仮設構造物計画の手引き 第Ⅱ編 各論 第5章...
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仮設構造物計画の手引き
第Ⅱ編 各論
第5章 外部足場計画
㈱ニッソーテクノコーポレーション
榎 孝洋
5.1 適用範囲
5.1 適用範囲 → P.193
■躯体工事,外装工事,設備工事などに使用することを目的として,
建築物の外周に設置する。次の支柱式足場およびこれに関連する附
属金具等に適用。
(イ) 枠組足場
(ロ) 単管足場
(ハ) くさび式足場
(ニ) 張出し足場
5.2 足場に関する法令等
5.2 足場に関する法令等 → P.193
■安全性確保のため、法令および関連規則があり、計画の届出をは
じめとして、危険を防止するための措置および構造等が定められ
ている。
・労働安全衛生法(以下 安衛法)
・安衛法施行令(以下 施行令)
・労働安全衛生規則(以下 安衛則)
・建築基準法・同施行令など
・告示・ガイドライン等の通達
■本書発刊後の2009年4月「手すり先行工法に関するガイドライン」
の改訂、また、同年6月に安衛則の改正が施行。
Q 「手すり先行工法」とは?
Q5-18 手すり先行工法 → P.231
第3 手すり先行工法の定義
1.手すり先行工法による足場の組立て等の基準2.働きやすい安心感のある足場の基準3.足場の点検等
本ガイドラインで示す「手すり先行工法」とは,建設工事において,足場の組立て等の作業を行うに当り,労働者が足場の作業床に乗る前に,別紙に示す「手すり先行工法による足場設置基準」(以下「足場設置基準」という。)に基づいて,当該作業床の端となる箇所に適切な手すりを先行して設置し,最上層の作業床を取り外すときは,当該作業床の端の手すりを残置して行う工法をいう。
5.3 足場計画
5.3 足場計画 → P.195
■足場は,それを作業床として工事のために使用する他に,次の目的のための慣用手段としても使われる。
(イ)通路および躯体間への渡り
(ロ)飛来・落下の危険の防止
(ハ)防音・防塵
・基本計画・平面・立面計画・組立計画
組立工事 工事作業 解体工事
5.3.1 基本計画
5.3.1 基本計画 → P.197
■計画に際しては、建築物の構造の他に、工事敷地、周辺環境はもとより、道路占用の手続きおよび隣地所有者との交渉など、さまざまなことを考慮。
■工事内容、設置スペースおよび外部への危険防止を検討し、足場の設置のために必要な項目の把握。
(1) 敷地
(2) 周辺状況
(3) 建築物の設計図書
5.3.2 足場の種類
5.3.2 足場の種類 → P.197
■原則として本足場を使用し、躯体(外壁)への適合性と作業内容に適した梁間寸法(足場の巾)のもの。
■立地条件から拡幅枠、張出し足場の必要性。
a.枠組足場 b.単管足場 c.くさび式足場
Q 足場上の作業姿勢と必要なスペースは?
Q5-20 作業姿勢と必要スペース → P.233
■作業姿勢と必要寸法の例
・型枠の組立て,解体作業
・鉄筋の組立て作業
・モルタル塗り作業
・タイル張り作業
・吹付け作業
鉄筋の組立作業
5.3.3 平面計画
5.3.3 平面計画 → P.200
1.建物と足場作業床との離隔距離は、原則として300mm以下
2.外壁の工事内容および出隅・入隅部を考慮した足場のスパン長
3.二次機材の計画
・荷受架台
・梁枠・昇降階段・壁つなぎ・外部養生(防護棚,垂直養生)
4.工事用リフト・エレベータ-
5.工区割りと足場の組立工程
Q 拡幅枠の設置基準は?
Q5-1 拡幅枠の設置基準 → P.214
1.拡幅比5/3以下,全層で1回
2.壁つなぎの取付位置
(1)枠組足場:2ケ所
(2)単管足場・くさび式足場:3ケ所
図5.4 拡幅枠の例
Q 持送り枠の設置基準は?
Q5-3 持送り枠の設置基準 → P.216
1.積載荷重:原則2層まで
2.取付位置:支柱と横架材の交点
3.持出し寸法l:梁間寸法のB以下
図5.6 持送り枠の例
Q 離隔距離が300mmを超える場合の安全対策は?
Q5-21 離隔距離が300mmを超える → P.234
■「JIS A 8961 先行形手すり」の解説
1.二段手すりとつま先板を設ける
2.水平ネットを張る(人の墜落、物の落下を防ぐ兼用ネット)
3.持送り枠の設置
Q 足場の隅部(角部)の接続方法は?
Q5-11 足場隅部の接続方法 → P.224
■直交する足場は,不連続な部分を作らない
1.各層ごとに強固に接続
2.開口部には,作業床,手すりなど
図5.12 接続の例
Q 荷受架台の設置基準は?
Q5-6 荷受架台の設置基準 → P.219
■機材の仮置き場所として効果的に設ける
1.設置台数:同一層連続は3台以下(同一スパン内では1台)
2.設置間隔:表5.15
3.取付方法:斜材または吊り材
4.壁つなぎ:側方の脚柱2ケ所
表5.15 設置間隔
Q 梁枠の設置基準は?
Q5-5 梁枠の設置基準 → P.218
1.梁枠の上面は作業床とし,かつ水平対傾構を形成
・高さ3層以下
・巾は4スパン以下
2.梁枠の上方・側方の足場に対する基準
・上方に設ける足場の高さ制限
・側方の足場の必要スパン数
・脚柱の補強と壁つなぎ
3.交差筋かいと大筋かいの制約
Q 階段の設置基準は?
Q5-4 階段の設置基準 → P.217
1.足場の各面に1ケ所以上,または水平距離30m以内ごと
2.設置位置:後踏み側
3.連続設置:2層まで
4.その他
図5.7 階段の設置例(枠組足場)
5.3.4 立面計画
5.3.4 立面計画 → P.201
■平面計画に対する設置地盤などを考慮した立面の計画
(1) 足場の組立て工程
(2) 立面割付け
Q 筋かいの設置基準は?
Q5-7 筋かいの設置基準 → P.220
■枠組足場:不要
■単管足場・くさび式足場
1.大筋かい :後踏み側の構面 表5.16参照
2.梁間筋かい:足場の各妻面
3.水平筋かい:壁つなぎを設けた層の全スパン
表5.16 大筋かいの設置間隔
5.4 設計荷重
5.4 設計荷重 → P.202
■足場に作用する鉛直・水平の2方向の荷重について検討する。
5.4.1 鉛直荷重
■使用する足場機材の自重と積載荷重が同時に作用
(1)機材の重量:表5.4参照
(2)積載荷重 :表5.5~5.8参照
5.4.2 水平荷重
5.4.2 水平荷重 → P.204
(1)偏心荷重:足場の脚柱から突出した機材の重量とそれに関わる積載重量,いわゆる偏心荷重からくるRHが水平力として作用。
(2)風 荷 重:壁つなぎの強度と取付間隔を決めるために重要。風圧
力を求めるための算定式(1)~(4)には、いろいろな係数があります。
(3)そ の 他:地震荷重・照査水平荷重は、壁つなぎに依存するため
不要とされている。
5.5 強度の検討
5.5 強度の検討 → P.206
■足場の構造および高さなどから鉛直荷重が異なり,また,養生部材の充実率などによって水平荷重が異なってくるため,それらの計算を行い個々の機材の強度が許容範囲にあることを確認する。
■本来,鉛直荷重と水平荷重は,同時に作用しているのであるから両者の組み合せで部材の検討をしなければならないのであるが,自重と積載荷重は脚柱で支持し,風荷重などは壁つなぎで支えていると見なし,それぞれ別々に検討すれば良いとされている。
5.5.1 壁つなぎの役割
■足場全体の構造保持 ・・・ 表5.9参照
■水平荷重(風荷重)による倒壊防止
Q 壁つなぎの設置基準は?
Q5-8 壁つなぎの設置基準 → P.221
■「5.5.4 水平荷重に対する検討」の項を参照
■作用する反力は,受風領域でみる
1.反力の値:図5.10参照
2.取付間隔:壁つなぎの許容値以下
3.取付位置:横架材(腕木)至近,かつ出来るだけ直角
5.5.2 各機材の強度
5.5.2 各機材の強度 → P.206
■各機材の単体の強度(許容値)は、表5.10~5.12による。
5.5.3 鉛直荷重に対する検討
■脚柱に作用する荷重の合計は,表5.10の許容支持力以下。これを 超える場合は,
・積載荷重の制限
・脚柱の補強
■足場の総高さの目安は、表5.13による。
表5.13 足場の高さ
Q 足場脚柱(建地,支柱)の補強方法は?
Q5-10 足場脚柱の補強方法 → P.223
■許容支持力を超えた下層に足場用鋼管を添わせる
1.上方の壁つなぎの位置から基部まで
2.単管ジョイントで単列にする
3.前踏み,後踏みの2柱
4.梁枠の場合は,全下層
5.緊結位置は,各層横架材至近の脚柱と脚柱基部
図5.11 補強の例
5.5.4 水平荷重に対する検討
5.5.4 水平荷重に対する検討 → P.209
■足場に作用する風圧力(Pω)は,足場の高さは勿論のことである
が,建築物との相関位置、近接建物など多くのファクターによって
異ってくる。計算した設計荷重に対して,脚柱およびこれを支える
壁つなぎなどの強度が許容範囲にあることを確認する。
■風荷重など負担域をもとに,脚柱および壁つなぎの強度を検討する
(1)脚柱
・枠組足場:曲げモーメントからくる軸力
・単管足場・くさび式足場:曲げ応力と軸力
(2)壁つなぎ
・壁つなぎを支点とし,架構を梁と見做したときの反力
Q 風荷重に対する脚柱の強度算定は?
Q5-17 風荷重に対する脚柱の強度計算 → P.230
■壁つなぎを支点とした,負担領域から「片持梁」または「単純梁」の曲げモーメントにより計算
1.枠組足場:軸力(N)が建枠ジョイントの引張り強度以下
許容引張強度 ≧ 軸力(N)= M/B(梁間寸法)
2.単管足場・くさび式足場:建地鋼管の許容応力( σb)が許容曲げ応力以下
許容曲げ応力 ≧ 許容応力(σb)= M/2×Z(鋼管の断面係数)
5.5.5 脚柱基部の検討
5.5.5 脚柱基部の検討 → P.209
■足場は,水平,かつ,垂直に立地することが原則であり,不同沈下並びに滑動を防止するために,根がらみおよび堅固な支承地盤がもとめられる。特に根がらみは,斜材等から伝達される荷重などを,1本の支柱に集中させることなく,相互に一体連係することによって分散させる,いわゆる持ち合いの効果もある。
(1)根がらみ:直角2方向
(2)設置地盤:水平レベル,突き固め,敷き板など
5.6 計画の届出等
5.6 計画の届出,他 → P.210
5.7 計画の確認
5.8 保守・点検等
5.9 専業者との確認事項
5.10 その他注意事項
Q 保守・点検の方法は?
Q5-24 保守・点検の方法 → P.237
■安衛則第566条(足場の組立て等作業主任者の責務)
・材料の欠点の有無,不良品の除去
■安衛則第567条(点検)
・足場の組立後(一部の解体,変更を含む)
・悪天候
・中震以上の地震
・作業の開始前
・点検結果の保存(工事が終了するまで)
■点検は,使用する機材について知識を有する者
■点検表は,足場の種類に適合したもの