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豊中市・沖縄市兄弟都市提携 40 周年事業

豊中市・沖縄市の都市間交流の

新たな展開に関する共同調査・研究 報告書

平成 27 年(2015 年)3月

【豊中市】豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調査・研究グループ

【沖縄市】沖縄市市制施行 40 周年記念事業 沖縄市政策研究会

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~目次~

1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2.共同研究の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

1)共同研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2)共同研究の体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

3)共同研究の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4)報告書の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

3.兄弟都市交流の意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

1)「兄弟都市宣言」でうたわれている意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

2)「兄弟都市 40 周年共同宣言」でうたわれている意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

3)豊中市の行政計画における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

4)沖縄市の行政計画における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

5)兄弟都市交流の現代的な意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

4.兄弟都市交流の歴史と現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

1)兄弟都市交流の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2)行政間交流について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

3)市民間交流について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

5.兄弟都市交流の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

1)両市職員アンケート調査の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

2)両市交流のキーパーソンへのヒアリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

3)兄弟都市交流の課題抽出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

6.これからの兄弟都市交流 ~交流 50 周年に向けて~・・・・・・・・42

1)これからの兄弟都市交流の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

2)兄弟都市交流 50 周年に向けた取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

7.共同研究から見えてきたこと~友好都市間交流の意義と課題~・・・52

1)友好都市間交流の意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53

2)友好都市間交流に取り組む際の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

8.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57

資料編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58

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1.はじめに

豊中市と沖縄市の交流は、昭和 39 年(1964 年)に戦没者遺族のため、コザ市(現沖縄市)から

豊中市に霊石と仏桑華(ハイビスカス)が贈られたことがきっかけとなり、両市は都市問題や教育

文化の行政間交流を重ね、昭和 49 年(1974 年)に「両市の友好と市民相互の交流を深め、市民福

祉と平和を祈念して『兄弟都市』である」ことを宣言しています。

その後、豊中まつりにおける沖縄の物産や伝統芸能の紹介、ピースフルラブ・ロックフェスティ

バルなど、さまざまな交流を経て兄弟都市提携 40 周年を迎えましたが、両市における都市交流の

次世代を担う職員・市民の育成が十分なされていない現状が浮き彫りとなっております。

この報告書では、兄弟都市提携 40 周年の節目に両市若手職員による共同研究において、これら

の状況を踏まえ、今日に至った経緯から交流の意義や有益性、課題点などを明らかにすることで、

これからの兄弟都市間交流に向けた方策を検討するとともに、広く友好都市間交流の可能性につい

て考察しております。

また、これまで培われた交流事業の絆を有効に機能させることで生まれる、これからの交流の在

り方や仕組みなど、共同研究を通した若手職員による、50 周年を見据えた今後の新たな交流の可能

性を提示します。

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2. 共同研究の概要

1)共同研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2)共同研究の体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

3)共同研究の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4)報告書の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

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2. 共同研究の概要

『豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調査・研究(以下、共同研究という)』

は、「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」から40年を迎えるにあたり、両市の若手職員を中心とした共

同研究グループを設け、両市が共同で兄弟都市交流の現状についてふりかえり、今後の交流方策

を模索したものである。平成25年度(2013年度)に沖縄市から豊中市に提案され、その後、両市

協議の結果、兄弟都市提携40周年事業の一環として、実施されることとなった。

ここでは、この共同研究の概要について紹介する。

1)共同研究の目的

この共同研究は兄弟都市交流の現状をふりかえるとともに、課題の把握や、解決のための連携方

策などを検討・提言することで、両市の市政運営と都市間交流のさらなる活性化に寄与することを

目的として実施したものである。また、この調査・研究を通じ、改めて友好都市間交流の持つ意義

や有意性、課題点などを明らかにするとともに、今後の基礎自治体間連携の可能性について検証し

ている。

さらに、これらの調査・検討のプロセスや報告書の作成・発表を通じ、両市から参加した若手職

員の政策形成能力の向上を図るとともに、交流を深めることも目的とした。

2)共同研究の体制

この共同研究の体制については、豊中市、沖縄市それぞれで、調査・研究のためのグループを設

置し、両市のグループが集合して調査・研究を実施した。各市の調査・研究のためのグループの位

置づけは以下のとおりである。

ⅰ.【豊中市】豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調査・研究グループ

豊中市では、総務部人材育成センター職員研修所が毎年度、職員の政策形成力・企画立案力の

向上をめざし、職員グループ自らが研究テーマを設定し、主体的・自律的に課題設定、現状分析、

情報収集、立案を行う調査・研究に対し、グループ研究事業として支援を行っている。

この共同研究においては、この制度のもと、政策企画部とよなか都市創造研究所を主管課とし

て、平成 26 年度(2014 年度)グループ研究事業の一環として研究グループを設置した。

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【豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調査・研究グループ】

立場 所属 補職 名前

研究員

人権文化部文化芸術室 事務職員 齊藤 健

政策企画部企画調整室 事務職員 上野 正彦

上下水道局経営企画課 事務職員 山田 良輔

研究主管課 政策企画部

とよなか都市創造研究所

所長 泉 勝

主任研究員 森 崇徳

事務局 総務部人材育成センター

職員研修所 所長補佐 田中 俊彦

ⅱ.【沖縄市】沖縄市市制施行 40 周年記念事業 沖縄市政策研究会

沖縄市では、行政が抱える課題やまちづくり等について、政策等を調査・研究することを目的

として、沖縄市政策研究会を設置しており、若手職員を企画部政策調整室(現 政策企画課)内に

設置された沖縄市政策研究会の研究員として任命している。この共同研究においては、研究グル

ープを沖縄市市制施行40周年記念事業 沖縄市政策研究会として設置した。

【沖縄市市制施行 40 周年記念事業 沖縄市政策研究会】

立場 所属 補職 名前

研究員

教育部生涯学習課 主事 宮平 栄

企画部政策企画課 主事 比嘉 実之幸

水道部管理課 技師 高嶺 雄一

研究員補助 経済文化部 次長 兼本 正人

企画部プロジェクト推進室 技査 兼城 勝則

事務局 企画部政策企画課 主査 比嘉 康志

※以下、この報告書においては、豊中市の「豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調

査・研究グループ」と沖縄市の「沖縄市市制施行 40 周年記念事業 沖縄市政策研究会」を包含し

て、共同研究グループと呼ぶこととする。

〈共同研究グループの会議〉

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3)共同研究の方法

共同研究グループでは、平成26年(2014年)8月から平成27年(2015年)3月の概ね8か月間で、

グループメンバーが両市をお互いに訪問し、会議を繰り返し開催し議論を深めていった。

その過程で、次の調査・研究を実施した。

① 各市の各部局に散らばっていた交流に関する文献や資料を集約・精査し、交流の歴史を整理。

また、集めた文献をデジタル化し、両市で共有。

② 交流の経緯や意義・目的の確認と現状の把握、および課題抽出のために、両市の交流のキーパ

ーソンに対しヒアリングを実施。

③ 平成 24 年度(2012 年度)に沖縄市が実施していた、沖縄市の全職員(臨時・嘱託職員含む)を

対象とした「都市交流に関するアンケート調査」をもとに、豊中市でも「豊中市職員の都市間

交流に関するアンケート調査」を実施し、各市職員の都市間交流に対する意識を調べた。

共同研究グループでは、これらをもとに兄弟都市交流の現状把握と課題の抽出を行い、これから

の兄弟都市交流について方策を検討するとともに、都市間交流の可能性についても議論を行った。

【方法イメージ】

兄弟都市交流の

歴史の整理

これからの兄弟都市交流に向けた方策の検討

兄弟都市交流の課題の抽出

都市間交流の可能性についての検討

兄弟都市交流の

現状把握

沖縄市職員

アンケート

(H24)

豊中市職員

アンケート

キーパーソン

ヒアリング

文献・資料の

収集・精査

両市職員の意識を比較 文献・資料の

デジタル化・

共有

兄弟都市交流の

意義・目的の確認

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4)報告書の作成

共同研究グループでは、8 か月にわたる調査・研究の成果をまとめ、この報告書を作成した。報

告書の作成にあたっては、豊中市・沖縄市双方の視点をふまえ執筆する必要から、各章を両市メン

バーが共同で担当した。

このことにより、この報告書の作成にあたっても、両市職員同士の議論や共同作業が生まれ、交

流を深めることができた。

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3. 兄弟都市交流の意義・目的

1)「兄弟都市宣言」でうたわれている意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

2)「兄弟都市 40 周年共同宣言」でうたわれている意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

3)豊中市の行政計画における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

4)沖縄市の行政計画における位置づけ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

5)兄弟都市交流の現代的な意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

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3. 兄弟都市交流の意義・目的

豊中市と沖縄市は、兄弟都市として40年間、幅広い分野における交流を実施してきている。そ

して、この長年にわたる交流により、深い信頼関係を築いてきた。

冒頭で述べたように、この共同研究は40周年事業の一環として、今後の両市における交流のあ

り方を模索し、両市が交流の質をより高めつつ、継続的に交流していくための要素について研究

し、提言することを目的としている。また加えて、豊中市と沖縄市の交流の事例をふりかえるプ

ロセスを通じ、友好都市間交流の持つ意義や有意性、課題点などを明らかにし、今後の基礎自治

体間連携の可能性について考察することを意図し、実施したものである。

総務省自治行政局過疎対策室(2006)が指摘しているとおり、自治体間での交流事業は、範囲

や対象が多様であり、事業として取り組みやすい一方、施策としての目標が決めにくく、成果が

目にみえにくい一面がある。そのため、他市においては、事業の計画・実行・評価・改善のサイ

クルがうまく働かず、事業がマンネリ化してしまったり、民間の交流までは発展していかなかっ

たりするケースがある。その大きな要因の一つとして、交流によって自分たちの地域が何をした

いのか、何をめざすのかといった交流の意義や目的を明確に設定できていないことがあるようで

ある。

そこで、この章では、共同研究に関する報告の最初に、両市が兄弟都市交流を行う意義と目的

について、整理したい。

1)「兄弟都市宣言」でうたわれている意義・目的

昭和49年(1974年)11月3日に締結された「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」において、両市は次の

ように宣言している。

豊中市と沖縄市の友好は昭和39年沖縄市が第二次世界大戦の戦没者遺族のために、豊中市に霊

石と仏桑華を送ったことにはじまる。

以来、両市は都市問題、教育文化の交流を重ね相互の理解と信頼を深めてきた。

この歴史的背景のもとに、更に両市の友好と市民相互の交流を深め、市民福祉と平和を祈念し

て、ここに兄弟都市であることを宣言する。

<豊中市・沖縄市(1974)「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」>

当初の交流は都市問題(インフラ整備等)や教育文化の交流に限定されていたが、兄弟都市提

携により、さらに両市の友好と市民間交流を深めていくことで、市民福祉の向上と平和の実現に

つなげることを、提携の目的としていたことがこの宣言から読み取れる。

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2)「兄弟都市 40 周年共同宣言」でうたわれている意義・目的

平成26年(2014年)11月8日に開催された兄弟都市提携40周年記念式典における「豊中市・沖縄

市兄弟都市40周年共同宣言」では、両市は次のように宣言している。

豊中市と沖縄市は、昭和49年11月3日の兄弟都市宣言以来、教育・文化・スポーツをはじめ、幅

広い分野で交流を深めてきました。

私たちは、この兄弟都市宣言40周年を契機に、さらに両市の友好と市民相互の交流を深め、一

層の繁栄を築いていくための努力を継続していく決意を新たにします。

両市の記念すべき年に、これまでの友好と信頼の絆を未来につないでいくことを確認し、本

日、ここに宣言します。

<豊中市・沖縄市(2014)「豊中市・沖縄市兄弟都市40周年共同宣言」>

兄弟都市提携の目的が、40年を経ても変わらず、両市の友好と市民間交流を深めていくことで

両市の繁栄につなげていくことにあることを確認している。また、これまで培ってきた両市の関

係を今後もつないでいくことをうたっている。

3)豊中市の行政計画における位置づけ

兄弟都市交流の意義・目的を整理するためには、兄弟都市提携以降に両市で策定された行政計画

において、交流がどのように位置づけられているのか確認しておくことが必要である。そこで、ま

ずここでは、豊中市の行政計画での交流の位置づけを見ていくこととする。

〈豊中市・沖縄市兄弟都市 40 周年共同宣言〉

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ⅰ.総合計画における位置づけ

豊中市では、平成 13 年(2001 年)1 月に策定された『第 3 次豊中市総合計画前期基本計画』に

おいて、施策「市民文化の創造を支えるしくみづくり」の中に、以下のように位置づけている。

○文化交流の推進

・サンマテオ市(姉妹都市)、沖縄市(兄弟都市)などとの都市間交流を進め、生活文化の紹介や相

互の芸術文化の鑑賞機会充実などを図るとともに、市民間の主体的な交流やその組織づくりを促

進します。

<豊中市(2001)『第 3 次豊中市総合計画 基本構想/前期基本計画』,p56>

また、前期基本計画に続き、平成 23 年(2011 年)2 月に公表された『第 3 次豊中市総合計画後

期基本計画』においても、施策「市民文化の創造を支えるしくみづくり」の主な取り組みとして、

引き続き位置づけられている。

○文化交流の推進とネットワークの充実

・市民、文化団体、芸術家など多彩な人材が活動する場を創出するなど、市民の文化創造活動を通

じた交流や連携を進めます。また、沖縄市(兄弟都市)などとの文化交流を進めます。

<豊中市(2011)『第 3 次豊中市総合計画 後期基本計画』,p26>

このように豊中市の総合計画上では、市民文化を醸成し、市民の心の豊かさや生きがいにつなげ

ていくための一環として、沖縄市との文化面を中心とした交流を進めていくことや市民間交流を支

援していくことが位置づけられている。

ⅱ.分野別計画における位置づけ

平成 5 年度(1993 年度)に策定された『豊中市文化振興ビジョン』においては、以下のように位

置づけられている。

個性的で魅力ある都市の文化を形成するためには、さまざまな文化との出会い、ふれあい、交わ

りあいが必要です。

他都市との交流や過去の歴史との出会いなどから豊中らしさとはなにかを考え、都市としての個

性(都市アイデンティティ)を形成していく取り組みを推進します。

<豊中市(1994)『豊中市文化振興ビジョン』,p34>

このように、都市間交流の目的として、交流の中で他都市の文化を知り、豊中市の個性を形成

していくことの必要性を述べている。また、平成20年(2008年)6月に策定された『豊中市文化芸

術振興基本方針』においては、多文化共生を進めるために、兄弟都市沖縄市や姉妹都市サンマテ

オ市との交流をはじめ、文化芸術に関する市民主体の都市間交流の支援を行っていくことが位置づ

けられている。

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4)沖縄市の行政計画における位置づけ

同様に、沖縄市の行政計画における兄弟都市交流の位置づけを見ていくこととする。

ⅰ.総合計画における位置づけ

沖縄市の総合計画に初めて国内交流が登場したのは、平成 3年(1991 年)9 月に策定された『沖

縄市新総合計画 第 2次基本計画』であり、その後、平成 8年(1996 年)7月策定の『沖縄市新総

合計画 第 3 次基本計画』、平成 14 年(2002 年)3 月策定の『第 3 次沖縄市総合計画 基本構想 第

1 時基本計画』、平成 19 年(2007 年)3 月策定の『第 3 次沖縄市総合計画 第 2 次基本計画』、平成

23 年(2011 年)6月に策定された『第 4次沖縄市総合計画 基本構想 前期基本計画』において、以

下のように位置づけている。

情報のネットワーク化により、国内諸都市との情報交換を積極的に進め、相互理解のもとに人的・

経済的・文化的交流の拡大を図る。また、地域の特性をいかした交流を推進し、都市イメージを創

出するとともに、市民レベルの交流を促進する。

〈沖縄市(1991)『沖縄市新総合計画 第 2次基本計画』,p36〉

兄弟・姉妹都市との連携を深め、多岐にわたる交流を推進するとともに、国内の友好都市との情

報ネットワーク化を図り、相互理解と相互発展をめざして地域の個性ある交流を積極的にすすめる。

〈沖縄市(1996)『沖縄市新総合計画 第 3次基本計画』,p42〉

国内の兄弟・姉妹都市との多様な交流を推進するとともに、友好都市との個性ある交流を積極的

にすすめる。

<沖縄市(2002)第 3 次沖縄市総合計画 基本構想 第1次基本計画』,p71>

国内兄弟・姉妹都市をはじめ各友好都市と、地域の個性を活かした多様な地域間交流を推進し、

地域経済の活性化および相互発展をめざす。

<沖縄市(2007)第 3 次沖縄市総合計画 基本構想 第 2 次基本計画』,p65>

兄弟都市である豊中市や姉妹都市の米沢市・東海市および友好都市との文化、教育・スポーツ、

産業等の交流を推進するとともに、市民間の主体的な交流を促進する。

<沖縄市(2011)『第 4 次沖縄市総合計画 基本構想 前期基本計画』,p60>

沖縄市の総合計画においても、豊中市同様に、文化、教育面等での交流の推進と市民間交流の促

進がうたわれている。また、沖縄市では交流の促進による地域経済の活性化と相互の発展が目的と

して位置づけられている。

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ⅱ.分野別計画における位置づけ

平成 22 年度(2010 年度)に策定された『沖縄市多文化共生推進計画策定業務報告書』において

は、以下のように位置づけられている。

沖縄市らしいまち・人づくりを進めるためには、国内、国外の様々な人たちと市民をつなぎ、視

野を広げるきっかけづくりが必要です。特に、兄弟姉妹都市を提携している都市については、これ

までの経緯も踏まえ、より重点的に交流を進める必要があります。そのため、「こども」、「スポー

ツ」、「文化」など様々なテーマに応じた交流の場の充実を図るとともに、兄弟姉妹都市との交流を

促進します。また、それぞれの交流が円滑に図られるよう、交流を支援する体制づくりを進めます。

<沖縄市(2010)『沖縄市多文化共生推進計画策定業務報告書』,p86>

このように、個性あるまちづくりを進めるにあたって、国内外のさまざまな人との交流が視野

を広げるきっかけとなることがうたわれている。特に兄弟姉妹都市については、重点的にさまざ

まなテーマに応じた交流の場の充実、支援体制づくりの必要性が定められている。

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5) 兄弟都市交流の現代的な意義・目的

ここまで、「兄弟都市宣言」と「兄弟都市 40 周年共同宣言」をふりかえり、両市の行政計画上の

位置づけについて確認してきた。これらから、以下のように、兄弟都市提携は、両市の友好と市民

間交流を深めていくことで、市民福祉の向上と平和の実現につなげることを目的としていることが

確認できた。また、兄弟都市提携後、両市ともに総合計画や分野別計画にて、文化面を中心とした

交流の推進や市民間交流の促進を打ち出し、多文化共生の推進や都市アイデンティティの形成につ

なげていこうとしてきたことが分かった。

【豊中市・沖縄市の宣言・計画における兄弟都市交流の位置づけ】

豊中市 沖縄市

兄弟都市

宣言

・都市問題、教育文化の交流を重ね相互の理解と信頼を深めてきた。

・さらに両市の友好と市民相互の交流を深め、市民福祉と平和を祈念。

40周年

宣言

・教育・文化・スポーツをはじめ、幅広い分野で交流を深めてきた。

・さらに両市の友好と市民相互の交流を深め、一層の繁栄を築いていくための努力

を継続していく決意を新たにする。

・これまでの友好と信頼の絆を未来につないでいくことを確認。

総合計画

共通部

・文化・教育面での交流の推進、市民間交流の促進

分野別

計画

・都市アイデンティティ

・多文化共生

・こども・スポーツ

・多文化共生

しかし、共同研究グループの議論の中で、兄弟都市宣言から 40 年が経ち、少子高齢化が進んで

いる現在、地方自治のあり方は大きく変化しようとしており、兄弟都市交流の意義・目的について

も、当初から変化してきているのではないかという指摘があった。そこで、共同研究グループでは

以下のような地方自治の流れをふまえ、兄弟都市交流の現代的な意義・目的の再検討を行うことと

した。

【兄弟都市交流の現代的な意義・目的を検討する際にふまえておくべき地方自治の流れ】

① 地方自治法第 1 条の 2 にあるように、地方自治体の役割が「住民の福祉の増進を図ることを基

本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」であること。

② 地方分権推進法(平成 7 年)、地方分権一括法(平成 12 年)、地方分権改革推進法(平成 18 年)、

地方分権改革に係る一括法(平成 23 年)などにより、地方分権が進展し、各基礎自治体は国や

都道府県の指示を待つのではなく、地域のことを自ら考え、自ら決定し、自ら責任を負う自治

体運営が、なお一層求められるようになってきていること。

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③ 今後、少子高齢化の進展により、社会福祉経費の拡大や税収の減少が見込まれ、「あれもこれも」

行える時代ではなくなっており、限られた資源を優先的に取り組む活動に重点化していくこと

が求められていること。

共同研究グループはこの地方自治の流れを念頭に、兄弟都市交流の現代的な意義・目的について

活発な議論を行った。その結果、立地・人口構成・産業構造などにおいて、立場の違う基礎自治体

間で、相互にコミュニケーションを図っていく中で、自地域の資源・特性・能力や課題を再認識す

ることができることが分かった。さらに、それをふまえ、行政と民間両面で交流の取り組みを行い、

関係を深めていく中で、お互いの強みにより弱みを補完しあえる環境ができ、地域の活性化や市民

サービスの向上につながることが指摘された。

これらのことから、共同研究グループでは、兄弟都市宣言当初の意義・目的に加え、現在の兄

弟都市交流においては、次の意義・目的が重要であるとの認識に立ち、その後の課題抽出や施策

展開の提言の整理を行った。

【兄弟都市交流の現代的な意義・目的】

① 豊中市・沖縄市両市の違いを知ることによる、自都市の資源・特性・能力や課題の再認識

豊中市と沖縄市の間には、立地はもちろん、人口構成・人口動態・産業特性・行政サービス

の在り方・抱えている行政課題などさまざまな違いがある。交流のプロセスにおいてさまざま

な角度からこの違いを実感すること自体が、それまで市の内側からは固定観念が邪魔になり見

えなかった、それぞれの市が独自に持っている資源・特性・能力などや課題を再発見すること

に結びつく。そして、その再発見が次の施策展開や新たな交流事業の可能性をさらに産み出し

ていく。

② 豊中市・沖縄市それぞれの強みにより補い合い、地域の活力や生活の質を高めあえる

環境づくり

今後、両市においても少子高齢化がさらに進み、いずれは人口減少局面に入ることが想定さ

れる。これまで経験したことのない地域課題にさまざまな分野で直面し、地域の活力低下や生

活環境の悪化が起こることも考えられる。そのような際に、個性が大きく異なる両市の交流を

通じて、それぞれに蓄積してきた強みやノウハウを提供しあうことで、それらの地域課題解決

の一助とすることができ、お互いに地域の活力と生活の質を保ち、さらに高めあっていくこと

につながる。

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4. 兄弟都市交流の歴史と現状

1)兄弟都市交流の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

2)行政間交流について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19

3)市民間交流について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

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4. 兄弟都市交流の歴史と現状

この章では、豊中市と沖縄市が「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」締結に至るまでの経緯を整理

し、「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」締結後、40年間幅広い分野における行政間・市民間交流が行

われてきた経過と現状について述べていく。

1)兄弟都市交流の経緯

ⅰ.豊中市と沖縄市の交流のきっかけ

昭和39年(1964年)10月、沖縄道路事情視察団の一員として豊中市の竹内義治助役が沖縄を

訪問し、コザ市の大山朝常市長と談話する機会があった。その際に、竹内助役から大山市長に

「豊中市には沖縄戦の遺族も多く、ほとんどの人が遺品も満足になく、何か形見になるものが

あれば」という話があった。そこで、同年12月に豊中市で行われた戦没者・空爆犠牲者追悼式

に、コザ市から戦没者の遺族にと、多くの霊石と仏桑華(ハイビスカス)が贈られた。この霊石

は、沖縄最大の激戦地、島尻郡糸満町摩文仁海岸の小石で、沖縄戦没者慰霊奉賛会(現公益財

団法人沖縄協会)が入魂式をした後、拾い集めたものである。このことがきっかけとなり豊中

市と沖縄市の交流がはじまった。

一方、当時の沖縄はアメリカ軍の統治下にあり、日本の行政事情を把握しきれていなかった

ため、大山市長は本土の先進都市の行政を職員に勉強させたいと考えていた。それを知った竹

内助役が、豊中市の職員として仕事をしながら、将来の本土復帰に備えて制度などの勉強をし

てはどうかと提案したことで、昭和40年(1965年)から、都市計画や下水道、福祉など幅広い

分野で職員の研修の受入れが始まった。この研修はいつしか「豊中学校」と呼ばれるようにな

り、昭和56年(1981年)までの間に、のべ100人以上の職員が研修に訪れた。

〈霊石〉

〈豊中学校〉

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その後、沖縄が本土復帰を控えた昭和46年(1971年)、コザ市に動物園や植物園を備えた施設

「沖縄こどもの国」が建設された。豊中市では何か記念になるものをと、商工会議所などの団

体が募金を集め、豊中市在住の彫刻家にブロンズ像の制作を依頼し、「沖縄の将来が明るく楽し

いものに」との願いを込めて、「合奏」の像が贈られた。

そして、昭和47年(1972年)に沖縄が本土復帰を果たし、昭和49年(1974年)にコザ市と美

里村が合併して「沖縄市」が誕生した。これを機に、沖縄市から兄弟都市の提携をしたいと申

し出があり、同年11月3日の沖縄市誕生市民祭典の場で、豊中市と沖縄市が「豊中市沖縄市兄弟

都市宣言」に調印をした。

ⅱ.「兄弟都市」の由来

豊中市と沖縄市が姉妹都市ではなく、兄弟都市と言われる由来については、共同研究を進め

ていく中で複数の説が存在していることを確認した。昭和40年(1965年)からコザ市の職員を

豊中市に研修として受け入れが始まったこと(「豊中学校」)で、沖縄市が豊中市に世話になっ

たことなどを受け、大山朝常市長が「豊中市が兄で沖縄市が弟」と言ったことに由来するとい

う説や、姉妹都市という表現は、英語の“Sister City”に由来することから、国外が姉妹都市

なら国内は兄弟都市と整理したという説があった。また、沖縄の方言である「いちゃりばちょ

ーでー(出会えば兄弟)」に由来するという説もあった。

〈「合奏」の像〉 〈「合奏」の碑〉

〈兄弟都市宣言に調印する下村輝雄豊中市長

と町田宗徳沖縄市長〉

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2)行政間交流について

ⅰ.行政間交流の歴史

【行政間交流に関する年表】

年 社会情勢 行政間交流

S39(1964) 10 月:沖縄道路事情視察団として、竹内助役が沖縄を訪問し、コザ

市の大山市長と談話

S39(1964) 12 月:豊中市で行われた戦没者・空爆犠牲者追悼式に、コザ市から

戦没者の遺族へ霊石と仏桑華(ハイビスカス)が贈られた

S40(1965) 沖縄市職員を豊中市に派遣【豊中学校】(~昭和 56 年まで)

S46(1971) 「沖縄こどもの国」開園の記念として、豊中市から「合奏」の像が贈ら

れる

S47(1972) 沖縄が本

土復帰

S49(1964) 4 月:沖

縄市誕生

11 月:兄弟都市宣言調印

S52(1977) 8 月:豊中市民会館で沖縄市豊中市少年少女合唱交歓演奏会

S59(1984) 7 月:初の市立沖縄図書館に 15,000 冊の本を豊中市が寄贈

7 月:沖縄市職員野球部招待

(交流試合は、定期的に平成 9年まで開催される)

S60(1985) 7 月:沖縄・豊中兄弟都市青年のつどい(IYY 記念)

S61(1986) 11 月:豊中市政施行 50 周年記念姉妹都市・兄弟都市児童画展

S63(1988) 6 月:沖縄市水道事業 30 周年記念式典で下水道部次長が記念講演を行

い、蛍を贈る

H 元年(1989) 2 月:豊中市・沖縄市新成人交流会(~平成 8 年)

H4(1992) 11 月:沖縄市から豊中市に友好のシンボルとして、シーサー像(豊中

市役所前に設置)が贈られる

H5(1993) 4 月:豊中市から沖縄市役所新庁舎に壁画を贈る

H7(1995) 1 月:阪

神大震災

阪神・淡路大震災の際、沖縄市が物的・人的に支援

H8(1996) 3 月:豊中市職員友好の会より桜の苗木 100 本寄贈

H9(1997) 1 月:豊中市から送られた「豊中市・市民有志寄贈友好桜」を倉敷ダム

敷地内に植樹

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年 社会情勢 行政間交流

H11(1999) 25 周年 兄弟都市 25 周年記念事業

・豊中まつりへ「あしびなー歌舞団」派遣

・第 44 回全島エイサーまつりに「琉鼓会」が出演

H16(2004) 兄弟都市 30 周年記念事業

・仲宗根沖縄市長はじめ、ほか市民団体などから計 60 名が「豊中まつ

り」及び「豊中市・沖縄市兄弟都市提携 30 周年記念交流会」に参加

・中学生絵画交換事業により沖縄市役所及び豊中市の公共施設にて「私

の紹介したいまち、仲間、家族」をテーマに中学生の絵画を展示

・豊中市より「永廣考山&筝アンサンブルファンタジア」が沖縄市役所

にてランチタイムコンサート、沖縄国際カーニバルで講演

H21(2009) 8 月:沖縄市文化観光課職員が豊中まつり 2009 に参加し、沖縄市の PR

ブースを出展

H26 (2014) 兄弟都市締結 40 周年事業

年表のとおり、行政間交流についてとりまとめを行った。これまでにいろいろな交流が行われて

きたことが見てとれる。ここからは、主な行政間交流について述べていく。

①豊中学校について

沖縄の日本復帰に備え、本土の先進都市の行政をコザ市職員に勉強させることを目的に、昭

和 40 年(1965 年)から昭和 56 年(1981 年)までの間、豊中市のさまざまな部局で職員研修

が行われた。研修に訪れた職員の中には、後に市長、助役、収入役、部長として沖縄市を支え

ることとなる職員も多くいた。

②職員野球部親善交流

昭和 49 年(1974 年)の兄弟都市の締結から 10 周年の節目に、野球交流が計画され双方とも

に、お互いの市を訪問し親善試合を行った。結果は、平成 9 年(1997 年)までに 8 試合行わ

れ、3勝 3敗 2分となっていた。

③友好のシンボル

平成 4 年(1992 年)10 月に豊中市第二庁舎完成を記念して、安全、平和、繁栄のシンボルと

して親しまれている沖縄の獅子像「シーサー」2 体が贈られ、市役所議会棟前に設置された。

これは、沖縄市の市民団体などが 20 団体集まって「豊中市へ友好のシーサーを贈る市民運動

実行委員会」を結成し、約 800 万円を集め、製作されたものである。実行委員会からは、シー

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サー像とともにシーサーのミニチュア 300 個が送られ、市民にプレゼントされた。平成 5 年

(1993 年)には、沖縄市役所新庁舎が完成した際に、豊中市から壁画「曼荼羅観想宇宙之図」

が友好のシンボルとして贈られ、市役所一階の市民ホールに掲げられた。

④阪神・淡路大震災時における支援

平成 7 年(1995 年)1月 17 日の阪神・淡路大震災発生後、4月までの間に計 8,272,074 円の

義援金と黒糖やブルーシートなどの支援物資が、沖縄市から豊中市に寄せられた。また、人的

支援として、消防職員など 8人が沖縄市から豊中市に派遣された。

翌年 3 月には、これらの支援のお礼に豊中市職員友好の会から桜の苗木 100 本が沖縄市に寄

贈され、沖縄市内の倉敷ダム敷地内に植えられた。

ⅱ.行政間交流のふりかえりと現状

前述のとおり、昭和39年(1964年)に沖縄道路事情視察団の一員として豊中市の竹内義治助役

が沖縄を訪問し、コザ市の大山朝常市長と談話する機会があり、その後、豊中市にいる沖縄戦の

遺族に対し、コザ市から霊石と仏桑華(ハイビスカス)が贈られたことから、豊中市と沖縄市の

行政間交流がはじまった。

一方当時の沖縄はアメリカ軍の統治下にあり、コザ市が将来の本土復帰に備えて日本の行政制

度などを学ぶ必要があったため、昭和40年(1965年)以降、豊中市はコザ市職員の研修を受け入

〈豊中市役所の「シーサー」〉 〈壁画「曼荼羅観想宇宙之図」〉

〈倉敷ダム敷地内の桜〉

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れた。この研修はいつしか「豊中学校」と呼ばれるようになり、昭和47年(1972年)に沖縄が本

土復帰を果たし、昭和49年(1974年)にコザ市と美里村が合併して「沖縄市」が誕生して、同年

11月3日の「豊中市沖縄市兄弟都市宣言」に調印後も昭和56年(1981年)まで続いた。兄弟都市宣

言後は、市職員野球部の交流試合や、新成人交流会など、平成9年(1997年)頃まで定期的な交流

が行われていた。その後は、各市の周年事業や、兄弟都市宣言周年事業の節目の年度ではいろい

ろな取り組みが行われてきたが、「豊中学校」で学んだ沖縄市の職員が退職し、当時のことを知

る職員も少なくなっている。現在では、兄弟都市宣言周年事業や、豊中まつりなど一部の事業に

おける交流のみとなっており、行政間の交流は減少傾向になっている。

3)市民間交流について

ⅰ.市民間交流の歴史

【市民間交流に関する年表】

年 社会情勢 市民間交流

S55(1980) 1 月:沖縄市民会館落成記念市民音楽祭に豊中市少年合奏団出演

S62(1987) 沖縄市へこども親善使節派遣(一般社団法人豊中青年会議所)

H2(1990) 7 月:琉球國祭り太鼓一行 57 名が豊中市を訪問

H4(1992) 7 月:一般社団法人豊中青年会議所と一般社団法人沖縄青年会議所が姉

妹青年会議所締結

H7(1995) 1月:阪神

大震災

1 月~4月:沖縄市、他関係団体より義援金、救援物資が寄せられる。

5 月:被災市民を沖縄市に招待(命ぐ水ツアー)

第 28 回豊中復興まつりに山里エイサー隊 60 人が出演

H8(1996) 2 月:豊中市民有志が桜の苗木 100 本寄贈

H9(1997) 8 月:豊中まつりで「沖縄がやってくる」と題して、島唄、琉球舞踊な

どを紹介

H10(1998) 3 月:兄弟都市スポーツ交流サッカー大会(毎年実施~)開催場所は豊

中市、沖縄市交互で開催

H11(1999) 25 周年 8 月:豊中ピースフルラブ・ロックフェスティバル(毎年実施~)

H16(2004) 30 周年 8 月:豊中市で「豊中・沖縄いちゃりばちょうでぇー会」が設立

H20(2008) 7 月:豊中エイサー豊優会がミュージックタウン広場にてエイサーナイ

トに出演

H21(2009) 沖縄市青年団協議会が豊中市へ視察に訪れ、豊中エイサー豊優会と交流

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年 社会情勢 市民間交流

H22(2010) 8 月:沖縄市観光協会が豊中まつり出店(毎年実施~)

11 月:豊中市国際交流協会事業課長が兄弟都市交流事業として「多文化

共生について」市民小劇場あしびなーにて講演

H24(2012) コザ豊中会結成

H26(2014) 40 周年 11 月:兄弟都市市民交流ツアーの旅

この年表のとおり市民間交流についてとりまとめを行った。これまでにいろいろな交流が行わ

れてきたことが見てとれる。ここからは、主な市民間交流について述べていく。

①阪神・淡路大震災時による支援(ヌチグスイツアー)

平成 7 年(1995 年)1 月 17 日の阪神・淡路大震災発生後、被災した豊中市民を沖縄市に招き、

暖かい沖縄で心と体の疲れを癒し、震災を乗り越えるための気力と希望を持てるようなツアーが

企画され、計 40 名が参加した。

②豊中まつり

平成 9 年(1997 年)に、「人と文化がふれあうまつり」をテーマに、市民ボランティアを中心と

したまつりづくりがスタートした。同年 8 月に開催された第三十回豊中まつりでは、「沖縄がや

ってくる」と題して、島唄、琉球舞踊、古武道などが紹介され、沖縄市の協力のもと、新たな一

歩を踏み出すことができた。それ以降も、毎年、沖縄の伝統芸能・エイサーの演舞や物産展が催

され、多くの豊中市民が沖縄の文化に触れることができる場となっている。

③兄弟都市スポーツ交流サッカー大会

市職員交流試合に参加している職員の紹介をきっかけに、平成 10 年(1998 年)3 月に RFC

(緑地フットボールクラブ)が創立 5 周年記念の一環として、沖縄遠征し FC 泡瀬と交流試合

を行うことになった。その後交互に友好訪問を行い、平成 26 年(2014 年)3月に第 17 回目の

〈豊中まつりでのエイサー〉

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豊中市・沖縄市少年サッカー交流会が開催され、今では沖縄市からは3チームが参加している。

この交流会は、サッカーの試合をするだけでなく、平和学習や、名所観光、その土地でしか

体験できない体験学習などを行い、貴重な経験の場となっている。さらに、受け入れ側の市の

保護者が、ホームステイでこどもを迎え入れたり、遠征資金の造成のために祭りへの出店をし

たり、保護者も一丸となって交流が続けられてきた。

今後、交流会に参加していたこどもたちが保護者として参加し、次世代にこの絆の大切さを

伝えていく場になっていくことも期待される。

④豊中ピースフルラブ・ロックフェスティバル・コンテスト

豊中まつりのなかで開催される豊中ピースフルラブ・ロックフェスティバル・コンテストで

は、グランプリを受賞したバンドが、沖縄県内最大のロックイベント「ピースフルラブ・ロッ

クフェスティバル」への出場権を獲得する。このコンテストは、ピースフルラブ・ロックフェ

スティバルステージに立つことができる本土唯一のコンテストである。

〈兄弟都市スポーツ交流サッカー大会〉

〈豊中ピースフルラブ・

ロックフェスティバルコンテスト〉

〈ピースフルラブ・ロックフェスティバル〉

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ⅱ.市民間交流のふりかえりと現状

兄弟都市提携をきっかけとして、少年少女合唱交歓演奏会、沖縄市民会館落成記念音楽祭への

豊中合奏団出演、沖縄市へのこども親善使節派遣や、姉妹青年会議所締結など、さまざまな分野

の活動を通じて、豊中市・沖縄市の市民交流が行われてきている。

阪神・淡路大震災発生後は、被災した豊中市民を沖縄市に招き、暖かい沖縄で心と体の疲れを

癒し、震災を乗り越えるための気力と希望を持てるようなツアー(ヌチグスイツアー)が行われ

たほか、豊中復興まつりには山里エイサー隊が出演している。

近年は、豊中市・沖縄市少年サッカー交流事業で、両市の少年サッカーチームが平成 10 年

(1998 年)から隔年で交互に訪問しており、サッカーだけでなく、自分の住んでいるところで

は体験できない異文化交流なども行っている。

また、豊中まつりにて、選出されたバンドが翌年の沖縄市で開催されるピースフルラブロック

フェスティバルに出場し、音楽の交流も平成 11 年(1999 年)より毎年行われている。平成 26 年

(2014 年)には、兄弟都市宣言 40 周年を記念して兄弟都市市民交流ツアーが企画されるなど、

市民間交流は今後もますます拡大・深化していくことが期待される。

〈豊中市キャラクター「マチカネくん」と沖縄市の

エイサーキャラクター「エイ坊」「サーちゃん」〉

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5. 兄弟都市交流の課題

1)両市職員アンケート調査の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27

2)両市交流のキーパーソンへのヒアリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

3)兄弟都市交流の課題抽出・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39

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27

19歳以下

1

(0.2%)20代 87

(16.7%)

30代 139

(26.7%)40代 174

(33.4%)

50代 93

(17.9%)

60歳以上

26

(5.0%)

無回答 1

(0.2%)

男性

350

(67.18

%)

女性

166

(31.86

%)

無回答

5

(0.96%

)

5. 兄弟都市交流の課題

前章で豊中市と沖縄市が兄弟都市提携以前から、行政間や市民間、その垣根を越えて、幅広い

分野における交流の歴史があり、現在に至っていることがわかった。過去の歴史から現在の状況

を踏まえ、これからの都市間交流をよりよいものにするために、この章では、兄弟都市交流の現

状から見えてくる課題について、整理した。

1)両市職員アンケート調査結果の分析

行政は行政間交流および市民間交流の支援において、交流活動の一端を担っているが、その交流

の事実をどれだけの職員が認知し、どのように捉えているのだろうか。両市では、全市職員(臨時・

嘱託職員含む)を対象に都市交流に関するアンケートを行っている。

【豊中市アンケート調査結果より】

年齢

職種

性別

調査期間 平成 26 年(2014 年)8 月 29 日(金)~平成 26 年(2014 年)9 月 10 日(水)

調査対象者数 6,751 人(内訳:常勤 3,763、非常勤 1,864、再任用 358、臨時 488、任期付 278)

回答者数 521 人(7.7%) 回答方法 ウェブ上で入力

常勤 447

(85.8%)

非常勤 43

(8.3%)

再任用 16

(3.1%)

臨時 14

(2.7%)任期付 1

(0.2%)

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28

職員

616人(53.4%)

臨時

365人(31.6%)

嘱託

155人(13.4%)

未回答・無効

回答

18人(1.6%)

【沖縄市アンケート調査結果より】

調査期間 平成 25 年(2013 年)1月 31 日(木)~平成 25 年(2013 年)2月 15 日(金)

調査対象者数 1,858 名(全職員数 ※内訳:職員 992 名、臨時 509 名、嘱託 357 名)

※各職員数については平成 24 年(2012 年)9月 1日付データ(総務部人事課提供)

回答者数 1,154 名(回答率:約 62.1%) 回答方法 ウェブ上で入力&調査票に記入

年齢

性別

職種

ⅰ.都市交流の認知度について

【豊中市アンケート調査結果より】

豊中市職員回答者のうち、約 98%が豊中市の都市交流について知っており、そのうち兄弟都市

「沖縄市」との交流については 9割以上が知っているという結果が出ている。沖縄市との交流につ

いて知った経緯としては、特に豊中まつりなどのイベントで業務を通じた場合が多い。豊中まつり

が沖縄市との兄弟都市交流を大きく支えている結果がわかるが、裏返せば、豊中まつりに業務やボ

ランティアとして関わることがなければ、知らないままという可能性もあるだろう。

他には、広報誌で知ったという回答も多かった。

20代317人

(27.5%)

30代373人

(32.3%)

40代255人

(22.1%)

50代177人

(15.3%)

60歳以上

22人(1.9%)

未回答・無効回答

10人(0.9%)

男性

491人(42.5%)女性

616人(53.4%)

未回答・

無効回答

47人(4.1%)

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29

19(3.6%)

55(10.6%)

120(23.0%)

139(26.7%)

218(41.8%)

280(53.%)

309(59.3%)

430(82.5%)

0 100 200 300 400 500

その他

公民館での地元料理を紹介する講座[空港で結ぶ友好都市]

少年サッカーなどのスポーツ交流[沖縄市]

ピースフルラブ・ロックフェスティバルでの文化交流[沖縄

市]

高校生英語弁論大会[サンマテオ市]

豊中まつりや農業祭など市のイベントへの出店[空港で結ぶ

友好都市]

少年野球チームの交流試合[サンマテオ市]

豊中まつりでの物産や伝統芸能の紹介[沖縄市]

Q:1A-1 本市が他の自治体と兄弟・姉妹都市交流

や友好都市交流(以下、「都市交流」という。)を

行っていることを知っていますか?

Q:1A-2 本市が実施している都市交流の提携都

市のうち、知っているものを選択または記入し

てください。

Q:1A-3 (1A-1 で「はい」と回答した人のみ) どのような経緯で都市交流をお知りになりましたか?

「その他」自由記述欄より同様の回答が 3件以

上あったものを抜粋

広報誌 29 件

庁内掲示物、供覧文書 15 件

庁内放送 7 件

パンフレット 7 件

庁内展示物 4 件

市ウェブサイト 4 件

庁内情報共有システム 3 件

Q:1A-4 本市が行っている都市交流の取り組みで知っているものがあれば選択またはご記入ください。

はい 510

(97.9%)

いいえ 11

(2.1%)

30(5.9%)

315(61.8%)

460(90.2%)

499(97.8%)

0 100 200 300 400 500 600

その他

空港で結ぶ友好都市[平成22

年(2010年)~]

カリフォルニア州サンマテ

オ市[姉妹都市、昭和37年

(1962年)~]

沖縄県沖縄市[兄弟都市、昭

和49年(1974年)~]

89(17.5%)

53(10.4%)

78(15.3%)

89(17.5%)

219(42.9%)

298(58.4%)

0 200 400

その他

新聞・雑誌

研修

他の職員

まつり・イベント

業務を通して

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30

【沖縄市アンケート調査結果より】

一方、沖縄市では回答者のうち約 56%が兄弟・姉妹都市を知っていると答えたが、豊中市との

兄弟都市交流を知っている職員は 352 人と回答者の 30%程度であり、低い結果となった。

なお、豊中市と同じく、多くの職員が業務を通じて都市交流を知る形となっている事が分かった。

Q:1B-1 沖縄市と兄弟・姉妹都市交流を行って

いる自治体を知っていますか?

Q:1B-2 「はい」と回答した方へ、都市交流

を行っている自治体の名称をご記入くださ

い。

Q:1B-3 「はい」と回答した方へ、どういう

経緯で兄弟・姉妹都市を知りましたか?

Q:1B-4 本市が行っている都市交流事業で知

っているものがあればご記入下さい。

※回答が多いものを抜粋

沖縄市・東海市中学生交流事業

【愛知県東海市】 86 人

職員人事交流 【愛知県東海市】 59 人

産業まつりにおける出店等による

交流 【各都市】 57 人

まつりやイベント時における職員

の相互訪問 【各都市】 24 人

豊中まつりにおける交流

【大阪府豊中市】 21 人

沖縄市海外姉妹都市短期大学留学

助成金交付事業

【米国レイクウッド市】

14 人

352 人

279 人

492 人

96 人

88 人

87 人

大阪府豊中市

山形県米沢市

愛知県東海市

米国レイクウッド市

未回答・誤答など

その他の交流都市

はい

642人(55.6%)

いいえ

502人(43.5%)

未回答・無効回答

10人(0.9%)

47 人

96 人

347 人

121 人

235 人

87 人

11 人

研修

新聞・雑誌

業務を通して

他の職員

まつり・イベント

その他

未回答・無効回答

Page 36: 豊中市・沖縄市兄弟都市提携40周年事業 › publication › text_kenkyu › 15-0… · 共同研究グループでは、平成26年(2014年)8月から平成27年(2015年)3月の概ね8か月間で、

31

ある 118

(22.6%)

ない 403

(77.4%)

ⅱ.都市交流への参加について

【豊中市アンケート調査結果より】

豊中市では、都市交流の取り組みに携わったことがある人の割合は約 22%であり、そのうち約 56%

は業務やボランティアを通じた豊中まつりでの交流であることが分かる。都市交流に参加した人か

らは、「貴重な経験になった・楽しかった」という感想が多数得られた。一方、「交流を継続する

ことの大切さを感じた」と回答した人も多い。一回限りのイベントのみならず、継続的な都市交流

ができる仕組みを作っていくことが大切であると考えられる。

また、今まで都市交流に携わったことのない人のうち、約 46%の人が都市交流に携わってみたい

と考えていることが分かった。携わりたい理由としては、「都市交流や他都市の文化等に興味・関

心があるから」という旨のものが最多であった。一方、携わりたくないと答えた人が約 38%であっ

た。その理由は、「興味がないため」が最多であり、「多忙なため」「目的・利点が理解できない

ため」と答える人も多かった。これらのことから、都市交流の目的や利点を明確にし、職員にしっ

かり伝えていくことが大切であると考えられる。

Q:2A-1 本市が行っている都市交流の取り組みに

参加または携わった経験はありますか?

Q:2A-2 (3A-1 で「ある」と回答した人のみ)どの

ような取り組みに携わりましたか?

Q:2A-3 (2A-1 で「ある」と回答した人のみ)参加または携わっての感想・意見等をご記入ください。

※同様の回答が 3件以上あったものを抜粋

3(2.5%)

4(3.4%)

4(3.4%)

5(4.2%)

7(5.9%)

7(5.9%)

66(55.9%)

0 20 40 60 80

農業祭

豊中市・沖縄市兄弟都市提

携40周年事業

本市への来訪者の案内業務

物産展等

サンマテオ市との英語弁論

大会

スポーツ交流

豊中まつり

3(2.5%)

3(2.5%)

3(2.5%)

4(3.4%)

6(5.1%)

7(5.9%)

7(5.9%)

11(9.3%)

13(11.0%)

26(22.0%)

0 5 10 15 20 25 30

市職員が盛り上がりに欠けると感じた。

目的や方針、関わり方が分かりにくかった。

相互の街が活性化することには価値がある。

交流都市の方々の厚意が嬉しかった。

認知度が足りない・もっと知ってもらいたいと感じ…

交流都市に興味を持った・行きたくなった。

交流を継続することの大切さを感じた。

交流都市の人々との親睦が深まった。

気づきや発見があった・視野が広がった。

貴重な経験になった・楽しかった。

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32

Q:2A-4 (2A-1 で「ない」と回答した人のみ)今後、都市交流の取り組みに参加または携わってみたいで

すか?

はいの理由

※同様の回答が 3件以上あったものを抜粋

いいえの理由

※同様の回答が 3件以上あったものを抜粋

【沖縄市アンケート調査結果より】

沖縄市においては、多くの職員が都市交流事業に参加したことがないという事がわかった。その

理由としては、実際に参加する機会が少ないという事が考えられる。

また、参加したことがある人の感想は「良かった・勉強になった」という内容が主であり、参加

者の多くは都市交流に関して良い印象を持っていた。

また、交流事業に参加したことがない人で、今後参加してみたいと考えている人は約 3割強にと

どまり、都市交流への参加意識が低いという現状がみえてきた。

はい 239

(45.9%)

いいえ 199

(38.2%)

無回答 83

(15.9%)

4(1.7%)

4(1.7%)

5(2.1%)

6(2.5%)

7(2.9%)

13(5.4%)

16(6.7%)

26(10.9%)

48(20.1%)

0 10 20 30 40 50 60

都市交流での経験が普段の業務

にも活きるため

地域の活性化に貢献できると考

えるから

都市交流は重要なことだと考え

ているため

交友関係を広げたいから

楽しそうだから

本市のことをより深く知るため

他市のことを知ることは、本市

の魅力発掘や政策展開に活きる

から

自身の視野を広げたり、教養や

スキルを身につけるため

都市交流や他都市の文化等に興

味・関心があるから

3(1.5%)

4(2.0%)

5(2.5%)

8(4.0%)

11(5.5%)

20(10.1%)

27(13.6%)

0 5 10 15 20 25 30

費用対効果が低いため

参加したいイベントでは

ないため

自分の性格が向いていな

いと思うため

どのように関わればよい

か分からないため

目的・利点が理解できな

いため

多忙なため

興味がないため

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33

Q:2B-1 本市が行っている都市交流事業に参加又は

携わったことはありますか?

Q:2B-2「ない」と回答した方へ、今後、都市交流事

業に参加又は携わってみたいですか?

ある

94人(8.1%)

ない

1032人(89.4%)

未回答・無効回答

28人…

ⅲ.都市交流の必要性について

【豊中市アンケート調査結果より】

豊中市では、都市交流が「必要である」と答えている人の割合は約 72%であった。都市交流によ

る利点としては、「豊中市のPRになる」「他自治体の文化を学べる」「市民交流ができる」と答

える人が多かった。 「その他」の自由記述欄の回答としては、防災・災害時の協力関係が築けると

いう意見が多かった。 また、都市交流で実施したほうがいいと思う内容としては、「職員派遣など

職員の人材交流」「子どもの交流」をするべきという意見が多かった。

都市交流が必要でないと答えた人のうち、「メリットが少ないため」という旨の理由を答える人

が過半数であった。このことから、都市交流を行う理由や利点を、より納得できる形で伝えられる

周知が大切であると考えられる。

Q:3A-1 都市交流は必要だと思いますか?

必要である 376

(72.2%)

必要ではない 11

(2.1%)

わからない 132

(25.3%)

無回答 2

(0.4%)

はい

345人

(33.4%)

いいえ

484人(46.9%)

未回答・

無効回答

203人(19.7%)

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34

Q:3A-2(3A-1 で必要であると回答した人のみ)都市交流を行うことでどのような利点があると思います

か?

「その他」自由記述欄より同様の回答が 3件以上

あったものを抜粋

防災・災害時の協力 10 件

豊中市への愛着や豊中市の魅力向上 6 件

広域の視点から、行政課題の連携

や、課題解決のヒントが得られる 4 件

Q:3A-3(3A-1 で必要あると回答した人のみ)行政課題を解決するために、交流都市との連携が有効だと思

われる分野はどれですか?

「その他」自由記述欄の回答より抜粋

市政研究 1 件

市の知名度アップ 1 件

個人情報管理 1 件

青少年健全育成 1 件

Q:3A-4(3A-1 で必要あると答えた人のみ) 都市交流の取り組みについて、具体的に実施してみたい、ま

たは実施したほうがよい内容などがあればご記入ください。※同様の回答が 3件以上あったものを抜粋

32(8.5%)

6(1.6%)

140(37.2%)

249(66.2%)

261(69.4%)

262(69.7%)

0 100 200 300

特にない

その他

経済効果がある

市民交流ができる

他自治体の文化を学べる

豊中市のPRになる

11(2.9%)

57(15.2%)

58(15.4%)

67(17.8%)

72(19.1%)

98(26.1%)

115(30.6%)

131(34.8%)

132(35.1%)

141(37.5%)

218(58.0%)

256(68.1%)

286(76.1%)

0 50 100 150 200 250 300 350

その他

行政経営

環境問題への対応

福祉・健康

子育て

防災・防犯

人材育成

情報発信

まちづくり・都市基盤整備

人権・平和

産業振興

観光振興

文化・教育・スポーツ

3(0.8%)

4(1.1%)

6(1.6%)

6(1.6%)

7(1.9%)

7(1.9%)

7(1.9%)

8(2.1%)

8(2.1%)

9(2.4%)

11(2.9%)

22(5.9%)

48(12.8%)

0 10 20 30 40 50 60

特産品の開発・展開

アンテナショップ・交流拠点の設置

防災に関する交流

観光交流

青年の交流

情報発信

スポーツ交流

イベント

文化交流

他市との市政に関する情報交換・意見交換

産業交流

子どもの交流

職員派遣など職員の人材交流

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35

Q:3A-5 (3A-1 で必要ないと答えた人のみ)都市交流について、必要でないと思う理由をご記入ください。

※同様の回答が 3件以上あったものを抜粋

【沖縄市アンケート調査結果より】

また、沖縄市をみても、都市交流が「必要ない」と感じている人の割合は全体の 1.9%と非常に低

い一方、都市交流が「必要ある」と考えている人が約 6割いることが分かった。

また、都市交流を行う目的や利点として「他文化の学習」「市のPR」「市民交流」を挙げる人

が多いことも分かった。

Q:3B-1 都市交流について、必要だと思います

か?

Q:3B-2「必要ある」と回答した方へ、都市交流

を行うことでどのような利点があると思いま

すか?

3(27.3%)

6(54.5%)

0 1 2 3 4 5 6 7

費用対効果が見込めない

メリットが少ない

必要ある

681人(59.0%)

必要ない

22人(1.9%)

わからない

409人(35.4%)

未回答・無効回答

42人(3.6%)199 人

411 人

429 人

471 人

5 人

48 人

5 人

経済効果がある

市民交流ができる

沖縄市のPRになる

他自治体の文化を学べ

特にない

その他

未回答・無効回答

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36

十分されて

いる 35

(6.7%)

まあまあさ

れている

368 (70.6%)

ほとんどさ

れていない

117

(22.5%)

無回答 1

(0.2%)

ⅳ.都市交流の周知について

【豊中市アンケート調査結果より】

豊中市では、都市交流の周知が「十分されている」「まあまあされている」と回答した人の割合は

合わせて約 77%であった。しかし、「十分されている」と回答した人の割合は約 7%である。都市交流

に携わってみたくない理由(P32)には、「目的や利点が理解できないから」と答えた人も一定数い

たことから、外部のみならず、内部にもより効果的な周知を行っていく必要があることが分かる。

都市交流を周知する方法としては、「広報誌」を用いるべきだという意見が最多であり、「市ウェ

ブサイト」と答えた回答者も多かった。 また、イベント等が持つ情報発信効果に期待する意見も多

かった。

Q:4A-1 都市交流の取り組みの周知についてどう思いますか?

Q:4A-2 都市交流の取り組みについて、どのように周知すべきと思いますか?

25(4.8%)

151(29.0%)

180(34.5%)

201(38.6%)

261(50.1%)

292(56.0%)

325(62.4%)

379(72.7%)

0 200 400

その他

掲示物

新聞や雑誌

ケーブルテレビ

職員への情報発信

イベント等を通じた

情報発信

市ウェブサイト

広報誌

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37

【沖縄市アンケート調査結果より】

沖縄市では、周知が十分されていると感じる人は全体の 2%と低い結果がでており、これまでの周

知不足が強く感じられた。また、周知方法として、市役所の主な広報手段である「広報紙」や「市ホ

ームページ」による周知をもっと行うべきと考える人が多い事もわかった。

Q:4B-1 兄弟・姉妹都市や本市の都市交流事業の

周知についてどう思いますか?

Q:4B-1 兄弟・姉妹都市や本市の都市交流事業の

周知について、どのように周知すべきと思いま

すか?

広報おきなわ 89 人

市ホームページやインターネット 56 人

イベント等を通じた周知 43 人

テレビやCM 43 人

掲示物

43 人

新聞や雑誌 35 人

職員への周知 32 人

十分

されている

23人(2.0%)

まあまあ

されている

454人(39.3%)

ほとんど

されていない

532人(46.1%)

未回答・無効回答

145人(12.6%)

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38

2)両市キーパーソンへのヒアリング

兄弟都市交流の現状を把握するために、両市それぞれ交流を直接担ってきた人物にヒアリング調

査を行っている。「4.兄弟都市交流の歴史と現状」でふれた、市民間交流が近年も盛んに行われて

いることに比べ、行政間交流は以前に比べると落ち着いてきていることについては、2 人のヒアリン

グ対象者も感じていることであった。その上で、兄弟都市交流が発展していくためにキーとなるの

は「人」であり、両市において、できるだけ多くの職員・市民が都市交流に関わることができる環境

をつくり、今後の都市交流の担い手となる職員・市民の育成を進める必要があるとの意見をいただ

いた。

内 容

ヒアリング対象者

(一社)沖縄市観光協会事務局長・

FC泡瀬監督 崎浜秀嗣さん 元豊中市職員 本岡和巳さん

交流事業

等のメリ

ットや期

待するこ

・豊中市の情報を得られることは重要です。

・サッカー交流事業では、こどもたちがそれぞ

れ自分たちの住んでいるところでは体験で

きないことをさせています。

・サッカー交流事業を通じてこどもたち同士

につながりができること。交流開始から 15

年になるが、20 代後半のメンバーには今も

交流が続いている人もいます。大人同士も個

人のつきあいができています。

・市民相互の交流が盛んに行われてき

ました。

・いちゃりばちょーでぇー(出会えば、

兄弟)の精神にのっとり、文化交流を

積み重ねていくことで、さらにいい関

係になっていくと良い。

・交流事業に関わることは、非常に楽し

いことです。

交流事

業等の

現状や

課題

・市民に、豊中市との交流があることを周知し

きれていないのではないでしょうか。

・行政に対しての要望としては、交流で豊中

市民が来た際のサポートなどが、もっとあ

ればよいと思います。

・行政の担当者が変われば、交流の状況

も変化してきており、継続的な交流を

つづけていくことに難しい部分があ

ることを感じています。

・利益が絡む内容は、行政の公平性の観

点から難しいことが多い。市民間交流

の中で行われることは、両市の発展に

つながる良いことであると考えてい

ます。

今後の

展望な

・豊中まつりでは沖縄市をPRする、沖縄市

が感じられる取り組み等が多くあります。

・沖縄市のイベントや事業では豊中市を感じ

られる取り組みが少ないので、全島エイサ

ーまつりの出店で、大阪のイメージのある

食べ物を売り出し、そこで豊中市に関する

リーフレットを配ったりしてPRするな

どの取り組みをするとよいのではないで

しょうか。

・交流を続けて人と人とのつながりができて

きたら、市民同士の行き来がしやすくなる

と考えています。

・当然、時代の趨勢などはありますが、

キーとなるのは交流に熱意ある「人」

です。交流の場に一人でも多くの人が

参画することは、新たな人のつながり

が芽生えていくことになります。

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39

3)兄弟都市交流の課題抽出

兄弟都市交流の歴史の整理、両市職員へのアンケート調査の結果と交流のキーパーソンとなって

きた方々へのヒアリング調査から、両市の兄弟都市交流の現状把握ができた。前述のとおり、市民

間交流は近年も盛んに行われているが、行政間交流は以前に比べると落ち着いてきている。そこで、

特に行政において交流を再び活性化し、継続的な交流が可能な環境を作っていかなければ、市民間

の交流にもよい影響を与えないと思われる。そこで、ここでは、兄弟都市交流の持続可能性を高め

つつ、活性化していくために必要な課題について考えてみる。

ⅰ.連携体制の構築について

交流の歴史をふりかえると、これまでの交流においては、両市がそれぞれに目的と狙いを考え、

その時々で交流事業を進めてきたことも多くあったと思われる。行政間交流を再び活性化し、市民

間交流をさらに盛り上げていくための前提として、将来的に両市が兄弟都市交流を通してどのよう

な道を歩んでいくのか、両市で目的や狙いを共有した上で、その達成に向け取り組みを進めていく

ことが必要である。そのためには、両市の連携を円滑にし、継続的に取り組みを進めていくための

体制を築いていくことが求められる。

また連携体制の構築は、行政だけで行うものではない。行政間交流と市民間交流が連動し、より

交流が活性化していくよう、市民の声を取り入れ、市民の交流活動の支援にもつながる体制を構築

していく必要がある。

ⅱ.担い手(人材)の育成について

これまで交流を支えてこられたお二人へのヒアリング調査をまとめると、熱意を持った「人」が、

人と人とのつながりを産み、交流をさらに推し進めてきたことに気づく。交流を進めるうえで重要

なのは、やはり「人」である。

両市アンケート結果によると、交流事業の必要性についてそれぞれ約 6 割以上の職員が必要であ

ると感じているが、事業に関わったことのある人はそれぞれ 4 割以下と過半数の職員が実際には関

わったことがない。ヒアリング調査でも指摘があったように、交流に携わる職員が限られた現状で

は、人と人とのつながりが消え、交流が縮小していくことが懸念される。

長期的に交流を継続していくことを見すえた場合、市民間交流と行政間交流の両面において、新

たなキーパーソンを発見し育成することが重要である。そして、現在のキーパーソンから将来のキ

ーパーソンに、交流の経緯や内容、ノウハウ等について伝承していくことが期待される。そのため

には、交流にいかに若年層を巻き込んでいくか、方策を検討する必要がある。

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40

ⅲ.情報発信の見直しについて

両市の職員アンケートによると、豊中市では回答者の 95%以上が沖縄市との兄弟都市交流を知っ

ているのに対し、沖縄市では豊中市との交流を回答者の 30%程度しか知らないという結果であった。

また、アンケートからは、交流の必要性について疑問視する声があったり、理解されていなかった

りすることも読み取れる。職員がこのような結果であることから、市民についてはさらに、交流の

内容が知られておらず、必要性が理解されていないことが想定される。

兄弟都市交流の情報発信を強化し、交流の内容や必要性を着実に伝えていくことが必要ではない

か。交流事業の周知の媒体としては、職員アンケートからは広報誌と市ウェブサイトが大きく貢献

していることが推測できる。情報入手の経路が多様化している現在、幅広い情報伝達の経路を意識

した広報を行うことが望ましい。また、行政からの一方的な広報に限らず、市民と市民が情報を伝

え合えるような仕組みもあるとよい。

平成 26 年(2014 年)は豊中市・沖縄市兄弟都市提携 40 周年の記念の年であった。さまざまな 40

周年記念事業において、両市で事業参加促進のための広報を行ってきた。豊中市ではそれだけでは

なく、11 月下旬にケーブルテレビの市広報番組の中で特集したり、3 月に 40 周年記念事業報告書を

発行したりと、事業に不参加であった市民にも事業結果や交流の魅力について伝えるための広報を

工夫している。今後、担い手の育成の観点も含めて、幅広い市民の交流への参加を促進していくた

めには、このような事業終了後の広報についても留意しておく必要がある。

ⅳ.交流事業の幅の拡大について

現在、豊中市と沖縄市の行政間交流は主に、豊中まつりを中心とした交流と、豊中市のキャラク

ター「マチカネくん」の沖縄市産業まつりへの参加程度に留まっており、交流事業が固定化してい

ることがうかがえる。行政の交流事業の固定化は、参加者の固定化を招き、交流の担い手となる人

材が不足している状況を作り出してしまい、交流を停滞させてしまう恐れがある。そこで、今後は

さまざまな分野に交流事業を広げていくことが必要である。

前述のとおり、連携体制を築き、両市で交流の目的や狙いを共有する中で、両市の特性やニーズ

をすりあわせ、新たに連携可能な交流分野が見えてくると考えられる。その上で、行政間交流が活

発になることが市民間交流の広がりにつながっていくように、市民の参加を促しつつ、新分野での

交流を進めていくことが重要である。

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41

課題①連携体制の構築

課題②担い手(人材)の育成

課題③情報発信の見直し

課題④交流事業の幅を広げる

ⅴ.まとめ

共同研究グループでの歴史の整理・職員アンケート分析・ヒアリング調査から、行政職員の交流

に対する認知度から理解度など、さまざまな情報を整理し、行政と民間それぞれの交流に対する課

題を再確認した。兄弟都市交流において、両市が今後取り組んでいくべき課題として、以下の4つ

の課題を抽出した。

ただし、行政だけ、市民だけで交流を行うことには限界がある。両市が将来にわたって、絶えずつ

ながりをもって交流を進めていくためには、両市の行政・市民それぞれが交流の目的・意義を共有

し、それぞれの立場を理解しあいながら、取り組みを進めていける環境を整える必要がある。

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42

6.これからの兄弟都市交流 ~交流 50 周年に向けて~

1)これからの兄弟都市交流の方向性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

2)兄弟都市交流 50 周年に向けた取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

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6.これからの兄弟都市交流 ~交流50周年に向けて~

共同研究グループでは、兄弟都市交流の意義・目的を再認識すると共に、これまでの交流の歴

史を振り返り、その中から交流の課題を抽出してきた。

本章では、これまでの調査研究をふまえ、両市がめざしていくべき方向性について考えた。さら

に現状の課題をふまえ、10年後に迎える兄弟都市交流50周年に向けて、具体的な取り組みを検討す

る必要のある内容について提言していく。

1)これからの兄弟都市交流の方向性

ここでは、今後、両市が交流を継続し、さらに発展していくために、両市で共有しておくべき方

向性について考える。

これまでの調査・研究の結果をふまえると、「3.兄弟都市交流の意義・目的」で述べた、「現代

的な都市交流の意義・目的」を念頭に置きつつ、「5.兄弟都市交流の課題」で抽出した課題を解決

していくことが必要である。

【現代的な兄弟都市交流の意義・目的(再掲)】

①豊中市・沖縄市両市の違いを知ることによる、自都市の資源・特性・能力や課題の再認識

②豊中市・沖縄市それぞれの強みにより補い合い、地域の活力や生活の質を高めあえる環境づくり

【兄弟都市交流の課題(再掲)】

① 連携体制の構築 ②担い手(人材)の育成 ③情報発信の見直し ④交流事業の幅を広げる

これらをふまえ、これからの方向性を考えると、次の 4 つの方向性が挙げられる。

【これからの兄弟都市交流でめざすべき方向性】

① 両市で連携体制が構築され、ねらいや成果を共有しながら、交流を推進している。

② 行政・市民それぞれの立場で交流のキーパーソン(人材)が活躍している。

③ 兄弟都市交流の情報発信が十分に行われ、これまで以上に多くの市民・職員が交流について

知っている。

④ 両市がそれぞれの強みや蓄積してきたノウハウを活かし、さまざまな分野において協力しあ

っている。

まず、両市の間で兄弟都市交流の意義・目的を共有した上で、交流を推進する連携体制が構築さ

れていることが大前提である。その上で、キーパーソンとなる人材が行政・市民の両方に存在し、

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交流の歴史や成果を引き継ぎつつ、交流事業を力強く推し進めていることが期待される。さらに、

兄弟都市交流に関しての情報発信が充分に行われながら、これまで以上に多くの人を巻き込み、広

い分野における交流の推進をめざしていく必要がある。

これまでに述べた「これからの兄弟都市交流でめざすべき方向性」を踏まえ、兄弟都市交流を推

進していく体制とその展開を図示すると下記のとおりとなる。

<これからの兄弟都市交流体制・展開のイメージ>

2)兄弟都市交流 50 周年をめざした取り組み

ここでは、「これからの兄弟都市交流でめざすべき方向性」をふまえ、今後も兄弟都市交流を継

続しつつ、さらなる活性化を図っていくために、兄弟都市交流 50 周年までの次の 10 年間で、取り

組んでいく内容について提言する。

ⅰ.連携体制の構築に向けての提言

先に述べたとおり、兄弟都市交流 50 周年に向け、両市で目的を共有し、交流を継続し、さらに活

性化していくための大前提としての体制づくりに取り組む必要がある。ここでは、連携体制の構築

に向けた取り組みについて提案する。

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① 共同会議等の設置

連携体制の構築にあたっては、まず初めに、両市が兄弟都市交流を推進する基盤となる組織体の

構築が必要である。例えば、両市で会議体等を持ち、目的や方向性について共通認識のもと、各々

が交流に求めている成果とその進捗度・実績をふりかえりながら取り組みを進めることで、より効

率的かつ効果的な交流を行うことができると考えられる。なお会議体を設ける際は、兄弟都市交流

の担当部署同士によるものを基本とし、案件によって、必要なメンバーを他部局から召集したプロ

ジェクト体制を整えることがよいのではないだろうか。

また、これらの会議体には必要に応じて市民をメンバーとして加える仕組みを検討しておく必要

がある。それにより、市民ニーズの把握や、行政的な視点に捉われない柔軟な発想による企画立案

などが期待でき、今後の事業展開の質を高めることにつながる。

【施策や事業の例】

・定期的な共同会議等による進捗度・実績・成果のふりかえり

・市民も交えた都市交流に関する検討会

② 経営資源の確保

なお、連携体制を構築し、都市交流を推進していくにあたっては、人材や予算といった経営資源

を確保することも重要である。

まず、ヒアリング結果(P38)からも分かるように、都市交流が継続的に発展していくために、重

要な要素の一つは熱意を持った「人」である。そのことから、都市交流担当部局への職員の配置に

ついては、兄弟都市交流について意識が高く、情熱がある職員を選定することが有効である。

また交流を持続していくためには、ある程度の予算が必要となってくる。しかし、両市では今後、

少子高齢化により福祉や市有施設の維持・更新にかかる経費等の増大も見こまれるため、必要とさ

れる事業をしっかりと見極め、限られた予算を上手く配分することが求められている。

これらの状況を考えると、都市交流についてもめざす成果を明確にし、効率的かつ効果的に事業

を展開することが、これまで以上に求められるようになってくることが想定される。そのためには、

あらかじめ両市で兄弟都市交流の目的や狙いと方向性をすりあわせ、共有しておき、それぞれの行

政計画等に定めておく必要がある。

【施策や事業の例】

・経営資源(人材・予算)の適正配分

・総合計画や分野別計画の策定時におけるすりあわせ

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ⅱ.担い手(人材)の育成に向けての提言

兄弟都市交流の歴史を振り返ると、行政間交流と市民間交流の両方において、キーパーソンの存

在が重要な役割を担っていた。また、行政間交流は減少傾向である反面、市民間交流は盛んである

ことを述べた(P22)が、この傾向には担い手の存在も影響していることが考えられる。

都市交流の継続的な発展には、前述のとおり、共同研究グループでは、熱意を持った「人」が重

要であると考えた。これまで調査研究した都市交流の歴史と現状を踏まえ、ここでは行政間、市民

間それぞれにおける担い手の育成について提言する。

① 行政における担い手(人材)の育成

前節でもふれたが、兄弟都市交流を持続的に発展させるにあたっては、交流を担当する部署

に、高い意識を持ち情熱がある職員を配置することが有効である。また人事異動があることを考

慮すると、そのような意識が高く情熱がある職員を多く育成しておくことが必要である。そのよ

うな人材は異動先の各部署において、新たな分野における交流事業の展開のキーパーソンとなる

ことも期待できる。

交流事業の担い手育成を目的とした職員の人材育成の入り口としては、兄弟都市交流について

知ってもらうことがまず必要となる。行政職員が都市交流事業を知る機会は、職員アンケート結

果(P29)から分かるように、「事業を通じて」知ることがほとんどを占める。可能な限り行政内

部で兄弟都市交流に職員が携わる機会を増やしたり促したりすることが大切であると言え、職員

が兄弟都市交流事業について知る機会をあえて作っていくために、職員の研修等を活用すること

も一つの方法である。

また、兄弟都市提携の大きな要因となった「豊中学校」(P17)では、それに携わった職員が、そ

の後の行政間交流のキーパーソンとなっていったことや、職員アンケートでも人事交流を実施して

ほしいとの意見が多くあったことから、検討することも良いのではないだろうか。職員が他市の状

況を直に見ることができ、またその上で、改めて自市の魅力や見直すべきところを再確認できると

いう点でも効果を期待できる。

【施策や事業の例】

・兄弟都市交流事業への動員

・兄弟都市交流事業に参加する際の休暇制度

・新規採用職員研修における兄弟都市交流の周知

・人事交流

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② 市民における担い手(人材)の育成

市民間交流においても、長くにわたってキーパーソンとなっている人材がいる。これから先、

兄弟都市交流が持続的に発展していくためには、次のキーパーソンとなる人材に交流を受け継い

でいくことが必要であると考えられる。そのため、将来的に交流を担う人材を育てていく観点

と、また交流に参加するメンバーの裾野を広げる観点から、若年層の人材育成を推進することは

重要である。

こどもたちが、幼いうちに学校やさまざまなイベントで兄弟都市交流に関わり、交流の楽しさ

や大切さを学ぶことで、将来、交流に参加する機会があった際に、積極的に関わってもらえるこ

とが期待できる。また、そのようなこどもたちの中から、次の世代の交流を担うキーパーソンが

現れることが期待できる。

【施策や事業の例】

・学校において兄弟都市交流に関わる機会を設ける(授業、給食のメニューなど)

・修学旅行で兄弟都市を訪れ交流する

ⅲ.情報発信の見直しに向けての提言

多くの市民が兄弟都市交流に携わることのできる環境を作っていくために、交流に関する情報

発信が重要であることは言うまでもない。しかし、職員アンケート結果(P30)から分かるよう

に、沖縄市では職員においても都市交流の認知度が低いといった現状があり、情報発信について

は従来よりもさらに充実させていく必要があると考えられる。

ここでは、これまでの情報発信の方法をふりかえり、改善策を提案したい。

① 両市の定例行事や催しへの参加

豊中市で毎年 8 月に開催され、10 万人以上を集めるイベントである豊中まつりにおいて、沖縄

市の情報発信が図られており、豊中市職員の沖縄市に関する認知度の高さにもその成果が表れて

いる。そのことを鑑みると、定例行事や催しによる情報発信力は高く、両市におけるさまざまな

定例行事や催しにおいて、豊中まつりに習い、出店やブースを設けるなどして情報発信を進めて

いくことは効果的であると考えられる。

【施策や事業の例】

・沖縄市の全島エイサーまつりや産業祭りで豊中市のブースを設ける

・定例行事や催しにおいてお互いの周知を行う(チラシ、パンフレットの設置・配布)

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② 情報発信手法の充実

従来は、両市の広報誌やウェブサイトにおいて、開催案内を中心とした情報発信を行ってい

る。これに加え、交流事業の実施結果や参加者の感想や評価等の情報がいつでも見られるような

仕組みを構築することも一つの手段であると考えられる。このことにより、交流事業に参加して

いない人にも、交流事業の内容や結果を知らせることで、交流への興味を促すきっかけとなり、

ひいては交流への参加につながるものであると考えられる。

また、情報化が大きく進展し、情報を得る機会が多様化してきている現在、年代層を意識した

情報発信手法の検討が今後必要であると言える。

例えば、豊中市が平成 25 年(2013 年)に実施した「豊中市のまちづくりと情報化に関する市民

アンケート」の結果によると、既存の情報発信媒体である広報誌を例に挙げると、60 歳代以上の

方に多く読まれているものの、若年層はあまり目を通していないことが分かる。若年層はインタ

ーネットを通じ必要な情報を得ている傾向が強いことから、若年層に裾野を広げていくために

は、情報発信においてスマートフォンで見ることのできる SNS(ソーシャルネットワーキングサー

ビス)等を活用することが有効であると考えられる。また、SNS 等のデータを蓄積し分析すること

で、交流事業の改善や発展にも活かすことができる。

【施策や事業の例】

・ウェブサイト上に過去の交流事業の実施結果や感想・評価を見ることのできるページを作成

・LINE や FACEBOOK といった SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や YOUTUBE、USTREAM

といった動画共有サービスサイトを活用した都市交流の情報発信

ⅳ.交流事業の幅の拡大に向けての提言

豊中市と沖縄市の兄弟都市交流のうち、市民間交流は徐々に成長の傾向が見られるが、行政間

交流においては沈静化が見受けられ、現在実施している内容も固定化しつつあることを指摘した

(P19-P24)。このような中、交流を持続的に発展させるためには、都市交流の意義・目的やこれ

から先の目標・方向性を明確にした上で、これまでの交流分野に捕らわれず、柔軟な発想をもっ

て新たな交流事業を展開し、兄弟都市交流の気運を高める必要があると考えられる。

しかし、限られた財政事情の中では、あれもこれも行うという訳にはいかない。両市で共有し

た都市交流の目標や方向性に沿って、しっかりと成果の出る交流事業を検討しなければならな

い。

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①各分野における補完的な連携

まず、両市が補完し合うことでより良くなる分野を考えた上で、新たな交流事業を展開してい

く必要がある。

例えば、平成 23 年(2011 年)3 月に起こった東日本大震災以降、国民の災害に対する意識が高

まっているが、両市が近接していないという条件が活かせる交流事業として、災害時に対応する

ための準備が考えられる。災害時には、近隣市町村では被害状況が同様となり連携が困難な状況

が想定される。そのような際には、離れた地にある交流先の都市であれば、支援が可能である。

また、災害時に備えて、重要なデータ等のバックアップを両市においておくことも考えられる。

【施策や事業の例】

・市政推進に関するノウハウの共有

・災害時の応援協定

・重要なデータ等の両市間遠隔地バックアップ

②市民間交流の拡大

前述のとおり、両市にはさまざまな独自の資源や潜在性(ポテンシャル)がある。それらの中

には、交流によりそれらが組み合わさった時に、相乗効果によりお互いのまちの良さが高まった

り、新しい価値が生まれたりするものがあると考えられる。

そのような資源を発掘し、活用していくためには、交流事業の企画立案の際に市民の参画する

場を設置することや市民へのアンケート調査により、両市の資源や潜在性(ポテンシャル)を再

確認・共有するとともに、市民のニーズをしっかりと把握していくことが大切である。

例えば、両市はそれぞれに特徴のある音楽文化や食文化を持っている。それらが組み合わさる

ことで新たな交流が生まれる可能性は十分にあるのではないだろうか。また、沖縄戦などの戦争

の記憶や平和と安全への願いを両市市民で語り継いでいくことも重要である。

【施策や事業の例】

・両市の音楽に関する地域資源を活かした交流

・お互いの食文化を活かした料理の創作

・平和に関する交流

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③その他の交流

また、①②で述べた手法の他にも、両市が共通の企画を行うことも有効であると考えらえる。

例えば、両市において職員が共通のユニフォームを着用する、兄弟都市を表す表示物を設けるな

ど、両市が兄弟都市であることが一目で見てわかるような手法は、対象を限定することなく周知

が可能であり、活用の幅も広いと言える。

また、平成 26 年度(2014 年度)に行われた 40 周年記念事業のように、両市の関係の節目とな

る年に周年事業を行い、市民・議会・行政それぞれの立場を超え、両市の関係を再確認すること

は有意義である。

【施策や事業の例】

・共通かりゆしウェアの作成による職員・市民への周知

・兄弟都市マークの作成

・周年事業

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7. 共同研究から見えてきたこと

~友好都市間交流の意義と課題~

1)友好都市間交流の意義・目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53

2)友好都市間交流に取り組む際の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

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7. 共同研究から見えてきたこと~友好都市間交流の意義と課題~

ここまで、豊中市と沖縄市の兄弟都市交流に焦点をしぼり、意義・目的や歴史をふりかえってき

た。そして、それをもとに交流の現状の課題を抽出し、10年後に迎える兄弟都市交流50周年、さら

にはその先の末永い交流の継続を見すえ、両市で取り組みの方向性について、具体例を交えつつ提

言を行ってきた。

一方で、両市の友好都市間交流はさらに広がりつつある。豊中市は大阪国際空港を活かしたまち

づくりの一環として、就航都市との交流促進・連携強化による相互発展を目的とした「空港で結ぶ

友好都市提携に関する協定」を、平成22年(2010年)以降、現時点において8市町と結び交流を深

めている。また、沖縄市は平成6年(1994年)に山形県米沢市と、平成21年(2009年)に愛知県東

海市と姉妹都市提携を行うとともに、広島県広島市・長崎県長崎市への平和大使の派遣など、積極

的に交流の充実を図っている。

ここでは、この報告書のまとめとして、これら広がりつつある両市の友好都市間交流のさらなる

発展に寄与するために、8か月間の兄弟都市交流に関する調査研究を通じて、見えてきた友好都市

間交流の意義や可能性について、俯瞰的な視点から考察を深める。また、友好都市間交流を行う際

の課題についても述べていきたい。

ただし、友好都市間交流は特段の法令による根拠はなく、各自治体によって在り方や提携内容に

ついて多様な形があるものである。そこで、ここでは便宜上、一般財団法人自治体国際化協会が示

している姉妹(友好)自治体の3つの要件に合う都市間交流を想定し、意義と課題について言及し

ていくこととした。

【姉妹(友好)自治体の要件】

① 両首長による提携書があること

② 交流分野が特定のものに限られていないこと

③ 交流するに当たって、何らかの予算措置が必要になるものと考えられることから、議会の承認

を得ていること

<(一財)自治体国際化協会ウェブページから抜粋>

1)友好都市間交流の意義・目的

共同研究グループでは、「3.兄弟都市交流の意義・目的」のとおり、豊中市と沖縄市の兄弟都市

交流の現代的な意義・目的を以下のように設定して議論を深めてきた。

【兄弟都市交流の現代的な意義・目的(再掲)】

① 豊中市・沖縄市両市の違いを知ることによる、自都市の資源・特性・能力や課題の再認識

② 豊中市・沖縄市それぞれの強みにより補い合い、地域の活力や生活の質を高めあえる

環境づくり

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この意義・目的は豊中市と沖縄市との兄弟都市交流に限らず、幅広い友好都市間交流においても

あてはめ、以下のように言い換えることができる。

【友好都市間交流の意義・目的】

① 両都市がお互いの違いを知ることによる、自都市の資源・特性・能力や課題の再認識

② 両都市がそれぞれの強みにより補い合い、地域の活力や生活の質を高めあえる環境づくり

しかし、前述のとおり、交流する都市どうしの特性によって内容や方法が異なり、友好都市間交

流は多様で定型がないものと言える。そのため、友好都市間交流を行う際は、この多様性と非定型

性という特性を認識し、上に掲げた意義・目的のどの部分に力点を置いた交流を行うか、また、どの

ようにすれば継続的で深い関係を両都市の間に築くことができるかを、事前によく検討しておく必

要がある。

2)友好都市間交流に取り組む際の課題

ここでは、8か月の共同研究により抽出された、友好都市間交流を行う際にふまえておく必要が

ある課題について整理したい。

ⅰ.交流のねらいの明確化と周知の徹底

共同研究グループの議論の中で、「兄弟都市交流に関する事業は行政評価がしづらい」「職員から

もメリットが見えないとの指摘がある」といった意見が見られた。これらの意見の背景には、交流

のねらいが市民や職員に伝わりきれていないことがある。

自治体としての説明責任を果たしていく観点からも、友好都市間交流を進めるにあたっては、そ

の交流に自都市がどのようなことを求めるのかという、交流のねらいを明確にし、それを継続的に

市民にも議会にも職員にも伝え続けていく必要がある。また、交流の結果、ねらいがどの程度達成

されたのか発信していくことで、市民や議会の交流事業に関する理解が深まるとともに、意見交換

などのフィードバックにより、さらなる交流の質の向上につながっていく。

そのための前提として、自らの地域の歴史、文化、くらし、環境、特産品といった特性について

事前に把握し、自都市の強みと弱みについてある程度分析しておく必要がある。もちろん、交流の

中で、他都市との違いを知ることにより、自都市に関する認識は深まっていく。しかし、「どのよ

うな資源を活かし、どのような方法で交流を行うことが現実的に可能なのか」両都市の自己分析を

事前にすりあわせておくことで、「どのような効果を求めるのか」お互いのニーズに適合した交流

のねらいを設定することができる。

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ⅱ.継続的な交流推進体制の整備

継続的に交流を行うためには、それを支える体制の整備が重要である。共同研究グループにおい

ても「豊中市と沖縄市の間に定期定例の情報交換チャンネルがなく、ニーズのすりあわせが少ない

ため、交流事業に新たな展開が生まれにくい」という指摘があった。

交流担当課同士の連絡体制だけでなく、最終的には庁内・庁外の多様な交流主体を巻き込んだ体

制があることが望ましいと考えられる。多様な交流主体が定期的に集まり、お互いの意見を交換

し、ニーズと実施内容のすりあわせを行うことで、交流事業が継続的に発展していくとともに、両

市の結びつきが強固なものとなり、信頼が醸成されていく。

またもう一点、継続的な交流推進体制の構築において重要なポイントは、首長や幹部職員同士の

交流を促進することである。豊中市と沖縄市は頻繁に市長をはじめとする幹部職員が行き来し、こ

れまでの親密な関係を築いてきた。そのように、トップマネジメントのもと、交流事業担当課の職

員がそれまで蓄積してきた経験とノウハウをいかして中心となり、自治体全体で友好都市間交流を

進めていくことで、交流の持続可能性はさらに高まる。

ⅲ.若年層を巻き込んだ交流による担い手の育成

交流を持続させていくためには、交流推進体制の整備と同時に、担い手となる市民や自治体職員

の育成について考えておくべきである。共同研究グループのヒアリングにご協力いただいた、崎浜

秀嗣さん、本岡和巳さんお二人に共通していたテーマは、「いかにここまで培ってきた兄弟都市交

流を、次の世代に引き継いでいくか」ということであった。

そのためには、将来に交流の主軸を担う若い世代が早い段階から関わり、交流は楽しいことであ

ると実感できる環境を作っていくことがよい。こどもたちが友好都市を訪れ、交流先のこどもたち

とのコミュニケーションを取り、文化を知れるような機会を継続的に用意しておくことや、友好都

市の若手職員同士が気軽に交流し、意見を交換しあえるような環境を醸成しておくことが望まし

い。

ⅳ.市民間交流の発展・拡大の促進

豊中市と沖縄市の間では兄弟都市提携当初から市民間交流が盛んであり、近年はさらに、盛んな

市民の交流を支援しつつ、行政は一歩後ろからついていく形の交流となっている。この点について

は、前述のとおり、担い手の育成などの観点をふまえ、行政がリーダーシップを発揮していくべき

部分もあるが、全体的に見て、豊中市と沖縄市の間には信頼関係が醸成され、活発な交流が行われ

ているといえる。

今回の共同研究に先行して、沖縄市第6期政策研究会都市交流部会(2013)は「姉妹都市交流が

本当の意味で地域に根ざした交流になるためには、市民の主体的な参加が不可欠である。市民が主

体的に参画し、そして活動の中からさまざまなアイディアが生まれ、やる気を持ったリーダーが

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次々に現れ、新しい活動を始めるというのが理想である。」と述べている。

総務省自治行政局過疎対策室(2006)も「自治体間交流の各事例をみても、交流の成否は、交流

事業に如何に多くの主体や地域の人が関わるように拡大させていくかにかかっているといえる。関

係者が広がれば広がるほど、人材や知見の広がりや厚み・深まりが増す。」と指摘しており、沖縄

市の記述を裏づけている。

これらのことから、行政が友好都市間交流を活性化していく際には、市民間のつながりを広げ深

めるための支援を重視し、自発的な交流の取り組みにつなげていくことを強く意識する必要があ

る。

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8.おわりに

豊中市と沖縄市が兄弟都市提携 40 年を迎える平成 26 年(2014 年)8 月、両市の若手職員による

都市間交流に関する共同研究が実施される運びとなりました。これまでの兄弟都市交流の 40 年を振

り返ると、都市間交流や市民間交流を通じて、住民福祉の増進を図ることができたと言えます。共

同研究は、両市の魅力や地域資源を再確認することや新たな気づきを見出す端緒となることを念頭

にしながら始まりました。この研究では、兄弟都市提携 50 年を見据え、未来志向で「都市間交流」

の今後の展開を調査・研究することにより、両市の連携の可能性について、議論することができま

した。

今回の共同研究の中では両市の歴史を紐解き、昭和 39 年(1964 年)10 月の竹内義治豊中市助役

と大山朝常コザ市長との出会い以降の交流の経過をまとめました。ちょうど20年前の平成7年(1995

年)1月には、豊中市が阪神・淡路大震災に被災しましたが、豊中市と沖縄市との日頃の交流がいざ

という時の絆になり、災害復旧の支援の輪が広がりました。その広がりは被災した豊中市民に大き

な安堵感をもたらしました。そのような交流を繰り返し、両市は強く太い絆を培ってきました。

また現在、地方分権の大きな流れの中で、各都市が競い合うようにわが都市の魅力の創出に苦労

しています。そのような中、兄弟都市提携を続けることによって、両市の連帯感や親近感を醸成し

ていくことこそが、お互いの魅力の再発見と創出から両市の発展につながっていくことを、今回確

認することができました。

情報収集や会議開催にあたり、両市関係部局や関係機関のみなさまの多大なご理解・ご協力があ

り、この調査・研究は完成しました。誌面をお借りして、感謝申しあげます。また、この報告書が兄

弟都市交流をはじめ、両市の友好都市間交流の今後を定めていく上で一助となると幸いです。

交流事業継続には、日々の積み重ねと「両市の職員が両市を愛し、好きになり、情熱と行動力で物

事を進めていくことが大切であること」を肝に銘じ、おわりの言葉といたします。

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資料編

1)共同研究グループメンバー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59

2)共同調査・研究の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60

3)兄弟都市交流の年表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61

4)今後の兄弟都市交流事業イメージ(例)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66

5)参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71

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1)共同研究グループメンバー 【豊中市】豊中市・沖縄市の都市間交流の新たな展開に関する調査・研究グループ

立場 所属 補職 名前 報告書担当箇所

研究員

人権文化部文化芸術室 事務職員 齋藤 健 5.

政策企画部企画調整室 事務職員 上野 正彦 4.

上下水道局経営企画課 事務職員 山田 良輔 6.

研究

主管課

政策企画部

とよなか都市創造研究所

所長 泉 勝 おわりに 総括

主任研究員 森 崇徳 2.3.7. 総括

事務局 総務部

人材育成センター職員研修所 所長補佐 田中 俊彦 資料編 総括

【沖縄市】沖縄市市制施行 40 周年記念事業 沖縄市政策研究会

立場 所属 補職 名前 報告書担当箇所

研究員

教育部生涯学習課 主事 宮平 栄 6.

企画部政策企画課 主事 比嘉 実之幸 4.

水道部管理課 技師 高嶺 雄一 5.

研究員

補助

経済文化部 次長 兼本 正人 はじめに 総括

企画部プロジェクト推進室 技査 兼城 勝則 2.3.7. 総括

事務局 企画部政策企画課 主査 比嘉 康志 資料編 総括

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2)共同調査・研究の経緯

回 日時 場所 内容

事前打ち

合わせ

平成 26 年(2014 年)

1 月 27 日(月)

午後 4:00~

豊中市役所 第 1庁舎

3 階 第 2応接室 ○沖縄市から豊中市に共同研究を提案

第 1回 8 月 21 日(木)

午後 4:30~

豊中市役所 第 1庁舎

3 階 第 3応接室

○共同調査・研究のメンバーの紹介

○共同調査・研究の内容と方法の検討

豊中市職

員アンケ

ート

8 月 29 日(金)~

9 月 10 日(水) ―

○全豊中市職員を対象としたインタ

ーネットアンケートを実施

第 2回 10 月 9 日(木)

午後 1:30~

沖縄市役所 4 階

第 3会議室

○調査・研究方法の共有と役割分担

○両市職員アンケート内容に関する

意見交換

キーパー

ソンヒア

リング

10 月 9 日(木)

午後 4:00~

エイサー会館準備室

エイサー屋

○(一社)沖縄市観光協会事務局長・

FC泡瀬監督

崎浜秀嗣さんヒアリング

資料・文

献の検証

10 月 10 日(金)~

12 月 15 日(月) ―

○両市に存在した資料や文献を集

約・デジタル化

○資料や文献から交流の歴史を分析

第 3回 10 月 22 日(水)

午後 3:00~

豊中市役所 別館

3 階 打合せスペース ○兄弟都市交流の歴史と現状の検証

キーパー

ソンヒア

リング

10 月 23 日(木)

午前 9:30~

豊中市役所 別館

3 階 打合せスペース

○元豊中市職員

本岡和巳さんヒアリング

第 4回

12 月 15 日(月)

午後 3:00~

12 月 16 日(火)

午前 10:00~

豊中市役所 別館

3 階 研修室

○兄弟都市交流の課題の抽出

○課題への対応策の検討

第 5回

平成 27 年(2015 年)

1 月 27 日(火)

午後 2:00~

豊中市役所 第 1庁舎

4 階 第 2入札室 ○報告書(案)にかかる意見交換

報告会 3 月 9 日(月)

午後 4:00~

沖縄市役所 地下 1階

職員研修室 ○調査・研究の成果の発表

報告会 3 月 23 日(月)

午後 4:00~

豊中市役所 別館

3 階 研修室 ○調査・研究の成果の発表

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3)兄弟都市交流の年表

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4)今後の兄弟都市交流事業イメージ(例)

この表は、両市研究員が共同で調査・研究を行う過程で、自由な発想でイメージした交流事業を

参考資料としてもれなく掲載しています。

課題 カテゴリー 交流事業イメージ(例)

1)連携体制の

構築

①共同会議等の設置

・都市交流担当部署同士による共同会議

・交流事業の主管課までを含めた兄弟都市交流

推進会議

・都市の環境問題に関する共同会議(上下水道、

環境などの行政課題について)

・文化や防災、消防などに関する共同会議

・定期的なテレビ会議

②経営資源の確保

・兄弟都市交流基金など

・都市交流主管課から交流事業主管課への異動

ルート確保

・各市イベントに出し物や共同グッズの販売に

よる歳入確保(豊中市には名産が少ないが、沖

縄市の名産をコラボ商品として扱うなど)

③その他

・共同による兄弟都市交流推進計画の策定

・テーマ(観光、就労支援など)を設けて共同研

究を実施

・市民共同会議を開催

2)担い手(人

材)の育成

①行政における担い手

(人材)の育成

・人事交流の実施

・職員が兄弟都市へ実際に行く機会を創出(出

張、まつりなどへの職員ツアー企画)

・部局を超えた交流事業への積極参加を促す取

り組み

・全職員対象とした兄弟都市交流に関する講演

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課題 カテゴリー 交流事業イメージ(例)

2)担い手(人

材)の育成

①行政における担い手

(人材)の育成

・都市交流事業への職員動員

・都市交流事業開催時における懇親会への職員

参加の自由化

・職員への都市交流に関するアンケートの定期

的な実施

・うりずん(沖縄市役所食堂)にて豊中メニュー

を提供

・やる気のある職員を手挙げ方式で募集し、一定

面接などを経て、交流事業の担当課に配属

・新採用研修にて兄弟都市について講義

②市民における担い手

(人材)の育成

・学校給食に兄弟都市メニューの日を設定

・学校の授業で兄弟都市に関する学習日を設定

・学校間交流(兄弟学校)の実施

・兄弟都市に関する情報が掲載されている文房

具の学校配布

・小中学生の異地域文化体験(夏休みなどを利用

してそれぞれの自然や文化、地域行事を体験

して視野をひろげる)

・ホームステイの支援(夏休みなどを利用して)

・修学旅行での立寄訪問(USJ、沖縄市戦後文化

資料展示室ヒストリート)

・過去に行っていた新成人の交流者の同窓会

・サッカー交流の 1 期生の同窓会

・兄弟都市交流事業への市民ボランティア募集

・広報などで兄弟都市との交流事業を公募

(多ジャンルによる交流を促し、様々な人材

を育成)

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課題 カテゴリー 交流事業イメージ(例)

2)担い手(人

材)の育成 ③その他

・交流を目的に沖縄市へ行く場合は旅費が割安

になる仕組み

3)情報発信の

見直し

①両市の定例行事や催し

への参加

・市美術展の出品やまつりの出店、音楽イベント

での交流

・全島エイサーまつりにおける本場大阪のたこ

焼き屋台の酒店

・1年間頑張った部署にご褒美として、数名兄

弟都市への研修旅行をプレゼント

・交互に両市を訪問する行事(沖縄市(東部海浜)

におけるビーチパーティー、豊中市における

花見など)

②情報発信手法の充実

・FACEBOOK、LINE、YOUTUBE、TWITTER で兄弟都

市アカウントを作成し情報発信

・各種イベント時の相互の市の紹介、メディアの

活用

・兄弟都市市民掲示板サイトの作成(両市民のみ

の登録制)

・ゆるキャラの各市内イベントへの参加拡大

・エイ坊とマチカネくんコラボ(コラボグッズ、

スマホゲームアプリ、コラボ LINE スタンプ)

・まちなか CM(動画)配信

・両市の広報にコラム掲載

・どんな広報媒体でも、特集頻度を増加

③その他

・マチカネ君体操の沖縄市での放映

・イベントや街並みをライブカメラで常時中継

・街に愛称を設定(沖縄市に「豊中ストリート」

や豊中市に「ハイビスカス通り」など)

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課題 カテゴリー 交流事業イメージ(例)

4)交流事業の

幅を広げる

①各分野における補完的

な連携

・行政ホッとライン(職員同士が業務に関する相

談や事例紹介ができる制度)

・防災協定

・災害時などの応援体制の構築に関する会議(災

害時の支援活動など)

・兄弟都市でのバックアップサーバー設置

②市民間交流の拡大

・特産品の作成(バラの泡盛カクテル、バラで染

めたかりゆしウェア、沖縄そばでお好み焼き、

たこ焼きちんすこう)

・特産品や、相手の産地品の販売(観光物産セン

ター、コンビニ・両市の特産物や食品を活用

し、共同プロジェクトで商品開発)

・音大生と中高生の吹奏楽交流(指導者派遣、留

学など)

・両市の音楽文化施設を活用した両市における

公演会

・いちゃりば合コン(兄弟都市の市民同士による

合コン)

・お見合い事業

・4 年に 1回、関係する兄弟・姉妹都市や友好都

市を含めたスポーツ大会(例えば、姉妹都市の

姉妹都市まで参加できるなど)

・兄弟都市大運動会

・平和大使の相互派遣

・平和に関する交流の活性化

・方言を使ったイベント

・職員組合同士の交流をさらに活発化

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課題 カテゴリー 交流事業イメージ(例)

4)交流事業の

幅を広げる ③その他

・兄弟都市マークの公募・作成

・兄弟都市ポスターの作成掲示

・兄弟都市交流週間や旬間の創設

・兄弟都市クイズ検定

・庁舎ロビーへ兄弟都市に関する展示スペース

確保

・共通ユニフォームの作成(かりゆしウェア、ネ

クタイ、ジャンパーなど)

・共通のオリジナルソングを作成(両市ゆかりの

アーティストに依頼)

・両市の観光資源を活用し、両市の交流のきっか

けとなった土地や歴史を学ぶ観光ルートの提

・沖縄市から豊中市に、50 周年に新たな霊石と

ハイビスカスを贈呈

・記念モニュメントの設置

・両市を観光拠点として活用(それぞれの市が近

畿圏、沖縄県の観光の拠点として連携を図る)

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5)参考文献

・大山朝常(1977)『大山朝常のあしあと』,うるま通信社

・沖縄市(2012)「これからの都市交流について~めざすべき国内交流とは~」

・沖縄市(2012)「これからの都市交流のあり方について~市民ぐるみの交流を目指して~」

・総務省自治行政局(2006)『田舎と都会の「縁」づくり-地域力を高める自治体間交流のすす

め-(過疎地域・都市間における自治体間交流に関する調査 報告書)』

・竹内義治(1986)『激動の地方自治-ある市長の戦後史-』,財団法人生活環境研究所

・(公財)東京市町村自治調査会(2014)『姉妹都市・友好都市交流の新たな可能性に関する調

査研究報告書』

・特別区制度研究会(2012)「特別区制度研究会報告書-第 2期-第 3分科会研究報告」

・豊中市(2013)『TOYONAKAビジョン 22 Vol.16』

・八王子市(2008)「共同研究「八王子におけるこれからの都市間交流」」,『まちづくり研究

はちおうじ 第 5号』,pp.2-47

・丸山恵山(2000)『大阪の沖縄紀行-大阪と沖縄の近代交流史-』,文芸社

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