大阪工業大学電気電子システム工学科研究室紹介大阪工業大学工学部電気電子システム工学科...

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大阪工業大学 工学部 電気電子システム工学科 〒535-8585 大阪市旭区大宮5-16-1 TEL 06-6954-4422 大阪工業大学 電気電子システム工学科 研究室紹介 システムダイナミクス研究室 辻田 勝吉 准教授 生物や人の動きの解析とロボットによる実現 生物や人間は、優れて巧みで知的な振る舞いを します。目標の状態に対して、自己がアクティ ブに環境に触れ、行動することに伴って刻一刻 と変動する環境や置かれた状況をある種の外界 優れて巧みな振る舞いをするシステムを作ろう センサ入力をもとに知覚・認識・照合し、環境や状況に応じ て適切な振る舞いをすぐさま実現するシステムです。本研究 室では、そのような振る舞いのメカニズムを明らかにして、 人間とつながる人工物、人間と共存する機械システムや、人 間ができないことを巧みにこなすロボットなどを開発します。 2019. 04. システム制御研究室 加瀬 教授 システム最適化研究室 重弘 裕二 教授 もしも形の異なる多数の板を、なるべくムダな 隙間が少なくなるように配置しなければならな いとしたら、どうしますか?最適化とは、より 最適な(よりムダの少ない)答を探し出すこと ですが、本研究室では主に、このようなパズルのような問題 を対象に、よりムダの少ない答を探し出す方法について研究 しています。このような技術の応用範囲は広く、フィルタ回 路の設計、道路交通システムの制御、自律エージェント(ロ ボット)の学習等、さまざまな問題に取り組んできています。 形の異なる多数の板を配置する方法を考える ロボティクス研究室 田熊 隆史 准教授 工場で働く、ヒトと一緒に働く、危険なところ を踏破するなど、ロボットは目的に応じて機構 や制御を自在にデザインすることができます。 本研究室では、生物をお手本にしたロボットの 「身体」と、それを賢く制御する「脳・神経系」を設計しま す。具体的には空気圧人工筋肉を搭載したロボットや、柔軟 な関節を持つロボットの試作とその制御を行います。またプ ログラムの知識無しにコンピュータシミュレーション上でロ ボットを作るためのインタフェースの研究も行っています。 柔軟体幹を持つロボット ロボットを自由自在に設計しよう! ムダを減らしてエコに! たとえば、自転車を初めて運転する時は、なか なかうまく乗れないものですが練習していくと 徐々に上手に乗れるようになっていきますね。 その運転をコンピュータにやらせるとどうでし ょう?やはり、最初は下手でも、だんだん上手になっていく といいですね。でも、そのためには過去の経験をいかに次回 の運転に生かすか、そういった仕組みを作る必要があります。 このような仕組みを本研究室では考えていきます。 コンピュータを進化させよう! アナログコンピュータ!? キーワード:生物模倣ロボット、人工筋肉、シミュレーョン キーワード:最適化、設計、制御、学習 キーワード:学習制御、適応制御 キーワード:ダイナミカルシステム、巧みさ、自律ロボット ナノデバイス研究室 佐々 誠彦 教授 既存の半導体材料では不可能な、透明でフレキ シブルなトランジスタを開発しています。これ らが実現すれば、透明な物質は絶縁体という常 識が覆り、コンピュータやディスプレーなどの 電子機器を透明にすることが可能です。そのため、トランジ スタの製造方法や高性能化に取り組んでいます。また、残さ れた未開拓の電磁波領域、テラヘルツ領域で動作する発光素 子やセンサーの開発も進めています。これは障害物の向こう の炎が検出できるなど、従来の不可能を可能にする技術です。 酸化亜鉛フレキシブル透明トランジスタ 不可能を可能にするデバイスの開発 キーワード:透明トランジスタ、テラヘルツ受発光デバイス ナノ材料マイクロデバイス研究センターでの様子 今まで半導体として利用されてきたシリコンに 比べて高い電子移動度をもつ半導体や、透明な 酸化物半導体を研究することで、新しい機能を 持った素子の開発を目指します。原子を一つひ 新機能複合材料デバイス研究室 前元 利彦 教授 とつ積み上げて新しい半導体の薄膜を作り、リソグラフィ技 術によって微細な高速・低消費電力な電子素子を作製します。 透明な半導体に関する研究では、自在に曲げられる電子ディ スプレイ・情報端末を実現するための透明回路を作る技術の 開発を進め、ほぼ透明な回路素子の開発に成功しています。 未来社会を支える機能素子を開発します キーワード:多機能集積フレキシブル電子・光デバイスの開発 液晶研究室 石原 將市 教授 テレビやパソコンなど、ディスプレイは私たち の生活になくてはならない存在です。中でも、 液晶ディスプレイは薄型、軽量、低消費電力を 特徴とし、究極のディスプレイ、紙のようなデ ィスプレイを目指して世界中で研究が進められています。本 研究室では、(1)液晶分子をどのように並べたらより美し い画像が得られるのか、シミュレーションを駆使して追求す るとともに(2)どのようにしたら基板上の液晶分子を分子 レベルで制御できるか、といった基礎的研究を行っています。 液晶材料と試作点灯した液晶パネル 一緒に、夢のディスプレイを目指そう キーワード:液晶ディスプレイ、分子配向制御、光学設計 微細な半導体デバイスの評価装置 半導体集積回路やパワー半導体は、長年シリコ ンを母材として発展してきましたが、近年はよ り高性能・高機能化のために新材料が導入され てきました。本研究室では、新しい材料・プロ 次世代デバイス・プロセス研究室 小山 政俊 講師 セスの観点から半導体工学に取り組み、よりよい社会を実現 する次世代デバイスの開発を行っています。具体的には、酸 化物材料を用いた半導体デバイスの高性能化や、パワー半導 体として注目される窒化物半導体材料と酸化物材料のハイブ リッド構造を用いた新規デバイスの開発を行っています。 次世代デバイスとそれを実現するプロセス開発 キーワード:次世代半導体デバイス、半導体プロセス開発

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大阪工業大学 工学部 電気電子システム工学科

〒535-8585 大阪市旭区大宮5-16-1 TEL 06-6954-4422

大阪工業大学 電気電子システム工学科 研究室紹介

システムダイナミクス研究室 辻田 勝吉 准教授

生物や人の動きの解析とロボットによる実現

生物や人間は、優れて巧みで知的な振る舞いをします。目標の状態に対して、自己がアクティブに環境に触れ、行動することに伴って刻一刻と変動する環境や置かれた状況をある種の外界

優れて巧みな振る舞いをするシステムを作ろう

センサ入力をもとに知覚・認識・照合し、環境や状況に応じて適切な振る舞いをすぐさま実現するシステムです。本研究室では、そのような振る舞いのメカニズムを明らかにして、人間とつながる人工物、人間と共存する機械システムや、人間ができないことを巧みにこなすロボットなどを開発します。

2019. 04.

システム制御研究室 加瀬 渡 教授

システム最適化研究室 重弘 裕二 教授

もしも形の異なる多数の板を、なるべくムダな隙間が少なくなるように配置しなければならないとしたら、どうしますか?最適化とは、より最適な(よりムダの少ない)答を探し出すこと

ですが、本研究室では主に、このようなパズルのような問題を対象に、よりムダの少ない答を探し出す方法について研究しています。このような技術の応用範囲は広く、フィルタ回路の設計、道路交通システムの制御、自律エージェント(ロボット)の学習等、さまざまな問題に取り組んできています。

形の異なる多数の板を配置する方法を考える

ロボティクス研究室 田熊 隆史 准教授

工場で働く、ヒトと一緒に働く、危険なところを踏破するなど、ロボットは目的に応じて機構や制御を自在にデザインすることができます。本研究室では、生物をお手本にしたロボットの

「身体」と、それを賢く制御する「脳・神経系」を設計します。具体的には空気圧人工筋肉を搭載したロボットや、柔軟な関節を持つロボットの試作とその制御を行います。またプログラムの知識無しにコンピュータシミュレーション上でロボットを作るためのインタフェースの研究も行っています。

柔軟体幹を持つロボット

ロボットを自由自在に設計しよう!

ムダを減らしてエコに!

たとえば、自転車を初めて運転する時は、なかなかうまく乗れないものですが練習していくと徐々に上手に乗れるようになっていきますね。その運転をコンピュータにやらせるとどうでし

ょう?やはり、最初は下手でも、だんだん上手になっていくといいですね。でも、そのためには過去の経験をいかに次回の運転に生かすか、そういった仕組みを作る必要があります。このような仕組みを本研究室では考えていきます。

コンピュータを進化させよう!

アナログコンピュータ!?

キーワード:生物模倣ロボット、人工筋肉、シミュレーョン

キーワード:最適化、設計、制御、学習

キーワード:学習制御、適応制御

キーワード:ダイナミカルシステム、巧みさ、自律ロボット

ナノデバイス研究室 佐々 誠彦 教授

既存の半導体材料では不可能な、透明でフレキシブルなトランジスタを開発しています。これらが実現すれば、透明な物質は絶縁体という常識が覆り、コンピュータやディスプレーなどの

電子機器を透明にすることが可能です。そのため、トランジスタの製造方法や高性能化に取り組んでいます。また、残された未開拓の電磁波領域、テラヘルツ領域で動作する発光素子やセンサーの開発も進めています。これは障害物の向こうの炎が検出できるなど、従来の不可能を可能にする技術です。

酸化亜鉛フレキシブル透明トランジスタ

不可能を可能にするデバイスの開発

キーワード:透明トランジスタ、テラヘルツ受発光デバイス

ナノ材料マイクロデバイス研究センターでの様子

今まで半導体として利用されてきたシリコンに比べて高い電子移動度をもつ半導体や、透明な酸化物半導体を研究することで、新しい機能を持った素子の開発を目指します。原子を一つひ

新機能複合材料デバイス研究室 前元 利彦 教授

とつ積み上げて新しい半導体の薄膜を作り、リソグラフィ技術によって微細な高速・低消費電力な電子素子を作製します。透明な半導体に関する研究では、自在に曲げられる電子ディスプレイ・情報端末を実現するための透明回路を作る技術の開発を進め、ほぼ透明な回路素子の開発に成功しています。

未来社会を支える機能素子を開発します

キーワード:多機能集積フレキシブル電子・光デバイスの開発

液晶研究室 石原 將市 教授

テレビやパソコンなど、ディスプレイは私たちの生活になくてはならない存在です。中でも、液晶ディスプレイは薄型、軽量、低消費電力を特徴とし、究極のディスプレイ、紙のようなデ

ィスプレイを目指して世界中で研究が進められています。本研究室では、(1)液晶分子をどのように並べたらより美しい画像が得られるのか、シミュレーションを駆使して追求するとともに(2)どのようにしたら基板上の液晶分子を分子レベルで制御できるか、といった基礎的研究を行っています。

液晶材料と試作点灯した液晶パネル

一緒に、夢のディスプレイを目指そう

キーワード:液晶ディスプレイ、分子配向制御、光学設計

微細な半導体デバイスの評価装置

半導体集積回路やパワー半導体は、長年シリコンを母材として発展してきましたが、近年はより高性能・高機能化のために新材料が導入されてきました。本研究室では、新しい材料・プロ

次世代デバイス・プロセス研究室 小山 政俊 講師

セスの観点から半導体工学に取り組み、よりよい社会を実現する次世代デバイスの開発を行っています。具体的には、酸化物材料を用いた半導体デバイスの高性能化や、パワー半導体として注目される窒化物半導体材料と酸化物材料のハイブリッド構造を用いた新規デバイスの開発を行っています。

次世代デバイスとそれを実現するプロセス開発

キーワード:次世代半導体デバイス、半導体プロセス開発

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高周波回路工学研究室 吉村 勉 教授

半導体集積回路の技術革新は、20世紀後半から今日に至るまで我々の生活に劇的な変化をもたらしました。身の回りにある携帯電話やゲーム機などには、複雑な信号処理を一瞬のうちに

行う最先端のLSI(大規模集積回路)が搭載されています。本研究室では、高周波アナログ回路の設計・製作を通じて回路設計技術の習得を図ります。さらに、高周波回路のノイズ耐性の劣化に対して、原因解析や新規回路の提案といったアプローチを図り、回路技術の進歩に寄与していきます。

研究室で作製したICの顕微鏡写真

高周波アナログ回路を極める

キーワード:アナログ集積回路、発振器、高速インタフェース

集積回路工学研究室 木原 崇雄 准教授

スマートフォンには、音声通話やデータ通信のほかに、無線LAN、GPSといった様々な無線通信機能があります。これらの機能は、無線送受信ICによって提供されています。

作製した受信ICのチップ写真

無線ICのさらなる普及を目指して

キーワード:アナログ・デジタル集積回路設計、無線送受信機

本研究室は、送受信ICの低消費電力動作、低コストでの実現を目指して、ハード(回路)とソフト(システム)の両面から研究に取り組んでいます。このようなICにより、あらゆる物が無線機能をもち、無線でやりとりできる社会の実現に貢献します。

「パワーエレクトロニクス」とは、パワー半導体を用いて電力エネルギーを自在に変換して利用する技術です。本研究室ではパワー半導体を進化させる技術や、様々な周波数の電力を高い

パワーエレクトロニクス研究室 大森 英樹 教授

効率でつくる新しい「インバータ」や、電気自動車の「ワイヤレス充電システム」、「瞬間充電型の電動スクータ」の開発、住宅と車の電力を無線でつないで家全体のエネルギーの効率化と安定化を図る「次世代スマートハウス」構想など、社会生活におけるエネルギー利用の革新をめざしています。

本研究室では、エネルギー問題の解決を目指した様々な研究を行っています。風力発電では、低価格で効率の高い発電装置の開発を目指して、インバータ・コンバータの適切な制御方法を研

究しています。太陽光発電では、発電した電気を電力会社へ売電するための制御装置の高性能化に取り組んでいます。また、これらのエネルギーは出力の変動が大きいため、一旦エネルギー蓄積装置に貯めて、必要な時に使うことができる仕組みも研究開発しています。

パワーコントロール研究室 木村 紀之 教授

メカトロニクス研究室 森實 俊充 教授

電気自動車とリニアモータ

実物大のものづくりで研究を楽しみましょう

様々な実験を行う環境が整っています

電気は、エネルギーとして利用されますが、情報としても扱うことができます。これらの二つの面を上手く利用することで、電気機器を効率よく有効に利用する研究を行っています。また

電気を無駄なく有効に便利に利用する

キーワード:リニアモータ、メカトロニクス、モータ制御

電気にしかできない便利な利用法も研究しています。具体的には、電気機器の制御や、電力変換装置に関する研究を行っています。これらの研究は、電気自動車用モータや産業機器用モータ、リニアモータ、磁気浮上、非接触給電の実現と、様々な分野で利用されていくことになるでしょう。

新しいエネルギー技術で人類を救おう

未来の生活に快適なエネルギー環境を

キーワード:非接触充電、スマートハウス、瞬間充電スクータ

キーワード:新エネルギー源、高効率電力伝送、電力貯蔵

特 集

パルスパワー工学研究室 見市 知昭 准教授

高電圧やパルスパワーの技術を使って放電プラズマを発生させ、そのプラズマによって作り出される活性酸素種を「水質浄化」や「太陽電池の製作」に利用します。活性酸素種は酸素がよ

り反応性の高い化合物に変化したものの総称です。研究室では、活性酸素種であるオゾンやオゾンよりも高い酸化ポテンシャルを持つOHラジカルなどを作り出し、従来の方式ではできなかったこと(ダイオキシンなどの水中難分解性物質の分解・色素増感太陽電池の高性能化)を実現していきます。

放電を用いた水処理装置と作製した太陽電池

プラズマ・環境工学研究室 吉田 恵一郎 准教授

環境・エネルギー問題の切り札に

キーワード:活性酸素種、水処理、太陽電池

プラズマ物性工学研究室 眞銅 雅子 講師

近年、食用野菜の栽培に使う種子や、歯科治療や外科手術に用いる医療器具の滅菌にプラズマを用いる技術が開発されています。プラズマ滅菌は有害な物質を排することなく、かつ低温で

滅菌用プラズマ装置と生成されたプラズマ

人と環境に優しいプラズマ滅菌装置の開発

処理できる点で優れています。滅菌を担うのは放電プラズマ中に生み出される化学的に活性な中性粒子です。本研究室では主に活性酸素種の効率的な生成を目指し、人と環境に優しいプラズマ滅菌装置の作成および滅菌機序の解明に取り組んでいます。

失敗を楽しむ研究室です

この研究室では大きく分けて二つのテーマに取り組んでいます。(1)エンジン排気ガスの浄化 石油資源節約やCO2排出削減に効果の大きいディーゼルエンジンが注目を集めています。

環境とエネルギー問題の解決に向けて

排気ガス中のNOx(窒素酸化物)やPM(微粒子)は人体に悪影響を及ぼしますが、これらを限りなくゼロにします。(2)物を冷やしたり温めたりするための「熱交換器」の大幅な性能向上と、極端な小型化を目指します。これらを、高電圧によるプラズマ発生と化学的手法を用いて実現します。

キーワード:プラズマ滅菌、活性酸素種、微粒子プラズマ

キーワード:排気ガス、NOx、PM、熱交換