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電気・情報系学科 電 気 電 子 工 学 科 開発システム工学科 (電気コース)

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電気・情報系学科

東 京 工 業 大 学

 電 気 電 子 工 学 科

 情 報 工 学 科

 開発システム工学科 (電気コース) 2006/3

世界最高水準の教育・研究拠点--東京工業大学 電気・情報系学科

私たちの生活は一日一日まるで変わっていないように見えます。

しかし、少しずつ変化しています。

たとえば、10年前を思い出してください。

昔の生活に比べると今は劇的に変化しているはずです。

ナノテクノロジー、IT、情報通信、マルチメディア、

新エネルギーなどのハイテク技術のフィールドでも同じです。

見えない1秒の進化、1ミリの進歩の積み重ねが

世界をシフトさせる大きな力になるのです。

東京工業大学電気・情報系学科は、

1秒の進化に創造力をかける若者を待っています。

1ミリの進歩に想像力を広げる若者を待っています。

そして、ハイテク技術を通して、

世界を動かす一流の技術者、研究者となって、

世界へ羽ばたいてください。

21

C O N T E N T S

入学から卒業まで・・・・・・・・・・・・・3 第5類の学科・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 大学院・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 1年次の教育内容・・・・・・・・・・・・・・8 電気電子工学科・・・・・・・・・・・・・・・9 情報工学科・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 開発システム工学科・・・・・・・・・・・13 卒業生からのメッセージ・・・・・・・15 在学生の声・・・・・・・・・・・・・・・・17 研究室File・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 キャンパス紹介・・・・・・・・・・・・・25

1秒の進化、1ミリの進歩。

3 4

1年次

(一部学生)

企業の見学、

企業での実習

飛び入学

早期卒業

「どの学科がいちばん自分に合っているか」を高校生の段階で判断

するのは容易ではありません。そこで本学では、入学時には所属学科

を決めず学科を7つの分類に分け、類別に入学者を決定するシステム

をとっています。そして2年次になって、自分の選んだ類内のいずれか

の学科に進みます。この案内で紹介する電気電子工学科、情報工

学科、開発システム工学科は第5類から学生を受け入れています※1。

1年次において理工系の基礎となる数学・物理・化学・外国語など

共通科目を学習した後、2年次からは各学科に所属して専門の勉強

が本格的に始まります。そして4年次では研究室に所属し※2、教員の

指導を受けながら学士論文研究を行います。また、成績優秀な学生

には、3年次で研究室に所属した後、「早期卒業」や大学院へ「飛

び入学」する道も開かれています。 未来への設計図を描きながら、 自分だけの4年間を創ることができます。

大学院進学

就職

学部4年次にその門をくぐ

った「研究」を更に広く、深

く探求し、未知の研究の世

界へと一歩踏み出すことと

なります。

東工大で過ごした4年間の

知識と経験を礎に社会へ羽

ばたきます。

入学式に引き続き行われるオリエンテーションでは、講議

の履修方法から、大学生協(購買、学食)の案内、クラ

ブ活動の紹介まで、学生生活に必要な情報が得られます。

一方新入生セミナーでは、先生方の研究内容の紹介な

ど、大学の雰囲気に触れることができます。新入生同士

が知り合う機会でもあります。

新入生オリエンテーション

新入生セミナー

大学の授業や学生生活の説明

4年次は、また、進路について、重要な選択を迫られる時でもあります。就職か大学院進学

か。研究に関連した職種に就きたい人、また大学、研究所等の研究者をめざす人は大学

院修士課程に進学することになるでしょう。電気・情報系では約9割の学生が大学院に

進学しています。即座に実務に就きたいと就職を選択する学生もいます。進路については、

研究室の指導教員だけでなく、就職担当教員や専門の職員に相談することが出来ます。

将来の

進路について

考える

2年次進学の際に所属学科を選びます。学科所属オ

リエンテーションが行われますので、説明をよく聞いて自

分の進みたい学科を決めて下さい。自分の専門を決め

る大切な選択です。分からないことがあるとき、迷って

いるときは、積極的に先生方に相談しましょう。色々な

観点から丁寧にアドバイスしてくれます。

学科を決める

4年次になると、いわゆる卒業研究を始めます。「研究室」に所属し、指導教員のもと

同じ研究室の仲間とともに研究に必要な知識や技術を学びながら、卒業研究を進め

ていきます。

3年次までは、講義を受講することが主で、どちらかというと受け身の「勉学」でしたが、4

年次からは自ら問題点を探求していく「研究」の門をくぐることになります。研究として

はまだまだ初歩的な内容かもしれませんが、自分で何かを探求するのは楽しいものです。

学士論文研究を始める

入学から卒業まで 入学から卒業まで

2年次 3年次 4年次 卒 業 ・・・

早期卒業をするためには、実験をしたり、授業

を取ったりしながら、半年で卒論を書かなけれ

ばならなく、なかなか骨の折れる仕事でした。し

かし、先生方や先輩方のお力添えにより、何と

か乗り切ることができました。

現在は大学院の高度な講義を履修するととも

に、大学で学んだ専門知識を活かして研究活

動に励み、充実した時間を過ごしています。 小木 純さん 電子物理工学専攻 修士1年次 小田・水田研究室所属

早期卒業、飛び入学生のコメント

※1 制御システム工学科でも第5類から学生を受け入れています。    詳細についてはhttp://www.ctrl.titech.ac.jp/をご覧ください。 ※2 学士論文研究のテーマによっては、大岡山キャンパスの研究室だけでなく、    すずかけ台キャンパスの研究室にも所属します。

5 6

電気電子工学科

情報工学科

開発システム工学科

電気工学、電子工学は社会を支える基

幹分野であり、大規模電気エネルギー

の発生と制御をはじめとして、電波・光な

どの波動を駆使する情報通信技術、そ

の基礎となる信号処理、電子回路、超

高速トランジスタや集積回路、レーザ・

光回路、電気電子材料(半導体、磁性体、

誘電体)などの広範なエレクトロニクス

分野を含みます。

本学科は、幅広い基礎学力を有し、新し

い発展にも柔軟に適応でき、広い視野、

総合力、独創性を兼ね備えた研究者、

技術者、教育者などの指導的人材を養

成します。

情報工学は豊かで充実した情報化社会

を築くための基盤技術であり、プログラミ

ング言語やソフトウェア開発環境、人工

知能やパターン認識、音声や画像などの

信号処理技術、情報の流れを数学的に

体系化する情報理論、VLSI(超大規模

集積回路)などのハードウェア技術、光

通信・無線通信の技術など非常に広範

な分野を含みます。

本学科では、ハードウェア技術からマル

チメディアやインターネット基礎技術まで

一貫した専門教育を行うと共に、人文社

会科学など幅広い知識を身に付ける機

会を提供します。

技術・資源の有効利用や地球保護という

観点から、これからの技術開発では広く世

界を視野に入れた国際的な相互協力が

必要不可欠であり、工業技術のみならず

海外に対する視野と見識を身に付けた人

材が求められています。開発システム工

学とは、アジアを初めとする発展途上国・

地域の開発に貢献できる専門技術者・

研究者を育てるための総合的学問です。

本学科では、特定分野の工学専門技術・

能力だけでなく、他国の社会・文化に対す

る広い見識と理解、語学能力、総合的な

判断力といった真の国際感覚も兼ね備え

た新しいタイプの専門技術者・研究者を

育成します。

第5類の学生が所属する学科

電気電子工学科

情報工学科 開発システム工学科 (電気コース) 制御システム工学科

第 4 類 第 5 類

学類から専門学科へ。第5類は電気・情報系。 第5類の学科 第5類の学科 大学院進学 大学院進学

1年次

2年次

4年次

募集人員 77名(5名) 102名(若干名) 5名(5名)

( )内は留学生募集人員で外数

・ ・ ・ ・ ・ ・

開発システム工学科 (電気コース)

電気電子工学科 情報工学科

電気電子工学専攻

電子物理工学専攻

物理電子システム創造専攻 物理情報システム専攻

計算工学専攻

集積システム専攻

国際開発工学専攻

大学院

大学

大学院卒業に比重が移りつつある電気・情報系の就職

 21世紀に入り、これまで続けられてきた年功序列賃金制度が

見直され、個人の成果と能力で人物を評価する時代に入ってきま

した。この時代を生き抜くには、一般教養だけでなく、ある分野で

特に秀でた能力を持つ専門性が必要とされています。その専門

能力の養成機関の1つとして大学院は存在し、皆さんの輝かしい

能力を開花させるための一助となっています。

 科学技術系の就職は大学院卒業にその比重が移行しており、

この傾向は今後も変わらないと思われます。企業の研究所や開

発技術者には「昔の学卒、今の院卒(修士)」ということばがある

くらいです。これは電気・情報系の専門分野にも当てはまります。

この背景には、専門基礎に関する情報量が増加し、学部の4年間

では教育が難しくなっていること、企業が科学的思考力やプレゼ

ンテーション能力を有する即戦力の理工系学生を求めていること、

などが挙げられます。電気・情報系学科の卒業生の多くは大学院

に進学し、研究者・技術者としての専門性に磨きをかけます。

自由度の高い専攻選択

 大学院の課程は、2年間の修士課程とその後3年間の博士課

程からなります。大学の学部は専門分野ごとに学科に分かれてい

ますが、大学院は専攻に分かれています。

 大学院の教育・研究内容は学部に比べて専門性が高まるので、

一つの学科の専門分野が複数の専攻に対応することがよくあり

ます。電気電子工学科・情報工学科・開発システム工学科に関

連が深い大学院の専攻が上の図に示されています。電気・情報

系の大学院進学者の多くは上記専攻に所属します。また、大学

の運営は専攻を単位として行われ、ホームページや大学の出版物

も専攻単位で説明されていることが多くなっています。東京工業

大学の他の出版物を参照する際には、上記の対応関係を参考に

してください。進学する専攻の選択では、図に示される専攻を選ぶ

卒業生が多いですが、それ以外の選択も可能で大学院から異な

る専門領域を学び活躍する学生も少なくありません。

奥の深い研究に魅せられて、 学部卒業生の約90%が大学院に進学しています。 ■大学院進学への主な流れ

87

1年次 2年次 3年次 4年次

文系基礎科目 総合科目 情報ネットワーク科目 Lゼミ科目

環境教育科目

Fゼミ科目

国際コミュニケーション科目

理工系基礎科目

健康・スポーツ科目

教職に関する科目

理工系広域科目

学士論文研究

基礎専門科目

■学期と科目との関係

1年次の教育内容

3学科共通の科目は、大学へ早く溶け込み、 専門分野へも取り組みやすいように工夫されています。

第5類 ガイダンス風景

集合写真(バスゼミ)

幅広い素養と専門科目習得の前提となる基礎を学習する 1年次では、2年次以降において各学科の専門科目を習得する

際の基礎となる内容と、幅広い素養を身に付けるための科目を学

習します。

 2年次以降の専門科目を習得する際に必要な基本科目群として、

「理工系基礎科目(数学・物理・化学など)」があります。これらは

専門科目学習の前提として必要なだけでなく、将来理工学の分

野で仕事をしていくときに、それら自体大いに役立つ基本的な道

具です。また、「コンピュータリテラシ」の授業では、計算機の諸々

の使用法、ネットワーク利用の際のエチケットなど、情報環境の使

い方の基本を学びます。

 さらに第5類共通の専門科目として、「情報基礎学」、「電気電

子基礎学」の2つが1年次科目として後期に用意されています。1

年生のときから専門科目に触れる機会を与える目的で用意された

科目です。

 一方、教養科目として、「文系科目」「総合科目」「国際コミュ

ニケーション科目(英語・その他の外国語)」「健康・スポーツ科目」

など、一連の科目群が用意されています。一つの専門分野を極め

るには幅広い教養が不可欠です。特に現在の国際化社会におい

て、外国語の十分な習得は必須になります。

 これらの基礎的科目は、どの学科に進むにしても必要でかつ役

に立つ科目ですから、しっかりと身につけることが肝要です。大工

にたとえると、のこぎりや金づち、かんなの使用法を習う科目のよう

なもので、この分野で仕事をしていくとき、将来に渡って必要となる

基本的な道具といえます。また、学科所属の資格や要件もこれら

の科目の単位取得によって判定されます。

1年次基礎科目の概要

 「バスゼミ」とは、入学直後のオリエンテーションに引き続

いて行われるイベントです。数台のバスに分乗して箱根の

ホテルに出向き、10名程度の先生方による講演(最先端

の研究紹介から人生訓まで)を聞いたり、これから一緒に勉

強していく仲間を作ったり、各部屋で夜遅くまで語り合ったり、

有意義で楽しい時間を過ごします。途中、すずかけ台キャン

パスに立ち寄り、最新研究施設の見学を行うのも恒例にな

っています。

 第5類では、新1年生のための科目「F1ゼミ」を開講してい

ます。大学での学習は、高校までとは大きく異なり、自らが進ん

で学問を探求していく自主的な学習スタイルが必要になります。

F1ゼミは、高校から大学へのスムーズな移行、大学での学習

や教員、環境にいち早く馴染んでもらうことを目的としています。

この科目は、研究室の教員を訪問して大学の雰囲気をつか

んでもらう「研究室訪問」や特定のテーマを調査して討論を

行う「ディベート」など多彩な内容で構成されています。

 これらの授業はいずれも少人数クラスで、学生と教員と互

いの顔が見える環境で行なわれます。さらに、最近の技術・研

究の講義を通して学問と産業・社会との関わりを学ぶ「トピッ

クス講義」や、実社会での事例から工学技術と人間社会の

あり方を学ぶ「倫理教育」など、F1ゼミは大学への導入教育

としてだけではなく、第一線で活躍する技術者・研究者となっ

ていくためにも重要な科目です。

バスゼミ

F1ゼミ

9 10

電気電子工学科 多様化、高度化する現代社会の基幹技術を幅広く学びます。

学科の理念と特色

 今日、私たちの社会や生活の中で電気の利用は広い範囲にわ

たり、その果たしている役割が極めて大きいことを、日頃から皆さん

は実感していると思います。

 テレビ、ビデオのように身近な電気機器から、パソコンや携帯電

話をはじめとする情報・通信機器、それらを支えるIT(情報技術)、

交通・運輸機関の動力、あるいは自動制御や信号システム、コン

ピュータとその応用。さらには、ハードディスク、DVDなどの記憶媒

体とその応用機器、そしてゲーム機などの娯楽機器というように、

私たちの周囲には数多くの電気・電子機器類があります。

 社会や産業を支えるための電力・エネルギー、情報通信はいうま

でもなく、文化、教育、環境、医療、福祉、娯楽など、あらゆる分野に

おいて電気の利用は不可欠です。そして、人々の快適で豊かな生

活を支えるために、電気を利用する分野は今後もますます広がって

ゆくものと予想されます。

 こうした電気電子に関連する分野が広がっていくにつれ、その

発展を支え研究開発を進めるためには、多くの独創的な技術者や

研究者が必要であることは言うまでもありません。電気電子工学

科では、主としてこのような電力、エレクトロニクス、通信、コンピュ

ータなどの産業、研究、教育、行政に携わり、指導的な役割を果た

す人材の育成をめざします。

学びのシステム

1年次で「理工系基礎科目」「文系科目」「国際コミュニケーショ

ン科目」を中心に学習し、2年次から電気電子工学の基礎科目の

学習を始め、4年次の学士論文研究にいたるまで、徐々に専門性

の高い科目を学習します。

 電磁気学、回路、数学を電気電子工学の骨格と位置づけ、これ

に実験、プログラミングを加えた科目を必修科目と設定しています。

その多くを2年次から3年次前学期にかけて学び、電気電子工学

の基礎を形成します。

 電磁気学および回路の応用科目、システム、ソフトウエアなど、

電気電子工学の周辺を理解するために必要な考え方を身につけ

る目的で準必修科目が用意されています。この中には、科学技術

に携わる者の素養として重要な技術者英語、技術者倫理も用意

されており、主に3年次から4年次にかけて履修します。

 さらに、システム科目、創造性育成科目、発展学習科目、インター

ンシップなどとともに資格取得に必要な科目が選択科目として用

意されています。これらの選択科目を履修することによって、電気

電子工学分野に広がる広範な科学技術の基礎を身に付けること

ができます。

 また、4年次の学士論文研究で本学科の学習を完成させるとと

もに、大学院へ進学後におこなう研究の基礎を修得します。  

学びのKey word  大規模電気エネルギーの発生と制御、電波・光などの波動現

象を駆使する情報通信技術、電子回路と信号処理、電子デバイ

スや集積回路、レーザおよび光回路、電気電子材料物性

学びの特色  2年次から4年次前学期にかけて、「電気電子工学実験第1」か

ら「電気電子工学実験第5」まで2年半にわたって開講しています。

実験第1と第2では回路・信号の計測と解析・処理の基礎を身に

付け、実験第3から第5ではアナログ電子回路、ディジタル電子回路、

電子材料の実験や集積回路の製作、カスタムLSIの設計、通信

工学、高電圧工学、ディジタル制御などの実験をおこない、電気電

子工学の基礎を固めます。これらの実験科目では、講義で学んだ

電気電子工学の基礎の理解を深めるために、それまでに学んだ講

義科目との連携が図られています。

 また、2年次前学期に開講される電気電子工学創造実験では、

人力発電機や発電した電力による電子機器・装置の駆動など、学

生チームの創意工夫を発揮してアイディアを競い合い、創造性を

育成するプログラムを用意しています。

授業科目ピックアップ  電磁気学:電磁気学は「電磁気学I」と「電磁気学II」から成っ

ており、クーロンの法則からマクスウェルの方程式に至る電磁気学

の基本体系を学びます。

 「電磁気学Ⅰ」では、ベクトル演算から始め、静電界の方程式と

その解法を学びます。主な内容は、ベクトル演算(スカラとベクトル、

ベクトル記号、発散・回転・勾配、ヘルムホルツの定理、立体角、

ベクトル場の分類)、クーロンの法則(点電荷に対するクーロンの

法則、電界・電気力線と等電位面、スカラ源とスカラポテンシャル)、

ポアソン方程式(分布電荷と巨視的電界、ポアソン方程式の一

般解)、導体と電界(導体と電界、導体表面の電荷、鏡像法)、誘

電体を含む系の静電界(自由電荷と分極電荷、分極ベクトル、電

界の方程式と物性条件、境界条件、静電界のエネルギー) です。

 「電磁気学II」では、電磁誘導の法則や磁界のエネルギーにつ

いて学び、これらの知識を身につけた上で機械力と電磁気力との

関係を理解し、最終的にマクスウェルの方程式と電磁界の基本的

枠組みを学びます。主な内容は、電界系の方程式(電流と電荷の

保存、オームの法則、ジュール損失、時間変化を伴う電界の方程式、

電界のエネルギー)、磁界に関する方程式(電流による磁界、ビオ・

サバールの法則、磁束密度、ベクトル源とベクトルポテンシャル、磁

気モーメント)、物質と磁界(磁化、アンペアの周回積分、磁性体

内の磁束密度と磁界、磁気回路、インダクタンスとコイル、磁気エ

ネルギー、ローレンツ力)、磁界系の方程式(ローレンツ力、起電力、

ファラデーの法則、表皮効果、磁界エネルギー)、物質に加わる力(仮

想変位の方法、マクスウェルの応力)、マクスウェルの方程式と動

的電磁気学(変位電流、マクスウェルの方程式)などです。

 線形回路:直流回路からはじまり、これを拡張した交流回路の

基本を学び、続いて線形集中定数回路の基礎を学習します。主な

内容は、電気の基礎(直流と交流、オームの法則、電力と電力量)、

回路素子とその性質(抵抗、キャパシタンス、インダクタンス)、正弦

波交流とインピーダンス(フェーザ表示、複素数表示)、交流回路

と記号的計算法、交流回路の各種定理(重ね合せの理、相反定理、

補償の定理、鳳-テブナンの定理、双対の理、因果律と受動性)、

共振回路・フィルタ回路と周波数特性、相互インダクタンスと変成

器、交流電力(瞬時電力、力率、無効電力)、二端子対網とその基

本的表示法などです。

目標とする人材像  広範な学問領域に対応できるように幅広い基礎学力を身に付け、

将来の飛躍的な発展に対しても十分に適応できるように広い視野、

総合力、独創性に富んだ、先駆的研究者、指導的技術者、教育者、

経営者などのスペシャリストを育てます。          

     

 電気電子工学科では、創造性育成科目「電気電

子工学創造実験」を開講し、その成果を競う公開競

技会「大岡山ゑれきてるコンテスト」を開催しています。

2年生を中心とする学部生が、電気電子工学の原

理を応用した装置やシステムを創意工夫して手造り

し、その性能を競います。昨年度は、「電気電子工

学の原理と現代先端技術を応用した独創的人力

発電機を製作し、発電した電力を利用するパフォー

マンスを競う」というテーマで実施されました。

詳細は、http://www.taka.ee.titech.ac.jp/elecon/

を参照してください。

大岡山ゑれきてるコンテスト

TOPICSTOPICS

MIMOソフトウェア無線機用に開発した マルチチャネルADボード

高密度記録が可能なハードディスク 学士論文研究における実験の様子

11 12

学科の理念と特色  コンピュータを中心に進展してきた情報化の流れは私たちの社

会や生活を大きく変えようとしています。そのような情報化社会の

中で、情報工学は豊かで充実した情報化社会を築くための基盤

技術となっています。情報工学科では、情報化社会の基盤を支え

る研究者・技術者を育成することを目的としています。そのような研

究者・技術者に求められる資質は、まず、コンピュータのソフトウェア、

ハードウェアに関する理論と技術、情報の流れを数学的に体系化

した情報理論から、集積回路、光通信・無線通信等のハードウェア

技術、更にはマルチメディアからインターネットを構成するソフトウェ

ア技術を身に付けていることです。情報工学科では、このような知識・

技術を系統的に学習できるように教育課程を準備しています。

 これからの社会の基盤を支える情報技術者は、あらゆる分野で

活躍するチャンスがあり、またそれが社会からも求められています。

学科で与えられる専門的な科目にとらわれ過ぎることなく、情報工

学以外の他分野、例えば経済や法律を始めとする人文社会科学

などにも興味を持ち、幅広い知識を身に付けて行くことを情報工学

科では奨励しています。

学びのシステム  情報工学科の学生は、情報工学課程に従って学習を進めます。

情報工学課程においては、認知科学、人工知能、ソフトウェア、情

報基礎、計算機システム、VLSI、情報通信、回路・信号処理など

の各専門分野への方向づけがありますが、まず、2年次から3年次

前半までに、計算基礎論、数理論理学、プログラミング、フーリエ変

換とラプラス変換、確率と統計、オートマトンと言語、計算論理設

計など、情報関連の基礎的学問から成る「コア科目」を受講します。

 3年次からは、「共通専門科目」と、「計算工学分野専門科目」

か「集積システム分野専門科目」いずれかの専門科目群を履修し

ます。共通専門科目は、通信理論、数値計算法、関数解析学、集

積回路設計、数理計画法、計算機ネットワークなど、幅広く実践的

な知識を身につけることを目的とした講義で構成されています。一方、

計算工学分野の専門科目群は人工知能、コンパイラ構成、パター

ン認識、生命知識概論、データベースなどから成っており、集積シ

ステム分野の専門科目群は電気回路基礎論、線形回路理論、信

号処理、ディジタル通信、線形電子回路などから構成されています。

これらの講義を通して、基礎を系統的に学びながら最先端の話題

に触れることができ、情報関連技術の科学と工学の分野で広く活

躍するために必要な知識と技術を獲得することができます。

学びのKey word  数理論理学、プログラミング、人工知能、データベース、信号処理、

集積回路、通信理論、計算機アーキテクチャ

学びの特色  「コア科目」は、基礎としてしっかり身に付けるために非常に重

要な科目群です。コア科目は全部で36単位分用意されていますが、

卒業のためにはそのうち30単位を修得する必要があります。大人

数教育の弊害を軽減するため、これらの科目は2クラス並行で講義

が行なわれています。また、演習付きの科目も多く含まれており、効

果的に学ぶことができます。

 専門科目は、「共通専門科目」と「計算工学分野専門科目」、

あるいは「共通専門科目」と「集積システム分野専門科目」のうち

16単位を修得する必要があります。計算工学分野、および集積シ

ステム分野の選択は完全に学生に任されています。これにより、各

自興味のある分野を集中的に学ぶことができます。また、計算工学、

集積システム両方の分野の講義を受講することも認められています。

つまり、皆さんの努力しだいで情報工学に関するあらゆる専門知識

を獲得することが可能です。

 ところで、東京工業大学の情報関係の学科は、工学部の情報

工学科以外にも理学部の情報科学科があります。情報科学科は

数学とコンピュータサイエンスを両輪に据えた教育を行っており、

情報工学科と比べて純粋数学に属する科目が多く含まれています。

一方情報工学科では、プログラミング言語の授業と実習の時間が

多くとられ、狭い意味でのコンピュータサイエンスに含まれない集積

回路・情報通信関係の科目も含んでいます。情報工学科は、情報

化社会を支える技術を創りだす学科とも言うことができます。

授業科目ピックアップ プログラミング第一(第3学期)~第四(第6学期)

 インターネット上の様々なサービス、ロボットの制御、タンパク質

の解析等、様々なシステムは、すべてプログラムによって作られて

います。プログラムを記述するにもいろいろな言語が存在します。

計算の手順を時間順に記述する手続き型のプログラミング言語

の代表格であるC言語から始めて、計算を関数の形で記述するscheme、

最近では携帯電話のアプリケーションの作成に大活躍のJavaな

どの言語を学びます。プログラミング第一から第四の授業では、た

だ単に計算機言語の使い方を学ぶだけでなく、データの構造や制

御構造の基本、計算機科学における基本的なアルゴリズム、ソフ

トウェア設計・構築の方法なども実習を通して習得できます。 計

算機論理設計(第4学期)、情報実験第3(第5学期)

 計算機を構成するプロセッサとその制御部に関し、具体構成と

設計の原理を学びます。そして計算機の内部動作を記述できる特

殊な言語を学び、簡単な計算機の設計も行います。さらに、第5学

期に開講される「情報実験第三」では、「計算機論理設計」の講

義で学んだ知識をもとに、マイクロコンピュータの方式設計、機能

設計、論理設計、実装設計の各実習を行ない、 FPGA(Field Pro-

grammable Gate Array)というプログラム可能なLSI(大規模集

積回路)で自分のコンピュータを試作します。

目標とする人材像+卒業後の進路  情報工学科では、論理的な思考力と幅広い知識を持ち、計算

機を核に広がっている情報・通信関連の広い分野において指導

的立場で活躍できる人材を養成することを目指しています。情報

工学科の卒業生の9割以上は大学院修士課程に進学します。大

学院では、より深く、より広い知識と技術を身に付け、修士論文研

究をすすめながらより高度な研究の仕方を学んでいきます。大学

院修士課程の修了者の約2割が、さらに博士課程まで進学します。

学部卒業者や大学院修了者の就職先は、大手電機メーカーやコ

ンピュータメーカー、放送・通信事業者、ソフトウエア開発業を中心

に、公務員、サービス業、商社、銀行・証券などあらゆる業種にわた

ります。

研究室見学会の風景 最先端ストレージシステムのデモ モーションキャプチャー マルチメディアコンテンツサーバの実験風景 計算機実習室

情報工学科 情報・通信・コンピュータに精通したエキスパートを育成します。

 情報工学科では、2年次以降、電子計算機シ

ステムを基礎とする高次情報処理システムのた

めのハードウェア、ソフトウェア、人工知能、理論

の各分野に精通した情報工学研究者、技術者を

養成するため、専用の教育用電子計算機システ

ムを保有して教育を行なっています。

 学生は、自分の履修している授業科目以外に

も夜9時まで、計算機室に自由に出入りができ、

自発的な学習を行うことができます。

 

13 14

学科の理念と特色  開発システム工学科は、真に世界の人々に役立つ工学の中の

工学を身に付けた人材を育成することを目的としています。本学科

では、電気電子工学や情報工学だけではなく、化学工学、機械工学、

土木工学など広い分野の工学的感覚を身に付けることができます。

また、学科定員の半数が留学生であり、これらの学生との交流を

通じて国際社会の様子を学ぶことができ、世界的視野を持つこと

もできるようになります。現在では、人間が地球と比べても強力な力

を持っているために、人類の存亡をかける重要な課題の全ては地

球規模になっています。このような問題は、自分の国に引きこもっ

ていては解決することができません。自分の周りの環境だけを良く

しても、他の人々が環境を大切にしないと、地球全体がおかしくなり、

結局は自分のところにも影響を及ぼしてしまいます。是非、世界中

の地域・人々に目を向け、自分の未来を切り開くために一緒に勉

強できることを願っています。

学びのシステム  開発システム工学科電気コースA課程の学生は、電気電子工

学に関して、電気電子工学科の学生とほぼ同じ科目を履修します。

また、開発システム工学科電気コースB課程の学生は、情報工学

に関して、情報工学科の学生とほぼ同じ科目を履修します。それに

加え、化工コース、機械コース、電気コース、土木コースの学生と共

に、開発システム工学科独自の科目を2年次から履修します。2年

次には開発基礎科目として、プロジェクトマネージメント、世界情勢、

自己表現について学びます。3年次には開発実践科目として、実

際に海外で行なうフィールドワークにおける学生交流、見学、英語

学習によって国際感覚を学びます。また、前期には、化学工学、機

械工学、土木工学の基礎を学ぶと共に、後期には、化工コース、機

械コース、土木コースの学生とグループを組んで発電所建設を計

画し、プランニングの実際を体験します。そして、4年次には高度な

プレゼンテーション能力を学びます。このようにして、電気・情報系

の能力だけでなく、広い分野の工学的感覚も身につけ、世界的な

視野を持つ人材を育成します。

学びのKey word  電気・情報工学、プロジェクトマネージメント、国際経済、持続可

能な開発

学びの特色  工学は、科学に基づいて人々に役立つものやサービスを生み出

すための学問です。しかしながら、現状では工学の細分化が進み、

全体像が見えにくくなっています。「その学問が人々に本当に役

に立つのか」、また「その必要性や優先順位はどのくらいなのか」

がはっきりしないまま開発が進められていることもあります。また、真

に革新的で価値あるものを生み出していくためには、自分の専門

に傾倒しすぎることなく、広い分野からアイディアを集めることが必

要です。例えば、最先端の集積回路を製造するためには、最先端

の化学工学、機械工学、土木工学が必要です。このような観点か

ら、開発システム工学科は、広い視野のもと各種工学を統括・管

理することができる人材、および、真に世界の人々に役立つ工学

の中の工学を身に付けた人材を育成することを目指しています。

 本学科はコース制をとっています。これは、広い視野を持つため

にも、少なくとも一つの分野に関しては深く知る必要があると考え

ているからです。「電気コースA課程」の学生は電気電子工学を、「電

気コースB課程」の学生は情報工学をそれぞれの工学を専門にす

る学科の学生と同様に学びます。そして、これらの専門分野の知

識を基礎に、国際関係や世界の文化および他の工学分野を学び、

広い視野に立って物事を考える能力を身につけます。また、マネー

ジメントやプランニングを学ぶことによって管理能力を身に付け、デ

ィベートやプレゼンテーションの科目を通じて表現力を高める教育

を行ないます。

授業科目ピックアップ  開発システム演習第一:3学期に開講されるこの演習では、自

己表現能力を高めることを目的として、留学生・日本人学生各々の

出身地の社会・文化等の事情について報告し、議論を行なってい

ます(別名:世界お国自慢大会)。

 開発システム工学概論B:4学期に開講されるこの講義では、実

際に開発プロジェクトを遂行していくために必要となる、プロジェク

トマネージメントのスキル、プロジェクトにおける契約の知識、

Business Communication、国際環境対策を学びます。企業の

第一線で活躍している技術者を招き、実戦的な能力が身に付くよ

うな学習を行ないます。

 開発システムフィールドワーク:3年の夏休みに開講される開発

システムフィールドワークでは、実際に海外の大学や企業などを訪

問し国際感覚を身に付けます。

 平成17年度は、フィリピン共和国のマニラを訪問し、デラサール

大学を中心に活動しました。デラサール大学では、2週間にわたっ

て英語を学習したほか、デラサール大学の学生との交流を深めま

した。さらに、フィリピン大学、フィリピン工科大学などを訪問し、見

学や学生交流を行いました。また、フィリピンに進出した日本企業

等を見学し、世界的に広がる産業の様子を実際に肌身で知りまし

た。参加した学生は、様々な考え方の違いはあるものの、乗り越え

られない隔たりはないことに気づくと共に、英語の重要性を思い知

らされたようです。

目標とする人材像+卒業後の進路  開発システム工学科(電気コース)が目標とする人材は、電気電

子工学あるいは情報工学を基盤としつつも、広い見識および人間

の可能性と限界への正しい理解によって、文明・文化の衝突を越

え、人類に課せられた世界的な難問を解決する道を探しだし、人々

を導くことができる技術者です。

 そのような、大きな仕事を成し遂げる技術者になるためには、知

識をいっぱい身に付けただけではだめです。自分の知識を相手に

伝え、その知識を基に行動してもうことが重要です。そのためには、

参加している人々の信頼を得る必要があります。信頼を得られなけ

れば、知識は素通りしてしまい伝わることもなければ、行動を引き起

こすこともないでしょう。信頼を得るためには、相手を信頼するリスク

に耐える必要があります。そしてなによりも、個々の問題に対して、

傍観者ではなく当事者として取り組まなくては信頼を得ることはで

きません。本学科では、地球的な大きな問題に対して、当事者とし

て飛び込んで行くことができる「人間」の育成を目指しています。

開発システム工学科 (電気コース) 世界を理解し、世界で行動する国際エンジニアをめざして。

モンゴルにおけるフィールド調査 インドネシア共和国スラバヤポリテクニック (日本における高等専門学校と大学の中間ぐらいの学校) の支援

Baan Xiane Mounang:ラオス共和国ルアンパバーンの世界文化遺産 本学・現地文化遺産管理事務所・国連教育科学文化機関の協力により 現地住民向けKnowledge Kioskを開設予定

フィールドワークにおけるデラサール大学学生との交流風景 (海岸でのフットサル)

Luang Prabang世界遺産事務所でICT利用の ためのワークショップの講師を務める学生

15 16

大学で研究する、世界で勝負する、という選択。

大学で学んだことは すべて今の仕事に生かされています。

世界中で通用するものをつくりたいですね。

本気で打ち込めるものを一つは探そう!

大学時代の体験が、その後の進路を決めました。

●平成16年度卒 電気・情報系の学部卒、修士卒、博士卒すべて。2名以上の就職先

日本電気、東芝、富士通、シャープ、ソニー、

日立製作所、NTTデータ、松下電器産業、

東京電力、キヤノン、NTTドコモ、パナソ

ニックモバイルコミュニケーションズ、日

本放送協会(NHK)、特許庁、NTTコミ

ュニケーションズ、NTT東日本、NTT西日

本、ファナック、ローム、富士ゼロックス、

新日鉄ソリューションズ、NTTデータシス

テムズ、三菱電機、明電社、KDDI、日本

IBM 、日本テキサスインスツルメンツ、横

河電機、エスエムジー、パイオニア(順不同)

 大学の先生が高校までの先生と決定的に

違う点は、教育だけでなく研究をするというこ

とでしょう。研究って何でしょうか。私は、「分か

らないことを分かろうとする営み」であると思っ

ています。数学で問題が解けたときスカッとし

ますよね。あのような爽快感を追求するのが

研究です。それを職業にするならば、「世界で

誰も分かっていないこと」に挑戦する必要が

あります。分かったことは「論文」という形で、

世界中に公表します。自ずと勝負の舞台は「世

界」になります。勝負の道具は「英語」になり

ます。勝負するために世界を飛び回ります。そ

うしているうちに世界中に研究友達ができます。

世界の頭脳と仲良くなり、ときに真剣に議論す

る。これほど知的でエキサイティングなことはあ

りませんよ。良い研究をしている限り、大学に

はこれを自由にできる環境があります。会社で

研究開発をするのとは違った面白味があります。

 私は東工大で10年くらい勉強しましたが、

優秀な留学生や世界の第一線で活躍してい

る先生方が沢山いて、大変刺激になりました。

さらに、研究に関してはすごく自由な雰囲気が

あるのが東工大です。これは研究の世界で

特に欠かせないことです。

本田 円香さん 平成10年 電気・電子工学科電力・電子コース卒業 (現電気電子工学科) 平成12年 電子物理工学専攻 修士課程修了

 先日、久しぶりに大学を訪れました。いく

つかの校舎が新しくなっていて、とてもびっ

くりしました。こんなにきれいな校舎で学べ

るのはちょっとうらやましいですね。

 私の大学生活というと、3年生まではバト

ミントンサークル、4年生から修士2年は研

究活動に、朝から夜まで熱中していました。

6年間で学ぶことは多かったのですが、特に

研究活動で学んだことは、今の仕事にも役

立っています。「チームワークを大切にする

こと」や「結論を導くまでの考え方」、研究

発表などの「自己表現力をつけること」は、

どんな仕事に就いても必要だと実感してい

ます。東京工業大学では、外部での研究発

表の機会が多く与えられます。仕事の場で

交渉することが多い私にとっては、貴重な

体験でした。

 大学は、ひとつのことに熱中できる貴重

な時間で、そこから学ぶことが必ずあります。

最近、女子の学生も増えています!!あなた

もこの大学で学んでみませんか?

矢野 浩邦さん 平成8年 情報工学科卒業 平成10年 電気電子工学専攻 修士課程修了

 私は、高校生の頃からパソコンでプログ

ラムを作るのが好きで、その延長で東京工

業大学の情報工学科に進みました。情報

工学科では、授業や実験を通して、コンピュ

ータが動く仕組みや、ソフトウェアの理論を

学ぶことができました。

 大学生時代の大きな思い出のひとつと

して、大学で学んだコンピュータに関する知

識を生かした、ソフトウェア開発のアルバイ

トがあります。学んだことを大学の外で実践

し、仲間たちと一緒に手がけたソフトウェア

が製品として出荷され、顔も知らないユーザ

に使っていただけるという新鮮な体験と興

奮は、今でも忘れられません。私にとっては、

アルバイト代以上に貴重な時間でした。

 そのような興奮を味わい続けたくて、修士

課程修了後は、ソフトウェアの研究開発の

仕事に就きました。平成18年で社会人9年

目に入りますが、いろいろな人をあっと驚かせ、

満足して使っていただける技術を作りたいと、

頭をひねる毎日です。

 大学時代は、やりたいことに本気で打ち

込むことができる貴重な時間です。スポーツ、

音楽、旅行、勉強、あるいはアルバイトや遊

びということもあるでしょう。

 私は、大学院修了までの6年間、陸上競

技に打ち込みました。大学院在籍の2年間

は、研究室での活動もそこそこに練習に打

ち込む日 を々送っていました。社会人になっ

た今でも、趣味として時間を見つけて陸上

を続けています。

 現在、NTTで音楽や映像などのマルチメ

ディア情報を対象とした次世代検索技術

の研究を仕事としています。大学院在籍の

2年間で受けた指導が役に立っていること

は言うまでもありませんが、仕事以外にもう

一つ打ち込めることを持っていることも、気

持ちの切り替えがスムーズにできるという意

味で大いに役に立っています。ぜひとも、楽

しい大学生活を。

 “Enjoy your campus life!!”

梅田 快貴さん 平成14年 電子物理工学科(現電気電子工学科)卒業  平成16年 電気電子工学専攻 修士課程修了

入学して一番初めに留学生の多さに驚きま

した。電気系は女の子よりも留学生の方が

多くて、まさか名簿の50音順で「うめだ」の前

後が「イプト」君と「ヴィティエン」君だとは。

全く思いもよりませんでしたね。

 私は普通に日本で学校に通いましたが、聞

けば留学生の友達の中には「自分の小学校

には電気が通ってなかった」と言う人もいて、

そういう人が国の期待を背負って日本にやっ

てきて、熱心に学んでいます。私は期末試験

やレポートを彼らに教えてもらってばかりでし

たが、彼らのハングリー精神にはとても刺激を

受けました。現在私は海外向け製品の仕事

についていますが、そんな彼らには絶対に負

けないものを作りたいと意識しています。

 東京工業大学の先生方は本当に学問や、

研究・技術が大好きな人たちばかりです。休

日もこっそり大学にきて、研究をされている先

生もいます。そして活躍されている先生方は

なぜか英語がみんな上手い。大学院では英

語で行われる講義もありますからね。

 東工大とエンジニアリング、世界を舞台に

活躍したい人には最高の組み合わせです。

木村 昭悟さん 平成10年 電気・電子工学科集積システムコース卒業 (現情報工学科) 平成12年 電気電子工学専攻 修士課程修了

東京農工大 勤務

日本放送協会 勤務

パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社 勤務

株式会社 東芝 研究開発センター 勤務

日本電信電話株式会社 NTTコミュニケーション科学基礎研究所 勤務

田中 聡久さん 平成10年 電気・電子工学科電力・電子コース卒業 (現電気電子工学科) 平成13年 電気・電子工学専攻 修士課程修了 平成15年 国際開発工学専攻 博士後期課程修了 

卒業生の約90%以上が大学院の修士課程に進学しています。卒業後は大学院修了者も含めて、電力、通信、情報、電気電子機器、コンピュータ、放送、自動車、鉄鋼、機械、化学、商社、サービス、大学、官庁などさまざまな業種に就職し、各方面で指導的な役割を果たして活躍しています。

●平成16年度学部卒業者(電気・情報系)  卒業者総数:219名

●平成16年度修士修了者(電気・情報系)  修了者総数:170名

主 な 就 職 先

社会の最前線で活躍する先輩たちに続こう。

進 学 と 就 職

Tanaka Toshihisa

Honda Madoka

Umeda Yoshitaka

Kimura Akisato

Yano Hirokuni

大学院進学 197名

就職18名 その他4名

博士課程進学32名

就職134名

その他4名

message 卒業生からのメッセージ

17 18

 いきなりサークルの話で恐縮ですが、私の所属

するロボット技術研究会の作品が著名な国際会

議SIGGRAPHに採択され、私も一制作者として

ロサンゼルスで展示に参加しました。実は、この

会期は試験期間中でした。貴重な経験ができた

のも、学科長、各教員の理解があったからこそです。

 さて、私は元来情報系の人間なのですが、敢え

て電気電子工学科に進みました。就きたい職業

との関連性もあるのですが、何より、知らないこと

の多いこの分野に、知的好奇心をより強く刺激

されたことが一番の理由です。もちろん、こんな贅

沢な選択ができたのも、学類の制度のおかげです。

 実際のところ、選択は間違いではなかったと思

っています。それを強く実感できたのが、電気電

子工学創造実験の「ゑれきてるコンテスト」です。

学びたての電磁気、回路の知識に加え、情報分

野の知識、技術を活用できたことが勝利の一要

因だと信じています。

 大学に入ってみないと、学科の様子は見えな

いものです。一通り情報を集めたら、後は、知的

好奇心の惹かれるままに。そんな選択も良いので

はないでしょうか。

 現在、私は開発システム工学科(電気Bコース)

に所属している2年生です。1年生のときには、全

類共通教育を受けて、工学研究者になるための

基礎知識を学びました。2年生になると、電気Bコ

ースに入るため、情報工学科の授業で本格的な

コンピュータに関する知識を勉強します。

 しかし、専門知識を勉強するだけではなく、海

外諸国、特にアジアの各国について、その文化、

政治、経済、歴史など、幅広くさまざまなテーマに

ついて勉強をします。また、プレゼンテーションや

ディベートなど、実践的な議論をすることも多く、

他の学生とチームワークをうまく取りながら進めます。

人数は日本人半分と海外からの留学生が半分で、

みんな仲良く友達になっています。このような活

動を通じて、国際的な工学研究者としての素質を

高めることができます。

 4年生になると、開発システム工学科の学生向

けの研究室から、自分がチャレンジしたい研究テ

ーマを選択できます。将来、卒業したら、日本で学

んだ知識を生かして発展途上国および国際社会

に貢献し、国際的な研究者を目指していきたいと

思います。

 私は今年春、高等専門学校から3年次編入学

をしました。編入学試験は大学によって日付が異

なるためいくつもの大学を併願することができます。

その中でどうして東工大を選んだかというと、理由

がいくつかあります。

 まず、興味のある音響・画像解析分野で優れ

た研究環境があり、教授陣がいらっしゃることです。

高専からの編入では偏差値という概念はあまりな

く、興味のある研究分野が十分学べるかが重要

です。次に、海外からの留学生・研究生が多く、

海外提携校もたくさんあることです。母国語でも

ないのに英語の話せる留学生達はとても刺激に

なります。大学院では留学し、海外で学びたいと

思っています。また、23区内にありながら緑にあふ

れる広 と々した校内は、勉強するには最適です。

水曜日は全学年午後から専門授業がありません。

そこで私は、1日中英語関連の授業を取り「英会

話の日」としています。週末は渋谷や原宿で買い

物やカフェ巡りをしたりもしています。

 時間がある大学時代だからこそできることがた

くさんあると思います。周りに流されずに自分らし

さを見つけてみるのもいいのではないでしょうか。

情報工学科3年 Nagai Yuri

永井 友梨さん

 大学を選ぶ時点では、具体的に大学で何をした

いか決まっていない人も多いでしょう。僕もそのひと

りでした。その点で、5類(電気・情報系)に入ってよ

かったと思っています。なぜならば、1年生の間にど

の学科が面白そうかをじっくりと考えることができる

からです。僕は情報工学科を選びました。

 情報工学科の基礎専門科目は、計算工学分野

と集積システム分野に大きく分かれています。基本

的には、どちらかの専門分野を選び専門知識を深

めていくのですが、実際には両方の分野の講義を

履修することも可能です。興味と気力さえあれば両

方の分野を本格的に学ぶこともできます。また、上

の学年の講義も受講することもでき、それに加え、

電気・情報系以外の他学科の講義を受けることも

可能です。

 僕の場合は、1年生の間は少しダラダラしてしま

いましたが、2年生からは興味があれば何でも受ける

というスタンスで、自分の専門分野だけでなく、他学

年、他学科、他分野の講義も受講しました。興味が

あって履修を始めたからには頑張らないと…という

思いもあり一生懸命に勉強しました。その甲斐もあり、

大学院への飛び入学の資格を得ることができました。

情報工学科3年 Nakamura Taichi

中村 太一さん

電気電子工学科2年 Toyama Takashi

遠山 喬さん 開発システム工学科(電気Bコース)2年 Ou Rinki

オウ リンキさん

 電気電子工学科の実験レポート等の課題は充

実していましたが、勉強から一歩離れたところで感

じ取ったことも私にとっては大きな収穫です。2003

年夏から一年間弱、休学して米国に留学して来ま

した。留学中には、価値観・人生観・境遇等が私と

は異なるさまざまな人と知り合いました。たとえば、

スペインのバスケットボールのセミプロ、自分の将

来のビジネスプランを語る人、大学で警備員をしな

がらこつこつと授業をとって卒業を目指す人、ハー

バード大を出てコロンビア大のメディカルスクール

に通うエリートなど、例を挙げたらきりがありません。

多様な人との出会いから学んだのは、自分自身の

ことです。さまざまな人に囲まれると、自分と他人の

相違点や共通点がわかりやすいので、自分の性格

や価値観などをよりよく知ることにつながったのだ

と感じています。

 自己発見のためには、自分と似たような人に囲

まれるよりも、自分と異なる価値観の人と知り合っ

てさまざまな体験することのほうがよいのかもしれま

せん。そういう意味で、留学したり、世界を旅行した

りしてさまざまなことを在学中に経験することはよい

ことなのかなと思います。      

電気電子工学科4年 Nakashiba Tetsuya

中柴 徹也さん

やる気とチャレンジ精神があれば、東京工業 大学は無限にオモシロイ。 Voice在 学 生 の 声

日本で専門知識を学ぶ、国際的な研究者をめざす。

興味のあるものには、もっと貪欲になろうよ。

自分らしさをみつけるために、今だからこそできることを。

さまざまな人との出会いから、自分がわかってきました。

知的好奇心を満たすことは大切ですよね。

安藤・広川研究室、西方研究室、荒井研究室、水本研究室、荒木・村田(英)研究室、鈴木(博)研究室、高田研究室、 亀井研究室、小山・宮本(智)研究室、小林(功)・植之原研究室、上羽・中村研究室、青柳研究室、伊藤研究室、 大山・山口・小尾研究室、黒澤(実)研究室  世界中に大容量の情報をやり取りするためには、高速でたくさんの信号を通信できる「光ファイバ伝送技術」を用いる必

要があります。そのためのレーザなどの要素技術や超高速な

光信号処理などを研究しています。ナノメートルサイズの半導

体膜を成長させたり、電子ビームで微細パターンを形成する

世界最高水準の装置と技術を駆使しています。

 携帯電話(端末)と電話局(基地局)の間で正しく通信す

るのに必要なアンテナ技術、多くの人が同時にきちんと電話を

使える通信方式などの研究も行っています。また強力な超音

波を使ってものを浮かしたり、0.1ナノメートル単位で動かす技

術なども研究しています。

 他にも、電波などを使った遺跡探査、原子の波を利用した

デバイスの研究、超音波を用いた医療情報処理など、波を使

った広い研究分野をカバーし「世界で初めて」あるいは「世

界で最高」の成果を常にめざしています。

中本研究室、阿部研究室、中川研究室、小長井・山田(明)研究室、Sundhu研究室、岩本研究室、真島研究室、 山下研究室、半那研究室、梶川研究室、宗片研究室

 エレクトロニクスには、さまざまな種類の材料が使われていま

す。「半導体」はコンピュータやあらゆるエレクトロニクス回路に

用いられ、「磁性体」はハードディスクのように大量の情報記録

が得意です。「誘電体」は、コンデンサのみならず、平面ディス

プレイに使用される液晶や有機ELに使用されています。エレ

クトロニクス材料の研究では、これらの応用技術を発展させる

ために材料の特性を向上させるのみならず、全く新たな性質

や機能を持った新材料の開発も

めざします。このような新材料が

開発されれば、これまでにない新

しい応用分野を創りだして、人類

がかかえている課題を克服できる

可能性が出てきます。

 例えば、光を高い効率で電気

エネルギーに変換できる半導体を

開発すれば、「省資源・クリーンエ

ネルギー」に寄与する太陽電池

が実現され、“環境問題の解決”

に貢献できます。また、めざましく

進歩している遺伝子工学の成果を磁性材料・半導体材料と

組み合わせることによって、高性能のガン診断技術を開発して、

“高度医療技術の実現”に寄与できます。 

 このように、エレクトロニクス材料グループでは新たな応用

分野を生み出して、社会を発展させ、豊かにする推進役とし

ての高機能性材料の開発をおこなっています。

古屋・宮本(恭)研究室、小田・水田研究室、石原研究室、徳光研究室、筒井研究室、岩井研究室、浅田研究室、 大見研究室、渡辺(正)研究室

 パソコン・携帯電話などの情報・通信機器やディジタル家電

機器など、現在の高度情報化社会は数え切れない先端エレ

クトロニクス製品で支えられています。これらの製品は、マイク

ロプロセッサやメモリをはじめとするさまざまな機能を持つ半

導体集積回路で構成されており、その中に組み込まれている

電子デバイスは、さらなる高性能化・高集積化・高密度化をめ

ざして絶え間なく発展を続けています。

 電子デバイスグループでは、このような最先端電子

デバイスの次世代・次々世代技術の先行研究と、さらにその

先を見据えた全く新しい原理に基づく電子デバイスの探索

研究を行っています。例えば、電子線を用いた10ナノメータス

ケールの半導体超微細加工技術、原子層レベルで制御され

た半導体や高誘電体の極薄膜形成技術、直径数ナノメータ

の超微粒子・細線の形成・配列技術など、超微細構造を自在

に作製する「ナノスケールものづくり技術」を開発しています。

 また、そのようなナノ構造

中での電子1個1個の動きを

制御することで動作する情

報処理デバイスや、電子の

量子力学的な波としての性

質を利用した超高周波デバ

イスなど、これまでのエレクト

ロニクス技術とは全く異なる

動作原理を取り入れることで、

飛躍的な性能や機能の向

上を実現する『夢』にも挑戦

しています。

 

ナノメートルサイズの 半導体薄膜成長

電子ビームによる 微細パターン形成

ナノスケール半導体作製風景

装置内部 装置内部

《応用分野》

Internetなどの大容量通信

レーザプリンタ 面発光レーザ

光ファイバ通信用半導体レーザ

東京工業大学発の実用化技術

高効率薄膜太陽電池の開発

半導体ナノ・ホール素子高性能ガン診断技術

19 20

電子デバイスの研究

エレクトロニクス材料の研究

波動・光および通信の研究

研究室は、未来を創るステージ。 研究室は、未来を創るステージ。 教えられるだけではつまらない。

自ら課題を見つけ、解決法を探し、結論を導きだすのが大学の勉強のほんとうのオモシロサ。その現場が研究室。

ナノテクノロジー、エレクトロニクス、ITなどめざましい発展を遂げる科学技術を牽引している東京工業大学の研究室。

そこに飛び込んで、快適な未来社会をあなたの手で創り出すことができます。

【関連する研究室】 【関連する研究室】

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研 究 室 FILE

弾道電子トランジスタ(左上)、シリコン量子ドット(右上)、極微細SOI-MOSFET(左下)、強誘電体メモリ(右下)

波動・光および通信

電子デバイス

エレクトロニクス材料

電力・プラズマ パワーエレクトロニクス システム制御

回路・信号処理 画像処理 医用・生体情報処理 情報通信技術

VLSI・計算機システム

計算機ソフトウェア 言語、アルゴリズム

パターン認識と学習 画像処理・理解 ヒューマンインフォメーション

人工知能 音声言語理解 情報システム

藤井・高木研究室、松澤研究室、西原研究室、益研究室、杉野研究室、黒澤(実)研究室

 「回路・信号処理の研究」とは、トランジスタや抵抗などの

素子を巧みに組み合わせることにより、素子だけでは得られな

い特性を実現し、信号の性質や処理の手順を考え、性能を

落とさずに処理を効率的に行うことです。例えば、携帯電話

を使って会話をするためには、音声信号が乗せられた電波を

電気信号に変え、携帯電話の方式に合わ

せて、人間の耳に聞こえる音に変換しなけ

ればなりません。今の携帯電話は音声を送

るだけでなく、計算機上のデータを送るため

の手段にもなっています。

 携帯電話の中では、音声や画像などのさ

まざまなデータを含んだ電波から得た電気

信号を増幅したり、電気信号の周波数を変

換したり、不要な信号成分を除去したりする

回路が使われています。また、データを電波

に乗せる方式としては、電波の周波数を変

えたり、振幅を変えたり、さまざまな方式が有

り、それぞれに合わせた信号処理を効率良

く行い、データを復元しています。1回の充

電で携帯電話の使える時間を延ばすためには回路の消費

電力を低減させなければなりません。決まった時間に大量の

データを送受信するためには信号処理の速度を向上させな

ければなりません。これらも「回路・信号処理の研究」の大き

なテーマになっています。

 

坂庭・山田(功)研究室、鈴木(博)・府川研究室、荒木・村田(英)研究室、高田研究室、植松・松本研究室、 尾形研究室、酒井(善)・山岡研究室、伊東研究室、飯田研究室、羽鳥研究室、角田研究室

 皆さんが日常生活の中で気軽に利用している携帯電話や

インターネットですが、実はこれらには、さまざまな情報通信に

関する技術が至る所に組み込まれています。

 例えば、携帯電話では、無線という雑音が発生する通信路

でも正確に多くの情報を送ることができる「符号構成技術」、

携帯電話からのインターネットアクセスを実現する「無線IPネ

ットワーク技術」、同じ携帯電話端末でもソフトウエアを入れ

替えるだけで新しい方式や日本以外の国で利用が可能にな

る「ソフトウエア無線技術」、雨の中や都会の喧騒といったさ

まざまな状況でも正確に電波を捉え

る「環境適応アンテナ技術」、携帯

電話の電池を長持ちさせる「通信

方式技術」、送信されている内容の

盗聴を防ぐ「セキュリティ技術」など

の技術が使われています。最近では、

携帯端末にきれいな画像を送信し

て表示する「画像通信技術」、携帯

端末で利用されるコンテンツの権利

を保護する「電子透かし技術」など

も利用され始めました。

 インターネットでは、送られているデータをさまざまな目的ごと

に適切に相手に届ける「ネットワーク制御技術」、一斉にアク

セスするサーバを、利用者の誰もが満足できるように制御す

る「スケジューリング技術」、ユーザの利用状況に応じてネット

ワークを構築していく「ネットワーク設計技術」など、枚挙にい

とまがありません。

 ここにあげた技術は、すべて情報工学科で現在取り組ま

れている研究課題なのです。

小杉研究室、大山研究室、山口研究室、小尾研究室

 インターネットのコンテンツやディジタルカメラなど、いまや身

近になった画像技術。本グループでは、医療、商取引、防災

や農作物管理など、様々な分野で欠かすことのできない画

像情報を有効に活用するための研究を行っています。

 例えば医用画像処理技術。がんやアルツハイマー病の診

断に役立つと期待されているポジトロンCT(PET)のための

画像処理方法、内視鏡で従来見えにくかった早期がんなど

の病変を強調する方法、脳電位計測で得られるデータから

脳内の病気を推定する方法などを研究しています。

 また、一般に使われている赤緑青3原色のカラー画像情

報だけでなく、赤外線で撮影、または可視光の波長を多数に

分割して撮影して得られる「マ

ルチスペクトル画像」を利用し

た研究を進めています。例えば、

衛星画像や航空写真、病理顕

微鏡などで得られるマルチスペ

クトル画像を解析し、注目する

対象物を自動抽出する技術。

さらにこのマルチスペクトル画

像を利用して、実物の色を忠

実に再現す

る画像システ

ムを実現し、

ファッションや

自動車など、

オンラインの

商取引や遠

隔医療など

に応用してい

ます。画像表

示でも「多原色」を用いて、今までよりも鮮やかな色を表示でき

るディスプレイを開発しました。

 このような画像の処理方法を創りあげるにあたっては、人間

の脳の中で行われている情報処理の原理を数学的にモデル

化して脳型の情報処理方式を構成し、衛星画像の解析や医

用ロボットなどに応用しています。さらに、人間の眼球運動をモ

デル化し、そのモデルと同じ制御機構を持つ視軸運動制御シ

ステム、すなわち、ロボットの「眼」の開発。人工神経、人工知能、

さらに人工生命の研究の基礎として、神経細胞を正確に模擬

できる電気的等価回路についても研究しています。

石井研究室、安岡研究室、嶋田研究室、高橋(宏)研究室、赤木・Ihara・藤田研究室、堀田研究室

眼球運動機能を備えた自動追従監視システム

イラン震災に伴う家屋の倒壊を衛星画像から自動検出した例。水色が正しく検出された対象を示す。

21 22

回路・信号処理の研究

電力・プラズマ、パワーエレクトロニクス、

システム制御の研究

画像処理、医用・生体情報処理の研究

情報通信技術の研究

右図 多原色表示による色再現範囲の拡大の概念図(色度図:色を2次元で表したもの)。従来よりも1.6~1.8倍の範囲の色を表示できる。

多原色表示の色再現範囲(例)

RGB表示位置の 色再現範囲

人間の眼が知覚 できる色域

コントローラー

モータ

モータ

広角レンズ付カメラ

単眼(望遠レンズ付カメラ) 広範囲画像 鮮明画像

マルチロボット作業システム

マイクロガス流からプラズマを作る 電力用パワーエレクトロニクス機器の実験装置

集積回路上に実現した低雑音増幅器 動画像の通信品質に関する研究議論 様々な最新技術を組み込んだ携帯端末

パルス大電力発生・プラズマ応用  「パルスエネルギー工学」は、雷のように蓄えたエネルギー

を一挙に放出する新しい電力技術です。パルスレーザやプラ

ズマディスプレイ、新材料の製造設備や環境改善装置などに

応用されます。

パワーエレクトロニクス  インバータエアコンなどの身近な家庭電化製品や配電設備

など、日常の電力使用に不可欠な技術です。新幹線も、パワ

ーエレクトロニクスで走っています。

システム制御  いろいろなプロセスを自動化するオートメーションなどは、多

数の要素を連携してシステムとして制御することが重要です。

ロボットシステムは、代表的な例です。

【関連する研究室】 【関連する研究室】

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研 究 室 FILE

500μm

米崎研究室、徳田研究室、横田研究室、佐伯研究室、西崎研究室、渡部(卓)研究室、望月研究室、 権藤研究室、合田研究室

 コンピュータはソフトウェア(=プログラム)があって初めて人

間の役に立ちます。私たちはさまざまな意味で、より良いソフト

ウェア(の作り方)を研究しています。

 ソフトウェアは人類の英知の結晶ですが、その複雑さのた

め、現在の科学レベルでも「正しく」動作するプログラムの構

築は難しいのが現状です。例えば、1997年、100億円以上の

費用を投じて作り上げた火星探査機では、プログラムのバグ

(誤り)のため、火星上で再起動を繰り返しました。他にも、

2002年の銀行システムのトラブル、2003年の航空管制システ

ムのダウンなど、多

くのソフトウェアト

ラブルが現実に

発生しています。

 私たちは「正し

い」プログラムを

作るために、ソフト

ウェア検証、プロ

グラミング言語、セ

キュア計算、ソフト

ウェア工学、ソフト

ウェア開発ツール、自己反映計算、組み込みソフトウェアなど、

さまざまな角度から研究を行っています。

 例えば、渡部研究室は「安全メール」の研究開発に参加し、

電子メールソフト「安全メーラ」(下写真)を担当。改ざん防

止や経路認証などの安全機能を実現しました。

 また、他にも高速に計算するプログラムを作るための、並行・

分散計算、グリッド計算の研究や、インターネット上の電子商

取引やデータ収集をよりよく行うための、Webアプリケーション、

データ工学などの研究も行っています。

 いろいろな電子機器に囲まれた今の高度情報化社会は、

コンピュータ(計算機)とそれを実現する大規模集積回路(VLSI)

の目覚しい技術の発展によって支えられています。

 数千万個ものトランジスタが集積されている現在のVLSI

を開発するためには、設計時間を短縮するためのさまざまな

設計自動化技術(回路を自動的に合成し配置配線する技術)、

回路の高速化・省電力化技

術、大量の計算処理を効率

的に実行する計算機アーキ

テクチャの構築、高性能ソフ

トウエアを生成するためのコ

ンパイラ技術等、さまざまな

技術が必要です。

 また、このVLSIを多数組

み合わせた大規模計算機

システムでは、データ記憶装

置やデータ通信路の障害に

よって一部壊れたデータを

自動的に修復する誤り訂正

符号技術や、システムレベル

の障害にも稼動を止めるこ

となく柔軟に対応するシステムアーキテクチャである自律分

散システムの構築などによって、システムの高信頼性を実現

することが重要になっています。

 この「VLSI・計算機システム」分野の研究室では、これら

の重要な技術の理論的研究と、VLSIからアーキテクチャレ

ベルまでの総合的なシステム設計・開発を行っています。

徳永研究室、古井研究室、篠田研究室、佐藤(泰)研究室、小長谷研究室、室田研究室、村田(剛)研究室、奥村研究室

 皆さんは学校でさまざまな知識を学び、考え、そして理解し

ています。しかしながら、「学ぶ」「考える」「理解する」とは、ど

のようなプロセスなのでしょうか? また、習得した「知識」は皆さ

んの頭の中に、どのような形で蓄えられ、どのように使われてい

るのでしょうか?これらは、とても古くからある問いですが、その

答えはまだよくわかっていません。

 我々はこれらの問題に対し、計算機科学の立場からアプロ

ーチします。すなわち、人間と

同じように学び、考え、理解す

る知的なコンピュータをつくる

ことを究極の目標としています。

他の動物にはない、人間にの

み備わった能力である言語

の理解の研究、音声言語(話

し言葉)の認識および合成の

研究、マルチメディアを含むあ

いまいな(確率的な)知識を

表現・推論する研究、混沌と

したWWWの世界から知識

を獲得する研究、複雑な生

命現象を記述する言語の研究、人間の学習を助ける教育・

学習システムの研究、ソフトウェア・エージェントとの対話の研

究、などを行っています。これらは、今までは、どちらかというと

コンピュータが苦手としてきた領域ですが、最近になり、活発

に研究が行われ、著しく進歩しています。研究成果は、人間

の知能の解明につながるだけでなく、人間の知的作業を支

援する高度な情報システムの構築に役立てられています。

杉山研究室、中嶋研究室、齋藤研究室、亀井研究室、山下研究室、熊沢研究室、小林(隆)研究室、長橋研究室、 佐藤(誠)・小池研究室、内川研究室、金子研究室、渡辺(澄)研究室、長谷川研究室、張研究室

 近年、コンピュータの性能は飛躍的に向上しています。し

かし、例えば写真の中から人の顔を見つけるといった、赤ちゃ

んでも簡単にできるようなことが、コンピュータでは未だにうまく

実現できていません。その原因は、人の顔を見つけるために

はどのようなプログラムを作ればよいかが分からないからです。

一方、人間の脳では、顔の認識には先天的に備わっている機

構と後天的に学習により獲得される機構が関与して、コンピュ

ータとは大きく異なった方法で顔を見ています。私達は人間

の情報処理のしくみを解明すること、そしてその素晴らしい

機能をコンピュータ

に活かす研究をし

ています。

 多くの人はキー

ボードを使ってコン

ピュータを操作する

と思います。もし、声

や手書き文字、指

や体の動き、さらに

は脳波でコンピュー

タを操作することができれば、コンピュータはもっと使いやすく

なります。また、コンピュータの出力結果を普通にディスプレイ

に表示するのではなく、CGキャラクターが音声で伝えてくれ

たり、3次元立体画像で表示することができれば、より便利に

なります。私達はこのような新しいマンマシンインターフェース

を始めとして、人に優しい情報環境を創り出す研究をしてい

ます。

 

藤原研究室、森研究室、國枝研究室、一色研究室、上野研究室、高橋(篤)研究室、杉野研究室、前島研究室

安全メーラ 研究風景の一コマ:学生同士で協力してソフトウェア研究開発

動画像圧縮符号化LSI

設備ネットワーク

アクチュ

エータ

センサ

広域ネットワーク

リアルタイム計算機システム 広域情報サービスシステム

エージェント

自律分散 アーキテクチャ/フォールトトレランス・拡張・保守技術

自律分散システム 顔領域の自動抽出

ソフトウェアエージェント:自然言語による3Dキャラクタとのコミュニケーション

音声対話システム

仮想キャラクターの動作生成

23 24

人工知能、音声言語理解、

情報システムの研究 パターン認識と学習、画像処理・理解、

ヒューマンインフォメーションの研究

V L S I・計算機システムの研究

計算機ソフトウェア、言語、

アルゴリズムの研究

【関連する研究室】 【関連する研究室】

【関連する研究室】 【関連する研究室】

研 究 室 FILE

25 26

体育館

グラウンド

桜並木

図書館

東京急行 大岡山駅

正門

テニスコート

百年記念館

イチョウ並木

スーパーコンピュータ

大岡山  北地区

緑が丘地区

大岡山  西地区

大岡山東地区

大岡山南地区

石川台地区

東京急行 緑が丘駅

手島精一先生像

大岡山駅に隣接した好立地。学びの刺激に満ちた 大岡山キャンパス。 C A M P U S L I F E

広 と々したグラウンドは体育授業を始め、サッカー部、ラグビー部、 アメリカンフットボール部などのサークル活動にも利用されています。

16CPU, 128GFLOPSのハイスペックマシン。 高校生がプログラミングのアイデアを競う大会、 スーパーコンピューティング・コンテストSuperConでも使用されます。

明治23年から25年間、前身である 東京工業学校・東京高等工業学校の 校長をつとめ、今日の東工大の礎を築かれました。

大岡山駅南口と向い合うように位置し、 改札から徒歩30秒という便利さです。

蔵書数は、図書約90万冊、雑誌約1万8千タイトルを誇り 昭和52年理工学系外国語雑誌センター館に指定されました。

11月下旬から12月上旬が黄葉の見頃。 一面落ち葉でおおわれ道路は、 黄金色の絨毯が敷かれたような見事さです。 硬式テニス部の練習場所。

西地区には軟式用のテニスコートがあります。

1987(昭和62)年11月に開館。 本学百年の歴史を回顧すると共に、東工大の科学・技術の研究や 教育の資料を、将来の発展に役立てるために収集・保存・展示し、 活用していただくことを主な目的としています。

昭和25年に植栽された本館前の桜並木は、 春には美しく花開き、新入生を歓迎します。

1階にアリーナ、温水プール、地階にトレーニングルーム、 武道場をもち、学生や教職員がスポーツ活動に利用しています。

東京工業大学の最寄り駅。 東急目黒線と東急大井町線の乗り換え駅にもなっています。

 東京工業大学の国際交流の歴史は古く、明治時代から中

国、朝鮮、東南アジア諸国の留学生を受け入れてきました。

現在は、世界約70カ国900名以上もの留学生が東京工業大

学で学んでいます。電気・情報系の学部・大学院だけでも留

学生は100名を超え、日本にいながらにして世界とふれあえる

グローバルキャンパスになっています。

 また、毎年数多くの学生が交流協定校をはじめ世界の大学・

研究所に留学しています。最近は海外留学のための新しい

プログラムが始まり、学生が国際交流をする機会が増えてい

ます。

活発な国際交流

■出身国別留学生数(平成16年度大学全体)

中国(38%)

韓国 (15%)

インドネシア(7%)

タイ(5%)

べトナム (5%)

その他地域 (30%)

世界との交流 (留学協定校の分布)

ドイツ:4校

イラン:1校

台湾:1校

中国:2校 韓国:8校

べトナム:1校 タイ:3校 シンガポール:1校 インドネシア:2校

フィンランド:1校 スウェーデン:3校

トルコ:1校

モンゴル:1校

アメリカ合衆国:4校

オーストラリア:2校

イギリス:1校

オランダ:3校

フランス:5校

イタリア:1校

ノルウェー:1校

スイス:2校

 まさか自分が理系世界最高峰のケンブリッジ大学の学生として研

究をする日が来るとは思いませんでした。2005年から始まった東工大

とケンブリッジ大学の交換留学プログラムに参加し、3ヶ月間の留学

を終えた今でもその思いは変わりません。

 ケンブリッジでは最先端の技術を用いて半導体の研究を行いました。

優秀な博士、学生の方 と々のディスカッションを通して非常に沢山の

ことを学ぶとともに、今後の研究につながる有意義な結果も得て、素

晴らしい留学となりました。

 また、生活の面でも多くの貴重な経験ができました。イギリスの方

だけでなく様々な国籍の人とのコミュニケーションを通じ、文化や考え

方の違いなど日本にいると、なかなか感じられないことも実際に体験

でき、英語力もそれに合わせて数段上がりました。

東工大という世界有数の技術を持った大学だからこそ、ケンブリッジ

大学とのコラボレーションも実現しているのです。是非、みなさんにも

ケンブリッジで貴重な体験をして欲しいと思います。

山端 元音さん 電子物理工学専攻 修士1年生 小田・水田研究室

清華大学との交流  東京工業大学は、2004年9月から、中国理工系大学の最

高峰である清華大学と提携し、大学院の合同プログラムをス

タートさせています。このプログラムでは、これまで例のないユ

ニークな教育を行い、日中両国の科学技術・産業経済の発

展をリードする指導的人材を送り出すことを目的としています。

その他地域 マレーシア、バングラディッシュ、フランス、イラン、台湾、フィリピン、ブラジル、イギリス、スペイン、ドイツ、ネパール、スウェーデン、オーストラリア、アメリカ合衆国、トルコ、パキスタン、エジプト、シンガポール、ロシア

明治時代から、グローバルキャンパスです。 明治時代から、グローバルキャンパスです。

ケンブリッジ大学留学生

〒152-8552 東京都目黒区大岡山2丁目12番1号 TEL.(03)5734-2790

《ホームページ》

発行者:東京工業大学/電気・情報系学科

大岡山キャンパス 東京急行大井町線・目黒線大岡山駅下車徒歩1分 すずかけ台キャンパス 東京急行田園都市線すずかけ台駅下車徒歩5分 田 町 キ ャ ン パ ス  JR山手線・京浜東北線田町駅下車徒歩2分  

成田空港

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横浜線

東急多摩川線

浜松町

東京

上野

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電気 電 子工学科 http://www.u.ee.titech.ac.jp/index-j.html 情 報 工 学 科 http://www.cs.titech.ac.jp/̃csu/index-jap.html 開発システム工学科 http://www.ide.titech.ac.jp/index-j.html