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学校タイプにみる教育的効果 2

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9

学校タイプにみる教育的効果

2第   章

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10

JA旭・JA旭青年部・JA旭女性部・横内小学校・横内小PTA・グリーンファーム横内・高知市教育委員会

横内小学校農業応援隊総合的な学習の時間で取り組む「教育ファーム」を、国語科、家庭科、社会科、外国語活動などの複数の教科等と有機的関連をはかり実施。イネづくりをしながら、地元生産者の声を聞いたり、米粉について学んだり、さらに、地域のパン屋と連携して、米粉パンや米粉ピザを主食とした給食の献立づくりまでつなげた取組みを紹介する。

連携団体

テーマ

参加者

対象作物

活動の場所

活動の面積

取組みの開始年

教育ファームを実施した教育課程

給食

教育ファームで何を目指すか?

お米とわたしたち(5年) 米粉を気軽に身近に使って料理しよう(6年)

①�5年生の社会科、家庭科、総合的な学習の時間の授業を使って、米づくりを主体とした体験活動を行うことで、子どもたちの地域の産業への理解、食にかかわる人びとへの感謝する心を育てるとともに、食を大切にする心を醸成する。

②�地域の食材を用いた料理づくりを地域の人びととかかわりあいながら行い、人間関係形成能力を身につける。

③地域の産物を知り、食の安全性や地産地消について考える。

横内小学校5・6年生(204人)

高知県高知市横内小学校近くの田んぼ

100㎡

2008年

総合的な学習の時間以外の、国語科、家庭科、社会科などの各教科も関連させて実施。

自校式。米づくりを通して子どもたちは米粉への関心を高め、子どもたちが立てた自由献立の給食が3回提供された。メニューは米粉パン、米粉ピザ、米粉をまぶした唐揚げなど。

事例報告 1 高知県高知市

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11

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

10月

米粉パンなどを5年生が販売放送体験クラブが番組にして発信

米粉パンなどを5、6年生が販売

前年の活動を平成20年度作成のパンフレットを活用して説明

主な取組みと活動の工夫

取組みの特徴

米についての調べ学習

育苗 田植え

水田観察

地産地消給食

夏祭り「6年生の店」出店

稲刈り

新米をおいしく食べる

調理実習(5・6年生)

感謝祭出店

冬祭り「5・6年生の店」出店

食育実践発表会(米粉の店出店)

4月

5月1日

6、7月

7月13日

7月18日

8月24日

9月

12月

1月

2月

農家の育苗したお米と比較体験したことを言葉で表現……俳句づくり

観察用下敷きを活用無添加の手づくりベーコンを使って調理実習

直売所の野菜を米粉ピザの具に使って自由献立

米粉パンや直売所の野菜・花卉農家の花販売

昔の道具とコンバインを使って稲刈り作業

ウェビングマップをもとに活動計画を立てる

米粉を使って調理料理家による米粉の料理教室

米粉パンなどを6年生が販売

2学期9~12月

1学期4~7月

3学期1~3月

新米をおいしく食べよう米と私たち 米から見える世界テーマテーマ テーマ

●育苗●田植え●水田観察●俳句づくり・観察カード●…地域の農家を訪ねて米粉になるまでを知ろう●…夏祭りで米粉パンなどを販売

●水田観察●稲刈り●おにぎりパーティー●米粉を使った家庭料理(夕食)●米粉を使った料理●…感謝祭で米粉でつくったパンなどを販売

●…地域の自然・環境に目を向けて、森林、水、土を考える●…冬祭りで米粉パンなどを販売し、各地に発信する

学校の授業で教育ファームに取り組むに当たって、総合的な学習の時間だけでなく、国語や社会科や算数など、各教科と関連させて実施した。

1.総合的な学習での取組み

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実施団体からの報告

昨年の課題である「体験を充実させて、

もっと米へのこだわりをもたせる」と

いう課題のうち、育苗、乾燥、籾すりの作業

をしている生産者の方の生き方や土佐れいほ

く米粉工場ができるまでの地元の願い、米粉

になるまでを取材して子ども達に提示し、生

産者などの生き方にもふれることができたこ

と。

食材に他学年の子どもたちが作った野菜

を入れたり、ベーコンを手づくりして

いる保護者やPTAを活動に巻き込むことで、

食の安全に生産者・家庭・学校給食・行政も

含めて気を配っていることが学べ、教育ファー

ム事業のよさに気づき、理解が深まり協力体

制が強まったこと。

米粉パンの学校給食への導入について、

市学事課と各機関が連携して、本校児

童の活動、思いや願いを大切にして、地元パ

ン屋と連携して、試作を重ね、食べ比べたり

意見を述べたりすることができ、県も市も導

入が実現することに決定したこと。…

地産地消や中四国農政局作成の「米粉を

使った簡単レシピ」に取り組み、地元

の料理家を招いて、野菜の切り方やゆで方で

味がかわるという体験を通して、家庭科の指

導内容が充実したこと。……………………………………………………………………………………………………

国 語 

社 会

算 数

理 科

図 工

家庭科

質問の手紙を書こう→指導生産者へ質問の手紙を書いた漢字の由来に関心を持とう→農業体験で触れた漢字の由来について学んだ短歌と俳句を味わおう→農業体験を通して俳句をつくった敬語を適切に使おう→指導生産者との触れあいのなかで実践

食料生産を支える人びと→指導生産者の家を訪ねたこれからの食料生産→米ができるまでを学んだ暮らしを支える情報→米づくりを通して天気予報に関心を持てた住みよい暮らしと環境→米づくりを通して環境を守ることを学んだ

どんな計算になるのかな→調理実習の食材の買物百分率とグラフ→米の自給率の計算をした給食大調査→収穫物での給食時に実施

植物の発芽→育苗で体験学習天気の変化→農業体験のなかで関心を持って学習植物の生長における肥料と日光の役割→農業体験のなかで関心を持って学習

こんなとき感じること思うこと→農業体験を絵に描く

料理って楽しいね! おいしいね!→米粉を使った調理実習と試食なぜ食べるのか考えよう→米粉でつくったパンを使って給食の献立づくり

2. 各教科での取組み

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「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

田植えと稲刈りのあと、国語「短歌と俳句を味わおう」の授業で、活動を振り返って俳句をつくった。みんな同じ体験をしても、一人ひとりの気づきが違うことがわかる。

定性調査から

俳句

自分たちでつくった給食献立

田植え 稲刈り

〔活動から出た子どもたちの声〕「私たちの米粉料理を給食に出したいという夢を、栄養士さん、調理員さん、その他たくさんの人たちにかなえてもらって、感謝しています」

家庭科の授業で、自分たちが育てたお米からできた米粉パンを使い給食の献立づくりに取り組む。実現までの過程で、地域のさまざまな人たちとの関わりに気づき学んでいった。

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●初めて会った大人とも話をすることができる

   「ややあてはまる」「とてもあてはまる」の回答割合

●教育ファーム活動に参加してどのような効果があったと思うか

   「ややそう思う」「とてもそう思う」の回答割合

0 20 40 60 %

横内小

前半

後半

48.6%

51.2%

50.5%

48.0% Aグループ

0 20 40 60 80 100%

横内小

全体の平均

自然や生き物への興味・関心を持った

自然や生き物に対する観察力・

自然や生き物を大切にする

食べ物への興味・関心を持った

食べ物に対する知識・理解が深まった

食べ物を大切にする気持ちが育った

作物を育て収穫する喜びや

農業への興味・関心を持った

農業に対する知識・理解が深まった

農村への興味・関心を持った

農村に対する知識・理解が深まった

農産物直売所に興味・関心を持った

地域のなかの知りあいがふえた

あせを流して働くことの大切さを知った

まわりの人と協力する気持ちが育った

科学的知識を身につけた

充実感を味わった

気持ちが育った

■解析対象 横内小学校…………………191人 Aグループ(11地区)………871人

■解析対象 横内小学校…………………191人 全体……………………… 2416人

定量調査から

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「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

●体験した内容

0 20 40 60 80 100%

土づくり

種まき

苗植え

水やり

肥料まき

草取り

観察

生き物探し

農業機械の見学

農業機械の操作

収穫

調理

食事

販売

横内小

全体の平均

 横内小学校は、教育ファーム学校タイプ全地区

の小学校の平均と比較して、教育ファーム活動の

中でも特に「調理」を体験したと回答する小学生

の割合が高い点に特徴がある。

 定量分析の結果から、横内小学校においては「食

べ物に対する知識・理解が深まった」「食べ物を大

切にする気持ちが育った」と回答する小学生の割

合が高いことがわかる。また、「初めて会った大人

とも話をすることができる」と回答する割合も高

い傾向にある。

 このように、横内小学校の教育ファーム活動に

よる食育やライフスキル ( 生きるたくましさ ) へ

の効果がうかがえる。山田伊澄(農業・食品産業技術総合研究機構)

 総合的な学習を核に多くの教科内容を関連的な指導で結び付けた取組みで、教育ファームが、食と農に留まらない幅広い学習の実現に資する有機的なカリキュラムの基盤となることを実証した事例である。 食や農と内容的な関連の深い、家庭科、社会科、理科は元より、自分達が望む農業体験をよりよく実現するために言葉や数理

を学ぶといった学びの筋道は、いわゆる「活用」型の学力の育成という意味からも効果的であり、学ぶべき点が多い。 調理からさらに販売や給食の献立づくりまで進んでいるのも、子どもの学びの広がりという点で出色である。

奈須正裕(上智大学総合人間科学部)

アンケート結果の考察

横内小学校の取組みについて

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松本市農政課

くれき野生産組合兼業農家で組織する地域の生産組合が、地元の小学校に田んぼの持つざまざまな力(田んぼの生き物のうつろい、農作業の時期ごとの地域の食文化など)を取組みごとに提案し、これを受け入れていった学校。最後の収穫祭で「地域を学ぶには農業を学ぶこと」と言い切った教師たちと農家たちの、二人三脚の取組みを紹介する。

連携団体

テーマ

参加者

対象作物

活動の場所

活動の面積

取組みの開始年

教育ファームを実施した教育課程

給食

教育ファームで何を目指すか?

わくわく田んぼ

水稲・食草・昆虫を観察することにより、いのちの大切さ、食文化の楽しさを学んでほしい。生ゴミ堆肥を使うことで、資源の有効活用を考える。

芝沢小学校5年生(75人)

イネ(もち米・うるち)

長野県 松本市 新村(小学校から徒歩3分の田んぼ)

220㎡

2006年

総合的な学習の時間で実施

センター方式

事例報告 2 長野県松本市

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「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

実施団体からの報告

田植え・生き物観察・よもぎ採取の3班で体験、よもぎ団子を食べる

主な取組みと活動の工夫

田植え、生き物観察、食草採取

水管理当番

田の草取り、生き物観察

田の草取り・生き物観察

カカシづくり

稲刈り

脱穀

成果発表会 ・収穫祭

5月 13日

5月28日~9月10日

6月23日

7月15日

8月24日

9月11日

9月25日

2月15日

始業前に田んぼに行き、イネの長さ、気温、水温を測り、デジカメでイネの成長を記録して教室前の廊下に掲示した

手どり除草、手押し除草機、ヤゴなど採取

草取り、虫見板を使って田んぼの生き物調査、コブナ放流

3クラスで9体のカカシづくり

手刈り・結束・昆虫採取の3班でローテーションイナゴの試食

歯こき、足ふみ脱穀機、ハーベスタ、とうみの体験

調べ学習発表・歌 ・劇お餅を味わう

草取り田植え 稲刈り

●…田んぼで冬をこした生き物をさがそう

カエル・ガムシ

●…田んぼで生まれた生き物をさがそう

ヤゴ・オタマジャクシ・コブナの放流

●…田んぼに産卵する生き物をさがそう

トンボの観察(アキアカネ・ナツアカネ)イナゴ

種まき (4 月 ) から行い、発芽の瞬間を見

たことが、昨年との大きな違い。更に

一人一列を自分のイネとし、名札を立てたこ

とで、取組み時は必ず自分の列に行き、「自分

が育てるイネ=マイ稲」という気持ちが芽生

えた。

田植え、草取り、稲刈りと、取組みの度

に生き物調査をしたことで、生き物に

親しむ気持ちが作文で表現された。

17

取組みの特徴

「田んぼが持つ命を育む力」を子どもたちに伝えるために、活動のときは、作業だけでなく、生き物や畦の草の観察などを必ず組み込むように工夫をした。田植えから稲刈りまで、田んぼの水管理を子どもたちが当番で行い、その際にもイネの成長の様子を観察して記録した。

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田んぼにいたヤゴを教室で飼い、トンボ

の羽化を観察。ヤゴ採集は貴重な体験

となり、これを契機に教室で生き物を育てる

ことが継続している。

田植えのあとに農家がつくってくれたよ

もぎ団子の味が忘れられず、あとで家

でおばあちゃん、お母さんと一緒につくって

食べ、家庭との関係に広がった。

脱穀では、千歯こき(江戸・明治)・足踏

み機(昭和初期)・ハーベスター(現在)

の 3機種の脱穀体験+大型コンバインの展示

で、稲作の歴史を体験し、稲作をテーマに絵

を描くことにつながった。

▶田んぼの水管理当番は、田植えのあと、

農家からの「水管理を自分たちでやってみ

るかい」という声かけで始まった。「最初言

われたとき、えっ!やらせてもらえるんで

すかと驚いたんですよ」と担任のM先生は

振り返る。当番は各クラス(3クラス)か

ら1人=1日3人の仕組み。当番の日は7

時45分に学校を出て田んぼに行き、気温、

水温と、イネの長さを測り、水門の開け閉

めをする。そしてデジカメでイネの写真を

撮って8時には学校に戻ってくる。水門に

さわれることとデジカメを使えること、こ

れが子どもをひきつけた。

▶学校に戻ると、「田んぼ水管理当番日誌」

に測った数字を書き入れ、写真は先生が2

時間目と3時間目の休み時間までに印刷し、

5年生の廊下の『米づくりコーナー』に貼

り出す。「貼り出すのが遅いと『先生、早く

貼り出して!』って催促されちゃうんです」

とM先生はうれしそうに話す。

▶水管理当番は、田植え後の5月28日か

ら1人2回、稲穂がたれる9月10日まで

続いた。「夏休みの直前、当番はひとまず終

わりにした時期があったんです。そのとき、

私が 1人で田んぼに行ったら、何人かの子

どもが『当番のいない田んぼが気になった

から』って見に来てくれたんです。あのと

きはすごくうれしかったですね」とM先生

の笑顔がこぼれた。

定性調査から

インタビュー 水管理当番日記

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「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

5年生A君の場合

◀…「米作り」のテーマから、「田んぼ」「田植え」「栄よう」「たねもみ」と書いている。

◀単語・名詞が中心に並んでいる

▼…「米作り」のテーマから、「田植え」と書き「ぐちょぐちょ」「気持ちいい」とつながっている。

▼…「田植え」から「虫」「おたまじゃくし」「成長」「カエル」「いっぱいいた」と、生き物観察の様子が時間を追って書かれている。

7月

12月

ウエビングマップ

生き物の数や種類が増え、体験の感想をふまえた表現につながった

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田植え、草取り、稲刈り、脱穀の後、イネのことはもちろん田んぼで暮らす生き物や昔の暮らしのことまで、たくさんのことを教えてくれた農家に書いたお礼の手紙を紹介します。

※子どもの記述は原文のまま

 初めて、お手紙を差し上げます。 わたしたち5年生は、社会の、米作りの事で、おせ話になりました。まだまだ先は、長いけれど、米作りの第一歩として、おせ話になりました。第一歩とは、田植えの事です。五月十三日の今日、一時間目と、二時間目の時間を使って、三つの事で、おせわになりました。一つ目は、植物とこん虫の観察です。理科でやる事を総合の時間に、やって下さいました。二つ目は、田植え機の見学です。めったに見れない物を見せて下さいました。三つ目は、本題の田植えです。わたしは、田植えをするのが初めてです。土が水にぬれて、ネチョネチョでした。はだしでふむとたまりませんでした。わたしは、小さい時にもどってどろあそびをしたくなりました。

 田植えの時、2〜 3本づつ分けて植えるのと、間をあけて植えるのがたいへんでした。 ここでしつ問です。「なぜ 2〜 3本づつ植えるのですか?」 この事はだいたい分かりますがもっとはっきり分かりたくってこの質問を出しました。 最後に、よもぎだんご、ありがとうございました。とってもうれしかったし、おいしかったです。 また、私も家で作りたいと思いました。 今日は本当にありがとうございました。 また、水の管理の事などもよろしくおねがいします。

田植え

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「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

 こん虫の名前や花の名前など教えてくれてとてもうれしかったです。いろいろなこん虫、花の名前をいっぱい知れてよかったです。あと、わたしは家で田んぼをやっているのですが、機械でしかやったことがなかったので、手で田植えができてうれしかったです。家でも田植えをする時は一列ぐらい、手で田植えをしてみたいと思います。けっこうおもしろかったので来年も家で手で田植えをしたいです。 あと、しつもんしたいのですが、わたしの家では機械でだっこくをしているのですが、わたし達はだっこくを手でやるのですか。それか、機械でやるのですか。教えて下さい。これから もよろしくお願いします。

 初めてお手紙を差しあげます。今日は植物とこん虫の観察、田植えのやりかたなどを教えてくれてありがとうございます。今日は、植物の「よもぎ」を作った草もちをいただきました。手作りの草もちはとてもうれしいです。 では、田植えの感想ですが田んぼの水がとってもぬるくてやりやすかったです。わたしは田植えが初めてだったので、やり始め、田んぼに入った時「キャー」と言っていましたが、やっているとなんだか海にいるような気がしてとっても楽しかったです。 楽しかったので家で田植えをしたかったのですが、終っていました。 と、しつ問をしたいのですがよろしいでしょうか。 「のう薬とは主に何ですか」。 これがしつ問です。今度教えていただけないでしょうか。 よろしくおねがいします。

 きれいにできました! わたしはBはんなので最初にはぜかけをやらしてもらいました。 はぜかけはやってあるところはみたことがあるけど自分でやるのは初めてで最初はたいへんだったけどだんだん早くできるようになりました。次のイネかりはこれも初めてだったけどどんどんやることができてとてもうれしかったです。最後の生き物さがしは、田植えのときよりもちがう生き物をたくさん見ることができました。そのあとちらばったわらをみんなで方づけました。農家のひとたちはこういうこともしなきゃいけないんだなぁと思いました。いろんな事をさせてもらってありがとうございました。

 くれき野生産組合さんへ この間のだっこくではおせわになりました。 私はイネ全体のことが始めてで最初は、だっこくの意味も分かりませんでした。足ふみだっこく機は、はりがねがみえない位でこわくなって上手にとれなかったけど、くれき野さんが足ぶみをしてくれて、とてもうれしかったです!!次はしゅうかく祭ですね。楽しみです。

 くれき野生産組合のみなさまへ 種もみからだっこくまで田んぼのことをいろいろ教えてくださってありがとうございました。ぼくが一番楽しかったのは稲刈りです。なぜかと言うと 5/13 日に植えたなえが最初 5 cmくらいだったのが稲刈りの時には 60 cmくらいになっていてそれだけみんなが仕事をしたと言うことが分かってよかったです。タブナを大切に育てます。

 イネかりの時はありがとうございました。イネかりや束ね、どれも、すごく楽しくてためになったのですが、1番楽しかったのは、生き物観察です。 わたしは、草むらにいる生き物をさがしました。 みつかったのはイナゴやバッタ、ちょう、トンボなどです。つかまえようとしてつかまえられなかったのもありました。本当に、ありがとうございました。

 九月十一日 ( 金 ) のイネかりありがとうございました。わたしのお父さんは田んぼを作っています。でもわたしはお手伝いをした事がなかったのでイネかり・生き物観察などやった事がありませんでした。けれど、今日イネかり・生き物観察・はぜかけをわかりやすく教えて下さってありがとうございました。とっても楽しかったのでまた家でもお手伝い(やってみたい)してみたいと思います。

 初めてお手紙を差し上げます。 わたしはよもぎは葉が大きいのより小さい葉のほうがいいと、初めてしりました、おしえてくださってありがとうございました。 田植えでは、初めてやったので、とても、きんちょうしました。でも、とっても、たのしくできました。本当にありがとうございました。それと、よもぎだんご、とても、おいしかったです。ありがとうございました!もう一度あのよもぎだんごをたべたいです!! しつもんです。田植えのときに、機械でやると、植えなおしはやるんですか? おしえてください!! 今日は、本当にありがとうございました。これからも、きかいがあったらおしえてください!

 初めてお手紙を差し上げます。 田植えの時はありがとうございました。 とても勉強になりました。 田植え機もはく力があっておもしろかったです。また見に行きたいと思います。 来年、私の家でも田植えがあったらこの出来事の事思い出して、田植えのお手つだいをたくさんしたいと思います。 そして、二十才ごろ ( 大人 ) になったら田植え機の使いかたを家の人から教えてもらって、田植え機を使ってみたいです。本当にありがとうございました。

稲刈り

脱こく

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●自分の住んでいる地域でとれる農作物をよく食べる

   「ややあてはまる」「とてもあてはまる」の回答割合

0 20 40 60 80 100%

芝沢小

前半

後半

48.6%

48.0%

43.2%Aグループ

48.6%%62.7%

69.2%

0 20 40 60 80 100%

芝沢小

全体の平均

自然や生き物への興味・関心を持った

自然や生き物に対する観察力・

自然や生き物を大切にする

食べ物への興味・関心を持った

食べ物に対する知識・理解が深まった

食べ物を大切にする気持ちが育った

作物を育て収穫する喜びや

農業への興味・関心を持った

農業に対する知識・理解が深まった

農村への興味・関心を持った

農村に対する知識・理解が深まった

農産物直売所に興味・関心を持った

地域のなかの知りあいがふえた

あせを流して働くことの大切さを知った

まわりの人と協力する気持ちが育った

科学的知識を身につけた

充実感を味わった

気持ちが育った

定量調査から

■解析対象 芝沢小学校………………… 67人 Aグループ(11地区)………871人

●教育ファーム活動に参加してどのような効果があったと思うか

   「ややそう思う」「とてもそう思う」の回答割合 ■解析対象 芝沢小学校………………… 67人 全体……………………… 2416人

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23

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

●体験した内容

0 20 40 60 80 100%

土づくり

種まき

苗植え

水やり

肥料まき

草取り

観察

生き物探し

農業機械の見学

農業機械の操作

収穫

調理

食事

販売

芝沢小

全体の平均

 芝沢小学校は、教育ファーム学校タイプ全地区

の小学校の平均と比較して、教育ファーム活動の

中でも特に「生き物探し」を体験したと回答する

小学生の割合が高い点に特徴がある。

 定量分析の結果から、芝沢小学校においては「自

然や生き物への興味・関心を持った」「自然や生き

物を大切にする気持ちが育った」と回答する割合

が高いことがわかる。また、「地域でとれる農作物

をよく食べる」と回答する割合も高い傾向にある。

 このように、芝沢小学校では、教育ファーム活動

による環境教育や地産地消への効果がうかがえる。山田伊澄(農業・食品産業技術総合研究機構)

アンケート結果の考察

 種まきから収穫祭まで米づくりにまつわるすべての活動を、子どもの日々の学校生活の中に溶け込ませ万事丁寧に取り組むことで、深い学びを実現した事例である。 白眉は、5 月から足かけ 5 ヶ月にも及ぶ水管理当番で、残された子どもたちの声は、イネの成長への思いが常に学校生活の中心になっていたことをうかがわせる。田んぼ

での生き物観察も存分に経験させており、自然への興味、観察力、大切にする気持ちの高まりとして見事に結実している。 生産組合からの提案を契機としている点で、農業者の行動の起こし方についても、多くを学ぶことができる事例と言えよう。

奈須正裕(上智大学総合人間科学部)

芝沢小学校の取組みについて

■解析対象 芝沢小学校………………… 67人 全体……………………… 2416人

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24

丸森町金山公民館,丸森町小斎公民館,丸森町立丸森東中学校,丸森町立丸森東中学校PTA

丸東・改援隊中学校が核になって地域住民や保護者たちと「丸東・改援隊」を発足。イネ、シソ、大豆の栽培から収穫までを体験、さらに餅つきや味噌など加工品づくりまで体験する取組みを紹介する。

連携団体

テーマ

参加者

対象作物

活動の場所

活動の面積

取組みの開始年

教育ファームを実施した教育課程

給食

教育ファームで何を目指すか?

「生きる力」を育む体験的活動の教育実践

中学校教育において、農業体験を主とする勤労観や勤労意欲の向上を目指すとともに、農業振興と地域の活性化・持続可能な地域社会づくりへの貢献を目指す。そうして、農業体験とともに地産地消の拡充、地域の伝統的食文化を継承。生徒に農業の理解とその必要性を認識させ、食育の推進と充実を達成したい。

中学生49名, 教職員13名,PTA45世帯,その他地区住民多数

イネ(もち米も含む)、大豆、シソ、ダイコン、アズキ

学校近くの田・畑

田900㎡  畑1,000㎡

2009年

総合的な学習の時間で実施

センター方式

事例報告 3 宮城県丸森町

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25

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

テレビ取材をはじめとしてマスコミに取り上げてもらった

主な取組みと活動の工夫

田植え(うるち米,もち米)

シソ畑除草(4回)

ヤーコン、カボチャの苗植え

水田除草

畑整地、大豆のタネまき

梅の収穫、天日干し

梅干しづくり

東北大学で農業科学学習

稲刈り

5月8日

5月~6月

6月10日

6月~7月

6月19日

7月6日

7月17日

7月30日

10月1日

学年ごとにローテーションで実施した

2年生で実施,管理した

レジ袋にホタルイを集めさせたが量の多さに生徒は驚いていた

鳥の被害の防止方法や、畝づくりから行った

地域の梅畑に自転車で移動して実施した

改援隊の女性たちが大活躍

生徒・改援隊・教師で大学の講義を聴講し、施設設備の見学をした

多くの地域の人たちの協力のもと、昔ながらの方法で実施した

取組みの特徴

地区の2つの公民館から、シルバー人材センター、土地改良区、直売所、JA女

性部……など、地域の自治組織や生活・産業組織がネットワークを結び、丸森東

中学校の教育ファーム活動に、地域全体で組織立って取り組んでいる。

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農業体験に参加して一年生 女子

私の住んでいる丸森町には田や畑がたくさんあります。どこにいても常に目に入ってくるような状態なので、私はそれが当たり前だと思ってしまっていました。ですが、実際に体験してみて、すごく難しく、今まで続けてきた人々が初めてすごいと感じました。 まず一番にやったのが田植えでした。機械などは一切使わず手作業でした。なので正直初めは、汚れてしまう、とかめんどくさいと思っていました。でも皆と一生懸命に作業していると、少しずつ少しずつ楽しくなっていきました。虫が苦手な私ですが、田んぼの色々な生物を見ているうちに慣れてきてしまった自分にもびっくりしています。農業体験を通して、自然を大切にするのを覚えたのも、収穫の一つでした。 次に畑作にも挑戦しました。特に力を入れて活動してきたのは、しそと大豆の草とりでした。一年生だけではとりきれず先輩にも手伝ってもらい、夏の暑い中も収穫のため頑張りました。そのかいがあって立派なしそ、大豆そして大根を大量に作る事ができ、とてもうれしくなりました。 しかし今、若者の農業離れというのがニュースで取り上げられるほど大きな問題になっています。年々、農業に対する意識が薄れていっているのが原因だと思います。今の若い人達はきっと、農業のイメージがあ

定性調査から

26

作文(生徒の記述は原文のまま)

実施団体からの報告

本地域は、中山間地にある少子高齢化が

進むとともに、地域主産業である農業

の後継者不足、またそれによる農耕地の遊休

化など、連鎖的に多様な課題が生じている現

状にある。

 丸森東中学校では平成21年4月に丸東・

改援隊を設立した。この学校支援組織は、学

校教育における農業体験や地産地消の拡充、

地域の伝統的食文化の継承などについて、組

織的・継続的に学校教育を支援し、子供達に

農業の理解とその必要性・重要性を認識させ、

農業と食育等の推進を図ることを目的にして

いる。この組織は、丸森町東部地域の農家や

農業関係者が構成隊員となり、ほとんどの隊

員は現役を引退しているものの、本地域にお

いて農業や伝統的料理等の各分野を代表する

専門家である。

 丸森東中学校の生徒達は、この事業を通じ

て、米や野菜の生産、漬物等の食品の加工など、

生産から消費、加工、販売を体験し、地域の

主産業である農業に対する苦労、喜び、おも

しろさなどを理解する。さらに、地産地消に

ついて学び、地域の食に関する伝統・文化を

継承する取組により、自然の恩恵や食に関わ

る人々のさまざまな活動への理解と食への関

心・興味を高めることにしている。また、こ

れらの教育活動の成果等をまとめ、町や地域

等に発表することにより、生徒の思考・判断・

表現する力や心を育成・醸成する。このように、

本校の事業内容は、年間を通じて中学生と地

域住民が協働して農業と食育等の推進を図る

教育実践である。

 教育ファーム活動は、今年度からの取組で

あるため成果や効果等が明確になっているも

のは少ない。しかし、教育ファーム活動の実

践を手がかりとし、地域の課題解決方略と地

域活性化の方策を模索しながら、それらの打

開的方策を創出することが可能であると考え

ている。このようなことからも、同様な地域

の課題を抱える全国各地の事例モデルとして、

学校教育が農業と食育等の推進を主体的事業

内容とする実践を通じて、今後その成果・効

果等を提唱していく予定である。

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27

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

まり良く思っていないのでしょう。こういうイメージを改善していかないと、十年後、二十年後に農業がなくなってしまうのではないかと心配です。 人事ではなく一人一人『農業』をリードしていく気持ちを持つ事が必要だと思います。

農業体験に参加して二年生 女子

 私は今年の改援隊の活動で、稲作、シソ作り、大豆作り、大根作りを体験しました。 小学生の時からこういう活動をしていたので、大変だ、とか、疲れたな、というような感じはあまりありませんでした。しかし、改めて地産地消が大切だなということを感じました。 それまでの私の農業のイメージは、野菜や米を作り、都会へ売ったお金で生活し、あまった野菜などを食べるというものでした。 しかし、地産地消は原産地でできるだけ消費して、その次に売ってお金を手に入れるというシステムだったので、イメージとはまったく逆なのに驚きました。 今後は、農業に限らず、いろいろな行事を手伝ったり、企画したりしていきたいです。 何事も初めからめんどうくさがらず、とりあえずでもやってみるということをモットーにして生活します。なぜなら、この1年間の農業体験のおかげで、たくさんのことが学べたり、植物の生態にも興味が持てたからです。 初めはよく分からず、とりあえずやっているという感じだったのに、最後には、すごく良い体験ができたので、これを生かしていきたいです。 それから、私が最近考えるのは、「未来の農業はどうなっているのだろうか。」ということです。 私たちがこうやって農業を大切にしながら生活しているのは、丸森という町が自然に恵まれているからです。 近頃、農業ブームが都会で起きているようですが、大人が少し興味を持っただけでは、東京に住む中学生や高校生には、何も影響がありません。このままだと、農業に関心のある若者は地方で自然に囲まれて暮らしている人だけに限定されてしまいます。 すると、もっと農業人口は減り、いつかは農業自体がなくなってしまうかもしれません。 私たちにとって、十年後、二十年後に農業がどうなってしまうのか、それを考えることが一番必要なのではないでしょうか。

農業体験二年生 男子

 ぼくは、体験をする前まで、あまり、農業の人の苦ろうなどを考えていませんでした。しかし、実際に、米、大根、しそ、梅干し、などを作って、今までよりも、作物を作る大変さをしり、今までの自分に何をしていたんだと思いました。 ぼくは一番、米作りがいい思いでです。苗植えで、どろだらけになりながら、間隔などを考えて、きれいに植えて、稲刈りでは、米がしっかりふくらんでいて、うれしくなりながら切りました。そして、もちをつくときに、しっかりもちになり、良かったです。そして、改援隊の方に手伝ってもらいながら自分達で作ったもちを食べたとき、どんな苦労しても、こんなにおいしい物が食べれて、よかったと思いながら、食べました。 また、畑を貸してもらって作った、大根などは、草取りが大変でした。小さいときは、雑草と野菜の見分けもつきませんでした。しかし、時間が何日もたったら、どんどんいつも見ている物に近づいてきて、ここまでにするのに時間がかかったなあーと思いながら仕事をしていました。 この体験から、やっぱり、農家の人はすごいと思いました。農家の人がいるから、野菜などを食べられる、そう思うと、すごくかっこいいと思います。 また、これからも、農家の人は大切になるので、農家の人をもっと増やさないといけないと思います。 自分の家でおじいちゃんが野菜などを作っているので、これからは、手伝いをして、おいしい物を作りたいと思いました。 これからもこのような体験をして、たくさんの人に、農業のことを伝えていけるようにしたいと思いました。

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28

◀…「農作業」のテーマから、「畑」「自然」「農家の人」と書いている。

◀…「農作業」のテーマから、「土づくり」「田んぼ」「いそがしい」「畑」「地理」「協力」と、書いている。

◀…「いそがしい」「手間がかかる」「やりがいがある」「大切」と、体験から感じたことを意味づけている。

▲…「協力」から、「ふれあい」「人々」と書き、「絆」「汗」とも書いている。

8月

ウェビングマップ

12月

2年生Bさんの場合

言葉の数が増え、人との肯定的なかかわりが確認できる表現や、「協力」という言葉が出ている。

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29

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

◀…「農作業」のテーマから畑、苦労、水田と書いている。

◀…「農作業」から「生命を育てる」、「食料」「緑」と書いている。

▼…「食料」「美味」「近所におすそわけ」「笑顔」とつなげている。

8月

12月

自分にとっての農作業の意味にふれている。

3年生Cさんの場合

「生命を育てる」、「笑顔」など、農作業の意味や価値に言及する表現が出ている。

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30

●だれとでもいっしょに協力しながら作業ができる

   「ややあてはまる」「とてもあてはまる」の回答割合

●教育ファーム活動に参加してどのような効果があったと思うか

   「ややそう思う」「とてもそう思う」の回答割合

0 20 40 60 80 100%

丸森東中

前半

後半

48.6%

41.7%

43.8%Aグループ

48.6%%51.1%

62.2%

0 20 40 60 80 100%

丸森東中

全体の平均

自然や生き物への興味・関心を持った

自然や生き物に対する観察力・

自然や生き物を大切にする

食べ物への興味・関心を持った

食べ物に対する知識・理解が深まった

食べ物を大切にする気持ちが育った

作物を育て収穫する喜びや

農業への興味・関心を持った

農業に対する知識・理解が深まった

農村への興味・関心を持った

農村に対する知識・理解が深まった

農産物直売所に興味・関心を持った

地域のなかの知りあいがふえた

あせを流して働くことの大切さを知った

まわりの人と協力する気持ちが育った

科学的知識を身につけた

充実感を味わった

気持ちが育った

定量調査から

■解析対象 丸森東中学校の中学……… 49人 Aグループ(11地区)………387人

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31

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

●体験した内容

0 20 40 60 80 100%

丸森東中

全体の平均

自然や生き物への興味・関心を持った

自然や生き物に対する観察力・

自然や生き物を大切にする

食べ物への興味・関心を持った

食べ物に対する知識・理解が深まった

食べ物を大切にする気持ちが育った

作物を育て収穫する喜びや

農業への興味・関心を持った

農業に対する知識・理解が深まった

農村への興味・関心を持った

農村に対する知識・理解が深まった

農産物直売所に興味・関心を持った

地域のなかの知りあいがふえた

あせを流して働くことの大切さを知った

まわりの人と協力する気持ちが育った

科学的知識を身につけた

充実感を味わった

気持ちが育った

0 20 40 60 80 100%

土づくり

種まき

苗植え

水やり

肥料まき

草取り

観察

生き物探し

農業機械の見学

農業機械の操作

収穫

調理

食事

販売

丸森東中

全体の平均

 丸森東中学校は、教育ファーム学校タイプ全地区

の中学校の平均と比較して、教育ファーム活動の中

でも特に「草取り」「農業機械の見学」「収穫」を体験

したと回答する中学生の割合が高い点に特徴がある。

 定量分析の結果から、丸森東中学校においては「農業への興味・関心を持った」「農村に対する知識・理解が深まった」「まわりの人と協

力する気持ちが育った」と回答する中学生の割合がとりわけ高いことがわかる。また、「だれとでもいっしょに協力しながら作業ができる」と回答する割合も高い傾向にある。 このように、丸森東中学校の教育ファーム活動による、農業・農村に対する理解やライフスキル(生きるたくましさ)への効果がうかがえる。

山田伊澄(農業・食品産業技術総合研究機構)

アンケート結果の考察

 地域の主産業である農業を体験的に学ぶことを通して、地域社会が抱える問題を自分事として引き受け、多様な人々と協力して問題解決に当たることができる生徒の育成を図ることで、伝統的な学校教育の枠組みを超え、学校が地域活性化の拠点となり得る可能性を示した興味深い事例である。 作文、ウェビング、アンケートには、農

業と地域への理解、愛着の高まりと共に、そのイメージが一変した様子、さらに農業と地域の問題を自分事と感じ、進んで関わろうとの姿が数多く鮮明に現われている。 中学の実践として、対象作物の豊富なバリエーションも注目に値する。

奈須正裕(上智大学総合人間科学部)

丸森東中学校の取り組みについて

■解析対象 丸森東中学校の中学……… 49人 全体…………………………711人

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32

都賀町立学校給食センター JAしもつけ都賀地区営農センター 都賀町立都賀中学校 都賀町立赤津小学校

都賀町教育委員会事務局栄養教諭が、技術 ・家庭科の教師と連携し、カボチャ・ニンジンを栽培、調理指導。さらに、収穫したカボチャとニンジンを町の全小・中学校の給食につなげるなど、教育ファームを手段とした「地産地消」の取組みを紹介する。

連携団体

テーマ

参加者

対象作物

活動の場所

活動の面積

取組みの開始年

教育ファームを実施した教育課程

給食

教育ファームで何を目指すか?

畑から「育てる」「食べる」「学ぶ」 都賀町るるぶプラン

技術・家庭科における「生物育成」に農業体験を生かし、とれた農作物を給食センターに供給、地産地消の体験

都賀町立都賀中学校3年生 (131名 )

カボチャ、ニンジン

都賀町立都賀中学校近くの畑

3,324㎡

2008年

技術・家庭科における技術分野「生物育成に関する技術」、および総合的な学習の時間の選択授業で実施。

センター方式教育ファームの産物を都賀町全小・中学校の給食1300食に食材として提供(カボチャ→夏野菜カレー、ニンジン→けんちん汁)

事例報告 4 栃木県都賀町

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33

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

「マルチを敷くのはどうしてか ?」を学ぶ

主な取組みと活動の工夫

マルチ敷き、カボチャ定植

カボチャ収穫、ニンジンのタネまき

カボチャ収穫、ニンジン畑除草

カボチャ販売

ニンジン畑除草

給食に提供・調理実習

ニンジン収穫、給食提供

5月14、22、29日

7月 16日

8月5日

8月12日

9月10、11日

9月18日

12月上旬

2クラス合同でカボチャ収穫とニンジンのタネまきを行う

剣道部の協力を得て、収穫とニンジン畑の除草を行う

JAしもつけ直売所の協力を得て、中学生自ら販売体験

雑草がニンジンの成育を遅らせることを学ぶ

収穫したカボチャを入れた給食を全小・中学校へ提供、中学校で調理実習(カボチャプリン)

収穫したニンジンを給食センターへ提供

自分のゼミ

… 1… 和太鼓

… 2… 不思議発見! 社会

… 3… ものづくりと販売

… 4… 都賀町の神社

… 5… 宇宙に関する探求

… 6… 都賀町の伝統工芸

… 7… 国際理解・国際交流

… 8… 壁画ゼミ

… 9… 演劇

…10… 山本有三

…11… 英語絵本の翻訳

…12… 杖術

…13… 食品の成分と調理法

…14… 都賀町の新メニュー開発

…15… ワールドカップ

…16… 都賀を知ろう

…17… オペラ

…18… 理科研究(プラスティック)

「都賀町の新メニュー開発」ゼミ実施計画●身につけさせたい力

都賀町の新メニュー開発を通して、都賀町のことや食のことを探求し、新しいものを開発する力と、それを発表し広める力を育てる

●具体的活動

①…都賀町の食材について調べる

②…食材の特徴と調理科学について調べる

③…新メニューを開発

④…新メニューの試作と検討

⑤…新メニューのプレゼンの仕方を考える

食に関する指導と給食管理を一体のものとして行う栄

養教諭が、総合的な学習の時間を活用し、「教育ファー

ムで栽培した農産物を、もっと探求して食につなげて

いきたい」と発案。家庭科教諭等とのチームティーチ

ングで、【食「都賀町の新メニュー開発」コース】ゼミ

授業を実施した。

取組みの特徴

都賀中学校で行われている縦割り総合的な学習の時間の選択授業「自分のゼミ」。このなかの「都賀町の新メニュー開発」で教育ファームを活用

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34

どんな力が身につきましたか

農業についてどう思っていますか

グループでの協力、りょうりの仕方、新しい物を作るはっそう力

大変な面があるけれどその分喜びがあると思います。

積極的に行うこと

これから日本を救っていくものだと思います。

食材によって、調理方法を変えたり、考えたりする力。まとめたり発表したりする力。

最初から最後まできちんとやるのが大変そう。

料理です。

農作業は大変だけど農作物ができたらうれしそう。

つかれるけど楽しい

自分の生活に生かしていけそうなことは

りょうりをよく作ること。

料理が少しできるようになった。

調理したものを家でもつくる。

料理です。

今回の活動でいちばん心に残ったことは

カボチャとニンジンを育てて、料理をした感想を書いてください

新しい物を作る、大変さと楽しさが心に残った。

買ったものとはまた違うあたたかさがあったと思います。

作った料理がかんせいしたときのうれしさ。

とてもおいしく上手にできたと思います。家でも作ってみたいと思いました。

班の人たちと協力して作業ができたことです。

みんなと協力してできたのでとてもよかったし、とてもおいしく良い経験ができました。

料理を作っておいしいと言われた。

都賀町のものは何でもおいしくできると思った。

自分達で育てたものは何でも美味しく感じる事が実感できて良かったです

次にやってみたいテーマは

新しい農機を作るテーマ

積極的に料理を作ってみたい

他にも、新しいメニューを考えて作ってみたいです。

和太鼓をやってみたいです。

A 君

E 君

B君

F 君

Cさん

G さん

D君

H 君

I 君

縦割り総合的な学習の時間で使った「自己評価シート」から抜粋(生徒の記述は原文のまま)

すべての取組みを終えたあとのアンケートの記述から抜粋(生徒の記述は原文のまま)

定性調査から

自己評価シート・学校独自アンケート

実施団体からの報告

中学3年生の技術・家庭科の必修授業(「生

物育成」)として取リ組んだことで、ク

ラスごとの授業となり、マルチ敷きや、草取

りなどの作業において、他のクラスのマルチ

敷きが上手とか除草の進みが早いなど、自分

たちのクラスとの対比をする競争心が芽生え

た。

収穫したカボチャが給食に出たり、家庭

科の授業でプリンをつくったり、食べ

るところにつなげたことで、農作業について

は多数を占めた「大変だった」という感想が、

「自分たちでつくったものはとてもおいしかっ

た」「またつくって食べたい」という感想に転

換した。

JAしもつけ都賀地区営農経済センターの

協力で、子どもたちが育てた野菜を自分

たちで直売所で販売体験させてもらう取組み

ができた。

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35

「教育ファーム推進事業」

調査概要

1

学校タイプにみる

教育的効果

学校タイプにみる

教育的効果と

データ分析

一般公募タイプにみる

参加者ニーズの

把握と効果

指導する生産者の

実態と効果

教育ファームの

成果物に見る意識変容

資料

2

3

4

5

6

●自分の地域でとれる農作物を知っている

  「ややあてはまる」「とてもあてはまる」の回答割合  

●教育ファーム活動に参加してどのような効果があったと思うか

   「ややそう思う」「とてもそう思う」の回答割合

0 20 40 60 80 100%

都賀中

前半

後半

48.6%

27.4%

29.5%Aグループ

48.6%%50.5%

56.6%

0 20 40 60 80 100%

都賀中

全体の平均

自然や生き物への興味・関心を持った

自然や生き物に対する観察力・

自然や生き物を大切にする

食べ物への興味・関心を持った

食べ物に対する知識・理解が深まった

食べ物を大切にする気持ちが育った

作物を育て収穫する喜びや

農業への興味・関心を持った

農業に対する知識・理解が深まった

農村への興味・関心を持った

農村に対する知識・理解が深まった

農産物直売所に興味・関心を持った

地域のなかの知りあいがふえた

あせを流して働くことの大切さを知った

まわりの人と協力する気持ちが育った

科学的知識を身につけた

充実感を味わった

気持ちが育った

定量調査から

■解析対象 都賀中学校の中学生………127人 全体…………………………711人

■解析対象 都賀中学校の中学生………127人 Aグループ…………………387人

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36

●体験した内容

0 20 40 60 80 100%

土づくり

種まき

苗植え

水やり

肥料まき

草取り

観察

生き物探し

農業機械の見学

農業機械の操作

収穫

調理

食事

販売

都賀中

全体の平均

 都賀中学校は、教育ファーム学校タイプ全地区

の中学校の平均と比較して、教育ファーム活動の中

でも特に「種まき」や「草取り」を体験したと回答

する中学生の割合が高い点に特徴がある。

 定量分析の結果から、都賀中学校においては「ま

わりの人と協力する気持ちが育った」と回答する

中学生の割合がとりわけ高いことがわかる。また、

「地域の農作物を知っている」と回答する割合も高

い傾向にある。

 このように、都賀中学校の教育ファーム活動に

よる、ライフスキル ( 生きるたくましさ ) や地産

地消への効果がうかがえる。

山田伊澄(農業・食品産業技術総合研究機構)

アンケート結果の考察

 技術・家庭科の教員と連携して、必修である「生物育成」として教育ファームを実践するとともに共に、総合的な学習の時間を活用して新メニュー開発に取り組むなど、中学における栄養教諭を核とした食と農の教育の展開可能性を考える上で多くの示唆が得られる貴重な事例である。 主観的な農業体験の数値も概して高く、

加えて収穫したカボチャとニンジンを給食の食材として提供したり、自ら販売するなど、地産地消の意義を身をもって経験させることが、「地域の農作物を知っている」「まわりの人と協力する気持ちが育った」などの成果に結びついたものと推測される。

奈須正裕(上智大学総合人間科学部)

都賀中学校の取組みについて