下痢性疾患下痢性疾患 細胞侵入性大腸菌(eiec) アメーバ赤痢...

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Page 1: 下痢性疾患下痢性疾患 細胞侵入性大腸菌(EIEC) アメーバ赤痢 EIEC感染症の症状は、典型的な場合は赤痢様で、下痢は粘血便ないし膿粘血便である。軽症の場合には赤痢症状には必ずしも赤痢様の症状は示さない。水

下痢性疾患

細胞侵入性大腸菌(EIEC)

アメーバ赤痢

EIEC感染症の症状は、典型的な場合は赤痢様で、下痢は粘血便ないし膿粘血便である。軽症の場合には赤痢症状には必ずしも赤痢様の症状は示さない。

水様便

粘血便

感染が疑われる病原体と特徴下痢便の症状

細菌性

原虫性

細菌性

ウイルス性

赤痢アメーバ感染症の多くは大腸炎、肝膿瘍とキャリアである。大腸炎の臨床症状としては粘血便、下痢、テネスムスや排便時腹痛などがあげられるが、合併症がない限り発熱はみられない。

腸炎ビブリオ潜伏期間8~24時間。発症までに時間が短いほど重篤であるとされる。突然に上腹部痛、下痢、嘔吐などの胃腸炎症状で発症する。腹痛が著明で、激しい心窩部痛を訴えることが多い。夏季に多発、発症前1日以内に鮮魚介類の摂取。

キャンピロバクター潜伏期間は2~7日。発熱、下痢(排便回数平均9.9回/日)を主とする急性胃腸炎。好中球優位の白血球増加、CRP上昇。鶏肉から高率に検出される。

赤痢潜伏期間は1~5日。全身倦怠感、悪寒を伴う発熱、水様性下痢で発症する。発熱は1~2日程度で解熱し、続いて腹痛、しぶり腹、膿粘血便などの症状が出現する。熱帯、亜熱帯地域への旅行歴、ペットの飼育(サルなど)も問診で確認。2類感染症。

腸管出血性大腸菌(EHEC)EHECによる出血性大腸炎は、血便と激しい腹痛を伴う。激症の場合下痢は鮮血便状である。小児はベロ毒素により溶血性尿毒症症候群(HUS)が続発し、場合によっては死に至ります。3類感染症。

サルモネラ潜伏期間は8~48時間。一般的に胃腸炎症状は重く、発熱も高度で持続する。便は黒緑色。年間を通して本菌による食中毒が発生し、特に夏季に多発。鶏卵関連食品からの感染が多い。菌血症を起こす例もある。

ウエルシュ菌潜伏期間は6~18時間。水様性下痢、腹痛が主症状で発熱や嘔吐は少ない。時期的に夏季のほうが多いが、冬季にも発生し季節の偏りは少ない。大量に作った調理食品を再加熱して食した場合に発生しやすい。

ボルリヌス菌潜伏期間は12~36時間。吐気、嘔吐に始まり急激に特有な神経麻痺症状が発現する。症状の程度は体重当たりの毒素摂取量によって決まる。乳児ボツリヌス症。

コクサッキーウイルス熱性疾患、上気道、髄膜炎、ヘルパンギーナ、手足口病、発疹症、胃腸炎等感染、流行像は多彩。

インフルエンザウイルス高熱、頭痛、腰痛、筋肉痛、関節痛などの全身症状や全身倦怠感などを呈し、その後すぐに鼻汁、咽頭痛、咳などの呼吸器症状があらわれる。また、下痢、腹痛などの消化器症状がみられることもある。

パラインフルエンザウイルス

アデノウイルス主に呼吸器(上気道・下気道)、眼、消化器等の粘膜およびリンパ組織がおかされる。

発熱、喉頭、気管支炎を伴うことが多く、下痢、腹痛などの消化器症状がみられることもある。

細胞侵入性大腸菌

サルモネラ菌

水様便

インフルエンザウイルス

パラインフルエンザウイルス

アデノウイルス

粘血便

Page 2: 下痢性疾患下痢性疾患 細胞侵入性大腸菌(EIEC) アメーバ赤痢 EIEC感染症の症状は、典型的な場合は赤痢様で、下痢は粘血便ないし膿粘血便である。軽症の場合には赤痢症状には必ずしも赤痢様の症状は示さない。水

腸チフス・パラチフス

ブドウ球菌(MRSA含む)

潜伏期間1~2週間。不明熱でまず本症を疑うが、発熱、比較的徐脈、バラ疹などがあれば直ちに細菌検査を実施。白血球減少し好酸球消失、好中球増加、核左方移動等の所見を伴う。第1、第2病週までは血液培養、第2病週以降は便培養で菌が陽性となりやすい。2類感染症。

ノーウォークウイルス、サッポロウイルス

アストロウイルス

汚染された食物や水を摂取してから24~28時間後に発症。嘔気、嘔吐、下痢、差し込むような腹痛。通常2、3日で軽快する。

血便

水様便

米のとぎ汁様便

粘液便

白色便

細菌性

ウイルス性

ウイルス性

悪寒戦慄を伴う38~40℃の間欠熱を伴って10~20行/日に及ぶ頻回の激しい下痢と腹痛、嘔吐をみることが多い。便の性状は剥離脱落した粘膜と膿汁および粘液による薄い緑色の水様便や白色の水様便。術後早期に発症する事が多い。

クロストリジウム デフィシル菌抗生物質の投与(1~2週間)により正常な腸内細菌 が破綻し、菌交代症としてClostridium difficileが増殖します。そして、この菌の産生する外毒素により大腸に黄白色~黄緑色の斑状の偽膜が形成され、引き起こされる大腸炎です。症状は、水様性下痢(時に血性下痢)、腹痛、発熱(38℃以上)、悪心・嘔吐等。便中毒素toxinAの検出は必須。

原因となる抗生物質の投与中止及び輸液、電解質補正を行います。薬剤、特に広域ペニシリンの投与後に出現し、腸管感染症を引き起こす。症状は、頻回の血便と激しい腹痛。

Klebsiella oxytoca

コレラ菌潜伏期間1~5日。激しい水様性下痢と嘔吐、急速に脱水状態に陥る。便は米のとぎ汁様。治療の基本は輸液で抗菌薬は下痢期間短縮の効果がある。海外(東南アジア)感染例が多い。2類感染症。

病原大腸菌(EPEC)EPEC感染症の症状は、サルモネラ症に類似していて、下痢、腹痛、悪心、嘔吐、発熱が主症状である。便性状は、粘液便ないし粘血便を認める。

ロタウイルス冬季に多発します。特に乳幼児に多く発生し、嘔吐及び白色便性下痢を認める。

毒素原性大腸菌(ETEC) ETEC感染症の主症状は下痢で、多くの場合腹痛を伴う。発熱はほとんどの場合認められない。便の性状は、典型的な場合コレラと同じように、米のとぎ汁様であるが、通常は水様便ないし軟便の場合が多い。毒素(エンテロトキシン)の証明。

ロタウイルス

米のとぎ汁様便

写真提供:駿河台日本大学病院 臨床検査部 西山宏幸 先生

感染が疑われる病原体と特徴下痢便の症状