ビジネス・経営triz研究分科会報告...business & management triz application...

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Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society ビジネス・経営TRIZ研究分科会報告 「新たなビジネスモデルの構築に向けたTRIZ思考や手法の適用」 背景 いままで、公開されているTRIZの適用事例は、ワールドワイドで考えても、ほとんどが技術課題 であった。今後、TRIZを更に拡大、普及させるためには、ビジネス、経営およびマネジメント分野 の課題に対しても活用できることを証明していくことが求められる。 目的 本研究会においては、ビジネス、経営およびマネジメント分野の課題に対して、適用方法、事例 研究など、TRIZを活用するための研究とガイダンス構築を目指し、TRIZの普及・発展に供するこ とを目的として活動している。 検討プロセス 1弾として、TRIZ適用領域のうち、新たなビジネスモデルの構築にTRIZ思考や手法を適用す ることを検討対象として設定した。 新たなビジネスモデルの構築ためのフェーズとして、以下のフェーズを検討対象としている。 1.対象事業の設定 2.事業の現状把握(事業者へのヒアリングと資料調査) 3.新たなビジネスモデルを構築するためのスキームの構築 4.スキームに基づくビジネスモデルの構築 5.新たなビジネスモデルの提示と評価(事業者へのヒアリング) 報告事項 今回は、「大型ビジョン事業」を検討事業として設定した。ここでの報告内容は、検討フェーズの 1.および2.を核として、現状の「大型ビジョン事業」の抱える問題とその根本原因となる矛盾状況 の分析結果を報告する。

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Page 1: ビジネス・経営TRIZ研究分科会報告...Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society ビジネス・経営TRIZ研究分科会報告 「新たなビジネスモデルの構築に向けたTRIZ思考や手法の適用」

Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society

ビジネス・経営TRIZ研究分科会報告 「新たなビジネスモデルの構築に向けたTRIZ思考や手法の適用」

背景 いままで、公開されているTRIZの適用事例は、ワールドワイドで考えても、ほとんどが技術課題であった。今後、TRIZを更に拡大、普及させるためには、ビジネス、経営およびマネジメント分野の課題に対しても活用できることを証明していくことが求められる。 目的 本研究会においては、ビジネス、経営およびマネジメント分野の課題に対して、適用方法、事例研究など、TRIZを活用するための研究とガイダンス構築を目指し、TRIZの普及・発展に供することを目的として活動している。 検討プロセス 第1弾として、TRIZ適用領域のうち、新たなビジネスモデルの構築にTRIZ思考や手法を適用することを検討対象として設定した。 新たなビジネスモデルの構築ためのフェーズとして、以下のフェーズを検討対象としている。 1.対象事業の設定 2.事業の現状把握(事業者へのヒアリングと資料調査) 3.新たなビジネスモデルを構築するためのスキームの構築 4.スキームに基づくビジネスモデルの構築 5.新たなビジネスモデルの提示と評価(事業者へのヒアリング) 報告事項 今回は、「大型ビジョン事業」を検討事業として設定した。ここでの報告内容は、検討フェーズの1.および2.を核として、現状の「大型ビジョン事業」の抱える問題とその根本原因となる矛盾状況の分析結果を報告する。

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Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society

大型ビジョンとは

大規模なターミナル駅周辺において、不特定多数の視聴者を対象として、多くの情報を提供している。

大型ビジョンの機能 地域のランドマーク機能

公共情報の発信機能

地域情報の発信機能

行政情報の発信機能

エンタテイメント情報の発信機能

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交通広告

2,384億円

屋外広告

2,667億円

OOH Media (Out of Home)

屋外広告産業の概略

電通調べ

引用:宣伝会議(2005.6.1p28)

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Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society

大型ビジョン機器メーカー

大型ビジョン運営事業者

見せたい時に見せたい場所へ、ネットワークを使って映像・画像・情報の配信&表示の実現(設備器材等システム運用ノウハウの提供)

映像・画像・情報の配信&表示システムの発注

総務省

コンテンツ制作者

(広告代理店等)

広告主

リース会社

視聴者

Public Affairsの提唱 (自治体と市民、NPO、企業、報道機関などが共通の地域問題を協働で解決するためのコミュニケーション手段) 「大型ビジョン」から「Public Viewing TM」への名称変更を提唱 ※パブリックビューイングとは、スポーツ競技において、スタジアムや街頭などにある大型の映像装置を利用して観戦を行うイベントのこと

日本大型ビジョン事業者協議会 (JMBA)

事業者間の連携と共同研究

有線放送法の認可??

屋外広告物、道路使用許可等の申請

行政所管部署

申請許可

(景観条例、建築基準法、道路交通法等)

特定の場所で、映像・画像・情報のコンテンツの配信と表示

コンテンツに対する視聴者の参画

放映枠の販売

放映枠代の支払

放映コンテンツ制作依頼・制作費支払い

放映コンテンツの提示と調整・制作費の請求

放映コンテンツの提示と調整

放映コンテンツの放映枠の調整

設置場所の

所有者

設置場所の貸借

貸借料の支払

設備・機材のリース

リース料の支払

大型ビジョン運営事業者

を巡るリッチピクチャー

新作映画情報

スタジオ中継

イベント紹介

ショップ案内

バーゲン情報

クイズ

新作CM

新曲プロモ

CG映像

推理ドラマ

ニュース

株式情報

プロ野球

オリンピック

ファッション

大自然の景色

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日本大型ビジョン事業者協議会 (JMBA)

大型ビジョン機器メーカー (松下電器・赤見電機・ヒビノ)

・高輝度・高画質(最大5000cd/m2以上)

・広視野角度(水平±60°以上、垂直+15°,-35°以上)

・低消費電力&長寿命( LEDを使用、約50,000時間の長寿命を実現)

・フレキシビリティ(最適な画面構成や表示面形状)

ビルボード、インフォメーションボード、公営競技場、車載型

大型ビジョン運営事業者

Public Affairsを目指して、Public Viewing

(大型ビジョン)の運営および営業展開における課題を討議し、

より良いスタイルを確立すべく尽力したい。

・アメリカ大リーグの実況放映、レコード会社の新曲発表イベント配信、宇宙開発のロケット打ち上げ実況、さらにNHKの災害時緊急放映の配信等、その場にいる誰にでも、動画や音声で情報を提供したい。 ・街のイベントと組み合わせるなど、街との連動を実施することにより、来街者を巻き込んだ双方向での展開を図りたい。 ・放映時間にとらわれない番組編成を行い、広告主の様々な活用を可能にしていきたい。 ・テレビでは伝えきれない情報の伝達等に柔軟に対応したい。 ・商品や広告イメージにより、ターゲットに合わせた効果的な放映プランを実現したい。 ・通信衛星やインターネット等を用いて全国規模のマルチメディア展開を実現したい。 ・全国の主要スポットに設置され、街のランドマークとして常に新しい情報を発信し続けていきたい。

見せたい時に見せたい場所へ、ネットワークを使って映像・画像・情報の配信&表示を実現する。

映像・画像・情報の配信&表示システムを発注する。

・新時代にむけての大型ビジョンの情報・広告媒体としての発展とそれに伴う研究開発 ・参加各社員の情報交換と調査研究 ・本システムの健全な社会的認知の向上と放映に関する公益的、文化的な秩序・規約またはルールの創設および研究 ・著作的、映像検討に関する各種法令、判例などの情報収集、取扱いの調査研究および提言 ・効率的なネットワークの研究と、実現のための統一技術の研究および整備 ・広告営業活動の効率化を目指すための調査研究 ・他のメディアとのネットワークをするための調査研究 ・上記活動を通じての人材の育成 ・その他本協議会の目的を達成するために必要な一斉の調査研究

協会参加事業者

の思惑

大型ビジョン運営事業者

を巡るリッチピクチャー

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Business & Management TRIZ Application Sub-Team, Japan TRIZ Society

日本大型ビジョン事業者協議会 (JMBA)

大型ビジョン機器メーカー (松下電器・赤見電機・ヒビノ)

・大型ビジョンにこだわりすぎかもしれない。もっと小サイズのビジョンに分けるとか、別場所の小サイズビジョンと組み合わせるとか、各人の携帯やPCのディスプレイと組み合わせるとか、ネオンサインと組み合わせるとか、新聞やちらしなどと組み合わせるとか、イベントと組み合わせるとか、もっと柔軟な使い方ができないか。

・四角で平面的なビジョンからもっと進化させられないか?

・ビジョンの空間面をどう使い分けるか?時間割をどう調整するか?

・音と映像の分離。音がうるさいなら、音だけ電波で飛ばすとか。

・インターネットとつながって何かいいことないか?

大型ビジョン運営事業者

・運営事業者にとって大型ビジョンとは何か。 そもそも、自分たちは何をやりたいのか?広告?公益情報発信?報道?街や地域の景色を変えたい?街を面白くしたい?情報インフラを充実させたい? ・自分たちが情熱をかけられる分野は何か? ・立地条件 「10万人以上の商業活動の街」は非常に限られたエリアとなり市場が小規模 収益が見込める繁華街には既に多くの大型ディスプレイが設置されている。 収益が見込める新たな設置場所の選定が難しい。 設置場所が固定され、長期間(10年以上)縛られる。簡単にはずせない。人の流れが代わったときに対応ができない。(移動できない) ・滞留性 交差点等人の流れと停止という特定の条件を要求される。 設置場所が駅前や繁華街といった人通りの多い場所に限られている。 ・視認性 技術の高度化により視認性は高まりつつも、情報としての優位性にかける。 視聴される可能性の高い場所に設置した大型ビジョンは、高い壁面使用料を支払っている(建築基準法により高所への設置ができない) ・ターゲット 設置場所を行きかう人々万人をターゲットとしておりセグメントに欠ける。 音響広告を併用することから、騒音公害のクレームが発生している。(他の施設との共鳴) ・連動性 地域商業施設、行政、広告主体の発信に重点を置き、市民との双方向のコミュニケーションに欠ける ・公共情報の発信 一般的な公共情報(ニュース・天気等)は、携帯等を通じて十分入手できる状況にあり、情報としての優位性に欠ける ・地域情報の発信 発信元である地域参加企業の街ならではの差異化した有用情報を市民に伝達し、市民との双方向のコミュニケーションを行うツールとしての認識に欠ける ・行政情報の発信 現行行政情報は、災害時の対応のみに限定されている。 公共情報(災害情報、行政情報、地域情報など)の発信が十分でない。 ・放映コンテンツの発信 広告主の意向で、一方的画一的な配信になっている。 コンテンツの作成を、電通、博報堂といった大手広告代理店に100%依存している。 単独利用による広告効果を評価できない。 他の広告媒体との組み合わせによる広告効果が評価できない。 広告主に対して広告効果をアピールできない。 地域に適合した広告が行われていない。 動画広告の場合、テレビ広告との違いがわかりづらい。 視聴者側に選択権がないため、視聴者の興味が半減する。 時間帯に関係なく、同じ内容の広告が繰り返されている。 ・メディア媒体 広告、広報、販促媒体として発信元からの一方通行になっている 自分たちが一番になれる(顧客が大きな魅力を感じる)分野はどこか?TV,WEB,新聞、雑誌、ちらしなど他の情報メディアと比べて、「大型ビジョンが一番」「大型ビジョンだからこそ」という分野は何か? その分野での経済的利益の源泉は何か?

見せたい時に見せたい場所へ、ネットワークを使って映像・画像・情報の配信&表示を実現する。

映像・画像・情報の配信&表示システムを発注する。

大型ビジョン事業の抱える問題状況

大型ビジョン運営事業者

を巡るリッチピクチャー

Public Affairsを目指した、Public Viewing(大型ビジョン)の今後の方向に苦慮している。大型ビジョン運営事業者間の連携が薄い。

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大型ビジョン運営事業者

コンテンツ制作者

(広告代理店等)

広告主

リース会社

視聴者

屋外広告物、道路使用許可等の申請

行政所管部署

申請許可

(景観条例、建築基準法、道路交通法等)

特定の場所で、映像・画像・情報のコンテンツの配信と表示

コンテンツに対する視聴者の参画

放映枠の販売

放映枠代の支払

放映コンテンツ制作依頼・制作費支払い

放映コンテンツの提示と調整・制作費の請求

放映コンテンツの提示と調整

放映コンテンツの放映枠の調整

設置場所の

所有者

設置場所の貸借

貸借料の支払

設備・機材のリース

リース料の支払

大型ビジョン運営事業者

を巡るリッチピクチャー

大型ビジョン事業の抱える問題状況

・広告効果が明確でない。効果を測れないか? ・広告効果を向上できないか? ・他の媒体とは違う独特の広告効果、または他の媒体と連携し相乗した広告効果を出せないか? ・WEBサイトのようにもっと自由に内容を制御できないか?

・単に巨大な屋外のディスプレイという感じ。あまり真剣には注目してない。 ・自分たちにとり格別のメリットや面白みがあるとは思えない。もっと面白くして。 ・私達の意見や考えや好みが反映されたら、もっと注目するかも。 ・携帯やモバイルPCなどと連動したら、いいかも。ゲーム性が欲しい。 ・それを見たら、その街で大いに役立つとか、その街をより楽しめるとか、得するとか、そういうものがほしい。 ・映画やテレビや新聞の代わりにならないか?そして、落ち着いてゆっくり見れるともっとよい。 ・広告以外や公共情報以外に、もっと有益で面白い発信情報がいろいろあるんじゃないの?教育とか、伝言とか、買い物とか、ギャンブルとか。

・ビル側の利益は、賃貸料以外にないのか?ビルのオーナ又はテナントにもっと直接的メリットを出せないか?

・大型ビジョンが窓を塞いでしまう。窓がある壁に設置して支障ない、メリットがある、ということはできないか?

・大型ビジョンがビルの壁を傷める、メンテナンスを困難にするのでは?

・当該ビル以外のビルや他の組織にメリットが出れば、そこからも料金がとれるかも。

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大型ビジョン事業者を巡る「現状分析ツリー」

A我々は、個人と社会にとって有用な情報を公開することを望んでいる。

C我々は、公共性の有る情報を公開することを望んでいる。

B我々は、個人のニーズに合わせた情報を公開することを望んでいる。

D我々は、大型ビジョンで各視聴者ごとに有用な特定の情報を放映する。

D′我々は、大型ビジョンですべての視聴者に有用な同一の情報を放映する。

10我々は、視聴者に興味を持ってもらえる情報を公開したいと望んでいる。

30我々は、公共の場に相応しい広告媒体の役目を果たしたいと望んでいる。

20我々は、4大メディアがあるが、必ずしも欲しい情報が手に入るわけではないと感じている。

60(妥協)我々は、個別の視聴者に伝えるべき情報も、すべての視聴者に伝えるべき情報も、同じように一定時間ごとに繰り返し放映している。

40我々は、野外で大人数に同じ情報を伝えるのに、大型ビジョンが相応しいと感じている。

50我々は、すべての視聴者に必要で十分な情報提供ができる手段を持っていない。

UDE3都市景観を向上するような広告が行えていない。

UDE1収益が見込める新たな設置場所の選定が難しい。

175視聴者側に内容の選択権がないため、視聴者の興味を半減させている。

UDE7「日本大型ビジョン事業者協議会」の会員のネットワークがない。

UDE8客観的な広告効果の指標が確立できていない。

UDE9広告主に対して広告効果をアピールできていない。

UDE10公共情報(災害情報、行政情報、地域情報など)の発信が十分でない。

UDE4騒音公害にならずに、多くの視聴者に情報を伝えることができていない。

UDE5コンテンツの作成を大手広告代理店に100%依存している。

UDE6視聴者が好む新たな情報の配信要求に応えられていない。

170特定の大型ビジョンは、同じ時間帯に1種類の内容だけを放映している。

70配信事業者同士の連携を考えずに放映している。

180新しいコンテンツを開発しなければならない状況に追い込まれている。

130配信事業者が独自でコンテンツの制作できるノウハウがない。

UDE2視聴される可能性の高い場所に設置した大型ビジョンは、高い壁面使用料を支払っている。

90広告主に請求するコンテンツ作成代が割高になっている。

140広告代理店が制作したコンテンツを編集・編成して配信しているだけである。

125都内の収益の見込める設置地域には、新たに設置できるスペースがない。

80配信事業者側から広告主に新たな形態のサービスの提案ができていない。

大型ビジョンを利用した放映サービスの配信事業者の立場

110広告主から新たな注文が取れていない。

100広告主に請求する配信料が割高になっている。

155設置場所の近くが交通渋滞にならずに、情報を伝えることができていない。

220パブリックビューイングを担う事業者として、社会的な役割が果たせていない。

120広告主が満足できる配信事業ができていない。

200大型ビジョンの特徴を活かした情報発信が十分に行えていない。

150他のシステムとの連携を考えた配信システムを採用していない。

190他のシステムを活用することについてのノウハウがない。

210視聴者に興味を持って見てもらえる内容の放映ができていない。

160大型ビジョンの欠点を補う情報発信が十分に行えていない。

ネガテ

ィブルー

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問題解決の方向は理想性の向上

有益の総和

有害の総和

理想性

パターン1

パターン2

パターン3

対象となるシステムの既存有益機能を前提とした理想性の向上

新たなビジネスモデル構築の基本スキーム

基本有益機能の再定義による代替システムへの移行 パターン4

機能重視型の問題解決アプローチ

意味変革型の問題解決アプローチ

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パターン①:有益機能の達成水準を高めるパターン

パターン②:消費した資源をさらに縮小するとともに、有害作用を排除または

回避していくパターン

パターン③:パターン①を追求することによってパターン②の追求を阻害する、

または、パターン②を追求することによってパターン①を阻害する

といった矛盾を解決するパターン

これらの3つのパターンは既存の有益機能を前提とした「機能重視型」の問題解決アプローチといえる。

機能重視型の問題解決アプローチ

ステップ1 環境とのやりとり

ステップ3 有害作用の排除 矛盾の解決

ステップ2 有益機能の達成水準 の妥当性の吟味

有益機能の強化、有害作用 の排除に関する推奨事項を 適用する。 40の発明原理、分離の原則 を適用する。

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パターン④:有益機能の意味を再定義し、新たな有益機能(目的)と

その達成水準を設定して、機能達成の手段を構築するパターン

ステップ1 環境とのやりとり

ステップ3 有害作用の排除 矛盾の解決

ステップ2-a 有益機能の達成水準の妥当性の吟味 ステップ2-b

有益機能と達成水準の再定義

意味変革型の問題解決アプローチ

このパターンは、いままでの機能ややり方をすっかり変えて「代替システム」に移行しようとするものである。「意味変革型」の問題解決アプローチといえる。

時間軸を踏まえ、スーパーシステム (利害関係者)の視座から目的を 再定義する。 進化のトレンドを適用する。