聖隷淡路病院 20年の歩みと これから · 1日の新 築移転時に...
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瀬戸内海
聖隷淡路病院
兵庫県
連載企画
聖隷では、幅広い事業分野において質の高い専門サービスを提供すべく、事業部制を採用しており、9つの事業部が存在します。この企画では一つの事業部の「旬」な情報を紹介していきます。
1999年12月1日に国立明石病院岩屋分院から
経営移譲を受けてから20年が経ちました。当初は一
般病床102床で開設し2001年4月に療養病棟
50床を増床して152床となりました。開設から10
年間は岩屋の地で診療を継続しましたが、経営的に
かなり厳しい状況の上、建物の老朽化も進み、10年
以後も同じ場所で診療を続けるかどうか大きな問題
でした。しかし地域住民や多方面からの強い存続要
望を頂き、2014年4月1日より現在の夢舞台で
新築移転した新病院で診療を継続できました。地域
のニーズが強かった産科医療を開始し、CT、
MRIなど医療機器の整備も進め、スタッフも充実
させて着実に実績を積んできました。残念ながら
2019年12月でお産は休止となりましたが、
2020年4月からの整形外科医師の増員を契機に
“新たな出発”をするべく頑張りたいと思います。
国立明石病院岩屋分院時代の院長
聖隷淡路病院 院長 黒くろだ
田 勝かつや
哉
聖隷淡路病院20年の
歩みとこれから
聖隷淡路病院
聖隷淡路病院20年の歩みとこれから
110 85 127 13597 76
患者数(1日平均)の推移(人)
2001年 2014年 2019年療養病棟開設全102→152床に
新病院竣工
入院入院
入院
外来外来
外来
病 床 数 |152 床職 員 数 |190 名診 療 科 | 内科、外科、整形外科、
産婦人科、皮膚科、 リハビリテーション科、 脳神経外科、小児科、 呼吸器内科、循環器内科、 精神科
聖隷精神(隣人愛)を継承し、地域に根ざした医療・福祉に貢献する
病院理念
病院概要2020 年1 月現在
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功労者特別インタビュー国立明石病院岩屋分院時代から長きにわたり当院で活躍している 3名の看護師に、聖隷での 20年間の思い出やご自身の看護観、若手職員に伝えたいことなどを聞きました。
後列左から A さん、B さん、C さん前列中央 沖原由美子前総看護部長
聖隷に変わったからこそ、
できたことを
聞かせてください
B 地域の関係機関との連携が強く
なり私たちも患者さんの生活課題や
退院先を意識して関わることができ
るようになりました。
C 予後告知に看護師が立ち会うな
ど、やり甲斐のある役割が増えまし
た。医師とのコミュニケーションが
取りやすくなったので意見もしっか
り伝えることができます。患者さん
に寄り添っていくには医師との連携
が欠かせません。
聖隷での20年間で
一番印象深かったことは?
A 国立から移譲後、老朽化が進ん
だ1階部分を改修することになり、
20年前、国立から聖隷への
移譲を知った時の感想は?
A 移譲先が、キリスト教の病院と
聞いて、宗教色が強いのかな?新し
い先生方はどんな医療をするのだろ
う?自分に務まるだろうか?期待と
不安の両方でした。
B 民間への移譲は当時の大きな流
れで仕方がないと思いました。
浜松から来た立ち上げの職員さん達
の対応が素晴らしく、不安はなかっ
たです。
C 同じです。当時は国立病院の再
編が盛んに言われていましたから
ね。民間に変わることで提供できる
医療がどう変わるのか不安と緊張は
ありました。
正直、聖隷というブランドはまった
く知りませんでした(笑)。
全職員で機材の大移動をしたことが
良い思い出です。もちろん先生方も
力仕事頑張りましたよ(笑)。
B
私は2014年4月1日の新
築移転時に44名の患者さんと一緒に
新病院に引越しをしたことです。無
事引越しを終えた時は感動しました。
C 私は移譲当時の院長であった長
田先生がお亡くなりになったことで
す。
大変なご苦労の中、聖隷淡路病院の
医療の質を守ってくださった事を今
でも感謝しています。忘年会では自
ら仮装して皆を笑わせてくれるホス
ピタリティ溢れる先生でしたよ(笑)。
患者さんとの関わり方で
心掛けていることは?
A 診察や検査を安心してお受けい
ただけるよう、少しでも不安が軽く
なって帰れるよう心掛けています。
B 常に患者さんの立場に自身を置
き換えて関わるよう心掛けています。
C どのような境遇の患者さんも人
として尊重し、寄り添うよう心掛け
ています。
聞き手/地域連携・退院支援室 鈴木 達也(すずき たつや)
2001 年頃の当院
1999 年 開院式
受付風景|移転前▲ 移転後▼
診察待合風景|移転前▲ 移転後▼
事業部最前線
12SE IREI 2 9 4号
事業部最前線
ズバリ、長くお仕事を
続けていく秘訣は?
A 感謝の気持ちを忘れないことで
す。正直、こんなに長く働かせても
らうなんて思ってもいませんでし
た。多くの仲間に助けてもらい今日
に至っています。
好きな仕事ができて毎日幸せです。
B 働ける間は続けたいという目標
を持って頑張っています。あと、やっ
ぱり協力してくれる仲間を持つこと
ですね。
C つらい時は「自分は患者さんの
ために仕事をしているんだ」と原点に
立ち返って乗り切ってきました。あと
は、いろんな思いはため込まず仲間に
話を聞いてもらうことです。話してみ
て気付くことがたくさんありまし
た。意見をもらい、謙虚に受け入れる
ことが大切だと思います。
最後に
社内報をご覧になっている
若手職員へメッセージを!
A 自分の時間を大切にして好きな
ことで気分転換を。そしてお仕事頑
張ってください!
B 失敗を恐れず何事にも挑戦を!
そして振り返りを忘れずに。医療は
日進月歩、今も若手職員から学ぶこ
とがたくさんあります。共に頑張り
ましょう!
C 周囲の人に耳を傾け、たくさん
お話をしてください。きっと前に進
むためのヒントが得られると思いま
す。自分を大切にして、とにかく元
気で楽しく過ごして欲しいと思いま
す。
1999 年開院当初から隣人愛の精神が聖隷淡路病院に宿され、『患者さんの退院後まで見据える看護』など、患者中心の看護を展開してきました。離島の小さな病院が 20 年のあゆみを経たいま、新人が『患者の命、淡路の宝』と看護の神髄を表現するまでに成長した看護部がここに存在しています。淡路を知り尽くした子
ね年どし
の沖原前総看護部長からバトンを受け、誇り高き聖隷浜松病院で多くを経験した中野総看護部長と、聖隷初の医療療養型病棟開設を手掛けた淡路島生粋の経験豊富な小松看護次長が手を取り合って、淡路らしい産後ケアと新たな地域包括ケアの創造に挑戦します!
国立明石病院岩屋分院より経営移譲を受け聖隷淡路病院が開設された 1999 年 12 月は、淡路島にとってもう一つイベントがありました。明石海峡大橋下部の送水管を通って本土からの水が淡路島に送られる「本土導水」が始まったことです。それまで毎年のように続いていた渇水にも終止符が打たれました。 水が生活に不可欠なように、20 年間で聖隷淡路病院の提供する医療も地域の方々にとって不可欠なものとなりました。今後ともこの地域の生活基盤の一つとしての役割を末永く果たせるよう、職員一同力を合わせて進んでいきたいと思います。
とにかくパワフル!貴重なお話しをありがとうございました
看護管理室の紹介( 左から順に )小松 まゆみ看護次長中野 由美子総看護部長沖原 由美子前総看護部長
淡路島に根差したインフラ施設へ事務長安達 広(あだち ひろし)
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3 階病棟 看護師
リハビリ係 理学療法士
一度休職したとしても看護師は続けたいと思います! 20年後は尊敬している先輩みたいな人になりたいです。自分が新人の頃、看護記録に必死になりすぎていた時“患者さんとたくさん関わってこそ記録が書けるんだよ”と教えてもらいました。気さくでプライベートの話もしてくれるので自分も相談できるのだと思います。そんな人になりたいです。
ICT・AI(ロボット)には出来ないことが担えるスキルを身に付けていきたいです。今は関節など、手で触るリハビリを勉強中です。淡路市はどんどん高齢化が進みます。食事・歩数がデジタル化されるため、データを分析して地域住民へ提案していくことができたら良いと思います。
何を思っているか本心を聞き出すことです。ご家族には、家の話を遠回りして聞きます。直接看護とは無関係でも、そこから生活スタイルが見えてきたりするので。
不安です!でも聖隷で働き続けていたいと思っています。地域医療が好きなので。リハビリ部門の IT 化を推進する役割を担っていたいです。
患者さんとの距離が近く、地元トークをしたり、職員も淡路弁で話が気軽に出来る人が多いところです。
影響はものすごくあります!色々なクエスチョンに対してのアンサーを出す能力がすごいです!職人肌ですね。先輩に仕事のことを相談することでストレス発散になります。
20年後の自分はどうなっていると思いますか?
聖隷であなたがこれから取り組んでいきたいことを聞かせてください
患者さんとの関わりで心がけていることを教えてください。
20年後の自分はどうなっていると思いますか?
当院の特徴を教えてください
先輩からの影響を聞かせてください
Q
Q
Q
Q
Q
Q
事業部最前線
期待の若手に聖隷淡路病院
インタビュー聖隷淡路病院のこれからを担う二人の若手にインタビューしました。将来の病院を引っ張っていく人材です。
聞き手/事務課 小野 美弓(おの みゆみ)
事務長
安あだち
達 広ひろし
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事業部最前線
(2020年4月現在)
2014 年 7 月の産科開設以来 627 件の分娩をお手伝いさせていただきましたが、2019 年12 月をもって分娩取扱いが休止となり、地域の皆様にはご迷惑をおかけいたしました。 聖隷淡路病院は産後ケアを通じて地域の育児支援に携わっていきたいと考えています。最初の一歩は母乳外来の再開です。【育児と育自】に寄り添い、聖隷淡路病院だからこそといわれるような、一人ひとりを大切にするケアを提供できるよう、スタッフの技術向上にも積極的に取り組んでいきます。
今年4月から聖隷淡路病院に勤務となりました整形外科の林範人です。私は元々兵庫県神戸市垂水区で育ち、長田高校を卒業後、岡山県の川崎医科大学へ進学しました。卒業後は整形外科の勤務と川崎医科大学大学院で研究をしていました。淡路島は明石海峡を望む景色が素晴らしく、馴染みのある場所で働けることを嬉しく思っています。地域や淡路島を訪れる人々の健康を支えられるように務めたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
淡路市は高齢化率 36%と全国平均 28%と比べても高く、高齢者単身世帯・高齢者夫婦世帯も増加傾向にあります。当院は、2019 年度から寝たきりの高齢者や、回復が難しい障がい者の方で通院の交通手段がない、送迎者・介助者がいないなど通院が困難な方のご自宅に医師・看護師・セラピスト・薬剤師が訪問し「在宅はもう一つの病室」を掲げて医療を提供しています。淡路地区の在宅・福祉サービス事業部と連携して地域医療に貢献していきます。
現在、わが国の医療環境は大きな変革期を迎えています。この中で、人生 100 年を見据えた医療体制への改革が求められています。これまで医師となり 40 年間、川崎医科大学で整形外科を担当し、特定機能病院での業務を通して“治す医療から支える医療”への充実が求められていることを痛感しています。これまでの経験をもとに冒頭のスローガンを掲げ、聖隷福祉事業団の発展に貢献したいと願っています。
聖隷淡路病院は【育児と育自】に寄り添います ~新しい出発~
地域や淡路島を訪れる人々の健康を支えられるように 聖隷の元気は淡路の元気
住み慣れた地域で安心して暮らせるように
整形外科
産後ケア 在宅診療
聖隷福祉事業団 関西地区医療担当相談役
聖隷淡路病院 特別顧問川崎医科大学名誉教授
長はせがわ
谷川 徹とおる
聖隷淡路病院整形外科 医長
林はやし
範のりと
人
淡路島の産後ケアは私たちにお任せ!
2020年度 3つの柱2020 年度は「新しい出発の年」と位置付けています。聖隷淡路病院の新しい出発を担う方々のコメントです。
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