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F2Pの最初の3分間 ディレクティブチュートリアルはなぜ必要か?

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F2Pの最初の3分間

ディレクティブチュートリアルはなぜ必要か?

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超簡単な自己紹介

• ゲーム業界26年のジジイ。

• 現在enish勤務。

− 恵比寿の会社に入ったつも

りが、六本木に移動されて

アレー…なんだけど、まあ

食い物うまいから許す。

− 一応、ゲームデザイナーの

統括みたいなものをやって

る気がする。

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なぜ最初の3分間なのか?

• およそどんなメディアでも最初の数分は、ものすごく大

事な瞬間だ。

• 映画のシナリオ構造論を初めて作ったといって過言では

ないシド・フィールドは…

『最初の5分で設定を終われ』

と言った。

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なぜ最初の3分間なのか?

• ズーニンの法則

人の第一印象は最初の4分で決まる

• 人は、最初の数分で印象を決める傾向がある。だから最初の印象はとても大事。

• それを考慮してもなおF2Pでは最初の3分間は、他のイロイロなメディアと比較して特段に大事だと考えている。

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どうしてF2Pでは最初の3分が特別に大事か?

• 映画やメディアと違い、受動的でない。

− 見ているだけでは進行しない。

• ユーザーはゲームのルールを知らない

− ダウンロードしたゲームの知識はゼロなのが普通。

• 『もったいない』がない− F2Pではユーザーがゲームをダウンロードしたとき、払っている

コストはほぼゼロ。すなわち離脱を引き止める要因がない。

知識も忠誠心もないが止める自由はある

そんなユーザーに

良い印象を与えなければならない

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では最初の3分で何をやるべきなのか?

ゲームの面白さを知るには

ゲームをプレイしてもらう

のが一番なのは確か。

だからディレクティブチュートリアルを

プレイしてもらう

何も知らない人はゲームを遊べない

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ディレクティブチュートリアルって何?

• ディレクティブ=Directive

− 支配的な、とか指導的なとか、そんな訳語が与えられる。

• Directive Tutorial

− F2Pの最初にたいていある緑の矢印だの指の形したカーソルだの

でアレやれコレやれと教えるチュートリアルのこと。

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ところで、どうして3分間なのか?

• Gameloft での経験から得られた知識

− ゲームロフトは4分を超えると1分毎にチュートリアル突破率が

ウン%ずつ落ちていく恐ろしい経験則を見出した。だから

Directive Tutorial は4分以内で終われというルールがあった

• これは絶対ではない。

− とんでもなく長いチュートリアルでも、チュートリアル突破率が

高かった例はある。

ただ、基本的には守ったほうがいいのも間違いない。

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第一のまとめ

• 最初の3分はとても大事

• そこで、何も知らず忠誠心ゼロのユーザーに

1.ゲームの基本的なルールを教え2.ゲームの面白さを説明し3.ゲームを続けることを選択させる。

これがディレクティブチュートリアルの目的である。

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チュートリアルでやるべきこと、やってはいけないこと

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基本のルール

• だいたいこの順序で教えていくのが望ましい。

1. 没入してもらう準備

世界のセットアップ

2. 最もシンプルなコアゲームループを教える

ゲームの理解

3. チュートリアル終了

最後に何を教えるか

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没入させる

• 没入感はFPSだけのキーワードではない!

− 海外では没入感はvilleゲームでも求められる。

・ というか、これを通じての議論で没入感の意味を理解した。

− コンテンツ・クローム比を上げれば没入するわけではない!

・ UIに意味があれば普通に没入できる。

• 没入感=夢中になること=納得感

− 世界のどこに自分がいるのか?

・ プレイヤーの立ち位置が明白であることが重要。

− お約束の否定

・ 海外の連中は、女の子が大きな剣を振り回すからオカシイというのではない!

そこに説明がないからオカシイというのである。

・ 全員に通じる常識やお約束に期待してはいけない。

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プレイヤーの立ち位置を明白にする

• ユーザーに「あなたは何者か」を説明する。

− 例えば「ヘイディ」。引退したジジイの跡継ぎでボロい農場をこ

れから経営する。手紙1枚で一発説明。

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ゲームデザイナーへの注意

• 短くしろ! できれば30秒以下!

− プレイヤーの立場を説明できるほぼ唯一の機会。うっかりコン

ソールみたいに長時間説明することは許されない。

• スキップを用意するな!

− 立場の説明はスキップされるとチュートリアルでの致命傷になる。

− スキップする

→ プレイヤーの立ち位置が分からなくなる

→ 世界があやふやになる。

スキップがあるゲームはしばしば存在するので、それをスキップ

して現在わかっていることを書くなどするとよくわかる。

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情報の非対称性を意識する

• エヴァごっこするな!

− 思わせぶりなセリフを書かない!(すぐ書きたくなるけど)

− 作り手は知っていてもユーザーは知らない!

・ 仮にユーザーがプレイを始めて321時間後に驚くべき自分の出生を知るゲーム

だとしても、それをスタートしたユーザーは知らない。

そしてそこで「まさか…あなた…」と言っても、ユーザーには全く意味はわか

らない。もちろんシナリオライター/ゲームデザイナーの意図はカケラも伝わ

らない。

だから謎にしても「何が謎なのかをユーザーが理解できるように作る」ことが

重要である。

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基本的なルールを教える

• もっとも単純化されたコアゲームループを教えよう!

街作成・建物を作る・道を整備する・インフラ作る

人数増加・収入UP・経験値UP

街の発展・建造物解放・インフラ開放・敷地拡大

メインサイクル

こーいうのをちゃんと教えることが目標

最近の日本のゲームはかなりこれが疎かな作品が散見される。

特にガラケーのGvG系とか悲惨。

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ゲームデザイナーがやりがちな間違い

• ミスから始まる説明

− Aやる→「なんだか効かないね」→Bやる→「大成功!」

・ ユーザーはAが効いていないと判断するデータを持っていないのだから、Aが

効いていないことがわからない。

・ 無駄に長いうえに、最悪ケースはAを使うと間違って覚える。

・ 「Bが最高よ! Bをやって!」で最短で最善のアクションを教えれば良い。

• 要素を教えすぎ

− どんちゃんの法則

我々は「一度に3つ以上のことを覚えられず、復習しないと忘れ

る」といったゲームリテラシーが非常に低いプレイヤー像を対象

として設計するぐらいで丁度よい。

・ 復習⇒新しい要素を教えるのループを意識する。

・ 復習をしていない要素が何がいくつあるかを意識する。

・ このあたりはヘイディが非常に良く出来ている。

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チュートリアル終了時

• 次にやることがわかっている。

− 次に何をやればいいか、間違いなくわかっていること。

− 海外のゲームでよくあるQuest Giver / Tutor はそのためにある。

・ わからなくなったら「XX」を押してね!

− ヘイディはそこがかなり危ない。

・ チュートリアルを終わった瞬間に結構放置で、実際にここで離脱した例を見た

ことがある。

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ゲームを続けてもらう

• 褒めて褒めて褒め倒す

− バカにするなかれ。

多くの人は日常的に褒められたいと感じている。ゲームのプレイ

ヤーも同様である。

褒められる経験はゲームを続ける十分な意味になる。

• プレゼントをあげる

− ゲーム内にユーザーの財産を作ることで、止めづらくする。

これについても情報の非対称性に注意しなければならない。

・ この時のユーザーはゲームでのプレゼントの価値がほぼわからない。

だから男性向けのゲームなら、30時間後に役に立つ高パラメータのジジイよ

りはヘボくても半裸の女の子の方がゲームを続けてもらう動機にはなりやすい。

・ また渡したプレゼントをすぐ役に立つものにして使わせるのも効果的である。

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マトメ

1. ユーザーに教えたいことを並べる

− これは優先度をつけたほうがいい。

「涙がでるほど必須」から始まって「できれば」ぐらいまで。

2. 世界観を知らない人が理解できるか?

− なーんもしらない人に自分が喋らずみせるのオススメ。

3. コアゲームループが正しい順序か?

4. ステップ毎にユーザーの知っている事を並べる

5. ユーザーに教えすぎていないか確認。

− 4と組み合わせにして復習している要素を確認するといい。

6. 終った時、何をするかわかっているか?

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ところで質問に答えたヤツをちょっと追加

• チュートリアルの例外

− IPモノ。

プレイヤーの大半がIPモノの世界観を知っている前提で始めるこ

とができるし、そうであるべき。

だから世界観を知っていることを前提にして、ゲームの追加分を

積めば良い(あるなら)

• 一度に3つはどこまで?

− ABCDと教えなければいけないことがあるなら、ABCABCDとい

うような順序で教えるのがいい。ただ基本的に復習させることは

意識する。

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