重度・重複障害のある生徒の コミュニケーション能力を育む ... ·...

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- 1 - 沖縄県立総合教育センター 後期長期研修員 第 49 集 研究集録 2011 3 〈肢体不自由・病弱教育〉 重度・重複障害のある生徒の コミュニケーション能力を育む指導の工夫 ―様々なアセスメントツールとAACの活用を通して― 沖縄県立鏡が丘特別支援学校教諭 赤 嶺 加奈江 テーマ設定の理由 2001 年5月のWHO(世界保健機関)総会においてICF(国際生活機能分類)が採択されICID H(国際障害分類)から,個人と環境との相互性に根拠をおき,学習上及び生活上の困難さの改善を進め る視点へ変換された。2008年 1月中央教育審議会はICFについて以下のように記述している。「ICF の考え方を踏まえ,自立と社会参加を目指した指導の一層の充実を図る観点から子どもの的確な実態把握, 関係機関等との効果的な連携,環境への配慮等を盛り込む。」特別支援学校においても,学校は子どもの 一環境要因となり,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するために適切な指導や必 要な支援を行うことが重要視されている。2009 年3月に告示された特別支援学校高等部学習指導要領の 教育目標の一つ,「生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知 識,技能,態度及び習慣を養うこと。」は,ICFの観点の上,考慮されたといっても過言ではないだろ う。 特別支援学校の教育課程を編成する上でも重要な「自立活動」は「個々の生徒が自立を目指し,障害に よる学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養い, もって心身の調和的発達の基盤を培う」(高等部学習指導要領第6章第1款)を掲げ,特別支援学校にお ける教育目標の指針または教育活動全般を通して指導することの重要性を説いている。 沖縄県立鏡が丘特別支援学校(以下「本校」とする。)は県内で唯一医療施設に隣接しない,肢体に障 害を有する児童生徒,病弱の児童生徒を対象としている。高等部では教育課程上,「自立活動」を主に学 習している重度・重複障害のある生徒が 23.6%在籍する。高等部における自立活動の指導の重点を踏ま え,個々の教育支援計画に基づき個別指導計画を立て,卒業後の自立・社会参加に向けて取り組んでいる。 自立・社会参加に向けた教育的な関わりにおいて生徒とのコミュニケーション関係の促進・形成はもっ とも重要な課題である。重度・重複障害のある生徒の中は障害の特性から身体の動きや発達において諸側 面で不均衡であるといわれている。感覚運動やコミュニケーションに必要な諸能力を統合し,円滑に意思 の伝達や交換をすることが難しく,自分の感情をうまく他人へ伝えられない等の困難も抱えている。本校 の生徒においても実態は様々である。日常的に医療的ケアが必要な生徒,緊張が強く,覚醒状態が十分で ない生徒,場の切り替えが難しく情緒的安定が必要な生徒,自閉的傾向があり,指示待ち傾向の生徒,A AC教材が好きでそれらの活動を得意としている生徒等がいる。このような生徒達のコミュニケーション 能力を育むことは,伝える,伝わることの楽しさや,喜びにつながるであろう。そして人との関わり,そ の先にある社会とのつながりを感じ,よりよく生きるための生活の質(QOL)の向上につながるのでは ないだろうか。しかしコミュニケーション能力を育むためには,関わる側の意識の向上や生徒に対する理 解が不可欠である。 そこで本研究では様々な実態の違う生徒が自立活動を通し,様々なアセスメントを活用・評価し,コミ ュニケーションパートナーとしての教師の関わり方を考える。また実態に応じたAACの活用で,コミュ ニケーション能力を育む指導の工夫を行う。そうすることで授業の中で自発的な活動が見られ,意思表示 の困難さを改善でき,伝えることの楽しさ,伝わることの喜びが実感でき,コミュニケーション能力が育 まれるのではないかと考え本テーマを設定した。 〈研究仮説〉 1 生徒の実態に応じたアセスメントツールを活用・評価することでコミュニケーション能力を育むた めの課題や指導の明確化につながるであろう。 2 教師が生徒の視線や表情,身振りを読み取りその行動から意味づけた関わりを持つことや,生徒が

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沖縄県立総合教育センター 後期長期研修員 第 49 集 研究集録 2011 年 3 月 〈肢体不自由・病弱教育〉

重度・重複障害のある生徒の

コミュニケーション能力を育む指導の工夫 ―様々なアセスメントツールとAACの活用を通して―

沖縄県立鏡が丘特別支援学校教諭 赤 嶺 加奈江

Ⅰ テーマ設定の理由

2001 年5月のWHO(世界保健機関)総会においてICF(国際生活機能分類)が採択されICID

H(国際障害分類)から,個人と環境との相互性に根拠をおき,学習上及び生活上の困難さの改善を進め

る視点へ変換された。2008 年 1月中央教育審議会はICFについて以下のように記述している。「ICF

の考え方を踏まえ,自立と社会参加を目指した指導の一層の充実を図る観点から子どもの的確な実態把握,

関係機関等との効果的な連携,環境への配慮等を盛り込む。」特別支援学校においても,学校は子どもの

一環境要因となり,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するために適切な指導や必

要な支援を行うことが重要視されている。2009 年3月に告示された特別支援学校高等部学習指導要領の

教育目標の一つ,「生徒の障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服し自立を図るために必要な知

識,技能,態度及び習慣を養うこと。」は,ICFの観点の上,考慮されたといっても過言ではないだろ

う。

特別支援学校の教育課程を編成する上でも重要な「自立活動」は「個々の生徒が自立を目指し,障害に

よる学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養い,

もって心身の調和的発達の基盤を培う」(高等部学習指導要領第6章第1款)を掲げ,特別支援学校にお

ける教育目標の指針または教育活動全般を通して指導することの重要性を説いている。

沖縄県立鏡が丘特別支援学校(以下「本校」とする。)は県内で唯一医療施設に隣接しない,肢体に障

害を有する児童生徒,病弱の児童生徒を対象としている。高等部では教育課程上,「自立活動」を主に学

習している重度・重複障害のある生徒が 23.6%在籍する。高等部における自立活動の指導の重点を踏ま

え,個々の教育支援計画に基づき個別指導計画を立て,卒業後の自立・社会参加に向けて取り組んでいる。

自立・社会参加に向けた教育的な関わりにおいて生徒とのコミュニケーション関係の促進・形成はもっ

とも重要な課題である。重度・重複障害のある生徒の中は障害の特性から身体の動きや発達において諸側

面で不均衡であるといわれている。感覚運動やコミュニケーションに必要な諸能力を統合し,円滑に意思

の伝達や交換をすることが難しく,自分の感情をうまく他人へ伝えられない等の困難も抱えている。本校

の生徒においても実態は様々である。日常的に医療的ケアが必要な生徒,緊張が強く,覚醒状態が十分で

ない生徒,場の切り替えが難しく情緒的安定が必要な生徒,自閉的傾向があり,指示待ち傾向の生徒,A

AC教材が好きでそれらの活動を得意としている生徒等がいる。このような生徒達のコミュニケーション

能力を育むことは,伝える,伝わることの楽しさや,喜びにつながるであろう。そして人との関わり,そ

の先にある社会とのつながりを感じ,よりよく生きるための生活の質(QOL)の向上につながるのでは

ないだろうか。しかしコミュニケーション能力を育むためには,関わる側の意識の向上や生徒に対する理

解が不可欠である。

そこで本研究では様々な実態の違う生徒が自立活動を通し,様々なアセスメントを活用・評価し,コミ

ュニケーションパートナーとしての教師の関わり方を考える。また実態に応じたAACの活用で,コミュ

ニケーション能力を育む指導の工夫を行う。そうすることで授業の中で自発的な活動が見られ,意思表示

の困難さを改善でき,伝えることの楽しさ,伝わることの喜びが実感でき,コミュニケーション能力が育

まれるのではないかと考え本テーマを設定した。

〈研究仮説〉

1 生徒の実態に応じたアセスメントツールを活用・評価することでコミュニケーション能力を育むた

めの課題や指導の明確化につながるであろう。

2 教師が生徒の視線や表情,身振りを読み取りその行動から意味づけた関わりを持つことや,生徒が

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AACを活用することで意思表示の困難さを改善でき,コミュニケーション能力が育まれるだろう。

Ⅱ 研究内容

1 自立活動について

自立活動とは,特別支援学校の教育課程において,特別に設けられた指導領域である。特別支援学

校の学習指導要領で示す自立活動の「内容」は人間としての基本的な行動を遂行するために必要な要

素と,障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な要素である 26項目を「健康

の保持」,「心理的な安定」,「人間関係の形成」,「環境の把握」,「身体の動き」及び「コミュニケーシ

ョン」の六つの区分に分類・整理している。これらの指導は授業時間を特設して行う自立活動の時間

における指導を中心とし,各教科等の指導においても,自立活動の指導と密接な関連を図っていかな

ければならない。

本校,高等部では自立活動の指導の重点を以下の3点にあげ,一人一人の児童生徒の実態を踏まえ

た「個別の指導計画」を作成し指導の充実に努めている。

●個々の生徒が自立を目指し,主体的に取り組める内容を設定し,心身の障害の状態を認識させる。

●障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するために必要な知識・技能・態度及び習慣を養

い,心身の調和的発達の基盤を育成する。

●生徒の身体の動きや意思の表出の状態等に応じ,適切な補助具や情報機器等の補助的手段を有効に

活用する。

2 重度・重複障害のある子どものコミュニケーションとは

重度・重複障害のある子どものコミュニケーションの在り方(確立)はQOLに深く関わると考え

る。QOLとはノーマライゼーションの理念の一つで,生活の質,生き方の質などと訳される。いき

がい,幸福感,暮らしやすさ等の面で,人間らしく生活する条件を保証しようとする概念である。Q

OLの向上のためにも,自分の意思と選択を行使すること,地域社会の中で生活を送る権利を行使で

きることが望まれる。その実現のためには全ての教育活動を通してコミュニケーション能力を育むこ

とが重要だと考える。

重度・重複障害のある子どものコミュニケーションは「話しことばだけでなく視線,表情,身振り

等非言語行動もコミュニケーション行動としてとらえる」(竹田 1994)とあるように,重度・重複障

害のある子どものコミュニケーションを図るには,大人(教師や親,支援者)が感受性を磨き上げ,

子どもの微細な表情,視線,身体の動き,発声等(以下,コミュニケーションサインとする),全ての

行動より,読み取る能力がコミュニケーションという相互作用において不可欠だと考えられる。

3 コミュニケーション評価について

坂口(2006)は ,障害の重い子どもへのコミュニケーション支援の手がかりになる指標として「重

度障害児のコミュニケーション発達評価シート」を提案した。坂口(2006)は「障害の重い子どもた

ちを健常乳幼児のコミュニケーション発達,特に初期のコミュニケーション発達の理解と,障害によ

る弱さの理解,かつ実際の支援の場面における微細な行動の客観的な読み取りとその行動がなされた

文脈から行動の意図を推測していくこと,そういったことによりコミュニケーション支援の基となる

評価を行う」としている。その考え方と方法を以下に示す。

⑴ コミュニケーションの段階

障害の重い子どもの多くは成人期に至っても前言語期(ことばを話すまで)にいると言われてい

る。この時期の健常乳幼児のコミュニケーション発達と,それを支える認知面や運動・感覚面の発

達を丁寧に見ていくことで,子どもたちを理解する有効な指標を得ようと考え,前言語期を以下の

ような段階に分けている。

① コミュニケーションの3つの段階

聞き手効果の段階・・・発達年齢:0か月~10 か月

・大人が子どもの行動を何らかの意図を表わすものとして受け取り,その意図を表情や状況か

ら読み取って応えていくことで,やりとりが成立する。

意図的伝達の段階・・・発達年齢:10か月~12 か月

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・子どもは自分の伝えたいこと(伝達意図)を,社会化された伝達行動(伝達手段)により他

の人に伝達することができる。また社会化された伝達手段の結果と有効性に気づき,自ら積極

的に使用する。

命題伝達の段階・・・発達年齢:12か月~16か月

・単語(ことば)が加わり,非言語的な伝達手段に比べ,単語が加わることで「何を」「どうや

って」等の内容を具体的に伝えることができるため子どもの意図は伝わりやすくなる。

② 聞き手効果の 4つの段階

障害の重い子どものコミュニケーション支援を行うためには,障害の重い子どもの多くが留ま

る聞き手効果の段階を,もう少し細かく区切ることが必要とのことから,4段階に分けている。

聞き手効果の段階1・・・発達年齢:0か月~2か月

・周囲の環境に適応する準備期。自分の周囲が快適な環境であり,自分自身が快適であること

に興味や関心が向いている。

聞き手効果の段階2・・・発達年齢:2か月~4か月

・子どもは人や物の動きに対して注意を向けるようになってくる。

聞き手効果の段階3・・・発達年齢:4か月~6か月

・人よりもむしろ物の動きに注意を向けるようになる。

聞き手効果の段階4・・・発達年齢:6か月~10か月

・子どもの興味・関心は大人の意図へと移行する。

以上の段階の捉え方をまとめたのが,コミュニケーション発達の6つの段階である。

③ コミュニケーション発達の6つの段階(表1)

⑵ コミュニケーション評価の6つの観点

前言語期のコミュニケーション発達は大変複雑

であることから,子どもの発達を理解し,評価す

る上で必要な6つの観点をもうけている。

① I(Intentionality:志向性)コミュニケーシ

ョン発達の基礎となる内容であり,本人の要求

や関心の向く方向性。行動とそれがなされた文

脈から予想する。

② U(Understanding:理解)ことばや身振りの理解の様子。実際に行われた行動から判断する。

③ E(Expression Speech & Gesture:表出)ことばや身振りによる表出の様子。実際に行われた

行動から判断する。

④ B(Basis Of Learning:学習の基礎)集中力,注意力,持続力といった,学習の基礎となる力

で,「課題に向かう力」と「問題解決の力」に分かれる。行動とそれがなされた文脈から予想する。

⑤ C(Congnitive Development:主な認知発達)「物の永続性:物が隠される等して視界から見え

なくなっても存在し続けるということ」,「因果関係:原因とそれによって生ずる結果との関係(高

い所からおもちゃを落とすと,落ちる,といったこと)」,「手段-目的関係:目的対象とそれへと

つながる手段となる対象の関係(離れた所にあるおもちゃを取るために棒を使うなど)」といった

コミュニケーション発達と関係が深いとされる内容を理解しているかどうかをみる。実際に行わ

れた行動から判断する。

⑥ P(Favorite play:好む遊び)該当する発達段階の子どもが好むと思われる遊び。発達段階が

理解されたときの支援の参考にする。

⑶ 重度障害児のコミュニケーション発達評価シート

コミュニケーション発達の6つの段階と,コミュニケーションを評価する上で必要な6つの観点

別で評価できるような「重度障害児のコミュニケーション発達評価シート」が開発されている。評

レベル1 聞き手効果の段階1 0~2ヶ月

レベル2 聞き手効果の段階2 2~4ヶ月

レベル3 聞き手効果の段階3 4~6ヶ月

レベル4 聞き手効果の段階4 6~10か月

レベル5 意図的伝達の段階 10~12ヶ月

レベル6 命題伝達の段階 12~16ヶ月

◎聞き手効果の段階と意図的伝達の段階の違い・・・単なる伝達手段の高次化だけではない ・表象(心象・イメージ)が芽生え,手段を用いる前に,その結果を予想するようになる。

・言語理解が進み,その子どもの所属する社会で用いられていることばを理解しようとする。

・他の人は自分の行動にどういった気持をもつか,といった社会的な規範に関心をもつ。

表1 コミュニケーション発達の6つの段階

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価の手続きの流れは以下のようになっている。

① 各シート(観点ごとの)該当項目に○,△,×,?をチェックす

る(表2)。

② ①の発達評価結結果を評価チェックシートに転記する(表3)。

③ 子どもの発達像をみるため,プロフィールシートに転記する(図1)。

4 感覚運動発達アセスメントMEPA-Ⅱ

(以下MEPA-Ⅱとする)

MEPA-Ⅱは対象を発達が重度に遅滞し,

活動や行動に制限の著しい児童生徒そして成

人としている。「感覚運動スキル」,「コミュニ

ケーションスキル」の発達の評価法である。

姿勢,移動,操作,コミュニケーションの4

領域の評価を分析する。それぞれ 50項目の評

価項目からなっている。感覚運動期の運動発

達を軸に5つに分類し,「運動発達5ステップ」

とし,感覚運動期のコミュニケーション発達

については,子どもの「要求」を軸に分類している(表4)。生後0~2歳までに子どもは,外界にあ

るものを見たり触ったりすることにより,自分の感覚を通して受け止め,運動的な働きかけをするこ

とで認識することから,感覚運動期と呼ぶ。 このプロフィール表によって対象児(者)の各分野・各領域の発達の芽生えや育ちの状況を捉える

ことができ,感覚運動プログラムの編成に利用できる。

今回の研究においてMEPA-Ⅱのプロフィール表より,感覚運動スキルの発達段階,コミュニケ

ーションの発達段階を把握し,感覚運動プログラムの視点からコミュニケーション能力を育むための

○:できること,わかること △:確実ではない ×:できない,難しい ?:選んだ場面ではわからない

表2 シート(理解) 表3 評価チェックシート

図 1 プロフィールシート

表4 MEPA-Ⅱプロフィール表とその内容構成

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支援の工夫につなげたいと考えた。

5 AAC(拡大代替コミュニケーション)について

AACとは「手段にこだわらず,その人に残された能力とテクノロジーの力で自分の意思を相手に

伝える技法のこと」である。「AACは多面的アプローチであるべきで,個人のすべてのコミュニケー

ション能力を活用する。それには残存する発声,あるいは会話機能,ジェスチャー,サイン,エイド

(音声出力装置等)を使ったコミュニケーションが含まれる」(中邑 1995)としている。近年,電子

技術や情報技術を使用した支援技術(アシスティブテクノロジー:ATとする)を利用したAACの

ことを特に「コミュニケーションエイド」と呼ぶ。

⑴ 様々なAACの特徴と手段

表5は,様々なAACの特徴と手段を表にしたものである。

※広い意味では発声や,表情,視線等も含まれる。

⑵ VOCA(Voice Output Communication Aid)の特徴

音声出力装置,携帯用会話補助装置とも呼ばれる。音声

を出力することのできるコミュニケーションのための補助

機器である。簡単なスイッチ操作一つで,あらかじめ登録

しておいた音声を出力することができ,伝達性が高くなる。

つまり周囲の人に伝わりやすいという特徴がある。この特

徴をうまく使い,音声表出を苦手としている子どもでも,

自らの意志でコミュニケーションが成立したと捉え,喜び

を味わうことができる。またAT(学習を補助する道具)

としてさまざまな活動を補助する装置としても位置づけら

れている。写真1のVOCAはメッセージを3グループに

分けて録音でき,録音した順番に再生するVOCAである。

おもちゃの接続ができ,メッセージを再生している間おもちゃが動く。またおもちゃの代わりに家

電の操作のためのスイッチとしても活用できる。

⑶ シンプルテクノロジー

子どもの得意な動きを生かして,おもちゃや電気機器を制御する(作動させたり,止めたりする)

ための仕組みによる因果関係を理解するために行われる活動のこと。障害のある子ども達の活動が

受動的な環境から能動的になる。身体的に重度の障害のある生徒が主体的におもちゃで遊んだり,

授業に参加するための補助具として,また社会とかかわっていく手段として活用する。コミュニケ

ーションの視点から生み出された言葉の「AAC」,機器や技術方面から見た言葉の「AT」,子ど

もの動きからみた「シンプルテクノロジー」は言葉や内容は似ていても目的はどれも同じである。

生徒自らの力で遊び,様々な体験の中で成功することで,自ら作り出す喜びや成就感・満足感を味

わい,同時に「自分でもできる」「伝える」「伝わる」という自信にもつながると考える。図2はA

ACとATの関係を表したものである。

特徴 手段

サイン系 手指の動作によって意味を表現する。素早く,

手軽にやりとりができる。

手話,サイン言語,ジェスチャー,

身振りサイン,指文字等(※)

シンボル系 略画や記号を用いた表現。

動きに制限があっても利用しやすい。

PICS,PIC,

マカトシンボル等

文字 多くの人が知っている。

時間がかかるが複雑な表現ができる。

文字盤,筆談等

絵カード 手軽に作成できる。一般化は難しく,単純な

表現しかできない。

写真や自作絵,切り抜き等

実物/

ミニチュア

発達のごく初期の子どもには有効。言葉だけ

より物を見せた方がわかりやすい。

人形,ぬいぐるみ,ままごとセット,

その他何でも。

表5 AACの特徴と手段

写真1 VOCA(補助機器)

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Ⅲ 研究の実1 様々な

メント

⑴ 生徒

高等

異常,

痺によ

を併せ

えが難

要。快

し,不

まわし

ことが

たME

の結果

伝い歩

操作に

ースの

があり

い。図

段-目

き手効

や状況

やりと

れる。

差はな

達レベ

コミ

的な課

うなや

るか,

検証授

⑵ 生徒

高等

動を得

月とい

図3

実際 な実態の生徒

徒A

等部2年女子

気管軟化症

よる四肢体幹

せ有する。場

難しく情緒的

快の時は笑顔

不快なときは

したり,手で

がある。10 月

EPA-Ⅱに

果(表6),姿

歩きはローペ

については積

のための協働

り,人を介し

図3は,生徒

目的関係」が

効果段階で大

況から読み取

とりが成立す

その他では

なく,おおむ

ベルだと読み

ミュニケーシ

課題を獲得す

やりとりの中

また教師の

授業を行う。

徒B

等部2年男子

得意としてい

いう発達段階

生徒Aの発達

徒のアセス

子,染色体

症,脳性麻

幹機能障害

場の切り替

的安定が必

顔や声をだ

は首を振り

で頭を打つ

月に実施し

による分析

姿勢について

ペースだが 1積み木を持ち

働動作は備わ

しての遊びの

徒Aのコミュ

が発達レベル

大人が子ども

取って応えて

する時期にあ

はほとんど発

むね6ヶ月~1み取れる。

ション発達を

するために生

中で意思の表

の関わりが適

子,脳性麻痺

いる。MEP

階であった(

達プロフィール

て大腿部を支

0mくらいは

ち,積み上げ

わっていると

のやりとりは好

ニケーション

ル(※表1参照

の行動を何

ていくことで

あると考えら

発達レベルの

12 ヶ月の発

を支える認知

生徒がどのよ

表出が見られ

適切であるか

痺,知的障害

PA-Ⅱによ

表7)。これ

AA

エイ

コミ

(装置

表情

視線

指さ

ルシート

- 6 -

支えると立位

は歩く。姿勢

ることは興味

考えられる。

好んで行うが

ン発達評価プ

照)が 3.5 と

らかの意図を

,てんかんを

る分析の結果

れらは脳性麻

AC:課程・

ドのない

ュニケーション

置のない)

情,サイン,

線,発声,

さし,行動

位をとること

勢,移動は 12味関心がない

。コミュニケ

が,玩具等を

プロフィール

となり4ヶ月

を表わすもの

を併せ有する

果,姿勢,移

痺の障害か

活動

エイドのあ

ケーション

(装置のあ

VOCA

イ,シンボ

話,文字盤

図2 AAC

表6 生徒A

ができる。移

2 ヶ月前後と

い。しかし,

ケーションで

を用いるとそ

ルシートであ

月~10 ヶ月の

のとして受け

る。AAC教

移動,操作に

らくると考え

あるコミュニ

る)

,スイッチト

ボル,携帯電

とATの関係図

のMEPA-

移動は片手支

と捉えること

物を投げる

では人との関

そこに興味関

ある。「物の永

の発達レベル

け取り,その

教材が好きで

においては4

えられる。コ

AT:道具

座位と姿勢のた

移動のための装

仕事への適応の

構造の改良

その他

タイムタイマー

Ⅱプロフィール

支持で歩く。

ができる。

る簡単なリリ

関わりは関心

関心は向けな

永続性」,「手

ルにある。聞

の意図を表情

でそれらの活

4ヶ月~6ヶ

コミュニケー

ための装具,

装具/装用

のための機器・

ー,車椅子

ルシート

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ション

ニケー

に比べ

えられ

カバー

を改造

グに気

2 検証授

11 月に

生徒Bを

評価を行

⑴ 実施

形態

等部2

① 題

② 題

ンに

自分

るた

する

やボ

思表

に必

③ 本

④ 授

⑤ 生

図4

ン分野では意

ーション発達

べて低いのは

れる。そこで

ーしてくれる

造してスイッ

気を付けて設

授業

に生徒Aを個

を集団での自

行った。

施日平成 22年

:個別・自立

2年女子

題材名「やり

題材について

MEPA-Ⅱ

については前

分の行動の結

ため,見かけ

る遊具等での

ボルスターを

表出の行動を

必要な事であ

本時の目標

教師とボー

大きなバラ

遊びの中で

授業の展開

授業の号令

り,教師が手

大きなバラ

対面に座り

ボルスター

ブランコに

生徒の様子

ふれあい体操

4 生徒Bの発

意味のある言

達評価プロフ

は脳性麻痺の

でコミュニケ

るようなAA

ッチ一つで操

設置した。

個別の自立活

自立活動にお

年 11月 22 日

立活動,対象

りとり遊び」

Ⅱ,コミュニ

前言語期の4

結果に関心が

け上は交代性

のやりとりに

を使った。や

を意味づけて

あると考え題

ール遊びを楽

ランスボール

で意思表出を

令の後,ふれ

手,足,頭に

ランスボール

りボールを転

ーに教師と一

に乗り,揺れ

操ではリラッ

発達プロフィー

言葉が言える

フィールシー

の障害の特性

ケーション能

ACを活用し

操作できる教

活動,1月に

おいて授業・

日(木)授業

象生徒A 高

ニケーション

ヶ月~10ヶ

が向く時期だ

性のやりとり

に興味を示す

やりとりの中

て関わること

題材を設定し

楽しむ(コロ

ルや様々な遊

をすることが

れあい体操を

にふれマッサ

ルにうつぶせ

転がしてキャ

一緒に乗り,

れを感じる

ックスして横

ールシート

- 7 -

という項目で

トである。「

である筋緊張

力の更なる向

た題材,教材

教材を準備した

発達評価シー

ヶ月の発達段

と考えられる

が成立する時

だろうと考え

で,生徒の

が生徒Aの現

た。

コロキャッチ

遊具遊びを楽

できる。

行う。音楽に

ージのように

でもたれ,揺

ッチボールを

揺れを感じる

になり心地良

で芽生えが見

「表出」,「課題

張や,非常に

向上を図るた

材の工夫を行

た。生徒がス

ートによる評

段階と見られ,

る。また相手

時期でもある

えた。遊具は

コミュニケー

現段階でのコ

チボール)こ

しむことがで

に合わせて生

にして体操を

揺れを感じる

をする。

る。

良さそうに教

表7 生徒Bの

見られた。図

題に向かう力

に制限された

ために自らの

行った。玩具

スイッチを押

評価より生徒

,物を触ると

手の動きに興

ることから,

は自立活動室

ーションサイ

コミュニケー

ことができる

できる。

生徒がリラッ

を行う。

る。

教師からマッ

のMEPA-

図4は,生徒

力」等の発達

た身体の動き

の意思や,身

具用のピッチ

押せるようポ

徒Aはコミュ

とどういう反

興味を向け続

玩具や感覚

室に設置され

インや視線や

ーション能力

る。

ックスした姿

ッサージを受

Ⅱプロフィール

徒Bのコミュ

達レベルが他

きからだと考

身体の動きを

チングマシン

ポジショニン

ュニケーショ

反応を示すか

続けていられ

覚運動を刺激

れたブランコ

やわずかな意

力を育むため

姿勢で横にな

受けていた。

ルシート

か,

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- 8 -

バランスボールには興味を示さず,次に対面に座り,キャッチボールを行った。ボールでのやり

とりはあまり興味を示さず,自分でブランコの方向へ移動しようとしていた。 も興味関心がみ

られたのは,ブランコであった。

今回,授業の様子をビデオ記録し,生徒の伝達行動やわかりやすいと思われる場面を5分ほど

選択し,生徒の様子と教師の反応を一つずつ書き出した。表8はブランコに乗る場面においてや

りとりに意思の表出が見られた様子である。

⑥ 考察

ビデオ分析を通して授業の様子を振り返ると,生徒の興味関心のある行動に対して,教師側が

生徒のコミュニケーションサインや行動を意味づけて関わることで,生徒の要求や意思の表出を

引き出すことができたと考えられる。

⑶ 実施日平成 23年1月 18日,授業形態:集団・自立活動,生徒B 高等部2年男子

① 題材名「ハンガーランドで触ってみよう!遊んでみよう!」

② 題材について

これまで一学期には「全身で感じよう」という題材で新聞紙やスライム,ボールプール等の様々

な素材を全身で感じられる様にし,生徒に合った感覚刺激の与え方,関わり方を意識しながら,

授業を行ってきた。二学期には「音と光を感じよう」という題材でより刺激が受容しやすいよう

に,自立活動室に暗幕を張り,視覚や聴覚の感覚刺激を中心に生徒に合った素材や教材を組合わ

せて行った。今回はこれまで確認されてきた自発的な活動を導き出せるよう天井から様々な素材

をつり下げ,引く,音を鳴らす,触る等の活動を行った。生徒の実態に合わせグループを2つに

編成した。1つはグループ1である。つり下げた素材の中から個々の好きな物を見つけたり,触

ったり,つり下げた物の動きを楽しむ。もう1つはグループ2である。生徒Bはグループ2に編

成され,見通しを持って活動できる課題や,AACを使った活動を行った。また,授業の始めに

VOCAを使って出席確認も行った。

このように,授業での役割,活動にAACを活用し,目標を達成することで,コミュニケーショ

ン能力が育まれると考え題材を設定した。

③ グループ2の目標

ア 個々の能動的な動きでAAC(スイッチ教材,VOCA),補助具を使い成就感を味わわせる

と共に自ら活動する意欲を育てる。

イ 活動や教師の働きかけを通して,自己決定やコミュニケーションの基礎を育てる。

④ 本時の目標

やりとり場面分析シート 生徒A 教師 予想される伝達意図 行動 行動 予想される伝達意図 1 2 3 4

ブランコがある。 ブランコに乗り

たい。 乗れた!早く揺

らして。 揺れて楽しいな。

・ブランコに手を伸ばす

・ブランコに視線を向け

・ブランコに乗せると

体を前後に揺らす動

作が見られた

・揺れを楽しんで笑顔

が見られた

・ブランコへ背中を支持

しながら近寄る

・「ブランコに乗りたいんだ

ね」と言葉をかける。

・「動かして欲しいんだね」

と言葉をかけてブランコ

を前後に揺らす。

・「楽しいね」と言葉をか

けた。

ブランコに乗せよ

う ブランコに乗せる ブランコに乗れて

うれしいね。揺れる

ともっと楽しいよ

ね。 喜んでくれてうれ

しい。

表8 ブランコに乗る場面のやりとり

Page 9: 重度・重複障害のある生徒の コミュニケーション能力を育む ... · 2011-03-16 · ないだろうか。しかしコミュニケーション能力を育むためには,関わる側の意識の向上や生徒に対する理

⑤ 授

※イ

⑥ 生

の生

活動

ボー

ため

しむ

し,

繰り

前半

短く

⑦ 考

ッチ

のこ

して

3 研究仮説

⑴ 研究

① 坂

ニケ

とが

② M

るこ

で様

やり

興味

⑵ 研究

① コ

身振

出」

ン能

② 生

るこ

の項

自分のやり

スイッチ教

授業の展開

VOCAを

されているの

操作しやすい

天井からつ

ルを操作する

スイッチ教

イ,ウの活動

心がける。

生徒の様子 出席確認のV

生徒を呼名す

動は先にピッ

ールは大太鼓

め因果関係が

む様子が見ら

グループの

り返し,何度

半の活動に比

くなってきた

考察 自分のやりた

チングマシン

ことから,自

今後はボール

てあげられた

説の検証

究仮説1につ

坂口の「重度

ケーション発

ができた。

MEPA-Ⅱ

ことで移動,

「重度障害児

様々な角度か

りとり,生徒

味関心を引き

究仮説2につ

コミュニケー

振りを読み取

「課題に向か

能力を育むた

生徒BはAA

ことができた

項目において

りたい活動を

教材を,意欲

を使い出席確

ので順番に押

い様に,VO

つるされたボ

る。

教材を使って

動のどちらか

VOCA操作

するタイミン

ッチングマシ

鼓の的に当た

がわかりやす

られた。初め

のメンバーに

度もスイッチ

比べて後半の

た。

たい活動を自

ンの操作はス

自らスイッチ

ルを補給する

た。

ついて

度障害児のコ

発達段階を客

Ⅱでは健康生

姿勢,操作

児の発達評価

からのアプロ

Bは自己決定

き出す工夫が

ついて

ーションの発

取りその行動

かう力」「問題

ために有効で

ACを活用し

た。図6にあ

て数値が上が

を選択するこ

欲的に自ら操

確認を行う。

押す。それぞ

OCAの位置

ボールをヘデ

てピッチング

から活動を行

作はこれまで

ングも合わせ

シンを操作す

たると「ドー

すく,笑顔や

めに用意され

に捕球しても

チを押す様子

の活動ではス

己決定する

スイッチを押

チを意欲的に

るための声か

コミュニケー

客観的にみる

生活や動作の

作の部分で生

価シート」と

ローチをみい

定や身体の動

ができた.

発達段階で聞

動から意味づ

題解決」「物

であったと考

し,自己決定

あるように「

がり,コミュ

- 9 -

とができる。

操作することが

写真1のVO

れの返事を確

や姿勢の角度

ィングしてボ

マシン(写真

うか選択させ

の経験が積ま

られるように

る活動を選択

ン」という音

感嘆の声が聞

たボールを全

らうと喜んで

がみられた。

イッチを押す

ことができ,

すまでの時間

操作するこ

けや,合図等

ション発達評

ことができ,

喜びの拡大に

徒の実態把握

「MEPA-

だすことがで

動きをカバー

き取り効果段

けた関わりを

物の永続性」の

える(図5)

定や能動的に活

表出」「課題

ニケーション

ができる。

OCAに一緒

確認し,タイ

度を調整して

ボールで遊ぶ

真2)を操作

せる。自発的

まれ,次

になった。

択した。

音がなる

聞こえ楽

全て投球

で活動を

。授業の

す間隔が

,意欲的に活

間の間隔が短

とができたと

等をAACを

評価シート」

,コミュニケ

に必要な「感

握ができた。

-Ⅱ」のプロ

できた。生徒

ーしてくれる

段階にある生

を持つことで

の項目におい

)。

活動すること

題に向かう力

ン能力を育む

緒に授業を受

イミングよく

て行う。

ぶ。教師はひ

作して的に当

的な動きが出

活動に参加す

短くなってい

と考える。 を活用してお

を活用する

ケーション支

感覚運動スキ

ロフィールを

徒Aは感覚運

ようなAA

生徒Aは,教

で「人への志

いて数値が上

とで成功体験

力」「物の永続

むために有効

写真2

受ける生徒の

く押す。車椅

ひもの長さの

当てる。

出たときは褒

する様子がみ

いく様子がみ

お願いをする

ることで,生

支援の課題を

キル」の発達

を評価・分析

運動を刺激す

Cの活用をす

師が生徒の視

志向」「物への

上がりコミュ

験,成就感,

続性」「手段-

効であったと

ピッチング

の氏名が録音

椅子に座って

の調整やボー

褒めるように

みられた。ピ

みられた。こ

る事が課題と

生徒のコミュ

を見いだすこ

達の評価をす

析をすること

する遊具での

することで,

視線や表情,

の志向」「表

ュニケーショ

達成感を得

-目的関係」

と考える。

グマシン

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Ⅳ 成果と課今回の研

けに着目す

しかし重度

トツールの

に実態把握

り組むこと

パートナー

1 成果

⑴ 重度

分かり

な発達

⑵ ビデ

発声,

⑶ 教師

る生徒

2 課題

⑴ 生徒

⑵ 聞き

ケーシ

⑶ AA

〈主な参考文

金森克浩

坂口しおり

小林芳文・

課題 研究を通して

するのではな

度・重複障害

の活用・評価

握からみえる

とが生徒のコ

ーとして教師

度・重複障害

り,坂口の

達段階を把握

デオ分析を通

サイン等,

師側が生徒の

徒とのコミュ

徒の実態に応

き手効果段階

ションサイン

ACを生徒の

文献〉

2010 『特

り 2006 ・藤村元邦・

図5 生徒A

て生徒のコミ

なく,生徒の

害のある生徒

価も検討して

る課題の明確

コミュニケー

師が資質向上

害のある生徒

「重度障害児

握することが

通して,普段の

確認するこ

の身振り,視

ュニケーショ

応じたアセス

階の発達レベ

ン(目線,身

の実態に応じ

別支援教育に

『障害の重い

新井良保編

Aのプロフィー

ュニケーシ

の困り感に寄

徒の実態は様

て個に応じた

確化や支援・

ーション能力

上に努力する

徒は言葉を獲

児のコミュニ

ができた。

の関わりで見

ことができた

視線,発声,

ンの成立の

スメントの在

ベルの生徒に

身振り,発声

じて活用でき

におけるAT

い子どものコ

編著 1992

ールシート

- 10 -

ョン能力を育

り添い,生徒

々なので,現

,詳細な実態

指導の工夫は

を育むために

必要性を強

得していく発

ケーション発

見落としがち

サイン等,行

ポイントとな

り方と題材,

はビデオ分析

など)を客観

るように,職

Tを活用した

コミュニケー

『講座・重度

育むためには

徒の立場にな

現在確認され

態把握をする

は教師間で認

に必要である

く感じた。

発達段階にお

発達評価シー

ちな細かいわ

行動を意味づ

なることがわ

,教材の工夫

析を通して,

観的に確認す

職員間で情報

たコミュニケ

ション評価

度重複障害児

図6

は,生徒の目

なって考える

れた情報をも

ることも重要

認識し,教育

る。また,よ

おいて,概ね

ート」を活用

わずかな意志

づけて関わる

わかった。

夫と見直しを

教師の関わ

するための必

報の共有化を

ケーション支

と目標設定』

児(者)の感覚運

生徒Bのプロ

目に見える障

る事が重要だ

もとに,他の

要だと考える

育実践に一丸

よきコミュニ

ね前言語期に

用することで

の表出や身振

ることが,重

を行う。

わり方や生徒

必要性がある

を図る場の設

支援』 ジアー

』 ジアース

運動指導③指

ロフィールシー

障害や特徴だ

だと感じた。

のアセスメン

る。このよう

丸となって取

ニケーション

にあることが

で生徒の細か

振り,視線,

重度重複のあ

徒のコミュニ

る。

設定。

ース教育新社

ス教育新社

指導実践編』

コレール社

ート