頭蓋内圧亢進 フィジカルアセスメント -...
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頭蓋内圧亢進
フィジカルアセスメント
2011年5月25日
事例
•A氏
•左脳の脳梗塞で、内科的治療を実施。
•へパリン持続投与中。
•右不全麻痺・見当識障害あり。
•瞳孔⇒左右差なく、対光反射スムーズ。
•BP130/70mmHg、HR=70回
場面①訪室時、頭痛の訴えあり。
•意識レベル低下はなし。
•BP150/70mmHg、HR=70回
•瞳孔⇒左右差なく、対光反射スムーズ。
•⇒医師に報告し、ロキソニン内服してもらう。
場面②痛みの評価の為、1時間後に訪室
•傾眠傾向で、呼びかけで開眼あり。
•右不全麻痺進行あり。
•瞳孔⇒左の対光反射が鈍く、やや左が大きい
•BP180/60mmHg、HR=50回
•⇒すぐに医師に報告。CTで左被殻出血あり、緊急開頭血腫除去術となる。
図1
図1の解説
• 意識レベル・瞳孔所見・バイタルサインの変化をみる図です。
• ①は頭蓋内圧が亢進し、症状が出現し始めた状態
• ②は頭蓋内圧が亢進が進みハッキリとした症状がみとめられる状態
• ③は頭蓋内圧が亢進が進み危険な状態
クッシング現象
•血圧上昇・徐脈
•頭蓋内圧が亢進すると血圧も上昇するのは、脳が血液不足にならないようにするための防御的な反応である。
•上昇するのは収縮期血圧で、拡張期血圧は上昇しないことが多く、したがって脈圧が拡大する。
•拍動性の強い徐脈を触知できる。
頭蓋内圧
• 頭蓋内は閉鎖腔
• 頭蓋内は8:1:1
脳実質 80%⇒脳浮腫・脳腫瘍
脳脊髄液 10%⇒水頭症
血液 10%⇒脳出血・くも膜下出血
頭蓋内圧亢進の3主徴
• 頭痛
• 嘔吐
• 視力障害(うっ血乳頭)
図2
図2 解剖
• 大脳鎌
左右の大脳半球の仕切り
• 小脳テント
大脳と小脳の仕切り
図3 脳ヘルニア
•頭蓋内圧が亢進する病態により、脳実質が偏位を起こす。
•脳実質・脳神経・血管が圧迫させることに神経症状を引き起こす。
帯状回(大脳鎌)ヘルニア
• 主に大脳半球の病変により引き起こされる。
• 前大脳動脈を圧迫し、対側または両側下肢の運動・感覚障害をきたす。
• 進行するとテント切痕ヘルニアになりうる。
テント切痕ヘルニア
鉤ヘルニア
• 大脳半球の病変
• 初期症状では動眼神経麻痺により瞳孔散大・対光反射消失・眼瞼下垂をきたす。
• 中脳の圧迫により、意識障害・除脳硬直・呼吸障害・片麻痺・除脳硬直をきたす。
大孔ヘルニア
•大孔に圧力が加わると、小脳が押し出されるような格好になり延髄が圧迫され、意識障害、呼吸停止をきたし、致命的になる。
頭蓋内圧亢進の治療
•①基礎疾患の治療
•②内科的治療
•③外科的治療
内科的治療
•浸透圧利尿薬により、頭蓋内の水分を血管内に吸いあげ頭蓋内圧を下げる。
•D-マンニトール(マンニットール)
(即効性)
•グリセロール(グリセオール)
外科的治療
(1)~(3)の順に治療効果は大きくなるが、侵襲も大きくなる。
(1)ドレナージ
•脳脊髄液が存在する部分(脳室内や脊髄の髄液腔)に管を挿入し、脳脊髄液を排出する。(CSD・CVD)
(2)外減圧術
•浮腫などで容積が増大している部分を中心に大きく開頭し、頭蓋骨を除去する。
(3)内減圧術
•浮腫などで容積が増大している脳を切除する。しばしば、外減圧術と併用される。
頭蓋内圧亢進の観察
• 見当識
• 意識レベル
• 麻痺
• 瞳孔
意識障害の観察
•開眼の有無
①何もしなくても
②呼びかけ
③肩をたたく
④ゆさぶる
⑤痛み刺激
吸引刺激での反応を観察するのも1つの方法
見当識の観察
•①自分の名前
•②年齢
•③日付
•④場所
生年月日・家人判別・病識などを正確に言えるかも判断要素
同じ質問を繰り返すことで不愉快になる方もいます、配慮が必要です。
意識レベルの観察(JCS)
JCSで考えてください
• 閉眼している
• 痛刺激に、顔をしかめるのみ
意識レベルの観察(GCS)
GCSで考えみてください
• 閉眼している。
• 大きな声で呼びかけると開眼
• 「手を握ってください」などの従命に応えることができる
• 発語なし
麻痺の種類
麻痺の評価(MMT)
麻痺の観察(バレーサイン)
麻痺の観察
• 万歳
• バレーサイン
• 指折り・グーチョキパー
• 膝たて(保持できるか)
• 下肢挙上
瞳孔の観察
瞳孔の観察方法
•光を目に入れない状態で大きさ・眼位を観察(自然光)
•片方観察したら、反対側を行う前に5秒ほど待つ(間接対光反射が起こるため)
•目じりから光をあてる
瞳孔所見
•正常 直径2.5~4.0mm
•縮瞳 直径2.0mm以下
•散瞳 直径5mm以上
•瞳孔不同(アニソコリア)0.5mm以上の左右差
★対光反射のスピードも観察
(スムーズ・スロー)
ポイント
• 頭蓋内圧亢進で、最も重要なことは脳ヘルニアへの移行を早期に発見することである。