国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  ·...

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国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト に係ります、第2回の環境フォーラムを始めさせて頂きたいと思います。私、司会をさせて 頂きます広報室長の藤田と申します。よろしくお願いいたします。座ったまま進めさせて頂 きます。皆様もご発言頂く時は座ったままで結構ですのでよろしくお願いいたします。それ では、始めにこのプロジェクトの担当の部長であります資源金融部の小川よりご挨拶をさせ て頂きます。 国際協力銀行・小川 おはようございます。資源金融部の小川でございます。本日はお忙し い中多数お集まり頂きまして誠にありがとうございます。このフォーラム、既にホームペー ジ等でご案内しております通り、サハリンⅡプロジェクト、フェーズ2ということでござい ますけれども、こちらの関連のわが国に対する環境問題、これについて広く専門家、あるい は関係者の皆様からご意見を聴取するという目的で、既に1029日に第1回を開催いたしま した。今回は第2回ということで、第1回のときにご要望のありました油流出について引き 続き前半1時間くらいを目処にお話しをお伺いして、後半につきましてはパイプライン問題 についてご意見をお伺いすることが出来ればと思っております。 前回のフォーラムから1ヶ月近く経ったわけですけれども、この間、私ども、プロジェク トの関係者と2、3意見交換する機会がございましたので、簡単にそれについてご紹介させ ていただきたいと思います。まず11月の3日、4日でございますが、ユジノサハリンスク、 こちらを訪問いたしまして、サハリン・エナジー社のイアン・クレイグという社長ですね、 彼とサハリン州知事、マラホフ知事、こちらと面談してまいりました。これは各々、別々に 面談して参りました。サハリン・エナジー社に対しましては、こういうフォーラムを立ち上 げて、いろいろな意見を聞いている段階だと、今後引き続きいろんな意見が出てくるので、 それをそちらの方にも伝えるのできちっと対応してほしいということを伝えまして、向こう も誠実に対応していきたいというような回答がございました。 知事、マラホフ知事との面談でございますけれども、知事の方からは、やはりその、サハ リン州にとってこのプロジェクトが如何に大切なのかというような話、これを力説されてお られまして、特に出てきた天然ガス、こちらをサハリンの島内でも有効に使っていきたいと、 具体的には電力、あるいは熱供給、それの源として使っていきたいと、そんな話がございま した。それに対しまして私の方からは、プロジェクトの意義というのは十分理解しているけ れども、やはり日本にとっては環境問題というのは非常に重要な関心事項であると、で、フ 1

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Page 1: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

に係ります、第2回の環境フォーラムを始めさせて頂きたいと思います。私、司会をさせて

頂きます広報室長の藤田と申します。よろしくお願いいたします。座ったまま進めさせて頂

きます。皆様もご発言頂く時は座ったままで結構ですのでよろしくお願いいたします。それ

では、始めにこのプロジェクトの担当の部長であります資源金融部の小川よりご挨拶をさせ

て頂きます。

国際協力銀行・小川 おはようございます。資源金融部の小川でございます。本日はお忙し

い中多数お集まり頂きまして誠にありがとうございます。このフォーラム、既にホームペー

ジ等でご案内しております通り、サハリンⅡプロジェクト、フェーズ2ということでござい

ますけれども、こちらの関連のわが国に対する環境問題、これについて広く専門家、あるい

は関係者の皆様からご意見を聴取するという目的で、既に10月29日に第1回を開催いたしま

した。今回は第2回ということで、第1回のときにご要望のありました油流出について引き

続き前半1時間くらいを目処にお話しをお伺いして、後半につきましてはパイプライン問題

についてご意見をお伺いすることが出来ればと思っております。

前回のフォーラムから1ヶ月近く経ったわけですけれども、この間、私ども、プロジェク

トの関係者と2、3意見交換する機会がございましたので、簡単にそれについてご紹介させ

ていただきたいと思います。まず11月の3日、4日でございますが、ユジノサハリンスク、

こちらを訪問いたしまして、サハリン・エナジー社のイアン・クレイグという社長ですね、

彼とサハリン州知事、マラホフ知事、こちらと面談してまいりました。これは各々、別々に

面談して参りました。サハリン・エナジー社に対しましては、こういうフォーラムを立ち上

げて、いろいろな意見を聞いている段階だと、今後引き続きいろんな意見が出てくるので、

それをそちらの方にも伝えるのできちっと対応してほしいということを伝えまして、向こう

も誠実に対応していきたいというような回答がございました。

知事、マラホフ知事との面談でございますけれども、知事の方からは、やはりその、サハ

リン州にとってこのプロジェクトが如何に大切なのかというような話、これを力説されてお

られまして、特に出てきた天然ガス、こちらをサハリンの島内でも有効に使っていきたいと、

具体的には電力、あるいは熱供給、それの源として使っていきたいと、そんな話がございま

した。それに対しまして私の方からは、プロジェクトの意義というのは十分理解しているけ

れども、やはり日本にとっては環境問題というのは非常に重要な関心事項であると、で、フ

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Page 2: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ォーラムの内容も紹介しまして、やはりその、サハリン・エナジー社のみならず、州政府と

してもしっかり環境面への配慮をお願いしますという話を伝えて参りました。州知事はこれ

に対しまして、環境問題というのは十分よく理解しておると、で、行政府の立場から、JBIC

とも密接に意見を交換しながらですね、きちんと対応していきたいというようなコメントが

ありました。

また今週になりますけれども、22日ですか、月曜日ですね、ロンドンでシェルの本社、こ

ちらのCFO、財務関係の役員ですけれども、そちらとも話をしてまいりまして、主にサハリ

ン・エナジーに伝えた話と同じ内容を伝えてまいりました。先方からはスポンサーの中核と

してきちっとこの問題については認識しているし、前向きに対応していきたいというような

コメントがございました。

以上簡単ですけれども一応概要についてご紹介させていただきました。それと前回のフォ

ーラムにおきまして、このフォーラムの進め方についていろいろご意見あったかと思います

ので、そちらにつきましてもこちらのほうでいろいろと相談いたしまして、できるだけご要

望に沿うような形で進めたいと思っておりますので。この後、藤田の方からその辺について

はご説明させていただきたいと思っております。それでは始めさせて頂きたいと思いますの

で、引き続き活発なご意見よろしくお願いいたします。

国際協力銀行・藤田 すいません。あの。

FOE Japan・神崎 今の小川部長の・・・

国際協力銀行・藤田 関連してですか。

FOE Japan・神崎 はい、関連してです。

国際協力銀行・藤田 はい、それではちょっと手短に、すいません。よろしくお願いします。

FOE Japan・神崎 FOE Japanの神崎です。マイクの入れ方がちょっと分からないんですけれ

ども。FOE Japanの神崎です。おはようございます。今のお話に関連しまして、前回サハリ

ン・エナジーの方がこういう場に出てくるべきではないか、あるいは出てくる必要があるん

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じゃないかという意見が2、3出されましたけれども、その旨こういうフォーラムが開かれ

るということをお伝えいただいたということなんですが、サハリン・エナジー社の方がこう

いうオープンな場に出てこられない理由というのは何かおっしゃっていましたでしょうか。

その点についてお聞きできればと思いますが。

国際協力銀行・小川 一番重要なポイントだと思いますので、これは先方に伝えてあります。

先方の方からはですね、ちょっと検討させてくれというような話で、出ないとは言っており

ません。すぐ出るというような話ではございませんけれども、そこは検討させてくれという

ような返事を貰ってきております。

国際協力銀行・藤田 すいません、ちょっと今議論が始まってしまいましたが、私の方から

前回議論させていただいた内容について、このフォーラムの進め方について、今小川から申

し上げましたことについて2、3申し上げたいと思います。まず皆さんご案内のとおり、議

事録につきましては、既にテープ起こししたものをホームページに公開しております。ご覧

になりたい方は私どものホームページの「環境への取り組み」というところの中に「サハリ

ンⅡフェーズ2プロジェクトにかかるフォーラム」というところがございますので、そちら

の方をご覧になっていただきたいと思います。また、事前にホームページ上にこの第2回以

降のフォーラムについての開催日時、議題等につきましても事前に告知させて頂いておりま

す。誰でもご参加できるという形にさせていただいております。

それと、前回ご要望のありました、所属する組織の関係で、例えば出張手続き等の関係も

あるので、私どもから必要な書面等の交付というご要望につきましては、これもホームペー

ジに書いてありますが、ご要望いただければ、私ども対応するということにさせていただい

ております。

それと、前回ご要望のございました札幌での開催でございますが、こちら今回のホームペ

ージの案内の最後に書いてございますが、私どもも検討しまして、札幌では、基本的に東京

でのこのフォーラムが本会合ということでございますので、こちらで議論を進めさせていた

だきたいと思っております。北海道では、基本的に東京で行われているフォーラムのそれま

での議論の概要等につき北海道の方々にご報告させていただくと、また、その場で必要に応

じて北海道の方から意見を伺うという形で進めさせていただきたいと思っております。今の

ところ、札幌で来年の1月の24日、月曜日に開催しようと思っております。時刻等につきま

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Page 4: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

してはまた、詳細が固まったところでホームページを通じましてご案内させていただきたい

と思っております。あくまでも、この会合が本会合ということですので、北海道の方にも、

よろしければこの会合にご出張ということでちょっとお願いすることになります、ご負担を

頂くことになりますが、ぜひこの会合にご参加いただきたい、ということを重ねてお願いし

たいと思います。

それでは、今日は最初の1時間は油流出事故関連、後の1時間はパイプライン関連という

ことですが、今回議論が終わらない場合には、また引き続き別途時間を改めてセットさせて

頂いて、議論を続けたいと思っております。それと、誤解無いように申し上げたいのですが、

すいません、誤解無いように申し上げたいのですが、このフォーラムにつきましては、前回

も申し上げましたとおり、まずは私ども、このプロジェクトがわが国、事業に伴いましてわ

が国に影響を与える、環境において影響を与える問題について議論をするということでござ

いますが、その問題点についてまずは私ども最初の段階としては皆さんからご意見を伺うと、

その上で対策につきましては、これも繰り返し申し上げておりますが、プロジェクト実施主

体が環境対策について責任を負うということでございますので、問題点につきましては、私

どもの方からサハリン・エナジー社に伝えると、その結果を受けてどういう対策になるのか、

私どもがそれを受けて私どもの中で一回審査をする、もしくはそのままという形かもしれま

せんが、皆様にフィードバックさせていただくということで、このフォーラムについては、

ある意味ではサイクリカルに動いていくということで、言葉を変えて言いますれば、フェー

ズ分けといいますか、今の段階は私ども皆様から問題点を聴取させて頂いているという段階

でございます。そういう問題点につきましてまずお伺いして、その上で対策を考えていくと

いうことでございます。そういう意味で、今回この1時間で足りないのではないかというよ

うなことをもしお思いになる方がおられるとしましたら、まず今日の1時間は問題点につい

てご議論といいますかご意見を伺うということでございます。

それと、ご発言は出来ましたらいろいろな方にせっかくお出で頂いておりますので、特定

の方だけにご発言が集中するのは避けたいと思っておりますので、出来ましたらお1人3分

程度のご発言ということでお願いしたいと思います。出来ましたらルールとして、1回ご発

言された方は、他の方が挙手されている場合には、ちょっとご発言はお待ちいただきたいと、

このように思っております。できれば、なるべくたくさんの方にご意見を伺いたいという考

え方でございます。

それと、お手元に資料を配らせて頂いております。私どもの作りました、議論を進行させ

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Page 5: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

る上でのレジメと、あとは参加されている方々、あと今日残念ながら欠席された方から頂い

ている意見書でございます。ご出席されている方で、今回この紙をお出しになって頂いてい

る方におかれましては、ご発言のときは紙を読み上げるというよりも、むしろ紙はもう私ど

も承っておりますので、これをそのままサハリン・エナジー社に手交いたしますし、できま

したらご発言はこのレジメに沿ったところでポイントをご発言いただけるとありがたいと

思います。ということで、私どもから申し上げることは以上でございます。

よろしければ、私どもの方に、ちょっと今回残念ながら欠席されている方で、前回資料を

お配りになられた方がおられまして、それはお手元の資料の中にですね、私どものレジメの

下にあります、北海道のラプターリサーチ代表の、獣医師の斉藤さんからの意見書をつけさ

せていただいておりますが、これは前回、最後にこれをお読みくださいということで、皆様

にもお配りさせて頂いたものでございます。今回ご本人からもお電話いただきまして、ぜひ

ご紹介いただきたいということですので、私からまことに恐縮ですが、勝手ながら冒頭この

斉藤さんの意見書について、ご紹介を先にさせていただきたいと思います。その後に、ご発

言を頂きたいと思います。また、ご発言は前回も申し上げましたとおり、ご発言の後に所属

とお名前を言われた場合にはそのままテープに入ります。そのまま議事録として残ります。

もし、お名前を匿名にされたいという方がおられましたら、恐縮ですが、これも前回申し上

げましたように、私のケースですと横浜市の藤田ですというような形でありましたら、匿名

にさせていただきますので、よろしくお願いします。どうしても所属と名前を出すというこ

とであれば、その旨挙手の後に、ご発言の前におっしゃっていただきたいと思います。

それでは、まことに恐縮ですが、斉藤先生からの意見書をまず冒頭私からご紹介させてい

ただきたいと思います。まず先生からの意見書について3点ほど意見がありまして、大きく

分けて1点目は野生生物について、2点目が今回の油流出関連、3点目がフォーラムの開催

地ということでございます。フォーラムの開催地につきましては、冒頭申し上げましたよう

に北海道での開催を検討しているということでご回答させていただきたいと思います。ご意

見の1番目と2番目、こうありますが「議題について」というところで1番目のパラグラフ

と2番目のパラグラフがあります。

1番目のパラグラフは野生生物ということですので、こちらにつきましては、後ほどパイ

プライン、もしくは次回12月6日に予定しておりますフォーラムで議論をさせていただけれ

ばと思っております。

2点目の油流出関連のところでございますが、こちらにつきましては、私ども既に前回議

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論を始めさせていただいておりますとおり、私どものレジメを出来ればご覧になっていただ

きたいのですが、レジメの2ページのところに、今回の油流出関連のレジメを用意させて頂

いております。前回議論させて頂いている内容を取りまとめたものですが、大きく分けて油

流出への事前防止策と事後対応策ということで2つに分けております。この2つのフェーズ

の中でどういう問題点があるのかということについて議論を深めたいと思っております。斉

藤先生のおっしゃっていることについては、私どもとしては基本的にこの油流出対策という

ことで、具体的な対策を議論したいと思っておりますので、そのようにお考え頂きたいと思

っております。

それと後もう一方、すいません、ご欠席いただいている、ご欠席の方、一番最後に資料を

つけております植松さんという方から紙を頂いております。こちらは、この方のご意見、一

言で申し上げると、カリフォルニアにおけるオイルド・ワイルドライフ・ケア・ネットワー

クと同じようなものをサハリンでも作るべきではないかと、こういうご意見でございます。

これは、私どもの今回のレジメの中にも入れさせていただいておりますが、前回のフォーラ

ムで出てきたご意見として承っております。こちらは、しかと承ったということで回答申し

上げたいと思います。

ということで、私どものこのレジメをご覧になっていただきまして、できましたら、この

油流出関連につきましては、事前防止策、事後対応策ということに分けております。それぞ

れ、どちらのフェーズのどのポイントについてこういう意見があるということでご発言いた

だけるとありがたいと存じます。そのような形で進めさせていただきたいとこのように思っ

ております。それでは挙手の上ご意見いただきたいと思います。

では、あちらの。

潟の生態史研究会・長田 潟の生態史研究会の長田といいます。大学院のドクター在籍中に

ですね、サハリン北東沿岸に入りまして、主に先住民の自然資源利用について調査・研究を

してまいりました。その経験に基づいていろいろな意見を言えることができるかと考えてお

ります。そこでまず最初に斉藤さんの意見書についてなんですが、これはとても重要な、根

本的な問題だというふうに思いました。前回の議事録も読ませていただいたんですが、実施

主体がきちんとした環境対策を取るんだと、そのために、できれば、ここではアドバイスを

送りたいということだったんですが、実施主体がですね、きちっとした対応をとってもらう

ためにも、ここでは建設的なアドバイスが必要だと思うんです。そのためにはまず、先ほど

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具体的な対策を議論するとおっしゃいましたが、これはたとえて言うならば、木を見て森を

見ずの議論になりかねないので、まずベースラインとして、どういう自然環境があってです

とか、その考え方、プロセスのステップ・バイ・ステップをきちっと踏まえて、考え方を整

理した上で、その中で例えばパイプラインならパイプライン、油流出なら油流出の問題点を

きちっと位置付けて議論をしないと、一体なにを、どういうふうな議論をしているのか、ど

のような有効な手段があるのか、こういうようなところがきちっと事前に評価できなくなっ

てくると思うんですね。ですからこの点を踏まえて、きちっとまず現状がどうなっているの

かというステップ・バイ・ステップを切った議論をぜひここでやって頂いて、その上で建設

的な意見をサハリン・エナジー社の方に出していただく、そうすることによって、サハリン・

エナジー社も、どういう考え方をして、どういうような追加の質問が主に必要なのかという

ことが見えてくると思うんですね。それのないままに、個別的対応でやっていくと、結局は、

先ほども言いましたけれども、木を見て森を見ずの対応になって、事後で何か起こったとき

の説明責任が問われることになると思います。

国際協力銀行・藤田 隣の方、お願いします。

FOE Japan・神埼 FOE Japanの神埼です。こちらの斉藤さんの意見書と、隣の今ご発言さ

れた長田さんの意見を踏まえまして、私としましても、やはりもともとのそこの生態系がど

うなっているかという視点を抜かしては、一体何のための油流出対策であるのか、パイプラ

イン対策であるのかという視点が、すっぽりと抜け落ちてしまうと思います。ですからここ

で、具体的に提案させていただきたいのは、この意見書に沿いまして、次回ですね、個別種

に突然行くのではなく、生態系という大きな枠で捉えての議論をまず始めるということで、

議題の設定をですね、まず、次回に関しまして、野生生物という話で今、おっしゃいました

けれども、生態系の中のそれぞれの種であるというふうに理解してますので、そういう風に

議題設定を変えていただくことを提案いたします。

国際協力銀行・藤田 今のご意見ですが、私どもとしましては、ご意見としては承ります。

ただ、次回のフォーラムの議題を変えてほしいということにつきましては、まことに恐縮で

すが、既に次回のフォーラムの議題を前提としてですね、ご参加をされるということで登録

をされておられる方もおりますので、次回のフォーラムの議題を変えるということは、ちょ

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っとここでお約束は、はっきり申し上げて出来ないです。ということで、申し訳ないですが、

野生生物全般を含めた鳥類、海洋性哺乳類ということで、議論をさせていただくということ

しかないと思っております。

他にご意見ある方、挙手いただければと思います。

東京工業大学 原科 東京工業大学の原科です。今回こういうことで議論が始まりましたけ

れども、最初に藤田さんがおっしゃったことで気になったのはですね、北海道、札幌で開く

ときですね、これをここでの議論の報告会という形式だとおっしゃったんですけど、このフ

ォーラムの趣旨を考えてみますと、事業主体の方にですね、環境配慮をしっかりやっていた

だくと、ですからそのための情報提供が大事ですよね、ということでまずこの場に出ていた

だきたいと、そういう趣旨で前回申しました。で、そのことは今検討していただいていると

おっしゃっておりますが、ぜひそれは検討なんて言っていないでね、もう次回ぐらい出てい

ただかないともう本当に情報が伝わらないと思いますよ。そんな意味で考えますと、北海道

というのは現地ですからね、正に、現地でいろんな関係者の方、ステークホルダーといいま

すが、利害関係者がたくさんいるわけです。そういった方の意見をまず、あるいは情報を得

なければいけないでしょう。そうするとその報告会というのも、この議論の単なる報告会で

はなくて、やはりその現地の方の意見、情報を幅広く聞くというですね、そういう場にして

いただかなければいけないと思います。その意味で、特別の形にはなりますけれども、ぜひ

この環境フォーラムの一環のものとして位置付けていただいてですね、きちんと情報収集の

場ということで大変重要だと思いますので、それをお願いしたいと思います。

それから後もうひとつ、繰り返しの議論が大変大事と前申しました。これは住民参加でい

う4段階目、レベル4のですね、意味ある応答、レベル3というのは、形だけの応答だから

これは非常にまずいわけですね、意味ある応答をしていただきたいと、そういうお考えで進

めるということをおっしゃったと思います。今日は問題が何かを把握する段階で、次の対策

がどうかはまた別のラウンドでやるとおっしゃたんですね。そういったことを期待しており

ますから。

今日はそういうことで、問題把握ということで絞っていいと思いますけど、それにしても

1時間というのは短いような感じがしますから、場合によっては、少し議論がややこしくな

ったら、少し時間を増やすことくらいは考えていただきたいと思います。進め方に関してお

願いしておきます。

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国際協力銀行・藤田 ご意見承りました。今の時間を延ばすということにつきましては、こ

れも真に恐縮なんですが、今回ご参加いただいている方、最初の1時間でお帰りになるとい

うことで登録されておられる方もおりますので、冒頭申し上げましたように、足りない場合

には、別途時間を改めて、日時を設定しまして、議論を続けさせていただきたいと、このよ

うに思っております。この場で、例えば次の議題から、2番目の議題からもご参加されると

いう方もおられますので、まことに恐縮ですが、足りない場合には、また別途日時を改めて、

継続させていただきたいと、このように思っております。あと、北海道・・・

潟の生態史研究会・長田 確認させていただけますか?

国際協力銀行・藤田 すいません、ちょっと今発言中なので。それとあと北海道でのフォー

ラムの位置付けですが、私どもとしては、やはり北海道でも当然ご意見を伺うということな

んですが、なるべくこのフォーラムにいろいろな方々に参加いただきたいということでお願

いしておりますので、その点はご理解いただきたいと。本会合はあくまでも東京ですけども、

北海道でも当然意見は伺いますが、なるべく北海道の方は、北海道でやるのでもう東京には

もう来ないぞ、ということでは、ちょっとそれでは意見が深まらないといいますか、議論が

深まらないと思っておりますので、そのように申し上げているだけでございまして、北海道

でも当然必要なご意見は伺っていくと、議論もさせていただくということだと思っておりま

す。ただし、本会合という位置付けでは、この東京が本会合であると、このようにお考え頂

きたいと思います。

それでは、確認とおっしゃられた方、どうぞ。

潟の生態史研究会・長田 確認させてください。私が先ほど言ったのは、議論する話題は、

レベルに違いがあるだろうということだったんですが、そういう意味で生態系というのはか

なりベーシックな、グラウンドのレベルのものであるといいました。この点についてはJBI

Cさんの皆さんも共通理解として考えてもよろしいのでしょうか。

国際協力銀行・藤田 JBIC側の方から、お答えをお願いします。

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国際協力銀行・小川 生態系という話なんですけれども、今、私どもがポイントで考えてお

りますのは、ご指摘のありますコククジラの問題、それとオオワシの問題ということでござ

いますので、この2つがポイントになってくるのだろうなということでございます。そのク

ジラの生態系がどうなっているのかということが、ベースにあるというご指摘であればです

ね、サハリン・エナジー社のほうも、当然のことながら、そういうことを含めて、研究して

いると理解しておりますけれども。

潟の生態史研究会・長田 すいません、これを長引かせたくないので・・・

国際協力銀行・藤田 すいません、記録を残さないと、テープに残さないといけないのでマ

イクを使ってください。

潟の生態史研究会・長田 すいません、長引かせたくないのでこれで終わりにしますが、コ

ククジラというのは生態系の1つの要素にしかすぎません。ですから、それをもって生態系

が捉えられているというのは認識がおかしいと思うので、ぜひ、ここのサハリンの今、該当

する地域での生態系というものがどういうものなのか、それをどういう風に位置付けるかは、

次回以降でいいですから、きちっとした根拠に基づいて、JBIC側の見解というものを出し

て頂いて、それについてもやはり議論が必要だと思います。よろしくお願いします。

国際協力銀行・藤田 今、頂いた意見につきまして承りました。承りましたので、次回以降

ということで、進めさせていただきたいと思います。ちょっともう時間がまた、25分が経過

しましたので、すいません、同じご意見ですか?

FOE Japan・村上 違います。

国際協力銀行・藤田 油の関連でしょうか。もう油の関連の関係で話を進めたいと思ってお

るんですが。

FOE Japan・村上 おはようございます。FOE Japanの村上と申します。私も今日のフォー

ラム用に一枚のペーパーを用意させて頂いて、で、趣旨はこのことについてではなかったん

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Page 11: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ですけれども、まったく意見を聞いてくださらないので、ちょっと、もう少しご説明をさせ

ていただきたいのですけれども、こちらの、「JBICとEBRDが2004年の6月30日と7月1日に

札幌と東京で実施したサハリンⅡフェーズ2プロジェクトの環境関連意見交換会において」、

このことについて、油流出関連について後ほどちょっと申し上げたいんですけれども、この

会合はですね、JBICと同じように融資を検討しておりますEBRDとJBICが今年の6月、7月

に開いたものなんですけれども、この場でもJBICは意見を聞き、環境審査に役立てるとい

うことで、参加者の方がこれだけの意見を出しました。2枚目、裏側の方を見ていただけれ

ばわかると思うんですけれども、野生生物に関して、ごらんのようにこれだけの意見がこの

時点で上がっております。ハマシギ、カラフトアオアシシギとか、シギ、チドリ類などの希

少種への対応を懸念している、環境影響評価には調査結果があるものの対策が書かれていな

い、あと希少種に対する累積的な影響を考慮してほしい、工事が進むと実行可能な環境対策

の選択肢の幅が小さくなってしまう、野生生物への影響について正確な調査が必要、油汚染

の際の影響をはかるためにも、現在の正常な状態での生態系メカニズムを報告書にするべき、

あとこうした影響を適切に把握するためにもベースラインデータが必要、また、トドは国際

的に数が減っているんですけれども、EIAではこれらについてほとんどの調査がなされてい

ない、また、アザラシなどの観察もしていますけれども、こういったものも、その種が餌場

など、どのようにその地を利用しているのかなど明らかになっていないので、そうした種へ

の影響は分からない、事業が進むことによって、環境対策やベースライン調査が出来なくな

り銀行の環境基準も満たなくなるということで、現状を把握するために立ち止まって、対策

を検討する必要があるという意見がこの時点で出ています。

既に5ヶ月くらいは経っているんですけれども、これだけの種類の野生生物のことに関す

る懸念が実際に日本の関係者の方から上がっていて、生態系としてベースラインなどの調査

が、油流出等の関連の対応策を検討する上でもまず先に重要であるという意見が上がってい

るんですけれども、先ほど小川部長から、生態系に関してオオワシとコククジラが重要だと

いうようなお話がありました。どういう風にこれらの意見を前回の意見交換会において聞い

ていらしたのではないかと、ちょっと非常に疑問に思うんですけれども、次回の方はもう発

表してあるから変更できないという理由はちょっと分かりません、このフォーラムの場、せ

っかくこれだけの方が集まって、有意義な場にするためには、いかにきちんとした議題設定

をすることが大事なのではないかと思うんですけれども、そのあたりで、前回のこの内容を

どのように聞かれて、そういった議題設定の判断をなさったのかという点をお伺いしたいと

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思います。

国際協力銀行・藤田 それでは、私の方からお答えいたします。基本的に、今、皆さんご覧

になって頂いている、EBRDと私どもの札幌、東京での会合での議論でございますが、今、

村上様がおっしゃられたことで申し上げますと、例えばハマシギであるとか、といったよう

な鳥類につきましては次回、オオワシ等の鳥類ということで鳥類の中には、私どもこういう

そのハマシギであるとか、他の希少種の鳥類を予定しております。またトドであるとか、ア

ザラシであるとかといったものは、これは海洋性哺乳類ということで次回議論しようという

ことを考えておりまして、クジラだけを議論しようということではございません。そういう

意味では、こちらのペーパーにあります、名前が出てきております希少動物につきましては、

次回大きく分けて鳥類と海洋性哺乳類ということで分けさせていただいているということ

でございます。先ほど小川が申し上げたクジラとオオワシということは、これはあくまでも

象徴的な希少種ということで申し上げたということでご理解をいただければと思います。こ

の2つだけしか議論しないということではまったくございませんでして、こちらにあります

ようにいろいろな種類の動物について議論をしたいと思っております。そういう意味では、

先ほど長田さんがおっしゃられた、次回以降でということで、次回、鳥類であるとか、海洋

性哺乳類について議題にしておりますので、その時に、生態系について議論をさせていただ

ければと思っております。

ただ、議題を変えたくないと申し上げているのは、次回の議題を生態系ということでまっ

たくがらりと変えてしまうと、もう既に、次回しか出ないという方がおられますので、その

方たちには、ホームページでもう紹介させて頂いているということですので、その旨、そう

いうことでご紹介させて頂いておりますので、そのテーマを変えることはちょっとなかなか

難しいということでございます。ただし、私どもとしましては、12月6日についての案内に

ついては、今日、もしくは明日におきまして、テーマとして、鳥類、海洋性哺乳類となって

おりますが、ある意味での野生生物全般ということで、鳥類であるとか、海洋性哺乳類と大

きく分けておりますが、その底流に流れる、生態系といいますか、その野生生物一般につい

ての議論ということは、議論をさせていただきますということを付言させて、追加させてい

ただくということを検討させていただきたいと思います。

すいません、油流出関係で話を進めたいので・・・

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FOE Japan・村上 あの・・・

国際協力銀行・藤田 特定の方だけ2回というのは、基本的には原則もうやめさせてもらい

たいと思っておりますので、もうこれで最後に。

FOE Japan・村上 時間が無いことで議論が非常に難しくなるんですけれども、ホームペー

ジにおいてのみJBICの方はこういった案内を出しておりまして、こうしたように個別種に

限ることによって、もっともっとサハリンの自然環境について情報をお持ちの方々が、いら

っしゃれないと思うんですね。ですので、ご検討いただけるということでしたけれども、オ

オワシなどの鳥類などと生態系という言葉、コククジラなどの海洋性哺乳類と生態系でもい

いですけれども、とにかくそういった幅広い方の、幅広い方からの意見を受け入れるという

意味でも、そういった形での案内をJBICの方が今回されていますので、ホームページの記

載というのは、変えていかないと、そういった貴重な意見というのは集まらないと思います

ので、その辺をお願いいたします。

国際協力銀行・藤田 すいません、今私が申し上げたことの繰り返しと理解しましたので、

恐縮ですが、こちら側の発言の繰り返しというのは、ちょっともうやめていただきたいと思

います。今、私が申し上げましたように、ホームページでの記載を検討すると申し上げまし

たので、その点は、そのようにご理解いただきたいと思います。

ということで、まことに申し訳ございません、油流出関連でいらっしゃっておられる方が

おりますので、30分以上お待たせいたしている形になりますので、このまま続けさせていた

だきたいと思います。先ほど申し上げましたように、油流出関連ということで事前防止策と

事後対応策ということに、大きく2つに分けておりますが、ご発言、どの部分についてのど

ういうものであるのかということについて、ご発言いただければと思います。恐縮ですが、

先ほどから繰り返しておりますように、議事録の関係でテープに入れておりますので、マイ

クを使ってご発言をお願いしたいと思います。

どうぞ。

海洋工学研究所・佐尾 海洋工学研究所の佐尾と申します。配布されております資料の「国

際協力銀行サハリンⅡフェーズ2プロジェクトに係る環境関連フォーラムに対する要望書」、

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立正大学の他、5名の連名で提出されている意見書について、概要を説明いたします。これ、

一部に字の誤りとかですね、ちょっと不適切な表現等がございますので、後日それは訂正し

てJBICの方に提出したいと思います。書かれている内容は主に全体の事故に対するシナリ

オ、例えばTier 1、2、3というような根拠、何分の間にどれくらいの油が流出するというよ

うな数値をあげられているのですが、どういう手順で決定されたというようなことについて

は書かれていないということで、じゃあその設定が正しいのかどうか、設定に従って事故の

防除対策が出来るわけですから、防除対策も適切かどうかはなかなか判断がしにくいという

ことで、シナリオがはっきりしないという点がひとつあります。

国際協力銀行・藤田 すいません、今のおっしゃっている点は、私どものレジメで言います

とどの部分に該当するのか、ちょっと、まずそれをおっしゃっていただいて、ご説明いただ

けると、多分ご参加されている方は分かりやすいのではないかと思います。事前の対策のこ

とをおっしゃっておられるのか、事後の対策のことなのか、今、お話を伺っていると多分事

後の対策のことだとは思いますけれども。

海洋工学研究所・佐尾 事前の対策というのは、開発中の事故等による、あるいは開発が直

接及ぼす影響、そういうことですか?

国際協力銀行・藤田 そうです。

海洋工学研究所・佐尾 そういう意味では、事後の対策です。それから、2番めに、最大暴

風条件という設定がありまして、50年ストームとか、15年ストームという表があります。た

だし、実際の防除の設計条件として、どのストームが使われているかという記述がありませ

ん。それから、一般には海洋では100年ストームという、100年に1回という再現期待値を使

っています。

それから、3つ目に結氷時の対応として、結氷するとそれが流出した油の防護壁になるか

ら、結氷時には比較的事故の重大性が少ないというような認識がされているようですけれど、

それは間違いです。この意見書の一番後ろのほうに、サハリンの氷の上にアルゴスブイを乗

せて追跡した図が、最後に図1というのがあります。そこには、北海道のオホーツク海岸沿

岸はもとより、北海道の南側にも流氷が流れてくるということが観測されています。従って、

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Page 15: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

結氷時の対応というのは、実は、非常に、世界的にもどう対応していいか分からないという

段階にあるということと、もうひとつ、結氷時の油流出が北海道全域にも影響を及ぼす可能

性があるという、そういう認識がなされていません。

それから、流出油の風化、いわゆる揮発性成分が蒸発して、重質成分が残って波浪にもま

れるとムース化するということを風化といいますけれども、4日間で90%蒸発するという記

述があったり、あるいは50~60%蒸発するという記述があります。このサハリンの、サハリ

ンⅡの油について海上保安大学校で検査したところでは、1週間で約50%の揮発があるとい

うことが報告されています。そういう意味で、風化に対するデータと認識が不足していると

思います。

それから、汚染の想定なんですけれども、ラグーンの、サハリン全体のラグーンの0.1%

しか汚染が及ぶ範囲がないというような記述がありまして、事実はそれはそんなことは絶対

ないわけですけれども、あたかも汚染の程度を極小化しすぎている部分があります。

それから分散剤、日本では油処理剤といいますけれども、流出した油を微粒子化して自然

の分解に任せるという目的で使われているものですが、実際に自然界の中で、本当に分解す

るのかどうかということは、確証、確認されているわけではありません。で、それ以上に実

際に油が微粒子化されると、特に稚魚などに取り込まれて死亡したり変形したりする害が実

験的に示されております。

それからまた世界的には水深20mより浅いところで使ってはならないというのが一般的

な認識になっております。それは海岸の底生生物や海岸線の植物に大きな影響を及ぼす可能

性があるということなわけです。そういう意味で、サハリン・エナジー社の防除計画の中に

は、そういう記述がありませんし、かなり安易に分散剤を使おうという考えがあるようです。

それから、一番大きなこととして、地震に対する考慮がほとんどされていません。特にパ

イプラインの問題は後で述べますけれども、陸上にあるさまざまなタンクが、地震に対して

どのように決壊するか、それによってどのように油が流出するか、というような、地震に対

する考慮とか、対策がなされておりません。それから、タンク全体が崩壊して、油が全量漏

れたとすると、6ヘクタールとか相当大きな面積の土壌が汚染されるという記述はあります

けれども、ではそれを実際どうやって、後から汚染されたものを回復させるかというような

対策もありません。

それから、ESIに関連しまして、特別な価値を持つ河川や海岸線と、そういうもののリス

トがあるようなんですけれども、そこが何ゆえ特別なのか、先ほどから議論になっています

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Page 16: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ように生態系上から見て、何が特別で何が重要なのか、なぜそこを守らなければならないの

かというような、いわゆるESIに関する事実とか、データが公表されておりませんので、我々

としては判断できにくいということであります。

それから、タンカーの問題は今までも出ておりますけれども、タンカーについてはサハリ

ン・エナジー社、油を売る側は一応責任を持たないということですので、これはやはり既に、

例えばダブル・ハルは採用するというようなことは実施されているようですけれども、さら

にタンカーが日本の、サハリン及び日本のエリア、あるいはその近海を航行する時について

は、それなりの責任が持てるように、政府と協力して、さまざまな対策を取るべきだろうと

思っております。

それから、防除体制については、シンガポール、ロンドンの企業と契約をして対処するよ

うになっておりますけれども、時間的に考えて、例えば事故があって数時間のうちに対処し

ようとするのは、距離的に考えて不可能です。そういう意味でもっと日本と協力してやるべ

きだろうというふうに考えております。

それから、申し訳ないのですが私どもの意見書の中に、”Tasman Spirit”と呼ばれる一種の

協定がという、30番のところに書いてございますが、これはちょっと間違いでございまし

て、”Tasman Spirit”という事故のときに、こういう手際の良い措置が取られたということで

す。

以上が主な意見でございます。もうひとつ、ひとつ質問なんですけれども、前回に藤田さ

んが承った意見について私どもの方で取りまとめさせていただいて、それを私どもの方から

サハリン・エナジー社にどのように伝えるのかということについて、少し分析した上で、重

複しますから、そして、サハリン・エナジー社に伝えて、フィードバックしたいと、こうい

うような発言がございました。現在までのところ、先ほどの小川さんのお話ですとまだ伝え

ていないということのようですが、今後私どもが意見を述べたときに、例えばこの文章の意

見は手交するとおっしゃいましたので、それは多分そのまま伝わるというふうに理解できる

わけですけれども、ここで文章がなくして発言されたさまざまな意見というのは今後どうい

うふうに扱われるのでしょうか。

国際協力銀行・藤田 基本的にはですね、このフォーラムで、この油流出関連ということで

議論がある程度まとまったところで、議事録全てお渡しするのと、今日頂いている当然資料

も全て先方にお渡しすると、かつ、出来ればその議事録はそのまま渡すとあまりにも長いと

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Page 17: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

いうこともありますので、私どもの方から、例えば今日のレジメにありますように事前防止

策、事後対応策ということで、ある程度まとめた上でサハリン・エナジー社に対して伝える

と、このように思っております。そういう意味では、私どもの方から多分サハリン・エナジ

ー社に伝えるのは全てのものは全て渡すわけなんですが、こういうレジメのようなペーパー

で、ポイントをまとめるという形に、もしなるんだとすればですね、先方に手交した紙につ

いてこれも公開するということは考えております。ただし、情報公開法に基づいて、商業上

の秘密であるとか、借入人の信用に影響を及ぼすようなものについては、これは公開できま

せんけれども、基本的に環境ガイドラインの精神に基づいて公開できるものについては皆さ

んに公開していきたいと、このように思っております。

それでは、他の方、ご発言、ではそちらの方、お願いします。

日本オイルエンジニアリング・宮淵 日本オイルエンジニアリングの嘱託をしております宮

淵と申します。私は20数年間製油所に勤めておりまして、退職後、その間に2回ほど実際の

油の流出事故に立ち会っております。夜間、パトロールしたり、それから海岸清掃にも従事

しております。それから、退職後はですね、JICAの専門家としてキューバのハバナ湾に行

きまして、ここで海岸清掃と、今話題になっておりますOSRPですか、これの作成の指導を

してまいりました。昨年はですね、作成したOSRPに基づきましてですね、実際の機材を持

っていって訓練をしたということで、一応このOSRPに関わる全ての段階に関わったという

者でございます。

今、佐尾さんからいろいろとお話がありましたので、それほど経験があるわけではありま

せんけれども、実際に、そういったものに携わったものとしてのコメントといいますか、意

見を申し上げたいと思います。

まず最初のですね、漂着の予測についての話が一番目にございますけれども、これは確か

に設備の設計の場合にはこのように瞬時の気象海象が厳しい時に、厳しい条件で設定すると

いう形になっております。ただ、オイルスピルの漂流の予測の場合はですね、これは流出点

から海岸まで、ある時間がかかるわけですね。その時間帯で、100年に1回とか、200年に1

回の気象が継続するわけではありません。こういった気象条件というのは極めて短時間であ

るというのが普通でございますので、こういった形とはちょっと違います。ではこのオイル

スピルの場合には、どういう場合を最悪ケースとして考えるかということでございますけれ

ども、まず油が漏れた量、これは現実的に漏れるという最悪の量を考えます。最大量ですね。

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Page 18: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

それから、その次にですね、影響範囲、これは何も対策を取らないときには、どこまでいっ

て自然に消滅するかということで、この最大の範囲というのも確認いたします。それと最後

はですね、最短到着時間というのを検討します。これはどういうことかといいますと、先ほ

どいいましたように、特に高い、そういう悪い条件というのは継続しませんけれども、ある

ところで見ますとですね、それに付随していろんなケースがあります。まず最初にですね、

こういった油の漂流をするときには、まず代表的な値でどこまでくるかというのをノルマル

の状態で漂流します。その後でですね、実際の気象条件から基づいて、先ほどいったように

ある時間帯で、どういう頻度でどれが起こるかということを、統計的に処理しまして、実際

的に最短到着時間というのを求めます。実際にはですね、これが大体99.5%とか、99.9%ま

でカバーするということでございますので、1年に1回、大きな油漏れがしたときにですね、

それが、例えば0.1%であれば、1000年に1回、そういって設定した時間よりも早く到達す

ることがあるということでございますので、そういった意味での最短到達時間というのは、

まあ妥当ということになります。

それから2番目のですね、結氷期間に発生する油流出事故、これについてはおっしゃるよ

うにですね、残念ながらまだ世界的に確立された技術なり、経験などはございません。この

分野につきましてはですね、最近、かなり研究が進んでおりまして、OSRLというですね、

国際的な、この中にのっておりますけれども、そういった油流出の対応機関で、実際にです

ね、こういう訓練、氷上での流出油に対しての、氷海での流出油に対しての教育とならびに

訓練を開始しております。それから、当然その時には教科書があるものなんですけれども、

そういった意味である程度の知見は集まっております。それから北極圏を中心にしたですね、

9カ国がそういった組織を作っておりまして、そういった組織でもこういった氷海について

の検討が進んでおります。ただ、残念なことに、このあたりのまだ経験が出来ていないとい

うのが実態でございます。従ってこのあたりは、オホーツク海も当然氷が出来ますので、当

然の話として検討しなければならない項目だというふうに考えています。

それから、後は風化の問題についてこれは当然の話でですね、オイル・スピル・レスポン

ス・プランはどちらかというと侵入部に対してどのように対応するかというか、コンバット

ですね、という作戦でございますので、そういった意味でですね、当然適応する、要するに

漏れた油がどのように挙動して、どのように動くか、ということを予測することが必要なわ

けですね。そういった予測をするための必要なデータというのも必要でございます。これは

当然計画を作る段階でチェックいたします。これがないと、要するに、立派な、いい計画と

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Page 19: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

いうものは作れないということでございますので、当然これはやる、やっている、あるいは

やるはずでございます。

それから、その次にですね、50%、90%という話がありますけれども、多分90%と書いて

あるのはコンデンセートの話じゃないかと思います。ここで、LUN-Aの話が出ていますけ

れども、LUN-Aというのはガス田でございますので、原油はありません。

それからですね、その次に潮汐作用によって、何番でしたっけ、潮汐作用によって確かに

油が入り江に入るということはございます。これはもうおっしゃるように確率だけはちょっ

と議論できないことでございます。ただこれはですね、そういったところに入らないように、

いかに入る前に対策を取るかというのが、このOSRPの基本でございます。

その次にですね、あとは分散剤についてはですね、先ほどお話がありましたけれども、国

際的に認知された基準というお話がありましたけれども、国際的に認知された基準は無いと

私どもは理解しております。これは、国際的に認知されているというか、数値基準はない。

国際的にはですね、これは一番、敵である油を知っている、国際石油業界のですね、ものが

まとめた資料でございますけれども、これだと10年前、実際にカリフォルニア沖でディスパ

ーサントと油をベースとして分散させた実験をやっております。その結果が出ておりますけ

れども、10mくらいまではそういった分散された油が存在するというデータになっておりま

す。そういったところから、国によってはですね、20mという基準をつけている国もありま

すけれども、国によって千差万別です。アメリカでは州によって違います。それからもうひ

とつですね、基本的に認識が多分間違っておられると思いますけれども、これの、20mを決

めた基準の考え方が違うんですね。どういうことかといいますと、オイル・ディスパーサン

トはですね、実は使える期間がかなり限定されます。漏れてから、まあ長くても3日以内に

使わないと効果がない。エマルジョン化というものをしますとですね、これはディスパーサ

ントの効果がないといわれております。従って、出来るだけ早く決断して使わなければなら

ない。しかし、実際にはですね、これは例えばどこかの許可を取るということになりますと、

それだけで時間がかかってしまうということで、出来るだけ現場の判断で使えるようにしよ

うという動きがございます。実際に20mと規定しているイギリスではですね、これは20mよ

りも遠いところでは、あるいはその海岸から1kmよりも遠いところでは、専門家の判断で

使ってよろしいという基準になっております。で、20m以内については、原文通り忠実に言

いますとですね、漁業省の許可がない限り使ってはならないという基準になっているんです。

で、実際に1990年代に2回の座礁事故が起こりました、大きな。このときには、漁業省の許

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Page 20: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

可を得て、ディスパーサントを使っております。ですから、基本的、原則的に20m以下はだ

めだという基準ではないということをご理解いただきたいと思います。禁止するのではない

のですね、ただ、考慮しないと使えないよという制限があるということです。それでこの2

0mというのは国によって違う、全面的に、要するに使ってはならないという国もあれば、

要するに、海域に関係なく制限するというところもあれば、あるいはイギリスみたいな国も

あるということでございますので、ちょっとのそのあたりの理解は誤解されないように、よ

ろしくお願いしたいと思います。

後はですね、地震の件とかその辺についてはですね、地図とか何か、それから廃棄物の関

係、これはおっしゃるとおり、いろいろ実際に問題がございますので、これは当然心しなけ

ればならない問題だというように考えております。以上でございます。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。その他、紙を出して頂いている海上

保安庁の方もおられますが。

海上保安庁・春田 じゃあ、ちょっと私の方から。一応、紙を出しておりますが、前回のフ

ォーラムで私、油の流出事故に対する責任は船舶所有者であるということをですね、ご説明

したんですが、どうもそれを誤解しておられる方がおられると、JBICも含めてですね、誤

解しておられる方がおられる。船舶所有者が油流出に対して責任を負うというのは、基本的

に金銭的な損害賠償責任、それから日本でいえば船舶所有者が油回収の一義的な義務を負う

と、そういうことを指しているわけでして、船舶所有者以外は責任を負わないということで

はない、それは特に、責任という言葉の意味合いがですね、理解がされてないということだ

と思うんですよ。自然災害であろうが、事故災害であろうが、災害というのはですね、あら

ゆる機関、あらゆる関係者がですね、十分な準備をして臨むということが社会的要請となっ

ています。これは基本です。仮に自然災害であっても、準備がいいかげんだとか、実際に事

にあたって対処が出来ないとか、そういうことになった場合には、これは人災だといわれま

す。そういう意味では、関係機関の全てが十分な準備が出来ているかどうか、私どもも含め

て、自戒を込めて考えなければいけないんですけれども、このフォーラムの目的は、正にJ

BICさんが融資されているサハプロ2、サハ2プロジェクトの事業者、SEさんに対して、ど

ういう準備が行われていれば、十分に最善を尽くしておられるというふうになるのかなとい

うことをお聞きする、皆さんの意見を言っていただくと、そういう会議だというふうに私ど

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Page 21: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

もは認識をしております。その意味では、前回の、船舶所有者が責任を負い、船舶所有者以

外が、そういう意味での責任を負わないということではないということをですね、この場で

はっきりとさせていただきたいと思います。例えば日本の国家備蓄、でっかいタンクにです

ね、備蓄の原油を貯めていますけれども、国家備蓄のプロジェクトについてもですね、その

エリアで仮にタンカーが流出事故を起こすということになった場合にどうしたらいいかと

いうのをですね、これはJOGMECさんを始め、一生懸命考えておられます。我々も当然その

検討の席に参加してですね、いろいろ議論をしているわけですけれども、これは、国家備蓄

のプロジェクト自体は、タンカーの流出事故に責任を負わないなんていうことは日本では考

えられないから、だから、JOGMECさんが一生懸命考えておられるわけで、タンカー事故に

ついては責任を負わないという考え方で、もし仮にあるとすれば、これは大変、ある意味非

常識かなというように私は思っております。

それでは事業者側でどんなことが出来るのか、あるいはなされているのかということなん

ですが、下に、13項目、一応並べておきました。これは、色んな事業者さんでやられている

ことを、ちょっと下の、最後の4つはちょっと違うんですが、各事業者さんがやられている

ことを並べたものです。ひとつは、当たり前のことなんですが、十分な危機管理体制を作る、

それから、その危機管理体制を作って、適切に危機に対応するという、企業の社会的責任と

いった自覚を持つ、自覚のないところって、やっぱりどうしようもないですよね。自覚を持

って、そのことを対外的に表明していただく。そういうことが、前回ご紹介されたような企

業では当然のこととしてなされていますし、今も多くの企業がこういうことはされていると

思います。それからいろいろな方から、次の7項目はですね、ご指摘がありましたけれども、

ダブル・ハル化は、早くダブル・ハル化にするとか、今はどうなっているかとか、こういう

ことを何の留保もなく、ちゃんと表明していただく、それからサブスタンダード船などの排

除のための検船をやっていただく、職員・船舶乗組員の教育訓練を充実する、資機材を保管

しておく、それから、先ほどカリフォルニアのようなというお話がありましたが、例えば排

出油防除評議会などへ参加していただく、それから、先ほども佐尾さんからご指摘がありま

したけれども、シンガポールやイギリスでは遠すぎる、もっと早く対応できるような場所に

ある油防除専門機関と契約をしていただくとか、それから油防除体制について自己点検をし、

評価をしてそれを公表していただく、そのことをさらには第三者機関から認証して、適切で

あるかどうかという評価を受けると、こういったことは既に油関連の企業の中でも先進的な

ところでは当然のように行われていることだと思います。

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Page 22: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

それから、問題はですね、今回のプロジェクトが氷のある海で行われるということでして、

氷のある海で行われるべきことというのは、より厳しいといいますか、より厳しい標準を満

たしていなければいけないんじゃないかと思うんですね。例えばIMOではですね、北極海の

航行についてのですね、ガイドラインを作っていますけれども、例えば氷海運行船舶につい

ての構造設備、これを厳格に規制する、あるいは運行マニュアルを作成・遵守する、それか

らとりわけですね、アイスナビゲーターを乗船させる、先導させる、砕氷船による、砕氷タ

グによる先導を行わせるといった、文字通り氷の海に対する恐れといいますか、そういった

ものが当然必要だと思いますし、それから商業上の秘密という話があるかもしれませんが、

当局者、日露当局への出向日時とか、航路の通報ということ、これはセキュリティ確保の面

ではですね、非常に一般的に行われておる方法でございますので、こういったことをしっか

り仕組みを作るということが、必要だろうと考えております。まだまだ他にも考えられるこ

とがあると思うんですけれども、とりあえず、私の方としては、こういうことはやって頂か

ないと、最善を尽くしたとはいえないのではないかなというふうに考えております。以上で

す。

国際協力銀行・藤田 ありがとうございました。それではこちらの方。

環境省環境影響評価課・荒巻 すいません、環境省環境影響評価課の荒巻と申します。よろ

しくお願いいたします。これまでずっと油流出の事故の関係の話を、前回もそういったタイ

トルだったものですから、それで来たんですけれども、ちょっと一点、その他という形にな

ってしまうのかもしれません。御行の資料でいきますと1つ目、事前防止策、2つ目、事後

対策ということで、このちょうど中間にあたるところかと思います。環境への影響というの

を考えたときにですね、平常時に染み出される通常の油の扱いをどうしていくのかというの

もひとつ考えていかなければいけないところだと思っているんですが、環境影響評価といい

ましても、事前に全ての影響が分かるわけではありませんので、そういったときに非常に重

要になってくるのがモニタリングをして、常時その影響を見ていくということであろうかな

と考えております。旧輸銀ガイドラインのカテゴリーAということでこのプロジェクトは位

置付けられているわけですが、その旧ガイドラインも見させていただいた中でもその、必要

なモニタリング項目を検討し、モニタリングを実施するということが書かれておりまして、

モニタリングフォームの中にもですね、項目、一般排水の中での鉱油というのがあげられて

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いるようなので、ちょっと審査中の段階であるとは思うんですけれども、審査クリアのポリ

シーといいますか、モニタリングの項目をどうしていくのかというのをですね、ちょっと教

えていただければなと思っております。

国際協力銀行・藤田 それではJBICの環境審査室から答えさせていただきます。

国際協力銀行・高岡 環境審査室の高岡でございます。今のご質問に関してお答えさせてい

ただきますが、確かに今、私どもはいろいろなファクトを捉えてレビューをしている最中な

ので、現段階でこういう内容のモニタリング項目をモニタリングしていきますという、確定

したことまでは至っておりません。ただ、一般論といたしまして、ご指摘の通り、プロジェ

クトが環境に対する影響として問題のないオペレーションをしているかということを見て

いくうえで、モニタリングというのは極めて重要なものだという認識はございますので、ま

ずロシア政府として要求するモニタリング項目、それに加えてJBICというよりも、レンダ

ーとしてどういうモニタリングを加えていくかということを踏まえたうえで、最終的なモニ

タリング項目を決定し、モニタリングをしていくということになると思います。以上でござ

います。

国際協力銀行・藤田 その他、もう一時間、といいますか、議論は若干続けたいと思います

けれども、他に。

FOE Japan・神埼 FOE Japanの神埼です・・・

国際協力銀行・藤田 ちょっとすいません、今こちらが指示したのは後ろの方なんで、すい

ません。手、上がってないですか?それではちょっと、こちらの勘違いのようですので、じ

ゃあFOEの方、お願いします。

FOE Japan・神埼 手短に済ませたいと思います。まず、私の方からも、今日の第2回サハ

リンフォーラムへの意見・質問ということでペーパーを出させて頂いていまして、上のJBI

Cの対応については、これは前回出させていただいたペーパーとほぼ同じような趣旨であり

まして、JBICの審査と、この油流出の対応計画というものの関係性をお尋ねしたものでご

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Page 24: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ざいます。この中のいくつかについては前回のフォーラムの中でも回答のようなものがあり

ましたと思いますので、はしょりますけれども、特にお聞きしたい2つの点としましては、

まず6ヶ月前に作成されるというオイル・スピル・レスポンス・プランですね、これはお話

を伺っていると、その具体的な、最終的な6ヶ月前のものでなくても、そのプロセスの中で

具体的な回収方法などが出てくれば、それはこちらの方にフィードバックしていただけると

いうことでしたけれども、まずそもそも操業の6ヶ月前まで時間がかかってしまうという、

その理由というのをちょっとお聞きしたいということと、あとですね、ここ数ヶ月以内に出

てくるといわれます、環境影響評価の補遺版ですね、アデンダムの中にですね、このオイル・

スピル・レスポンス・プランの、多少でも詳しくなったようなものが含まれるのかどうかと

いう、この2点についてお伺いしたいと、これはJBICの対応ということでお伺いしたいと

いうことです。

もうひとつはですね、タンカーからの油流出事故の、予防策ということに私たちは注目し

ておりまして、先ほど、海上保安庁の春田さんの方もおっしゃってましたけれども、企業の

責任というのが、もう少し何らかの形で取ることが出来るのではないかと思っております。

ここにひとつあげさせて頂いておりますのは、アラスカの対応なんですけれども、エクソン

モービルですとか、ブリティッシュペトロリアム、こういった石油事業、アラスカで開発を

行っている石油企業が設立をしました、アリエスカという団体ですね、機関のひとつの大き

な役割として、船舶護送対応船システム、サーブスというものでしょうか、ちょっと読み方

が分かりませんが、こういうシステムがあるということを把握しております。これはですね、

安全に航海するようなことで油流出を防ぎ、環境を保護するということが大きな目的となっ

ております。こういうような対策がアラスカで出来るということで、後ろの方にですね、ど

ういう予防策を実施しているのか、例えばタンカーでエスコート船のサービスですね、サー

ビスタグボートによる誘導や護送ですとか、緊急的な曳航プログラムであるとか、あるいは

ですね、環境を受けやすい、沿岸線の、沿岸資源の種類や位置などを示したようなグラフィ

ック資源データベースの作成や見直しや更新や承認、こういったようなもろもろの予防対策

を、実際に企業が出資し、設立している機関で行っているということで、こういうような対

策が、サハリンでも可能ではないか。と申しますのはサハリン・エナジー以外にも今エクソ

ンですとか、ブリティッシュペトロリアムなどの大企業がこのサハリンの開発に携わってい

るものですから、こういうような予防策について何らかの仕組みというものが設立されるべ

きだというふうに考えております。

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Page 25: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

国際協力銀行・藤田 ありがとうございました。それでは私どもJBICに対してご質問いただ

きました点につきまして、資源金融部の方からお答えさせていただきます。

国際協力銀行・会田 資源金融部の会田でございます。今のご質問のまず1点目でございま

すが、OSRPの作成、承認時期についてのご質問であったと思います。これは現地のロシア

法上、6ヶ月前までにロシア当局の承認を得ることが求められているというふうに理解して

おりまして、従って、そのスケジュールにあわせた作業をSE社は進めているということだ

と思います。ただし当方としては、作業の進展に応じて可能な限りの説明を求めていき、審

査の材料にしていくということでございます。

2点目につきましては、たしかEIAアデンダムの中にOSRPというものが入るかどうかと

いうことだったかと思いますが、その点につきましては、細かく言ってしまいますと、OS

RPとEIAはですね、それぞれ独立したドキュメントですので、包含する関係にはないという

ことではございますけれども、私どもはEIAアデンダムの中に、今回は、日本とも地理的に

非常に近い関係にあるということも踏まえまして、油流出対応に関しての記載を、求めてい

るというのが今の現状でございます。

それから3点目は、たしか企業の社会責任について触れられていたと思いますけれども、

SE社も当然、社会責任を認識しているというふうに思っております。ですから、法的な責

任範囲外であるからといってですね、何もしないわけではないというのはもう当然の立場だ

と思っております。どれだけのことができるかということは、今回も貴重なご意見を頂戴し

ておりますので、私どもの方から、働きかけることによって、彼らが可能な範囲での対応と

いうことがどういうものなのかということを私どもと協議をするということだと思ってお

ります。

それから、次のご質問はおそらく、ちょっと順番が違ったら恐縮でございますが、サーブ

スというアラスカの対応についてコメントがあったと思いますけれども、予防対策は、プロ

ジェクトごとにですね、その特性、地形ですとか気象条件等を、勘案して決定するものと理

解しておりまして、単純な比較というのは困難とは思いますけれども、もちろんご指摘いた

だきました内容につきましては、実施主体に伝えて確認していきたいと思います。

最後の点としては、おそらく他の事業主体との協力関係という点についてもコメントがあ

ったと思いますけれども、既に、サハリン・エナジー社はサハリンⅠの開発主体であります

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Page 26: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

エクソン社と、協力をして、油流出対応にかかる、対応を相談しておると承知しております。

既に出来る範囲という意味では施設とか、設備等の共有等を始めているやに聞いてございま

す。もちろんこういった、いまやっている範囲よりももっと超えてですね、すべきことがあ

るというご指摘だと思いますので、その点についても実施主体に伝えて参りたいと思います。

国際協力銀行・藤田 それでは、時間が超過してしまいましたが、油流出関連で今日どうし

てもという方、おられましたら。

それでは、あちらの・・・

立正大学・後藤 立正大学の後藤と申します。今のお話でもあるように、SEIC社からすれ

ばですね、当初のスペック外というか、仕様範囲外のこともあるかもしれません。そういう、

あるいは政府との問題、油対策の問題となるとですね、事業主体の中だけで出来るはずがあ

りませんし、市民の問題も出てくるんでしょうし、そういう範囲を越えたですね、例えば特

に政府との交渉とか、例えばアメリカですとOPA 90みたいな法律がありましてですね、油

漏れのときに例えば環境被害を守るようにするとかですね、そういうものがあります。でも

日本はありませんので、そういう状態でですね、公共企業として、JBICさんはですね、ど

のようなふうにお考えでしょうか。そういうグレーゾーンの部分ですね、あの・・・

国際協力銀行・藤田 すいません、今のは私どもの環境審査に関係する部分だと思いますの

で、環境審査室の方から答えさせていただきます。

国際協力銀行・高岡 正確なお答えになっているかというところがありますが、まず基本的

に、私どもが環境審査として行っていることは、事業者としてやるべき範囲ということで、

適切な対応がなされているかどうかということを考えております。従いまして、本来的に政

府が行うべきことは政府としてきちんとやっていただきたいと、つまりはサハリン州政府が

行うべきことは、サハリン州政府が一義的に行うべきものであり、その中で、SEICとして

協力できることに関しては協力していただくという理解でおります。そういった点を、私ど

もとしてはレビューをしていきたいと思っております。

先ほど海上保安庁の方が、こういった事業者として通常対応していることのご指摘がござ

いましたけれども、あの中の多くのことというのも、やはりオイルスピルが起こる確率を出

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Page 27: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

来るだけ少なくする、あるいは起きたときに対応するための出来るだけの予防的な措置を取

っておくといった項目に関してのご指摘だと思いますので、実際にタンカーが、例えば事故

が起きたときに、SEICとしてはどういう責任があるのかということとはまた別の議論であ

ると理解させていただきますので、そういった観点で、責任の範囲というのをきちんと考え

ながら、SEICの方には出来ることというのは何があるのかということで、働きかけをさせ

ていただきたいと思っております。

国際協力銀行・藤田 それでは油流出関連につきまして、これで・・・

どうぞ。

東京工業大学・原科 もう時間ということで、このテーマ、今日は切り上げるということだ

と思います。やはり今、議論を私ずっと見ていましてですね、こういった場合、私はよくチ

ェアしてきましたから分かりますけども、十分な議論には足りないですね、時間がね。これ

に対して今後どう対応するかと、この段階でご回答頂いて、おそらく確かにレスポンスを次

はしなきゃいけないですね、そうすると、次の、第3回は予定が決まっていますから、第4

回以降にやることになりますから、その辺の先のことをちょっとご説明いただきたいと思い

ます。

国際協力銀行・藤田 今の件ですが、今、実は私それを申し上げようと思っておりまして、

これで今回、今日の時点での、油の関連の議論はここで一旦とりあえずストップさせていた

だきまして、まだ議論が足りないというような印象もあると思いますので、私ども、年内に

第4回目といいますか、次回は12月6日ですので、出来ましたらクリスマス前の12月20日前

後にですね、第4回目のフォーラムを開きたいと思っております。20日前後ということです

ので、日程決まりましたところでまたホームページに掲載させていただきますし、ご出席さ

れておられる方は、メールアドレス登録頂いている方には、全てホームページの変更は届く

システムになっておりますので、ご覧になっていただければと思っております。そういう意

味では、今回のこの議論、ここでは終わりではないということで、12月の20日前後に、必要

があれば続けたいと、このように思っております。

それでは、時間が11時15分を超えましたので、休憩無しで、パイプラインのところにつき

まして、議論を始めさせていただきたいと思います。パイプラインのところも私どもレジメ

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Page 28: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

を用意させて頂いておりまして、パイプラインの敷設に伴う問題点としまして、活断層の問

題、もうひとつは河川を横断する問題、これがサケ等の魚類に影響するという問題について

議論をしたいと思います。このレジメに添った形で、この部分に該当する意見だということ

でおっしゃっていただければと思います。よろしくお願いいたします。

どうぞ。

FOE Japan・神埼 FOE Japanの神埼と申します。まずパイプライン関連について、パイプ

ラインを敷設する際の基準というのは、主にロシアの国内法に基づいてということだと理解

しているんですけれども、私の方でですね、ちょっと理解が、よく理解できない部分、ある

いは情報が不足していて分からない部分がありましたので、その点について質問させて頂い

て、そのあと具体的なですね、パイプラインが生態系というか自然環境に及ぼす問題点とい

うものについてお話させていただきたいと思います。

私の方からは2つありまして、ここの私のペーパーの裏側にありますけれども、ロシア連

邦の国内規則と基準を定めたSNiP 2.05-06-85というものでおいてはですね、以下のように

定められているというふうに認識をしているんですけれども、これがまず正しいのかどうか

ということをお伺いしたいと思うんですけれども。以下のようなというのはですね、まずパ

イプラインは基本的には埋設されると、ただですね、例外的にパイプラインが地上に建設さ

れる場合があるということと、3点目としましては、活断層を・・・

国際協力銀行・藤田 すいません、神崎さん、ちょっとどのペーパーなのか、判別していな

い人がいるんで、すいません。

FOE Japan・神埼 すいません、私の、先ほど、サーブについてあげた続きなんですが、第

2回サハリン環境フォーラム 意見・質問というペーパーの3枚目に当たる、パイプライン

関連というところです。申し訳ございません。

国際協力銀行・藤田 すいません、3枚目がついていないんじゃないかと思いますが。第2

回サハリン環境フォーラム 意見・質問というペーパーですね。神崎さん、すいません。

FOE Japan・神埼 そうです。

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Page 29: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

国際協力銀行・藤田 1ページと2ページ、両面コピーの1ページと2ページしかないんで

すが。

FOE Japan・神埼 そうですか、それではですね、後からお送りするようにいたしますけれ

ども、あの簡単にご説明させていただきたいと思いますけれども、先ほどの続きなんですが、

ロシアの法律に、基本的には沿ってパイプラインというものを建設されるという認識は、こ

れはこれで正しいものかと思うんですけれども、その基準自体がですね、どういうふうに、

相互関係しあっているのか、あるいはどの基準が優先されているのかという点で質問させて

いただきたいと思います。

ロシア連邦の国内規則と基準を定めたものという規則がございまして、名前はSNiPとい

うようなんですけれども、このSNiPの中ではですね、そもそもパイプラインは埋設される

というふうに書かれているんですけれども、ある一定の条件ですね、砂漠であるとか山であ

るとか、あるいは不安定な永久凍土であるとか、あるいは地滑りを起こすようなところでは

例外的に地上に建設されるということになっております。それで一番重要な点は、このSNi

Pの中では、パイプラインが活断層を通過する場所では、地上に建設、地上建設が使用され

なければならないというふうに書かれていると私の方では認識しているんですけれども、ま

ずこの認識自体が正しいのかどうかということも知りえる情報がございませんで、確認をさ

せていただきたいというふうに思っております。

それから、2つ目の質問につきましてはですね、実はサハリンⅡの陸上パイプラインにつ

いては、このSNiPというもの以外に、サハリンⅡ独自で作られた基準というものが存在し

ているということをお聞きしておりまして、その名前はPSTS、サハリンⅡ陸上パイプライ

ン設計のための事業特定技術仕様書というものがあると、PSTSと通常は呼ばれているそう

ですけれども、これは、こういうものが存在するのかどうかということをお聞きしたいと思

います。で、このPSTSでは先ほどのSNiPとは違いましてですね、陸上パイプラインは地中

に設計されるべきであるということが規定として含まれていると、さらに申し上げますと、

そして活断層は、避けられるか、もしくはパイプラインが自由な動きや変形できるような特

別な防護手段を使用し、埋めなければならない、要するに全部埋めようということが規定さ

れているというふうに認識しておりまして、としますと、このSNiPというものと、PSTSと

いうものが相互矛盾しているのではないかなと、私の理解では、SNiPもこのPSTSを作る段

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Page 30: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

階で取り入れられているというふうに思っているんですけれども、この理解が正しいのか、

正しいとすれば、なぜその2つの基準が相互矛盾しているのかという確認をまずさせていた

だきたいなと思いました。

国際協力銀行・藤田 それでは今、頂いた意見で、答えられる部分について、JBICの環境審

査の方から。再確認が必要だということであれば、それはそのようにお伝えいただいて、次

回以降のフォーラムでお答えするという形にしたいと思いますが。JBICお願いします。

国際協力銀行・高岡 はい、SNiP、ナショナル・アンド・スタンダード・オブ・ザ・ロシ

アンフェデレイション、この規定に基づいて、パイプラインの仕様に関しては規定されてい

ると理解しておりますが、この規定自身がいくつかのアメンドを経ているようでして、そう

いった中で、どういう形で敷設に関して適用しているのかという点に関しては、私どもも今

いろいろと確認をしている最中でございますので、その点に関して分かりましたらばその段

階でお答えを差し上げたいと思っております。

国際協力銀行・藤田 その他ご意見ありますか・・・どうぞ。

潟の生態史研究会・長田 長田です。2のサケの方なんですけども、この③番、サケ等の産

卵床等への配慮ということになっていますけれども、現時点でですね、具体的にどのような

配慮をするというふうにサハリン・エナジーの方は考えているのか、そこら辺のところを何

か情報を教えていただければ。

国際協力銀行・藤田 それではJBIC環境審査もしくは資源金融部の方から。

国際協力銀行・速川 資源金融部の速川と申します。サケの産卵についてということですが、

特に河川の横断箇所ということでお答えさせていただきますと、当然、サケが遡上するよう

な場所については、出来るだけその影響を少なくするという手法をサハリン・エナジー社の

方では検討しております。もちろんその具体的な内容については、私どもの方でも今確認を

している最中ということもございますので、あまり細かい内容についてはちょっとお答えで

きないのですが、ただ、一般論として申し上げますと、サケの産卵場所についても当然考慮

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Page 31: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

の対象になっているといえると思います。

国際協力銀行・藤田 どうぞ。

潟の生態史研究会・長田 ありがとうございました。そういうようなレベルでしたらですね、

先ほどの後藤さん他の皆さんが出した意見書の2ページ目、3ページ目になりますね、下の

方の最終段落の方だと思うんですけども、ラグーンの水路への開口部の幅が、サハリンのラ

グーンの海岸線距離の0.1%を越えることはないというふうに書いてありますが、これは非常

に重要な指摘だというか、認識だと思うんですね。サハリン東海岸は膨大なラグーンが北か

ら南、南から北まで広がっていますが、それは要するにオホーツク海とわずか0.1%の範囲で

しかつながっていないということなんですね。そうするとこのラグーンは完璧に閉鎖水域な

んですよ。重要なのはこの0.1%の場所を通ってサケマスは産卵床がある河川に遡上していっ

て、そこで卵を産んでいるわけなんですね。ですからこういうようなところで、閉鎖水域で、

どういうようなパイプライン敷設、あるいはその前段階でお話に上がっていました油流出で

どういうような対応が必要なのかだとか、どういうような影響評価をするためにどういうよ

うなデータが必要なのかというのはやはりきちっと整理した上で、それをこちらの方にフィ

ードバックして頂いて、それに基づいてそれは本当にその調査、あるいはそのデータで有効

な影響評価が取れるのか、あるいは有効な対策が取れるのかをきちっと判断しないと、そし

てこのような場で議論しないと、具体的に、配慮がどれだけ実効性のあるものなのか、事前

の予測、あるいは事後の評価も含めて予測が出来ないと思うので、この点はしっかりと、ど

ういうようなサケの産卵床への配慮が必要なのかということは、きちっとサハリン・エナジ

ー側に伝えていただきたいと思います。その際に、この海域は明らかに閉鎖水域であるとい

うことは重要な条件だと思うので、その点を含めてきちっとしたサハリン・エナジーとのや

り取りをやって頂いて、それをこちらにフィードバックしていただきたいと思います。

国際協力銀行・藤田 ご意見ありがとうございました。その他・・・それでは、そちらの方、

お願いします。

星陵女子短期大学・沢野 星陵女子短期大学の沢野です。国際協力銀行 サハリンⅡフェー

ズ2プロジェクトにかかる第2回環境フォーラムに対する要望書、パイプライン建設・輸送

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Page 32: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

に関する問題点というのを出させていただいております。主として活断層の横断であるとか、

パイプラインの全体的なことについて書かせていただいているんですけれども、まず今、現

時点でどういう扱いになっているかというのははっきりしませんが、2002年9月26から27日

にかけて、OSRPという文書を一時的にサハリン・エナジー社が公開いたしまして、そこに

書かれている内容で以下は書かせていただいたんですけれども、パイプラインについては皆

さんもご存知の通り別途アメリカの、先ほどトランスアラスカパイプラインの話がありまし

たが、それらを管理されている専門家の方々からも特に活断層の横断についてこれでは難し

いんじゃないかという話がたくさん出ておりまして、そこにも書かせていただいたとおり、

トランスアラスカパイプラインについては、そこの資料に書いてあるような、非常に単純明

快といいますか、別に難しいことでも何でもない、とにかく地震が起こったら上でぐらぐら

ゆれることが出来るパイプラインを作って、それで実際にマグニチュード8.3ぐらいのが確か

あったと思うんですが、そういった直下型の地震にも耐えたというような、そういう設計に

なっています。

従って、先ほども、どういうレギュレーションでこれが設計されたのかということが問題

になっておりましたけれども、そういったことはさておき、サハリン自体が地震が多いとこ

ろというのは、日本と同じことでして、それからまた断層も多いと、ですからそういうとこ

ろに関しては、こういう事例がある以上、それがまた非常に難しい設計を必要とするという

のであればまた別なんですけれども、そうでなければ、出来る限り単純で分かりやすいとい

いますか、実効性のあるものを採用すべきではないかということです。

それから他の問題として寒いということも、これも非常に明らかなことで問題が指摘でき

ます。その寒さに対して、じゃあどういう対策が出来ているのかというような観点から見て

みますと、非常に、何というのか、先ほどのパイプラインの、パイプラインじゃない油流出

の方でもそうなんですけれども、全体的に非常に考え方が楽観的ということを取ることが出

来ます。例えば冬季の労働力、要するに凍りついちゃうというような時期の作業効率の低下

というのを75%から50%というように考えておられるようですけれども、そういう記述があ

るのですが、実際ナホトカ号なんか経験した我々からみると、こんな低下では多分済まない

だろうと。

それから零下20度、30度とかってなったら、実際にトランスアラスカパイプラインの方は、

非常にヒーターをですね、運搬用の車両全てに対してヒーターを付けるというようなことま

でやっておりますので、そういった点から考えると、ちょっとこれで本当に動くのかなとい

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Page 33: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

うことが考えられます。

さらに、トランスアラスカパイプラインにおいては、これも写真で示しましたが、例えば

写真7に見えるような、この備蓄コンテナというのが、例えば距離がですね、トランスアラ

スカパイプラインは現状のフェーズ2の約2倍あるんですけれども、これが全部で226ヶ所

に設置されていて、さらに大きなストレージが全体で3ヶ所。それに対して、現行の先ほど

の文書の中に出ているのは、約8ヶ所に備蓄基地を作るということなので、まあたぶんその

数、何でこんな桁違いに少ないのかなというのを感じます。

それからこれは先ほどの油流出の方の話とオーバーラップいたしますが、パイプライン用

のやはりESI地図というのも出来ておりまして、そこに当然どの備蓄、何が備蓄されていて、

そこにはどう到達して、さらには先ほどサケの話も出ましたけれども、より自然環境の中で

のセンシティブな資源がどこにあるかということが一目瞭然で分かるようなものも準備さ

れている。多分、サハリンⅡの方については、やるのかやらないのかもよく分からないとい

ったところなので、この辺については整備すべきなんだろうなというふうに思います。

さらに先ほど分散剤の話や、冬季の回収ということがありましたが、それもまったく同じ

でして、こういうサケとかの資源があってですね、そういうところで淡水用の分散剤という

ものがあるんですけれども、そういうものの使用を、積極的に進めるとは確かに書いてあり

ませんが、使用を考慮するというのは如何なものかと。先ほどそのご意見の中に分散剤の話

がありましたけれども、分散剤の使用というのは、あえて言えばIMOが文章を作ったような

ものが中心となってありますけれども、それはその、その地域に応じたそのガイドラインを

作りなさいというのがたぶん趣旨で、ここで考慮しなければいけないのはやはりオホーツク

海であれば当然漁業資源というのを頭に入れておかなければいけないし、陸上であってもサ

ケであるとか、何というか生物の資源に関する保護というのを優先すべきなのかなと。そう

しますと、そういったところで淡水用の分散剤を使うというのは、どう考えてもちょっとこ

れは止めておいた方がいいのかなというふうに思います。

付け加えますとカナダではもうはっきりとこれは陸上だけでなくて海域も含めて分散剤

を使用しないというガイドラインを政府レベルで定めて、その代わりとして現地焼却法をす

るというふうにシフトしてきておりますので、その辺についても見解は分かれているんだと

いうふうにご理解いただければというふうに思います。以上です。

国際協力銀行・藤田 ありがとうございました。他にご意見いかがでしょうか。どうぞ、こ

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Page 34: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ちらの前の方・・・

海洋工学研究所・佐尾 海洋工学研究所の佐尾和子と申します。パイプラインについてです

が、地震とか、それから油流出の問題がありますが、それ以前にまず敷設をするときの工事

による影響というのが非常に大きいのではないかというふうに思っております。前々から出

ていますが、サハリンには無数の河川と、それからたくさんの湖沼とか、あと海岸線にはラ

グーンがあってという、そういう非常に繊細な地形です。そこのところを保護、埋設という

形でパイプラインを工事するときに、必ず土砂が流出します。それは川を伝わって、必ず海

岸線に来ます。そうしますと先ほど海岸線のラグーンはほとんど閉鎖性の水域だというお話

がありましたが、その土砂の流出によってもサケが上ってくる入り口が塞がれたりとか、そ

れから海岸線の地形が変わってしまう、そのことによって河川を含め海岸線に生息している

生物に大きな影響を与えるし、また沿岸域、砂浜が続いているところは底生生物が非常に豊

かだと言われています。そういった沿岸域の地形が変わることによってそういう生物にも影

響を与える。これはもう、そういうことに対して、どういうふうに具体的に工事をするのか

ということをはっきり示していただきたいということと、あとはその工事による影響が、ど

ういうふうに今後出ていくのかという追跡調査、それをぜひ実施していただきたいと、そう

いうふうに思います。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。他の方はいかがでしょうか。よろし

いですか、他の方、2回目になってしまいますけど、まだご発言されていない方で是非にと

いう方がおられなければ・・・どうぞ、じゃあこちらの原科先生。

東京工業大学・原科 では、原科ですが、一言お願いします。私はですね、今の皆さんのご

意見を伺っていて、パイプラインを地上にするか、地下にするかという大きな問題があると

思うんですね。今、地上にすべきだというご意見もありましたけれども、これはどちらがい

いかをきちんと判断することが必要だと思います。そのためには、通常アセスメント、環境

アセスメントにおきましては代替案の比較検討って行いますね。そういうことで地中を通し

た場合のどんな環境影響があるか、それからコストもどうかですね、いろんなコストがあり

ます。それから地上を通した場合はどうか、そういった比較検討をぜひやっていただきたい

と思います。前広にお願いしたいと思います。それによって、地上がいいか、地中がいいか

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Page 35: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

分かると思うんですね。その辺のことを、やはり客観的データを比較検討しないと、なかな

かそれは分からないと思いますから。で、そのときにこれは、沢野先生のメモの中にありま

したけど、ロシアの連邦規則による説明を聞いているけども、これ自体がどうかっていうの

は疑問もあるって書いておられますけれども、もうひとつは、いろいろ不備な点がある場合

はですね、むしろこちらからそういう新しい、環境影響がより少ないですね、安全なものに

するということで、こちらからそういうことを進めるようなことがあってもいいんじゃない

かと思うんですよ。要するに規則がどんなものであるかによって、この問題は変わってまい

りますのでね。この件に関しては、先ほど宮淵さんも、場合によっては地上ということもあ

りうるというようなご経験もお話になったので、もうちょっと〔 〕いただければと思いま

す。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。それでは、今、名前〔 〕とされた

方、どうぞお願いします。

日本オイルエンジニアリング・宮淵 JOEの宮淵でございます。私、先ほどそういうように

は言わなかったんですけれども、パイプラインに関してですね、情報として、一般的な情報

としてちょっとお伝えしたいと思います。これはもうあくまでも一般的な情報というふうに

捉えていただきたいんですけれども。

現在ですね、パイプラインというのは、かなり世界中で建設されています。現在建設され

ているパイプラインのですね、ほとんどが埋設です。地上で敷設される場合は極めて少ない。

10%とか、20%とかそんなオーダーでございます。これはですね、理由は何故かと言います

と、いろんな理由がございます。今言った地震だけじゃなくてですね、考慮すべきものは沢

山ございます。腐食の問題もありますけれども、その他に、一番油の漏洩事故の多い要因と

いうのはですね、第三者によるアタック、これが一番多いということで、ヨーロッパのコン

カエというですね、要するに環境組織があるんですけれども、そこで毎年パイプラインのデ

ータを集めております。そこでいきますと約50%がそういった第三者による、要するにイン

タラクションですね、ということがあります。

またですね、我々経験あるんですけれども、途上国に行きますとですね、地上配管にする

と、盗窄ですか、要するに、パイプラインから勝手にノズルを出して盗んでしまうと、ガス

とか油を、そういう事故もございます。それから後はですね、野生生物の通路を遮断すると。

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Page 36: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

そのために高架にするわけですけれども、大変建設費がかかるというような問題もございま

して、そのあたりをトータルで考えましてですね、先ほどの地震とか地すべりのことも当然

考慮しますけども、トータルで考えます。そういった意味で、今現状ではそういう実績にな

っております。

で、現にですね、BTCといいましてですね、アゼルバイジャンからトルコまで、約1m20c

mくらいのパイプラインを作る工事を現在やっております。これは埋設でございます。ご存

知のように、トルコというのはですね、たいへん地震の多いところでございまして、活断層

が沢山、無数にございます。そういったところでも、やはりそれなりの考慮をして作ってい

るということで、サハリンの方はどうか分かりませんけども、例えばですね、地中に埋めら

れますと要するに拘束力がかかりますから、その拘束力によって破断するというケースが出

てくるわけですね。その拘束力を減らすための対策、要するに傾斜をつけて掘削してですね、

それでフレキシビリティを持たせるというような工法だとか、あるいは活断層を斜めに横断

して、変位を少なくするとかという対策、さらにはパイプライン自体の剛性を高めてですね、

要するにそういった抵抗力をつけるというようないろいろな対策を考えてBTCの方でやっ

ております。ですから、これは、どうでしょうか、耐えられる、どこまで耐えられるかとい

うと計算によらないと分からないですけども、ただ、埋設でも活断層に対する対応は、ある

程度可能だというように考えておりますし、実際にそう考えてやっているところもございま

す。

そういった意味でですね、アラスカの方の事例を、先ほどお話がありましたけれども、我々

としてはですね、アラスカをどっちか地上にしたのは、要するに、永久凍土をですね、地下

に埋設するといろいろ問題があるから、地上にしたというのがメインの事由だというように

聞いていますし、結果として地震があったけれども、うまく対応できたというのは事実でご

ざいますので、それなりにいい教訓だとは思いますけれども、全てに適用できるというわけ

ではないというように思っております。以上です。

東京工業大学・原科 どうもありがとうございました。私はそういう例もあるんではとお聞

きしたので10から15%は地中埋設だったと、そういうことですね。大半は地上・・

日本オイルエンジニアリング・宮淵 大半は埋設です。

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Page 37: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

東京工業大学・原科 大半は埋設。私は代替案として考え得るということを申し上げたんで

す。おっしゃるようにいろいろな影響がありますから、単に環境影響だけではなくて、コス

トの問題とか、社会影響といいますかね、そういう盗まれる恐れもあるとかですね、いろい

ろな、総合的な判断をしなければいけないので、そういった点でも代替案というのをいろい

ろ比較して、それに対する影響をですね、かなり総合的に判断するようなことをぜひお願い

したいと思います。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。ちょっと私の方から一点、環境ガイ

ドラインの運用に関わる部分のところがあったものですから、ちょっと一言老婆心ながら申

し上げたいと思いますが、基本的には、今のこの案件については、前回申し上げました通り、

先ほど環境省の方も言われた通り、国際金融業務にかかる環境ガイドラインということで、

古い環境ガイドラインの対象案件になっております。ただし、新しい環境ガイドライン、こ

れはJBICとして持っている環境ガイドラインの精神に基づいて対応していくということで

すが、基本的に現地の法制度、主権の尊重ということをうたっておりまして、ロシア側の法

制度を、基本的にこれを私どもは変えるとかですね、ということは今の新しい環境ガイドラ

インの中においても、それは盛り込まれていません。

そういう意味では、やはりロシア側の法制度、ここは不備があるということはロシア側に

いろいろな形で伝えるという必要はあると思いますけれども、プロジェクト実施主体が行う

べきものとしては、やはり現地の法制度に基づいてきちっと環境対策をやっているのかとい

うことにならざるを得ないと思っております。その中で原科先生が言われたように、環境影

響をミニマイズするということだろうと思っております。頂いたご意見等、参考にさせてい

ただいて、サハリン・エナジー社にはきちっと伝えていきたいと、このように思っておりま

す。

他の方、そちらの方、手を・・・

写真家・土岐 質問です。写真家の土岐といいます。アラスカでずっと写真をとっていて、

このプロジェクトに関わるようになったんですけれども、今のおっしゃられたことでの質問

なんですけれども、ロシアの、現地の法に、開発計画が適合しているかどうかということを

おっしゃられたかと思うんですけども、現地の方に適合していれば融資に問題がないという、

そういう判断をJBICはされるのか、あるいは国際的な、あるいは独自の環境的な調査をした

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Page 38: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

上で、世界の目からみて、サハリンという環境を保護できないと、ロシアの法の下では保護

しきれないというふうに判断した場合は、融資を見合わせるような判断も行われるのか、そ

の辺がちょっとよく分からなかったので。お願いします。

国際協力銀行・藤田 はい、お答えします。基本的に今の新しい環境ガイドラインの精神に

基づくといいますのは、基本的にガイドラインでは現地の法制度に基づいてプロジェクト実

施主体がプロジェクトを行うと、環境配慮を行うということですが、ただし、新しい環境ガ

イドラインの中には、私ども世界銀行の基準であるとか、その他のベストプラクティスを参

照していくということでございまして、このフォーラムを設けさせていただいておりますの

も、ミニマムにサハリン・エナジー社が対応するということだけではなく、やはり日本の皆

さんにとって、やはり環境に影響があるんではないかということについて、こういう問題が

あるということをご指摘いただいて、できれば私どももロシアの法律に基づいている以上の

ことで、環境影響をミニマイズして欲しいということで、このフォーラムを開いているとい

うことでございまして、そういう意味ではこれも前回申し上げましたけれども、基準を満た

していないので融資する・しないということ、これは円借款、ODAの案件ですと、これは私

ども融資しないということに非常に大きなバーゲニングパワーがありますけれども、こうい

う民間の行うプロジェクトにつきましては、このプロジェクトはかなり巨大なプロジェクト

で、私どもの融資というのが相当程度バーゲニングパワーがあるということだろうと思って

おりますけれども、基本的にこれは民間企業の方からすると、JBICがあまりうるさいことを

言うから、もうお宅から借りませんということになりますと、このフォーラム自体ももうや

る意味がなくなってしまうといいますか、私どもが関与する余地がまったくないということ

になります。そういう意味では、冒頭原科先生から言われた、このフォーラムにサハリン・

エナジー社が出席ということも、そのコンテクストで申し上げたいんですが、基本的に民間

が行うプロジェクトであって、ODAではないと、そのプロジェクトで私ども、環境配慮とい

うことを求めていくというところにおいては、やはりある程度のトレードオフの中で環境と

開発、もしくはコストとベネフィットという中での考え方ということでなるべくパレート

最適といいますか、効用が最大になるような形でプロジェクトを実施し、ということだと思

っております。先ほど環境省の方も言われたとおり、私どもが関与することによって事後的

なモニタリングということも関与できていくわけでございますので、私どもとしては、現地

の法制度はミニマム守ってもらうのは当然として、それ以上のベストプラクティスというこ

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Page 39: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

とについて、先ほども企業の社会的責任というような言葉が出てまいりましたけれども、そ

ういったものも含めてサハリン・エナジー社の方に対応を促していくと、そこでなるべくよ

りよいプロジェクトにしていくということで、こうやって皆様にお集まりいただいていると、

こういうことでご理解いただければと思います。

東京工業大学・原科 今、ご説明で、基本的にはそういうような姿勢だと思いますけれども、

しかし環境に対する影響がどうしても見過ごせないという場合にはですね、最悪の場合です

よ、融資を中断、断念するということもありえますよね。これはだから最初からそういうわ

けではないですけれども。だけどそれはまったくないということではないと思いますよ。国

民に対して説明責任ということがありますから。これがどうしても、誰が見てもこれはどう

も、対応が十分でないとなった場合ですね、やはりそれぐらいのことはありうるということ

は、どこかにひとつおいておいた方がいいと思いますけれども。まったくないという言い方

は、言い切ってしまっていいかどうかですね。

国際協力銀行・藤田 これも議論があって、これをまた議論し始めるとちょっとフォーラム

の議題から外れてしまうのですが、ちょっと大事なことなので申し上げたいと思いますが、

私どもとしては、融資をしないとなったときには、私どもがまったく関与しないということ

になりますので、このプロジェクトの環境がどういう悪影響があるのかということについて

も、事後にも私どもに情報がもう入ってこないということになります。それで本当によろし

いのかどうかと。それはある意味、ここにお集まりいただいている方々にとっても重大な関

心事項だろうと思っておりまして、私どもとしてはやはり融資をするという中でモニタリン

グもしながらよりよい環境といいますか、環境影響がないような形でこのプロジェクトを実

施してもらうと。

これも前回、小川の方から申し上げましたとおり、やはり私どもにとって、このプロジェ

クト、一方でエネルギー資源の多様化であるとか、天然ガス化であるとかということでの、

私どもこのプロジェクトの意義というものを考えておりますので、その中で、この私どもの

融資というものを位置付け、また環境の配慮を行っていくということで、論理的に融資をし

ないということは、それは言葉でいうのは簡単ですが、仮に現実にそうなったときには、皆

様今回ここで議論されていること、いろいろなことについては、まったく我々フォローでき

ないということになりますので、そういったことも含めて、トータルでどう考えていくのか

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Page 40: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ということだろうと思います。ですからなるべくいい形でやっていきたいということでこの

フォーラムを開催させて頂いているという趣旨でございます。

海洋工学研究所・佐尾 海洋工学研究所の佐尾と申します。今の藤田さんのご説明に関連し

まして、法律的にパイプラインの建設が如何にあるべきかということは、現時点で我々はち

ょっとはっきりしないところがあります。で、なおかつ、現在パイプラインの工事は既に一

部進められていて、その部分についてはロシア政府の許可が出ていますが、全線に渡ってま

だ許可が出ているかどうかというのは、9月くらいの地点では出ていない部分もありました。

現時点でどうなっているかは分かりません。ですから、ある程度仮定の話になるわけですけ

れども、法律的にも技術的にも、コスト面から見ても、ある部分は地上にした方がいいとい

うような結論が出たとします。ただし、そのとき既にもうそこは工事が着工されてしまって

いますというようなこともありうるわけですね。そういうようなことに関して、JBICはどう

考えるか、あるいは現時点で今、我々がここで地下にするか地上にするかというようなこと

を議論していることが、意味があるのかどうかJBICはどうお考えでしょうか。

国際協力銀行・藤田 今、ご発言いただいた点に対して、ちょっと質問があったと思います

ので、質問のそのファクトとしての法律的な許可といったところ、あと工事の状況について

JBICの方から。

国際協力銀行・速川 資源金融部の速川です。今の許認可について簡単にお話させていただ

きますと、許認可と一言で申し上げても、細かい、多種多様な許認可があると思います。従

いまして、全てを捉えてですね、許認可がもう終わっているのかと言えば、おそらく答えは

ノーだと思います。ただ、この点についても、私どもの方で今確認している状況でございま

す。

ただ、誤解なきように申し上げますと、まずプロジェクトの大前提としまして、先ほど佐

尾さんがパイプラインの建設について言及されておりましたけれども、プロジェクト全体と

して建設環境許認可というものがございます。、これは既に昨年の段階でロシア政府の方か

ら許可が下りてございます。ですから、大前提として、プロジェクトの建設環境許認可が認

められた上で、さらにその個別の詳細な許可を、必要なものは取っているという状況である

ということをご理解いただければと思います。

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Page 41: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

国際協力銀行・藤田 それであと、仮定の質問として承りました、工事が自己資金で一部進

んでいるというような言及がございましたけれども、そのことによって、取り返しのつかな

いことがあったらどうなのかということですが、これについても我々としては、環境審査の

中でそういった部分があるのかどうかというまずファクトを確認した上で、これも皆様にど

ういったことが生じたのかということは報告させていただきたいと思います。ちょっと今の

段階では、それで影響があるのでもう融資しないぞということは、ちょっと先ほど申し上げ

たように全体のことを考えていくと、我々としては何とか改善していくという形で対応して

いくということしかないと思います。ただ、それはまたファクトを認識した上でご相談した

いと思います。

他の方、よろしいですか。それでは、奥の。

参加者A オイルアンドガス関係の仕事をしておりますが、ちょっとひとつ確認させていた

だきたいんですが、このパイプラインはですね、私の認識によると、サハリン南部のですね、

コルサコフですか、その近くのプリゴロドノエと言うんですか、というところにですね、L

NG用のガスを供給するパイプラインではないかというのが私の認識なんですが、今までの

話では、アラスカのTAPラインとかですね、いろいろまあ、オイルラインの話を、その延長

でですね、お話をされておられるんですけれども、確認したいのは、このラインはガスライ

ンですか、それともオイルラインですか、あるいは両方、2本建設するのかと、その点をで

すね、ちょっと私は分かりませんのでですね、確認したいということでございます。

国際協力銀行・藤田 ありがとうございます。JBICの資源金融部の方から。

国際協力銀行・速川 資源金融部の速川です。確かに本日のテーマを踏まえまして、油の議

論を中心にされているかと思います。ただこのプロジェクト、フェーズ1に続きまして、フ

ェーズ2、第二段階ということで、メインの、そこで産出されるプロダクトは、天然ガスで

ございます。そういう意味では、おっしゃったとおり、南部のプリゴロドノエで生産される

もの、LNGがございます。一方でフェーズ2においては、石油の通年生産ということも計画

されておりますので、原油の影響についても、こういった形でご意見を頂いているというふ

うに理解しております。従いましてこのプロジェクト、ガスと原油の両方の観点で議論させ

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Page 42: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ていただければよろしいのかなと思います。

国際協力銀行・藤田 他に。それではじゃあ、あの・・・

参加者B 先ほどの質問はパイプラインがどういうものかというものだったんですけれど

も、両方です。並行して走ります。

国際協力銀行・藤田 ありがとうございました。他に。挙手の方2回目ですけど、他の方よ

ろしいでしょうか。まだ発言されてない方、よろしいですか。それでは、FOEの神崎さん、

おねがいします。

FOE Japan・神埼 すいません、何度も発言しまして。3点あるんですけれども、1点目はJ

BICのガイドラインと融資という観点についてなんですが、私、同時に融資を検討しており

ますEBRDとも何度か会合を持ったことがございまして、EBRDの方のスタンスとしては、自

行のガイドライン、環境ガイドラインに従わなければ、融資しないという選択肢はありうる

というスタンスです。私としましては、やはり自分の独自のですね、JBIC自身が独自のガイ

ドラインというものを持っているのですから、これをまったく考えないというよりは、これ

に遵守していない場合はですね、そういう選択肢もありうるというものだというふうに考え

ております。

それからですね、2つ目としましては、やはりこれを議論する上で基本的なといいますか、

ベースとなる情報が共有されていないということは非常にもったいないことだというふう

に考えておりますので、よければ、毎回最初にですね、JBICの方から、そのプロジェクトの、

その議題に関する基本的な情報など共有していただければ、もっと議論が深まるのではない

かなというふうに、これは提案です。

それから3つ目としましては、先ほどの基本的な情報と関連しまして、このサハリンのパ

イプラインというものは、これは確認ですが、1,103本の川を通過するというふうに聞いてお

ります。サハリン全土でですね、5万6千ほどの河川が流れている中の1,103本の川を横断す

るということで、そのうち8本の川についてはホリゾンタル・ドリリングというような、直

接的に河川を掘り起こさない形で、河川の下にですね、トンネルのようなものを掘ってパイ

プラインを敷設すると、で、この8という数字はどこから出てきたのかということをお尋ね

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Page 43: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

しましたところ、サハリン・エナジーの方は大きな河川であり、生態系的にも重要だという

ことの回答をいただいておりますけれども、他にもサケが遡上するような、あるいは産卵す

るような河川というのは多々ございまして、これらのもう少し詳しい基本的な情報というも

のもこの場で共有していただければ、8本については、ああ、これでこの処置が正しいのか

どうかということの判断が下せるのではないかと思っております。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。ご意見、ご質問等ありましたけれど

も、最初の2つのご意見につきまして私の方から申し上げますと、もうこれも繰り返しにな

ります、環境に深刻な影響を与える問題がある場合には、EBRDは融資しないということだ

ということだろうと思いますが、これは、やはり理屈上そのように、多分これは英語での会

話になれば、そういうことだろうと思いますが、私どもとしては、基本的にEBRDと立場が

違いますのは、これもまたご議論させていただければと思っておりますけれども、つい最近、

日経新聞にも出ましたサハリンⅠの方のプロジェクトで、中国が天然ガスであるとか、石油

を買うということで積極的に動いているというような記事が出ておりましたけれども、もし

仮に私どもが融資しない場合に、それでは誰が貸し手になるのかと、EBRDも貸さない、我々

も貸さないといったときに、じゃあ誰が貸すんだと、その時に環境配慮がどうなるのかとい

うことについてのその影響と、我々が関与することによってなるべく環境への影響をなくし

ていくということの、その何と言いますか、パレート最適と先ほど申し上げましたけれども、

トレードオフの中での最適点を見つけていくということが私どもの役目だと思っておりま

して、そういう意味では、この環境フォーラム、繰り返しになっていますが、我々としては

いろいろな意見を伺った上で環境の影響を小さくしていくということで考えていきたいと、

このように思っております。

それと2点目のご意見の、私どもで承知しているプロジェクトの情報について、参加され

ている方と共有したらどうかと、これは貴重なご意見として、確かにそのような形でやらせ

ていただくと、やはりいろいろな知識の濃淡があり、また専門の知識をお持ちの方もおられ

ると思いますので、次回以降、そのような形で対応させていただきたいと思います。レジメ

の作成の内容については、それを配慮した上で考えたいと思います。

最後の質問、1,100本の川のところの部分はJBICの環境審査からお願いします。

国際協力銀行・高岡 はい、工法の決定等についてのご質問だと思いますが、私どもの方で

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Page 44: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

今認識しておりますのは、正にそのご質問、非常に沢山の川を、あるものに関してはHDD工

法でやり、あるものに関してはそれと違う工法でやるとのことで、どういった基準で選定を

して、どういう判断に基づいてそういう工法を選択したのかということに関して、十分な情

報を頂きたいということで、この点に関しては今準備をしていると聞いておりますが、EIA

のアデンダムの中である程度その情報が提供されるものと理解しております。

国際協力銀行・藤田 その他、いかがでしょうか。それでは奥の長田さん、お願いします。

潟の生態史研究会・長田 長田です。先ほど宮淵さんの方からも具体的なお話があって、非

常に理解が進んだんですが、一般論として、例えば地上埋設だとか地下だとかという話はい

ろいろできるし、具体的にそれが何%世界でどうかという話はできると思うんですが、重要

なのは、具体的な現場があるわけですよね。その現場がどうなっているのかの情報なしには、

具体的な話とか、実際どうなのかという議論はぜんぜん進まないと思うんですね。

ですから、冒頭にもお話しましたように、その中でもここは環境フォーラムですから、現

場の自然環境はどういうものなのか、現場の自然生態系はどういうものなのかをきちっと把

握した上でないと、具体的に、実際、実効性のあるものが取られるのか、取られないのか、

JBICとしてはどういう判断をするのかという具体的な議論がぜんぜんなされないと思うん

ですね。ですから再度、確認をする意味でも言いますが、具体的に現場の自然環境がどうな

のか、そして現場の自然生態系としてどういうものを把握しなければいけないのかをきちっ

と共通理解した上で、それをデータを出して頂いて、その上で例えばじゃあ埋設がいいのか、

それとも地上敷設がいいのかと言うような、そこら辺で具体的な技術のアドバイスをして頂

かないと、効果的なやり取りがJBICさんとサハリン・エナジーさんとでもできないと思うん

ですね。ですからこの点は、本当にしっかりと受け止めていただきたいと思います。よろし

くお願いします。

国際協力銀行・藤田 どうも貴重なご意見ありがとうございました。先ほどからその議論は

承っておりますので、次回以降、また議論させていただきたいと思います。それでは、そち

らの方、村上さん、お願いします。

FOE Japan・村上 FOE Japanの村上です。パイプラインの話になりまして、サケ等に限るこ

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Page 45: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

とではなく、川に生息する、今、長田さんがおっしゃったような、どういった調査をされな

ければいけないのかという点に関しまして、いくつかちょっと、JBICの方からまだ今現在の

調査自体、サハリン・エナジーが行っている調査がどういうものなのかというご説明をまだ

頂いていないんですけれども、今現在どういうふうなものが行われているかということを私

どもがちょっと入手しております情報に基づいて、ちょっとご説明とご確認等したいんです

けれども、紙をちょっと用意させて頂いておりますので、ご覧になっていただければと思い

ます。

サハリンⅡフェーズ2プロジェクトの陸上パイプラインの敷設に関する問題点、で、まず

ですね、サハリン・エナジーが川に生息する種のベースラインデータに関して、今、環境影

響評価、今現在のEIAの中で触れられているように、商業的な価値、川に生息する種の商業

的な価値しかデータが取られていないと、そうではない種はデータがほとんど取り上げられ

ていない。そういった意味でベースラインデータが非常に不十分である。しかもそのロシア

連邦のレッドデータブックに入っている希少種の生息地すら正確に把握されていない。

こういったのでロシア政府の指示のもと、サハリン・エナジーが去年の秋に調査をしてい

るんですけれども、その調査の内容自体も、そのときには180本の、1,103本の中で、まあ1,1

03本と言われているのが大体その数だと思うんですけれども、その中でいくつか重要な河川

を選んで行った調査だと思うんですけれども、その調査の中身自体も、半数の川においては

どういった種が生息しているのかの記載がないとか、調査に参加された方が、非常にその、

サハリン・エナジーがしようとするやり方で調査を実施すると、質の高い調査を行うのが難

しいという声があったり、あとまた、自分が調査を行ったデータがサハリン・エナジーの記

録には反映されていなかったというような証言もあったというふうに聞いています。この件

に関しては他の種でも同じような、調査をしたのに反映されていないとのはどういうことだ

というのは聞いているんですけれども。

あと、その次ですね、パイプラインと河川の交差に関して、やはり重要なサケの産卵が行

われる河川において、サハリンの漁業管理局の方が、こちら29本の河川において、水路にお

いては、高架パイプラインを使用するようにというふうに勧告していると聞いています。で

すが、その調査報告書の中では、調査を行った専門家も24本の高架パイプラインを、24本の

水路で使用するように言っていると。ですが、この調査の英語の方になりますと何故か24と

いう数字が18になっている。私の方で確認したことではないですけれども、これらが事実か

どうかというのもちょっと確認していただきたいんですけれども。これらは非常に問題があ

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Page 46: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

ると思います。またやはりこの状況を見ると、代替案とか緩和策というものが検討がちゃん

とされていないのではないかという懸念を持ちます。

あとサケの産卵に関してなんですけれども、サケの産卵を、時期をずらすために10月から

3月までの間に行われるというふうにサハリン・エナジーのEIAの中にはあるんですけれども、

その時期というのは稚魚の胚が川底の砂利の中で育つ時期だと、ですので結局は建設工事に

よって土砂堆積などの影響を受けることになりますので、やはりそういった交差する場所を

変更するという意味での代替案が必要ではないかと思うんですけどそちらの方もまだ検討

されていない。

先ほど藤田さんの方から法律に関してというお話があったと思うんですけれども、このプ

ロジェクトというのはロシア政府の許可を得てはいるということなんですけれども、野生生

物に関するロシア連邦法とかその他の規制では、産卵場所や越冬場でのパイプラインの建設

というのは明確に禁止されているんですね。ですからこれというのはロシアの法律違反にな

るのではないか、また、やはり先ほどから何度も出ているそのベストプラクティスというこ

となんですけれども、そういったものにもぜんぜん従っていない、これまでの慣行を侵害し

ているものではないのかというような意見も出ています。

私も、こういった調査が行われる前に工事が進められるというのは非常に問題があると思

っていまして、進めるべきではないと思うんですけれども、今、現段階、実際に工事が行わ

れていると、その工事に関してもなんですけれども、ロシアで報道されている中で建設業者

が、やはりベストプラクティスを取り入れるには、デザインのみでなく建設というのは非常

に重要であると、ですけれども、報道の中には何か、やはりどうしても金銭的なとか、プレ

ッシャーとか、時間や金銭的なプレッシャーというのもあるのかもしれないんですけれども、

手抜き工事というものが見られると報道も聞いているんですね。こちらの方もちょっと確認

していただきたいんですけれども、こういったような状況で行われているという意味でも、

融資の検討段階にあるわけですけれども、こちらの方も、こういったことが実際に行われて

いるのであれば非常に問題であると思いますので、提案の中では独立した第三者によるモニ

タリングなど実際にやっていかれるべきではないのかというふうに思います。

先ほどからどういった選択肢、いろいろな選択肢がある中、どういうふうなパイプライン

建設をこのサハリンの地で行われるべきなのかということも見ていかなくてはいけないと

思うんですけれども、先ほどから例が挙がっているアラスカとか、BTCですとか。私自身ア

ラスカが一番いいと思っているわけでもなく、BTCのパイプラインの方でも、溶接等、技術

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Page 47: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

的な問題もありまして、一部工事のやり直しがあったという話も聞いています。ですから、

そういった意味でも、本当にこのサハリンの地に適した工事を行うのであれば、一番適した

ことを、先ほど原科先生もおっしゃっていましたけれども代替案として選ぶためには、こう

したちゃんとしたデータというものがないとそれを実現することは難しいと思っています。

あと、やはり油流出対応計画にまた戻るんですけれども、こういう計画が明確になってい

ないと、パイプラインによる環境の影響を完全に評価することは無理なのではないかという

ことですね。

また、こういうプロジェクトが行われることによって、そういったパイプライン建設、ア

クセスロードが作られることによって、密漁などが行われると、増える可能性があるという

ことで、非常に繊細な、何と言いますか、ケアというのが、本当に必要とされることなので

はないのかと思うんですけれども。

あともうひとつパイプラインとの関連に関しまして、こういった水系の生態系の影響とい

うのは、野生生物、それを捕食したり、湿原に生息している生物など、多大なる影響を及ぼ

すということで、このあたりも、自然環境に関する包括的な視点からの調査を行っていただ

きたいと思います。

先ほどちょっと触れさせていただいたペーパーを用意させて頂いていたんですけれども、

すいません、長くなりまして、これで終わろうと思うんですけれども、こちらの方、先ほど

から何度も出ていますけれども、やはり情報の共有がなされていないということで、ぜひEI

Aの、今現段階で追加情報を求めているということなんですけれども、こちらの方も、どう

いったものが出ているのかというのを、適時公開していっていただきたいということですね。

もしかしたら既に解決している問題をまたこちらが言っているというようなことがあるか

もしれませんので、せっかくこうしたフォーラムが開かれていますので、そういった情報を

共有していただけるようにお願いしたい、ぜひそういった情報、日本語での提供をお願いし

たいと。

先ほど用意させていただいた6月30日と7月1日に行われた、このプロジェクトに関する環

境関連意見交換会であげられた意見に関してなんですけれども、こちらの方ですね、もう5

ヶ月くらい経っていますので、ぜひ、JBICの方もこちらの方、サハリン・エナジーに伝える

とおっしゃっていたので、この時点であげられた問題に関する回答というのは出てきている

と思うんですね。ですのでこちらの方、ぜひ次のフォーラムが開催される前に、ホームペー

ジ等で結構ですので出していただきたいんですね。これが出ることによってまたさらに議論

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Page 48: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

が深まる、前進するとも思いますし、何度も申し上げて恐縮ですけれども、ずいぶん前のこ

とですので、こちらの方、サハリン・エナジーに出した答えがどうだったのかというものを、

次のフォーラムの前にお願いしたいと思います。以上です。すいません。

国際協力銀行・藤田 どうもありがとうございました。ご意見とご要望ありましたけれども、

特にご要望で次回までに6月30日、7月1日に行った意見交換会の結果がどうなったのかとい

うことについてホームページにというお話なんですが、ちょっと拝見すると、6月30日、7月

1日での、少なくとも今回議論している油流出、パイプラインについては、今回ご意見を承

っているものとまったく同じだろうと思いまして、私ども6月30日、7月1日に承っておりま

すが、基本的にこのフォーラムを立ち上げているのもこの7月1日の東京以降、こういうフォ

ーラムでより深く皆様から意見を頂きたいということで立ち上げたということで、このフォ

ーラムでの意見と言うものが、この6月30日、7月1日の意見を含めて、全体となっていると

いうような理解ですので、すいませんけれども、このフォーラムで議論されたものとまとめ

て、先ほど佐尾さんもご質問頂きましたけれども、まとめた上でサハリン・エナジー社の対

応といったものについて議論を、対策について検討させた上でそれをフィードバックさせて

いただきたいと思っております。そういう意味では、これだけ先に取り出してということで

すと、今回議論しているものがまた置き去りになってしまいますので、このフォーラムでの

ものを全部まとめた上で、後程フィードバックさせていただきたいと、このように思ってお

ります。

他に、ご意見いかがでしょう。パイプラインについてですが。

それでは、時間も超過しましたので、本日のフォーラムはこれで終了させていただきたい

と思います。次回は12月6日ということでございまして、先ほど議論がありましたように、

鳥類、海洋性哺乳類ということですが、少なくとも野生動物一般について議論できるという

ことをホームページに追加したいと思います。それと、12月の20日前後にもう一度油流出対

策についての議論をさせていただきたいと思います。当然、12月6日で足りないところもま

た引き続き続けていくということになります。ということで・・・

FoE Japan・神崎 一点だけ・・・

国際協力銀行・藤田 はい、ちょっとマイクに入れていただきたんですが。

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Page 49: 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので …...2004/02/06  · 国際協力銀行・藤田 それでは時間になりましたので、サハリンⅡフェーズ2プロジェクト

FoE Japan・神崎 FOE神崎です。重要なことだと思いますので、確認をさせていただきたい

んですが、確かサハリン・エナジー社が作成しております環境社会健康影響評価、ESHIAと

言われるものが、ここでも多々話題に上ってくると思いますけれども、これの日本語のサマ

リーをサハリン・エナジーの方が作られたというふうに理解をしていますが、今、サハリン・

エナジー社のウェブサイトからこれがなくなってしまっています。

あとはですね、2002年の9月に出された、これは完全なものではないですが、油流出の対

応計画の概要というものについてもサハリン・エナジー社の方で作られたということを認識

しているんですが、これについてもウェブサイトにはないんですが、JBICさんの方でこれら

の情報について何かご存知のことがあれば、あるいはもしご存知でないのであれば、再度こ

れをウェブサイトに載せていただくようにということを要請していただきたいというふう

に思いました。

国際協力銀行・藤田 今の件についてJBICの方から。

国際協力銀行・速川 すいません、日本語のサマリーのことをおっしゃっていると思うんで

すけれども、ちょっと現時点でウェブサイトでどのようになっているかは、私、確認をして

みます。もし、ご要望があればそのようなご意見を頂いたということは必ずお伝えしますの

で、どういう事実関係なのかまず確認をさせていただきたいと思います。

国際協力銀行・藤田 それでは、佐尾さんを最後に、すいません、もう終わりということで

お願いします。

海洋工学研究所・佐尾 はい、第4回目の議題が出ましたので、提案なんですけれども、こ

の1回目と2回目で流出油防除に関してはとりあえず意見とか、出尽くしたわけじゃありま

せんけれども、それなりに出たと思います。で、早い機会にまとめていただいて、SEICから

回答を得ていただくと。その回答をもってもう一度議論をするという形にした方が。ですか

ら第4回目は例えば生態系の議論を続けるとかですね、幅広くご検討いただきたいと思いま

す。

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国際協力銀行・藤田 今の提案にご異存ある方はおられますでしょうか。先ほど原科先生は

油対策をもっととおっしゃっていましたけれども。

今の佐尾さんの提案でよろしければ、第4回の12月20日前後は別のテーマということにさせ

ていただきたいと思いますが。

ご異論ですね。

FOE Japan・村上 付け加えといいますか、前回一番最初に出させていただいたことなんです

けれども、私どももいろいろな、本当に議論がありまして、提案させていただいている議題

の中に今まで取り上げているもの以外にも、漁業海洋資源であるとか、現地住民・先住民へ

の影響であるとか、あと累積的な影響とか、様々な議論があると思いますので、そういった

ものもどのように今後取り扱われるのかということも・・・

国際協力銀行・藤田 すいません、ちょっとお帰りになった方が多数おられますので、今お

っしゃられたのは大変重要な点ですので、これは次回のフォーラムで議論をさせていただけ

ればと思います。恐縮です。

それでは、恐縮ですが、時間が超過しまして、これにて今回のフォーラムは終了させてい

ただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。ま

た、貴重なご意見をありがとうございました。

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