2012年度 情報工学教育プログラム案内2012/04/04  · 有澤研究室 教員 有澤博...

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2012 年度 情報工学教育プログラム案内 横浜国立大学 理工学部 数物・電子情報系学科 情報工学 EP 2012 年 4 月3日版

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Page 1: 2012年度 情報工学教育プログラム案内2012/04/04  · 有澤研究室 教員 有澤博 教授 総合研究棟 教員室S401 研究室S204 研究分野 データベース理論、マルチメディアデータベース、3次元映像の取得と解析・モデル化

2012 年度

情報工学教育プログラム案内

横浜国立大学

理工学部 数物・電子情報系学科 情報工学 EP

2012 年 4 月3日版

Page 2: 2012年度 情報工学教育プログラム案内2012/04/04  · 有澤研究室 教員 有澤博 教授 総合研究棟 教員室S401 研究室S204 研究分野 データベース理論、マルチメディアデータベース、3次元映像の取得と解析・モデル化

目 次

◆ 情報工学教育プログラム新入生の皆さんへ

◆ 大学院の組織変更について

◆ 教員紹介

◆ 研究室紹介

◆ 学会の紹介

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情報工学教育プログラムの新入生の皆さんへ

平成24年度 数物・電子情報系学科 情報工学 EP 代表

教授 有澤 博

ご入学おめでとうございます。教職員一同、心より皆さんの入学に歓迎の意を表します。皆さん

は伝統ある横浜国立大学工学部が理工学部に生まれ替わって2回目の入学生です。この春、私共

もフレッシュな気持ちで皆さんを受け入れたいと思います。

皆さんには数物・電子情報系学科の一つの教育プログラム(EP)として情報工学、すなわち

Computer Science と呼ばれる分野において、コンピュータにまつわる基礎理論から 先端の応用

までをしっかりと系統立てて学んでもらえるよう、充実したカリキュラムを用意しています。情報工学

を学べば学ぶほど、それが認識・表現・推論など人間の高次の頭脳活動の分析に端を発し、さらに

数学的な裏付けに基づいて実際に動く「機械」や「システム」を形成するに至るまで、実に様々の英

知や技術が発明され結集されていることに気づかれると思います。そうした学問の面白さ、凄さを

我々と一緒に是非堪能していただきたい、それを期待しています。

一方、大学の生活では高校までと違い、自分の責任で決める範囲が格段に大きくなります。たと

えばカリキュラムにおいても自分で選択できる範囲はかなり広く、さらに図書館や研究室を訪ねて、

自分の興味のある知識を追求し深めることもできるでしょう。大学で何よりも大切なことは自主的に

考え、行動することだと思います。大学での4年間を自分を成長させる場として有効に使っていただ

きたいと思います。さらに、4 年間の学部教育の後には、より高度な研鑽の場である大学院が控え

ています。現代の学問はとても奥が深く、学部 4 年間ではその頂点を極めるのが難しいかもしれま

せん。逆に「本当の面白さが分かるのは大学院で 1 つの研究テーマを深く追求してからだった」とい

う感想も良く聞かれるところです。企業もそうした高い知識や技術を持った人材を期待する部分が

非常に多いことも事実です。皆さんには大学院の前期課程(修士)、後期課程(博士)への進学も

是非視野に入れて勉学に励んでいただきたいと思います。

後に、大学生になって、いろいろな人との交流を大切にして欲しいと思います。同級生、サーク

ルの仲間、先輩、教師等今までよりはるかに広い多種多様な交流の場があるでしょうから、その中

で自分を磨く機会を持ち、また一生の知己を得ていただきたいと思います。

大学学部の 4 年間は思っていたより短かく、何もしなくてもあっと言う間に過ぎてしまいます。昨

年には私達は近年未曽有大災害である東日本大震災を経験しました。人と人との絆とは何か、ど

のようにして人の、社会の役に立てるのか、被災された多くの方々の悲しみや困難に思いを馳せつ

つ、自身の目標を持って意味のある大学生活をしっかりと送っていただきたいと念じております。

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教員紹介

有澤 博 教授

専門分野:データベース理論,マルチメディアデータベース,

時空間情報モデリング,マルチメディアネットワーク,次世代放送

担当科目:システムプログラム,データベース,他

所属学会:情報処理学会,電子情報通信学会

田村 直良 教授

専門分野:自然言語処理,文章の文脈解析,作文の評価と作成支援,

音声言語処理

担当科目:コンパイラ,他

所属学会:言語処理学会,情報処理学会,電子情報通信学会,

人工知能学会,日本心理学会

長尾 智晴 教授

専門分野:知能情報処理,知的画像処理,知能ロボティクス,

感覚知覚情報処理,進化計算法,進化経済学

担当科目:画像・音声情報処理,人工知能,他

所属学会:電子情報通信学会,電気学会,情報処理学会,

人工知能学会,映像情報メディア学会,医用画像情報学会,

進化計算学会,日本視覚学会,日本ロボット学会,

計測自動制御学会,芸術科学会,進化経済学会,IEEE

松本 勉 教授

専門分野:情報セキュリティ,暗号アルゴリズム,セキュリティプロトコル,

情報利用管理,バイオメトリクス,耐タンパー技術

担当科目: 情報セキュリティ,計算理論 I,計算機アーキテクチャ,他

所属学会:電子情報通信学会,情報処理学会,IACR, IEEE

森 辰則 教授

専門分野:ディジタルドキュメント処理,情報検索,情報抽出

自然言語処理,自然言語インタフェース

担当科目:自然言語処理,プログラミング,他

所属学会:言語処理学会,人工知能学会,情報処理学会,

電子情報通信学会,ACM

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四方 順司 准教授

専門分野:暗号理論,情報理論,理論計算機科学,計算数論

担当科目:暗号理論,計算理論 II,情報リテラシ,他

所属学会:電子情報通信学会,情報処理学会,IACR,IEEE

富井 尚志 准教授

専門分野:データ工学,マルチメディアデータベース,

時空間データベース

担当科目:マルチメディア情報処理,プログラミング言語,

プログラミング演習 II,他

所属学会:電子情報通信学会,情報処理学会,

映像情報メディア学会,日本データベース学会

藤井 友比呂 准教授

専門分野:理論言語学,ことばの認知科学

担当科目:ことばと論理,理論言語学 A,他

所属学会:アメリカ言語学会,日本英語学会,日本言語学会

マーティン ロジャー 准教授

専門分野:理論言語学,統語論,生物言語学 (biolinguistics)

担当科目:認知科学入門,理論言語学 B,他

所属学会:日本言語学会

吉岡 克成 准教授

専門分野:ネットワークセキュリティ,情報システムセキュリティ

担当科目:プロジェクトラーニング,プログラミング入門,他

所属学会:電子情報通信学会,情報処理学会

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有澤研究室 教員 有澤博 教授 総合研究棟 教員室S401 研究室S204 研究分野 データベース理論、マルチメディアデータベース、3次元映像の取得と解析・モデル化 先端医療画像解析 研究室の方針 本研究室では,図形・画像・音声・映像など多種多様なデータに対して自由に蓄積、加工、 検索を行えるような次世代のマルチメディアデータベースシステムとそれを支えるさまざま

なコンピュータ技術の理論と応用の研究を進めています。 最近、高精細ビデオカメラや高性能のコンピュータの出現を背景として、データベースに

対する要求が変化しています。文字や数値で表される単純なデータだけを多量に蓄積し管理

することに代わって、これからのデータベースにはいろいろな画像や図面、センサーデータ、

多視点映像のように,文字では表せない、しかも大量なデータを実時間で取り扱うことが求

められているのです。 当研究室では新しいデータベースの核となるモデル論の研究と、そのモデルに基づく3次

元マルチメディアデータベ-スシステムの設計・開発を行っています。 この流れに沿って最近では様々の研究支援補助金を得て、複数台の高精細ビデオカメラや

センサから人体動作の3次元情報を取り込み、姿勢や動作の解析を行い、その結果をデータ

ベース化し、さらにバーチャルリアリティを用いて再現・評価するという手法を開発してい

ます。この概念はリアルワールドデータベース(RWDB)と呼ばれ、当研究室では世界に

先駆けて提案し、実際に大学発ベンチャー会社と協力していくつかの製品開発をすすめてい

ます。 さらに最近は横浜市立大学医学部と連携し、全身 PET-CT 画像に基づくがん自動診断技術

の開発が活発に行われ、北米放射線医学会で成果が発表された上で実際に病院でも試用され

ています。 本研究室に配属された学生は、現在進行中の世界的に見ても最も先進的なプロジェクトの

一員として頑張ってもらうことになります。 研究テーマ 1. 関数型データモデルに基づく データモデリングと言語

2. リアルワールドデータベース

と検索システム 3. 詳細人体モデリング・負荷評価

4. 広域精密モーションキャプチャ

5. 構造化オブジェクト処理基盤

6. 医学画像処理と自動診断

補足説明 当研究室では問題を理論的に解析し、解決する能力と、その結果を実際にシステムとして

プログラミングする能力の「2足のわらじ」を履くことが要求されます。 4年生には研究テーマに対する知識を短期間に習得してもらうため、輪講や合宿などを通

して、研究室配属直後から丁寧に指導し、年度の後半からは、並行して走っているいくつか

のプロジェクトの中から 1 つを選び、プロジェクト員として活躍してもらう予定ですので、

「やる気」のある方を歓迎します。またプログラミングなどかなりの仕事量をこなしてもらう

ことになりますので「バイト」などの多い人は卒業ができなくなるので注意して下さい。 研究テーマなどに興味を持たれた方はいつでも研究室に見学にいらしてください。なお,

本研究室の研究内容を大学院で継続したい方は、大学院「環境情報学府情報メディア環境学

専攻情報メディア学コース」に進む道が開かれています。

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田村研究室 教員 田村直良 教授 教員室・研究室 田村研究室、自然言語処理実験室(総合研究棟II S-601,610)

研究分野 自然言語処理、文脈解析、文章評価、音声劇生成、音声情報処理応用、点字楽譜の計算機処理

研究室の方針

文章の意味をどう扱うかを研究し、それを計算機で扱う方法を研究室のテーマとしています。例えば、新聞の事件記事

では基本的には発生時間順に出来事が書かれていますが、そうした出来事の連続として事件が表されています。ま

た、評論文では、事実やそれから導かれる主張を積み重ねて、読み手に納得されるように論理を展開していきます。こ

のように文章は、個々の文の意味を総和しただけではなく、それらが連携することによって総和以上の意味や関係を内

包しています。我々は、文章の構成要素やその間の関係を「意味構造」ととらえ、どのような構造により文章の意味を扱

うのかを研究しています。対象の文章や、応用によって、そのような解析を行うかが変わって来ますが、最近の研究テ

ーマとして、人間が書いた小論文を採点するシステムや、物語から音声劇を生成するシステムなどの研究を進めてい

ます。

研究テーマ(の一部)

1.文章の自動評価 文章の自動評価(自動採点)では、人間が書いた

文章を計算機により評価します。人間が採点を行う場合、文章をよく読

んで、様々な特徴に着目するでしょう。例えば、文末「です」「である」が

統一されているか、助詞「の」の使用が多すぎるかと言った表面的なこと

から、事実に基づいて論理を展開しているか、論理に飛躍はないか、例

などによる補足が十分かなど、文章構成の意味的なところです。自然言

語処理の手法を応用すると、これらの個々の要素に関係する解析、抽

出を行うことが出来ます。つまり、一つの文章を多くの様々な特徴の集

まりとして扱うことが出来ます。人間(先生)が行った採点データを多く集

める、計算機による「学習」によって人間の採点を「まねる」ことが出来ま

す。当研究室では、自動採点に関する様々な手法を研究しています。

(右図).

2.ラジオドラマの自動生成 物語(文字)からラジオドラマ(音声)を

自動生成するシステムを研究しています。ドラマの台本を作成すると

いう観点で文章を理解するには、文章の評価とは別な意味理解が必

要です。例えば、登場人物の同定(音声合成システムでの声パラメー

タの設定)、場面の分割(背景の音楽、音響効果の選択)、ハイライト

される対象の同定、感情の推移(間の取り方、効果音選択)ですが、

それぞれ音声素材の調整に影響します。このテーマに対して、適切

な意味構造と、それを抽出するための自然言語処理技術について、

さらにこのテーマでは、様々な音声素材を重ね合わせて一つの音声

データ(WAV ファイル)とする手法などを研究しています。

補足説明

当研究室は平成23年度に理工学部所属です。つまり、平成22年度までに教育人間科学部マルチメディア文化課程に

入学した学生が、「演習」、および「卒業研究」の受講生として当研究室への所属が可能です。(平成23年度理工学部情

報工学EP へ入学した学生は卒研時に卒研生として所属可能です。)

卒論研究では、配属後の最初の数ヶ月にわたってテーマを模索しつつ、情報システム構築、操作のためのスキルを身

につけ、指導教員と相談しながら各自がテーマを設定します。その後、指導教員や研究室の他のメンバーとの議論を重

ねて卒研を進めていきます。その他研究室では、メンバー全員で文献を読んだり、各自の研究テーマを議論する輪講が

開かれます。輪講では、自らの発表や他者との討論を通して研究自体を進めることはもちろん、発表技術の習得や議論

に慣れ、将来の研究者、技術者としての基礎力を高めます。

興味がある方は、田村([email protected]) までご連絡ください。

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補足説明 長尾研究室HPもご覧下さい(http://www.nlab.sogo1.ynu.ac.jp/).研究室見学は随

時可能です.事前に長尾教授(電話:045-339-4131,[email protected])までご連絡頂ければご来

訪の際に長尾教授が研究室について説明します.当研究室では多数の大学・企業等との共同研究を実施

しており,横浜国立大学発ベンチャー((株)マシンインテリジェンス)を起業しています.ベンチャービジネス

に参加してみたい/自分で商品開発をしてみたい/将来自分で起業したいという人達もぜひ長尾研へ!

研究テーマ 上図の研究分野ごとに,最近の研究テーマの例を次に示します.

画像・音声情報処理:進化的画像処理®*,画像認識処理の機械学習による自動構築,画像処理

回路生成,監視カメラ映像処理,Web画像検索,音声変換の自動化,進化的自動作曲など.

視覚情報処理:色恒常性・カテゴリカル色知覚モデルとその応用,画像からの陰影抽出,色の記

憶モデル,図形アルファベット理論,主観輪郭線モデル,視線追跡の画像認識応用など.

分散人工知能:自律エージェント・マルチエージェントの行動制御,サッカーエージェント制御,強

化学習,分類子システム,協調行動の創発,エージェント制御の新方式の開発など.

神経回路網・並列分散処理:進化型ニューラルネットワークの最適化と実装,人工脳の設計と生

成,リカレント型ネットによる時系列変動予測,セル型神経回路網とその LSI化など.

進化計算法・最適化法:遺伝的アルゴリズムの改良,GMA,GIN,GRAPE,EDEN などの世界最強

の進化計算法の開発とその応用,自動プログラミング,探索空間を考慮した最適化法など.

金融工学・進化経済学:カオス・進化計算による時系列変動予測,人工市場の構築と解析・実市

場の変動予測,行動ファイナンス理論,投資家の心理状態解析,企業価値推定モデルなど.

ロボティクス・創発システム:ロボット群知能,自律巡回ロボットの行動制御,ペットロボットと人間

の相互作用,自動車の知能化,柔らかいペットロボットの製作,モジュラーロボティクスなど.

マンマシンインタフェース:文字・図形入力の新方式,フリーハンド動作認識,指文字・手話認識,

注視点抽出機,全周囲カメラによる臨場感ある TV会議中継,音声情報処理・認識など.

医工連携工学:各種医用画像処理,時系列生体データに対するデータマイニング,24時間在宅健

康監視システム,高度医療情報システム,食生活の改善支援による長寿社会の実現など.

感性情報処理:計算機使用者・自動車運転者の精神状態の把握とその利用,画像からの感性情

報の自動抽出,機械・計算機による感情理解・表現,脳波解析に基づく心理状態解析など.

研究室の方針 当研究室では,人の知能を手本として計算機・機械を知能化することで,人の生

活や人生を豊かにするための知能情報学・知能ロボティクスについて研究しています.21 世紀の近

未来情報化社会こそ,“人”を中心とした“人”のための工学技術が必要です.知能化技術により,計

算機・機械を人にとっての“道具”から“真のパートナー”へ変えることが求められています.そのため

には,人の知能とは何かについて探求し,知能を工学的に実現するための方法を見出す必要があり

ます.やるべきこと(=研

究テーマ)は山積していま

す.このため,長尾研究

室の研究分野も右図に示

すように多岐に渡ってい

ます.当研究室に所属す

る学生は,研究生活を通

してこれらの広範囲な研

究領域の基礎的な知識と

スキルを身につけること

ができます.

長尾研究室 教員:長尾智晴 教授 教員室:総合研究棟 4F・S404 研究室:S312他

研究分野:知能情報学・知能ロボティクス ~人と機械の知能を探求して“人にやさしい人工システム”の構築を目指す~

金融工学・

進化経済学

ロボティクス・

創発システム

医工連携工学

感性情報処理 画像・音声情報処理

視覚情報処理

分散人工知能

神経回路網・

並列分散処理

進化計算法・

最適化法

マンマシン

インタフェース

知能化技術によって計算機・機

械を知能化し,人にとって暮らし

易い未来社会を実現する

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松本研究室 教員: 松本 勉 教授(環境情報 1 号棟 703) 研究室: 環境情報 1 号棟 705 等

研究分野 情報・物理セキュリティ(人・モノ・データ・お金・ソフトウェア・ハードウェア・ネット

ワーク・生活・ビジネス・社会に係るセキュリティを主題とする基礎から応用までのすべて)

研究室の方針

研究テーマの例

補足事項 情報・物理セキュリティグループの Web ページ (http://ipsr.ynu.ac.jp/) もご覧ください。暗

号理論をはじめとする理論よりの分野は四方順司研究室と、また、ネットワーク/システムセキュリテ

ィをはじめとする応用よりの分野は吉岡克成研究室と、それぞれ緊密に連携して研究を進めていきます。

研究室見学は随時歓迎([email protected] にご連絡下さい)。

1. 暗号設計技術:安全性と実装性を両立させる公開鍵暗号および共通鍵暗号の設計技術は、国内外の公的な

評価・標準化プログラムで活用されている。公開鍵暗号の構成理論は、Multivariate Cryptography(多変数

多項式暗号理論)として内外の教科書等にも取り上げられ、大きな分野を形成している。 2. ユニバーサルハッシュ関数:長期間メンテナンスフリーでセキュリティを保障しうるという点で重要社会

インフラ保護にとり魅力的だが理論的考察に留まっていたユニバーサルハッシュ関数の実用化研究。 3. 鍵事前配布方式 KPS:誰とでも簡単に共通の鍵を当事者間の予備的な通信なしに共有し暗号通信を行うこ

とができる KPS (Key Predistribution System) は、あらゆるモノの間での通信が可能なユビキタスコンピュ

ーティングの時代に威力が発揮される。また、KPS からは情報理論的署名方式などの方式も派生している。 4. 依頼計算:携帯端末などの非力な計算主体がその秘密を漏らさずに強力なサーバを用いて計算を高速化す

る依頼計算は、国際的に多数の研究を誘発し一分野を形成している。SaaS のセキュリティを支える。 5. 人工物メトリクス:人工物の個体に固有のランダムな物理的パタンを付与し、これをベースに個体識別を

行う技術を人工物メトリクスと命名し研究。磁性微細繊維を用いた方式は株券等で広く使われている。国

際刑事警察機構からの評価も高い。ICカードの更なるセキュリティ強化策としても有用。 6. バイオメトリクス:個人識別技術であるバイオメトリクス(生体認証技術)のセキュリティを客観的に評

価する技術の開拓。指紋照合技術が精巧な人工指による攻撃されるという結果は、Nature 誌のニュースを

はじめ多数のメディアを通じて世界的に衝撃を与えた。虹彩照合技術、静脈照合技術もテーマである。 7. 耐タンパーソフトウェア:機能の不当な改変や秘密データの不当な読出しに強いソフトウェアの作成技術

と評価技術。Java クラスファイルや C プログラムなどが主な対象。情報流通の利用者側端末や、モバイル

コード(ネットワーク上を移動するプログラム)の保護に必須。科学技術振興調整費の支援も受けた。 8. サイドチャネルセキュリティ:秘密情報を内蔵するICカード等の暗号モジュールから、その消費電力分

布や漏洩電磁波を観測・分析し秘密鍵を導く各種サイドチャネル攻撃の解析と対策技術の研究。TPM(PC用セキュリティチップ)のサイドチャネル解析に世界で初めて成功。科学技術振興調整費の支援も受けた。

9. ディジタル証拠性基盤:長期保存文書のセキュリティを高めるヒステリシス署名、文書が特定の時刻に存

在していたことを証明するタイムスタンプ技術、データ・処理と地理的位置との関連付け技術、など。 10.端末セキュリティ:リコンフィギュラブルハードウェアの回路構成データやアプリケーションソフトウ

ェアをモバイル端末に安全にダウンロードする暗号技術、重要情報を管理するICチップを核としてモバ

イル端末全体を安全にする耐タンパーモバイル環境構築技術、クローン端末を発見し無効化する技術など。 11.情報ハイディング:通信していること自体を隠すステガノグラフィ技術、データや装置に追跡性を付与

するフィンガープリンティング技術における、理論的に優れ実用性もある方式や解析手法の考案、など。 12.利用者の意思を確実に伝達する技術:人間機械間暗号、対話型個人認証、非常時通報機能、などの研究。 13.ネットワークセキュリティ:フィルタリングによる情報漏洩対策技術、スパムメイル対策技術、ネット

ワークシステムの脆弱性を克服する様々な技術の研究。マルウェア対策技術の研究。

フレッシュな頭脳で研究テーマを開拓し独創的な成果をあげ、分かりやすい論文やシステムをつく

り、世の中に貢献することが大きな課題です。問題を発見することや考えることに喜びを感じる人、

ソフトウェア作成の好きな人、面白いプロトコル・システム・サービスを実用化したい人、コンピュ

ータやネットワークの実際面・理論面に興味のある人、情報・物理セキュリティは重要そうだがよく

わからない人、暗号を解読してみたい人、ハードウェアが得意だという人、役に立つ理論を追求した

い人等、様々なタイプの人が活躍できる研究室を目指しています。実績として、学部生から社会人を

含む多数の博士課程後期学生や研究員までの多様な年齢構成となっています。多数の外部機関や学内

研究室との共同研究の積極的推進や国際会議を含む学会への積極的参加も特徴であるといえます。

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研究室名 森 研究室 教員 森辰則 教授 教員室 総合研究棟����� 室 研究室 総合研究棟

����� 室� ����� 室

研究分野 ディジタルドキュメント,自然言語処理,情報抽出,情報検索,文書要約

研究室の方針� �私たちの周りにはディジタルドキュメント �電子化文書�が溢れています.���などネットワーク利用技術の発達に伴い,オンラインニュースや電子図書館など膨大な量の文書が利用可能になりました.また,安価な大規模ストレージの登場などコンピュータの普及により,各組織内においても各種資料を電子化してそのまま保存することが多くなりました.しかし,この状況は逆に情報の洪水を生じさせています.つまり,私達が今必要とする情報が他の情報に埋もれてしまい,うまく利用できないということです.本研究室では,この状況を改善する技術として「情報抽出」,「情報検索」,「文書要約」を中心とするディジタルドキュメントの研究をしています.この分野の研究成果として現在世の中で役に立っているものの一つがサーチエンジンです.これは,キーワードを幾つか入力すると関連するホームページを得ることができるサービスです.私達は,�����や ����といった,今あるサーチエンジンよりも遥かに賢い文書インタフェースを目指し,研究を行なっています.研究室のメンバが考案した新しくて面白いアイデアは実証システムに実装され,コンテスト型の発表会などを通じて世界各国の研究機関と競いあっています.また,外部機関と連携して各種共同研究を行なっています.代表的なものは,��������������� ������ ���������������です.

CGI

PerlCJava

文書要約

情報検索

情報抽出

統計処理

言語的性質

形態素解析

HTMLXML

学習技術

文解析談話解析

要素技術

基礎技術

ネットワークエージェント

応用技術

質問応答

便利な文書システム

正規表現

� �研究テーマ� �

以下に主なテーマを示します.この他にもいくつかの関連技術に関するテーマを扱う予定です.

� 質問応答 大量の電子化文書を辞典のように使って利用者の質問にズバリ答えるシステムです.サーチエンジンのように文書を教えてくれるのではなく,答え自身を簡潔に答えるのがポイント.情報検索と情報抽出を組み合わせた,より高度な技術を要します.実験システム公開中�� 下記「補足説明」を御覧下さい.

� 文書要約 情報検索結果など,複数の文書を利用者にわかりやすく提示します.複数文書の要約や使い易いグラフィカルインターフェースなどがその技術の鍵となります.特に,提示されている情報の信憑性判断を手助けする文書要約や,利用者の知りたい事柄を対話により段階的に要約・提示する,対話型複数文書要約を扱っています.

� 情報抽出 文書に書かれている事柄から利用者の望むものを自動的に抜き出す技術です.当研究室では,その要素技術として,評判情報の抽出 �製品などの評判だけを集めてきてまとめる�,属性情報の抽出 �大きさや色といった物の属性を表す表現を抽出する�などを研究し,新しい方式の情報抽出技術を模索しております.

� 情報検索 多数の文書群から利用者の要求を満足する文書を取り出す技術です.特に,質問応答のための基幹技術として,外部���検索エンジンの有効活用法を検討しています.さらに,焦点を絞った情報検索として,物の属性を対象とした属性検索も検討しています.

� �補足説明� �

研究室配属では,プログラミングに抵抗が無く �必ず何らかの実証システムを作成するため�,論理的思考ができる方を歓迎します �自分の考えを具体的にまとめるため�.例えば,���質問応答システムなど �������������������������� �������� �������������で公開中のシステムは皆さんの先輩方の成果です.詳しい情報を知りたい方は下記 ���の当研究室���ページを御覧下さい.研究室の見学は随時歓迎致しますのでお気軽にどうぞ.事前に下記電子メールアドレスまで連絡を頂ければ確実です.なお,研究室のある「総合研究棟」は本学西門のすぐそばです.

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四方研究室

教員:四方順司 准教授 研究室:総合研究棟S205 教員室:総合研究棟S202-2

研究分野: 暗号理論、情報セキュリティ、計算数論、

理論計算機科学(計算量理論、アルゴリズム理論等)

研究室の方針:

本研究室では、主に暗号理論、数理アルゴリズム、理論計算機科学の分野の

研究に取り組み、基礎から応用にわたる幅広い分野を研究対象として考えてい

ます。

数理的なアルゴリズムは理学の分野では勿論のこと、情報学、工学、経済学

など幅広い分野で利用されています。本研究室では、純粋な数学的対象を計算

するアルゴリズムだけでなく、情報学・工学的に重要な対象を計算するアルゴ

リズムに関しても、広く開発・改良の立場からの研究を行っています。理論的

側面を重視したアルゴリズムの開発・改良、実装面を重視したアルゴリズムの

開発・改良など、いろいろな立場からアルゴリズムの研究を行います。

また、暗号理論も主な研究対象にしています。暗号理論は、インターネット

などを利用した今日の情報化社会のサービスの安全性を支え、多くの人々が安

心して通信・契約等を行うために非常に重要なテーマとなっており、他の様々

な分野と深く関連をもちながら研究が行われています。本研究室では、数理ア

ルゴリズムをうまく利用した公開鍵暗号技術、情報理論により安全性を保証す

る暗号技術、また組み合わせ論を利用した暗号技術など、様々な暗号理論に関

しての研究を行っています。 実際には、理論的立場から世の中の暗号の安全性

を解析したり、新たな暗号を考案したりというのが主な研究活動になります。

研究テーマの例:

1. 公開鍵暗号技術に関する理論的研究

2. 量子計算機に対抗できるセキュリティ・メカニズムの解析と開発

3. 情報理論的に安全性が保証される暗号技術の開発と改良

4. 素因数分解問題、離散対数問題、楕円曲線上の離散対数問題の解析

補足:知的好奇心のある人が独創的な発想に基づいて自由にのびのびと研究で

きる研究室を目指しています。現在、世界ではどういった仕組みの暗号が使わ

れていて、その安全性はどのような理屈で保証されているのか興味ありません

か?興味のある人は気軽に教員室や研究室に来てください。なお、本研究室は

セキュリティに関する共通の研究テーマに関して、松本研究室、吉岡研究室と

連携をとっています。質問等がある場合は、[email protected] まで。

Page 12: 2012年度 情報工学教育プログラム案内2012/04/04  · 有澤研究室 教員 有澤博 教授 総合研究棟 教員室S401 研究室S204 研究分野 データベース理論、マルチメディアデータベース、3次元映像の取得と解析・モデル化

富井研究室 教員:富井尚志 准教授 教員室:総合研究棟 S403 研究室:総合研究棟 E306-1 研究分野 データ工学 マルチメディアデータベース 時空間データベース 研究方針

本研究室では、データベースを基盤とした次世代の情報システムの設計・構築と、高度な応用事例の研究を行っています。このデータベースでは、RFID をはじめとする各種センサを用いたユビキタス環境から得られるセンサ情報、映像や画像、コンピュータグラフィックス(CG)などの視覚データ、をすべて関連付けて蓄積し、自由に再利用することができます。 現実の社会で人々が生活する際に、Suica や Pasmo のような無線 IC カード(電子タグ)

が当たり前のように利用されるようになりました。また、安価な加速度センサなどを用いて、人の動作を正確に取得できるようになっています。これらの技術によって、人々の活動をそのままコンピュータに取り込んで、IT(情報技術)の支援によって日常の生活を豊かにする試みがなされています。さらに、CG によって創造された世界(仮想世界)とも連携させれば、現実世界の情報を忠実に再現することが可能になります。しかし近年では、これらのデータが爆発的に増加し、これまでの単純なデータ蓄積手法だけでは十分なデータ管理が難しくなってきました。この問題は「情報爆発」と呼ばれ、産業、医療、流通、交通、教育、研究など、およそコンピュータを利用するさまざまな分野において、いかに効率よく大量のデータを管理できるかが重要なテーマとなっています。 このように、「ユビキタスコンピューティング環境」では、環境に埋め込まれたコンピュ

ータから、多種多様なデータを大量に得ることができます。これらを利用者の知的情報(概念)に基づいてデータ間の対応をあらかじめ取っておき、「すべての情報をデータベース化して有効活用してしまおう!」ということが本研究室のメインテーマとなります。 そのコアとなる方法論は「概念設計(Conceptual Modeling)」と呼ばれ、大量のデータを

取り扱うデータ工学の分野ではひとつの研究アクティビティとして十分に認知されています。「トラディショナルなデータベース」の理論と、現実世界の情報処理技術を導入して、「データが増加しても十分利用可能な近未来の高度情報システム」を実際に作っていきます。

研究テーマ(例) 大量の電子タグを埋め込んだ実環境下での

ヒト・モノの全行動情報取得とデータベース化による利用者支援

利用者の意思を共有できる「概念共有環境CONSENT」によるグループウェアの実証実験

多数の電気自動車と地域電力網を統合するための電気自動車からの情報収集とデータベース化に関する研究(新規テーマ)

補足説明

RFID リーダ付 PC やグラフィックワークステーション、データベースサーバなどの特殊なデバイス

やコンピュータを使いながら、プログラムを作成して新しいものをバリバリ作るエネルギーが必要に

なります。また、ただ単にプログラミングをするだけではなく、そのコンセプトとウリは何かを同時

に考えて説明し、議論できなくてはなりません。しかし出来上がったモノは現実世界での出来事をそ

のまま蓄積・検索できたり、映像や CG を出力することが多いため、完成した喜びを目で見て味わう

ことができます。研究開発環境はいつでも最新版の Windows を使います。いろいろなコンピュータを

使ってみたい人、プログラミングに没頭したい人、そして、自分の頭で考えながら新しいことに興味

をもってトライしたい人には、チャレンジする価値のあることができるでしょう。また、世の中では

真の「データベース」を構築・管理できる情報技術者が圧倒的に不足しています。実際のデータベー

スシステムを自分の手で動かして、卒業後も役立つ情報技術を身につけてください。当研究室は、大

学院では環境情報学府の所属となる研究室で、総合研究棟にあります。

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藤井研究室 教員:藤井友比呂 准教授 教員室:総合研究棟1階 S104 室 研究分野 理論言語学,ことばの認知科学. わたしたちは,自分の母語に関する非常に複雑で無意識的な文法知識を有しています.たとえば,日本語の母語話者であれば,下の文 a が自然な日本語の文であり,文 b が不自然であることを知っています. a. ヒロシはヨーコが誰にケーキを作ったか教えましたよ.[○]

b. ヒロシはヨウコが誰にケーキを作ったと教えましたよ.[×]

どうも「誰」が「か」のような要素を要求しているようです.しかし,自然な文aの「誰に」の位置を変えると「か」があるにも関わらず,またおかしな文(文 c)ができてしまい,さらに文 cの文末に「か」をつけると,(文 aとは意味が大幅に変わりますが)自然な文に修正されます(文 d). c. ヒロシはヨウコがケーキを作ったか 誰に教えましたよ.[×] d. ヒロシはヨウコがケーキを作ったか 誰に教えましたか.[○] どうも日本語には「誰」と「か」の間の関係についてのルールがあり,私たち日本語母語話者は無意識的にそのルールに従っているようです.(ちなみに,「誰」はその右側に「か」が出現することを要求する,という仮説は誤りのようです.「誰がヨウコがケーキを作ったか教えましたよ」が意味をなさない文なので.) 心理学,神経科学,哲学,人工知能などとともに,認知科学の下位分野である言語学は,たとえば上で見たような言語データの背後にあるルールを明示的なかたちで記述し,ヒトのこころ/脳のなかに存在する抽象的な文法機構のモデルを構築することを目標にしています.さらには,ヒトであれば,特段の努力もせず上のようなデータの背後にあるルールを発達させるという事実について,それを可能にしている認知的基盤はなんなのかというより高次の問いに答えることも目標としています. 研究テーマ 1.文法理論研究:文法部門,意味部門,音声部門がどう相互作用するかについてのモデルを個別言語のデータに基づいて構築,修正することを試みます.

2.比較統語論:複数の異なる言語からのデータを用いて,人間言語の文法モデルの基盤を探ります.対象言語は,主に日本語,英語,中国語,朝鮮語などです.

3. 地域方言,新聞見出し,男性/女性ことば,若者ことばなどを含む日本語変種の理論言語学的分析:新聞記事において,助詞ガを省略した「首相アメリカ訪問から帰国」というような見出しはデータベースに現れますが,助詞カラを省略した「首相アメリカ訪問帰国」は現れません.なぜなのでしょうか.

研究室の方針 理論言語学は,データとそれを説明するモデルを扱うという意味で,経験科学であり,人間言語のような心的現象が自然現象である限り,自然科学でもあります.科学と呼ばれるどの分野でもそうだと思いますが,研究においては常にsomething newが要求されます.したがって,必要とされる知識や技術(ここでは,言語分析の方法論,論理学,先行研究の把握など)を体得する必要がありますが,それだけでは不十分です.ときには,「このデータはどういう問いの答えに繋がるのだろう」というふうに,「答え」があって「問題」がない場合すらあります.そのような研究のダイナミズムをともに体験できればよいなと考えています.

Kuno, S. 1973. The Structure of the Japanese Language.

樹形図はいずれも Kuno, S. 1973, The Structure of the Japanese Language, MIT Pressから引用.日本語(左)は「左枝分かれ」の言語で,英語(上)は「右枝分かれの言語」であることが分かる.

John owned a cat that killed a rat that ate cheese that was rotten

「ジョンが飼っているネコが殺したネズミが食べたチーズは腐っていた」

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研究室名: マーティン研究室 教員名: マーティン・ロジャー (Roger MARTIN) 准教授

教員室: 総合研究棟S501室 研究室: 総合研究棟S513室

専門分野: 理論言語学 (theoretical linguistics)、統語論 (syntactic theory)、生物言語学 (biolinguistics)

研究室の方針

My research is aimed at understanding the nature of human language and cognition. I work within the so-called

biolinguistic perspective, which views the human language faculty as a component of human biology. From this

point of view, language can be examined from various angles, such as evolution in the species, development in

the individual, and as a system of individual knowledge that gets put to use in actual performance. Although my

research is in some sense focused on the last of these domains (trying to understand the nature of the

knowledge system underlying the linguistic performance of any individual), I am also deeply concerned about

the broader questions of how this system fits in the context of natural world systems and how it has evolved

in our species, as well as problems of human language acquisition, areas on which I am always aiming to shed

whatever light I can.

研究テーマ

Although the details of my current and recent research are somewhat technical and would sound rather

esoteric to laypeople, I have been mostly concerned over the past several years with understanding the nature

of dependencies between elements in a sentence where the first element is overtly pronounced and the

following dependents are silent. For example, in the sentence “John seems to have been arrested”, the noun

phrase we say/hear as “John” serves as the subject of the main clause. But it also in some sense serves as

the object of the embedded clause. Needless to say, only the former element is pronounced (we cannot say

“*John seems to have been arrested John”). These two elements in the sentence are said to form a chain and

questions of what chains are, how and when they arise in sentences, and how they are interpreted (in speech

and thought) are the focus of much of my current research.

補足説明

It is important for students to realize that the study of linguistics, at least from the biolinguistic perspective, is

not about learning a foreign language, or even simply learning about languages. Linguistic scientists who work

in this framework are trying to understand how the human “mind” actually works as a device to compute

knowledge resulting in linguistic performance, and how we came to have such states of mind, both as

individuals and as a species. Although students who enjoy studying languages, be they foreign or native

languages, or who find the phenomenon of language interesting from social, cultural, or political perspectives

often find their calling in theoretical linguistics, it is a field that, I believe, should find its greatest appeal among

students who are concerned with understanding the world by way of natural science, or who have an interest

in how mathematical rules of form play a role in nature. If you think you might have such an interest, I strongly

encourage you to take some courses and explore these exciting areas. My classes are taught mostly in English,

but I will be happy to help you gain understanding in any way possible. Also, I highly recommend the very much

related courses in this field taught by Associate Professor Tomohiro Fujii.

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吉岡研究室 教員 吉岡克成 准教授 環境情報1号棟910(教員室),環境情報1 号棟516,920,総合研究棟E510

研究分野 ネットワークセキュリティ,情報システムセキュリティ

(マルウェア解析,ネットワーク攻撃分析,ネットワークモニタリング,不正ウェブサイト探索など)

研究室の方針

近年,不正アクセス,サービス妨害,マルウェアによる情報漏えい,フィッシングによるオンライン詐欺,など,情報セキ

ュリティに関する様々な事件(セキュリティインシデント)が取沙汰されています.本研究室では,インターネットに代表さ

れる情報通信ネットワークで実際に発生している様々な脅威の広域的観測,詳細分析を行い,そのメカニズムを明ら

かにし,対策を導出することで,安心・安全な情報社会を実現することを目指しています.そのため,国内外の研究機

関と協力し,不正アクセスやウイルス検体等の実データ収集・共有を進め(独立行政法人情報通信研究機構との連携を

進めています),ネットワーク攻撃やマルウェア(コンピュータウイルスなどの不正プログラム)の解析を行っています.こ

のように,実データによる実証的なアプローチを重視しており,研究を進める中で,コンピュータアーキテクチャやネット

ワーキング等のコンピュータサイエンスの基礎に加えて,暗号,認証といったセキュリティの基盤技術,データ解析の

基礎となる多変量解析,機械学習等を「実際に使いながら」学ぶことが出来ます.

研究テーマ(の一部)

1.ネットワーク攻撃観測 ウェブ,メール,P2P,チャット,VoIP,動画配信

などインターネット上で提供されるサービスは多種多様です.このように複雑

化したサービスに対して,どのような脅威が存在するかを把握することは情

報セキュリティ対策の第一歩といえます.本研究テーマでは, ハニーポット

と呼ばれる観測専用のツールにより,不正アクセスやウイルス感染の様子を

観測したり,迷惑メールを大量に収集・解析したり,ウェブサイトや P2P ネット

ワークを自動的に周回して不正なサイトやファイルを検出することで,ネット

ワーク上の脅威に関する情報を収集します.また,収集した情報を人間が直

感的に理解できるような可視化技術の研究を行います(右図).

2.マルウェア解析 ハニーポットと呼ばれる攻撃観測用の囮システムを用

いて収集したウイルス,スパイウェア,ボットなどの不正プログラムを詳細に

分析します.具体的には,安全な解析環境の中で実際にウイルスを実行する

ことで,その詳細な挙動を観測・分析したり(動的解析),不正プログラムを逆

アセンブルすることで安全かつ効果的にその特徴を明らかにする(静的解析)

技術の研究を行っています.また,ネットワークシミュレーションによって感染

活動の予測・影響度分析を行います.

3.ログ解析,攻撃検知 観測されたネットワークトラヒックやサーバのログ

の中から情報システムに悪影響を与える攻撃を自動的に検出する最先端の

アルゴリズムを開発します.例えば,ウイルス対策ソフトや IDS(侵入検知システ

ム)はシグネチャ(特定のルール)に従って攻撃やマルウェア本体を検知します

が,近年ではマルウェアの多様化により,人手によるシグネチャ生成が追いつかなくなっています.そのため,マルウェア解析

によって得られた情報を用いて,シグネチャを自動生成する方法や,学習や多変量解析などを用いた,シグネチャに頼らない

高度な解析手法を研究しています.

実際に観測された攻撃の可視化

(提供:情報通信研究機構)

補足説明

本研究室は平成 20 年度に設立された新しい研究室です.そのため,研究室の研究基盤構築に貢献して頂けるような意

欲的な学生さんを期待します.UNIX/Linux 環境に慣れている方やプログラミングが好きな方は勿論のこと,そうでない

方も基礎から指導しますので心配は要りません.上記の研究テーマはあくまでいくつかの例であり,卒論研究では,配

属後の最初の数ヶ月にわたってテーマを模索しつつ,情報システム構築のためのスキルを身につけ,指導教員と相談

しながら,各自がテーマを設定します.研究は松本勉研究室および四方順司研究室と連携して進め,週一回の合同打ち

合わせがあります.また,国内外の大学や研究機関,企業との共同研究,意見交換会,国内外での学会発表を積極的

に行います.興味がある方は 吉岡([email protected]) までご連絡ください.

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学会の案内

学会は,学術の研究奨励を目的として作られた団体です.情報工学関連の学会を次表に示しま

す.各々の学会は,学会誌や論文誌の発行,研究会・全国大会などの開催,各種調査・標準化な

ど関連分野の学術振興のための事業を行っております.会費が割引される学生会員を設け,学生

の皆さんが入会しやすいような制度を採用している学会がほとんどです.

学会名 公式ページ

IEEE,米・電気電子技術者協会 http://www.ieee.org/

ACM,米・計算機学会 http://www.acm.org/

Linguistic Society of America

(アメリカ言語学会)

http://www.lsadc.org/

International Association for

Cryptologic Research

http://www.iacr.org/

電子情報通信学会 http://www.ieice.org/

情報処理学会 http://www.ipsj.or.jp/

電気学会 http://www.iee.or.jp/

計測自動制御学会 http://www.sice.jp/

日本データベース学会 http://www.dbsj.org/

人工知能学会 http://www.ai-gakkai.or.jp/jsai/

進化計算学会 http://www.jpnsec.org/

日本ロボット学会 http://www.rsj.or.jp/

映像情報メディア学会 http://www.ite.or.jp/

日本視覚学会 http://www.visionsociety.jp/

芸術科学会 http://art-science.org/

医用画像情報学会 http://www.mii-sci.jp/

進化経済学会 http://www.jafee.org/diary.cgi

言語処理学会 http://www.anlp.jp/

日本心理学会 http://www.psych.or.jp/

日本言語学会 http://www3.nacos.com/lsj/