ハイブリッドカー市場と各社の戦略2005 年6 月8日...

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2005 6 月8日 北陸先端科学技術大学院大学 ハイブリッドカー市場と各社の戦略 伊豫田旭彦 鎌田尚也 小森俊希 CHENG, Hua 長瀬可奈 益田義浩 森本和寿 車市場は「厳しくなる環境基準」と「原油価格の上昇」という 二つの環境変化に晒されている。その中で未来のエコカーへのつ なぎであったハイブリッドカーが注目を集めている。優れた燃 費、高い環境性能、パワフルな走りを兼ね備えたハイブリッドカ ーは、今後の自動車開発戦略で無視できないものとなるだろう。 本レポートはハイブリッドの歴史から、その市場や市場環境、そ して各社のハイブリッドカー戦略を分析したものである。

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Page 1: ハイブリッドカー市場と各社の戦略2005 年6 月8日 北陸先端科学技術大学院大学 ハイブリッドカー市場と各社の戦略 伊豫田旭彦 鎌田尚也

2005 年 6 月8日 北陸先端科学技術大学院大学

ハイブリッドカー市場と各社の戦略

伊豫田旭彦

鎌田尚也

小森俊希

CHENG, Hua

長瀬可奈

益田義浩

森本和寿

車市場は「厳しくなる環境基準」と「原油価格の上昇」という

二つの環境変化に晒されている。その中で未来のエコカーへのつ

なぎであったハイブリッドカーが注目を集めている。優れた燃

費、高い環境性能、パワフルな走りを兼ね備えたハイブリッドカ

ーは、今後の自動車開発戦略で無視できないものとなるだろう。

本レポートはハイブリッドの歴史から、その市場や市場環境、そ

して各社のハイブリッドカー戦略を分析したものである。

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目次 1 はじめに 2 ハイブリッドカーとは (CHENG, Hua) 3 エコカーの歴史 (長瀬可奈) 4 「プリウス」開発事例 (小森俊希) 5 現在のハイブリッド車市場 (益田義浩) 6 バス・トラック市場 (鎌田尚也) 7 市場を取り巻く環境 (森本和寿) 8 各社の戦略とこれから (伊豫田旭彦) 9 まとめ 謝辞 参考文献 添付資料

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1 はじめに 2000 年代に入り、自動車を取り巻く環境が大きく変わりつつある。石油の枯渇や環境問

題が取りざたされ、未来の車の話題が新聞をにぎわせる。水素自動車、燃料電池自動車、

ハイブリッドカーなどの多くの車のうち、どれが普及するのだろうか。 我々はハイブリッドカーに関心を抱いた。納車数ヶ月待ちといわれる「プリウス」の成

功はめざましく、2004-5 年に「ハリアーハイブリッド」、「アルファードハイブリッド」「エ

スティマハイブリッド」などが発表され、一気に普及の波を予感させる。 ハイブリッドカー市場が現在どうなっているのか、今後どうなるのか。エコカーの歴史

や、プリウス開発事例、バス・トラック業界を含む多方向の視点から分析していきたい。

2 ハイブリッドカーとは

本稿で取り扱うハイブリッド車について説明をする。

ハイブリッドカーは,複数の動力源(主にモーターとエンジン)を組み合わせて,状

況に応じて動力源を同時にまたは個々に作動させて走行する自動車である。渋滞などの

低速走行時には電気によるモーターで、高速時にはガソリンエンジンで走る。(根拠を

後に述べる)従来の車両に比べて、燃費・環境特性・パワー・安全性に優れるという特

徴がある。

2-1 ハイブリッド車の種類と仕組

使用する動力源や組み合わせにより,各種のハイブリッド車がある。一般的に組み合

わせている動力源は内燃機関(ガソリンエンジン、デイーゼルエンジン)と電動機であ

る。動力源の組み合わせる方式で代表的なものは,次の 3 タイプがある。

1)シリーズ方式

・シリーズ方式のハイブリッド車は電気自動車の課題である一充電走行距離を延長させ

るために考案された方式である。発電しながら走行する電気自動車という表現が一番近

い。内燃機関で発電機を回して発電された電力によりバッテリを充電し,走行エネルギ

ーとして活用して走る電気自動車である。車輪を回すのはモーターだけで,内燃機関は

車輪を回さないことが特徴である。2 つの動力源(内燃機関,モーター)が直列に配置

されていることからシリーズ方式と呼ばれている。(図 2-1)

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図 2-1 シリーズハイブリッド電気自動車の例

2)パラレル方式

パラレル方式のハイブリッド車は主としてエンジンの燃費向上や,排出ガスの発生を

低減するために考案された方式である。エンジンによる走行を主体とし,エンジンの効

率が悪い発進や加速時に電動機が作動し,駆動力を補助する。二つの動力源が平行して

駆動に関与することからパラレル方式と呼ばれている。(図 2-2)

制動時や降坂時には回生制動により発電を行ってエネルギーをバッテリーに蓄える。

このためエネルギー効率が非常に良く、エンジンと電気の良いところ取りした車と言わ

れている。

図 2-2 パラレルハイブリッド電気自動車の例

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3)シリーズ・パラレル方式

シリーズ方式とパラレル方式を組み合わせてさらに効率を高めた方式である。

エンジンの苦手な低速時はモーターのみで走行し,ある速度以上になるとエンジンが

回転し始め,駆動負荷が軽くなると発電をしながらも走行する方式である。エンジンが

回転し加速走行する範囲はパラレル方式で,定常走行などの負荷が軽い時は発電しなが

らモーターで走行することもありシリーズ方式となる。(図 2-3)

図 2-3 シリーズ・パラレルハイブリッド電気自動車の例

2-2 ハイブリッド車の特徴

(1) 低排出ガス

ハイブリッド車カーはエンジンの負荷軽減により大気汚染物質の低減に成功している

[2-1]。表 2-1 に同クラスガソリン車とプリウスを比較した場合の大気汚染物質の量を

示す。ガソリン車とくらべ、かなりクリーンであるといえよう。

表 2-1

同クラスガソリン車とプリウスの大気汚染物質の比較(同クラスの排出量を100%とし、走行時の排気量)

0

20

40

60

80

100

120

CO2 Nox NMHC CO2 Nox NMHC

同クラスガソリン車              プリウス大気汚染物質

%

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(2) 燃費に優れるが高価である

表 2-2 に国土交通省「燃費の良いガソリン乗用車ランキング」を元にした燃費と価

格帯の表をしめす。

国土交通省が定める車両重量 1250kg のプリウス平成 22 年度の燃費基準は 10.15

モードで 16km/L である。実際のプリウス(S グレード)の 10.15 モード燃費は

35.5km/L であり、基準を 122%も上回っている。日本 高の燃費を誇るインサイトは

36km/L であり軽自動車をも凌ぐ性能である。

しかし表から判るとおり、ハイブリッド車は全般的に 50~100 万円ほど高い。

表 2-2 価格と燃費[2-2]

(3) ハイブリッド車はパワー(加速力)に優れる

モーターとエンジンが連係して、エンジンパワーにモーターパワーが加わることで、

強い加速力を出せる。動力性能が強いと言える。

アルファードハイブリッド(2400cc)の場合、後輪のモーター駆動を用いることにより、

動力性能と走坡性能は 3000cc の 4WD モデル並みとなる。[2-3]

この性能はモーターの特性による。モーターのトルクは電圧に比例するため、変電シ

ステムを通すことで生業ができる。プリウスでは制御電圧を 大 500V にアップさせ、

モーター出力を従来型の 33kw から 50kw へと約 1.5 倍に向上させた。[2-1]

(4)コンピューター制御で安全性に優れる

0

150

300

10 25 40燃費[km/l]

価格

[万

円]

ハイブリッド車ガソリン車軽自動車

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プリウスは事故を起こしにくいように次のような機構を備えている。

ECB(電子制御ブレーキ)、EBD(電子式の分配装置)付き ABS(アンチスキッドブレー

キ)、ブレーキアシストなどである。これらはエンジンとモーターをコンピューターで

高度に制御することで行われている。

また、車内には EMV と呼ばれる大型の液晶画面が真中にある。ここには走行にまつわ

る情報(燃費、カーナビゲーションなど)がリアルタイムに表示され、走行中の助けと

なる。

これらは 2004 年度前期の車種別衝突安全性能試験結果でも評価されている。[図3]

図 2-4 車種別衝突安全性能試験結果プリウス S[2-4]

3 エコカーの歴史 1990年から2000年までの日本経済新聞を調べた結果からハイブリッドカー市場

の分析を行う。年表を添付資料にまとめた。

3-1 新聞記事に見るエコカーの歴史

1990年~1991年にかけてハイブリッドカーの名はあがっておらず、初めてハイ

ブリッドカーの名が新聞に挙がったのは1992年、三菱自動車工業がハイブリッド低公

害バスを独自開発したという記事から始まる。1992年以前はハイブリッドカーではな

く低公害車が話題の主流であり、この頃もまだ低公害車開発の記事が多く見られる。また

この頃の開発記事は自動車会社による開発記事は少なく、大学や研究所などによるもので

あった。当時、自動車メーカーで開発の話題が上がっているのは三菱、ダイハツらであり、

1994年にはダイハツ自動車の部長によるハイブリッドカーに関するインタビュー記事

が掲載されていたことから、その頃ハイブリッドカー市場の第一人者はダイハツであった

と考えられる。

1996年以降、トヨタのハイブリッドカー量産に乗り出すと発表したところからハイ

ブリッドカーに関する記事が増えてくる。トヨタによるハイブリッドカー開発に関する記

事が出てきたのはトヨタがプリウスを発売する約1年前の1996年11月のことである。

その記事はハイブリッドカーを開発したというものではなく、ハイブリッドカーの量産に

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乗り出すといったものであった。また、1997年にはホンダ、日産が相次いでハイブリ

ッドカーを開発したとの記事が掲載されているが、これらにはまだ量産のめどがたったと

いう話は載っておらず、その後1999年日産が「ティーノハイブリッド」を2000年

に台数限定で発売予定であることを、また同年7月にはホンダがハイブリッドカー「イン

サイト」を今秋に発売することを発表するまでトヨタ以外の自動車会社によるハイブリッ

ドカー開発関連の記事はない。トヨタのハイブリッドカー「プリウス」が発売されたのは

1997年12月であることから、1998年の1年ほど、ハイブリッドカーの記事はプ

リウス関連ということになっていたと言える。

3-2 記事に見るプリウスのイメージ戦略

他社も開発していたにも関わらずなぜハイブリッドカー=プリウスとなったのか。この

理由は2つ考えられる。1つはプリウスの発売が1番手であったこと、2つ目はプリウス

の発売価格が安価であったことである。発売が1番手であることは当然人の注目を浴びや

すく、有名になりやすいと考えられる。しかし、発売が早いだけではすぐに後続の同等製

品にまぎれ影に隠れてしまう。そこで2つ目に挙げた安価であるということが重要になっ

てくるのではないか。

初代プリウスの販売価格は215万(標準仕様)~227万(カーナビ付)であり、この価

格はプリウスを1台売るごとに50万の赤字が出るといわれている。この価格設定にした

理由はハイブリッドカーの普及を目的に販売実績をまず積み上げるのが狙いであり、結果、

そのような採算度外視した販売戦略に出られない会社は撤退していき、ホンダも1999

年11月まで発売できない状況になっていったのだと考えられる。

先にも書いたとおり1998年から1年ほどは他社のハイブリッドカーの話はなく、プ

リウスの話題だけであった。その期間は世間でハイブリッドカー=プリウスと定着させる

には十分な時間であったと思われ、またエコカーとしての存在も確立していき、エコ=ト

ヨタというイメージも出来上がった。プリウスはガソリン使用のハイブリッドカーとして

世界初の量産型であったため、一般人に加え、県・市等の公用車、国会議員、各会社等、

環境対策に気をつけていますというエコのアピールをし、イメージアップをねらうといっ

た理由から購入する層も多いと記事にある。これはインサイトのようなスポーツタイプで

はなく、高級感のあるセダンタイプならでは普及方法ではないだろうか。

ハイブリッドカーは通常のガソリン車にくらべ、車体金額が50~100万円程度高価

になるが、プリウス販売後、国に加えて地方自治体の補助金制度が拡大し、またプリウス

購入者には低利息の自動車ローンを行う金融会社も増えはじめた。これらの補助金やロー

ンはプリウスに限っているわけではなく他のハイブリッドカーにも適用されるのだが、設

定当初ハイブリッドカーを販売していたのはプリウスだけであり、普通車より高価である

車体価格もこれらの対策により手の届きやすいものになっていた。そのことによりプリウ

スの購入を検討する個人、企業も増えていたと考えられる。

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トヨタのプリウスは量産決定から発売、売れ行き動向、自治体や企業がプリウスを導入

したという記事からプリウスのバージョンアップに至るまで多くのことが記事になってい

る。しかしホンダのインサイトや日産のティーノも各社が出したハイブリッドカーである

が、新聞に掲載されたのはいつ販売予定かというものと、発売されたという記事くらいの

ものである。この差は、インサイトはスポーツカータイプであり、一般層や企業に受け入

れられるものではなく、ティーノの場合は台数限定で販売したことから企業等の導入が検

討されにくかったためだと思う。そして何より、自動車のエンジンがハイブリッドになり

製品化したというのは2年も昔のことであり、目新しさがないということが理由として考

えられる。プリウス発売から他社のハイブリッドカー発売までの時間が短ければ現状より

も多く比較対照として取り上げられている可能性は高いが、採算度外視してまでそれをさ

せなかったトヨタの経営戦略は見事である。

4 プリウス開発事例 本章では,世界に先立って発売したトヨタのハイブリッド車「プリウス」の先進性に着

目し,プリウスの開発事例を取り上げる. プリウス開発は大きく 2 つの時期に分けられる.その転機は,「プリウス」に「ハイブリ

ッド」を搭載するという 1995 年 6 月の技術部門の役員会議におくことができる.それ以前

は「プリウス」という名もなければ,市販車の発表時期も決まっていなかった.この時期

は,社内の専門技術者を集めたプロジェクトを中心にトヨタが目指す「21 世紀のセダン像」

を追求する企画のプロセスであった.これを「第 1 期プリウス開発」と呼ぶことにする. 1995 年 6 月以降になって,ハイブリッド車「プリウス」の商品化が進められた.この時

期は,製品企画を中心にトヨタの技術部門,生産技術部門,販売部門などあらゆる部署が

一体となって「プリウス」の実現を目指す商品化のプロセスであった.これを「第 2 期プ

リウス開発」と呼ぶことにする.[4-1]

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写真 4-1 プリウス[2-1]

4.1 第 1 期プリウス開発[4-2] 93 年,トヨタの社内にはワーキンググループ形式と呼ばれる一種の自主研究の方法と組

織があり,そのひとつとして「G21 プロジェクト」という研究会が発足した.「G21 プロジ

ェクト」は「重要なのは,それまで(の歴史)には,一切とらわれない」ことをコンセプ

トとしていた.「G21 プロジェクト」は,一種の特命業務であり,専任ではなかった.しか

し,ある程度の成果をあげると,今度は専任チームとして新たに編成された. 石田俊治(チーフエンジニア CE)は社内にある技術やその状況を探り,21 世紀とはど

んな世界になるのかを検討した.「G21 プロジェクト」は,ラインに落ちていない車の開発

であったため,開発の仕方そのものにも挑戦しなければならなかった.その例として,こ

れまでは,各ゾーンごとに企画を行ったが,次世代の小型車を企画しようとする「G21」の

場合,このような車であろうというコンセプトそのものを新たに考えなければならなかっ

た.そのため,企画を各ゾーン(エンジン,ボディ,シャシー,駆動系,生産技術(生技))

ごとに行うのではなく,基本的にチーム内ですべてを行い,開発メンバーがひとつの部屋

にこもって車作りをした.さらに,内山田(チーフ)の時間のスパン(スピード)が短く,

メーリングリストを使った速い情報共有をした.その他,これまで車の規格は,あまり乗

る人の快適性を重視していなかったが,このチームではまず乗る人の快適性を重視し,そ

の後でほかの部分をデザインしていった. 車体形状が問題となったとき,内山田は,カローラに代表されるセダンのような形状の

「3 ボックス」にこだわった.この形状にすれば,ボディ剛性を確保しやすく,ワゴンのよ

うな形状の「2 ボックス」に比べて軽量化することができる.このような経過を経て,「G21プロジェクト」は,車両企画書を作り上げ,解散した.

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4.2 第 2 期プリウス開発[4-3] EV(電気自動車)開発部ではモーターとエンジンという二つのパワーソースを何らかの

方法で組み合わせて車を動かそうとしていた.しかし,ハイブリッド・システムを構成する

主要部品(バッテリー,モーター,交流と直流の交換器であるコンバーター,モーターを

制御するインバーター)に,自社製のものがほとんどなかった.そこで,トヨタは,すか

さず各種ユニットの「内製化」へ向けて動いた.一方和田(副社長)に「G21」にモーター

ショーのためにハイブリッドを積み,さらに燃費を 2 倍にせよと言われた.きちんと確認

された技術だけを,そしてそれに責任を持って市販車に展開して世に問うというこれまで

のトヨタの方法とは違い,不確定要素のあるハイブリッドを,市販を前提にして企画して

きた「G21」に搭載しようとしていた. モーターの特徴は,エンジンよりも熱や音,振動が少なくてすむのでエネルギー損失が

小さい.しかし,モーターを動かすには電力が必要である.そこでエンジンで発電しつつ,

エンジンと電気のパワーソースが相互補完的に作用するシステムを考えた.ハイブリッド

方式としてシリーズ型やパラレル型(図 4.1. [4-4])があるが,その両方の組み合わせでもある

ような EMS 方式を採用した.エンジンをなるべく使わず,必要なときだけ回すことにより,

燃費が目標とする 2 倍になる. こうして,95 年秋,「~に先立って」という意味のラテン語の「プリウス」が誕生した.

モーターショーでは,「初代プリウス」は,ハイブリッドでリッター30km という燃費の良

さから他メーカーの技術陣に大反響を巻き起こした.しかし,「リッター30km」という謳

い文句は,シミュレーション上での値であり,実は,プリウスを動かしたことがなかった

のである.そして実際に 95 年 11 月,テスト走行が行われた.しかし,プリウスはピクリ

とも動かなかった.その後改良を重ね,同年 12 月 500m 走って,また止まってしまった. 96 年「G21 プロジェクト」は「890T」という開発コードが付き,プリウスの号口化(商

品化)が始まった.製品企画は「各要素技術の完成を前提に,全体計画を立案」したもの

であり,そのためには「各要素技術ごとの開発推進」も同時に行う必要があった.また,

試作車を作る際に,それを工場の技術員が組み付けることで,工場で作る際に問題になり

そうな点を摘出できる.このようにして内山田は,プリウスの CE として「迅速で,過去の

方法にとらわれない意思決定」そして「バックアップ案を作らない」,「責任を取る覚悟の

もとに任せる」ことを方法論として掲げた. THS に搭載されているコンピュータの数は 9 個であり,それぞれが「クモの糸」のよう

にすべてつながっている.よって,ある部分に問題があるとその影響により,他の部分に

も問題が発生する.そこで,システムに「自己診断機能」を設けて,対処できるようにし

た.

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図 4.1. 2 つのハイブリッドシステム

(1)シリーズ・ハイブリッドシステム エンジンで発電機を駆動し,発電した電力によってモーターが車輪を駆動する方式.動力の流れが直列であることからシリーズ・ハイブリッドと呼ばれている.小さい出力のエンジンを効率の良い領域で準定常的に運転し,バッテリーを効率よく充電しながら走行する.

(2)パラレル・ハイブリッドシステム エンジンとモーターが車輪を駆動する方式で,2つの駆動力を状況に応じて使い分けることが出来る.動力の流れが並列であることから,パラレル・ハイブリッドと飛ばれている.このシステムでは,エンジンの動力によってバッテリーへ充電しながら走行することも可能.

エンジン

発電機

モーター

インバーター

バッテリー

直流

交流

エンジン

変速機 モーター/発電機

インバーター

バッテリー

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製品企画から工場のラインオフまで,わずか 2 年という超・短期間でのプリウス開発は,

各部署が同時多発的に業務にかかるという方式で遂行され,さらに R&D(リサーチ&ディ

ベロップメント)と号口化への動きが並行で進行していた.そして,97 年 3 月,メーカー

がハイブリッドシステム開発の公表をした. トヨタは,メーカーであり続けるために「内製化」にこだわり,技術陣と工場との連携

が蜜であった.ついに 97 年 12 月プリウスがラインオフした. 4.3 プリウスの開発が成功した要因[4-3]

IGBT 素子(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の開発で IGBT を実験している電子

部品工場とチップを作っている ME(マイクロ・エレクトロニクス)工場が,お互い疑心暗

鬼になっていたのである.そこで野田は,その各部署のパイプ役として玉野を起用し,

「IGBT メーリングリスト」を作ることにより,お互いの信頼関係を取り戻すことに成功し

た.また,パワープラントの共振の問題が出たとき,ろくなデータも情報もない中,内山

田はユーザの安全を 優先するという判断を下した.その他,バッテリーの設計,開発は

非常に困難であり,担当者のやる気を上げるために,内山田は「このプロジェクトはお前

にかかっとる」といい,人をノセるのが上手であった. 「情報を共有化し,皆に理解してもらわないと,このプロジェクトは成功しない」と考

えた大井は「やろうとしているハイブリッドカーに関する情報を,可能な限りオープンに

する」ことを決定した.[4-5] このように,プリウスの開発が成功した要因として,奥田社長をはじめとするトップが

その先見力によって明確なコンセプトと高い目標が掲げられ,全社員のベクトルが一致し,

部門意識が高かった従来の企業体質から,部門を越えた連携感が生まれ,仲間意識が醸成

されたことによる.すなわち,部分 適ではなく,全体 適を追求する企業風土へと変化

していったのである.

以上のように,図 4.2. [4-6]に示しているとおり,プリウス開発の特徴は,技術情報とノ

ウハウの全社的な広がりと,その「共有性」であった. 表 4.1. [4-6]にプリウス開発の略年表を示す.

第2・第4電子技術部

(インバーター)

G21(後にZi)

(製品企画)

BR-VF

(ハイブリッド・システム)

第1車両技術部 EV開発部

国境を超越

キャルティー・デザインセンター

(車体デザイン)

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図 4.2.プリウス開発における多様な場

5 現在のハイブリッド車市場 5-1 各社のハイブリッドカー戦略図

各自動車会社の現在の立ち位置をデータから分析し、今後約1,2年のハイブリッドカ

ーを含めたエコカーの展開について各社の環境報告書等から予測を行って、各社のハイブ

リッドカー戦略の違いを明確にしていきたい。

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図 5-1 各社のハイブリッドカー戦略図

図 5-1 は 2005 年 6/8 日現在の国内における各自動車メーカの生産台数データから計算し

たシェアと主力車(生産台数の上位数種や 高級車種等ブランド代表する車種)の平均価

格についてその傾向を分析したものである。以下にその説明を述べる。特に断りが無い場

合それは生産台数およびシェアは下記社団法人 JAMA―日本自動車工業会 HPデータベース

[5-1]から得たデータを出典としている。車種毎の価格は各メーカのウエブページや価格比

較サイト[5-2]からである。各社の姿勢、戦略の分析の部分では上記 JAMA,メーカサイト、

価格比較サイトからとトヨペット石川とホンダプリモスギフジ店、両販売店からのインタ

ビューの結果から得た情報をまとめて、総合的に分析を行った。

図について説明をする。

縦軸

出荷台数から計算された市場全体のシェア率を縦軸におき、シェアの反対側を市場全体

の占有率よりも特定セグメント市場をメインに置いたニッチと定義した。客観性のある有

効なデータから各社の各車種分類に対する生産台数の偏りを評価した結果として、この配

置を行った。(例 4WD 市場に生産台数の多くを投入しているスバルは各社に比べてニッチで

ある)

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シェア、ニッチの軸では各社の傾向を相対的に示す物で縦位置の絶対位置はあまり正

確ではない。例えばホンダと日産の出荷台数は乗用車の部門に限れば逆転し得るし、三

菱自動車約 8.7%とマツダ約 9.4%の差は三菱とスバル約 4.7%の間よりも非常に大きい。ま

たいすゞ自動車の出荷台数は日野自動車の 2 倍程度であるが、スバルの1/3の台数で

もある、今回はその差を強調していない。

横軸

販売車種のラインナップ、車種毎の販売台数から各社がどのような価格帯に主力を注い

でいるかを評価した。グループ関係にある会社同士や、技術、業務提携により各社で棲み

分けを行っている場合も多いが、今回は、高級感やステータスといった「高付加価値」か

または、価格と性能をアピールする「コストパフォーマンス」という軸で評価した。これ

は今現在の状況から作者の主観を含めて作成しており、例えばメーカの HP が更新されるこ

とでその位置が移動することもあり得る。

今回この 4 種類の評価軸を採用した理由は、客観的で事実に基づいた分析を行う際に必

要なある程度の信頼性を持つデータとして各社の生産台数と、車種毎の販売価格のデータ

が手に入った事が挙げられる。次に各社の戦略の相違、また同一社内での従来の戦略と近

年投入されたハイブリッド車の戦略との差異の 2 種を同時に も良く表現できると思われ

る事からこの軸を採用した評価図を作成した。

トラックやバスに関してはその市場がほぼ法人向け、業務向けであるということで評価

に大きな差を付けることは避けた。

今回は 2003~2004、2004~2005 年の JAMA のデータと 2005 年の各月の出荷台数データを

集計して算出したデータを用いて、2005 年 6/1 現在の市場分析をおこなっている。そのた

め今後正式なデータが出た場合その上下左右関係が変更されることは充分にあり得る。特

に三菱自動車と三菱扶桑トラックバスは業績が急激に落ち込んでおり、シェアを大きく失

う可能性は高い。

5-2 各社の分析

以下に各社の現状分析と、戦略図との対応、近い将来に投入されるで有ろうと予測され

るエコカーもしくは技術成果について示し、エコカー市場におけるポジションを分析する。

トヨタ自動車

市場シェアは約32%[5-1]で現在トップである。

主力車種は、高級車としてクラウン、マーク X、普及車カローラ、ヴィッツ、ボクシィ、

wish、低価格車としてパッソ、アイシス等があり幅広い価格帯に投入している。

従来は徹底した“カイゼン”と呼ばれるコストダウンでより低価格で商品を市場に供給

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しコストパフォーマンスをアピールすることで、シェアを 優先した販売戦略を取った。

新規技術の導入、新規市場への参入には消極的であり、技術的、市場的に熟成される頃に

参入する事が多かった。

現在自社の米国での高級車部門レクサスブランドの輸入を行うことで、350万円以上

のプレミアムカーと呼ばれる分野にも注力している。

トヨタのエコカー戦略[5-3]

プリウスに代表されるエンジンとモータを組み合わせて使用する、ハイブリッドカーに

注力、クラウン、プリウス、クルーガ、ハリアー、エスティマの5車種を販売。主に高級

車にパワーとステータスとしてハイブリッドを導入している。

日野自動車と共同で世界初ハイブリッド小型トラック ダイナ/トヨエースを製造販売

している。これはクロネコヤマトに大規模に導入されている。

燃料電池車の開発でもトヨタ FCHV としてハイブリッド燃料電池車を昨年から販売、全世

界で16台の販売実績を持つ。

21世紀のトヨタを支える車としてハイブリッドを捉えでいる。

日産自動車

市場シェアは約14%[5-1]で現在 2位である。

主力車種は高級車のプレジデント、シーマ、フェアレディ Z、スカイライン、普及車とし

てサニー、エルグランド、セレナ、低価格車としてマーチ、キューブを市場に投入してい

る。乗用車部門ではフルラインメーカである。(仏)ルノー傘下の外資系メーカであり、グ

ループとしてスバル(富士重工)にも資本参加している。 高級車とスポーツタイプを多

くラインナップであり、軽自動車は生産していない。しかしスズキや三菱から OEM 提供を

受けて販売することで近年は低価格路線にも進出、コストダウンを全社的に推し進めてい

る。かつては他社で大きな販売実績を作っている車に対してよく似たコンセプトの対抗車

を出す事が多かった。

日産のエコカー戦略 [5-4]

現実的で実効性のある環境負荷低減を目標とし、ガソリンエンジンの燃費、性能向上に

注力。2001 年に100台限定でティーノハイブリッドを投入したが、その後 2002 年にトヨ

タと技術提携、2006 年にアルティマハイブリッドを投入予定。

燃料電池車としては 2003 年までに XTRAIL FCV を5台程度限定出荷した。

ホンダ技研工業

市場シェアは約12.8%[5-1]で現在 3位である。

主力車種には高級車として NSX、レェジェンド、s2000、普及車はアコード、シビック、

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低価格車にフィット、オデッセイ、ステップワゴン、モビリオが挙げられる。特徴として

タクシー仕様の商用車をほとんどラインナップしていない。

従来から燃費と価格、アピールし、使いやすさや F1参戦といったスポーティなイメージ

戦略と併せて、比較的若年層に人気が高い、他社の同価格帯の自動車よりも高性能のエン

ジンや 2 足歩行ロボット ASIMO といった技術力が自慢。新技術を積極的に採用し新しい市

場にも精力的に進出している。近年ではオデッセイやフィットといったミニバン、コンパ

クトカー自動車市場でヒットをとばしている。また他社との技術提携や業務提携に消極的

という特徴を持ち、世界市場における統合化の流れの中で孤高を保っている。車種間での

部品の共有化が進んでおり、他社と比べて新規工場建設への投資やライン変更コストが少

なくてすむという特徴も持つ。[5-5]

ホンダのエコカー戦略[5-5]

ハイブリッドカーとして パーソナルカーインサイト、日本での主力車種セダンタイプ

のシビックハイブリッド、米国での主力ミッドセダンタイプであるアコードハイブリッド

の 3 車種を販売している。5/24 現在、世界でのハイブリッドカー総販売台数は10万台

[5-6]でハイブリッドカー市場シェア31%となり 2位の位置にある。

インサイトは、「Honda IMA(Integrated Motor Assist)システム」を搭載し、現在量産

ガソリン車として世界 高水準の燃費を誇る。[5-7][5-8][5-9]よって超好燃費とコストパ

フォーマンス、クリーンという性能を持つ車としてハイブリッドカー全体をアピールしてい

る。

燃料電池車 FCX は 2004 年末段階で世界12台程度リース販売。気温、気象条件の厳しい

所での使用に耐えるような研究、開発が進んでいる。

マツダ

市場シェア約 9.4%[5-1]で生産台数としては5位である。

主力車種は高級車としてアテンザ、RX-8、アクセラ、ロードスター、MPV、普及車にはプ

レマシー、低価格車に デミオがあげられる。

米フォード傘下の外資系メーカーだが、スズキと提携、軽自動車の一部(例ラピュタ、

キャロル、スピアーノ)をスズキから OEM 提供されている。業務や日常運転での使用され

る車よりもスポーツカータイプの車に重点を置き、Zoom-Zoom といったブランドメッセージ

と共に走行性能の高い車に傾倒。世界で唯一実用化させたロータリーエンジンを社の背骨

としている。[5-10]

マツダのエコカー戦略 [5-10]

既存のエンジンの改良により燃費改善と環境負荷の低減を図っている。

さらに水素ロータリーエンジンの水素 RENESIS エンジンによってガソリンと水素との併

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用が可能なの RX8ハイドロジェン RE の開発が進んでいる[5-11]

スズキ

市場シェア 9.4%[5-1]で生産台数としてはマツダを抜き4位である。

主力車種は普及車としてエスクード、低価格車として kei、アルト、スイフト、ワゴンR、

エブリィを挙げられる。米 GM の傘下だがマツダと OEM 等で提携している。充実した軽自動

車ラインナップと、自社の 2 輪部門との販売、研究開発の連携、それと徹底したコスト削

減策を実施している事が強みである。結果商用車税制を 大限に利用したアルトや、独自

パッケージングのワゴン R等いわゆる意表をついた車を作ってきた事が実績として結実し、

軽自動車部門で30年以上シェアトップの座を守っている。

スズキのエコカー戦略[5-12]

軽自動車で世界初のハイブリッドシステム搭載車ツインを発売し、軽で世界 良燃費を

記録した。[5-13]その他にも燃料電池車を米 GM 社と共同開発している、また電気自動車と

してエブリィ EV を 1999 年から発売。一充電走行距離 110kmを実現した。

ダイハツ

市場シェア 8.7%[5-1]であり生産台数としては6位である。

主力車種は低価格軽自動車のミラ、ブーン、ムーブ、コペンとなる。

トヨタグループの軽自動車戦略を担当しているが相互に OEM 供給しているトヨタと共同

開発したコンパクトカーもラインナップにしている。メインとする低価格車のコストパフ

ォーマンスをアピールしている。軽自動車部門ではスズキの下で市場シェア 2 位となって

いる。

ダイハツのエコカー戦略 [5-14]

トヨタの研究部門と協力して研究を行っておりガソリンエンジンの性能向上としてミラ

Vが 30.5km/lの好燃費を達成している。研究段階であるがハイゼットカーゴハイブリッド

と、軽燃料電池車「ムーブ FCV-k-2」が 2004 年末の段階でモニター試験評価過程にある。

三菱自動車

市場シェア 8.7%[5-1]で現在 7位

主力車種は高級車としてパジェロ、ランサーレボリューション、グランディス、普及車

としてコルト、ランサー、パジェロミニ、低価格車としてはミニカ、eK ワゴンが挙げられ

る。

近年パジェロに代表される SUV に注力、しかしパジェロ以降のヒット車が無く、ダイム

ラーと提携し大型トラック部門を三菱ふそうとして分離した。また近年不祥事を起こし販

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売低迷し米ダイムラークライスラー社との資本提携も解消となった。今後の展開は流動的

である。

三菱のエコカー戦略[5-15]

米ダイムラークライスラー社との提携の中で燃料電池車等の開発を行っており 3 列シー

トミニバンとしては日本初となる国土交通大臣認定をグランディスベースの MITSUBISHI―

FCV で獲得した。しかし、提携解消により大きく方針の転換を余儀なくされている。

スバル(富士重工)

市場シェア 4.7%[5-1] 市場8位である。

主力車種は高級車としてレガシイ、フォレスター、インプレッサ、低価格車として R2、

プレオが挙げられる。 日産と提携していたが近年は米 GM 社系列となっている。ステーシ

ョンワゴンの分野で培われた独自の AWD 技術を全車種に展開させている強みを持つ。

スバルのエコカー戦略[5-16]

燃料電池車等は NEC との基礎研究段階にある。

光岡自動車[5-17]

主力としては高級車の ZERO1、セラード、ヌエラ ガリューII

改造車やレプリカが会社の基点。近年はオリジナルを開発が主になっている。シェア争

いとは違った所に存在であり今後もスポーツカータイプの開発等が予測されている。

エコカー戦略は未定である。

6 バス・トラック市場

6-1 ハイブリッドバスとは ハイブリッドバスとは内燃機関を有する自動車に併せて電気又は蓄圧器に蓄えられた圧

力を動力源として用いるバスのことである[6-1]。ハイブリッドの方式には現在何種類かあ

るが、以下に代表的な2方式を挙げる。 HIMR…これは Hybrid Inverter Controlled Motor and Retarder system の略であり、プリ

ウスで使われているようにブレーキ時に発生するエネルギーを電気に変換して充

電し、加速時のような高出力を要するときに補助動力として利用するものである。

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この方式を利用しているメーカーは日野自動車のみである[6-2]。 MBECS(三菱)…これは Motorvehicle Brake Energy Conservation System の略である。

MBEECS ではブレーキ時の制動エネルギーを電気に変換するのではなく,ガスを

圧縮することで圧力エネルギーに変換するシステムのことである。同様の方式は

他社でも取られており呼び名が異なる。それぞれ日産ディーゼルでは ERIP(Energy Recycling Integrated Power Plant)、いすゞは CHASSE(Clean Hybrid Assist System for Saving Energy)である[6-2]。

6-2 ディーゼルエンジンの特徴とバスに求められる要件 ディーゼルエンジンで走るバスは主に市民の足として市街地の巡回、集団での長距離移

動に用いられている。大型車(大量の人、物を運送、運搬する車両)にディーゼルエンジンを

用いた車両が多いのには以下の理由がある[6-3]。 ディーゼル車のメリット ・ 燃費が良い ・ 耐久性が高い ・ トルクが高く、力強い このメリットは大量の人や荷物を載せるバスでは特に重要になる。 しかしながら、このようなメリットの反面、デメリットも多い[6-3]。

ディーゼル車のデメリット ・ 排出ガスが汚い ・ 騒音がガソリン車に比べうるさい ・ 加速性が悪い 排出ガスは発進時に多量に排出され、停車・発進の多い市街地のバスでは特に問題とな

る。 6-3 ハイブリッドバスの現状 ハイブリッドバスでは上に示したディーゼル車のデメリットを補うことができる。ディ

ーゼル車と比較した場合のハイブリッドバス・トラックの排出ガス性能を表6-1に示し

た。ハイブリッド車の環境性能の良さが見て取れる。 ハイブリッドバスは90年代初頭から、大阪や東京を中心とした市営(都営)バスなど公共

交通機関において導入がはじまった[6-4]。この背景には環境基準の厳格化が見られる。国

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土交通省・環境省により自動車NOx・PM法が平成 15 年からスタートし、窒素酸化物(NOx)や PM(粒子状物質)の大幅な削減(それ以降に発売されるバス・トラックは排ガス

に含まれるNOxを旧型比40%、PMを同85%)を余儀なくされている[6-5]。また1

都3県(東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県)による排出ガス規制も国の法律と平行して同

じく平成15年からスタートし、今年の4月に新たに規制が強化された[6-5]。この条例に

より首都圏を走るバス(トラック)は大幅なPMの削減を余儀なくされている。さらに今

年京都議定書の発効により、排出ガスの削減が国の課題として明確に位置づけられたこと

もあり[6-6]、大型車(ディーゼルバス・トラック)のハイブリッド化に拍車をかけている。 価格の面では、例えば三菱ふそうのバス(大型路線バス「エアロノンステップHEV」(乗

車定員 68 人))では、ハイブリッドタイプは3980万円に対しベース車は約2250万

円と製造に倍近い価格となっている[6-7]。

表6-1 普通ディーゼル車との排出ガス比(ディーゼル車を100%とした場合)

0

20

40

60

80

100

Nox CO2 PM 黒煙 Nox CO2 PM 黒煙

ディーゼル車     ハイブリッド車

%

6-4 ハイブリッドトラック ディーゼルトラックは主に、大きく重い荷物を大量に運ぶために利用されている。ディ

ーゼルトラックのメリット・デメリットはバスと同様だといえる。宅配便等の配送用のト

ラックはハイブリッドの利点が長距離を走る必要があり、かつ停発進が多いため、ハイブ

リッドの性能をよく発揮できる。 ハイブリッドトラックもハイブリッドバス同様、排出ガス規制により普及が進んでいる。

バスよりも一般企業での利用が多い車であり、企業によってハイブリッド車の導入に対す

る姿勢はことなるようだ。実際の販売台数としては、2004年のトラック新車販売台数

は前年比 1 割減の約18万6500台にとどまっているが、今後5年で数万台の需要が見

込まれている[6-8]。

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ただし、ハイブリッドトラックが効果を発揮するのは、主に停車回数の多い、市街地を

中心として走る配送用等に使用される中型以下のトラックである。長距離を走行する大型

トラックではハイブリッドのメリットが発揮されづらい。長距離トラック他特殊車両は、

尿素SCR触媒技術により排出ガス規制をクリアしている[6-15]。この排気系に特殊な触媒

を取り付け、そこに尿素水をかけることでNOx、PMを分解し排出ガスを削減する仕組

みである。この技術は燃費の低減にも成功している[6-16]。 ハイブリッドトラックの熱心な導入例としては以下のケースを挙げる。

ヤマト運輸 ヤマトは2012年度までにハイブリッドトラックを2万台(55%)を導入する予定

であるとしている。ヤマトでは3万3511台(平成 14 年 3 月末現在)の自車を保有して

いる[6-9]。ハイブリッドバスの部分でも触れたが、ディーゼル車規制法が施行されるなど、

早急な環境対策が必要となった為、低公害車導入に拍車がかかり、2005年の 3 月には 約2000台に達している。

図 6-1 ヤマト運輸ハイブリットトラック ファミリーマート ファミリーマートは2004年からハイブリッドバスの導入を開始している。2004

年 には100台、2005年以降は年間250~300台のハイブリッド配送車を新規に

導入し、2012年には、すべての配送車2000台について、ハイブリッド車への 切り

替えを完了する予定としている[6-10]。 以下に今後の 2 社のハイブリッドトラックの導入予定について示した(表6-2)。

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ヤマト以外の運送会社、例えば佐川急便は現在40台を試験であるが、あまりハイブリ

ッドには力を入れていないようである。ただしこれは環境問題に対して無関心ということ

ではなく、方向性の違いといえよう。2004年の10月には天然ガス自動車の台数が2

000台を超えており、さらに2012年度までに、7000台の天然ガス自動車を導入

するという目標を立てて計画的に導入を進めている[6-11]。

表6-2 ヤマト運輸とファミリーマートにおけるハイブリッド車の導入予定

0

20

40

60

80

100

現在 2012年 現在 2012年

   ヤマト      ファミリーマート

%ハイブリッド車

ディーゼル車

6-5 バス・トラック市場の分析 トラック、バスのユーザーは乗用車ユーザーと捕らえ方が異なる。乗用車の場合は「環

境に優しい」、「ハイブリッドでガソリンだけよりパワーが得られる」といった部分に魅力

を感じ、ユーザー側が積極的に取り入れようとしている印象を受ける。 しかしながら、ハイブリッドトラックにおいてユーザーは主に利益を重視する企業であ

り、「規制があるため、しかたなく高いハイブリッド車を買う」といった印象を受ける。ハ

イブリッドバスは主に市営バス等の、路線バスで利用が広まっており[6-12]。 ただし、運送業界ではハイブリッドトラックとの相性がよく、また市街地を走るために

宣伝効果が期待される。図 6-1 に示したように車体にハイブリッド搭載を謳いうことで、環

境に配慮しているというイメージを与えている。表6-2からもヤマトとファミリーマー

トの 2 社がどれほどハイブリッド車の導入に力を入れているのかが伺える。2 社が目標年と

して2012年で一区切り付けているのは、おそらく京都議定書の第一約束期間の 終年

であるためだろう[6-13]。これからハイブリッドバス・トラックの製造コストが下がること

になれば、燃費、パワーという利点がディーゼルのみの車種との間で差別化されることと

なるだろう。 ライバルとして天然ガス自動車を挙げることができるが、インフラ整備という大きな問

題点を抱えており[6-14]、ハイブリッドバス同様、ハイブリッドトラックも、今後東京都な

ど首都圏を中心とした排出ガス規制を足がかりとして、普及がますます広がって行くだろ

う。

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7 市場をとりまく環境 7-1 本章の構成

本章では,市場全体の環境について述べる。まず,環境基準についての現状と未来の予

測について述べ,次に,今後の市場に影響を受けると思われる原油価格の上昇について述

べる。さらに,現在 も重要視されている北米市場について述べ,ハイブリッド車の未来

を検討していきたい。 7-2 環境基準についての現状報告と未来の予測 〔1〕京都議定書 京都議定書(英 Kyoto Protocol )は,気候変動枠組条約に基づき,1997 年に京都市の

国立京都国際会館で開かれた地球温暖化防止京都会議(第 3 回気候変動枠組条約締約国会

議,COP3)での議決した議定書である。正式名称は,気候変動に関する国際連合枠組条約

の京都議定書(英 Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)である。 内容は,二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素,PFCs,六フッ化硫黄について,先進国

における削減率を定め,共同で約束期間内に目標を達成するというものである。2008年~2012 年の間に,日本マイナス 6%,アメリカマイナス 7%,EU マイナス 8%といっ

た削減率を設定している。発展途上国の自発的参加が見送られ,世界 大の二酸化炭素

発生国であるアメリカ合衆国が受け入れを拒否,ロシア連邦も受け入れの判断を見送っ

ていたため,議定書の発効が危ぶまれていた。2004年にロシアが批准したため発効

が確定した。 なお,運用細目は,2001 年に開かれた第 7 回気候変動枠組条約締約国会議(COP7,

マラケシュ会議)において定められた。日本では,2002 年 5 月 31 日に国会で承認され,

2004 年 6 月 4 日国際連合に受諾書を寄託した。[7-1]京都議定書によって期待される二

酸化炭素削減効果を示したのが図7-1である。

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図7-1京都議定書によって期待される二酸化炭素削減効果

〔2〕低公害車関連制度

(1) 低排出ガス車認定制度について

低排出ガス車認定制度は,燃料の種類を問わず自動車排出ガスの低排出ガス性(クリ

ーン度)を性能面から示す技術的指標に適合していることを認定する制度である。「低

公害車等排出ガス技術指針」及び「低排出ガス車認定実施要領」により,自動車排出ガ

スが NOx,PM 等の有害物質の排出が平成 12 年基準排出ガスレベルより 25%,50%,

75%低減されている自動車をそれぞれ認定している。平成 15 年 9 月 26 日付けで,低排

出ガス車認定制度が改正され,平成 17 年基準排出ガスレベルに対応した低排出ガス車

の認定も行われるようになった。現在は平成 12 年基準と平成 17 年車基準の両方が併存

しているが,平成 17 年 10 月以降に型式指定等を受ける車名・型式については,平成

17 年排出ガス基準に統一される予定である。 [7-2]また,低排出ガス車認定制度に沿っ

て自動車グリーン税制が定められている。具体的な減税額は,以下の通りである。

平成17年排出基準50%

削減低排出ガス車

平成17年75%削減低減

低排出ガス車

燃費基準達成車

減税なし

自動車税概ね25%低減

自動車取得税は,自家用車の

場合1万円,営業用車の場合,

6,000円の減税

燃費基準+5%達成車

・自動車税概ね25%低減

・自動車取得税は,自家用車

の場合1万円,営業用車の場

合,6,000円の減税

自動車税が概ね50%低減

自動車取得税は,自家用車の

場合1万5,000円,営業用

車の場合,9,000円の減税

表7-1 自動車グリーン税制について

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(2) 超低 PM 排出ディーゼル車認定制度について

自動車の排出ガスのうち,発がん性,気管支ぜん息等の健康影響との関連が懸念され

ている粒子状物質(PM)について,国土交通省は平成 15 年 10 月からディーゼル貨物

車等に対し,新たな規制を導入している。より PM の排出量が少ないディーゼル車の開

発・普及の促進を図るため,車両総重量 3.5t を超える軽油を燃料とする自動車で,規制

値よりも 75%,85%低減しているものを,超低 PM 排出ディーゼル車として認定してい

る。[7-2]

〔3〕環境基準の未来予測

環境省の低公害開発アクションプランでは,

・実用段階にある低公害車については,2010年度までのできるだけ早い時期に100

0万台以上の普及を目指すこととする。

・燃料電池自動車については,2010年度において5万台の普及を図ることを目標とす

る。 とされている。[7-3] 環境省の低公害車普及アクションプランは,政府が普通自動車から低公害車へ移行させ

ようとしている姿勢がうかがえる。また,今現在でも世界的にみて,日本は環境基準の規

制が厳しいが(図7-2,図7-3),環境基準が年々厳しくなる傾向は,今後も続くと予

測される。そして現在,環境税の導入も検討されており,ハイブリッド車の需要は伸びて

いくだろうと推定される。05~08年度にかけて,ハイブリッド車市場は,本格普及段

階に達し大幅な市場拡大が進むことが予想される。05年度では10数万台程度であるが,

08年度には50万台に達するものと推定される。[7-4]富士経済予測のグラフを以下に示

す。このグラフからも今後,ハイブリッド車が伸びていく事が推定できる。

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図7-2 世界的なNOx規制の経緯[7-4]

図7-3 世界的なPM規制の経緯[7-4]

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図7-4 今後の販売予測[7-5]

7-3 原油価格の上昇 1990 年代から原油価格の上昇が始まり,2005 年 4 月現在 48 ドルに達している。(図 7-3) これは 1990 年7月からの約5倍にあたり,ガソリンを多用する自動車市場に大きな影響を

与えている。以下に原油価格の上昇の詳細と今後の予測について述べる。 ・90 年代の湾岸戦争以降 湾岸戦争の影響でドバイ原油のスポット価格は 90 年 11 月に 31.5 ドルまで高騰したが,2回の石油危機を経験している消費国の冷静な対応などで沈静化した。91 年以降は 10 ドル台

半ばが続き,96~97 年代は平均 18 ドル強で推移した。98 年はアジア経済の不況で 10 ド

ル前半に下落したが,OPEC,非 OPEC の生産調整で 20 ドルを超える右肩上がりをみせ,

2000 年秋には 30 ドルを超えた。01 年は 25 ドル前後で推移したが,9 月 11 日のテロ事件

でアメリカ内外の経済活動が鈍化,さらに暖冬が重なり,02 年初頭にかけて 18 ドルを下回

った。米国経済の回復傾向が鮮明になった 4~11 月には 23~26 ドルに回復した。 ・2003 年から 05 年の動き 02 年末に始まったベネズエラのストライキの影響から,03 年は2月に 30 ドルの高値をつ

けた。イラク戦争が始まると一旦,4 月には 23.5 ドルまで下がったが,イラク情勢,米国

のガソリン需給の逼迫,中国の需要増,OPEC の生産余力の低下等が影響して,12 月には

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28 ドルまで上昇,04 年 3 月に 30 ドルを超え,8 月には 38.5 ドルの高値をつけた。05 年

は 1 月 37.9 ドル,2 月には再び 39.9 ドルに上昇している。[7-7] ・今後の原油価格 中国,インドで鈍化しながらも需要の拡大が続き,米国のガソリン需給は設備面の老朽化

による逼迫が予想される。供給面では開発コストの増大で供給が制限的になっている。産

油国のイラン,イラク問題,中東和平の行方もからみ,今後急騰や 35~40 ドルという高値

止まりも予測される。

図 7-5 推移グラフ(ドル/バレル)[7-6] 図 7-6 推移グラフ(円/Kl)[7-6]

7-4 北米市場の分析 ガソリン価格が高騰するなか,低燃費を誇るトヨタのハイブリッド車「プリウス」の人

気が過熱している。今年 1 月に北米カーオブザイヤーを受賞したプリウスは米政府の税額

控除の効果もあって順調に売上を伸ばし,2004年 1 月~4 月末までの北米での販売台数

はおよそ 1 万 4 千台[7-8]である。そして 近のガソリン価格高騰がこれに拍車をかけてい

る。 イラク戦争後の原油価格上昇に伴い,米国におけるガソリン価格は過去 高の 1 ガロン 2ドル(1 リッター約 58 円)に高騰し,車社会アメリカの家計を圧迫している。原油価格上昇

でアメリカの家計を圧迫しているなか,低燃費で高性能のプリウスの人気が一気に過熱し

た。北米でのプリウスの新車販売価格はおよそ 2 万~2 万 6 千ドル[7-8]である。しかし,

販売店では数千ドル上乗せしたプレミア価格での販売をはじめるところが出てきており,

中古車市場では,程度の良い車が新車価格を上回る値段で取引され始めている。米インタ

ーネットオークション大手の eBay では,走行距離 1000km 程度の中古車で,2 万 4 千~2万 6 千ドル程度[7-8]で取引が行われている。 一方,ホンダのハイブリッド車「シビック」にも人気が集まっている。ガソリン価格の

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高騰にあわせて販売数が増え,5 月には 3 千台の大台を突破した。前年同月比 184%増とい

う大幅な伸びを記録している。[7-8]1 ヶ月程度で納車可能ということもあり,品薄のプリウ

スから移行してきた需要も販売数増加に寄与しているようだ。 新車価格でハイブリッド車は,標準的なガソリン車よりも 3 千ドル~5 千ドル程度高い

[7-8]。米国での平均的なドライバーの場合,燃費の差によって価格差を取り戻すにはおよ

そ 7 年~12 年かかる。実際には購入時に 2 千ドルの税額控除が受けられるから,その価格

差は3年~7年で回収できる計算になる。しかもガソリン価格は高騰して日々の家計に響き,

来年には税額控除の額が 5百ドル減額される予定という。[7-9]このような状況からすると,

今回の"プリウス騒動"に見られる好調なハイブリッド車の売れ行きは,今まで環境への意識

が高くてクリーンな車に乗りたいと思っていた人たちだけの購入から,実益重視の消費者

層に裾野が広がりはじめた動きとも考えられる。専門家は,今後原油価格は緩やかに下落

を続け,ガソリン価格も 7 月には上昇がとまり,徐々に適正価格に収束していくという見

方をしている。しかし,消費者にとっては 近のガソリン価格高騰が一時的なものではな

く,先行き不透明な世界情勢にこれからもガソリン価格が左右されるのではないかという

不安があるようだ。 トヨタと技術提携を結んだフォードは,2007 年までにハイブリッド車の年間販売台数を

10 万台にまで引き上げる目標を掲げている。また同じくトヨタと技術提携している日産も,

2006 年に「アルティマ ハイブリッド」投入を予定している。そして,"一人勝ち"のトヨタ

自身,北米市場で年間 40 万台以上の販売実績のある「カムリ」のハイブリッド車を 2006年にも投入する。

JD パワー・アンド・アソシエーツ社の調査では,ハイブリッド車の販売台数は,2005年にはおよそ 17 万 7000 台,2008 年までには 34 万 4000 台に増加するという予想が出て

いる[7-9]。したがって,今後は北米におけるハイブリッド車の販売台数は,しばらくは増

えていくと予想ができる。

8 各社の戦略とこれから これまでのまとめとして、以上のデータを元にホンダ、日産、スズキ、トヨタの戦略に

ついて述べる。 8-1 ホンダ-チャレンジャー 1999 年にインサイトを出し、シビックハイブリッドも販売をしている。現在ハイブリッ

ド市場での販売台数は2位である。(表 8-1) 2005 年秋期にはモデルチェンジを行い、ハイ

ブリッドのラインナップを強化するという。しかしながらホンダはハイブリッドカーを次

世代エコカーの主軸とは捕らえていないようである。 まず、シビックハイブリッドは、ハイブリッドシステムそのものが商品のアイデンティ

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ティとなっているトヨタのプリウスやハリアーハイブリッドと異なり、あくまでシビック

という車のなかの選択肢の一つでしかない。搭載されているハイブリッドシステムもパラ

レル式の比較的簡単なもので、ユーザーとしてはただの燃費のいいエンジンとして見える。

安全性や走行性能といった魅力を打ち出してはいない。 インサイトも 900cc の排気量で2名載りという非常にニッチな仕様で、大衆車を目指す

プリウスとは方向性を異にする。 この背景にはプリウスの劇的な成功があると考えられる。トヨタ 2000 年に販売が開始さ

れているとおもわれていたハイブリッドカーを 1997 年という非常に早い時期に、そして非

常に安価に販売した。1台売るごとに 50 万円の赤字を出すといわれる低価格化戦略で、市

場のうまみをけし、新規参入を難しくした。トヨタエコプロジェクト[8-3]としてハイブリ

ッドシステムを大々的にプロモーションし、環境市場を切り開き、エコカー=プリウスの

名を固めた。 ホンダのインサイトは現在プリウスを 0.5km/L 上回る世界 高燃費であるが、5人載り

1250cc のプリウスと比べ2人載り 900cc と元々燃費に有利な筐体である。燃費ナンバーワ

ンの座を押さえ、ホンダの技術力をアピールするためにとりあえず出した、という印象が

否めない。フィールドワークによる販売店の話では、今後もハイブリッドシステムはグレ

ードの一つというポジションにとどまるようだ。 ホンダの考えるエコカーの主役は燃料電池車である。現在 HONDA FCX のプロモーショ

ンに力をいれている[8-4]。そこからはハイブリッド市場は 低限の押さえだけをして、燃

料電池市場を狙う意欲が見て取れる。

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

プリウス インサイト シビック エスケープ

海外

国内

表 8-1 2004 年 11 月までの累計販売数

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8-2 日産-フォロワー 2001 年にティーノハイブリッドをインターネット限定で 100 台販売し、2002 年にトヨ

タとハイブリッドの技術提携をした。2006 年にはアルティマハイブリッドを発売予定とし

ている。2004 年時にカルロスゴーンは「ハイブリッドはまだ利益がゼロもしくは非常に低

く、まだ参入段階にない」と語っている。 他社に比べハイブリッドへの取り組みが遅れている日産だがハイブリッド以外のエコカ

ーの開発についても、他社に比べてニュースリリースが非常に少ない。2005 年のゴーンに

よるスピーチでも特に言及はない[8-6]。 今後の戦略としては極超低排出ガス車(Super Ultra Low EmissionVehicle:SULEV)へ

の代替を進めていくようだ[8-7]。SULEV はハイブリッドや燃料電池車のように積極的に

市場を開くものではなく、一歩遅れた感が否めない。

日産はゴーンによる低コスト戦略で危機を脱出した企業である。次世代車開発への多額

の投資を捻出出来なかった様子がうかがえる。これからの戦略に期待したい。 8-3 スズキ-ニッチャー 元々軽自動車のハイブリッドではダイハツが 1970 年から開発を進めていた[8-8]。しかし

軽自動車としての販売はスズキが早く、2003 年にツインに搭載している。今後は小型車中

心にハイブリッドシステムを搭載するという発表がある[8-9]。 軽自動車・小型車はハイブリッドシステムと相性があまりよくない。ハイブリッドはガ

ソリン車から 50 万円ほど価格が上がってしまう。これは電池を含む機構部であり、大幅な

値下がりは見込めない。元々燃費に優れ、低価格である軽自動車には魅力が少ない。 それでもハイブリッドを搭載していくという意欲的な姿勢は、大きく変わりつつ環境を

踏まえ、他社との差別化をしておきたいという意図によるものだろう。 8-4 トヨタ-リーダー 8-1 で述べたようにプリウスの販売は非常に先駆的で、保守的と呼ばれるトヨタとは思え

ない挑戦であった。全社をあげた取り組みがあり、エコカー市場は現在完全にトヨタのも

のとなっている。この地位を十分に生かした2つの戦略をトヨタはとっている。 一つめは高級車に付加価値をつけることである。 2005 年8月より国内で高級車ブランドであるレクサス店の展開を始める。これはトヨタ

に欠けていた高級車市場を埋めるための、グローバルな取り組みの一つである[8-10]。ハイ

ブリッドシステムはこの高級車市場との相性が非常に良い。一つは環境へ配慮していると

いうイメージの良さである。ハリウッドスターがポルシェからプリウスに乗り換えたこと

はその象徴的な出来事と言える[8-11]。環境への関心が高まるなか、先進性と環境性能から

プリウスはポルシェを上回るブランド価値を築き始めている[8-12]。また、性能面でも相性

がよい。コンピュータやモーターを駆使したハイブリッドカー制御は、従来の車に比べて

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まだ改良のフロンティアである。今後の性能向上が見込まれ、枯れている車体技術に比べ

てニュースリリースを稼ぎやすい。事実走りの性能や、発進時の騒音の少なさ、安全性な

どはガソリン車を上回っており、伝統やブランド力でその地位を保つ高級車の他社メーカ

ーと大きく差別化を出来る。ハリアーハイブリッド、アルファードハイブリッドはその兆

しといえ、今後は高級車に順次搭載されていくことだろう。 もう一つは大衆車に魅力的な選択肢を作ることである。 プリウスは幅広い年代から支持されている。街乗りの多い女性からはその燃費の良さが、

若い男性からはその先端性が、企業からはイメージの良さが評価され、誰からも車選びの

選択肢となっている。また、原油価格上昇の影響を受け、燃費の良さが強いアピールとな

っている[8-13]。とはいえハイブリッドシステムはまだ高価で、補助金を受けたとしても

20-50 万円ほど価格差が生じる。技術革新と量産効果により価格差は現象するであろうが、

バッテリーなどの部品があり一定以上は縮まらない。そのため車の主流にはならず、あく

まで魅力的な選択肢の一つという地位にとどまると予測される。 ハイブリッドシステムの開発には多額の費用が要求される。またコンピューター制御の

システムであるため、安易な開発は大事故につながり、非常にリスクが高い。そのため先

駆者であるトヨタ自動車との技術提携を結ぶ企業が増え始めているようだ。

9 まとめ ほとんどプリウス一色だったハイブリッド市場は2005年に入り、にぎやかになってきた。

この背景には行き先の見えない原油価格の上昇と、厳しくなり続ける環境基準がある。燃

料電池車、水素電池車はインフラの問題があり、実用化の兆しが全く見えない。 超高級車から低価格車まで個性的な車種が増え、ユーザーの嗜好も多様化している。壊

れない、荷物が積めるというレベルではなく、デザインや車のメッセージ所有の満足とい

った好みの部分で自動車が選ばれるようになった。 このような状況のなか、あくまでつなぎであったハイブリッドカーは次世代車の現実的

な選択肢として、各メーカーから無視できないポジションになりつつあると言える。

謝辞 本テーマ発表の機会を与えていただき、丁寧なご指導賜った遠藤亮子先生の深く感謝い

たします。 取材に協力いただき、多くの資料をいただいたトヨペット 金沢本店様、ホンダプリモ

スギフジ店様、日産自動車株式会社 環境統括委員会様に深く感謝します。

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参考文献 [2-1]トヨタ自動車株式会社,プリウスパンフレット

[2-2]国土交通省「燃費の良いガソリン乗用車ランキング」

[2-3]トヨタ自動車株式会社, アルファードパンフレット

[2-4] 独立行政法人自動車事故対策機構 NASVA

http://www.nasva.go.jp/index.html

[4-1]金澤傑,遠山亮子,郷裕,『知識経営実践論』,2001,白桃書房 p151 [4-2] 家村浩明 ,『プリウスという夢 トヨタが開けた 21 世紀の扉』, 1999 , 株式会社双葉

社 , p10-55 [4-3] 家村浩明 ,『プリウスという夢 トヨタが開けた 21 世紀の扉』, 1999 , 株式会社双葉

社 , p56-228 [4-4] 碇 義朗 ,『ハイブリッドカーの時代―世界初量産車トヨタ「プリウス」開発物語』, 1999 , 光人社 , p37 [4-5] 板崎英士 ,『革新 トヨタ自動車 世界を震撼させたプリウスの衝撃』, 1999 , 日刊工

業新聞社 , p235 [4-6] 金澤傑,遠山亮子,郷裕,『知識経営実践論』p151-153,175 [5-1] 社団法人 JAMA―日本自動車工業会 HP データベース

http://jamaserv.jama.or.jp/newdb/index.html

社団法人 JAMA―日本自動車工業会 HP データベースから作成

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表1

[5-2]カービュウ http://www.carview.co.jp

[5-3]2004 年度トヨタ自動車環境報告書 P20~P51 [5-4]2004 年度日産自動車環境報告書 P16~21 [5-5]2004 年度本田技研工業環境報告書 P3~P19 [5-6] ホンダニュースリリース 5/24

http://www.honda.co.jp/news/2005/c050524b.html

[5-7]日経 bp

http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=336422&FORM=biztechnew

s

[5-8]日経 bp

http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/wcs-bun.cgi?ID=337600&FORM=biztechnew

s

[5-9] 2004 年度国土交通省自動車燃費一覧 http://www.mlit.go.jp/jidosha/nenpi/nenpilist/07.html

[5-10]2004 年度マツダ環境報告書 P13,P22~P23 [5-11]2004 年度マツダ環境報告書 P24~P26 [5-12]2004 年度スズキ環境報告書 P13~P15 [5-13]2004 年度国土交通省自動車燃費一覧 [5-14]2004 年度ダイハツ環境報告書 P3~P8 [5-15]2004 年度三菱自動車環境報告書 P24~P27 [5-16]2004 年度富士重工環境報告書 P27 [5-17] 光岡自動車ウエブページ http://www.mitsuoka-motor.com

[6-1] 埼玉県低公害車普及促進対策補助金交付要綱 http://www.pref.saitama.lg.jp/A09/BF00/ecocarhojo17/youkou.pdf [6-2] A Ticket to Wander –バス基礎用語 http://atw1.sakura.ne.jp/Daizukan/Dictionary/alp.html [6-3] クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会 http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g50127b50j.pdf [6-4] 大阪市交通局わーるど 大阪市交通局の低公害バス http://ss4.inet-osaka.or.jp/~tochio/osakakotsu/eco-bus.html [6-6] 東京都環境局自動車公害対策部 自動車に関する規制等のあらまし http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/rifuretto/zidou.pdf [6-7] 東京都環境局 ディーゼル車規制総合情報サイト http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/jidousya/diesel/

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[6-8] 京都議定書と環境報告書 浅川太陽光発電所浅川 初男 http://www.asahi-net.or.jp/~ap8n-tn/sun/message/asakawa/kyoto2.html [6-9] JIJweb-日本工業新聞 http://www.jij.co.jp/news/eco-page/news/top.nwc [6-10] 大阪市交通局わーるど 大阪市交通局の低公害バス http://ss4.inet-osaka.or.jp/~tochio/osakakotsu/eco-bus.html [6-11] ヤマト運輸環境保護活動 http://www.kuronekoyamato.co.jp/kankyou/index.html [6-12] ニュースリリース 2004 年 | FamilyMart http://www.family.co.jp/company/news_releases/2004/040107.html [6-13] MSN-Mainichi INTERACTIVE 企業 http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/archive/news/2005/04/10/20050410ddm008

020099000c.html [6-14] 佐川急便 - Sagawa Net Box - http://www.sagawa-exp.co.jp/news/2004/news20041027-j.html [6-15] 日産ディーゼルの除雪車、尿素 SCR システムで新長期達成 | Response. http://response.jp/issue/2005/0601/article71214_1.html [6-16] 経済産業省 ディーゼルトラック・バス等の大気環境問題への対応等 http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g30808d3j.pdf [7-1]京都議定書-Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/ 図 7-1 原子力百科事典 ATOMICA http://sta-atm.jst.go.jp:8080/atomica/01080411_1.html [7-2] 環境省,■■低公害車について■■■ http://www.env.go.jp/air/car/vehicles2004/htm/1-4.htm 表7-1 トヨタ自動車 Environmental & Social Report 2004

[7-3]環境省,低公害車開発普及アクションプラン http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha01/01/010711_.html 図 7-2 ISUZU:世界の NOx/PM 規制の動き http://www.isuzu.co.jp/technology/clean/protect/word.html 図 7-3 ISUZU:世界の NOx/PM 規制の動き http://www.isuzu.co.jp/technology/clean/protect/word.html 図 7-4 EnplaNet : Market Information http://www.enplanet.com/Ja/Market/Data/y01701.html 図 7-5 東石 http://www.toseki.co.jp/kakaku/cif.html

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図 7-6 東石 http://www.toseki.co.jp/kakaku/cif.html [7-4] ISUZU:世界の NOx/PM 規制の動き http://www.isuzu.co.jp/technology/clean/protect/word.html [7-5] EnplaNet : Market Information http://www.enplanet.com/Ja/Market/Data/y01701.html [7-6]東石 http://www.toseki.co.jp/kakaku/cif.html [7-7]石油情報センター http://oil-info.ieej.or.jp/cgi-bin/topframemake.cgi?ParaSession=OW2 [7-8] 近の北米ハイブリッド車事情 http://www.jafmate.co.jp/mate-a/cvnews/report/rep200406hybn.html [7-9] Wired News - 2004 年はハイブリッド車躍進の年? - : Hotwired http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20040107106.html [8-1] エコカー競争の主役 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo192.htm [8-2] Honda|シビック ハイブリッド | イントロダクション http://www.honda.co.jp/CIVICHYBRID/introduction/index.html [8-3]トヨタ自動車:企業情報 > 技術情報 http://www.toyota.co.jp/jp/tech/environment/ths2/ [8-4] Honda|Technology|FCX http://www.honda.co.jp/FCX/ [8-5] ハイブリッドはビジネス段階にない…日産 ゴーン社長 | Response. http://response.jp/issue/2004/0930/article64129_1.html [8-6] 日産自動車|ゴーン社長スピーチ http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/HTML/FINANCIAL/SPEECH/2005/fs_speech20050425.html [8-7] 日産自動車 | 製品開発 排出ガス清浄化 http://www.nissan-global.com/JP/ENVIRONMENT/GREEN_PROGRAM/PRODUCT/ [8-8] 車の歴史研究、年表 http://www.pupukids.com/profile/car/prius/carhistory.html [8-9]スズキ、次期ハイブリッド車は小型車がターゲットか - nikkeibp.jp - クルマ http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/mech/375468 [8-10] TOYOTA.CO.JP~ニュースリリース~ http://www.toyota.co.jp/jp/news/04/May/nt04_0503.html [8-11] Wired News - 代替燃料への転換を先導するハリウッドスターたち - : Hotwired

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http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040625204.html [8-12] 新聞広告ガイド 日本経済新聞社 広告局 http://www.nikkei-ad.com/cb/corporate_brand/topic0411.html [8-13] ガソリン高騰でトヨタ プリウス人気急上昇…8 カ月待ち | Response. http://response.jp/issue/2005/0302/article68514_1.html