漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1...

P1  はじめに            P2  1 年「よみかたプリント」の使い方 P3  1 年「かきじゅんパズル」の使い方 P4  2・3年プリント各部分の使い方 P5  「くりかえし漢字ドリル」へのつなげ方 ●もくじ● プレ漢字プリント プレ漢字プリント な子どものための 漢字 漢字 苦手 苦手 指導の手引き

Upload: others

Post on 04-Mar-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

1 光文書院「プレ漢字ドリル」指導の手引き

P1  はじめに           P2  1 年「よみかたプリント」の使い方P3  1 年「かきじゅんパズル」の使い方P4  2・3年プリント各部分の使い方P5  「くりかえし漢字ドリル」へのつなげ方

●もくじ●

プレ漢字プリントプレ漢字プリントな子どものための漢字漢字が苦手苦手

指導の手引き

Page 2: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

1 「プレ漢字プリント」指導の手引き

 

一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

年生になって、漢字学習が苦手になる児童が出てきます。ドリルをすぐに

放り出してしまう子、読みまちがいが多く、教科書の音読が苦手な子、漢

字の小テストが半分もできない子、ノートの文字がぐちゃぐちゃな子など、

読み書きの苦手な様子はさまざまです。

 

苦手の原因や背景には、学習障害(LD)だけでなく、読み書きの発達の

偏りがあります。また、注意の困難、社会性の困難も関係します。背景は

さまざまですが、共通して大切なことは、児童が取り組むことのできる教材を

通して、読み書きに対する苦手意識の軽減を図ることです。

 

この「プレ漢字プリント」では、課題を完成させることができるよう工

夫をしました。児童がチャレンジできて、力を伸ばすことができるような課題

を作りました。

 「プレ漢字プリント」は、反復して行うことで、学習の進歩を経験できます。

はじめは、プリント中の手がかりを利用して書きますが、反復する中で、

手がかりに頼らずに書けるようになります。プリントを完成させるのにか

かった時間や正答数など、児童の学習の進歩が分かるようにすることで、

積極的に取り組めるように配慮してください。

このような児童を対象に考えた教材です

「プレ漢字プリント」の目的と期待される効果

 

漢字学習が苦手な児童には、漢字の読む力と書く力に配慮した練習が効果的です。読む力と書く力は、

注意力を促す課題の中で、無理なく形成されます。

 「プレ漢字プリント」は、漢字の読む力と注意力の基礎を育てる中で、書く力を伸ばすことができるよう

に作りました。期待される効果は、次の二つです。

①「くりかえし漢字ドリル」による学習に、無理なくつなげます。

 

漢字を読む力の基礎は、文字をまとまりとして読む力の発達に関係します。また漢字を書く力の基礎は、

漢字の部品を意識し、組み立てを理解する力の形成に関係します。注意する力は、児童が達成できるような、

手がかりが与えられている課題で促すことができます。

 

これら、基礎となる力を身につけることによって、「くりかえし漢字ドリル」で、効果的に学習できるよ

うになります。

②「プレ漢字プリント」の反復で、漢字の定着を図ります。

 

手がかりが与えられた課題による練習は、児童にとって、抵抗感の少ない練習になります。反復を通し

て手がかりを利用しなくなるので、無理なく漢字の定着を図れます。

東京学芸大学

小池敏英

(総合教育科学系 特別支援科学講座 教授)

プレ漢字プリント

はじめに

児童がチャレンジで

きる課題を用意する

ことが大切です

小池敏英

東北大学教育学研究科博士課程修了。博士(

教育学)

。2000年より

東京学芸大学教育学部

教授。著書に、『LD児のためのひらがな・漢字

支援―個別支援に生かす書字教材』(あいり出版)、『LD児の漢字学習と

その支援―一人ひとりの力をのばす書字教材』(北大路書房)等がある。

プロフィール

Page 3: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

2 「プレ漢字プリント」指導の手引き

な ま え

ねん

 

  

 くみ

 

   ばん

よみかたクイズ  ★

 □に

 よみかたを

 かきましょう。

見るみ

かくれんぼクイズ ★

 「見る」を

 三みっ

 さがして、かこみましょう。

こえに

 だして

 よみましょう。 

よく 見み

る。

見るうなよい見るてま

ひおすくへ見るゆせも

たつんぬ見るろけしれ

よみかたプリント

見る

見る

プレ漢字プリント

1年「よみかたプリント」の使い方

一部が□で隠されている読み方を完成させる課題です。児童にとって実行しやすい課題で,読み方の記憶に効果的です。

※注標準版で,読み方が複数ある漢字の場合は,児童にとって身近で,イメージしやすい読み方を優先して提出しています。

一年生の漢字プリントの特長

漢字を見つけて○で囲むという課題です。比較的容易に取り組める課題です。集中力を養い,漢字の視覚的イメージを形成します。漢字学習の初期につまづきやすい「送りがな」と漢字のまとまりも意識させます。

 

一年生のプリントは、一漢字につき2枚に分かれています。よりスモールステップな学習ができるよう

に配慮しました。

 

まず、「よみかたプリント」で、漢字の読み方を確認します。書くことに抵抗のある児童でも、声に出し

て読む、○をつける、といった課題ならできることがあります。漢字の学習の最初だからこそ、学習に対して、

達成感が得られることが大切です。

はじめに,短い文を声に出して読みます。イラストで,文の意味を分かりやすくしています。

Page 4: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

3 「プレ漢字プリント」指導の手引き

おてほん

6 7

23

はらう はねる

見 4

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 75

23

はらう はねる

6 75

23

はらう はねる

な ま え

ねん

 

  

 くみ

 

   ばん

かきじゅん

れんしゅう

かきじゅん

 パズルが

 できたら、えんぴつで

 かきましょう。

おてほん かきじゅん

パズル

は二枚組,  は三枚組のパズルです。使い方は別紙をご参照ください。20

おてほん れんしゅう

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

12

45

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

6 7

23

はらう はねる

プレ漢字プリント

3使い方

「かきじゅんパズル」は、ゲームのように楽しみながら、書き順を理解するためのプリントです。二枚組

パズルと、三枚組パズルがあります。三枚組の方が難易度が高いので、児童の実態に合わせて選んでお使

いください。

1年「かきじゅんパズル」の使い方

はさみで切り離すと、2種類のパズルができます。

二枚組パズル三枚組パズル

★ カードは、  →  →  の順で取り出します。

★ できるようになったら、白黒でコピーしたカードを使うと、難易度が上がります。

★ できるのにかかった時間を計って記録するとよいでしょう。

★ できたら、プリントの左側の「かきじゅん

れんしゅう」に取り組みます。

指導の仕方(二枚組パズルの場合)

白い紙

おてほんのカード

書き順の順番に

カードを選んで、

この紙の上に

置きます。

「見」という字です。

最初に書くのは

どのカードかな?

つぎに書くのは

どのカードかな? こ

れです!

これです!

Page 5: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

4 「プレ漢字プリント」指導の手引き

プレ漢字プリント

2・3年 

プリント各部分の使い方

一部が□で隠されている読み方を完成させる課題です。児童にとって実行しやすい課題で,読み方の記憶に効果的です。

※注標準版で,読み方が複数ある漢字の場合は,児童にとって身近で,イメージしやすい読み方を優先して提出しています。

使い方

1よみかたクイズ…………

2かくれんぼクイズ……

3かん字をおぼえよう……

4かん字をかこう…………

漢字を見つけて○で囲むという課題です。比較的容易に取り組める課題です。集中力を養い,漢字の視覚的イメージを形成します。

形を視覚的に区別することが苦手な児童に対しては,ことばで学習する課題が効果的です。

漢字の部品を意識できるようにする課題です。漢字を書く練習では,注意せずに乱雑に書くために細部が覚えられていない児童がいます。ここでは,枠を少し傾けることで,注意深く,ていねいに書くことを促しています。

はじめに声に出して読んでもらいます。(「あるく、あるく、あるく、あるく」)次に、

□に合う読み方を書きます。

課題となっている漢字を見つけて、○で囲みます。 

聞いて記憶する力が強い児童に対しては、「ことばでおぼえよう!」の課題で指

導します。声に出して言ってもらい、記憶することを促します。ただし、聞いて

記憶する力が弱い児童には効果がありませんので、注意が必要です。

文章で漢字を練習します。

Page 6: 漢字 が苦手 な子どものための プレ漢字プリント 指 …...1 「プレ漢字プリント」指導の手引き 一年生のときには、漢字学習に積極的に取り組んでいた児童の中に、二

5 「プレ漢字プリント」指導の手引き

プレ漢字プリント

「くりかえし漢字ドリル」へのつなげ方

「くりかえし漢字ドリル」での練習の仕方

 

漢字学習では、定着を図るために、漢字を五回、

十回と反復練習するのが一般的です。しかし、こ

の反復練習が効果的でない児童もいます。反復練

習が効果的でない児童には、手がかりを使って漢

字を書き、次第に手がかりを少なくしていく練習

が効果的です。

 「プレ漢字プリント」で、漢字の形をとらえて書

くことができるようになったら、まずは、「くりか

えし漢字ドリル」の「新しい漢字」のページに書

き込んで練習しましょう。このページでは、はじ

めはなぞりながら書くことができます。 

 

ある程度形をとって練習できていれば丸をあげ

ましょう。「とめ、はね、はらい」などの細かい点

について、それができていなければ×(バツ)と

四つのマスに練習します。個別指導できるのであれば,「ことばでおぼえよう」のことばを声かけし,言いながらなぞるのも効果的です。

いう厳しい指導は適切とは言えません。一度にで

きなくても、あせらず指導していきましょう。低

学年では、まずは漢字を構成する部品に慣れてい

くことが大切です。

 

さらに、ノートで練習するかどうかは、児童の

力によって判断します。練習のための練習は必要

ありません。書けるようであれば無理に反復練習

を強いる必要はありません。

  「くりかえし漢字ドリル」での練習が困難な様子

であれば、また「プレ漢字プリント」に戻りましょ

う。「学習を支える力」に偏りがあっても、児童は

必ず成長します。戻ったり、試してみたりをくり

返す中で、ていねいに指導することが大切です。

ちゅうい ちゅういできかた できかた

あたらしいかん字

にしない。

や 

しない。

おもった

とが

口から

出る

いみを

あらわす。

くもから

白い

ゆきが

ふる

ようす

から

できた。

ふきのとう

きせつの

ことば/今週の

ニュース

4~19

まちがえやすい ところ 書きじゅん 54321

読よむ どく

4 ページ

かく14

は、まちがえやすい

かん字。

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ ああ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ ああ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

あ あ

光 2・上

音おん

読どく

を 

する。

文ぶん

を 

読よ

む。

雪5

かく11

雪ゆき

が 

つもる。

白しろ

い 

雪ゆき

言いう

6

かく7

先せん

生せい

に 

言い

う。

ははが 

言い

う。

南みなみ

9

かく9

南みなみ

の 

まど。

南みなみ

むきの 

へや。

ゆき

くり漢ドリル_光村_2_上_本文_ト003_4_111.indd 1 2010/09/03 8:58:50

読み方が複数ある漢字については,児童の様子を見ながら指導していきます。二つ以上の読み方を一度に覚えるのが難しいようであれば,まずは一つの読み方で練習しましょう。

「学習を支える力」の成長を見守りましょう

▲「くりかえし漢字ドリル」新出漢字のページ (光文書院の例 )