仮設構造物計画の手引き 第Ⅱ編各論...
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仮設構造物計画の手引き第Ⅱ編 各論
第2章 山留め計画
戸田建設 株式会社上長 三千良
2.1.1 適用範囲
■建築工事で行う根切りに伴う山留め工事の調査・計画・設計・施工・計測管理に適用する.
2.1.1 適用範囲 →P.57
【山留め架構の目的】掘削壁面を保護し周囲の土砂の崩壊・流出を防止し,
さらに変状を抑制し,近接既設構造物の安全を確保する.
【適用範囲】・根切り深さ:30m程度まで・山留め工法:オープンカット工法,逆打ち工法・山留め壁:親杭横矢板壁,鋼製矢板壁,ソイルセメント壁,場所打ち鉄筋コンクリート地中壁
・山留め支保工:切梁方式,地盤アンカー方式
※具体的設計手法は, 本会編「山留め設計施工指針」,「建築地盤アンカー設計施工指針・同解説」による.
2.1.2 山留め計画の基本事項
■工事規模・施工条件・敷地条件・地盤条件・地下水状態,周辺環境に適合し,さらに安全かつ経済的な方法で掘削する.
2.1.2 山留め計画の基本事項 →P.57
【計画上特に考慮すべき事項】
(1) 土圧や水圧などの側方荷重に対して安全
(2) ヒービング,盤ぶくれ,ボイリングに対して安全
(3) 周辺の構造物や埋設物などに有害な影響を
与えない
(4) 床付け地盤を乱さず,所定期間内に根切りを
行う
2.1.2 山留め計画の基本事項
2.1.2 山留め計画の基本事項 →P.57
根切り山留め工事:他の仮設工事に比べ,周辺地盤や既設構造
物の沈下や移動などの悪影響のリスクが高い!
その災害や障害の発生⇒
・既設構造物(近接建物,鉄道軌道等)や周辺インフラに多大な損害を発生!
・社会への影響も大きく,社会的信用の失墜につながり易い!
工事を安全かつ円滑に行うには,施工時の管理とともに施工計
画時には,安全性と経済性のバランスを考慮しつつ,慎重かつ
入念な計画立案が重要!
2.1.2 山留め計画の基本事項 →P.58
図2.1 鋼製支保工による山留め架構概念図
切梁
山留め壁
火打梁
切梁支柱
腹起し
2.1.3 山留め工法の種類と選定
■山留め工法の選定では,各工法の特徴を把握し,工事規模,施工条件,敷地条件,地盤・地下水条件ならびに周辺環境に適合した安全かつ経済的な工法を選定する.
2.1.3 山留め工法の種類と選定 →P.60
図2.3 根切り山留め工法の種類と分類
2.1.3 山留め工法の種類と選定
2.1.3 山留め工法の種類と選定 →P.60
①地山自立掘削工法 ②法付けオープンカット工法
2.1.3 山留め工法の種類と選定
2.1.3 山留め工法の種類と選定 →P.61
③山留め壁オープンカット工法
(自立掘削工法)
④山留め壁オープンカット工法
(切梁工法)
2.1.3 山留め工法の種類と選定
2.1.3 山留め工法の種類と選定 →P.61
⑤山留め壁オープンカット工法
(地盤アンカー工法)
⑥アイランド工法
2.1.3 山留め工法の種類と選定
2.1.3 山留め工法の種類と選定 →P.61
⑦トレンチカット工法 ⑧逆打ち工法
2.1.4 山留め壁の種類と選定
■山留め壁は,土水圧などの側方荷重を直接受止め,山留め支保工に伝達させ山留め架構の安定を図る.また,周辺地盤や近接構造物に有害な影響を及ぼす危険性がある場合には,変形抑制を考慮し,十分な強度と剛性のある山留め壁を選定する.
2.1.4 山留め壁の種類と選定 →P.63
図2.5 山留め壁の種類と分類
2.1.4 山留め壁の種類と選定
2.1.4 山留め壁の種類と選定 →P.64
①親杭横矢板壁 ②鋼矢板壁 ③鋼管矢板壁
2.1.4 山留め壁の種類と選定
2.1.4 山留め壁の種類と選定 →P.64
④ソイルセメント壁 ⑤場所打ち鉄筋コンクリート地中壁
2.1.5 山留め支保工の種類と選定
■山留め支保工は,山留め壁に作用する土水圧の側方荷重を安全に支え,周辺地盤や近接構造物に有害な影響を及ぼさないように,山留め壁の変形を適切に抑制できるものを選定する.
2.1.5 山留め支保工の種類と選定 →P.65
図2.7 山留め支保工の種類と分類
2.1.5 山留め支保工の種類と選定
2.1.5 山留め支保工の種類と選定 →P.66
①鋼製切梁工法 ③地盤アンカー工法
2.1.5 山留め支保工の種類と選定
2.1.5 山留め支保工の種類と選定 →P.66
④タイロッドアンカー工法②鉄筋コンクリート製切梁工法
2.2 よくある現象
■山留め工事は不確実な地盤を相手にし,調査事項の相違や施工諸条件の変化などにより,実際の山留めや地盤挙動が計画時の予測と大きく相違することが稀ではない.
2.2 よくある現象 →P.69
そのため,トラブルを最小限に留めるためには,綿密な計画とともに,細心の現場管理を行い,日常の計測管理により比較的小さな現象も見逃さず,迅速かつ適切な対処を
行う必要がある.
2.2 よくある現象
2.2 よくある現象 →P.69
No.1 山留め背面に過剰な上載荷重が作用し,山留め壁に過大変形が発生
No.2 一次根切り時の掘り過ぎにより山留め壁が過大変形
2.2 よくある現象
2.2 よくある現象 →P.69
No.3 親杭横矢板工法で矢板裏込め材の充填不良で背面地盤が沈下
No.6 場所打ち杭や解体部の埋戻し不良により,山留め壁が過大変形
2.2 よくある現象
2.2 よくある現象 →P.70
No.7 ソイルセメント壁の出隅部からの出水
No.10 腹起しの継手位置が悪く強度的な弱点になる
出隅補強の
施工事例
2.2 よくある現象
2.2 よくある現象 →P.70
No.12 地下鉄骨が腹起しや切梁に干渉して納まらない
No.13 腹起しや切梁の高さが悪く柱主筋や壁筋の継手長さが確保できない
2.2 よくある現象
2.2 よくある現象 →P.70,P.71
No.14 山留め壁と躯体間の埋戻し不良による過大変形
No.15 解体手順の間違いによる山留め壁の過大変形
2.2.1 トラブルの原因
(1) 地盤
土層構成の相違,周辺地盤や構造物の沈下,盤ぶくれ,ヒービング 等
(2) 地下水
水位の相違,被圧水の存在,地下水上昇,ボイリング,パイピング 等
(3) 掘削
掘り過ぎ,ソイル面の削り過ぎ,矢板入れ時の地山の削り過ぎ 等
(4) 山留め壁
剛性不足,根入れ不足,止水不良,過大変形,矢板裏込め充填不良
等
(5) 山留め支保工
部材接合部の不良,地盤アンカーの引抜き抵抗力不足,支保工配置ミス,
躯体との干渉,腹起し取合い部の裏込めの施工不良,出隅補強の不備
ブラケットの耐力や溶接部の不良,火打ち材の固定不良による緩み 等
2.2.1 トラブルの原因 →P.72
2.2.2 トラブル例
2.2.2 トラブル例 →P.74
写真2.3 ヒービングの発生 写真2.4 自立山留め壁の傾斜
(根入れ不足)
鋼製矢板の頭部の外倒れ
切梁軸力の低下もしくは抜け
親杭根入れ長さの不足(掘削底の設計変更等)
沈下
盛上った根切り底
2.3 計画と管理面での基本事項
2.3 計画と管理面での基本事項 →P.75
■山留め工事は形態的に性能発注である.仮設構造物のため安全性・経済性の両立が要求され,周辺環境と工事条件に応じたバランスのとれた計画が必要になる.
(1)山留め施工の目的(新築工事用,解体工事用,左記兼用)
(2)山留め壁の構築の可否(敷地条件,施工可能な工法選定)
(3)山留め壁の平面配置(地下室平面配置,形状,構造)
(4)山留め壁の断面と山留め支保工位置(地下室深さ,構造,断面形状)
(5)山留め壁施工による本設杭施工への影響(地盤緩み等)
2.3.1 設計図書の確認
2.3.2 各種事前調査
2.3.2 各種事前調査 →P.76
図2.9 工事内容・与条件の把握(平面)
2.3.2 各種事前調査
2.3.2 各種事前調査 →P.76
図2.10 工事内容・与条件の把握(断面)
2.3.2 各種事前調査
2.3.2 各種事前調査 →P.77
図2.11 地盤調査
2.4 現場員として自分で確認すべき点
2.4 現場員として自分で確認すべき点 →P.82
■山留め工事の調査・計画・設計・施工・計測管理では,総合建設会社の山留め設計および計画担当者,ならびに山留め壁施工,山留め支保工,リース専業者,計測など多くの専門会社の関係者による協同作業が必要である.
しかし,多種の専門会社の協同作業のため,役割分担と責任分担が不明確になりがち!
(1) 計画条件・作業条件
(2) 山留め計算書
(3) 山留め施工計画書・計画図
(4) 変形・軸力の異常値や地盤変状発生時の対処方法
2.4.1 山留め設置前・施工時に確認すべき点
2.4.1 山留め設置前・施工時に確認すべき点
2.4.1 山留め設置前・施工時に確認すべき点 →P.83
図2.12 山留め計画の確認内容(平面)
2.4.1 山留め設置前・施工時に確認すべき点
2.4.1 山留め設置前・施工時に確認すべき点 →P.84
図2.13 山留め計画の確認内容(断面)
2.4.2 山留め壁施工時に確認すべき点 →P.852.4.3 山留め支保工架設時に確認すべき点 →P.86
(1) 施工条件(施工重機,山留め壁の配置)
(2) 山留め壁の種類(壁の仕様,部材,配合)
2.4.2 山留め壁施工時に確認すべき点
2.4.3 山留め支保工架設時に確認すべき点
(1) 施工条件
(2) 山留め支保工の種類
(部材,配置,接合部等の細部,耐力)
2.4.4 山留めの設置・存置期間中に確認すべき点 →P.872.4.5 山留め解体時に確認すべき点 →P.87
2.4.4 山留めの設置・存置期間中に確認すべき点
(1) 維持管理
(2) 計測管理
2.4.5 山留め解体時に確認すべき点
(1) 解体手順と計算条件との整合性
(2) 解体時の躯体強度発現
(3) 敷地内外部の地盤や近接構造物の変状の有無
2.5 専業者に注意(指示・伝達)しておくべき点
2.5 専業者に注意(指示・伝達)しておくべき点 →P.882.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.88
■山留め工事に携わる関連協力会社に対して,総合建設会社の山留め設計担当者や計画担当者が注意しておくべき事項について述べる.
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
(1) 共通事項
(異常時の連絡体制,緊急時の対処方法)
(2) 工事着手前に関わる専業者
(敷地測量:範囲と記載項目)
(地盤調査:土質調査項目,地下水,調査深度)
(土地家屋調査:調査家屋,調査項目)
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.88
(3)山留め壁の施工および山留め支保工の組立て・解体
(山留め壁の施工会社:重機作業,山留め壁の施工,
親杭横矢板・鋼矢板・ソイルセメント・場所打ち鉄筋
コンクリート地中壁に関する事項,周辺環境への配慮)
(山留め支保工の架設会社:水平切梁工法・地盤アンカー
工法の確認と指示)
(山留め支保工部材のリース会社:使用鋼材の仕様,
ボルト種別,棚杭の継手材の可否,継手仕様)
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.88
【注意しておく事項】
①切梁交差部の固定 ②腹起し接合部のボルト
上下共に取付け
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.88
【注意しておく事項】
③切梁・腹起交差部の補強
上部補強例
(見下げた写真)
④切梁・腹起交差部の補強
下部補強例
(見上げた写真)
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.88
【注意しておく事項】
⑤大火打ちのズレ止め補強 ⑥山留め支保工上への
上載制限
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.91
(5)山留め架構の保安および維持管理に関わる専業者
(計測管理の専門会社:測定項目と頻度,
臨時点検の時期,計測データ異常時の連絡体制,
計測機器のメンテナンス方法と時期)
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.91
【現場での計測管理】
⑧手動式傾斜計⑦水平変位の計測
(相対変位)
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点
2.5.2 専業者の各職長や担当者に注意しておくべき点 →P.91
【現場での計測管理】
⑩建物周辺地盤の変状計測⑨切梁軸力の計測
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