第51回日本糖尿病学会年次学術集会において … 7...
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2008
7 第51回日本糖尿病学会年次学術集会において 「SMART SMBG」をテーマにイブニングセミナーを共催
日本における糖尿病診療ガイドラインでは、
多くの2型糖尿病においてSMBGは血糖コ
ントロールの改善と患者教育に有用であると
されています。しかしエビデンスに乏しいのが
現状です。またADA(Standards Of Medical
Care in Diabetes)においても、インスリン強
化療法が有用であった試験においてSMBG
が治療法で必須なものとして使用されてい
たとされていますが、SMBGそのものが有効とは書かれていま
せん。SMBGの有用性はまだ曖昧な点があるにもかかわらず、
ガイドラインや保険診療が先行しているために、漫然と患者に
導入してはいないでしょうか? 医療費削減で有用性が厳しく問
われる中、SMBGの保険診療が永遠に続くとは限りません。有
効活用できているか、医療者側が見直す段階に来ていると指
摘されました。
先生は、SMBGを有効活用するには、患者が3つのステージ(ABC)
を踏むことが必要であるとされました。
Awareness(A)=インスリンや食事によって自身の血糖値
がどうなっていのるかを認識し、
Behavior(B)=気付きによって行動を変え、
Control(C)=糖尿病を抱えている人生そのものをコントロー
ルすること。
血糖値を見て「今日は血糖値が高かった、明日はよくしよう」と
いう感想文で終わらせないためには、この3つのステージを順番
につなげていくこと、それを医療者がサポートすることが重要で
あると述べられました。
そこで上記のABCモデルをサポートするツールを開発するために、
患者、医師、看護師を対象にSMBGに対する意識調査を実施
しました。まずは、近畿地区の糖尿病専門医11名と同施設
DMチームの看護師及び臨床検査技師11名、患者4名にヒア
リングを実施。その結果を元にアンケート調査票を作成し、全
国の糖尿病専門医50名、糖尿病療養指導に携わる看護師
50名、現在もしくは過去SMBG使用患者80名を対象にオンラ
イン調査を行いました。以下は先生のご報告の抜粋です。
まず、医師が患者に血糖自己測定器の導入を勧める際に説明
しているメリットで過半数を超えた項目が、
①自分の血糖値を知り、望ましい範囲に保つことができる
②高血糖・低血糖の原因を考え自身で対策が取れる
③食事の量・調整ができるようになる
④糖尿病治療のやる気、自己管理する自信がつく
というものでした。一方で、
①医師の治療方針が理解できる
②主治医と血糖測定の結果について話ができる
③主治医以外のスタッフと相談できる
の項目を選択した医師は少なく、自己管理道具としての説明が
主で、治療コミュニケーションツールとしての説明が少ないとい
う傾向が見られました。
石井 均 先生
座長: 伊藤 裕先生 (慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科) 演者: 石井 均先生 (天理よろづ相談所病院内分泌内科) 演題: SMART SMBG ─ Self Monitoring of blood glucose Attitude Research for Tomorrow ─ SMBGの導入及び継続時の心理的障壁に感する調査報告
医療者に対して SMBGの有用性の見直しを提起
SMBGを有効活用するために -血糖自己測定のABC(ABC Model of SMBG)-
患者、医師、看護師を対象とした SMBGの意識調査から見えてきた実態
©J&J KK 2008
発行 販売名:ワンタッチウルトラビュー 承認番号:22000BZX00192000 製造販売元:
メディカル カンパニー ライフスキャン事業部
次に、血糖自己測定器(または血糖自己測定器による血糖値デー
タ)をどのように活用しているか医師に尋ねたところ、40%以上
の医師がチェックした項目は、
①インスリン種類・量の調整
②低血糖対策の指導
③治療方針の確認
でした。患者と今後の治療方針を話すコミュニケーションツール
としての活用は少ないという結果でした。一方、看護師において
は逆で、最も多かったのは患者と測定結果を話すコミュニケーショ
ンツールとしての活用でした。5分診療と言われる中で、医師が
患者に確認できるのは自己管理ノートの高血糖、低血糖の2、3
ポイントが限界であり、フォローが足りていないのが現状です。そ
こを埋めているのが看護師であり、CDEが在籍している施設は
CDEによる貢献が大きいようでした。SMBGの導入決定は医師
が行い、手技や指導、相談等のフォローは看護師という実態が
見えてきました。
また、医師・看護師に、血糖自己測定器の導入を勧めた際に
患者がどのような点を心配しているか質問をしたところ、80%
以上の医療者が、
①測定時(採血時)に自分で針を刺すのが怖い
②操作・手技の心配をする患者が多い
と答えた一方で、実際に操作方法が難しいと思う患者の割合
は10%以下と低く、患者が最も心配している(70%以上)のは
外出先(人前)で測定したくないという項目でした。医療者側と
患者側で心配項目にずれがあり、医療者側は目の前の患者行
動に着眼しがちで、患者の生活面までは目が行き届いていない
ことがうかがえます。
最後に、医師に患者がSMBGをやめる理由を尋ねたところ、
①コストが高い
②面倒くさい
③治療意欲が低い
という回答が多かったのですが、SMBGを過去使用していた患
者に同様の質問をしたところ、「コストが高い」は医師と同様の
傾向が見られましたが、
①血糖値、コントロールが良くなった
②測定しても数値が変わらない
等の回答が多かった点は意外でした。血糖値が悪いから
SMBGをやめてしまうのだろうと推測していましたが、コントロー
ルが改善、もしくは変わらない患者に1日3回の測定を指導し続
ける医療者側にも問題があると思われます。血糖コントロール
が改善すれば1日1回の測定に減らすなど臨機応変に対応す
べきでしょう。本調査では2型糖尿病患者がSMBGを中断する
時期は、開始から6ヶ月以内が最も多かったので、その時期に
いかにSMBG継続のモチベーションを高められるかがキーであ
ると思われます。
冒頭に述べたAwarenessからBehaviorへとつなぐものは、教
育でありフォローアップであり、療養指導です。SMBGの正確
性云々だけでなく、SMBGを1人1人の患者と共に有効に活用
していくことが重要です。SMBG導入時だけでなく、継続時のフォ
ローも厚くし、治療のコミュニケーションツールとして有効活用
されることを期待したい、という言葉で最後を締められました。
2008.7
最後に
展示ブースでのご来場者アンケート結果
指先以外からの採血が容易
データマネジメント機能
ユニバーサルデザイン性
担当者の訪問頻度
測定時間が短い
測定器の使い方が簡単
検体量が少ない
精度
感染面での安全性
0 10 20 30 40 50 60. 70 80 90 100%
当日は当社の展示ブースにお越し頂いた医療従事者の皆さまにアン
ケートをお願いし、以下のような結果を得ました。
血糖自己測定器を選ぶ際の重要なポイントを質問したところ、9割以
上の方が「測定器の使い方が簡単」を選び、次いで、「測定時間が短
い」、「検体量が少ない」、「精度」でした。さらに、血糖測定において、
患者さんからの問合せの多い項目を質問したところ半数以上の方が
「エラー表示」と「手技に関
して」という項目をあげられ、
問合せの多くがこの2項目
に集中している結果になり
ました。
また、当日は新製品「ワンタッ
チウルトラビューª」を初展
示し、ご評価を伺ったところ、回答者の97%の方から「とても良い」もし
くは「良い」との好評価を頂きました。特に、その特長である「カラー画面」
は87%、「日本語表示」は78%、「ヘルプ機能」は62%の方から、良い
とのご評価を頂き、「非常に使いやすくなった」、「手技を伝えるのが困
難な方に良い」とのコメントを頂きました。そして今後のご希望を伺っ
たところ、5人中3人以上の方から「ぜひ使っていきたい」、「前向きに
検討したい」とのご回答を頂きました。
今回の結果を活かし、少しでも、医療従事者の方が指導しやすく、患
者さんに使いやすい血糖自己測定器を目指して、引き続き開発を進
めて参ります。
5.0
9.0
11.1
19.8
23.8
47.3
47.3
54.5
90.6
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