8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな...

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1 2017 12 4 報道関係各位 一般社団法人日本能率協会 ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く 第 8 回「ビジネスパーソン 1000 人調査」【働き方改革編】 「働き方改革」を実感していない、8割超 理由は「有休 取りにくい」「給料格差 なくならない」「残業 減らない」 ~労働時間削減と並行して、「女性活躍支援」「生産性向上」など積極的な施策が重要~ 一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村正己)は、2013年より全国のビジネスパーソン1000に対し、職場や仕事に対する考えについて意識調査を行っています。この調査は、働く人びとに焦点を当 て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。 今回は、政府が最重要課題の1つと位置づける「働き方改革」についてとりあげました。 トピックス 1. 「働き方改革」と聞いてイメージすること、男女とも「有休取得」「残業減」が 2 トップに。次いで、 「育児と仕事の両立」「女性活躍」「生産性向上」が上位に。 2. 「働き方改革」を実感していない人、8 割超。実感していない理由は、上位から「有休 取りにくい」 「給料格差 なくならない」「残業 減らない」。対して、「働き方改革」を実感している人の理由は、 上位から「残業 減った」「有休 取りやすくなった」「女性活用 進んだ」。 3. 「働き方改革」に向け、今後職場に望むこと、男女とも「有休取得」がトップに。2 位以下は、男性 「長時間労働の是正」「管理者の意識改革」、女性「非正規社員から正社員への登用」「週休 3 日制の導入」。 ※調査概要、結果の詳細は次ページ以降をご覧ください。 調査概要 調査名称 8回「ビジネスパーソン1000人調査 」【働き方改革編】 調査期間 2017927日~201710610日間 調査対象 (株)日本能率協会総合研究所「JMAR リサーチモニター」のうち全国の 20 歳~69 歳までの正規・ 非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員。ただ しパート・アルバイト、医師・弁護士などの専門職業、自由業を除く) 調査方法 インターネット調査 回答数 1,000 属 性 性別:男性 555 人、女性 445 年代:20 156 人、30 243 人、40 240 人、50 209 人、60 152 雇用形態:男性(正規 444 人、非正規 111 人)女性(正規 194 人、非正規 251 人) 勤務先従業員数: 5,000 人以上 170 人、 1,0005,000 人未満 154 人、 3001,000 人未満 166 人、100300 人未満 182 人、100 人未満 328 ※回答は%表記とし、小数点第 2 位を四捨五入 【本件に関するお問い合せ】 一般社団法人日本能率協会 KAIKA センター JMA 広報室(担当:斎藤) TEL03-3434-8620FAX03-3433-0269Email[email protected] 100-0003 東京都千代田区一ツ橋 1-2-2 住友商事竹橋ビル 14 本ニュースリリースは、12月4日・14 時 00 分に、 厚生労働記者会・労政記者クラブ・東商記者クラブに 配布しております。

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Page 1: 8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな …・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

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2017年 12月 4日 報道関係各位

一般社団法人日本能率協会

ビジネスパーソンの“今”をデータで読み解く

第 8 回「ビジネスパーソン 1000 人調査」【働き方改革編】

「働き方改革」を実感していない、8割超 理由は「有休 取りにくい」「給料格差 なくならない」「残業 減らない」

~労働時間削減と並行して、「女性活躍支援」「生産性向上」など積極的な施策が重要~

一般社団法人日本能率協会(JMA、会長:中村正己)は、2013年より全国のビジネスパーソン1000人

に対し、職場や仕事に対する考えについて意識調査を行っています。この調査は、働く人びとに焦点を当

て、その時々の旬の話題をデータで紹介するシリーズです。

今回は、政府が最重要課題の1つと位置づける「働き方改革」についてとりあげました。

トピックス

1. 「働き方改革」と聞いてイメージすること、男女とも「有休取得」「残業減」が 2 トップに。次いで、

「育児と仕事の両立」「女性活躍」「生産性向上」が上位に。

2. 「働き方改革」を実感していない人、8 割超。実感していない理由は、上位から「有休 取りにくい」

「給料格差 なくならない」「残業 減らない」。対して、「働き方改革」を実感している人の理由は、

上位から「残業 減った」「有休 取りやすくなった」「女性活用 進んだ」。

3. 「働き方改革」に向け、今後職場に望むこと、男女とも「有休取得」がトップに。2 位以下は、男性

「長時間労働の是正」「管理者の意識改革」、女性「非正規社員から正社員への登用」「週休 3

日制の導入」。

※調査概要、結果の詳細は次ページ以降をご覧ください。

調査概要 調査名称 第8回「ビジネスパーソン1000人調査 」【働き方改革編】

調査期間 2017年9月27日~2017年10月6日 10日間

調査対象 (株)日本能率協会総合研究所「JMAR リサーチモニター」のうち全国の 20歳~69歳までの正規・

非正規雇用の就業者(企業や団体で働く正社員、役員、経営者、契約・嘱託社員、派遣社員。ただ

しパート・アルバイト、医師・弁護士などの専門職業、自由業を除く)

調査方法 インターネット調査 回答数 1,000人

属 性 性別:男性 555人、女性 445人

年代:20代 156人、30代 243人、40代 240人、50代 209人、60代 152人

雇用形態:男性(正規 444人、非正規 111人)女性(正規 194人、非正規 251人)

勤務先従業員数:5,000人以上 170人、1,000~5,000人未満 154人、300~1,000人未満 166

人、100~300人未満 182人、100人未満 328人

※回答は%表記とし、小数点第 2位を四捨五入

【本件に関するお問い合せ】

一般社団法人日本能率協会 KAIKA センター JMA広報室(担当:斎藤)

TEL:03-3434-8620/FAX:03-3433-0269/Email:[email protected]

〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋 1-2-2 住友商事竹橋ビル 14階

本ニュースリリースは、12月4日・14時 00分に、 厚生労働記者会・労政記者クラブ・東商記者クラブに

配布しております。

Page 2: 8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな …・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

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調査結果

1. 「働き方改革」と聞いてイメージすること、男女とも「有休取得」「残業減」が 2 トップに。次いで、

「育児と仕事の両立」「女性活躍」「生産性向上」が上位に。

・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

が最も多く、次いで「残業が減る」(36.0%)となり、それぞれ4割近くに達しました。

・3位以下については、男女で差がみられました。男性では、3位「生産性が向上する」(28.8%)、4位「育児

と仕事が両立できる」(25.9%)、5位「フレックスタイム制が導入される」(22.9%)となりました。

・女性では、3位「女性が職場で活躍する」(32.4%)、4位「育児と仕事が両立できる」(31.9%)、5位「フレ

ックスタイム制が導入される」「テレワーク・在宅勤務が導入される」(ともに 26.1%)となりました。

図表 1 「働き方改革」と聞いてイメージすることは何ですか。(複数回答)

37.6

36.0

28.6

27.0

25.1

24.3

22.0

18.4

17.6

17.0

16.8

15.8

13.6

13.5

10.6

6.3

13.8

37.3

37.7

25.9

22.7

28.8

22.9

18.7

16.6

13.9

19.5

16.4

15.1

15.7

14.2

10.3

5.4

13.7

38.0

33.9

31.9

32.4

20.4

26.1

26.1

20.7

22.2

13.9

17.3

16.6

11.0

12.6

11.0

7.4

13.9

0% 10% 20% 30% 40%

有給休暇が取りやすくなる

残業が減る

育児と仕事が両立できる

女性が職場で活躍する

生産性が向上する

フレックスタイム制が導入される

テレワーク・在宅勤務が導入される

シニアが職場で活躍する

介護と仕事が両立できる

労働時間より成果で賃金が決まる

週休3日制が導入される

副業・兼業がしやすくなる

IT化が進む

同一労働同一賃金になる

転職がしやすくなる

外国人が職場で活躍する

「働き方改革」の意味がよく分からない

全体(n=1000)

男性(n=555)

女性(n=445)

Page 3: 8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな …・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

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2. 「働き方改革」を実感していない人、8 割超。実感していない理由は、上位から「有休 取りにくい」

「給料格差 なくならない」「残業 減らない」。対して、「働き方改革」を実感している人の理由は、

上位から「残業 減った」「有休 取りやすくなった」「女性活用 進んだ」。

・働き方改革を実感しているかどうかを聞いたところ、全体では「あまり実感していない」が 41.5%、「ま

ったく実感していない」が 39.2%となり、働き方改革を実感していない人は、8割を超えました。

・性別でみると、男性より女性、年代別でみると 40代、50代、雇用形態別でみると、正規職員より非正

規職員の方が、働き方改革を実感していないことがわかります。

図表 2 職場での「働き方改革」を実感していますか。(単一回答)※「働き方改革」の意味がよく分からないと回答した人除く

・働き方改革を実感していない理由を聞いたところ、全体では、1位「有給休暇が取りにくいから」(28.2%)、

2位「正社員と非正規社員の給料の格差がなくならないから」(26.6%)、3位「残業が減らないから」

(24.1%)でした。

・男女別でみると、男性では、1位「残業が減らないから」(29.8%/女性より 12.2ポイント高)、2位「有

給休暇が取りにくいから」(28.2%)、3位「生産性が向上しないから」(27.4%/女性より 12.3ポイント

高)となりました。

・女性では、1位「正社員と非正規社員の給料の格差がなくならないから」(37.7%/男性より 20.8ポイン

ト高)で 4割近くに達しました。次いで2位「有給休暇が取りにくいから」(28.1%)、3位「管理者が

働き方改革に積極的ではないから」(19.4%)となりました。

図表 3 職場での「働き方改革」を実感していない理由は何ですか。(複数回答/上位 10項目を抜粋)

3.4

3.8

2.9

6.5

2.8

3.5

1.2

3.8

3.9

2.3

15.9

18.6

12.5

13.7

19.4

12.4

16.2

17.6

18.3

11.4

41.5

41.3

41.8

46.8

39.2

37.1

41.0

47.3

39.4

45.5

39.2

36.3

42.8

33.1

38.7

47.0

41.6

31.3

38.4

40.8

0% 25% 50% 75% 100%

全体(n=862)

男性(n=479)

女性(n=383)

20代(n=139)

30代(n=217)

40代(n=202)

50代(n=173)

60代(n=131)

正規職員(n=563)

非正規職員(n=299)

とても実感している やや実感している あまり実感していない まったく実感していない

28.2

26.6

24.1

21.7

19.0

19.0

18.7

15.9

15.4

12.9

28.2

16.9

29.8

27.4

21.0

18.5

18.3

16.7

17.2

12.9

28.1

37.7

17.6

15.1

16.7

19.4

19.1

15.1

13.3

13.0

0% 20% 40%

有給休暇が取りにくいから

正社員と非正規社員の給料の …

残業が減らないから

生産性が向上しないから

経営者が「働き方改革」に …

管理者が「働き方改革」に …

週休3日制が導入されていないから

フレックスタイム制が導入されていないから

長時間働いている人ほど評価されるから

テレワーク・在宅勤務が …

全体(n=696)

男性(n=372)

女性(n=324)

有給休暇が取りにくいから

正社員と非正規社員の給料の格差がなくならないから

残業が減らないから

生産性が向上しないから

経営者が「働き方改革」に積極的ではないから

管理者が「働き方改革」に積極的ではないから

週休 3日制が導入されていないから

フレックスタイム制が導入されていないから

長時間働いている人ほど評価されるから

テレワーク・在宅勤務が導入されていないから

Page 4: 8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな …・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

4

・一方、「働き方改革」を実感している人に理由を聞いたところ、全体では、1位「残業が減った」(38.0%)、

2位「有給休暇が取りやすくなった」(31.9%)、3位「女性活躍が進んだ」(24.1%)でした。

・特に男性では、4割を超える人が「残業が減った」と回答しています。「残業減」と「有休取得」は男女

ともに働き方改革を実感する大きな要因と言えます。

・男女別にみると、男性では、3位「女性活用が進んだ」「生産性が向上した」(ともに 23.4%)、女性では、

3位「女性活用が進んだ」(25.4%)、4位「育児と仕事の両立支援が強化された」(20.3%)が続きます。

男性では3位につけた「生産性向上」は女性では 5.1%にとどまっています。

・上位 5項目は、順位は違いますが、働き方改革のイメージの回答とほぼ重なっており、イメージと現実

がつながっています。

図表 4 職場での「働き方改革」を実感している理由は何ですか。(複数回答/上位 10項目を抜粋)

3. 「働き方改革」に向け、今後職場に望むこと、男女とも「有休」がトップに。2 位以下は、男性「長

時間労働の是正」「管理者の意識改革」、女性「非正規社員から正社員への登用」「週休 3 日制

の導入」。

・「働き方改革」に向け、今後どのようなことに重点をおいてほしいか聞いたところ、全体では、1位「有

給休暇取得の推奨」(33.0%)、2位「長時間労働の是正」(26.9%)、3位「管理者の意識改革」(20.0%)

でした。

・男女別にみると、男性では、2位「長時間労働の是正」(33.9%/女性より 15.7ポイント高)、3位「管

理者の意識改革」(22.9%/女性より 6.5ポイント高)でした。

・女性では、2位「非正規社員から正社員への登用」(26.3%/男性より 11.5ポイント高)、3位「週休 3

日制の導入」(20.2%)でした。

・週休 3日に関しては、男女とも約 2割が望んでいることが分かりました。

※図表は次ページに掲載

38.0

31.9

24.1

16.9

16.9

15.7

13.3

12.7

12.7

11.4

42.1

29.9

23.4

15.0

23.4

19.6

15.0

15.0

14.0

15.9

30.5

35.6

25.4

20.3

5.1

8.5

10.2

8.5

10.2

3.4

0% 25% 50%

残業が減った

有給休暇が取りやすくなった

女性活用が進んだ

育児と仕事が両立支援が …

生産性が向上した

正社員と非正規社員の …

労働時間より成果で …

フレックスタイム制が導入された

シニア活用が進んだ

IT化が進んだ

全体(n=166)

男性(n=107)

女性(n=59)

残業が減った

有給休暇が取りやすくなった

女性活用が進んだ

育児と仕事の両立支援が強化された

生産性が向上した

正社員と非正規社員の給料の格差が減った

労働時間より成果で評価されるようになった

フレックスタイム制が導入された

シニア活用が進んだ

IT化が進んだ

Page 5: 8回「ビジネスパーソン 1000 「働き方改革」を実感していな …・「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、全体では「有給休暇が取りやすくなる」(37.6%)

5

図表 5 「働き方改革」に向け、あなたの職場では、今後どのようなことに重点をおいてほしいですか。

(あてはまるもの 5 つまで選択)

結果を受けてコメント(一般社団法人日本能率協会 理事・KAIKA センター長 曽根原 幹人)

<「有休取得」「残業減」が働き方改革の実感を左右する要因に>

今回の調査では、8割以上の人が「働き方改革」を実感していないことが分かりました。その要因として、

男女とも「有休が取れない」「残業が減らない」など、労働時間に関する項目をあげています。小会が本調査

とは別に日本企業経営者を対象に行った「経営課題調査」では、約 8 割の企業が残業削減、休暇取得の推進

に着手しており、労働時間に関しては、今後より実感は広まってくるものと思われます。

ただし、女性の4割近くが「正社員と非正規社員の給料の格差」を感じており、労働時間削減だけでは問

題が解決しないことが推察できます。

<次のステップは、「管理者の意識改革」と「女性活躍支援」「生産性向上」など積極的な施策を>

有休取得・残業削減を機械的に推奨することは、かくれ残業や休日出勤の温床となりかねません。並行し

て、仕事の原理原則に立ち返り、不要な仕事をやめてより付加価値の高い仕事へシフトすること、人に仕事

を当てはめるのではなく仕事に人を当て、仕事に応じた評価や処遇を行うこと、時間や場所の制約を極限ま

で減らす職場環境づくりなど、より積極的な施策が重要と考えます。また、管理者の意識改革により、育児・

介護などさまざまな環境に応じた中で、実力を発揮してもらえるマネジメントを行うことも必要です。こう

した取り組みが結果として、「女性活躍」「生産性向上」につながり、本来の意味で「働き方改革」が実現す

ると言えます。 以上

33.0

26.9

20.0

19.9

19.9

19.6

18.8

17.0

14.2

11.0

10.3

9.4

9.2

7.6

4.8

2.0

3.5

34.2

33.9

22.9

19.6

14.8

20.9

21.6

19.5

14.1

8.3

10.1

6.7

9.5

4.3

6.1

2.0

2.7

31.5

18.2

16.4

20.2

26.3

18.0

15.3

13.9

14.4

14.4

10.6

12.8

8.8

11.7

3.1

2.0

4.5

0% 20% 40%

有給休暇取得の推奨

長時間労働の是正

管理者の意識改革

週休3日制の導入

非正規社員から正社員への登用

人事評価制度の見直し

社員の意識改革

経営者の意識改革

フレックスタイム制導入

育児と仕事の両立支援

テレワーク・在宅勤務導入

女性の活用

高齢者の活用

介護と仕事の両立支援

顧客(取引先)への働きかけ

外国人の活用

その他

全体(n=1000)

男性(n=555)

女性(n=445)