電子の波動性、原子の構造 シュレディンガー方程式...電子の波動性...
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電子の波動性、原子の構造シュレディンガー方程式
原子の構造
水素原子の線スペクトル
シュレディンガー方程式
電子の波動性陰極線が 1879 年に発見され( Crooks )、それが定まった電荷と質量を持つ粒子の流れであることが確かめられて、電子と名づけられた( Thomson, 1897 )。
光は波動性と粒子性の2面性を持つ。電子や陽子の物質粒子線も2面性を持つのではないかという考え方が、ド・ブロイにより提出された( 1923 年)。
hpm
mE
m
h
p
h
22
2
1v
2
1
v ド・ブロイ波長ド・ブロイ波長
と振動数
Davisson-Germer の実験(1927)
電子線を結晶に当て、反射される電子を測定すると(光の場合と同じような)干渉効果が見られ、その波長はド・ブロイ理論に合うことがわかった。
2重スリットの実験
電子の干渉縞・・・電子を1つづつ送っても干渉が起こる。このとき、光の明るさに対応するものは到達する電子の個数である。
放電管に封入した高温の水素ガスの出す光
線スペクトル
その波長 λ には
次のような規則性が見出された
( R は定数)。
他の元素でも線ス
ペクトルが見られる。
なぜこのような規則
性があるのか。
,2,1
,2,1
11122
mmn
m
nmR
ラザフォードの実験
崩壊する放射性元素から放出される α 粒子( He の原子核)を薄い金箔にあて、散乱
される様子を観測・・・大角度(後方)に散乱される α粒子が見られた。
ラザフォードの原子模型
このことからラザフォー
ドは、「原子は、中心に正の電荷を持ちほとんどの質量をになう「原子核」と、それをとりまく電子からなる」という原子模型を提唱した。
トムソン模型
ラザフォード模型
困難
電子は原子核のまわ
りを加速運動をしている。
加速される電子は電
磁波を放出し、エネルギーを失っていき原子核に落ち込むはずであり、原子が安定に存在できない。
ボーアの仮説
ボーアは 1913 年に、量子条件と定常状態
の概念、および電磁波の放出・吸収の規則の仮説を導入して、水素原子の線スペクトルを定量的に説明した。
量子条件
電子の角運動量は
h/(2π)の正の整数倍の値だけをとる( h はプランク定
数)。特定のエネルギーの状態だけが許される。
(質量 mの物体が速さ vで半径 rの円運動をしているときの角運動量の大きさはmvrである。)
離散的エネルギー準位
2v
hnrm
定常状態 許される状態は定常状態であり、加速運動をしているにもかかわらず電磁波を放出しない。
電子が状態間を飛
び移るとそのエネルギー差 En - Emに応じた振動数
の光を放出・吸収する。
h
EE mn
水素原子 水素原子は、 -e の電荷を持つ電子が +e の電荷を
持つ陽子にクーロン引力で束縛されている系である。
質量 mの電子が速度 vで半径 rの円運動を行うために必要な中心力はmv2/rであり、これが静電気力 e2 / 4πε0 r
2で与えられる( ε0 は誘電率)。
しかし、これだけでは r
に制限がなく、エネルギー
も任意の値をとることができる。
r
emvE
2
0
2
4
1
2
1
2
2
0
2
4
1
r
e
r
mv
離散的エネルギー準位
ここでボーアの量子条件
を課せば、電子の円軌道の半径は特定のものだけが許される。(λ = h/mvを用いて上の式を書き変えると 2πr = nλ )
従って、エネルギーも離散的になり、 nを整数として
2v
hnrm
]eV[
1613
8 2222
0
4
n.
nh
meEn
水素ガスが放射する光の波長
水素ガスが放射する光の波長 λ は次の関係で与えられる。
実験的に得られた規則性
と比較すると、 R の値が理論的に求められる。
数値を入れて計算すると、Rの値は実験で見出されたものと一致した。
,2,1
,2,1
11122
mmn
m
nmR
,2,1
,2,1
11
8 222
0
4
mmn
m
nmh
me
EEhc
h mn
運動量 p, エネルギー Eの電子の波動性を表す関数
Etpxh
2
sinh
E
p
h ,
Etpxh
i
e
2
ド・ブロイの関係複素指数関数表示
EtpxiEtpxi
exm
et
i
1
2
221
2
2
2
1p
mE
2
h
この平面波が満たす微分方程式
シュレディンガー方程式
一般に、3次元の世界で、ポテンシャル U(x,y,z)
で表される力を受けて運動している質量 m の粒子に付随する波動 ψ の満たす方程式がシュレディンガーによって見出された(1926年)。
これをシュレディンガー方程式といい、 ψを波動関数という。
),,(
2 2
2
2
2
2
22
zyxUzyxmt
i
定常状態 (エネルギー Eの決まった状態)
波動関数が定常波に、なっている状態。
波動関数は と書くことができて、 fの満たす方程式は、
束縛された粒子の場合、波動関数 fx,y,zは
有限の領域内でのみ大きな値を持ち、
(x2 +y2 +z2)1/2 ∞で急速に 0 になる関数。
),,(),,(),,(2 2
2
2
2
2
22
zyxEzyxzyxUzyxm
ff
),,(),,,( zyxeyzyxt
Ei
f
離散的エネルギー
そのような条件を満たす解が存在するのはエネルギー E が特定の値 E1, E2, E3, … をとるときだけである。
束縛状態のエネル
ギーは離散的である(量子化されている)。
波動関数の解釈
と規格化したとき、
|ψ(x,y,z)|2 は位置(x,y,z) にその粒子1
個を見出す確率である。
1),,(2
dxdydzzyx
不確定性原理 (Heisenberg,1927)
波動性位置と運動量を同時に精度よく決めることができない
運動量 p = h /λの決まった状態は全空間に広がっていて位置は不確定。
逆に位置を局限するには多くの波長の波を重ね合わせなければならない。
位置座標の不定性を Δx, 運動量の不定性を Δp とすると、
Δx ×Δp ~ hという関係が成り立つ。
ハイゼンベルクの思考実験
ハイゼンベルクは、不確定性関係を直感的に説明するものとして、電子の位置を顕微鏡で測定するという思考実験を示した。
電子が静止していたとしても光が当たれば動いて(位置と運動量が不定)しまう。
シュレディンガー方程式による水素原子の記述
球対称なポテンシャル
球座標 (r,q,f) を用いた表示
基底状態の波動関数は rのみの関数 u(r)
そして u(r)=Ne-ar
ボーア模型のエネルギーと一致。
2
0
2
4)(
r
erU
),,(),,(),,(2 2
2
2
2
2
22
zyxEzyxzyxUzyxm
ff
)()()()(1)(
2
2
2
22
rEururUdr
rdu
rmdr
rud
m
2
0
2
4
mea22
0
2
4
32
meE