平成31年1月23日 有明海・八代海等総合調査評価委 …8l容器 殻長 93.9 ±10.0 mm...

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*環境省「有明海・八代海等再生評価支援(有明海二枚貝類の減少要因解明等調査)」 での検討内容(H25~H30) を基に作成 資料4-1 平成31年1月23日 有明海・八代海等総合調査評価委員会 水産資源再生方策検討作業小委員会(第2回) 海域環境再生方策検討作業小委員会(第2回) 有明海における有用二枚貝減少 要因解明に関する取組について 国立研究開発法人水産研究・教育機構 西海区水産研究所

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*環境省「有明海・八代海等再生評価支援(有明海二枚貝類の減少要因解明等調査)」 での検討内容(H25~H30)を基に作成

資料4-1

平成31年1月23日有明海・八代海等総合調査評価委員会

水産資源再生方策検討作業小委員会(第2回)海域環境再生方策検討作業小委員会(第2回)

有明海における有用二枚貝減少要因解明に関する取組について

国立研究開発法人水産研究・教育機構西海区水産研究所

主な検討事項

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

2)浮遊幼生期及び着底後の貧酸素水塊の影響

①稚貝・1歳貝・2歳貝への貧酸素影響

②浮遊幼生への貧酸素影響

母貝生息域

放精・放卵(体外受精)

浮遊幼生へ移行 浮遊期は10日~1ヶ月成長しながら広域に拡散

好適な底質環境で着底する漁獲・立ち枯れへい死

漁場・干潟域

有明海・八代海におけるこれまでの調査研究対象

二枚貝は生活史の一部で浮遊期という広域拡散ステージを有している

⇒浮遊幼生は受動的拡散でのみ海域間を移動するため、局所的な視点で資源再生を行うことは困難

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

<サルボウ浮遊幼生の分布>有明海奥部西側に安定して多くが分布

<タイラギ浮遊幼生の分布>有明海奥部の出現は少なく不安定南部海域で出現を確認緑川河口干潟沖合でH27年に多数出現

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

有明海における浮遊幼生調査結果(平成25~27年度)

浮遊幼生シミュレーション粒子分布(中部海域

から放出)

一週間後 2週間後 3週間後

4週間後 5週間後

1週間後には 北部海域へ到達

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

一週間後 2週間後 3週間後

4週間後 5週間後

2~3週間後は中部海域放出の場合と比べて北部海域への粒子到達数が少ない

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

浮遊幼生シミュレーション粒子分布(北部海域

から放出)

タイラギは浮遊期間が1ヶ月と他の二枚貝よりも2倍ほど長く、浮遊範囲は有明海全域に及ぶ

湾奥の主要漁場から放出された幼生の多くは、エスチュアリー循環流と反時計回りの残差流により、多くが南部海域あるいは湾外へ移流するとされている

湾奥のタイラギ資源再生のためには、中南部にも親貝資源を残して湾全体で幼生ネットワークが切れないよう配慮が重要

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

● 三会

● 大牟田●

野崎干潟

沖神瀬西●

● 燗場島

1)母貝生息適地及び浮遊幼生の移動ルートの解明に係る検討

タイラギ移植実験による母貝生息適地の検討(平成29年度~)

・小型捕食者の影響評価

・北部海域と中南部海域の比較検討

保護ステンケージ(15mm網目)

低保護ステンケージ(150mm網目)

人工種苗を使用

<実験方法と条件>

O2 12107.552.50

N2 100 97.5 95 92.5 90 88混合割合 (%)

エアレーション

2L 容器

8L 容器

殻長93.9 ± 10.0 mm

殻長146.5 ± 11.8 mm

5 個体

10 個体

殻長24.3 ± 1.9 mm

10 個体

稚貝

1歳貝

2歳貝

曝露期間 :4日間 1日1回 水替え( AM 9:00 )

観察項目 ・溶存酸素濃度 ・タイラギの生死

※ 3時間ごとの観測

( 有明海7~9月の底層水温 )

水温25℃

2)浮遊幼生期及び着底後の貧酸素水塊の影響

①稚貝,1歳貝 および 2歳貝への貧酸素影響

稚貝,1歳貝 および 2歳貝 における生存曲線の比較

0

50

100

0 12 24 36 48 60 72 84 96

稚貝稚貝

0

50

100

0 12 24 36 48 60 72 84 96

歳貝

歳貝

歳貝

歳貝

0

50

100

0 12 24 36 48 60 72 84 96時間 ( h )

生残

率(

%)

生残

率(

%)

生残

率(

%)

4 mg /L 区

3 mg /L 区

2 mg /L 区

1 mg /L 区

7 mg /L 区

0 mg /L 区

3.5 mg /L 区

10

2①稚貝,1歳貝 および 2歳貝への貧酸素影響

50 %以下の生残率となる 曝露時間 と 曝露DO との関係

0

1

2

3

5

4

7D

O(

mg

/L)

0 12 24 36 48 60 72 84 96曝露時間 ( h )

6

稚貝

2 歳貝

1歳貝西部 0.6 - 2.9 mg /L , 1. 1-15. 6 日間 継続

(徳永ほか,2009)

夏季の貧酸素水塊形成時の底層DO (タイラギ漁場付近)

東部 2.5 - 3.0 mg /L , 1-4日間 継続

(杉野ほか,2009)

稚貝

2 歳貝

1歳貝

11

2①稚貝,1歳貝 および 2歳貝への貧酸素影響

12

2)浮遊幼生期及び着底後の貧酸素水塊の影響②浮遊幼生への貧酸素影響

<実験方法と条件>

タイラギ浮遊幼生への貧酸素影響の評価手法

13

②浮遊幼生への貧酸素影響

生存個体 異常個体 死亡個体

24時間 貧酸素曝露後 ( 暫定結果 )

有酸素状態に戻して24時間後 ( 確定結果 )

0

20

40

60

80

100

割合

(%

16 %

75 %91 % 92 % 100 % 100 %60 %

25 %8.3 % 7.4 %

24 %

0.2 0.7 1.6 2.6 3.6 7.1

溶存酸素濃度( mg /L )

0

20

40

60

80

100

100 %100 %100 %100 %95.8 %

24 %

20 %

56 %

4.2 %

割合

(%

14

②浮遊幼生への貧酸素影響

タイラギの再生産に貧酸素が与える影響の評価

貧酸素

幼生卵

稚貝

1歳貝 (未成熟)

2歳貝(成熟)

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