意・過失がなくても、事故原因と欠陥の因果関係が証明されれば、欠陥により発生した損害について、メーカーは賠償責任を負うことになります。したがって、各国・地域の製品安全に関する法令・規則を遵守するのはもちろんのこと、製品の取扱説明書、アフターサービス等に至るまで安全性への万全な注意を怠らないようにしてください。

②迅速かつ適切な対応 十分に注意したにもかかわらず不幸にも製品の不具合が発生したときには、顧客の視点に立った、迅速かつ適切な対応が必要であり、場合によっては、製品回収(自主的なリコール)を履行する等の措置を講じなければなりません。また、製品の不具合の影響が複数国に及ぶ場合には、国や地域によって使用言語や当局・顧客への対応事項が異なる場合もあるため注意してください。

〈関連法令〉製造物責任法、消費生活用製品安全法、電気用品安全法、医薬品医療機器等法

〈当社社規〉製造編「8300 品質に関する理念規則」、「8340 製品重大不具合処置規程」、「8341 電気用品事故処置規程」、「8342 医療機器不具合処置規程」、「消費生活用製品安全法 事故処置規程」

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他社事例 【危機管理の失敗事例】湯沸かし器の排気ファンのメーカーである A 社は、当該製品の動作不良を原因とする一酸化炭素中毒により死傷者が出たが、外部の工事業者による不正改造が原因であるとして、当初は自社の責任を認めず、十分な改善措置を取らなかった。その結果、元社長等に対して有罪判決が下され、また、同社に対する社会的な批判が強まり、売上高の減少や人員削減等も行われるなど、適時・適切な対応を取らなかったことにより企業全体に大きなダメージを与えた。

 【危機管理の成功事例】石油温風機のメーカーであるB社は、当該製品のバーナーに外気を送るゴムホースの亀裂による不完全燃焼を原因とする一酸化炭素中毒により死傷者が出たため、総額約200 億円以上をかけて迅速に製品の修理・回収等を行った。同社が、法律上の責任を負う期間(当該製品を製造してから 20 年)を経過していたにもかかわらず、適時・適切な対応を行ったことについて、社会的に評価された。

※ 上記に記載した 2 つの事例のように、製品の安全性に問題があることが発覚した場合に企業がとる対応によって、社会の評価は大きく異なります。

〔 3- 5〕経営情報の開示と経理処理に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続き等を

遵守し、株主・投資家等に対して、財務内容や事業活動状況等の経営情報を適切に開示するとともに、会社の経営理念・経営方針を明確に伝えます。

(2)私たちは、法令及び社内規則・手続き等を遵守し、適正な経理処理を行います。

 ステークホルダー(利害関係者)に適時・適切に財務情報を開示することは企業の社会的責任です。

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環境問題への取組み

企業人としての自覚

①経営情報の開示について 企業を取りまくステークホルダー(利害関係者)に対して適時・適切に財務情報(当社グループの業績及び財産の状態)を開示することは、企業の社会的責任の一つです。また、当社グループが事業を行う各国・地域の会社法や会計基準等によっては、財務情報の開示が義務付けられている場合もあるので、当社グループ会社は、当該国・地域の法令等に基づいて開示を行ってください。

ア.開示の方法 財務情報の開示にはいくつかの方法があります。

(ア)法令に定められた財務情報の開示 財務情報の開示は二つの法令で義務づけられています。一つは会社法による株主・債権者保護のためのもので、これには「計算書類(貸借対照表、損益計算書等)、事業報告等」があります。もう一つは金融商品取引法による投資家への情報提供としての

「有価証券報告書」及び「四半期報告書」等があります。(イ)その他の財務情報開示

 法令に定められた上記の財務情報以外に、補完的な財務情報として次のような開示も実施しています。a.業績を適時・適切に公表するための「決算発表及び業績予想」

等の証券取引所における開示b.グローバル企業としての財務情報開示手段である「アニュア

ル・レポート」の公表c.企業 PR のための基礎的ハンドブックである「会社経歴書」

の公表d.投資家や証券アナリストを対象に IR 活動等として実施する

「経営戦略説明会」とその資料の公表イ.財務情報の開示で留意すべきこと

 当社グループの財務情報を含め内部情報が当社株式等の不公正な取引に利用されることのないよう、適切な情報管理を行うことが必要です。特に公表前の財務情報を取扱う部門においては、電子的な情報セキュリティはもちろんのこと、事務所内といえども紙媒体で

倫理・遵法行動ガイドライン

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の出力資料類に対する物理的セキュリティの管理も徹底してください。 当社グループの財務情報について社外から質問を受けた場合は、財務担当部門(当社においては本社財務部)に対応を依頼してください。

〈関連法令〉会社法、会社法施行令、会計計算規則、金融商品取引法

②経理処理について 経理処理に際しては、経理規程等の諸規程、関係諸法令(会社法、金融商品取引法、法人税法等)、その他一般に公正妥当と認められる会計の基準に基づき、適正な会計処理や適切な税務処理を行うことが必要です。また、伝票や伺出等関連証憑は、真実に基づき正確に記載し、虚偽や偽装などの不正な処理を行ってはなりません。

【倫理・遵法の観点から、特に注意すべき項目】ア.会計基準・会計原則の遵守

 財務諸表の適正性を確保できるよう会計基準に基づき会計処理を行うことが必要です。費用は発生主義、収益は実現主義の考え方に基づき、費用および収益はその発生した期間に割当処理しなければなりません。また、費用収益対応の原則に基づき、収益の計上時には、これに関連・対応する費用を計上することで、期間損益が正しくなるようにしなければなりません。なお、不適切な会計処理を行った場合は、刑事罰が科されることもあります。

イ.早期計上・架空計上の禁止 発注した物品が未納入の状態にもかかわらず計上を行うこと、あるいは架空発注された物品につき現物確認をすることなく計上を行うことは、当社グループのコンプライアンス方針を逸脱するとともに財務情報の社会的信頼性を著しく失墜させる行為であり、いかなる理由があっても行ってはなりません。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

ウ.交際費の取扱い 交際費は税法上冗費とされ、その濫用防止を目的として、原則損金不算入(課税対象)となっています。支出内容が交際費に該当するか否かが課される税額に影響するため、交際費の隣接費目については税務調査で詳細な内容確認が行われます。 飲食関連費用のうち一定の要件を満たすものは交際費から除外されますが、除外を行うためには、この要件に関する情報を記載した書類(会議費伺等)を保存することが必要です。この書類(会議費伺等)に事実と異なる情報を故意に記載した場合、脱税の意図がなかったとしても、仮装・隠ぺい行為に該当し重加算税を課されることになるので、このような行為は決して行ってはなりません。

エ.移転価格税制 移転価格税制は、国内企業が海外関係会社との間で行うモノ・サービス等の取引の価格(移転価格)を、第三者との取引における価格(独立企業間価格)に計算し直すことにより、第三者との取引であれば当該会社が得られたであろう利益に対して課税する税制です。その目的は、海外関係会社との取引を通じた所得の海外移転を防止し、適正な国際課税の実現を図ることであり、恣意的な価格操作、取引条件設定等の行為は行ってはなりません。取引当事国の移転価格税制を理解し、適切に対応することが必要です。

〔 3- 6〕輸出入・安全保障輸出管理に関する規範(1)私たちは、貨物・技術を輸出又は輸入する場合には、事業を行う各国・

地域の輸出入に関する法令及び社内規則・手続きを遵守し、貨物名、技術名、価格、原産地、輸出・輸入量等を正しく申告します。

(2)私たちは、事業を行う各国・地域において、全ての貨物・技術の取引に関して、安全保障輸出管理に関する法令及び社内規則・手続きを遵守し、輸出する貨物・技術が国際的な平和及び安全の維持を妨げるような用途に用いられないことを確認します。また、法令で規制される貨物・技術を輸出する場合、事前に適切な許可を取得します。

倫理・遵法行動ガイドライン

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 当社グループが取扱う全ての貨物 ・ 技術(ソフトウェアを含む)が安全保障輸出管理の対象です。 国内外向けを問わず全ての取引について、「誰が」、「どこで」、「何に使うのか」を確認し、取引を行うか否かを判断しなければなりません。 各国・地域の安全保障輸出管理法令(日本の「外国為替及び外国貿易法(以下、外為法という)」)や米国の輸出管理規則(以下、EAR という)で規制された貨物・技術の輸出等にあたっては必ず適切な輸出許可等を取得しなければなりません。 各国・地域の安全保障輸出管理法令に違反(無許可輸出)した場合、同法令に基づく罰則に加え、各国政府による輸出禁止処分等により当社グループの企業活動が深刻な影響を受けます。

①無償支給等を伴う輸入品の加算申告 外国のメーカーに部材を無償支給し加工した製品・治工具等を輸入する場合や、金型等を無償貸与し製品等を輸入する場合は、その製品等の輸入時の通関において、無償支給材料等の価格を製品価格に加算し、輸入申告しなければなりません。加算しない場合は、関税の脱税行為となるので十分注意が必要です。 また、製品等の輸入時の通関手続き後に、当該輸入品に関連する費用

(例:特許費用を含むロイヤルティ)を請求された場合は、事後的に加算申告をしなければ関税の脱税行為となる場合もあるので、各国・地域の法令を遵守の上対応してください。

②安全保障輸出管理 イランの核開発、北朝鮮のミサイル発射や核実験、イスラム国(IS)等のニュースが新聞等で取り上げられています。大量破壊兵器の拡散、内戦・地域紛争に係るテロ活動等の話は、世界平和に深刻な影響を与えており、私たちにとっても現実の脅威となっています。当社グループでは、グローバル化の進展により、海外拠点での生産・現地販売やグローバル生産拠点として製品・部品の当該国から周辺国への輸出や技術提供が増加しています。 私たち民間企業が核拡散や地域紛争を直接的に解決することはできま

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

せん。しかし、テロへの関与が疑われる人々やテロ懸念国等に武器や兵器、その材料や製造設備・技術が拡がらないよう、これらの当事者に当社グループの先進的な製品 ・ 技術を『渡さない』、『世界の平和・安全を妨げる活動に使われないようにする』ことによって、テロの脅威が拡大するのを阻止することができます。これらの取組みが、安全保障輸出管理(以下、輸出管理という)です。 輸出管理は国がやるもの、自分達には関係のないものではありません。私たちが取扱う民生用の製品であっても、知らないうちに、武器 ・ 兵器の製造工場に使用される懸念もあります。私たち一人ひとりの行動が、自国と国際社会の安全保障と結びついており、輸出管理は『自分の家族の安全を守る手段でもある』ことを理解してください。 日頃から海外向けの事業を行っている部門だけでなく、私たちの誰もが輸出管理の当事者となる可能性があります。以下に挙げるようなケースも輸出管理の対象となるので、注意が必要です。

ア.貨物だけでなく、技術(ソフトウェアを含む)も輸出管理の対象 貨物はもちろん、技術(貨物の設計・製造、使用に係る技術情報、ソフトウェアを含む)も輸出管理の対象です。 技術の提供は様々な形で行われるため、漏れのない管理が必要です。例えば、海外出張等での口頭説明、電子メール ・ 電話での情報開示、資材調達時に購入仕様書や図面 ・ 購買規格等を取引先に提供することはいずれも輸出管理の対象です。

イ.海外出張時も要注意 海外出張に貨物を携行することも輸出管理の対象です。 たとえすぐ持ち帰るものであっても、顧客説明用のサンプル品、据付・調整用の測定器や治具・工具等を海外に持ち出す場合は、輸出管理上のチェックが必要です。

ウ.国内取引も輸出管理の対象 取引先が国内企業でも、当該取引先や国内顧客を経由して自社製品が国外へ持ち出される場合があり、結果的に自社が不正輸出に巻

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き込まれるおそれがあります。 また、国内で技術提供を行う場合であっても、相手が外国企業で働いている人であれば輸出管理の対象としてチェックを行うことが必要です。

 輸出管理の対象となる場合、確認すべき要素は次のとおりです。該非 :誰が何に使うかにかかわらず、輸出許可が必要な貨物・技術

が各国・地域の法令で決められており、これに該当するかどうかを確認します。購入品を輸出する場合についても該非の確認が必要です。また、安全保障輸出管理法令が未整備の国・地域であっても、当社グループの自主管理方針として、国際ルールに基づいて貨物・技術の該非を確認することにしています。該非が不明な場合は、その製品を設計・製造している拠点又は販売納入業者に必ず問い合わせてください。

仕向地 :輸出先や技術提供先が紛争懸念国やテロ支援国等安全保障上の懸念のある国・地域でないかを確認します。特に、当社が指定する特定地域 6 ヶ国(北朝鮮・イラン ・ イラク ・キューバ・シリア・スーダン(2016 年 8 月現在))向けの取引の場合は、あらかじめ輸出管理担当部門(当社であれば本社輸出管理部)に相談してください。

顧客 :貨物・技術を実際に使用する企業 ・ 機関等が、大量破壊兵器や通常兵器の開発・製造 ・ 使用等に関与しているおそれがないかを確認します。特に、「外国ユーザーリスト(日本の経済産業省が大量破壊兵器の開発等に関与している企業名を公表しているリスト)」に掲載された企業・機関との取引は原則禁止です。また、国や地域によっては、政府が安全保障輸出管理上懸念のある企業のリストを作成し公表しているので、当該リストに掲載された企業 ・ 機関との取引にあたっては各国・地域の政府の指示に従ってください。

用途 :輸出される貨物や提供される技術が、大量破壊兵器や通常兵器の開発 ・ 製造 ・ 使用等に使用されるおそれがないことを確認します。もし、そのような用途に用いられる可能性がある場合は、取引してはなりません。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

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企業人としての自覚

取引条件 :取引条件が通常考えられる範囲を逸脱していないかを確認します。不審な点がある場合は取引してはなりません。

EAR該非 :輸出しようとする貨物・技術が、米国で作られた製品又は米国で作られた製品を組み込んだ製品である場合、自国の安全保障輸出管理法令に加え、米国輸出管理規則

(EAR)に基づく再輸出規制の対象となる場合があります(当社及び当社グループ会社自身が輸出者である場合のみ)。

エ.関連法令に基づく罰則(ア) 日本の外為法違反(無許可輸出)の場合は、刑事罰(10 年以

下の懲役又は 1,000 万円(目的物の価格の 5 倍が 1,000 万円を超える場合は、目的物の価格の 5 倍)以下の罰金若しくはこれらの併科)及び行政罰(3 年以内の輸出禁止)の対象となります。

(イ) 米国再輸出規制に違反した場合は、EAR に基づく罰則(罰金、禁錮、輸出禁止)の適用を受けます。各国・地域の輸出管理法令に違反した場合、刑事罰や行政罰が下されます。特に、輸出禁止の制裁については、一度でも違反行為を行うと、違反行為を行った事業部門だけでなく会社全体が対象となるので、会社の全ての輸出行為が禁止されてしまいます。この場合、企業活動への深刻なダメージは必至であり、会社の存立そのものが脅かされます。

〈関連法令〉外国為替及び外国貿易法(外為法)、米国輸出管理規則(EAR)〈当社社規〉輸出管理編「1801 安全保障輸出管理規則」、国内関係会社向けモデル

CP(Compliance Program)「安全保障輸出管理規則」、海外関係会社向けモデル ICP(Internal Compliance Program)、「安全保障輸出管理規則」

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Q & A

Q . 私たちは、安全保障輸出管理に関する法令だけを遵守していればよいですか?

A . 必ずしもそうではありません。製品・部品の輸出や技術移転が、安全保障にもたらす影響度をよく考える必要があります。法令の規制は、必要最小限のものです。私たちが扱う製品・部品が、テロ活動や地域紛争の活動に使われてしまった場合、輸出元や移転元である私たちが社会的・道義的に非難されるおそれもあります。法令に違反するか否かという問題だけではなく企業の社会的責任の問題でもあります。したがって、そうした懸念のある取引に間接的にでも関与・加担しないよう積極的にコントロールし、不正な取引に巻き込まれるリスクを避ける必要があるので、範囲を広げて自主的に管理をすることが必要です。安全保障輸出管理法令は、各国・地域で内容も千差万別ですが、「国際的な平和及び安全の維持」という安全保障輸出管理の目的は、世界共通で普遍的なものです。当社グループは、世界平和に貢献するハイテクグローバル企業としてこれらの理念を尊重しています。安全保障輸出管理を実施するための具体的な手続きについては、「安全保障輸出管理規則」を確認ください。なお、懸念がある取引については、取引開始前に輸出管理担当部門等に必ず相談してください。また、不明な点がある場合も、勝手に判断せずに輸出管理担当部門等へ相談してください。

その取引を行ってよいか、顧客・用途の確認を確実に実施しよう!

三菱電機グループ 商社・国内顧客等

販売・提供不正輸出・

不正転売され…テロリストや紛争国の手に渡り、軍事転用されることも…。

製品

技術

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

他社事例 国外に輸出する際、大量破壊兵器の開発又は製造に用いられる工作機械に該当するため本来許可を取得しなければならない製品を無許可で輸出した企業に対して、罰金 4,500 万円の支払いが命じられ、同社の従業員が刑事罰(懲役刑)に処せられたほか、同社は国外への全貨物の輸出を 6 か月間(無許可で輸出した製品については 3 年間)禁止された。

〔 3- 7〕外注先・購入先との取引に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域の調達に関する法令及び社内規則・

手続きを遵守し、外注先・購入先との取引を公平・公正に行います。(2)私たちは、発注業者としての優位な立場を利用した不合理又は不当

な取引を行いません。また、そのような疑義を持たれるおそれのある取引も行いません。

(3)私たちは、品質、価格、納期、技術開発力、安定供給の面で優れ、関連する法令及び社会的規範の遵守、人権の尊重、環境保全活動の推進等の社会的責任を果たしている外注先・購入先を選定します。

(4)私たちは、外注先・購入先から贈答・接待等を受ける場合は、事業を行う各国・地域の法令、社会規範、社内規則等に則った適切な範囲にとどめ、個人的な利益の取得等につながるような贈答・接待等を受けません。

 外注先・購入先に対しては、相互対等の立場を踏まえた言動を心掛けなければなりません。また、ますます増大する海外市場での調達においては、日本の取引慣行を相手側に無理強いすることなく、取引のパートナーとして位置付け、対等・公平な立場から協力関係を作り上げることが必要です。

 外注先・購入先と自社の関係は、売り手と買い手の立場となり利害関係が相反する面が強いこと、買い手の立場の方が売り手の立場より相対的に強い場合が多いこと、特に地域密着型の外注先・購入先は地域社会との接

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点が多く自社の言動が話題になりやすいこと等の特徴を持っているため、諸々の批判や中傷の対象になりやすい側面を持っています。また、国や地域によっては、発注業者が外注先・購入先に対し、優位な立場を利用して無理強いすることを禁止する法令があり、このことを十分に注意し、取引を行うことが必要です。

 外注先・購入先への言動において、次のような点に注意することが必要です。

自分が会社を代表しているという心構えで、当社グループの社会的信用を失わぬよう、良識と礼節を持って対応する。買い手の立場の強さ、企業規模の違いなどを背景に、強圧的な態度・言動をとらない。職務上の立場を利用して、外注先・購入先を私的な目的のために利用しない。贈答・接待等については、これを強要することは言うに及ばず、相手の申出を受ける場合であっても、法令や社会規範等に照らし許容される最小限の範囲内にとどめる。外注先・購入先の選定にあたっては、国・規模・形態・経営者等、特別の先入観や縁故・経歴等での差別を行わず、公正な基準で行う。発注品の価格については、特定の個人の主観的判断によるのではなく、経済原則に則した公正な基準に基づき、明確で正式な承認手続きを行って決定する。

①法の遵守ア.下請法(下請代金支払遅延等防止法)

下請法は、親事業者が下請事業者に対する優越的な立場をむやみに利用することの制限を目的としています。資本金の小さい企業と取引を行うときは、その企業が下請法で定める下請事業者に当てはまるかを確認し、当てはまる場合は、注文書なしで下請事業者に作業指示を行うことや下請事業者に責任がないのにもかかわらず、発注時に決定した下請代金を値引きするなど、下請法で定められた 4 つの義務に反する行為、11 の禁止事項に該当する行為をしてはなりません。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

違反した場合は、公正取引委員会から違反した行為を止めるよう勧告を受けます。この際、企業名や違反した行為の内容が公表され、それによって社会的な信頼を失うことにもなりかねないので、法令の内容を理解し、遵守することが必要です。

【発注者(親事業者)、受注者(下請事業者)の定義】(ア) 物品の製造委託、修理委託及び政令で定める情報成果物作成委

託(プログラム)及び役務提供委託(運送・倉庫保管・情報処理)

(イ) 情報成果物作成委託(プログラム以外)及び役務提供委託(運送・倉庫保管・情報処理以外)

発注者(親事業者) 受注者(下請事業者)

資本金3億円超

資本金1,000万円超3億円以下

資本金3億円以下(個人含む)

資本金1,000万円以下(個人含む)

発注者(親事業者) 受注者(下請事業者)

資本金5,000万円超

資本金1,000万円超5,000万円以下

資本金5,000万円以下(個人含む)

資本金1,000万円以下(個人含む)

発注者(親事業者) 受注者(下請事業者)

資本金3億円超

資本金1,000万円超3億円以下

資本金3億円以下(個人含む)

資本金1,000万円以下(個人含む)

発注者(親事業者) 受注者(下請事業者)

資本金5,000万円超

資本金1,000万円超5,000万円以下

資本金5,000万円以下(個人含む)

資本金1,000万円以下(個人含む)

〈当社社規〉資材編「6101 下請代金支払遅延等防止法遵守に関する規則」〈マニュアル類〉「下請法の基礎マニュアル」

イ.請負社員・派遣社員との関係 請負契約(業務委託、外注等も含む)においては、請負先の従業員に対して請負元の従業員が直接仕事の指示や勤怠管理等を行うことはできません(職業安定法違反となります)。請負先の従業員に対して仕事の手順等を依頼する場合は、請負先の責任者を通じて行うことが必要です。 派遣会社から派遣されて勤務している派遣社員に対しては、派遣先の指揮命令者が仕事の指示や勤怠管理を行うので、日常業務では直接雇用の従業員と同様となりますが、時間外や休日労働を命じる場合は派遣会社の取扱い(36 協定)が適用となるので、特に派遣社員を受け

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入れている職場の管理者は、派遣元の取扱いを十分に確認しておくことが必要です。

〈関連法令〉職業安定法、労働者派遣法

ウ.建設業法 建設業法は、建設工事の適正な施工の確保、施主の保護、及び建設業の健全な発達を促進することによる公共の福祉の増進を目的としており、建設業を営もうとする事業者は、「軽微な建設工事」のみを請け負う場合を除き、建設工事の種類ごとに「建設業の許可」を取得しなければなりません。 建設業法では、施主を含む建設工事請負契約の全ての当事者に対して、建設工事の見積から契約、施工、支払、書類の保存に至るまで様々な義務・禁止行為が定められているため、「建設業の許可」の有無にかかわらず、建設業法をよく理解して取引しなければなりません。そもそも建設工事との認識がないまま受注してしまうと建設業法違反となってしまうため、見積依頼を受けたときから当該取引内容が建設工事にあたるか否かをチェックすることが必要です。 施工体制の複雑化・多様化や恒常的な担い手不足といった建設業を取り巻く情勢の変化に伴い、社会保険未加入対策や技術者制度の見直し等、建設業法も大きな変革の時期を迎えています。建設業法を遵守するためには、常に法改正動向も注視することが必要です。

 建設業法に違反した場合は、監督行政庁(国土交通大臣又は都道府県知事)から監督処分(国土交通省ホームページ等で公表)を受けるほか、会社に対してのみならず、従業員個人も処罰の対象になります。営業停止処分を受けた場合、営業停止期間中は新たな建設工事の請負契約の締結、工事の追加に係る請負契約の変更、入札、見積、交渉等が行えなくなります。また、特に情状が重い場合は許可取消処分を受けることになり、許可取消から 5 年間は新たに建設業の許可を受けられなくなる等、事業に大きな影響を及ぼしてしまうため法令の内容を十分に理解し遵守することが必要です。

〈マニュアル類〉「建設業法ガイドブック」

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人権の尊重

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社会への貢献と我々のビジネス

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環境問題への取組み

企業人としての自覚

Q & A

Q . ある取引先から発注前に商品券が送られてきました。その商品券を受け取っても良いですか?

A . 業務上必要な供応(例:打合せ時の適度な食事提供受け)や社会的儀礼の範囲での物品(例:サプライヤー作成のカレンダー等の受取り)であればまだしも、会社の許可なく業務上金品の贈与を受け、又もてなしを受けることは就業規則の懲戒解雇の事項(当社就業規則 第 81 条 -(7))に該当し許されません。また郵送されてきた場合は速やかに返送すべきです。また取引先への発注可否判断に当たっては、与信管理や QCD(Quality

〈品質〉、Cost〈費用〉、Delivery〈納期〉)の審査を厳正に行う必要があり、そこに私利を持ち込むことは許されません。

商品券

〔 3- 8〕知的財産の創造・保護・活用に関する規範(1)私たちは、知的財産は重要な会社資産であることを十分に理解し、

事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、これらを権利として確保、維持するとともに、事業への有効活用を促進します。

(2)私たちは、他者の知的財産権を自らの知的財産同様に尊重し、その侵害予防に努めます。

 知的財産とは、発明やアイデア、デザイン、ブランド、更に、小説・絵画・写真・音楽・コンピュータープログラム等の著作物やノウハウ等について、各国・地域の特許法、商標法、著作権法、その他の知的財産に関する法令により保護されている財産であり、権利者に無断で利用等した場合は民事上の責任を追及されるだけでなく刑事罰を科されることがあります。したがって、当社グループの知的財産であれ、他者の知的財産であれ、お互いに認め尊重しあう姿勢が必要です。

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①当社グループの知的財産の取扱い 業務上、考案・創作した発明やアイデア・デザイン等の知的財産は会社の貴重な財産です。社外に出すことを目的に作成されるものを除いて原則として社外秘ですので、社内規則に基づき適正な管理を行うとともに、社外に開示・提供する場合は、社内規則で定められた手続きを行うことが必要です。発明やアイデア・デザイン等の知的財産について法的保護のため特許出願などの手続きを行う場合には、社内規則を遵守し速やかに手続きを行うとともに、手続きに際しては会社に全面的に協力することが必要です。②他者の知的財産への対応

ア.製品開発にあたっては、他者の所有する知的財産を侵害しないよう、社内規則を遵守し、製造国や販売国の特許や商標等の調査を行うとともに、製造・販売前に十分な対策を講じることが必要です。現在事業を行っている国・地域だけでなく将来事業拡張を計画している国・地域についても調査することが必要です。

イ.取扱説明書、カタログ、イラスト、写真、ソフトウェア等は著作物として保護されています。他者の著作物を無断で複製等した場合には、著作権侵害となり使用差止めや損害賠償の請求を受けるだけでなく刑事罰を科されることがあります。他者から購入したソフトウェアを、購入したライセンス数以上にパソコンにインストールすることも著作権侵害になります。

〈関連法令〉特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、半導体集積回路の回路配置に関する法律

〈当社社規〉知的財産権編「9000 知的財産権に関する規則」、総括編「1402 コンピューターソフトウェア管理規程」

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

【知的財産権の種類】

知的創造物についての権利

特許権(特許法)

創作意欲を促進

○「発明」を保護○出願から20年(一部25年に延長)

実用新案権(実用新案法)

○物品の形状等の考案を保護○出願から10年

意匠権(意匠法)

○物品のデザインを保護○登録から20年

商標権(商標法)

○商品・サービスに使用するマークを 保護○登録から10年(更新あり)

商号(商法)

○商号を保護

産業財産権=特許庁所管

知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を「産業財産権」といいます。

商品表示・商品形態(不正競争防止法)

【以下の不正競争行為を規制】○混同惹起行為○著名表示冒用行為○形態模倣行為(販売から3年)○ドメイン名の不正取得等○誤認惹起行為

著作権(著作権法)

○文芸、学術、美術、音楽、プログラム 等の精神的作品を保護○死後50年(法人は公表後50年、 映画は公表後70年)

回路配置利用権(半導体集積回路の回路配置に関する法律)

○半導体集積回路の回路配置の利用 を保護○登録から10年

育成者権(種苗法)

○植物の新品種を保護○登録から25年(樹木30年)

(技術上、営業上の情報)

営業秘密(不正競争防止法)

○ノウハウや顧客リストの盗用など 不正競争行為を規制

営業上の標識についての権利信用の維持

〔 3- 9〕反社会的勢力との関係に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域において、反社会的勢力(暴力団、

テロリスト、麻薬組織、その他犯罪組織)とは取引を含めて一切の関係を持ちません。

(2)私たちは、反社会的勢力に対して毅然とした態度で対応し不当な要求には応じません。

 社会秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力とは一切関係を遮断し、関係を構築しないための取組みを実行することが必要です。 反社会的勢力には暴力団、マフィア、麻薬組織、テロリストその他犯罪組織があります。当社グループがこうした勢力との関係を持つことは、彼らの活動を助長する資金提供であり、暴力団排除条例で禁止される利益供与を行うことを意味することになります。市民社会の秩序や安

NO

倫理・遵法行動ガイドライン

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全に脅威を与える反社会的勢力との契約や取引など一切の関係を遮断し、これらの者に対して毅然とした態度で対応するとともに、日頃より関係を構築しないための各部門における主体的な取組みを着実に実行することが必要です。 当社グループは、1997 年の「海の家事件」において社会から大きな非難を浴びましたが、その後反社会的勢力との決別を図り、今日までその再発防止に努め関係遮断を継続しています。社会全体で暴力団等の反社会的勢力を排除する機運が一層高まる中、当社グループが反社会的勢力との関係を持つことは絶対に許されません。 また、当社グループの事業活動が世界に広がる中、海外においても、社会の脅威となる人身売買、環境破壊、マネーロンダリング、詐欺、密輸・密売等に係る犯罪組織とは取引をしないように細心の注意が不可欠であることは言うまでもありません。事業展開にあたっては各国・地域の実情に応じた適切な対策を講じてください。

①属性調査の徹底 昨今、反社会的勢力は通常の取引を装い企業にアプローチするケースが多く見られます。新規に取引を開始するときは、その組織や個人が反社会的勢力との関係がないことを確認する属性調査を行うことが必要です。また、一度、不適切な相手でないと判断しても、反社会的勢力は狡猾に取引先に入り込む機会を窺っていることもあるので、取引の継続可否を適時に確認することが必要です。なお、事業活動における属性調査は、製品・材料・サービス等の売買のみならず取引全般(業務委託・請負、工事発注、労働者派遣、社外団体加入、寄付・賛助金、雑誌や新聞の定期購読、広告出稿、施設備品の賃貸借・リース 等)において実施してください。

②暴力団排除条項の締結 取引開始時には問題のない取引先が、その後に反社会的勢力の支配下に入るなど事前の属性調査を徹底しても、知らずに反社会的勢力と関係を持ってしまうリスクがあります。このため、契約締結の際には、契約相手が反社会的勢力と判明した場合には、契約の即時解除を可能とすることができる「暴力団等反社会的勢力排除条項(以下、暴排条項という)」を契約

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〈関連法令〉会社法(第 120 条、第 847 条、第 970 条)、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、暴力団排除条例(各地方公共団体)、企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(平成 19 年 犯罪対策閣僚会議)

〈当社社規〉総括編「1301 反社会的勢力との関係遮断に関する規程」

当社事例 〈海の家事件〉当社株式を保有していた総会屋の内縁の妻が経営する「海の家」に対し、実際に利用する見込みがないにもかかわらず、社員福利厚生の名目で利用契約を結び金銭を提供したことが商法違反の利益供与(当時)と見做され、本件に関わった従業員が逮捕された。

書に導入するようにしてください。当社グループにおいては、反社会的勢力が入り込み易い、ア . 産廃処理 イ . 警備業務 ウ . 清掃業務 エ . 不動産売買 ・ 賃貸借 オ . 施設利用 カ . 工事請負の契約について条項の導入を必須としています。また、反社会的勢力の活動の潜在化が進んでおり、その他の契約についても暴排条項を極力導入するよう努めてください。 なお、この暴排条項は主に暴力団などの国内における反社会的勢力を対象としていますが、海外においても、契約相手が反社会的勢力と判明した場合は即時解除できるよう、弁護士等と相談の上、各国の法制度、商習慣に合わせた契約内容や締結方法について検討ください。

③毅然とした対応 反社会的勢力からの不審なアプローチや不当な要求があった場合は、落ち着いて対応の上、速やかに上長及び総務・コンプライアンス部門など関係部署へ報告・連絡してください。また、状況に応じて警察や弁護士などの専門機関の支援を要請するなど、組織として毅然とした対応を行うことが必要です。

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〔 3- 1 0 〕広告・宣伝に関する規範(1)私たちは、事業を行う各国・地域の広告・宣伝に関する法令及び社

内規則・手続きを遵守し、社外に発信するあらゆる情報(ウェブサイトやプレゼンテーション等を含む)には、誇大・虚偽等の不適切な表現や、他者を誹謗・中傷するような表現を用いません。

(2)私たちは、不当な表示や誤解を与える表現は、顧客に不利益になるだけでなく、当社グループの企業イメージを損なうことにもなるため、社会常識と倫理観に則した公正な広告宣伝活動(顧客へのプレゼンテーション等、社外への情報発信を含む)を常に心がけます。

(3)私たちは、「 」や「MITSUBISHI」等、いわゆる「三菱マーク」は三菱を冠する企業の信用の象徴であることを理解し、三菱グループのルールに基づき、適切な使用・管理を行います。

①広告・宣伝との関係ア.不当な表示の禁止 世界の多くの国・地域では、広告・宣伝等において消費者に対し誤認を与えるおそれがある表示(表現)を規制しています。 日本においても「不当景品類及び不当表示防止法」(以下、景品表示法という)や業界自主規約である「公正競争規約」にて、消費者に対し誤認を与えるおそれがある表示(表現)を規制しています。具体的には以下のようなことに注意しなければなりません。(ア) 製品の持っている性能以上のことを誇大に表現する等、事実と

異なる表示をしてはなりません。(イ) 限定された条件下での性能をあたかもどんな条件下でも実現す

るがごとき表現をしてはなりません。(ウ) 「永久」・「完全」等の用語を断定的に使用したり、客観的事実又

は根拠に基づかずに「最高」、「No.1」等の用語を使用したり、省エネ、節約、エコ等を意味する用語を製品名に使用してはなりません。

(エ) 自社の製品・サービスを他社の製品・サービスと比較する場合については、客観的事実に基づく具体的な根拠・数値の表示をしなければなりません。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〈関連法令〉景品表示法、家庭電気製品製造業における表示に関する公正競争規約〈当社社規〉営業編「5095 広告宣伝における表現管理規程」

イ.権利侵害、表示上の欠陥等の注意事項(ア) 広告物に含まれる写真、説明文、イラスト等を無断で複製した

り模倣するような行為は、著作権侵害に該当し、権利者から莫大な賠償を請求されることがあります。特に近年デジタルメディアの進展に伴い容易にコピーが可能となったため、その権利保護が強く叫ばれています。あらかじめ権利者との間で使用契約や譲渡契約を締結するなど、事前の対策が必要です。

(イ) 製造物責任(PL)に関わる法令・規則は、製造物の欠陥によるメーカー等の責任を規定したものですが、表示上の欠陥も問題となるため、危険な使い方を助長する広告写真や広告文を掲載してはなりません。

(ウ) 人体の疾病の診断、治療又は予防に関する表現等に関する規制、人権に関わる表現(差別表現)、社外からクレームを受けるような不適切な比較や例え等にも十分留意しなければなりません。

 いずれも、これらに違反することで損害賠償、広告物の変更・修正費用等実質的な費用損失と同時に、当社グループの企業イメージを損なうという形で跳ね返ってきます。正しい情報の提供を基本とした公正な広告・宣伝を行うことが必要です。

〈関連法令〉著作権法、商標法、製造物責任法、医薬品医療機器等法〈当社社規〉営業編「5095 広告宣伝における表現管理規程」

ウ.三菱マークの使用基準 「 」や「MITSUBISHI」等、いわゆる三菱マークは三菱を冠する企業の信用の象徴です。その一員である当社はその観点から三菱マークの適切な使用管理に努めています。 当社及び三菱電機名を冠する会社は社標や商標として三菱マークを使用できますが、当社で定める使用基準規則及び表示標準に基づいて使用することが必要です。※ 地域別冠称販社については、社名に三菱電機を冠するものの、社標・商標として使用不可

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 「三菱電機」を冠する会社を設立する場合には、三菱社名商標委員会の承認を取得することが必要です。 三菱電機名を冠しない会社は、原則三菱マークを使用できません。ただし当社との関係を説明する場合や、当社製品の広告・宣伝の場合等一定の場合に限って当社が定める形式に基づき表示が認められることがあります。

〈当社社規〉総括編「1308 三菱マークの使用基準規則」、営業編「5006 表示標準取扱規程」

エ.当社コーポレートロゴの表示標準遵守 2014 年 7 月に当社グループのコーポレートロゴが全世界で統一され、表示標準 ※ 注が改訂されました。広告・宣伝以外でのコーポレートロゴの使用(技術、製造、販売、事務管理等、企業活動全般に関わる表示)についても、新しい表示標準に基づき、適正に使用しなければなりません。 特に、三菱電機冠称会社ではない関係会社や代理店の名刺やレターヘッド等に当社グループのコーポレートロゴを表示する場合には、一次管理部門経由当社表示標準委員会の事前承認が必要です。

※ 注 社章、社名、コーポレートロゴ、コーポレートステートメント等、当社グループを表象する用語、形、色及びこれらの配置に関する基準。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

他社事例 A社が、排ガス試験を不正にクリアするための違法ソフトウェアを一部ディーゼル車に搭載していたことが判明し、米当局から同社の広告が「虚偽」として提訴された。それによりA社の排ガス不正に絡む引当金は、当初の 67 億ユーロから 162 億ユーロ(約2兆 300 億円)へと積み増しされた結果、15 年通期の営業損益は40 億 7000 万ユーロの赤字となった。 これは、自社の利益誘導のために虚偽の申告をした結果、社会からの会社に対する信用を失うだけでなく、会社の経営に重大な損害を招いた事例である。社外に情報公開する場合には、データソースや算出根拠など情報の信頼性を確保した上で、第三者に論理的に説明できるよう努めなければならない。

Q & A

Q . テレビ広告・カタログ作成プロジェクトがあり、広告会社に広告物を頼みました。その後、広告会社からの広告物が納品されましたが、コンプライアンス上どのようなことをチェックすれば良いですか?

A . 広告・宣伝は、真実かつ正確に行わなければなりません。製品の品質・性能・用途等の不当な表示、虚偽や誤認を招く表示、他社製品の誹謗用語、他者の知的財産権を侵害する表示が使われていないかを、各国・地域の法令・規則に基づき自社で定めているチェックリスト等を用いてチェックしてください。また、コーポレートロゴ等の使用において、表示標準に則っているかチェックしてください。更に、広告宣伝費の金額の妥当性についても留意することが必要です。

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②広報との関係 企業価値を向上させるための活動として広報活動は重要であり、基本原則に則った対応が求められます。特に、社会的リスク事案発生時には、迅速かつ誠実に説明責任を果たさなければなりません。

ア.広報とは 広報活動は、企業と社会との対話の機能を担っており、企業活動の透明度を高め、社会との間の信頼関係を築き、企業価値を向上させるための活動としてますます重要となっています。当社グループでは、社会から理解と信頼を獲得すべく、日常的に、幅広い活動内容を積極的に発信しています。広報活動を行う際は、広報担当部門(当社においては本社広報部)が窓口となり、役員や責任部門と連携し内容・タイミング・方法等を決定します。 一方、当社(関係会社を含む)やその従業員が各国・地域の法令・社会規範に反した場合には、厳しく社会から糾弾され、企業の責任が問われます。こうした社会的リスク事案が発生した場合には、広報担当部門を含む関係部門への第一報を徹底し、迅速かつ誠実に広報発表を行い、説明責任を果たさなければなりません。

イ.広報対応の基本原則(ア)事実を発表 広報においては、事実を正確に伝えることが基本です。法令違反など当社グループが社会的に影響を及ぼす場合はなおのこと事実を包み隠さず、嘘をつかず発表する必要があります。事実と異なる発表をして、記者会見の現場や記者会見後の事実発覚により企業存立の危機に追い込まれた例もあります。

(イ)公平な発表 社会に発表する情報については、同じ内容の情報を同時に開示し、情報を受け取る対象によって不公平になってはなりません。インターネットの普及により、情報の同時性が今まで以上に求められています。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

(ウ)発表の可否の峻別 発表すること又はしないことにより、顧客等に迷惑をかけたり、当社グループ事業の円滑な遂行に支障をきたさないよう、事前に内容を十分に吟味し、発表の可否を峻別することが必要です。

(エ)時宜にかなった発表 執行役会議等で承認前の案件や相手先と交渉中の案件等は、発表できる適切な時期をあらかじめ定め、事前漏洩防止に努めます。決定前に報道されると、決算内容や業績修正内容は株式市場に影響を与え、協業案件が破談になることもあります。

(オ)迅速な発表 環境問題や重大な製品不具合の問題のように、近隣住民や消費者の健康や安全が脅かされる可能性がある場合などは、関係官庁等と調整の上、速やかな情報開示が不可欠です。

(カ)責任者からの発表 記者会見等にあたっては、担当部門の責任者が行うなど、マスコミを含めた社会からの質問に分かりやすく回答する必要があります。即答できない事項についても、速やかに追加調査を行い、責任ある回答を行います。

(キ)窓口の一元化 積極的な情報発信においても、社会から求められる情報開示においても、広報担当部門(当社であれば本社広報部)がマスコミとの窓口となり、一元的に情報発信を行います。

〈当社社規〉総括編「1304 広報取扱規程」、「1205 社会的リスク案件取扱規則」

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4. 社会との協調・融和

〔4- 1〕企業市民としての責任と行動 私たちは、事業を行う各国・地域において、社会的役割を担っていることを認識し、国や地域によって異なる文化・慣習を尊重し、社会に貢献すべく、協調・融和に努めます。

 企業が存続するためには、社会から信頼される存在であることが必要です。 近年、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)への関心が高まっています。CSR とは、企業活動が社会に与える様々な影響に責任を持つということであり、事業を通じて社会が抱える課題の解決に取組むことでもあります。当社グループでは、CSR を企業経営の基本と位置付け、「企業理念」と「7 つの行動指針」を CSR の基本方針として推進しています。 世界各地で当社グループの拠点が事業を展開していくためには、それぞれが「良き企業市民(Good Corporate Citizen)」として CSR に取組み、社会からの信頼を得ることが必要です。 当社グループとしては、企業として納税や雇用の確保等はもちろんのこと、地域に対しては近隣の各種団体が開催する祭り等のイベントへの参加や体育館・グラウンド等の開放、里山保全活動等様々な活動を行っています。国や地域によって異なる文化・慣習を尊重し、社会からの声・ニーズに耳を傾け、交流の質を高めることが必要です。 当然のことながら、社会に迷惑を掛けるようなことは決してあってはなりません。公害防止はもちろんのこと、通勤マナーや宴席での振る舞いなど、従業員一人ひとりが社会から企業を代表する存在と捉えられていることを常に意識することが必要です。 社会から信頼される企業であり続けるために、CSR を意識しながら日常の業務や地域での活動に取組むことが必要です。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〔 4- 2〕社会貢献活動(1)私たちは、事業を行う各国・地域において、当社グループで共有す

る社会貢献活動に関する理念・方針のもと、社会貢献活動に積極的に取組みます。

(2)私たちは、災害・復興支援等の分野でも、ボランティア活動等をはじめ、必要とされる支援ニーズに応える社会貢献活動に積極的に取組みます。

〈理念〉三菱電機グループは、社会の要請と信頼に応える良き企業市民として、持てる資源を有効に活用し、従業員とともに、豊かな社会づくりに貢献する。

〈方針〉・社会福祉、地球環境保全の分野において、社会のニーズを反映し、地域

に根差した活動を行う。・科学技術、文化芸術・スポーツへの支援活動を通じ、次世代の人材を育

む活動を行う。

Q & A

Q . 当社グループの CSR の基本的な考え方は何ですか?A .「企業理念」と「7 つの行動指針」を CSR の基本方針としています。

豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指し、重要課題(16 年度の重要課題は「持続可能な社会の実現」、「安心・安全・快適性の提供」、「人権の尊重と多様な人材の活躍」、「コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスの継続的強化」)に対する取組みをサプライチェーンとともに推進しています。活動の詳細は、以下の当社ウェブサイトに掲載されている「CSR の取組」を参照してください。日本語: http://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/csr/英語 : http://www.MitsubishiElectric.com/company/csr/

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5. 環境問題への取組み

〔5- 1〕環境問題への取組み(1)私たちは、未来の人々と地球環境を共有しているとの認識の下、環

境への取組みを経営の最重要課題の一つと位置づけ推進します。(2)私たちは、事業を行う各国・地域において、環境に関する法令及び

社内規則・手続きを遵守します。また、社会の変化に対する鋭敏な感性を持って、常に環境への配慮を忘れずに事業活動に取組みます。

(3)私たちは、世界各国で先進的な技術を駆使し、「持続可能な社会」と「安心・安全・快適性」が両立する豊かな社会の実現に貢献する「グローバル環境先進企業」を目指していきます。

 環境問題の深刻化に伴い環境規制は年々強化されています。例えば無許可業者に廃棄物処理を委託すると委託した従業員も会社も罰されます(5年以下の懲役若しくは 1,000 万円以下の罰金、又はこれの併科)。めっき液・油等を河川や土壌に流出させることや空調機の冷媒ガスをみだりに大気放出することも禁じられています。廃棄物の不法投棄や汚染物質の排出といった問題に限らず、地球温暖化や生物多様性への対応についても社会から厳しい目が向けられています。 環境問題の状況やそれに関する社会動向をしっかり認識し、全ての事業活動や製品に関する環境規制の遵守はもちろん、自主的にできる限りの環境配慮を行っていくことが必要です。 また、事業活動や製品における環境への配慮は、国内に限らず海外においても同様の姿勢で取組むことが必要です。

 環境問題への取組みは、従業員一人ひとりが当社グループの環境ビジョンと環境計画についてよく理解し、それぞれの業務の中で ISO14001 が求める、Plan(計画を立てて)→ Do(実行して)→ Check(進捗を確認して)→ Act(次の手を打つ)のサイクルを展開して、環境への負荷を継続的に低減して行くことが必要です。

 個々のお客様のニーズに応える中で、低炭素社会の実現に取組むとともに、バリューチェーン全体を見渡し、省資源・リサイクルの推進による資源の有効活用に取組みます。環境分野の法規制が十分に整備されていない国・

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

地域がありますが、「規制がないから取り組まない」ではなく、世界各国の事情を考慮しながら、すべての事業拠点で環境負荷の低減に努めます。

〔 5- 2〕事業活動における環境配慮に関する規範 私たちは、これまで培った技術や新たに開発する技術を用い、事業活動によって地球環境に与える負荷をできる限り少なくしていきます。

〔 5- 3〕環境配慮型の製品・サービスの提供に関する規範 私たちは、各々の製品を継続的に改善し、「省エネルギー」で低炭素社会に、「省資源」や「小型化・軽量化」で循環型社会に貢献する高性能な製品・サービスを提供します。

 製品開発、資材調達、生産、営業、販売、物流、廃棄等事業のあらゆる局面で、常に生物多様性を含む環境への影響に配慮し、省エネ、省資源、環境に有害な物質をできる限り使用しないクリーンなプロセスの実現など環境負荷の低減を目指すことが必要です。 また、製品についても、使用時はもちろん、リサイクルや最終処分時の環境負荷を可能な限り低減する努力が必要です。 より少ないエネルギーや資源でより大きな能力を発揮する、高度な環境効率性の実現を目指すことが必要です。

〔 5- 4〕環境に関わるコミュニケーションの促進 私たちは、環境への取組み状況を社会に開示し、企業市民として社会との相互理解のためのコミュニケーションを進めます(例:環境報告書の公表)。

 当社グループが、消費者・地域住民・行政等様々な関係者と良きパートナーシップを築いていくためには、当社グループの環境への取組みや、環境に関わる技術・製品の情報、環境事故等について適切な情報開示を図る必要があります。当社グループは環境情報を含め企業の社会的責任(CSR)についての報告を国内外に公開しています。環境に関する苦情・意見・要望等を受けたときは、環境担当部門(当社においては本社環境推進本部)に相談してください。

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Q & A

Q . eco changes(エコチェンジ)は、具体的にはどういう方針ですか?A . 環境ステートメント「eco changes(エコチェンジ)」は、家庭・

オフィス・工場から社会インフラ、そして宇宙に至るまで、幅広い事業を通じて低炭素社会及び循環型社会の実現に向けてチャレンジするという、当社グループの環境経営姿勢を表現しています。それは、「常により良いものをめざし、変革していく」意味を込めた当社グループのコーポレートステートメント「Changes for the Better」のもと、私たちとお客さまが一緒になって、世の中をエコに変えていくという取組み姿勢も表しています。

〈当社社規〉製造編「8600 環境適合設計の定義及び理念に関する規程」 等環境に関する規程

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社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

6. 企業人としての自覚

〔6- 1〕企業人としての自覚 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、企業活動に従事している企業人として常日頃から数段高い倫理観を持って誇り高き行動をとるよう心掛けます。 また、企業活動に従事していないときも、社会の一員として良識のある行動をとります。

 交通事故・犯罪行為・情報漏洩等、たった一人の当社グループの従業員が引き起こした不正・不祥事が、その従業員が所属している会社だけではなく、当社グループ全体の社会的信頼を失う危険性があることを強く認識してください。 就業時間中はもちろんのこと、就業時間外であっても、一人ひとりが当社グループの代表者であるという気概を持って、自身の行動に注意してください。 また、海外出張・出向の場合も、当社グループの信頼を損なわないよう、現地の法令だけでなく慣習にも注意することが必要です。

〔 6- 2〕不正・利益相反行為に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、公私を厳しく峻別し、金銭はもちろんのこと、時間や情報、また、管理者においては所属員への業務指示も含め、いやしくも会社の資産を私したり、個人の利益の獲得を目的とした流用はしません。加えて、勤務時間中であっても、勤務時間外であっても、個人の利益と会社の利益が対立する行為、及びそのような可能性のある行為は行いません。

 問題となる事例として次のようなものが挙げられます。・会社が保有する設備(事務機器、電子メール、コンピューターアプリケー

ション等を含む)等の資産及び知的財産を私的な目的で使用又は流用すること。更には、製品・備品等の会社資産を窃盗し売却すること。

・社内規則上の手続きを行わずに、私的な目的のために勤務時間を費やすことや架空残業時間を計上すること。

・虚偽の出張旅費精算や交際費の申請を行うこと。

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・取引先と共謀して、架空発注や水増し発注を行うこと。・会社の業務において、会社の利益ではなく、個人の利益の獲得を目的と

した行為を行うこと。(例:他に適切な取引先が存在するにもかかわらず家族・友人が経営する会社に対して優先して業務を発注することによって、キックバックを得ること)

 上記のような行為が行われないようにするためには、内部統制の仕組みの運用実態確認や改善を通じて、仕組みを形骸化させず、恒久的に機能させていくことが重要です。また、職場においては日頃から円滑なコミュニケーションを図ることで、所属員が相互に担当業務の内容や進捗を理解し、良い意味でお互いを牽制し合うことが大切です。 万一、不正行為があること又はそのおそれがあることを発見した場合は、上長、コンプライアンスマネージャー、法務・コンプライアンス担当部門、法令管理部門等に相談いただくか、内部通報制度(当社であれば「倫理遵法ホットライン」)を活用してください。

〔 6- 3〕企業機密の管理・行使に関する規範(1)私たちは、その業務において知った会社の企業機密を、事業を行う

各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、適切に管理するとともに、第三者への企業機密の漏洩を防止します。

(2)私たちは、その業務において知った会社の企業機密を、自己の個人的利益又は自己の家族、友人等の経営する会社等の第三者の個人的利益のために不当に利用しません。

①企業機密の取扱い 不正競争防止法で「営業秘密」として保護されるための要件の一つが

当社事例 当社の元従業員や関係会社の元社長が外注先に対して架空発注を行うことにより多額の金銭を着服し、会社に対して 4.6 億円の損害を与えた。元従業員らは詐欺罪で逮捕・起訴され、有罪判決を受けた。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

「秘密」として管理されていること(秘密管理性)です。万一、第三者による侵害行為があった場合に法的な保護を受けるため、以下のとおり、日頃より企業機密であることを明示するとともに、機密の等級や媒体に応じた安全管理措置を確実に実施してください。

ア.企業機密とは企業機密には、会社独自の製品技術・ノウハウ・営業秘密等、当社グループが保有する技術上又は営業上の有用な情報や、第三者への漏洩及び不正使用により、当社グループ又はステークホルダーに不利益を及ぼすおそれのある情報などが含まれます。

イ.企業機密の明示企業機密文書等には、開示元部門が、企業機密である旨及びその秘密保持期間並びに具体的に開示しうる者の範囲を明示しなければなりません。

(ア)文書は、「極秘」、「秘」、「社外秘」の印を押す等、企業機密である旨を明示する。

(イ)電子データ及び企業機密が記録されている文書以外の物理的対象物は、その特性に応じた適切な方法により、企業機密である旨を明示する。

ウ.企業機密のやりとりにおける注意点取引や商談活動等において、企業機密をやりとりする場合は、次の点に注意してください。

(ア)秘密保持契約の締結開示する企業機密・個人情報の対象・範囲、義務(責任)等を考慮の上、必要な秘密保持契約を締結し、不正な流出や使用を防止してください。

(イ)企業機密の漏洩企業機密の漏洩は絶対にしてはなりません。従業員が企業機密を第三者に漏洩した場合はもちろん、退職後に漏洩した場合も刑事罰(懲役・禁錮等)の対象になることがあります。

倫理・遵法行動ガイドライン

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〈関連法令〉不正競争防止法〈当社社規〉総括編「1307 企業機密管理規則」〈マニュアル類〉「企業機密管理ガイドブック」

②電子メール等の活用 電子メール・イントラネット・インターネット等は、業務効率の向上に必要不可欠であり、便利な情報伝達ツールですが、情報の同時性・広域性により、社会的な影響力は極めて大きなものとなっています。したがって、電子メール等の活用にあたってはその影響の大きさを認識した上で、各種法令や社内規則をはじめ、倫理や公序良俗に反しない、節度ある行動をとることが求められます。就業時間帯であるなしを問わず、機密の漏洩を行ったり、風説を流布したり、あるいは組織や個人を誹謗中傷するような行為等は行ってはなりません。 また、これら情報伝達ツールや回線等の会社施設・財産等を利用して、業務と関係のないウェブサイトにアクセスすることや、私的な電子メールを送信することなどは、職務専念義務にも反するものであり、時間外・休日就業を含めて社内規則で厳しく禁じています。

〈当社社規〉総括編「1307 企業機密管理規則」、「1900-2 情報システムセキュリティ管理細則」、「1902 関係会社とのイントラネット情報共有規程」、

「1904-2 電子メールサービス利用規程」、技術編「7191 電子メール運用管理規程」、「7183 ネットワーク・セキュリティ対策規程」、「7530 社外技術発表規程」、輸出管理編「1801 安全保障輸出管理規則」

〈マニュアル類〉「文書作成ハンドブック」

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

Q & A

Q . 電車の中で居眠りをした間に、企業機密の入った鞄がなくなってしまいました。後日見つかるかもしれないので、数日待ってから報告してもよいですか?

A . 機密漏洩は、時間の経過とともに損害が拡大するので、事故が発生したら直ちに上長及び企業機密管理担当部門(当社であれば総務部門)等に報告し、社内規則に定められたルートに基づき報告を行うことが必要です。

Q . 社外(例えば、電車の中やレストラン)で同僚や友人と業務に関する話をしてよいでしょうか?

A . いつ、どこで、誰があなたの話を聞いているかわかりませんので、安易に飲食店や電車の中などで、自社や他社の企業機密を話すべきではありません。また、社内のエレベーターの中や共有スペースにおいても社外の人がいる可能性があるため、社内であったとしても気を抜かず、注意をしなければいけません。

当社事例当社は、関係会社が顧客から請け負っていた原子力発電に関する業務の報告書などの企業機密を Winny(インターネットを通じてファイルを不特定多数で共有することを目的としたソフトウェア)を通じて流出したことを受け、謝罪会見を行った。

ZZZ

倫理・遵法行動ガイドライン

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〔 6- 4〕他者の企業機密の管理・利用に関する規範(1)私たちは、不必要な他者の企業機密を受け取りません。(2)私たちは、他者の企業機密を入手する場合は、社内規則に基づき適

切な内容の秘密保持契約を締結するとともに、適法かつ適切な方法によってのみ受け取ります。

(3)私たちは、入手した他者の企業機密について、秘密保持契約に基づき正しく管理します。

 他者の情報に触れる・他者から情報の開示を受ける場合は、次の点に注意してください。①原則として企業機密は受け取らない 社外から情報を入手する際は、他者の企業機密でないかを確認し、企業機密であると判断した場合は原則として受け取ってはなりません。②他者情報の入手時の注意 他者の企業機密を入手する必要がある場合は、適法かつ適切な方法によってのみ受け取ります。その際には、社内規則に基づき対象となる企業機密の範囲と取扱条件を適切に定めた秘密保持契約を締結してください。また、当該情報を提供しようとする者が正当な権限を有していることを確認することも必要です。そもそも、不正な手段で他者の企業機密を入手する行為(不正行為が関係していることを知りながら入手することを含む)については、製造や販売の差止め、損害賠償といった民事上の責任を追及されることに加え、会社や従業員個人に対して刑事罰が科されることがあります。③他者から入手した企業機密の適切な取扱い 他者から入手した企業機密については入手時に締結した秘密保持契約に基づいて適正に取扱うことが必要です。当該情報が企業機密である旨を明示しその取扱方法を周知してください。

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〔 6- 5〕インサイダー取引に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域の法令及び社内規則・手続きを遵守し、その業務において知った当社又は他社の未公開の重要情報(インサイダー情報)を利用して、自己の個人的利益又は自己の家族・友人等の経営する会社等の第三者の個人的利益を図ること(例:会社の未公開の重要情報に基づいて、会社の株式等の売買を行うこと)はしません。

 当社グループのみならず取引先等に関するインサイダー情報を利用した株式等の売買は禁止されています。

①インサイダー情報とは インサイダー情報とは、投資家の判断に著しい影響を及ぼす(株価に影響を及ぼす)可能性のある未公表の情報のことです。 インサイダー情報の具体的内容については、金融商品取引法に規定されていますが、例えば、増資、M&A 取引、災害や訴訟の発生、業績の修正等が挙げられます。また、子会社に生じた重要な事項も、親会社のインサイダー情報とされますし、関係会社や取引先等、他社のインサイダー情報に基づく株式等の売買もインサイダー取引規制の対象となります。

②インサイダー取引規制とはア.インサイダー取引の禁止 金融商品取引法では、会社関係者がその職務に関してインサイダー情報を知ったときには、そのインサイダー情報が公表されるまでは、当該会社の株式等の売買を行うことを禁止しており、違反者には刑事罰(5年以下の懲役若しくは 500 万円以下の罰金又はその併科)が科されます。なお、違反者は刑事罰に科されなくても、金融庁から行政罰として課徴金が課される事例もあります。 インサイダー取引は、会社が社会的に厳しい非難を受けるだけでなく、従業員個人が刑事罰を科されうる犯罪行為です。少しでもインサイダー取引と疑われるような株式等の売買はしてはなりません。

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イ.他人名義での取引等、情報受領者による取引の禁止 インサイダー情報を利用した株式等の売買は、業務上・業務外(個人)、また、名義のいかんを問わず禁止されています。また、インサイダー情報を職務上知った会社関係者から情報を得た者(情報受領者)が当該会社の株式等の売買を行うことも禁止されています。例えば、営業活動や共同開発等により、取引先が画期的な新製品を開発したことを知った場合、その製品開発が正式に公表されるまでの間はその会社の株式等の売買をしてはなりません。ウ.情報伝達行為、取引推奨行為の禁止 インサイダー取引規制においては、インサイダー取引を実際に行うことのみならず、インサイダー情報を持った会社関係者が、他者に利益を得させ、又は損失の発生を回避させる目的を持って、他者に対して、インサイダー情報を伝えること(情報伝達行為)やその情報をもとに株式等の売買を勧めること(取引推奨行為)も禁止されています。例えば、当社株価が上昇することを自分が持っていたインサイダー情報から予想できたとしても、その情報をもとに、他者に利益を得させる目的で当社株式の購入を勧めたりしてはなりません。 なお、「三菱電機グループ社員持株会」を通じた当社株式の買付けについては、定期的に定額の株式を購入する仕組みであることから、インサイダー取引規制の対象外とされています。

③インサイダー情報の管理及び公表 従業員は、当社グループのインサイダー情報が当社株式等の不公正な取引に利用されることのないよう厳格な情報管理を行うとともに、会社としてはできるだけ速やかにインサイダー情報の公表を行うことも重要です。インサイダー取引防止、情報管理・公表の詳細については、「インサイダー情報管理規則」を参照してください。

〈関連法令〉金融商品取引法〈当社社規〉総括編「1403 インサイダー情報管理規則」

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人権の尊重

企業倫理・法令の遵守

社会への貢献と我々のビジネス

社会との協調・融和

環境問題への取組み

企業人としての自覚

〔 6- 6〕個人情報保護に関する規範 私たちは、事業を行う各国・地域において、その必要がある限りにおいて、適法かつ適切な方法によってのみ個人情報を取得し、適切に利用します。また、個人情報への不正アクセス、漏洩、紛失、改ざんの防止に努めます。

 個人情報を正確かつ安全に取扱うことにより、個人の権利権益を守るとともに、顧客等からの信頼を獲得していかなければなりません。①個人情報とは 個人に関する情報であって、特定個人を識別できるものを言います。例えば、個人の氏名、住所、生年月日等がそれにあたります。「○○市在住、会社員」という情報のみでは、個人が特定できないので個人情報にはあたりませんが、他の情報と照らし合わせることにより、容易に個人を特定できるものであれば、個人情報となります。②個人情報保護法のポイント

ア.適法かつ公正な手段で取得する。イ.取得する際は、本人に速やかに利用目的を通知又は公表し、直接書

面で取得する際はあらかじめ利用目的を明示する。ウ.利用目的以外では利用しない。エ.本人の同意なく、第三者に提供しない。オ.不当なアクセス・紛失・改ざん・漏洩等に対する安全管理措置など

を実施するほか、従業員や委託先への管理監督を行う。カ.開示、訂正又は利用停止等の申し出があった場合、本人であること

を確認した上で、適切に対応する。キ.個人情報は正確かつ最新の状態に保つ。ク.苦情には適切かつ迅速な処理に努める。

〈関連法令〉個人情報保護法、JIS Q 15001:2006〈当社社規〉総括編「1315 個人情報の保護に関する規則」〈マニュアル類〉「個人情報保護マネジメントシステム ガイドライン」

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三菱電機グループ倫理・遵法行動規範                 改訂版

—非売品—2018 年4月発行

発 行 者 三 菱 電 機 株 式 会 社編 集 者 企 業 行 動 規 範 委 員 会印  刷 株式会社アイプラネット

禁無断転載

−Themis(テーミス)−表紙の図柄は、ギリシャ神話に登場する正義と法の女神、Themis(テーミス)をデザインしたものです。Themis(テーミス)は、片方の手に剣(正義・破邪のシンボル)、もう片方の手に天秤(衡平のシンボル)を持ち、また、当事者の姿−つまり社会的な地位や身分−に関係なくその言い分に耳を傾けて正しい判断をするために、目隠しや目を閉じた姿で表現されることが多いです。当委員会は本Themis(テーミス)像を、倫理・遵法活動の象徴として採用しました。ちなみに日本の最高裁判所では、玄関にThemis 像を置いています。

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